みのる選:2023年4月度

過去一覧 縦書PDF 検索

2023年4月30日

4月22日~4月28日

2023年04月28日
囀りに目覚めて励む厨事満天
深山道瀑布のごとく懸かり藤澄子
改札は駆け足屋根に燕の巣たか子
2023年04月27日
子雀にパン屑はたくベンチかななつき
自転車の籠にスケボー風薫るうつぎ
山畑を明るうしたる柿若葉あひる
落椿赤白陣を分かちけりうつぎ
2023年04月26日
踝を洗ひそめたる春の潮素秀
2023年04月25日
街古りしシャッター通り燕来るたか子
遺影へと供へる畑の初苺明日香
2023年04月24日
鰯雲水平線の撓みけりみきお
代わる代わる赤子抱き上ぐ藤の下なつき
囀りに無為授かりし座禅堂宏虎
野地蔵の首に白詰草の数珠智恵子
己が影と縺るるごとく日向蝶むべ
香りたつ路地を曲がれば薔薇屋敷かえる
藻の花の流るる影に夕日さす素秀
2023年04月23日
兵の夢の城址に青き踏む素秀
花水木通りと名づく通学路澄子
竹とんぼ放ちたる空風光る千鶴
出庫する始発電車に朝つばめうつぎ
触角で交はす挨拶蟻のみちみきお
明易し宵つ張りなる一人居にはく子
2023年04月22日
トラクターに閉込められし春霰素秀
緑さす森の奥よりトランペットぽんこ
鶺鴒の遊ぶ河原の風光る満天
藤房の揺れにばいばいする子かななつき
首飾り編むげんげ田に日を浴びつなつき

2023年4月23日

4月15日~4月21日

2023年04月21日
遠蛙やがて小雨になりにけり宏虎
藤棚の下のお喋り尽きるなし満天
風に揺れ地に触れんとす藤の花みきお
風立てば先陣を切る吹流しせいじ
伽羅蕗を煮て母の味探りけりもとこ
マイク音割れて絶叫観潮船豊実
2023年04月20日
藤棚の下に寛ぐ老夫婦きよえ
藤房に見え隠れする蜂の尻かえる
花虻が案内役や植物園こすもす
藤房の長きを撫でて登校す素秀
よく見んと顔を寄せれば蝶翔ちぬせいじ
鯉のぼり川面の風に上機嫌あひる
もこもこと膨るるごとく山笑ふもとこ
2023年04月19日
慰霊塔包み込んだる夏木立せいじ
甘樫の丘に大和の春惜しむ明日香
2023年04月18日
青鷺の冠毛ベッカムヘアーめくせいじ
喬木の天辺さして蔦攀じるぽんこ
新調のつば広帽子風薫るなつき
2023年04月17日
給油所の高き庇に燕の巣むべ
子等去りし砂場にはしや雀の子満天
藤房を梳き来る風のかほりかな澄子
2023年04月16日
坂がかる大手門へと緑立つはく子
青麦の穂波の果てに伊吹山隆松
2023年04月15日
囀りに和す雨音や竹小径むべ
堂内に響く雅楽や春の雨こすもす

2023年4月16日

4月8日~4月14日

2023年04月14日
さへづりや千羽鶴吊る大師堂なつき
花筏破りて鯉のはねにけりよし子
2023年04月13日
収束に近きコロナ禍花は葉にぽんこ
看板のひらがな読めて入学すもとこ
クロッカス北の大地を割り出づるむべ
雲のごと大邸宅の花水木澄子
2023年04月12日
甘樫の丘に登れば著莪浄土明日香
野地蔵の首に蓮華の花飾り愛正
2023年04月11日
桜しべ采女の歌碑へふりそそぎ明日香
かご盛りの筍並ぶ寺の市なつき
花の雲へと消ゆジェットコースター智恵子
高梯子木の天辺へ剪定師豊実
2023年04月10日
一渓の風に山吹揺れどほし満天
囀りを零す大樹の葉擦れかなやよい
古墳出て次の古墳へ青き踏む愛正
幼な子の呼気逞しきシャボン玉みきお
グランドゴルフ暫し中断花吹雪こすもす
もも色の子豚の鼻へ春の蝿素秀
2023年04月09日
投票終え帰りの道の花は葉に満天
吊り橋のへつぴり腰に山笑ふ智恵子
御仏の御手にとどまる名残花澄子
2023年04月08日
一坪の庭をはみだし豆の花よう子
蝦夷地発つ翼下の大地春霞むべ

