みのる選:2022年6月度
2022年06月24日 | |
両隣まで打ち水す小路かな | 澄子 |
雲脱ぎし六甲連山梅雨晴間 | もとこ |
尼寺の縁に干されし白日傘 | なつき |
恐竜の図鑑に夢中端居の子 | 素秀 |
また一艘しづかに海霧の懐へ | ひのと |
六月や雲を離さぬ四囲の山 | はく子 |
短夜の夢に会ふ彼若かりし | 満天 |
|
2022年06月23日 | |
老眼鏡掛けて爪切る夕端居 | みきお |
里帰り母子揃ひの夏帽子 | 素秀 |
夜濯ぎす泥にまみれしユニフォーム | かえる |
樟脳は昭和の匂ひ古浴衣 | ひのと |
けふの道南南西や蟻の列 | 凡士 |
浜つ子ら目指す遠泳烏帽子岩 | 智恵子 |
梅雨夕焼真つ赤に田水染めあげて | 千鶴 |
鳳凰と見しは白鷺堂の屋根 | うつぎ |
|
2022年06月22日 | |
川原湯にひたる夕べや河鹿笛 | 凡士 |
所在なく伏せて主待つ梅雨の犬 | 素秀 |
紫陽花の大毬に触れ下校の子 | 満天 |
流し目のままに扇を閉ぢにけり | ひのと |
玉砂利をうがつ雨だれ梅雨深し | せいじ |
脱ぎ置いて波のやうなる藍浴衣 | ひのと |
|
2022年06月21日 | |
青葉闇ここ一門の墓どころ | 澄子 |
水打つて風の生まるる京町家 | みきお |
蝸牛角伸び尽くす雨の中 | 満天 |
切り落とす枝葉も確ととまとの香 | やよい |
波屋根を打つは戯れ合ふ雀の子 | せいじ |
校門に朝顔の鉢整列す | なつき |
神池の殊に眩しき白菖蒲 | うつぎ |
|
2022年06月20日 | |
みずすまし青天井を滑走す | 満天 |
やすらぎといふボタン押す扇風機 | あひる |
離合まつ単線の駅合歓の花 | こすもす |
ありなしの風に舞ひつつ竹落葉 | ちい |
船の名で呼び合ふ鰹漁師かな | ひのと |
|
2022年06月19日 | |
揺り椅子の軋みて父の日の書斎 | ひのと |
著莪繁る温泉宿は谷の底ひかな | あひる |
環濠の今は遺構や半夏生 | うつぎ |
一枚は早や萍の田となりぬ | せいじ |
子燕のことも日誌に駐在所 | 凡士 |
寄進なる吉野門とや梅雨の錆 | たか子 |
短パンにショートカットの娘の涼し | 満天 |
|
2022年06月18日 | |
蜜蜂の脚にまあるき花粉玉 | むべ |
独り居の気楽さ享受かたつむり | もとこ |
黒南風やポスターのなき掲示板 | せいじ |
実梅もぐ二の腕眩し朝の庭 | みきお |
2022年06月17日 | |
ほうたるの消えて魑魅の闇深し | うつぎ |
短夜の夜半の地震に目覚めけり | 千鶴 |
漂流記胸に抱へて籐寝椅子 | 素秀 |
家並を逆さに宿し植田澄む | せいじ |
境内に風のみちあり夏木立 | 澄子 |
ぴん札を数ふ指先見て涼し | ひのと |
朝刊に湿る手ざわり半夏生 | みきお |
|
2022年06月16日 | |
女湯の妻を待ちをり百日紅 | ひのと |
青葉陰心の財を彫る石碑 | もとこ |
蜘蛛の囲に珠の連なる雨上がり | むべ |
草刈ればなほ広々と遺跡の野 | あひる |
万の甕黒酢を醸す大南風 | 凡士 |
北山の青楓添ふ京料理 | たか子 |
|
2022年06月15日 | |
大根おろし舌にぴりりと夏めきぬ | 宏虎 |
日時計は石へ還りぬ五月闇 | ひのと |
沢蟹の入水さながら岩落つる | 素秀 |
青空を掃きゐる風の合歓の花 | 豊実 |
