2022年06月24日 | |
両隣打ち水しあふ小路かな | 澄子 |
米兵も眠る礎や沖繩忌 | 素秀 |
夏野菜耕し名札波止の園 | きよえ |
紗羅の花深山に落つ踏むまじき | ふさこ |
外来の亀ゆうゆうと梅雨の池 | 明日香 |
胡蝶蘭会場華やぐ俳画展 | 満天 |
濃緑に六甲連山梅雨晴間 | もとこ |
青葉風あべのハルカス下に見て | あひる |
エントランスに患者の願い笹飾り | やよい |
南吹く大橋速度規制中 | 千鶴 |
海の日を知らず育ちし山家の子 | みきお |
学童の校外授業夏の波止 | きよえ |
梅を干す母が遺せる傘さして | ひのと |
尼寺の縁に日傘の干されけり | なつき |
選挙戦予想などして鱧の皮 | 凡士 |
神池の鯉喜ばす夏の雨 | こすもす |
熊笹のうなりをあげて青嵐 | あひる |
揺れる葉に任せ飛び立つ揚羽蝶 | みきえ |
日盛りにランドセル跳ね下校かな | かえる |
街路樹の根元に秘そと梅雨茸 | こすもす |
恐竜の図鑑に夢中端居の子 | 素秀 |
短夜を追ひかけ下戸が梯子酒 | 澄子 |
また一艘しづかに海霧の懐へ | ひのと |
ジパングの古地図に石見南風吹く | 凡士 |
蟻の道ずぼらな物も真面目有り | 宏虎 |
舟隠しめく岩陰のあめんぼう | みのる |
南風踊る木漏れ日楽しめり | 明日香 |
真夏日となる六月の山歩き | せいじ |
推敲に推敲重ね明け易し | みきお |
黒潮の海南風やナイスオン | 豊実 |
フェンス下動く足首プールかな | みきえ |
桝形の石垣に消ゆるりとかげ | なつき |
小糠雨に任せ色濃し野の桔梗 | そうけい |
六月や雲を離さぬ四囲の山 | はく子 |
神池の涼し池心に遥拝所 | みのる |
踏み行けばいよよ夏鶯の山 | せいじ |
短夜の夢に会ふ人若かりし | 満天 |
猛暑来てアイス枕の心地よし | 董雨 |
カーテンを変えて薫風待ちにけり | 宏虎 |
老師の句亡き妻多しさくらんぼ | 董雨 |
炎昼に媚び売る選挙の掲示板 | たか子 |
もじずり草捩じれ捩じれて右ひだり | たか子 |
2022年06月23日 | |
日光強し日傘無くて途歩は無理 | 宏虎 |
走り根を避けて縋りて登山道 | 智恵子 |
薄暑日の朝晩たっぷり化粧水 | 満天 |
老眼鏡掛けて爪切る夕端居 | みきお |
蛇嫌ひの母思ひ出す蛇の皮 | なつき |
雨上がり一斉に伸ぶ芋の茎 | みきえ |
夏帽を揃へ母子の里帰り | 素秀 |
夜濯ぎや泥にまみれたユニフォーム | かえる |
青葉風卒寿ゴルファー矍鑠と | はく子 |
水筒を持てばチリンと氷の音 | あひる |
夫運転妻が指示する田植えかな | たかを |
樟脳は昭和の匂ひ古浴衣 | ひのと |
けふの道南南西や蟻の列 | 凡士 |
葛餅や馳走の後のしめとなり | ふさこ |
堰落つる水の勢い作り滝 | たか子 |
神苑の清浄として青葉雨 | みのる |
緑陰やしばし佇み深呼吸 | みきお |
梅雨深し解体を待つバラ屋敷 | 澄子 |
白鷺や植田あらして飛び去りぬ | きよえ |
句碑の裏ともしび色の実梅落つ | なつき |
浜っ子ら目指す遠泳烏帽子岩 | 智恵子 |
白き花びしと浮き立つ山ぼうし | 千鶴 |
朝曇やもめとなりし母の床 | むべ |
お喋り中の小学生や立葵 | こすもす |
梅雨夕焼真っ赤に田水染めあげて | 千鶴 |
主無き菜園見るや草茂る | みきえ |
黒南風や街路樹を刈るチェンソー音 | こすもす |
