2023年05月30日 | |
森に消ゆ鹿の子見送る小糠雨 | 澄子 |
梅雨めくや滑りの悪き椅子の脚 | せいじ |
よく見れば足湯にも居るアメンボウ | こすもす |
ガマズミの花が受けとる夏の雨 | 澄子 |
香水や笑顔美人のフロント嬢 | やよい |
パンの香の厨に満ちて梅雨入かな | あひる |
五月尽喧嘩別れの友と逢ふ | もとこ |
古墳見学の予定変更蛭のため | こすもす |
紫陽花の毬盛りなり雨よ来ぬ | きよえ |
曇天に凜と立ちたる濃紫陽花 | 満天 |
梅雨入雨止んで順延悔やみけり | せいじ |
落ちそうに身を乗り出して鵜飼船 | 宏虎 |
漬けたての梅酒の瓶の青さかな | かえる |
繚乱の山どこまでも滴りて | 素秀 |
杜若青き星めく休耕田 | 智恵子 |
仏足石に水あぶれたる梅雨入りかな | なつき |
数多なる小鉢の薬味初鰹 | 智恵子 |
クラス慣れ学級閉鎖や五月尽 | なつき |
雨垂れも樋打つ水も梅雨入の音 | あひる |
久々に笑壺に入りてアイスカフェ | たか子 |
梅雨晴や八連勝のタイガース | はく子 |
アカヤスデ初めて見つけムカデかと | 明日香 |
杉の葉の落ちて山なす無縁墓 | 愛正 |
火の匂い水の匂いも鵜飼はつ | 宏虎 |
夫曰く老ひの元気や缶ビール | きよえ |
紫陽花の折れさうな毬見回りぬ | 明日香 |
置き傘の目立つ学校梅雨に入る | みきお |
友の名を刻む墓石や木下闇 | むべ |
久に訪う街の変貌五月尽 | たか子 |
捨ててゆくビニール傘や虹の駅 | 素秀 |
昼寝する微かな香の青簾 | 愛正 |
短夜やまどろみ覚めば明けの空 | 千鶴 |
青空に両手を伸ばし袋掛け | みきお |
らっきょうの眩しき白を洗い上げ | ぽんこ |
入梅やデイサービスの契約書 | 豊実 |
清々し白の華やぎ花菖蒲 | 満天 |
2023年05月29日 | |
梅雨入りや雨水こぼし黄のカラー | きよえ |
老鶯や会話途切れし間を埋めて | なつき |
心太啜る音のみ田舎茶屋 | みきお |
焼き魚ぴりりと舌に夏大根 | 和子 |
山門に一礼とるは夏帽子 | 和子 |
順延を余儀なくさせし梅雨入雨 | せいじ |
入梅の今日ひと日雨降りつづく | 満天 |
傘打つに風のリズムか青時雨 | 隆松 |
学び舎の昼灯す窓梅雨の入り | 満天 |
日暮れても遊びは尽きぬ夏に入る | かえる |
県境の空は有耶無耶花あふち | うつぎ |
外出は控えて読書梅雨に入る | こすもす |
十薬の白さきはだつ前照灯 | むべ |
新茶買い菓子は羊羹一致する | 宏虎 |
自転車の子ら一列に梅雨の坂 | なつき |
縁側の網戸をせがむ猫のいて | こすもす |
起き抜けにスリッパ探す梅雨入りなる | たか子 |
風に乗り眼白の声の届く窓 | 豊実 |
桐の紋を付けたる神馬青葉風 | ぽんこ |
捗らぬ農に追ひ討ち梅雨に入る | 千鶴 |
寄り合ひて唱歌歌ふや梅雨の入り | みきえ |
紫陽花の水よく上がり生け花に | 明日香 |
小雨中でで虫親子ブロックに | 明日香 |
朝日射す蜘蛛糸あちこち木立道 | 愛正 |
街道は万緑最中鳥の声 | きよえ |
梅雨入や吾が髪の毛は湿度計 | あひる |
松蝉と美林の共演秘境宿 | 愛正 |
まだ空の高きにありて梅雨の雲 | 素秀 |
媼食ぶソフトクリーム抹茶入り | みきえ |
走り梅雨ネオン煌めくボンネット | 智恵子 |
土ぼこり揚げるサッカー夏木立 | ぽんこ |
茶摘み女の初々しきや頬被り | 智恵子 |
