2023年11月30日 | |
雑踏にたがふ焚火の匂ひかな | 澄子 |
今昔の大和三山大根干し | 明日香 |
クリスマスリース牧師がドアに掛け | あひる |
束の間の夕日に映える冬紅葉 | みきお |
枯蟷螂コンクリの上歩きをり | きよえ |
凩の冷気纏ひて帰り来し | 澄子 |
テニスコートネット目掛けて落ち葉降る | たか子 |
草刈りの土手に瘤あり枯葎 | 愛正 |
すずかけの枯葉の塞ぐ排水溝 | 素秀 |
紙漉きし紙屋川埋め散紅葉 | もとこ |
遊ぶ児の程よき風や散紅葉 | きよえ |
地蔵尊その名は音羽菊五色 | 満天 |
山茶花のはや咲いてをり散ってをり | うつぎ |
冬夕焼赤き光芒消えゆけり | 康子 |
ストーブを独り占めの子婆の厨 | そうけい |
登校の子に振る両手冬の朝 | みきえ |
お念仏の前のコーラス報恩講 | こすもす |
夫獲りて炊く猪鍋の懐かしき | 千鶴 |
冬ぬくしボディーケアーに微睡みぬ | せいじ |
灯油売り雪やこんことひっそり来 | たか子 |
にじり口揃える草履石蕗の花 | 智恵子 |
冬耕の鴉つき来る長き畝 | 素秀 |
雲一つ小春日和を歩きけり | 明日香 |
八重洲口再開発のビル寒し | ぽんこ |
対岸の走る人あり片時雨 | 愛正 |
風あそぶ銀杏黄葉のホバリング | 康子 |
クリスマスリースの檜葉の香の清し | あひる |
風と日と浴びて河川の冬菜畑 | なつき |
婆担ふ一日からの掃納 | そうけい |
車椅子の母の影あり冬田道 | せいじ |
売り物より遙かに細き大根引く | 豊実 |
向かひ風掻き分け進む冬木道 | みきお |
吊るし柿ぶつからぬやふ配置換へ | みきえ |
落葉吾を追ひ越しゆくや風の道 | むべ |
始まる迄ジャズやコーラス報恩講 | こすもす |
冬薔薇や五人がかりの蔓手入 | むべ |
天日干し白菜に埋む曲がり縁 | 智恵子 |
寒風や角曲がるまで見送れり | なつき |
よく知らぬひとも交わり年忘れ | かえる |
バッサリと伐られし銀杏空青し | 満天 |
灯を消すや闇を友とし長き夜 | たかを |
2023年11月29日 | |
荒るるまま枯草積もる無人庭 | きよえ |
冬枯れの池畔に髪の逆立てり | みきえ |
差羽舞ふ上昇気流探せたか | 明日香 |
膨らみし穂を凛とあげ枯すすき | あひる |
河川敷かご編むごとき枯葎 | 愛正 |
巨大レモンパスタに要れば極上に | そうけい |
完成のお手玉は二個置炬燵 | こすもす |
冬柿の熟れて捥ぐ人なき庭に | 満天 |
被せられ丸ビル解体冬ざるる | たか子 |
思ひがけぬ所からまた鳰の首 | うつぎ |
鮟鱇を吊し一礼捌く厨 | 智恵子 |
霜月の果つる日の土柔らかし | 千鶴 |
落葉して公園遊具鮮やかに | 満天 |
我が影をなぞりてい行く町小春 | せいじ |
ドーム背に寒中水泳日本晴 | みきお |
老犬のバギーやをらに落葉道 | むべ |
皸の子や音読の威勢良し | みきえ |
三寒の風にも慣れて畑に居る | 千鶴 |
堆き落葉の一葉栞とす | ぽんこ |
ビル窓に刎ねて注ぐや冬日燦 | 康子 |
霜焼の子の手を包む大きな掌 | みきお |
三山を背山に溢る冬紅葉 | もとこ |
花落とす名は香水の冬薔薇 | 素秀 |
手を繋ぎ孫とかけっこ冬ぬくし | 康子 |
下戸なるは口惜しきかも牡丹鍋 | 澄子 |
襟巻は父より借りて出張す | あひる |
鈍色の雲にぽかりと小春空 | 明日香 |