まだ埋まる不発弾あり沖縄忌 | 凡士 |
山道を踏む足元を過ぎし蛇 | 豊実 |
散歩には傘着て歩く夏帽子 | 宏虎 |
色鯉の寄りて井戸端会議めく | せいじ |
はぐれ鴨らし神池をとゆき斯く | みのる |
青空に綿雲白し梅雨晴間 | きよえ |
梅雨晴や見守り隊へ感謝状 | 満天 |
梔子の並木の路をまっすぐに | あひる |
夏鴨を母娘連れねと愛でにけり | たか子 |
カラフルや吾子も地蔵も夏合羽 | もとこ |
とれとれをキュウちゃん漬けにわさび漬け | 明日香 |
筋の良き風を呼びこみ鉄風鈴 | 素秀 |
夕焼の渡り廊下に友の待つ | ひのと |
瀬の音の近しと釣鐘草の道 | 隆松 |
夏萩の石塔までも花の枝 | ぽんこ |
鳳凰と見しが白鷺堂の屋根 | うつぎ |
笠石の黒く濡れをる梅雨の宮 | せいじ |
2022年06月22日 | |
朝の窓バサバサと発つ梅雨の鳥 | そうけい |
教え子の嬉しき便り枇杷届く | きよえ |
胡瓜切る婿は調理師婿真似て | たかを |
えべっさん守る練塀や南吹く | たか子 |
涼し気な衿ぐり縮むワンピース | みきえ |
梅雨はげし地上に出でし地下鉄道 | せいじ |
風つかみ江の島沖にヨットの帆 | 智恵子 |
川原湯にひたる夕べや河鹿笛 | 凡士 |
八咫烏物見す梅雨の御殿屋根 | みのる |
蟻んこへお握り少しおすそわけ | はく子 |
夏至の夜浮かれ気分でそぞろ行く | かえる |
もの云わぬ平和の礎沖縄忌 | みきお |
川床の灯りに二人連れの影 | 素秀 |
梅雨晴のマンションに雲かかりけり | 満天 |
鯖寿司の開けば香る柿の葉や | むべ |
梅雨の朝二度寝目覚めは屋根鴉 | そうけい |
神馬舎の白馬の像に緑さす | うつぎ |
しんがりはチューバはたまた牛蛙 | 凡士 |
師の句碑や雫垂らせり梅雨の傘 | なつき |
口開く妊婦の埴輪春の雷 | みきお |
昨夜雨に黄ばむ梅の実落ちにけり | みきえ |
代田鏡山も我が家も映り込み | 千鶴 |
所在なく軒に主待つ梅雨の犬 | 素秀 |
下校時のカラフル雨傘梅雨最中 | こすもす |
釣り人の浜に数多や梅雨晴れ間 | 智恵子 |
紫陽花の大毬に触れ下校の子 | 満天 |
句碑に落つ実梅一つを持ち帰る | なつき |
落とすなと言はれてすぐに西瓜落ち | あひる |
流し目のままに扇を閉ぢにけり | ひのと |
老鶯の声渡るなり谷の道 | 隆松 |
玉砂利をうがつ雨だれ梅雨深し | せいじ |
本当の暑さにききし漢方薬 | 宏虎 |
神池へ秀枝を翳す緑樹かな | みのる |
祖母残す塩吹き梅や厨の隅 | ふさこ |
雨催い折り畳み傘役に立ち | 宏虎 |
植ゑつぎや素足に泥の生温し | 千鶴 |
鰹木に白鷺宮を睥睨す | ぽんこ |
黒南風や歩道橋行く下校の子 | こすもす |
泳ぐごと風通ふたび金魚草 | きよえ |
脱ぎ置いて波のやうなる藍浴衣 | ひのと |
葦の根に命の声の生まれけり | 豊実 |
曲がり癖あるいんげんに作者名 | あひる |
夏鴨の遊びせんとや神の池 | もとこ |
2022年06月21日 | |
銚子から鯖の押し寿司届きけり | 千鶴 |
女王蟻母にならんと羽根捨つる | かえる |
梅雨のレジ目玉商品客の列 | みきえ |
住吉社祀るマリーナ南風吹く | 凡士 |
陸橋を渡る児童に夏の雨 | みきえ |
梅雨しとど珠のしずくや神馬の目 | こすもす |