田水張り湖から海へ北上す | もとこ |
梅雨めくや鉢に子連れの団子虫 | せいじ |
蜜柑畑跡石垣の青蜥蜴 | 素秀 |
宇宙より勝る谷川川床料理 | 宏虎 |
どくだみの蔓延る生家老二人 | みきお |
卯の花のこぼれ避け行く雨の朝 | 隆松 |
2023年05月28日 | |
孫訪へば裾下げ請はれ夏ズボン | あひる |
ペットボトル振りつつ戻る草刈夫 | なつき |
母好む色でありしや美女桜 | 隆松 |
十四才となりて無口な夏に入る | あひる |
社守る樟大樹の深みどり | ぽんこ |
蓮池の底にうごめく稚魚の影 | ぽんこ |
薄暑はや窓全開のミニチャペル | せいじ |
夏帽子友と揃えの旅行せず | 宏虎 |
美郷てふ名前も美しき蛍里 | 素秀 |
引退馬瞳の澄めり五月尽 | 澄子 |
新茶汲み眠れぬ宵を悶々と | みきお |
親指に蟻を這わせて間引く花 | 素秀 |
広前を小走りの巫女宮薄暑 | 和子 |
紫陽花や改良重ね色分かつ | きよえ |
紫陽花の赤青紫色咲く小径 | きよえ |
実に枝に産毛かがやく枇杷たわわ | むべ |
用水に遊び遊ばる水馬 | 和子 |
燕の巣歩を止め見上ぐ道の駅 | みきえ |
園薄暑鴉が雀追いたてて | 満天 |
声のみを残し過ぎたり軒簾 | 愛正 |
孫子らと焼肉パーティー夏の暮 | せいじ |
グランドゴルフ四方の窓より若葉風 | こすもす |
青葉光自転車降りて遊歩道 | 満天 |
青嵐やベンチに腐心十七音 | やよい |
戦地へと続く青空麦の秋 | みきお |
何時の間にか傘寿過ぎたり古茶新茶 | はく子 |
犬は犬子は子と集う園薄暑 | たか子 |
夏草や藁葺屋根に根付きをり | 智恵子 |
梛の花鎮守の杜に盛りなる | 智恵子 |
散歩道ちよいと省略初夏の老 | たかを |
山蛍ひとつふたつと飛び交へる | 澄子 |
試合開始囃す如啼くホトトギス | こすもす |
サイダーの泡きらきらと田舎弁 | 宏虎 |
ひた歩く見知らぬ街の五月かな | もとこ |
万緑に吸ひ込まれ行くハイウェイ | みきえ |
紫陽花の根元の何を嗅ぐ子犬 | 豊実 |
背を向けて氷菓を齧る氷菓売り | かえる |
一週間の長雨予報五月尽 | 千鶴 |
水仙翁酔うておらぬと老いが野に | 隆松 |
金魚の子産まれて夫の仕事増ゆ | 明日香 |
松蝉や野外授業の大合唱 | 愛正 |
血圧に玉ねぎ料理毎食時 | 明日香 |
夏風邪に寝込み七歳誕生日 | なつき |
2023年05月27日 | |
プレミアムシートに沈下昼寝人 | せいじ |
杜若ドローン飛ばす守る会 | なつき |
風涼し楠大樹の傘の中 | ぽんこ |
夏草に揺れを残して猫の去る | 素秀 |
振り回す蜘蛛の囲光る竹箒 | 愛正 |
父母の墓蟻の出入りを許しおく | 和子 |
若葉風おしゃべり尽きぬ部活女子 | みきえ |
老鶯の声とニアミス駅ホーム | せいじ |
植田来て水浴びしたる鴉かな | なつき |
花南天ひそと満開迎へけり | むべ |
峡谷の光る青羊歯雨上がり | 愛正 |
作るたび固さの違ふゼリーかな | かえる |
落雷や街中真っ暗信号も | こすもす |
ハラミ焼く煙の白し西日の矢 | 豊実 |
代搔きの出番待ちたるトラクター | 千鶴 |
紫陽花や義姉に介護の日々終はる | あひる |
孔雀舎に零るひと群雀の子 | やよい |
着るあてもなく布買ふて梅雨明ける | 和子 |
来週は梅雨の走りか買ひだめす | 満天 |
緑蔭のベンチにハーブ香と風と | きよえ |
仁王立ち力士の背なへ大団扇 | たか子 |