冬霧がすつぽり覆ふ小盆地 | せいじ |
夜泣きの子冬の厨の常夜灯 | 豊実 |
地に還る桜紅葉のかそけき音 | むべ |
暖房に寝過ごす電車二つ先 | たか子 |
湯気立ちぬ五席一坪餃子店 | 澄子 |
寒鯉の群れて橋桁同化せり | 智恵子 |
霜月の晴わたる今朝もふ末来 | きよえ |
道端の軒を借りるや片時雨 | 愛正 |
うたた寝に声掛けられぬ古炬燵 | 素秀 |
星月夜庇の影のくっきりと | そうけい |
冬菜畑土手に鴉がたむろせり | なつき |
綿虫や友の建てたる生前墓 | なつき |
思春期の愚息の鋭眼や寒きかな | かえる |
2023年11月28日 | |
美容室へポインセチアに誘われ | 満天 |
冬の蝶遊ぼとジャンプ散歩犬 | 智恵子 |
四人居て今は一人の炬燵かな | たか子 |
冬籠り十七音をよるべとし | たか子 |
遠景に富岳足下に枯菊 | そうけい |
夕映や緑の囲む冬紅葉 | きよえ |
花鉢の混み合つてゐる縁の冬 | うつぎ |
内側が曇る落葉のポリ袋 | せいじ |
小春日の葬果ていとこ会となり | むべ |
カフェバーを出れば時雨るる旧城下 | 千鶴 |
嵐が丘開く夕べの雪催 | 素秀 |
寒鴉お供え蜜柑失敬す | きよえ |
用水路水車押しだす落ち葉川 | 愛正 |
メモ紙手に歩く畦道探梅行 | みきお |
朴落葉神社で遊ぶ子らの声 | 愛正 |
友の名の喪中はがき来初時雨 | なつき |
風立つや銀杏黄葉の金の雨 | ぽんこ |
ぽんぽんと軽く叩いてキャベツ採る | 豊実 |
紅葉散るなか諸手あげすべり台 | 満天 |
狛犬に巫女の手縫いの冬帽子 | かかし |
散りゆきて山茶花の道白すがし | むべ |
木枯しのフォトウエディングヴェール飛ぶ | 明日香 |
大根のはち切れさうな艶光り | あひる |
影曳きて小雪の露地人と犬 | 澄子 |
老犬の齢寿ぐ冬の朝 | 澄子 |
片時雨二ヶ月ぶりのパーマかけ | 千鶴 |
乗り込めばフロントガラスに霜の花 | かえる |
淡路より望む明石や橋小春 | 明日香 |
松並に一本の柚子撓みけり | そうけい |
冬紅葉夕日の色を重ねけり | 康子 |
みほとけに捧ぐライブや冬ぬくし | もとこ |
効能のことは思はず葛湯吹く | 素秀 |
小春日や上着持たさる遊園地 | 康子 |
歳時記をめくるベンチや四温晴 | みきお |
茹であげて甘みに気付く菠薐草 | あひる |
養生の芝に降り積む落葉かな | なつき |
あと口の大学芋の良き甘さ | せいじ |
冬夕焼零れつくばい朱に映ゆる | 智恵子 |
霜の朝背筋伸ばして指体操 | かかし |
一通のはがき投函着膨れぬ | ぽんこ |
2023年11月27日 | |
冬河原鴉ねぐらの楡大樹 | なつき |
湯豆腐や時効となりし噺など | 澄子 |
引き揚げて猫もろともの古毛布 | 素秀 |
使ふたび君に感謝と冬耕機 | 千鶴 |
オリオンの三つ星に手を伸ばし見る | かえる |
次々と落葉は堰の滑り台 | 智恵子 |
息白し襷の走者駆け抜ける | みきお |
御座候と肉まんに列ポインセチア | こすもす |
山門に散りかかりけり寒紅葉 | 隆松 |
連休を窓開け過ごす流行風邪 | なつき |
落葉踏む音確かむる試歩の道 | 智恵子 |
白鳥の雫をこぼす嘴黄なり | せいじ |
ほつこりす時雨空より薄日射し | 明日香 |
柊のこぼれる石段折れる影 | みきお |
漬物樽太る白菜はみ出しけり | ぽんこ |
北の地の礼拝堂へ霜だたみ | むべ |