吟行の手帳を濡らす梅の雨 | ぽんこ |
涼しさを見せる老松門かぶり | そうけい |
早風呂に灯のいらぬ夏至夕べ | 素秀 |
この位置は伊勢に真っ直ぐ梅雨の宮 | たか子 |
沖縄忌死のうめき声慟哭か | 宏虎 |
書手紙を書くごと舞へり竹落葉 | そうけい |
銀行を一巡りして汗滂沱 | せいじ |
背後から香水の来て歯科検診 | 素秀 |
ペン止めて雨垂れ聴くや梅雨の夜 | 智恵子 |
種植ゑて桜桃いつか生るかしら | ひのと |
水槽の磯巾着は閉じたまま | 豊実 |
釣り竿の並ぶ川土手春うらら | みきお |
参道を行けばなぞへに夏の萩 | こすもす |
地図の上に一泊分の夏衣 | ひのと |
老鶯や腕振り抜いてウォーキング | 隆松 |
泳ぎ来る亀首伸ばし梅雨最中 | もとこ |
吹き降りに延期となりし田植えかな | 千鶴 |
狛犬の尾のねじねじや梅雨の宮 | 明日香 |
音楽会余韻抱へて夏至の街 | むべ |
早苗田に点描のごと降雨かな | あひる |
樟大樹多きこの街若葉雨 | 凡士 |
鴨一羽誰に見せたし身づくろひ | 明日香 |
一族の墓石大小青葉闇 | 澄子 |
磯蟹を追ふ幼子の頬まつ赤 | ちい |
水打って風の生まるる京町家 | みきお |
蝸牛角伸び尽くす雨の中 | 満天 |
盲導犬信号待ちに渡る蝶 | 智恵子 |
切り落とす枝葉も確ととまとの香 | やよい |
波板を打つは戯れ合ふ雀の子 | せいじ |
昼蛍葉つ葉の上で眠りをり | ふさこ |
竜宮橋灯すがごとく実梅落つ | なつき |
雨だれにもんどり打つや蜘蛛の糸 | あひる |
校門に朝顔の鉢整列す | なつき |
梅雨最中通勤の列傘の列 | きよえ |
陽あたりに鬼の名のつく百合の花 | 澄子 |
強面の巨岩も梅雨の雨に笑む | みのる |
沖縄忌火炎放射器むごすぎる | 宏虎 |
神池の殊に眩しき白菖蒲 | うつぎ |
万緑の中なほ白き鷺立ちて | 満天 |
涸れ川の水の濁りて梅雨最中 | きよえ |
雨垂れの簾をなせる梅雨の茶屋 | みのる |
2022年06月20日 | |
裸子をカートに入れて帰りたる | なつき |
どことなく違う夏山母逝けば | あひる |
小夜更けて繭籠りなる梅雨の月 | はく子 |
小流れの笊にぷかぷか夏野菜 | 智恵子 |
あちこちの軒の賑はふ吊り玉葱 | 満天 |
代搔きに四時間亀の這ふごとし | 千鶴 |
甘酒を御仏と飲む夕間暮れ | そうけい |
市街地を群れ飛ぶ鳩や梅雨晴間 | みきお |
水の澄む植田の苗の整列す | きよえ |
梅雨空に吟行の荷のあれやこれ | たか子 |
月見草往時のままに峠茶屋 | 澄子 |
みずすまし水面に映る雲滑走 | 満天 |
扇風機半年振りに首振りぬ | みきえ |
万緑の信貴山の寺堂涼し | 明日香 |
表札のはずれて久し花梔子 | むべ |
黄昏の鳥の塒へ急ぎけり | 宏虎 |
五月雨や少しくすめる絵馬の寅 | 凡士 |
献木の溢れる緑奥の院 | 明日香 |
けふひとつ咲きひとつ落つ夏椿 | 澄子 |
真夏日や何処行くにもペット水 | みきえ |
梔子の香の不織布をすり抜けて | せいじ |
ででむしや荷を下ろしても良いのかな | もとこ |
入梅やお天道様にヴェールかな | かえる |
寺裏は夏こすもすの休耕田 | なつき |
橋脚に芥からまる出水かな | 宏虎 |
鷺飛来水澄む植田濁しけり | きよえ |
人集う粗大ごみの日夏盛ん | たかを |
やすらぎといふボタン押す扇風機 | あひる |