薫る風ハーブのアーチ手をつなぎ | きよえ |
夏場所や体も立派優勝す | 宏虎 |
湖鏡を縁取り燃ゆる杜若 | 智恵子 |
草刈り機唸る白昼雲の峰 | 澄子 |
聖五月洋蘭狭庭統べにけり | はく子 |
LED眩しきほどに夜市の灯 | 素秀 |
運転中信号消えし夕薄暑 | こすもす |
笑みたまふ寝釈迦へ夏の蝶とまる | 明日香 |
学び舎のフェンス囲ひに躑躅咲く | 満天 |
夏帽子軽きリュックの馴染みけり | 宏虎 |
夏服のお転婆きずの膝小僧 | あひる |
歩み止む斜面沸き上ぐ風涼し | 澄子 |
ぬかるみの轍は深し牛蛙 | 智恵子 |
2023年05月26日 | |
汐の香を胸いっぱいに夏の夕 | きよえ |
雨あがる植田に雲の浮かびおり | 和子 |
竹割って流しそうめん台作り | 千鶴 |
境内を縦横無尽荒神輿 | 素秀 |
石垣の宿いさき焼く香の漂ひぬ | 和子 |
囀りに包まれ下る長き坂 | 澄子 |
廃屋や緋色に燃ゆる躑躅垣 | 澄子 |
庫裏の間に香流れ込む青すだれ | 愛正 |
スナップが実えんどうほど太ってる | 明日香 |
アナウンス流れ浮き立つ夏の旅 | もとこ |
世界卓球のライブ放送薄暑の夜 | こすもす |
わが町の駅舎につばめふた家族 | あひる |
箱眼鏡舟傾けて覗く底 | みきお |
簾障子日通す先の綿埃 | 愛正 |
缶詰のかぱっと開く水羊羹 | 豊実 |
老幹を元気づけるや若葉雨 | 満天 |
電線を蹴り四方へと巣立ち鳥 | 智恵子 |
ペチュニアを喰みて失踪何者ぞ | あひる |
麦秋の中に一本細き道 | みきお |
帰宅して窓開け放つ夕薄暑 | かえる |
手の乗するミニ盆栽の苔青し | なつき |
夏落ち葉踏みつつ探す皇子の歌碑 | 明日香 |
青白き星のはじけり額の花 | むべ |
波止閑散潮の香乗せて卯月波 | きよえ |
踏切を園児達待つ町薄暑 | 満天 |
立ち葵直立に伸ぶ姿美し | たか子 |
太陽の陰るや否や夕立来る | せいじ |
一灯も無き箱庭に星明かり | 宏虎 |
歌会まであと二時間やシャワー浴ぶ | こすもす |
夕明り追うて鴉の麦の秋 | 素秀 |
青葉風匂い残して土間抜ける | 智恵子 |
草刈女一番風呂に指揉めり | なつき |
離れて来た妻を持ち上げ夕端居 | 宏虎 |
ケアバスの帰着寸前夕立やむ | せいじ |
夏空が狭くなりたりビル林立 | ぽんこ |
2023年05月25日 | |
緑陰やグランド・ゴルフの打順待ち | こすもす |
残り香に人の気配や杜若 | なつき |
校舎背に色とりどりの立葵 | 満天 |
海岸線潮の香微か若葉風 | こすもす |
前後ろわからぬほどの日焼けの子 | みきお |
摑まれて鵜の首細る修羅の闇 | 宏虎 |
山葵漬金婚旅行の土産かな | みきえ |
ガマガエル告ぐかに鳴くや雨近し | 千鶴 |
草臥れて寄り道出来ぬ大夕焼 | 素秀 |
松落葉速度増したるすべり台 | 愛正 |
老鶯の鳴きて吊り橋渡り切る | 智恵子 |
苗取りの濯ぐ水音ここかしこ | みきお |
西日さす出窓は猫の指定席 | 智恵子 |
一枚は蝶の国なる休耕田 | なつき |
まくなぎに寂しさ混ぜて払いけり | たか子 |
ワクチンの帰途に転倒青嵐 | ぽんこ |
朝夕の水遣りはじめ夏に入る | かえる |
目つぶしを碍子に食らふ西日中 | せいじ |
若葉風ふたかみ眺む無人駅 | 明日香 |
篝火や鵜匠に遠慮無き火の粉 | 宏虎 |
子烏の飛んでは戻り飛んで行き | きよえ |
厨窓ヤモリの足の踏ん張りて | 明日香 |