葉落とせば狭庭の梢に小鳥の巣 | あられ |
小春日の自転車降りてゆっくりと | 満天 |
鳴きかはす意気揚々と鴨集結 | もとこ |
吹きだまりからから良き音掃く落ち葉 | そうけい |
母の忌日母知る人も吾と妹 | 千鶴 |
待つ客の大判焼に列そぞろ | 素秀 |
雪吊りの松の影より暮れゆきぬ | 澄子 |
軒天をトラバースして葡萄枯る | むべ |
急く帰路の山の畑の枯れ木星 | あひる |
緋毛氈の上歩くごと散紅葉 | 満天 |
吾が銀輪倒す意地悪空つ風 | あひる |
街かどに落葉の袋山と積む | せいじ |
小さき手で掬う落葉のシャワーかな | 康子 |
冬日没る松影長き土蔵壁 | 愛正 |
油絵の如き色なす散紅葉 | 康子 |
冬茜背負ひトラック現れし | 明日香 |
同化すや朱の山門と寒紅葉 | 隆松 |
短日や頭痛の種の書類ども | たか子 |
美容院出ればうなじに短き日 | たか子 |
枯れ葉舞う外湯帰りの正ちゃん帽 | 愛正 |
腕に寝る四千グラム日向ぼこ | 豊実 |
落ち葉入の袋も二つゴミ出し日 | こすもす |
2023年11月26日 | |
老庭師松を言祝ぎ松手入れ | 澄子 |
叩かんとして躊躇せむ冬の蝿 | かえる |
冬ばらの蕾膨らむ待ちしこと | きよえ |
ふかふかの土に玉ねぎ植えゆけり | 千鶴 |
島今や玉ねぎ植えの真っ最中 | 千鶴 |
朴の葉にじゃれあう吾子ら落葉時 | 愛正 |
中天に凛と輝く冬の月 | みきえ |
赤い靴ごみ拾ひせり冬河原 | なつき |
お寺参りの貸切バスや月冴ゆる | こすもす |
紅葉谷大岩登るクライマー | 智恵子 |
ご近所の渋柿までも吊るすはめ | 明日香 |
枯枝を踏む音軽き山の道 | 康子 |
革靴で鯉に餌やり宮小春 | なつき |
乗り遅れ待つか歩くか冬満月 | もとこ |
暖冬に眠られぬ山まだら色 | みきお |
膝かけを持参の町の映画館 | たか子 |
大根に行列長し野菜市 | たか子 |
白波の河口中洲に鴨の道 | 素秀 |
雲海の故里あとに峠越ゆ | せいじ |
そびへ立つ空へ皇帝ダリア咲く | きよえ |
ケアハウス椅子持ち出して日向ぼこ | 康子 |
ポインセチア窓辺に飾る聖家族 | みきお |
筑山の裾野広ぐる落ち葉かな | 愛正 |
蒼天へ皇帝ダリア突き抜けん | 明日香 |
夕星や木枯しの街見下ろして | あひる |
寒月や半音低き夜想曲 | 素秀 |
大き蕪抜くごと総出電池替え | みきえ |
バイバイの声流れ行くもみぢ葉に | せいじ |
記念大会果てし途端の雪催 | こすもす |
曾孫抱く腕の重し暖かし | はく子 |
恨めしきゴルフコースの冬の雷 | 豊実 |
渋ぬきの柿が科学の話へと | あひる |
星冴ゆる人寄せつけぬ樅こずえ | むべ |
青空に樹間が透ける散紅葉 | ぽんこ |
狛犬の顔に苔むす神の留守 | 満天 |
小春日や親子賑はふ園あふれ | 満天 |
錦秋の中のせせらぎ丸太橋 | 智恵子 |
橙に色差しきたる寒さかな | 澄子 |
2023年11月25日 | |
川縁の金襴のごと枯尾花 | きよえ |
庭照らす広き枝間の冬の月 | 愛正 |
まさをなる空にぽつりと緋寒桜 | もとこ |
息子より吉報を聞く炬燵かな | 康子 |
紅葉愛で乾通りの御開門 | 智恵子 |
時雨雲来て電飾の魔界めく | なつき |
膝よりも炬燵が宜しうちの猫 | こすもす |
小夜更けて立ち寄る吾子に蕪汁 | あひる |
糀屋の新味噌届く二升分 | 千鶴 |
リフォームの雑誌めくりし霜夜かな | なつき |
