みのる選:2022年10月度

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2022年10月30日

10月22日~10月28日

2022年10月28日
老舗なる白壁の蔵こぼれ萩千鶴
凛と立つ汝れの俤秋惜しむたか子
千本の鳥居潜りて秋惜しむ宏虎
玄関にななかまど燃ゆ湯治宿素秀
破れはすの影もろともに池被ふもとこ
飛石の窪み窪みに木の実かな素秀
2022年10月27日
汝れ逝くや金木犀の散る中を満天
肩越しに釣り銭もらふべつたら市ひのと
破れ蓮になほも無情の雨の鞭たか子
団栗を拾ひ尻餅つく子かな智恵子
夕焼いま大パノラマに播磨灘きよえ
秋の日に乾く目尻のなみだ跡むべ
巡礼の白衣染めゆく秋落暉澄子
子ひとりに大人取り巻く七五三もとこ
北国の土黒々と馬肥ゆるひのと
2022年10月26日
門灯の切れかけてゐる夜寒かなひのと
磔像に濃ゆき窓辺の秋日影たか子
岩頭の紅葉ひときわ孤高なる素秀
秋の日を畳みて仕舞ふ露天商ひのと
爽やかな朝日へ水脈や漁り舟隆松
2022年10月25日
十字墓隣るオリブの実のたわわあひる
赤い羽根欠席の子へ届きけりひのと
金木犀掃き終へて又ほろほろとみきお
墨飛ばし太筆一擲文化祭せいじ
小鳥来る古びし堂の葵紋なつき
落葉踏みつつ舌頭に千転すたか子
秋冷の朝告ぐ湯屋の時太鼓澄子
2022年10月24日
紅き実をなお紅くして秋夕焼あひる
十月の雨を跳ねゆくハイヒール素秀
枯蔓の思ひの外の長さかな明日香
リコーダー吹きつつ下校天高し満天
飲むといふより椀啜るきのこ汁かえる
対岸は新興団地鳥渡るひのと
絵硝子の彩こぼれ居て秋館たか子
小さき手で木の実に目鼻描きにけりひのと
2022年10月23日
一面のコスモス畑村おこしせいじ
秋晴や絶えず子の来る水飲み場ひのと
土の香の沁みし野良着や星月夜みきお
ハロウィンのお化けら並び飴もらふなつき
退院の背ナへと玉の小春かなむべ
2022年10月22日
匕首の月高く残りし夜勤明け素秀
朝まだき速歩の馬の湯気立ちぬ澄子
蒲の穂の風に打ち合ふ湖畔かなせいじ
聖堂の固き木椅子や秋の冷えたか子
松茸を裂きしその指夜も匂ふひのと

2022年10月23日

10月15日~10月21日

2022年10月21日
神にます大磐巡り秋惜しむこすもす
墨痕にこもる気魄や秋灯下千鶴
行列の先に湯気立つ豚饅屋みきえ
あるなしの風に大仰秋桜明日香
萩散るや墓誌に童の名がひとつひのと
星流る子午線にたつ時計台千鶴
目を少し病みて勇気のサングラスあひる
米処止まり木に飲む新走り智恵子
木の実落つ音聞き分ける深夜かなかえる
2022年10月20日
どんぐりでお店ごつこのお支払いかえる
菊晴れやガラシャ像たつ大聖堂たか子
霧ぶすま走れば動く杉木立素秀
夕花野癇癪の子を置いてゆくひのと
小糠雨とどめて光る芒の穂素秀
朝寒の腕大振りにウオーキング満天
2022年10月19日
地球釣りあげるばかりの根釣かななつき
秋蝶の紛る野の花草の径千鶴
牧の朝嘶く馬の息白し智恵子
痩せ犬の吠えて身震ひする夜寒素秀
風倒樹手つかずのまま冬隣りたか子
老い母の窓辺にかほる金木犀あひる
2022年10月18日
喪の家に手合はせてゆく月夜かなひのと
手に触れて日の温みある力石ぽんこ
玉砂利に裾を引きずる七五三なつき
濡れ髪に櫛目の残る夜寒かなひのと
稲藁のロール転がる大刈田千鶴
トタン屋根撥ねる木の実の音楽しこすもす
鳥渡る幼稚園児の指呼の空宏虎
2022年10月17日
あくびする河馬の大口秋日和みきお
人知れぬ古道をふさぎ花芒素秀
山道の採るに採られぬ柿たわわふさこ
手捻りの形見の壺に草の花あひる
2022年10月16日
秋晴や両手を挙げて一輪車満天
旅心ふつふつ湧くや鰯雲千鶴
立てかけし杖に影あり真夜の月せいじ
名人の落語に笑ふ夜長かな澄子
2022年10月15日
金風裡花嫁行列山路越えうつぎ
ランドセルからぺしやんこの赤い羽根ひのと
観音の御手に置かるゝ露の玉ひのと