坂上に朝採り苺並ぶ店 | みきえ |
八金に逢ふ楽しみや初がつお | 和子 |
巣立つ子をじっと見送り親烏 | きよえ |
桜蓼「ちひろ」の描くほっぺ色 | 和子 |
網戸なほ虫の通ひ路ともなりぬ | せいじ |
ワクチンの外で待つ人町薄暑 | 満天 |
待ちぼうけ駅のつばめに見下され | あひる |
七十度にふわりと開く新茶かな | むべ |
防風林立ち居さまざま散る松葉 | 愛正 |
緑蔭や老の二人は黙に足る | たか子 |
可憐なる嘴もてつばめ身繕ひ | あひる |
紫陽花の青に定まる今朝の雨 | 素秀 |
薔薇の園見知らぬ人と蘊蓄を | もとこ |
2023年05月24日 | |
豆飯の匂ひ嫌いな夫の居て | もとこ |
極上の新茶封切るあしたかな | 澄子 |
夏帽子荷物預けて盥舟 | 宏虎 |
九十路夏富士を背に笑み給ふ | 澄子 |
初夏の雲映し運河の滔々と | たか子 |
欄干に身を乗り出して蛍狩り | 豊実 |
茅花の穂風に逆らう者の無し | たか子 |
手箕振るふ慣れし手つきや菖蒲守 | むべ |
パンジーの気ままな向きやミニブーケ | あひる |
雨マーク並ぶ六月ピンチかな | 千鶴 |
ビル街を明るうしたる杜鵑花かな | せいじ |
風薫るベンチにひとり本を読む | 満天 |
相輪を越へてふりくる若葉風 | 和子 |
雨上がり白雲走る植田かな | 満天 |
摩天楼ビルを綴りて杜鵑花咲く | せいじ |
伽羅蕗をしかめっ面で噛む子ども | かえる |
白日傘神鼓音する氏神様 | 宏虎 |
ガリバーのやうな餌を引く蟻遅々と | やよい |
青葉影寺猫眠る祠かな | なつき |
七変化縁切り寺へ長き坂 | なつき |
舞殿を囲む白砂散る松葉 | 愛正 |
薔薇園のベンチに並ぶ豆画伯 | 智恵子 |
ハーバーの真帆引く船に夏の月 | 素秀 |
植田早や泥巻きあぐるものは何 | 和子 |
蝉の声目覚めの時刻知らしけり | きよえ |
風に乗り高み高みへ鷹柱 | みきお |
「花結び」の作品展や濃紫陽花 | こすもす |
草刈り機止みて静もる住宅地 | みきえ |
目覚めるや奏づリズムの蝉の声 | きよえ |
町はずれ目高の無人販売所 | みきお |
おすすめの札に釣られて買ふ外郎 | あひる |
片陰に寝そべる犬と車椅子 | 智恵子 |
害虫に食はる青葉や新芽出づ | みきえ |
貸店舗涼風入れて手作り展 | こすもす |
星連れて夏三日月は山の上 | 素秀 |
里近し下る山路の杉落葉 | 愛正 |
2023年05月23日 | |
参道を横切る蛇に印を切る | なつき |
百円のゲーム券迷ふ祭の子 | なつき |
万緑を星のぶらんこひと跨ぎ | 明日香 |
紫陽花や土の加減に色づきて | たか子 |
寺内墓地リヤカーに積む杉落葉 | 愛正 |
網戸して見れば解れのありにけり | せいじ |
麦藁のストロー持参喫茶店 | みきお |
雨晴れて鳥かしましき代田かな | せいじ |
祈り込める折鶴ブローチ風光る | 和子 |
切り花の引き立て役や霞草 | ぽんこ |
朝靄の森に郭公木霊せり | 智恵子 |
咲き満ちて池一色に杜若 | 満天 |
雨脚や音が音消す皐月闇 | 澄子 |
足ふらつく何時も率先溝浚え | 宏虎 |
断捨離の窓全開に夏に入る | あひる |
紫陽花の私の好きな今日の色 | 満天 |
無防備に楽譜広げし揚羽蝶 | 明日香 |
籐椅子の座禅の悟り開くごと | 宏虎 |
皐月雨真夜に屋根打つ凄まじさ | 澄子 |
衣替へまだ残したる二、三枚 | たか子 |
