みのる選:2020年5月度

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2020年5月31日

5月23日~5月29日

2020年05月29日
畳なはる青嶺翠黛際立ちて明日香
時鳥そろそろと思ふ夕散歩うつぎ
水遊びおむつ一つで恵比須顔智恵子
青葉風亀一列に甲羅干やよい
コンバイン音高々と麦の秋三刀
2020年05月28日
夕闇の埠頭を叩く卯波かな素秀
故郷の潮の香りの神輿起つ素秀
青天井山湖に満ちし涼しさよはく子
花うつぎ国道なれどつづら折うつぎ
大仏の印を覗けり熊ん蜂なつき
2020年05月27日
麦畑焦がしバターを延べしごと明日香
遠雷に早足となる橋の上こすもす
待ち合わせ日傘回すは合図らし宏虎
谷戸晴れて植田に雲の遊びをり隆松
どくだみの白敷きつめて裏鬼門せいじ
四阿の日裏の暗さ苔の花たか子
2020年05月26日
街路樹に虹立ててゆく散水車ひのと
手の甲にペタリ冷たし雨蛙豊実
日報に大漁と記す南風ひのと
露草や陸墓の主の寧かれとぽんこ
雨晴れて膨らむ木々の青葉かな満天
2020年05月25日
石舞台越え高空へ揚羽蝶明日香
あめんぼうぶつかりさうでぶつからずせいじ
緑風へ双手ひろげて深呼吸菜々
2020年05月24日
閼伽桶を伝ふしづくや著莪の雨素秀
偏屈の今日は機嫌や豆の飯うつぎ
新緑を湛え城濠満てりけり宏虎
どくだみと油の匂ふ鐵工所素秀
あるなしの風に切り揉む竹落葉満天
汐風にふくらむ漁夫の夏衣ひのと
2020年05月23日
ビル街の隙間を縫ふてつばくらめひのと
漕ぎ出せる舳先に夏の月上がる素秀
駆け足の子らの背押して風五月たか子

2020年5月24日

5月16日~5月22日

2020年05月22日
渓流の楽の間遠に河鹿鳴く智恵子
山法師いよいよ白し夕帷たか子
かはるがはる子ら来て覗く燕の巣ひのと
妙見山靄うち裂きて時鳥うつぎ
2020年05月21日
青麦や風紋描きやまざりしたか子
立葵のけぞり電車やりすごすぽんこ
立錐の余地なく池の羊草たか子
囀りやドリップ珈琲かほる午後やよい
咲き満ちて引くには惜しき姫女苑豊実
2020年05月20日
行き過ぎて卯の花の香に戻りけりたか子
就中女鵜匠の凜凜しかり宏虎
畦道に草笛習ふ下校の子素秀
遠くより見えて道なし朴の花うつぎ
豌豆むく一粒袖に飛び込めり明日香
2020年05月19日
災禍忘れよと咲き満つ薔薇花壇たか子
明日は降るてふ空に溶け花あふちたか子
2020年05月18日
蕗広葉篠突く雨に破れさう素秀
近江路や店の生簀に梅雨鯰みづき
薫風に窓全開す庵かな宏虎
トロ箱の影積み上ぐる夏日かなひのと
2020年05月17日
石仏の日あたる肩に青蜥蜴素秀
流されて戻る子鴨の必死かなやよい
どくだみの花の白さや夕の雨ぽんこ
丘の上の風車風待つ薄暑かなたか子
2020年05月16日
不動なる射手のまなじり夏袴ひのと