2022年10月16日

10月8日~10月14日

2022年10月14日
暮れなづむ紀淡海峡鳥渡る千鶴
朝月の中天高く微笑みぬ明日香
団栗に肩をうたれし立ち話あひる
夕萩や雨の始めの音しづかひのと
和菓子屋の店頭壺に草の花満天
黒髪を腰まで垂らす秋の人みきえ
さざめける棚田の秋を聞きにけり明日香
かはらけを投げて厄除け紅葉山智恵子
朝なさなテラスに香る金木犀たか子
干し物に盗人萩の二つ三つせいじ
2022年10月13日
夕月や掛行灯の女文字ひのと
野仏の濡れそぼつ朝秋薊隆松
夕日落つ案山子の長き影法師かえる
秋薊せせらきに沿ふの渓の道隆松
帆船の帆を染む灘の夕焼かな千鶴
夜道ゆく不即不離なる月の友たか子
チェンソーを担ぎ杣人冬支度智恵子
2022年10月12日
沖雲を引き摺り込みて秋日落つせいじ
母と子の揃ひのリュック花野道あひる
毬栗の落つる音する獣道豊実
柿剥くやヨーヨーのごと皮垂らしみきえ
猪の怒り凄まじ罠の檻かえる
色変へぬ松に庇や遥拝所なつき
標本の恐竜に似し秋の雲たか子
もの捨てし家の余白や冬隣ひのと
2022年10月11日
走り根を覆ふ落葉に雨しとどせつ子
尻もちをつけど甘薯は手離さずひのと
島の子のもいでくれたる柚子ひとつひのと
巫女鈴を細やかに振る宮さやか明日香
墨汁を散らしたるごと秋夕焼素秀
蜘蛛の糸きりきり舞ひす一葉あり智恵子
2022年10月10日
四阿の屋根を覆ひて草紅葉せつ子
幼稚科は二時間だけの運動会たか子
2022年10月09日
赤い羽根つけて姿勢の良くなりぬ明日香
座右とす手擦れの聖書秋灯下むべ
どよめきの家まで届く運動会せいじ
秀枝より秋日差し洩る杉美林素秀
新蕎麦や背に徳利の陶狸ひのと
相席の目の置きどころ走り蕎麦ひのと
秋燕長屋門なる太梁に素秀
2022年10月08日
住み古りて庭に増えゆく石蕗の花なつき
グランドゴルフ桜もみぢの散る苑にはく子
一掬す龍の口より秋の水ぽんこ
秋寒し施設の兄とガラス越しはく子
うつすらと膜張るミルク小鳥来る澄子
少年に父の面差し鯊を釣るひのと
線路沿ひ荒磯のごとく葛の波明日香
肌掛にくるまる心地十三夜むべ