梅を干す亡母の呉座有り片隅に | もとこ |
湯上がりの首のタオルやラムネ噴く | 豊実 |
山羊の背に眩しき夏の光あり | 素秀 |
届く新茶手作りなりと箋にあり | ふさこ |
輪ゴム手に見よう見真似の袋掛 | 千鶴 |
被爆地に人の集ひて新樹光 | 和子 |
田水引く濡れつ啄む鷺一羽 | 愛正 |
雨後の朝芳しきかな草いきれ | 智恵子 |
靴下のかたちに灼ける素足かな | かえる |
親燕スクラム組みて高鳴きす | むべ |
数十年振りの花とや竜舌蘭 | こすもす |
先がけて二輪明るき金糸梅 | あひる |
キャンパスに高々竜舌蘭の花 | こすもす |
ひと鳴きに声を枯らせる杜鵑 | 素秀 |
土を踏み古代を偲ぶ素足かな | みきお |
2023年05月22日 | |
鳥語飛び朝空晴れて蝉の声 | きよえ |
ティタイム思い出巡る更衣 | きよえ |
メモ代り五月の暦埋まりけり | ぽんこ |
ちらほらと数える程の蛍狩 | 豊実 |
風薫るペンキ塗りたて白き柵 | みきえ |
会報作り終へて一汗流しけり | 千鶴 |
蚊の飛翔気づけば耳朶の痒みかな | あひる |
西からの雨あし虹を連れて去る | 素秀 |
あづまやの席を覆ふや杉落葉 | 愛正 |
濡れ縁に地下足袋のまま三尺寝 | みきお |
紫陽花やひと日の雨に色を増す | 満天 |
加茂川を自由気ままに夏の鴨 | もとこ |
灯点せば万緑の森沈みけり | 澄子 |
ゲリラ雨駆けてコンビニ人の波 | 智恵子 |
冷し酒底の波良し江戸切子 | 宏虎 |
飯用にと半分残す青豌豆 | こすもす |
思ひ出を語りあふ夜や青葉木菟 | あひる |
篝火の水面にもつれ鵜飼舟 | 素秀 |
ひとつだけ買うた氷菓を突き合ふ | かえる |
列成してグランドゴルフ若葉道 | たかを |
転んでも泣かぬ赤帽花あふち | 和子 |
鷺一羽植田の隅に立ちつくす | 満天 |
今年竹白き節目の目立ちをり | 和子 |
二花絡み柵に顔出す忍冬 | ふさこ |
天幕を破りて涼し一つ星 | 智恵子 |
居間の木の若葉天井まで届く | せいじ |
風と来て風と立ち去る黒揚羽 | みきお |
断崖の反り立つ松や涼気立つ | 愛正 |
付き添ひて巨大迷路に日傘さし | なつき |
つい見上ぐ無住の家の枇杷熟るる | 千鶴 |
遠来の友包みたる新茶の香 | むべ |
お菜にと山蕗野路に折り取りぬ | 澄子 |
見頃過ぎ風のやさしき杜若 | なつき |
色の良し塩加減良し豆の飯 | こすもす |
窓若葉書淫のまなこ癒しけり | せいじ |
青竹の切り口匂ふ川床料理 | 宏虎 |
2023年05月21日 | |
一閃に雷走る宝塚 | 宏虎 |
故郷の兄と見ている蛍かな | あひる |
雨しずく受けし蜘蛛の囲光りたる | 千鶴 |
どくだみの暗きところに白十字 | ぽんこ |
四十雀朝明のしじま破りけり | むべ |
街路樹はジャム用みかんバレンシア | 和子 |
若葉風クラブ活動駆け足で | 満天 |
追ふポイの穴をすり抜く金魚かな | なつき |
赤ずきんめく子には大きな夏帽子 | 素秀 |
鬼灯の花散りて袋になりにけり | みきえ |
薫風や中学生の顔となり | 満天 |
水脈立てて進む湖蛇の首 | みきお |
毎朝の手に一盛りの苺摘む | 豊実 |
夏きざす人のんびりとニュータウン | もとこ |
夏霧や朽木ふいに顕れり | 澄子 |
万緑を抜けてトロッコ電車赤 | 智恵子 |
片蔭に沿って歩きぬ八千歩 | 千鶴 |
小満の妹に含ます哺乳瓶 | やよい |
噴水と子らは仲良く遊んでる | はく子 |
