みのる選:2022年11月度

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2022年11月27日

11月19日~11月25日

2022年11月25日
寒星を映して潤む仔牛の瞳ひのと
琴坂の流れに乗りし散紅葉はく子
柿をもぐ翁巧みな竿さばき澄子
2022年11月24日
異国語の飛び交ふ古都の紅葉坂ぽんこ
白き指上へ下へと祭笛みきお
毎年よ柿を吊るせば雨の降るやよい
雨晴れてまた軒へ出す吊るし柿みきえ
バンクシーめく白壁の蔦紅葉素秀
2022年11月23日
葛湯吹くモーゼが海を割るやうに素秀
しぐるるや植えし小苗の起ち直り千鶴
白菜を包む新聞継ぎ足してひのと
自家製の干柿美味とティータイムこすもす
眠る子に指握られてゐる小春ひのと
柊の香に足とむる夜の道あひる
雨粒の真珠をこぼす実南天満天
朝風呂の至福勤労感謝の日はく子
2022年11月22日
落葉掻く墓守に降る鳥語かなもとこ
小雪や父の忌終へて部屋広しなつき
五線譜のごとくに並ぶ吊るし柿きよえ
良き事も過ぎて痩せたる古暦素秀
せせらぎの水音の果てて冬に入る澄子
バイオリン抱く少女や黄落期豊実
冴ゆる沖星に紛るる船明かりひのと
2022年11月21日
柿吊るし終へて華やぐ軒端かなみきえ
去りがたく焚火の主と二人きり素秀
目瞑りて落葉しぐれを浴びにけりたか子
木枯らしが湯気攫ひゆく露天風呂かえる
伝言メモ卓上にありおでん鍋宏虎
掘つ建ての牡蠣小屋見ゆる旅籠智恵子
2022年11月20日
朴落葉人の気配のごとありぬむべ
落葉蹴り上げて下校の子ら駈くる満天
浦小春指呼に満珠と干珠島せいじ
母の声懸大根の向ふよりひのと
老い母の回顧話を聞く炬燵あひる
2022年11月19日
灯油汲み終へて仰ぐや寒北斗ひのと
錦秋の外湯巡りの下駄の音智恵子
山霊を鎮めて深き紅葉谷たか子
子と将棋手加減なしや木の葉髪なつき
タンカーの過ぎる海峡冬暮色せいじ
裏側も覗いてみたり菊人形あひる

2022年11月20日

11月12日~11月18日

2022年11月18日
靴紐を結び直して落葉道みきお
退き際を思案してをる懐手澄子
湯豆腐の仕掛けてありて母は留守ひのと
教会の木椅子に届く冬日差もとこ
山路への道行きつづる石蕗の花あひる
2022年11月17日
浦凪て千畳広ぐ牡蠣筏せつ子
冬耕やまたこの黒ぼこに世話になる千鶴
2022年11月16日
一坪の老いの丹精冬菜畑こすもす
鈴懸の落葉お面に子らあそかえる
炬燵居にいつも不機嫌さうな父ひのと
丸き腹冬日を返す陶たぬきなつき
仏壇の上に蜜柑と宝くじひのと
2022年11月15日
磴半ば小春の町を一望すたか子
加齢です医者の一言身にぞ入む宏虎
時雨るるや滲みて届く喪のはがきむべ
寒林のしるべは聖書物語あひる
焼芋屋追いかけてきて路地に買ふひのと
守られて術後一年冬ぬくしきよえ
端山いま紫色深めて冬に入る豊実
2022年11月14日
坂がかる湯の街の路地片時雨澄子
摺足の足袋近づき来奥座敷素秀
落ち葉巻上げて発車す路線バスあひる
雀どち遊ぶ落葉の吹き溜りせいじ
2022年11月13日
少年のバット寒風打ちかへすひのと
まだ出来ること指折りて日向ぼこ明日香
図書館のこの窓が好き照紅葉たか子
2022年11月12日
白足袋に花粉こぼるる菊人形なつき