2022年10月9日

10月1日~10月7日

2022年10月07日
朝露の珠の輝く花野かなきよえ
出格子の古町の路地秋夕焼もとこ
放牧の花野に牛の目は静か素秀
生涯を農に終へたり草の花宏虎
長き夜の紅茶に浸す銀の匙ひのと
雨に濡れとぼけ顔なる案山子かな千鶴
答弁のしどろもどろや赤い羽根たか子
2022年10月06日
奥山に薪割る音や冬隣みきお
川澄むやどんぐり一つ投げもして明日香
味噌蔵は奥より昏れて秋深しひのと
虫の音に目瞑る母の足洗ふひのと
秋天に白き腹見せ飛行船素秀
啄かれて熟柿の傷の無惨かなあひる
稜線のかくもくつきり秋うららもとこ
金風や翼のごとく腕のばすたか子
2022年10月05日
赤い羽根つけて何やら誇らしげ明日香
泣き顔や藁づくりなる案山子翁素秀
好物の栗おこは詰め友見舞ふむべ
鰹船黄金の波を曳きもどるひのと
女生徒の白のソックス爽やかに満天
おしやべりな風通ひくる花野かなかえる
五束ほどガードレールへ稲架あまり明日香
風の意に従ふごとく黄落すきよえ
秋桜や面会室の十五分あひる
新藁の匂ふ牛小屋灯ともりぬみきお
2022年10月04日
トルソーの首に巻き尺蔦の窓ひのと
棉ふくや子等の育てる農園にたか子
手探りで閉ざす閂虫の闇うつぎ
夕日落つ稲穂は深く頭垂れきよえ
掃き均す朝の境内秋の声豊実
夜学子の舟を漕ぎゐる路線バスかえる
亡友の面影に似し秋の雲あひる
追伸のごと揺れやまぬ秋桜ひのと
2022年10月03日
金色の夕陽をはねて赤とんぼきよえ
背後より来て影となる秋の蝶せいじ
木犀を掃きし箒も匂ひ立つかえる
ゆく雁の空をよぎりし夕庇ひのと
指にタコして皮剥くや栗ご飯そうけい
玉垣を吹き抜く風やこぼれ萩ぽんこ
柿吊す日にち薬といふくすりひのと
引越しの荷物見送り鰯雲豊実
群れなして秋蝶渡る渦の瀬戸千鶴
2022年10月02日
ものさしで背中掻きもす夜なべかななつき
朝露や厩舎に眠る引退馬ひのと
えのころのくすぐりやまぬ地蔵様明日香
煙草火とすれ違ふなり霧の夜ひのと
2022年10月01日
交番はいつも空つぽ虫すだくうつぎ
倒伏の稲田に傾ぐ案山子かなもとこ
怪獣の着ぐるみ走る運動会智恵子
水澄て繰り返し鯉数える子ふさこ
秋天へ朱の大鳥居威を放つはく子
保育園お昼寝タイム小鳥来るたか子
白線を引き直す昼運動会みきお

2022年10月3日

9月24日~9月30日

2022年09月30日
ケアバスを外に出て待てり秋日和せいじ
力石取り囲めるは力芝うつぎ
つる葎引けば零余子のついてをりたか子
秋晴の瀬戸に散ればるしらす漁千鶴
駅頭におばけ顔なる大南瓜あひる
稲の香や夜汽車は光こぼしゆくひのと
2022年09月29日
香久山へ刈田の畦の延びにけり明日香
天辺で呵呵大笑す柘榴ありたか子
秋天下ウォークラリーの寺社巡りこすもす
朱の回廊わたる白無垢秋澄めるもとこ
母の手はいつも濡れをり菊膾ひのと
手を止めて流星仰ぐ装蹄師ひのと
2022年09月28日
原子炉へ上る鋼のやうな月ひのと
コロナ禍の公園ベンチ秋の声満天
爺の手の皺にどんぐり並べたりなつき
夕陽背に浴びて畑の菜を間引くあひる
棟上を祝ふ一声鵙高音素秀
大南瓜でんと構へて道の駅素秀
2022年09月27日
穭田に飛び込むホームランボール豊実
野仏の謂れは知らず曼珠沙華うつぎ
風音は喝采に似て稲稔るひのと
試歩の足止めて秋津の群の中ひのと
この縁や文豪旧居秋惜しむ澄子
2022年09月26日
身を反らし蟷螂風に立ち向かふうつぎ
爽やかな風のくすぐる野点かなもとこ
2022年09月25日
嗚呼友よ霧の北鎌尾根に逝くせいじ
秋の蚊の耳元過ぎる羽音かなあひる
煙草屋の残る街角星月夜ひのと
2022年09月24日
鎌引きぬ稲束ザクとひと握り千鶴
鬼籍なる夫へ母へと栗の飯うつぎ
山霧や朝湯へ向かふ下駄の音ひのと
友逝けり秋深みたる槍ヶ岳あひる
秋嶺の影濃く落つるトラピストむべ
献血車降りて夜学の門くぐるひのと

 

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