近づけばふいと止みたり蟇の声 | あひる |
肩すぼめ門くぐりたり薔薇の刺 | 愛正 |
婿殿になるひと迎へ蕨餅 | かえる |
そら豆を焼けばいそいそグラス出し | 智恵子 |
路地裏を汗じみ増せりスケボの子 | 素秀 |
紫陽花の色変りなす小毬かな | きよえ |
山映し明日の田植をまつ水田 | よし子 |
病んでなほ世界情勢甚平着て | たか子 |
公民館夏のイベント稽古中 | たか子 |
麦秋の動かぬ雲の白さかな | なつき |
「どちたの」泣く妹に寄る夏帽子 | やよい |
チャペルへと足弱と行く薫風裡 | せいじ |
腕時計キラリと光る夏芝居 | みきお |
山薄暑樹下に憩ひし人と犬 | 澄子 |
早起きの草取り後の睡魔かな | こすもす |
漆黒の闇を背負うや川蜻蛉 | 明日香 |
老い母と刻む若葉の女坂 | せいじ |
冷麦茶ほす喉越の嬉しさよ | きよえ |
卯波寄せ桟橋揺れて島揺るる | 宏虎 |
幽玄の夜は更け行く薪能 | よし子 |
ゆらゆらと天をくすぐる楠若葉 | ふさこ |
若葉風日の斑を顔に遊ばせて | 明日香 |
碧空や代田に揺れるバックネット | 愛正 |
店先に溢れ落ちたるつばめの子 | 和子 |
大玻璃戸開けて味わう若葉風 | こすもす |
2023年05月20日 | |
紫陽花へ先に近づく掲示板 | 満天 |
藪うつぎ届かぬ枝の紅深し | 澄子 |
もたもたと身を持て余し衣替え | 明日香 |
父母の居なくて郷は麦の秋 | あひる |
金のまつ毛風にもめげず未央柳 | ぽんこ |
端居して賢治の父と吾を重ぬ | せいじ |
ひもろぎの万葉の香や初夕立 | 明日香 |
十薬の白い花つけ同じ顔 | 宏虎 |
嵩低く痩身延べし夏布団 | たか子 |
緑さすダム湖の水は深緑 | 千鶴 |
芝刈り機翻弄されて四苦八苦 | 智恵子 |
ドナドナの調べ染み入る緑雨かな | せいじ |
黙々とただ黙々と豆をむく | 和子 |
若葉風子ら駆け回る広場かな | みきえ |
目の冴えて解禁前夜鮎の宿 | みきお |
硝子器に梅花空木の白涼し | むべ |
丸々と肥えて蚕豆天を向く | かえる |
老鶯の駆け込み寺の背山より | なつき |
こんがりと熟れぐあい良し麦の秋 | あひる |
代掻くや土壌こぼしてトラクター | きよえ |
昨夜雨や色付き初めし濃紫陽花 | こすもす |
雲海飛び沈む夕日を追いかけて | 宏虎 |
ベコニアのこぼれて咲きし溝の中 | ぽんこ |
曇天に夏鳶低く流れゆく | 澄子 |
袋角何度も下げて鹿せんべい | 素秀 |
半ズボン膝に一枚傷テープ | みきえ |
小夜更けて河鹿の闇の中にいる | 和子 |
田水張る屋敷を映す反射鏡 | 愛正 |
商談を切り出す前の麦茶かな | 豊実 |
新緑の雨晴てみな輝けり | 満天 |
枕辺に置ひて眠る子捕虫綱 | みきお |
気分はと聞くルーティン夏の朝 | たか子 |
十薬や古家蔓延り主となる | もとこ |
竹林を描く屏風絵涼を呼ぶ | 愛正 |
どくだみを引く手に白き根の長さ | 素秀 |
牡丹二輪ランチタイムのカウンター | こすもす |
小満やゴーヤのひげが宙つかむ | なつき |
2023年05月19日 | |
近道を通り氷菓を買いにけり | 宏虎 |
身を捩り流され渡る烏蛇 | みきお |
松の花三保の松原見上ぐ富士 | 智恵子 |
大師堂前に絵日傘開くカフェ | なつき |
麦秋や河童伝説のこる郷 | あひる |
水口のささ濁りして植田かな | 素秀 |
和菓子屋の幟まだまだかしわ餅 | こすもす |