何げなく寄り添ふ二羽の浮寝鳥 | 素秀 |
冬紅葉一樹に夕日留めをり | 満天 |
豊穣の土くれ黒き冬耕す | 千鶴 |
小さくとも揺るがぬ姿勢シクラメン | あひる |
冬霧や魁夷の白馬昇るごと | 明日香 |
清流に揉まれ揉まれて行く落葉 | せいじ |
ステントの脈弛みけり冬の虹 | 隆松 |
朝霧にドクターイエローの疾風 | 智恵子 |
図鑑よりはらりと紅葉栞かな | 澄子 |
哺乳瓶の底から覗く口小春 | 豊実 |
冬鳥の編隊飛行塒かな | きよえ |
乱積みの古りし石垣花八手 | むべ |
冬の雲切り裂き進むヘリの音 | みきお |
桟橋を大きく揺らす冬の波 | みきお |
黄昏の東天白き冬の月 | みきえ |
遺影へと供花持つナース冬ぬくし | たか子 |
子を連れし母鴨すくと伸ばす首 | せいじ |
公園の灯るに早き日の短 | 満天 |
石庭の砂紋消し去る空っ風 | 愛正 |
電飾の街へワープすクリスマス | 康子 |
焼香の温もり香るファンヒーター | 素秀 |
間引菜を決めかねてまた迷い指 | かえる |
車窓より東は朝焼け冬の朝 | ぽんこ |
黄金の舞い散る落葉積む根方 | 明日香 |
2023年11月24日 | |
電飾と花火に集ふ冬の園 | なつき |
熱燗の徳利つまみ父至福 | 智恵子 |
土手光る朝の散歩の霜柱 | 智恵子 |
冬空を切る僧院のクルスかな | せいじ |
冬空の東に月の早出し | きよえ |
雪嶺の富士薄雲に見へ隠れ | ぽんこ |
冬耕やゆったり進むトラクター | 千鶴 |
産後なほ腹ふつくらと冬日向 | 豊実 |
紅葉見の十分巡る園列車 | なつき |
鳩の群れ翔ちて落ち葉を舞い上げり | 康子 |
ハイボール溶けぬ氷や夜寒し | かえる |
ぽってりと甘く大きい吊るし柿 | 満天 |
菜畑今朝まばゆきほどの霜降りぬ | 千鶴 |
冬の夕辺り見渡す猫何処 | きよえ |
木枯しに騒めく木々や胸騒ぎ | たかを |
興に乗るぬり絵の夫に冬日燦 | やよい |
石段を一足飛びの落葉かな | 愛正 |
お開きの記念大会雨催 | こすもす |
夕映えに黄葉且散る並木道 | 澄子 |
本棚に香箱座り猫小春 | 素秀 |
洗ひたる大根の白さ眩しけり | みきお |
雨傘を忍ばす鞄雨催 | こすもす |
早々と忘年会と集まれり | たか子 |
僧院の白きクルスや空小春 | せいじ |
咳をしてあたり見廻す電車人 | もとこ |
ビル街の銀杏黄葉に朝日影 | 康子 |
陽だまりに枯螳螂を逃しけり | 澄子 |
人住まぬ塀より覗く冬の柿 | 満天 |
夜の更けて無音の世界霜の声 | みきお |
不意に来て髪絡ませるからつ風 | 素秀 |
黝のインクこぼすや夜空冴ゆ | むべ |
久々の都会に酔うて冬迎ふ | たか子 |
ドクターヘリ見上ぐる顔に降る落ち葉 | 愛正 |
2023年11月23日 | |
冬の月吾が影追ひし田舎道 | きよえ |
優勝のパレード銀杏黄葉中 | みきえ |
離陸機の小さくなりゆく小春空 | せいじ |
冬夕焼け今日の試合はブービー賞 | こすもす |
鼠黐恐ろしきほど実のたわわ | うつぎ |
傾く日に砂金撒くごと芒原 | むべ |
あれこれと献立決める忘年会 | 満天 |
軒下へドレミドレミファ柿暖簾 | やよい |
乾杯す夫婦の勤労感謝の日 | 康子 |
入り日さす明障子に冬の蠅 | 愛正 |
綿虫を吹いてレンガの石畳 | なつき |
黄落を来て吾が街の音楽会 | うつぎ |
子ら騒ぐ滑り台の木の葉雨 | 愛正 |