2023年4月9日

4月1日~4月7日

2023年04月07日
終点と肩叩かるる目借時智恵子
花屑の張りつく雨の石畳ぽんこ
墓守の背へ降り注ぐ花吹雪かえる
春山路園児らに道譲りけりせいじ
花時の堤に現れし料金所せいじ
花は葉に卒寿の命全うす千鶴
女子会の〆のケーキは春苺あひる
2023年04月06日
下り来る子らの挨拶春山路あひる
風見鶏上機嫌なる南風智恵子
一駅を歩くと決めて花惜しむもとこ
街路樹の次は私と花水木明日香
満ち潮に押し戻さるる花筏みきお
異国語の歓声上がる花堤せつ子
花の雲目路に山上レストランはく子
沖遥か帰雁は列を正しけり素秀
風光る両手離しに一輪車満天
堰落つる水に渦巻く花の屑せいじ
2023年04月05日
巣立ちゆく子らへ餞別花吹雪澄子
川底の影が併走花筏せいじ
入り汐の水門越えて初燕素秀
静かなる琵琶湖疎水に桜散るせいじ
2023年04月04日
頬杖の崩れ落ちたり春眠し豊実
花冷すこんなところに自刃の碑たか子
火床まで来て振り向けば古都霞むせいじ
2023年04月03日
蛇行して川に沿ひゆく花の雲あひる
み吉野は山もポストもさくら色もとこ
杉美林縫ふがごとくに落花舞ふ明日香
2023年04月02日
花吹雪両手つき上げ滑り台なつき
湯上りのうなじを撫づる落花かなむべ
鴬の矢継ぎ早なる石舞台明日香
湧き出づるごとくに盛る雪柳隆松
春陰に耐機中なるトラクターかえる
2023年04月01日
足裏で根の機嫌聞く桜守みきお
悪しきことみな嘘であれ万愚節たか子
四月馬鹿買物メモを家に忘れ満天
蝦夷の旅もてなしならめ馬糞風むべ
掘返す工事の穴へ桜散るあひる
春空に大十字切る飛行雲みきえ

2023年4月2日

3月25日~3月31日

2023年03月31日
灯台を越えて海へと花吹雪智恵子
師の墓に額づきをれば花吹雪こすもす
水面切る鯉の背鰭に花の屑素秀
2023年03月30日
中腹に抜きん出てをる大桜明日香
春愁や思惟の菩薩のくすり指澄子
花吹雪拍手喝采大道芸もとこ
瘤だらけなる老幹も花万朶はく子
曲りたる腰を伸ばすや花の下満天
河原から土堤見あげれば花の雲せいじ
2023年03月29日
花人を縫ひて始まる鬼ごつこなつき
花堤左右に木津川桂川はく子
花韮やダビデの星と呼ばれたるあひる
2023年03月28日
青春切符老いの春愁払ふべくうつぎ
花に酔ひ人にも酔ひて吉野山かかし
花の下憩ふグランドゴルフ族はく子
2023年03月27日
旅の荷に聖書をしまふ入学子むべ
胸高な袴姿や卒業子澄子
蒲公英の道を辿りて教会へあひる
2023年03月26日
春愁を風に流さむ常香炉豊実
卒業子部室に別れ惜しみけりみきお
山門を出で深々と遍路笠素秀
2023年03月25日
急磴にひと息つぎし百千鳥澄子
ままごとの飯に招かれ春の庭ひのと
小魚の群れゐる春の水際かな豊実
お彼岸や歩みの遅き夫支へぽんこ