ゴム長の足跡埋めて蝌蚪の群れ | なつき |
石灯籠頭隠れし茂りかな | もとこ |
宵宮の神迎えなる笛の音 | 素秀 |
揺るぎなき悟りの窓に薄暑光 | たか子 |
|
2022年06月14日 | |
五月雨や和本を綴る絹の糸 | ひのと |
鳴き龍の声木霊して堂涼し | あられ |
群れを解く海猫のゆくへや島青し | ひのと |
山寺へ一本道や夏木立 | もとこ |
禅寺の木立を抜ける風涼し | あられ |
金剛杖かくも短し夏遍路 | 智恵子 |
|
2022年06月13日 | |
ほうたるの恋を邪魔せり月明り | うつぎ |
走り来て汗も香となる吾子笑顔 | 素秀 |
くちなしの香や曇天の夕間暮れ | なつき |
蛍火をよすがに歩く谷戸の旅 | むべ |
宴の灯果てて蛍の静寂かな | 凡士 |
再会を祝ふグラスの音涼し | 澄子 |
|
2022年06月12日 | |
用水路馳せる水音や青田風 | こすもす |
じやがいもを掘る子がはじくだんご虫 | なつき |
乱れ打つ気迫の太鼓夏舞台 | たか子 |
夕焼を浴びてはかへす水車かな | ひのと |
|
2022年06月11日 | |
昇神の声高らかに山開き | みきお |
山葵田の水に逸りし水車かな | 凡士 |
打水に打たれに来たる男の子かな | ひのと |
紫陽花の異種を愛でつつ雨の苑 | そうけい |
川沿ひに咲く夾竹桃爆心地 | みきお |
2022年06月10日 | |
梅雨兆す山と積まれし無縁墓 | はく子 |
孵化しはや威嚇のポーズ子かまきり | 凡士 |
青天の植田に水の匂ひたち | 素秀 |
|
2022年06月09日 | |
梅雨晴れ間病む足宥め一万歩 | たかを |
尻もちの跡の残りし植田かな | 豊実 |
短夜や積読に手を付けにけり | かえる |
夏空へ試合開始のコイントス | ひのと |
|
2022年06月08日 | |
貴船川青く点して螢の夜 | みづき |
吹きわたる葉ずれの音や風薫る | きよえ |
今朝もまた紫陽花の毬起こしけり | 明日香 |
苗箱のシート捲れば露の玉 | 千鶴 |
満目の青葉に埋もれ普茶料理 | せいじ |
慌ただし日々の隙間に柚子の花 | もとこ |
流木を打ちあぐ夏の濤青し | 素秀 |
船室の小さき神棚黴にほふ | ひのと |
|
2022年06月07日 | |
魚河岸の果ては海なり夏つばめ | ひのと |
硝子戸に醫院の文字や槐咲く | 凡士 |
母さんへ白詰草の首飾り | みきお |
遠蛙古日記読む独りの夜 | うつぎ |
祭笛吹く白髪の背筋伸び | 素秀 |
|
2022年06月06日 | |
悪口の席を抜け出て端居かな | ひのと |
せせらぎの音に傾き七変化 | 董雨 |
唐門に芒種の雨の匂ふかな | 凡士 |
アルバムへ夏服の母綴ぢにけり | ひのと |
前後ろわからぬ浜の日焼の子 | みきお |
急磴を登り来たれば蓮浄土 | せいじ |
古書の香にふと懐かしき梅雨の街 | 智恵子 |
雛の声聞こえぬ朝や鳥巣立つ | 智恵子 |
|
2022年06月05日 | |
ベビーバギー裸足の裏が覗いてる | 明日香 |
蛍火のついて来いよと言ふやうに | うつぎ |
緑陰に記念の朱印乾くまで | せいじ |
先達に引かれ四葩の磴のぼる | せいじ |
御僧は目高好きとて鉢並ぶ | もとこ |
仲見世の細き片影ひろひゆく | なつき |
収穫を終へて安堵や驟雨前 | 千鶴 |
夏つばめ出入りせはしき舟屋かな | 凡士 |