電飾の赤し勤労感謝の日 | なつき |
差し交はす星をとどめむ冬の月 | 素秀 |
片時雨滲む太陽月のごと | 明日香 |
懐手尻尾飛び出す犬のいて | 智恵子 |
人が来てやれ嬉しやと鍋囲む | たか子 |
寒木瓜の咲ききる前のまろさかな | むべ |
緑濃く畝盛り上げて冬菜畑 | はく子 |
醜草も名草も均し冬野原 | 澄子 |
テレビ見る独居の父や残る虫 | 豊実 |
植木屋の跡取りが来て年用意 | せいじ |
里古りて主のをらぬ花八つ手 | 素秀 |
立ち話つい長引きて冬ぬくし | 千鶴 |
伊勢路抜け動くものなし冬田かな | もとこ |
冬霧の真中を過ぐる新幹線 | 明日香 |
釣り堀は満員御礼冬麗ら | 澄子 |
木枯らしや解体の街我がものに | たか子 |
入ってみた闇の地下壕底冷えて | 千鶴 |
パソコンの遅き変換冬寒し | 満天 |
冬烏鋭し声に飛び起きぬ | きよえ |
東雲や初霜きらり冬菜畑 | かえる |
裁縫の特等席や縁小春 | 康子 |
寒鴉群れ電線にゴミの朝 | 智恵子 |
2023年11月22日 | |
もう少しゆくりとしてよ木の葉散る | もとこ |
ビル仰ぐ銀杏黄葉に青き空 | 康子 |
冬青空融雪装置の試運転 | こすもす |
冬雀空家の庭の木に集ふ | きよえ |
獣道抜けて広がる冬の海 | 智恵子 |
嶺々の纏ふ錦は冬紅葉 | 明日香 |
散紅葉積みて水底賑はへる | 満天 |
小菊刈る蔭の蕾に陽よ届け | あひる |
枯萩をくぐりて猫の顔険し | 素秀 |
小春日や納戸整理に精出しぬ | 千鶴 |
悪声をひとつ零せり冬烏 | なつき |
里近し下山道の片時雨 | 愛正 |
先週の時雨にいまだ田のじゅるし | 千鶴 |
暮れ早し鍵穴探る駐輪場 | みきお |
もみぢ葉に大王松の松葉積む | せいじ |
合槌のひとことが欲し夫婦の日 | たか子 |
小春日や波止に釣人釣日和 | きよえ |
それぞれの重さ吊して柿簾 | 澄子 |
ベールめく紅葉の影やマリア像 | せいじ |
まほろば線旧き家並みと眠る山 | 明日香 |
小春日の陽を背に受けて鉢手入れ | あひる |
校庭の築山高し木の葉雨 | 愛正 |
三度目や大きめ選び吊るし柿 | みきえ |
うぶすなの河はたうたう冬田打つ | 素秀 |
冬青空煙となりし父昇る | むべ |
紅葉寺巡り古都行く人力車 | 智恵子 |
母姉妹お喋り続く炬燵かな | 康子 |
冬ざるる赤字の薄る危険札 | なつき |
短日の夜の澄みゆく気配かな | 澄子 |
修道女丹精込めた冬菜畑 | ぽんこ |
渋柿を見つけまたもや皮剥けり | みきえ |
鳩歩くビルの谷間や冬隣 | 豊実 |
とめどなく流れる涙冬薔薇 | みきお |
見習ひの猟夫皮剥ぐしじまかな | かえる |
空よりも水面明るし銀杏落葉 | 満天 |
2023年11月21日 | |
秋惜しむ朝焼けに染む神戸港 | 豊実 |
身ほとりの整理などしつ大根炊く | もとこ |
三輪山のふもと広ごる大根干し | 明日香 |
総門の前は一面冬菜畑 | せいじ |
吟行の締めはベンチで日向ぼこ | せいじ |
けふの昼おでんとシチュー鎮座せり | みきえ |
冬紅葉五彩の衣を纏ひをり | 明日香 |
街路樹の裸木となり街明かり | 智恵子 |
大岩を引き立てる菊咲き乱れ | ぽんこ |
寒空や乗員ひとり紫電改 | 千鶴 |
綿虫や喪服の群れによく見ゆる | むべ |
残業の夜道侘びしき冬の月 | かえる |
宮の杜影絵となりし冬夕焼 | なつき |