2020年5月17日

5月9日~5月15日

2020年05月15日
大樗見よや絮降る花が降るたか子
大甕の底まで透けて山女飼ふ素秀
鞘堂の四囲に嵩なす夏落葉うつぎ
五月雨の床板洗ふ沈下橋素秀
金魚の子いつになつたら赤くなる明日香
五月闇古刹の由緒書縷々と宏虎
2020年05月14日
播磨灘一望の丘春の鳶たか子
八橋にしやがみ咫尺に花菖蒲せいじ
下闇に礎石あるのみ主郭跡隆松
日の匂ひ残る麦藁束ねけり智恵子
サイクリング茅花流しと併走すはく子
幸村の抜け穴ここに木下闇ぽんこ
2020年05月13日
国中を真赤に染めて大夕焼明日香
青葉へと図書館の窓開け放つこすもす
農小屋にテレビアンテナ揚雲雀なつき
糠床を天地返しす夕薄暑ひのと
2020年05月12日
天国の夫や如何にと朴の花うつぎ
水神の水音高鳴り夏来る菜々
2020年05月11日
初夏の風舞妓のうなじ撫づるかに菜々
長竿を振り出す土手や行々子豊実
2020年05月10日
母の日の父にも届くプレゼント菜々
玉串の葉擦れ涼しき地鎮祭ひのと
島裏に釣舟集む青嵐素秀
2020年05月09日
紅襷かけてもてなす新茶かなこすもす
街路樹の新緑町を明るうす満天
宿涼し噴煙の島借景にたか子
夏つばめ火の見櫓の残る谷戸うつぎ

2020年5月10日

5月2日~5月8日

2020年05月08日
護符焚いて新樹の杜をけぶらしぬなつき
金婚式二人で祝ふ新茶かなかかし
薫風裡歩数稼ぎに回り道こすもす
過疎村の賑はひに揚ぐ鯉のぼり明日香
2020年05月07日
新緑の木立に仰ぐ天守閣ぽんこ
風鈴のひと鳴り句座の和みけり素秀
老い母の自力に拍手更衣せいじ
乙女らの二の腕まぶし夏来る菜々
万緑やコロナ禍なれど深呼吸なつき
まほろばをとり囲みたる青嶺かな明日香
武家町の高さを競ふ鯉幟ひのと
2020年05月06日
ぴかぴかに玻璃戸を磨き夏迎ふ菜々
神木は泰然自若青嵐もとこ
病院のエントランスに武者飾やよい
2020年05月05日
柏餅買うて一つは写し絵にはく子
2020年05月04日
村と村つなぎし谷の鯉幟素秀
涼し気な水の調べよポンプ場たか子
もやい舟あひ打ちあへる卯波かな智恵子
2020年05月03日
灯に透けてシャンデリアめく棚の藤素秀
白薔薇を浮き立たせをる薄暮かな明日香
無住寺の塀越し匂ふ山椒の芽愛正
2020年05月02日
萌黄なる山の緑に残花かなうつぎ
魚河岸に高知弁飛ぶ初鰹宏虎
鯉幟わが里山の天辺に三刀
貝殻のペンたて置かれ卓涼しみづき
若葉光真白きマリア像包む満天

2020年5月3日

4月25日~5月1日

2020年05月01日
畝の間を種芋弾む一輪車素秀
松の秀の陽にきらきらと五月来る菜々
イナバウワーして身じろがぬ毛虫かななつき
2020年04月30日
境内の要の杉や百千鳥明日香
係留の小舟に絡む糸柳愛正
古寺の小流れに沿ふ著莪畳隆松
近江富士仰ぎて湖の春惜しむ宏虎
2020年04月29日
舞ひながら棚田の底へ春の鳶うつぎ
暮れて猶花菜明かりや河川敷宏虎
2020年04月28日
藤棚をくぐり水亭訪ひにけりたか子
目借時写経の一字飛ばしをりかかし
小湊の路地いつぱいにしらす干す智恵子
紅も良し白もまた良し庭躑躅菜々
2020年04月27日
屹立す崖に点綴山躑躅愛正
産院の庭に高々鯉のぼりやよい
磨崖仏へと注がるる新樹光智恵子
籠り居に老も筋トレ春隣はく子
2020年04月26日
寿老神光背のごと緋の躑躅ぽんこ
路地巡る豆腐とうふの声長閑せいじ
2020年04月25日
百千鳥昼も小暗き神の杜はく子
春愁や余白だらけの日記帳満天
うららかやケアハウスよりわらべ歌菜々
もどかしきテレビ会議や目借時せいじ

 

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