雀らの低空飛行麦の秋 | あひる |
伊吹峰に雨上がり雲夏きざす | 隆松 |
里遊び草笛の児と紙飛行機 | 明日香 |
年ごとに着やすき物を更衣 | 満天 |
雨上がり残り滓めく雲涼し | 隆松 |
雨待ちてうすら明るき額の花 | むべ |
出し抜けに降るだけ降りし夏の雨 | せいじ |
子ら去りて風が揺らせりハンモック | なつき |
友の家友の薦める新茶かな | たかを |
老婆とて負けじとポーズ薔薇の前 | もとこ |
葉桜や変わりばんこにすべり台 | はく子 |
大粒の青き実漬けて梅ジュース | 千鶴 |
緑雨いま旅装の妻を迎へけり | せいじ |
稜線の緑豊かに時雨かな | きよえ |
公園を歩く妊婦や若楓 | 豊実 |
緑陰を辿り媼を訪ヘリ | 澄子 |
夜更くとも合唱続く蛙どち | みきえ |
峠より光る瓦や油風 | 愛正 |
衣替え亡母の古着に手を通す | 和子 |
新茶淹れ共に暮らして半世紀 | 満天 |
歩道橋目を引き付ける薔薇花壇 | ぽんこ |
レグホンの水場に蟇の睥睨す | 素秀 |
キラキラと葉脈透かし若楓 | 智恵子 |
新緑の鴉の育児けたたましい | ぽんこ |
夏めくや犬長々と舌を出し | かえる |
一陣の風に音たて楠落ち葉 | 和子 |
ゆくりなく子鹿と出逢ふ森の朝 | 澄子 |
公園の葉皆穏やか薫風裡 | 宏虎 |
グランドゴルフドームの屋根の五月雨音 | こすもす |
葎若葉白壁覆ふ朽ちた蔵 | 愛正 |
生駒峯を離れ難きに夏の霧 | たか子 |
薄翅をはみ出したまま天道虫 | 明日香 |
売家の庭の大木柿若葉 | みきお |
2023年05月18日 | |
ようやっとからりと乾く夏の空 | 明日香 |
郭公や明けの静寂を破りをり | 澄子 |
よきことの何かあるごと新茶汲む | 澄子 |
せせらきを聞くや水木の花の道 | 隆松 |
顔染めて雲梯する子夏眩し | もとこ |
夏来る作句頼むかAIに | はく子 |
空き缶を集める漢や緑陰に | ぽんこ |
遍路道三鈷の松にハート絵馬 | なつき |
満面の笑み溢しつつ赤きバラ | きよえ |
五月の草雑草魂発露なり | 千鶴 |
真夏日や川に佇む鹿一頭 | こすもす |
大西日瀬戸の島々呑み込みぬ | みきお |
夕暮れを斑らに著莪の小糠雨 | 素秀 |
薫風に出汁の香放つうどん店 | みきえ |
膝立てし地蔵大士や青葉影 | なつき |
バラ園の丘に園児の見え隠れ | ぽんこ |
十キロも痩せたるおもは薄暑光 | たか子 |
ゴメの群岩壁照らす夕陽かな | みきお |
青き空地平線へと芝桜 | 智恵子 |
手を翳し見上ぐ夏空飛行雲 | 智恵子 |
散歩犬二匹引き連れ町薄暑 | 満天 |
若葉風ホールインワンの笑顔かな | 満天 |
淹れる香で新茶と気付く客間かな | かえる |
サングラス優し主人と思い出す | 宏虎 |
母の日のひと日遅れの速達便 | 和子 |
赤松や初代藩主の墓碑に散る | 愛正 |
小さき手の並び藍植う児童館 | 素秀 |
いつぞやの金魚のおもちゃ溝浚え | 豊実 |
側溝に満つどくだみの花葎 | せいじ |
水木咲き谷風渡る木立道 | 隆松 |
近道を重機がふさぐ町薄暑 | せいじ |
夏帽子目深に被りすましおり | 宏虎 |
老鶯の見得を切るかに豊かなり | 和子 |
一列に画板持つ児ら若葉道 | むべ |
帰路涼し電車で席を譲られて | こすもす |
ふはり来てまづ葉に止まる揚羽蝶 | 明日香 |
朽ちた木戸絡む葎の若葉かな | 愛正 |
紫陽花の咲き初む小径水色に | きよえ |