2022年11月13日

11月5日~11月11日

2022年11月11日
指先に触れて冷たき花梨の実澄子
ウエルカムとて客待ちの雪だるまあひる
胃カメラは金輪際とおでん食ぶ千鶴
今日句会リュックに詰める庭蜜柑こすもす
泣き声にカメラ傾く七五三豊実
2022年11月10日
地蔵堂裏に薪積む冬初めなつき
七五三待ちてすやすや写真館智恵子
うまそうに林檎をつかむ象の鼻豊実
芋掘りの子らの犇めく畑一枚みきえ
豆腐屋の喇叭の余韻小春空せいじ
2022年11月09日
薪割りの乾きし音や寒日和みきお
ストーブに少女顔なる老母かなあひる
蔵元の軒伝ふ湯気寒造みきお
妻娘姉妹と紛ふマスク顔たかを
弔辞書き終へたる窓辺冬の虹ひのと
2022年11月08日
月蝕を厨の窓に熟柿吸ふ素秀
蝕の月いま勾玉となりにけりむべ
秋送りきたる遊子の旅メールせつ子
満月を抱擁したる地球影みきえ
赤銅の月刻々と蝕すすむ千鶴
月蝕や信長生きし時を経てきよえ
2022年11月07日
堂縁を占めて白菜干されけり智恵子
あし抜けば片足残る蓮根掘りみきお
ふきん縫ふ指は骨太一葉忌素秀
足袋脱げば五指寛いでをりにけりひのと
2022年11月06日
神主の走る境内七五三豊実
あひ会釈して道譲る秋山路むべ
冬灯し湯宿に古りし雑記帳なつき
長き夜の書架より垂るゝ栞紐ひのと
就農の子の丹精の芋といふたか子
さわやかや屋号で呼び合ふ城下町澄子
2022年11月05日
ひび継ぎし曇りガラスに冬日満つなつき
岩肌に紅葉貼り付く小糠雨みきお

2022年11月6日

10月29日~11月4日

2022年11月04日
ジョギングの足とめてきく残る虫豊実
眉引きがうまく描けぬ秋思かなぽんこ
スケッチの場所を求めて野路の秋むべ
軒下の音符のやうに柿すだれ千鶴
枯蓮や矢刀折れに地獄絵図ぽんこ
見送りの衿かき合はす星月夜ひのと
歴日の巨木の並木黄落期せいじ
喫煙所にて朝寒を言ひ合へるひのと
千歳飴折りて分け合ふ姉いもとなつき
ドアは手で開ける電車やそぞろ寒明日香
菜々さんのいつもの席に菊の花はく子
2022年11月03日
亡き父の文読み返す秋灯火もとこ
杉玉のはや黒々と冬始めたか子
気の強いひとは泣きむし衣被ひのと
李白の詩皆で吟詠文化の日千鶴
畳の目数えて伸びる冬日かなたか子
小春得て一家総出の庭手入あひる
陸軍墓地一断碑にも菊の供花ぽんこ
2022年11月02日
亡き友のアルバム広げ秋惜しむ満天
生駒嶺は夕映えながら初時雨たか子
小鳥来る百度参りの小さき背になつき
あとがきを読む長き夜の鼻眼鏡ひのと
蹲踞の杓に掬ひし星月夜澄子
林道に垂れて届かぬ通草の実あひる
2022年11月01日
背中押す霧笛や長き港坂素秀
木枯しに下校子ら皆駆け足に満天
百雀を丸抱へにす冬木立せいじ
つんつんと尖りて葱の畝長しあひる
朝露に濡れをる牛の鼻輪かなひのと
漆黒へなげ入れしごと匕首の月もとこ
2022年10月31日
衣被小鉢に手前味噌添えて智恵子
甘藷掘りの赤白帽子奇声あげ満天
ビル街に見失ひたる弦の月あひる
オスプレイ墜ちて来ぬやとそぞろ寒明日香
竹林の奥に茶室や石蕗の花智恵子
湯けむりの鉄輪訪ねむ湯治旅千鶴
一羽また一羽と鳩のひつぢ田へせいじ
2022年10月30日
書き出しに迷ふ筆先秋灯下ひのと
ハロウインの魔女はいつでも飴持ちてもとこ
落ち鮎の流れに任す命かな宏虎
2022年10月29日
力石膨らむごとき小春かなこすもす
炭爆ぜて秋刀魚の匂ひとばしけりかえる
太陽の塔秋天をハグせむとあひる

 

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