小春日を浴びて居眠り縁の猫 | みきお |
冬ぬくし一人旅発明石城 | きよえ |
この先を案じて炬燵囲む宵 | たか子 |
鋤焼がお決まりメニュー吾が女子会 | こすもす |
停車駅案内の声冬うらら | きよえ |
並べたる鉢のもみずるカフェかな | なつき |
焦げチーズ膨らむやうな寒夕焼 | 素秀 |
花苗の鉢の並びて冬に入る | あひる |
冬萌や秘めたる闘志湧き上がる | みきお |
みかん揉む見よう見まねの孫の手々 | 康子 |
刃入れ白菜の水溢れしむ | 澄子 |
冬夕焼け一本道を赤く染め | 康子 |
入り日さす縁に居座る冬の蠅 | 愛正 |
特攻の出撃跡地枯れすすき | 千鶴 |
河川敷入り日の影の枯葎 | 愛正 |
酒蔵の土壁鎧ふ蔦紅葉 | 澄子 |
朝寒の靴音速き勤め人 | 満天 |
高層の窓は西日に燃えるごと | 智恵子 |
きらきらとホールインワンに紅葉散る | 満天 |
打たんとて羽音のあはれ冬蚊かな | 素秀 |
猫横断万両色づく狭庭かな | こすもす |
病む友の庭にすくすく桜草 | あひる |
2023年11月20日 | |
外厠照らして柔し花八手 | たか子 |
干し物を取り込む間なし夕時雨 | せいじ |
離れへと誘ふ小径石蕗明かり | 澄子 |
石鐙に手袋一つ忘れ物 | ぽんこ |
炉を開く鉄瓶磨く隠居翁 | 愛正 |
聳え立つ城壁に沿う柿紅葉 | 豊実 |
冬うらら始業の前の皆体操 | 明日香 |
瑠璃窓に野良と目の合ふ小春かな | もとこ |
時雨止む葉書二枚をポストまで | せいじ |
冬三日月鎌研ぐごとし宵の空 | むべ |
鯉の影さ走る鴨と差し交わす | かえる |
色付くも枯葉の揺るる園侘し | きよえ |
大根と法衣干しある山の寺 | たか子 |
白壁に夕影まとふ花八手 | 愛正 |
水天宮紅葉に浮かぶ水御籤 | 智恵子 |
熱々の鯛焼まずは尻尾から | 千鶴 |
キタテハの影も明るき石蕗の花 | あひる |
海望む十字の墓に冬薔薇 | 澄子 |
風に舞ふ落葉掻き分けドライブす | 康子 |
大小の靴跡残る冬田道 | みきお |
柿のれん個数数へる軒端かな | 千鶴 |
冬木の芽何やら少しなまめかし | 明日香 |
木漏れ日に揺れる水面や紅葉渓 | 智恵子 |
夕日射す燃ゆる紅葉の水鏡 | 康子 |
小雀の冬日拾ひに小枝来て | 満天 |
干し柿を貰ひて終わる立ち話 | あひる |
「里の秋」大合唱で祭り果つ | こすもす |
閑かなる朝に小笹の霜化粧 | 素秀 |
スマートホンと話す人来る枯野かな | うつぎ |
暮早し服に灯ともすガードマン | 満天 |
ガード下煙ただよふ焼鳥屋 | みきお |
冬の夕西空明る上弦の月 | きよえ |
能面のうつむき見やる冬座敷 | 素秀 |
濯ぎ物竿三本や暮早し | こすもす |
2023年11月19日 | |
濃く低く里を覆うや冬の雲 | 愛正 |
大路までひと見送りぬ冬の月 | 澄子 |
もみずれる南京櫨の実の白き | はく子 |
裸木の杜や見上げば空広し | 千鶴 |
頰被り後ろ姿でわかる父 | みきお |
湯豆腐に曇り易きや厨窓 | 澄子 |
冬ざれや小鳥飛交ふ片峠 | 愛正 |
クロスワード五人巻き込む炬燵かな | あひる |
ありし日の藁打つ祖父のまろき背な | 千鶴 |
洗顔の適温を待つ冬の朝 | たか子 |
大空に真綿の如し雲流る | きよえ |
穂芒を束ね屋根葺く谷戸匂う | 智恵子 |
沼の面の冬天未だ青であり | 隆松 |
指先の荒れもう早し冬に入る | 満天 |
