みのる選:2023年1月度
2023年01月27日 | |
背な丸め銭湯までの懐手 | 澄子 |
紙飛行機着陸したる雪間かな | うつぎ |
氷瀑の時を止めたる静けさよ | 素秀 |
笠被る狸も軒へ雪の朝 | みきえ |
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2023年01月26日 | |
おはやうと雪投げかへす教師かな | ひのと |
降り積もる雪の嵩見る鼻眼鏡 | よう子 |
野地蔵の福耳に垂る氷柱かな | 素秀 |
校門に彼と彼女の雪だるま | かかし |
畏まる小さき足裏雛の客 | みきお |
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2023年01月25日 | |
梅ヶ枝に触るれば弾く力あり | たか子 |
一と筋の轍も見えず銀世界 | やよい |
三日月の顎の尖りて凍てにけり | 素秀 |
一夜にて町白変す寒波かな | 満天 |
雪だるま落ちゐし目玉戻しけり | かえる |
眠る山吐くは杣家の煙かな | あひる |
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2023年01月24日 | |
母看取る日々や盆梅一花咲く | わかば |
耕人の運転席に握り飯 | 素秀 |
白骨樹映る池塘に風冴ゆる | 和子 |
這ひ登る怪獣のごと地吹雪す | あひる |
転校のだちへ無言の雪つぶて | ひのと |
毛糸帽目深にかぶり待ち合はす | かえる |
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2023年01月23日 | |
検査着の固き折り目や椅子寒し | なつき |
街灯に透ける氷柱はシャンデリア | うつぎ |
出来ること今日のうちにと冬耕す | こすもす |
綺羅の水脈沖一文字春隣 | わかば |
野地蔵の雪を払うてゆく子かな | ひのと |
切岸に尖る丈余の氷柱かな | 愛正 |
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2023年01月22日 | |
水揚げや修羅場のごとく鰤跳ねて | 宏虎 |
寒紅を引きてリモート句会かな | よし子 |
炊き立てのご飯窪ませ寒卵 | うつぎ |
薬膳の本など買うて寒に耐ふ | たか子 |
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2023年01月21日 | |
鍬洗ふ縄のほつれや水温む | みきお |
水鳥の一羽潜ればつぎつぎと | きよえ |
逆立ちのわざ競ふやに鴨潜る | せいじ |
白息を行き渡らせて眼鏡拭く | ひのと |
2023年01月20日 | |
福祉課の窓口に笑む福寿草 | みづき |
草ゆらぎそめて生まるる春の水 | みきお |
寒鯉の石のごとくに身じろがず | 満天 |
もてなしは土鍋の飯と寒卵 | あひる |
炬燵から小さき靴下拾い上ぐ | ひのと |
こたつ舟首をすくめて左見右見 | 智恵子 |
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2023年01月19日 | |
母子牛鼻よせあひて日向ぼこ | 千鶴 |
おでん鍋好物そつと夫へ寄せ | たか子 |
沖さして百の舳先や初霞 | ひのと |
無人駅改札口に雪だるま | 智恵子 |
夕日背に影を纏ひぬ蜆舟 | みきお |
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2023年01月18日 | |
点検す防災リュック阪神忌 | もとこ |
火葬待つ間の玻璃窓の細雪 | ひのと |
すき間なく敷かれし藁や冬田晴 | 明日香 |
綾取りは菓子折りの紐小正月 | 小袖 |
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2023年01月17日 | |
枯野から次の枯野へ測量士 | ひのと |
存問の一句添へある寒見舞 | 満天 |
門灯の滲みて点る寒の雨 | むべ |
大寒に負けじグランドゴルフ族 | はく子 |
白き息顔に纏はせジョギングす | 素秀 |
蜜柑ひとつ屋根の大工へ放り上げ | ひのと |
山峡の寸土に頼む冬菜畑 | よう子 |
公園に子らの声満ち日脚伸ぶ | もとこ |
阪神忌生家のありし辺は更地 | 豊実 |
久々の七千歩超え日脚伸ぶ | こすもす |
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2023年01月16日 | |
大とんど峡の朝日を烟らせて | うつぎ |
初釜の湯気を纏へる柄杓かな | ひのと |
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2023年01月15日 | |
息止めて放つ一矢や弓始め | みきお |
よき音で抜ける茶筒や卓小春 | ひのと |
大とんど倒れる刹那大喚声 | よう子 |
とんど灰斯く高舞ひて神迎へ | うつぎ |
箱膳をはみ出して置く祝箸 | みきお |
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2023年01月14日 | |
海鳴りを聞いて育ちぬ頬被 | ひのと |
一席を占む冬帽の忘物 | 素秀 |
初電話たちまち弾む国訛り | あひる |
杉美林また杉美林山眠る | はく子 |
2023年01月13日 | |
焼栗の爆ぜて振り向く初大師 | なつき |
小気味よき音たてて摘む青菜かな | 愛正 |
絨毯に靴音しづむ夜のホテル | ひのと |
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2023年01月12日 | |
初稽古待てる幼なの正座かな | ひのと |
一人鍋つつきて味の薄きこと | たか子 |
冬帽を目深に市の刃物研ぎ | なつき |
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2023年01月11日 | |
酒蔵の白壁まぶし寒の晴 | せいじ |
