みのる選:2023年7月度

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2023年7月30日

7月22日~7月28日

2023年07月28日
月涼し古都の大路を照らしけりあひる
落蝉の沙弥の箒に掃かれけりかえる
大椰子に凭れ沖見るサングラス智恵子
水底の影で目高とわかりけりうつぎ
向日葵の丘へ傾く夕日かな素秀
夏霧に現れては隠る一山家澄子
2023年07月27日
ビー玉を褥としたる水中花せいじ
2023年07月26日
リハビリの歩け歩けと蝉時雨かかし
夏空や空港の名はこうのとりこすもす
昼寝覚あの世この世と入り混じりうつぎ
2023年07月25日
置き配の立てかけてあり西日中せいじ
犬小屋の小さき葦簀に尻出でしなつき
昼過ぎを知つてゐて止む蝉時雨満天
2023年07月24日
夏空へ帆を揚ぐるごとシーツ干すむべ
2023年07月23日
結界の内へ落蝉戻しやりなつき
夏雲を貫き出づる機影かなたか子
左右の耳へと転調す蝉時雨せつ子
2023年07月22日
隧道口簾となりて蔦茂る素秀
連綿とアルプスなせる雲の峰きよえ
瀬の楽にたたみかけては蝉時雨せいじ

2023年7月23日

7月15日~7月21日

2023年07月21日
まなかひに甲山見えバス涼しせいじ
2023年07月20日
瀬の楽の遠近となる避暑の径せいじ
2023年07月19日
観覧車抽んでてをる夏木立かえる
山湖涼し汀をつづる樹々もまたはく子
激つ瀬をひと筋よぎる蜘蛛の糸せいじ
2023年07月18日
苗筋の乱るる風の青田かな明日香
2023年07月17日
端居して口達者なる子の相手もとこ
2023年07月16日
桟橋にひとり佇む藍浴衣澄子
久闊の友と地産の鱧づくし千鶴
夜濯ぎや明日の遊山もこの服でうつぎ
2023年07月15日
独り居となり冷蔵庫大き過ぎうつぎ
一文字波止を呑み込む土用波素秀
キャンプ飯なればお焦げもまた旨しきよえ
赤紫蘇の染みたる指でキーボードむべ

2023年7月16日

7月8日~7月14日

2023年07月14日
しばし待つ田植え機亀の横断中千鶴
雨空に月の鉾出づ京の辻もとこ
餡蜜のなかなか減らぬ二人かなむべ
2023年07月13日
炎昼の被災現場の救助隊千鶴
借りし本抱えて宿る夕立かなあひる
夏空や先の先まで青信号かえる
蓮広葉ひるがへるたび池揺るるもとこ
2023年07月12日
夏空に櫓の鯱の睨み合ひぽんこ
笹飾り低きに結ぶ四十肩なつき
青信号片蔭で待つ交差点豊実
2023年07月11日
合掌の双手を解きて藪蚊打つ澄子
土用波叩ひて進む漁船かなみきお
2023年07月10日
客打つて叱られてゐる水鉄砲よし子
山峡の植田に刎ねる落暉かなあひる
瓢の笛優しく吹けば鳴りにけりうつぎ
2023年07月09日
木下闇苔まみれなる石仏ぽんこ
遠花火愛づる二階の物干し場智恵子
邸涼し読みし逸翁語録なほうつぎ
2023年07月08日
楊梅を含みし頬のかた笑窪素秀
禰宜の妻ようお参りと笑み涼し小袖

2023年7月9日

7月1日~7月7日

2023年07月07日
縹渺と雲間ただやふ梅雨の月はく子
脱稿となりて安堵のビール干すむべ
ちらしずしオクラの星のトッピングきよえ
叶はぬと思ひつつ書く笹飾りたか子
凌霄花をすだれと垂らす大和棟明日香
分げつの進むかと見る植田かな千鶴
吟行はしばし中断氷菓食ぶぽんこ
2023年07月06日
七夕の空へ吾はいま機上人あひる
雨粒の数珠ときらめく蜘蛛囲かなもとこ
萍を乗せて溢るる梅雨田かなせいじ
2023年07月05日
ポンポンと音を聞かせて西瓜売るよし子
暦年の石の鳥居や木下闇ぽんこ
カリオンのごとく犇めく梅雨茸むべ
蜘蛛の囲にな捕まりそ潜門もとこ
歩を合はせ夫に差し掛く日傘かなみきえ
青紫蘇を白磁の皿に堆く満天
畳踏む足裏にしかと梅雨湿りたか子
ダム湖いま水満満として涼しせいじ
赤牛のごとき雲あり大夕焼素秀
汗を拭きながら激辛カレー食ぶかえる
合歓の花バスに触れもす旅愉しこすもす
2023年07月04日
短冊にはみ出す文字や星祭みきお
火口湖の外輪に立つ雲の峰愛正
白南風や外輪船の機嫌良しこすもす
肩寄せて小さくてもよし白日傘はく子
登山道部活女子らが駆けのぼるせつ子
2023年07月03日
白砂に湿りの残る茅の輪かななつき
水鉄砲の二丁拳銃爺降参なつき
髪あらふあしたは明日けふは今日たか子
2023年07月02日
教室を横切りゐける黒揚羽素秀
紙帯を解くや素麺ばさと散るあひる
稜線の現れては消ゆる遠花火澄子
ゆくりなく旧友と会ふ館涼したか子
2023年07月01日
あめんぼう水輪を蹴つて進みけりせつ子
明易や幼鳥の声ぎこちなしむべ

2023年7月2日

6月24日~6月30日

2023年06月30日
座すによき風倒木や杜涼しせいじ
楊梅の散るを踏むまじ散歩道あひる
梅雨夕焼海と空とのけじめなくうつぎ
雨滴かと見れば犇めくあめんぼう満天
大淀の水に育ちし青田かなはく子
切株に一息いるる登山道あひる
2023年06月29日
一閃の雷火に現れし木偶の角素秀
独り寝に夜干の梅の匂ひけりむべ
2023年06月28日
耳澄まし泉の奏づ楽聞かむむべ
あぢさゐの地に伏すもあり雨激しもとこ
2023年06月27日
岨道の左右に広ごる歯朶若葉せいじ
少年が行司務める泣き相撲なつき
山頂の風に憩へば汗引きぬあひる
湯ほてりをさます散歩や夏柳素秀
2023年06月26日
青時雨五彩を競ふ城の木々うつぎ
凌霄花特等席は二階窓こすもす
青葉影白狐を彫りし神の石なつき
訪問の介護士にまず麦茶かなたか子
道の駅曲がり胡瓜を大盛にはく子
2023年06月25日
泣き相撲行司手に持つ般若面なつき
泉殿木漏れ日湛へ水鏡むべ
女人涼し帯に挟める乗車券うつぎ
猫の手も借りたしと思ふ梅仕事千鶴
梅雨晴間散歩がてらに小買物はく子
2023年06月24日
黒日傘傾むけ涙隠しけり素秀
沢からのよき風通ふ夏木立澄子
潔く庭の紫陽花剪定す明日香