秋桜の迷路盗人なりて出づ | なつき |
笑い顔描いた木の実や作品展 | 康子 |
背伸びして濯ぎ物干す小春かな | うつぎ |
元気かと気まぐれ電話冬ぬくし | もとこ |
銀杏散りフードにはらりと忍び込む | かえる |
冬うらら人馴れのして鳩番 | きよえ |
母ひとり子ひとり七五三詣り | うつぎ |
合掌のごと翅合わせ蝶凍つる | 明日香 |
モール街すつぽり入り寒の虹 | 素秀 |
大原女の行きて頭上の菊かほる | 智恵子 |
つぎつぎと訃報の回覧冬の雨 | 満天 |
隠しおく万両の赤啄まれ | 明日香 |
撫子をふと撫でてみる別れかな | あひる |
どんぐりの実ペタルの籠に座りけり | ぽんこ |
そぞろ寒雨降りしきる滑走路 | 豊実 |
早朝のマラソン人や息白し | みきえ |
子を追ひて深き秋桜迷路かな | なつき |
小春日や三等当たり上機嫌 | みきえ |
黄落の領土広げしつむじ風 | むべ |
天映す沼の鏡に冬紅葉 | 隆松 |
中天に寒三日月の夕まぐれ | 素秀 |
冬空へ飛び立つ飛機や手を振る子 | 康子 |
柊の花や空家の塀越しに | こすもす |
コトコトと煮詰まる湯豆腐遅き客 | みきお |
2023年11月18日 | |
みかん山木にオーナーの名札下げ | 千鶴 |
木目粗き老木なれど冬超す芽 | ぽんこ |
凩に風とコラボの園遊具 | きよえ |
水鳥の影もろともに沈みけり | 素秀 |
鉄塔の真上冷えびえ鎌の月 | たか子 |
鈴懸の広葉五彩に散り初むる | はく子 |
色淡し固きつぼみの冬薔薇 | なつき |
父逝きて石蕗の蕾のあしたかな | むべ |
天窓に落ち着く木の葉風落ちぬ | 愛正 |
肥後嵯峨と色鮮やかに冬の菊 | 満天 |
玄関の足元にある石蕗明り | せいじ |
出来たての霜きらきらと朝日浴ぶ | 明日香 |
凩や急ぎウインドブレーカー | せいじ |
ハサミ持ち笑顔の子らや蜜柑狩り | 千鶴 |
籬より我も我もとお茶の花 | かえる |
荒星や朽ちるままなる無人島 | もとこ |
アンテナで朝日を浴びる尉鶲 | 豊実 |
丸顔の埋まる首巻き小学生 | みきお |
学生らワイン葡萄を丹精す | むべ |
夕日浴ぶ吾も草木も枯野道 | きよえ |
ランタンを闇に放ちて星祭り | 智恵子 |
引力に負けまいと舞ふ冬の蝶 | 明日香 |
寒天に放水訓練小さな弧 | たか子 |
冬の雲下山者の背に白きもの | 愛正 |
観覧車超えよと落葉の舞踊り | 智恵子 |
木の葉舞ふ苑のベンチで一息す | 康子 |
屋敷林リズム奏でる落葉掃き | 康子 |
寒禽の鋭き声や闇に消ゆ | みきお |
咳込みて大事な台詞聞き逃す | なつき |
凩やカメムシすっかり姿消す | こすもす |
牡蠣フライ山ほど揚げて孫を待つ | あひる |
枯葦のぞめきの中に川眠る | 素秀 |
欠け継ぎし茶碗に影す冬陽かな | 澄子 |
真夜の玻璃打つ音大き霰かな | みきえ |
校門の落葉蹴り上げ下校時 | 満天 |
おもはざる訃報重なり冬ざるる | 澄子 |
山ほどの蜜柑無くなる孫の来て | あひる |
2023年11月17日 | |
風強く紅く身をそる唐辛子 | よし子 |
北風吹いて白雲別ける遠嶺かな | 素秀 |
冬木立人も疎らな美術館 | 澄子 |
曇天に早くも暮れし気忙しや | きよえ |
祝宴の手提げ袋や蔦紅葉 | 豊実 |
六人のみ参加の歌会冬陽射し | こすもす |
叱られて帰る夜道や星月夜 | みきお |
明朝は冬将軍のお目見えか | 千鶴 |