湯気立てて帰郷の子らを迎えけり | かえる |
畝大根もろ肌脱ぎに競り上がり | あひる |
帳綴や祖父の代よりこの判子 | ひのと |
白息を残し言葉の消えにけり | うつぎ |
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2023年01月10日 | |
糊強き襟を立たすや初仕事 | ひのと |
物見して清水坂の寒鴉 | うつぎ |
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2023年01月09日 | |
赤銅の太陽沈む霧の沖 | みきお |
大焚火一人となつてしまひけり | うつぎ |
一抜けし人の噂や浜焚火 | ひのと |
ファスナーを喉まで上ぐる寒の入 | せいじ |
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2023年01月08日 | |
逞しき冬芽の枝に御籤結ふ | はく子 |
七種の火をとめ塩をひとつまみ | みきえ |
霊峰の芯となるべく滝凍る | ひのと |
霜枯の野より翔ちたる羽音かな | むべ |
寒に入る火種の如き船尾灯 | ひのと |
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2023年01月07日 | |
新海苔を炙れば磯の香餅に巻く | かえる |
息白く泥のボールを抱き帰る | ひのと |
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2023年01月06日 | |
パトカーが駆け抜く仕事始めかな | なつき |
初電話心配される齢となり | たか子 |
弾初に夫の拍手を賜りぬ | ひのと |
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2023年01月05日 | |
連鎖して大杉震ふ雪解かな | 隆松 |
双六の折目に駒の浮ひてをり | 素秀 |
げんこつを貰つて終はる初喧嘩 | ひのと |
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2023年01月04日 | |
水鳥が押し分けてゆく薄氷 | 豊実 |
産みたてと掌に享く寒卵 | かえる |
さし交はす大樹の秀枝淑気満つ | むべ |
前掛けに手を拭ひつつ御慶受く | ひのと |
日常の二人に戻る四日かな | せいじ |
放棄田に農学部員鍬始 | かかし |
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2023年01月03日 | |
屋号にて御慶を交わす宿場町 | 澄子 |
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2023年01月02日 | |
朝の日の眩しさへ置く雑煮かな | ひのと |
初茜視界展ける七合目 | むべ |
牧草のロール転がす北颪 | 愛正 |
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2023年01月01日 | |
輪唱のごとくに峡の除夜の鐘 | うつぎ |
恙なく一行記す初日記 | 満天 |
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2022年12月31日 | |
かみしめる今の安寧晦日蕎麦 | もとこ |
煤逃や立ち読みしたる料理本 | なつき |
ゆく年の真上に来たる観覧車 | 素秀 |
2022年12月30日 | |
枯蔦の面輪に絡む磨崖仏 | 愛正 |
尻もちの後引く痛さ年詰まる | はく子 |
窓拭きの母娘姦し年用意 | むべ |
一年の無事顧みつ初湯殿 | たか子 |
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2022年12月29日 | |
神木の紙垂も真白く年用意 | なつき |
ため息のごとし暖機の排気ガス | かえる |
頑張るをやめてゆるゆる年の暮 | たか子 |
大海老を奮発したる晦日蕎麦 | 千鶴 |
耳掻きの膝あけて待つ縁小春 | ひのと |
手套脱ぎま白き献花捧げけり | あひる |
立つ湯気もまさら新調炊飯器 | やよい |
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2022年12月28日 | |
おもちや抱き仕事納めの夫帰る | なつき |
母偲ぶ形見のシヨール暖かし | きよえ |
冬日満つ砂場に残る砂の城 | なつき |
鉄瓶の湯気に塞かるる通し土間 | 素秀 |
溜池に魚影の透けるうす氷 | かえる |
厨いま大騒動や松葉蟹 | あひる |
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2022年12月27日 | |
賀状書くにぶる指先励ましつ | はく子 |
数へ日やうたた寝の母寧らけく | あひる |
嚔して見失ひたる星座かな | ひのと |
モノクロと化して生駒峯眠りけり | たか子 |
数へ日やまだ田に残る人の居て | 千鶴 |
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2022年12月26日 | |
年用意子の手夫の手借りもしつ | 満天 |
友逝けり吾が冬帽子褒めしまま | あひる |
年ごとに動かぬ手足日の短 | 満天 |
蓋凍てし郵便受けに回覧板 | 明日香 |
賀状書く金釘なれど心込め | みきえ |
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2022年12月25日 | |
長々と貨物列車は枯野行く | かえる |
日当たりの窓に背伸びすシクラメン | 董雨 |
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2022年12月24日 | |
蝋燭の火を移しゆくイブのミサ | あひる |
賑やかに果てし聖夜の皿洗ふ | ひのと |
プリンター止まらないでと賀状刷る | 千鶴 |
地元紙に包まれ届くお餅かな | みきえ |