十薬の花の虜や門閉ざす | 満天 |
白球を追うて夏野へ飛び込みぬ | ひのと |
|
2022年06月04日 | |
ほととぎす樹林つらぬくごと叫ぶ | せいじ |
若楓ひと葉しのばせ旅便り | みづき |
蛍火や草の中より水の音 | うつぎ |
風抜ける土間が涼しと犬眠る | 智恵子 |
サングラス掛けてほど良し野良仕事 | 千鶴 |
あぢさゐの毬を背負うて陶狸 | うつぎ |
2022年06月03日 | |
紫陽花の七色深む今朝の雨 | うつぎ |
郭公や犬に起こされ朝散歩 | かえる |
水張りしばかりの田んぼ畦に鷺 | 明日香 |
電線の揺れに踏ん張る巣立ち鳥 | 智恵子 |
十薬が籬をなせる駐車場 | そうけい |
青嵐竹百幹をさざめかす | 凡士 |
孵化したる針先ほどの目高かな | みきお |
夏至の日の海が呑みこむ大入日 | 凡士 |
|
2022年06月02日 | |
小流れに渡す一本蜘蛛の糸 | 素秀 |
ティーショット打たんとすれば時鳥 | 豊実 |
河鹿笛一番星のともりけり | うつぎ |
己が頬叩けどやぶ蚊打ち取れず | なつき |
目を瞑る河馬のおでこに蝶とまる | かえる |
電線にいそひよどりの声涼し | ちい |
青梅や盥の水をはじきけり | むべ |
|
2022年06月01日 | |
如露の雨プランターから雨蛙 | むべ |
幼な子のしやがむ足もと蟻の列 | みきお |
払ひても同じところに蜘蛛の網 | かえる |
淀川を渡る電車に大西日 | ぽんこ |
錫杖もしばし憩へる造り滝 | 素秀 |
短パンの白き美脚がジョギングす | みきえ |
さざ波を追ふさざ波や夕代田 | ひのと |
青時雨犬の背中に水の玉 | ちい |
大南風松より高き龍馬像 | 豊実 |
採掘の岩山左右に青葉照る | きよえ |
ご廟所へつづく燈籠青葉闇 | 凡士 |
見積書抱へて来たるアロハシャツ | ひのと |
|
2022年05月31日 | |
諸星を宿し鎮もる夜の代田 | ひのと |
あめんぼう雨の水輪に紛れけり | 満天 |
あめんぼう青天井の雲居馳す | あひる |
空の字で写経終へたり夕涼し | ひのと |
|
2022年05月30日 | |
さながらに浄土の風やバルコニー | せいじ |
頬に御手添へて緑雨の半跏像 | うつぎ |
鎖場に吾を待ちくれし登山帽 | せいじ |
夏濤をいなし土佐より漁船来る | ひのと |
不揃ひのトマト山盛り露地に売る | 智恵子 |
竹林に夕涼の風生まれけり | みきお |
片蔭をたどりて父を存問す | むべ |
|
2022年05月29日 | |
蚊遣火や風入れ替はる夕の縁 | むべ |
鮎の竿瀬に混みあへる解禁日 | 凡士 |
水遣りや花虻の邪魔せぬやうに | かえる |
斑猫の導く山路寺の鐘 | 素秀 |
草刈り機唸り鶏右往左往 | うつぎ |
そばかすは母譲りなり夏帽子 | ひのと |
開けたる新聞匂ふ走り梅雨 | うつぎ |
|
2022年05月28日 | |
天狗風欅若葉の大揺れす | 明日香 |
風五月小さきマルシェの賑はひぬ | もとこ |
口中にハーブのかほる夏料理 | あひる |
実梅落つ前垂れ褪せし石仏に | なつき |
つばくらめ川面を掠めまた掠め | 満天 |
軽暖や足なだめつつ磴百段 | やよい |
梅雨の星見上ぐてるてる坊主かな | ひのと |
花心へとストロー伸ばす紋白蝶 | ぽんこ |
口笛をもて老鶯にあいさつす | せいじ |