夏の夜や犬駆け巡る爺の家 | たかを |
麓から青田広がる海辺まで | みきお |
ぶんぶんの羽音に逃げる園児たち | 智恵子 |
相席の指定席券風薫る | こすもす |
名取みな菊の字を持つ夏座敷 | ひのと |
再会すコロナと梅雨の休む時下 | せいじ |
寝化粧の鏡に夜蛾のとりつきし | 素秀 |
単線の故の停車や合歓の花 | こすもす |
どくだみの煎じて祖母の茶となりぬ | ふさこ |
石風呂の意外な深さ夏落ち葉 | たか子 |
ありなしの風に舞ひつつ竹落葉 | ちい |
張り替へて風瑞々し網戸かな | 凡士 |
炎昼の工事女性の声高し | そうけい |
枇杷の実を籠に積み上げ小判色 | 素秀 |
自家菜園これが限界でかい茄子 | 豊実 |
船の名で呼び合ふ鰹漁師かな | ひのと |
2022年06月19日 | |
梅雨晴間ドローン撮影待ったなし | きよえ |
カヌレてふ菓子をふたりで梅雨の街 | せいじ |
ありがたき昨夜の雨や草をひく | こすもす |
揺り椅子の軋みて父の日の書斎 | ひのと |
釣り船を呑み込むほどの土用波 | みきお |
権現山樹林に通ふ風涼し | ちい |
いにしへは了以の邸や鱧料理 | 凡士 |
生まれ出て日本産なり燕の子 | 宏虎 |
著莪繁る温泉駅は谷の底 | あひる |
父の日や子はそれぞれの道歩む | もとこ |
ぶんぶんの体当たり受く夜道かな | みきお |
一山の霞む寺寺梅雨兆す | ふさこ |
初夏の尾瀬池塘に水の溢れをり | 千鶴 |
朝曇通勤シャツの襟緩め | かえる |
狭庭来て鳥語あまたや梅雨晴間 | 満天 |
四葩触れスイッチバック湖へ下る | 智恵子 |
梅雨晴れ間軽トラ並ぶ寺の市 | なつき |
梅雨晴れや反対車線混みにけり | みきえ |
梅雨寒に舌打ちのごと家鳴りぬ | 素秀 |
梅雨最中星なき夜の月の暈 | 智恵子 |
禅林寺傘の列なす桜桃忌 | むべ |
環濠の今は遺構や半夏生 | うつぎ |
翡翠の水平飛行矢のごとし | 豊実 |
一枚は早や萍の田となりぬ | せいじ |
揚羽来てぱつと消ゆるは手品ごと | 明日香 |
子燕のことも日誌に駐在所 | 凡士 |
鰐口のこゑくぐもりて夏霞 | 素秀 |
寝転ぶや海の高さのハンモック | ひのと |
寄進なる吉野門とや梅雨の錆び | たか子 |
父の日の受話器に声を張り上げて | あひる |
夏至の日の有効利用庭手入れ | 宏虎 |
梅雨暗し山稜被ふ山雲や | きよえ |
父の日の電話転職伝へけり | なつき |
地蔵巡り水分補給の白日傘 | こすもす |
短パンにショートカットや夏に入る | 満天 |
俯いて山の気を吸う釣鐘草 | たか子 |
袋掛け上や下向き三時間 | みきえ |
落ちている揚羽をそつと鉢の上に | 明日香 |
2022年06月18日 | |
網焼きの空豆ブツブツ独り言 | 智恵子 |
あぢさゐの白極まりて百か日 | うつぎ |
師範より緑の字もらふ梅雨入かな | ひのと |
万緑や朱の鳥居に迎へらる | みきえ |
蜜蜂の脚にまあるき花粉玉 | むべ |
公園の四阿ふたつ万緑裡 | 満天 |
電線をぽたり雨粒梅雨夕焼 | なつき |
天辺の花地震に散り百日紅 | 素秀 |
手作りの扇子の文字の万葉歌 | きよえ |
田水張る順番めぐり話合ひ | 千鶴 |
黒雲をオレンジに染め梅雨の月 | こすもす |
梅雨寒の夕餉や碗をひとすすり | かえる |
青葉風寝言に目覚む犬の顔 | 智恵子 |
独り居の気楽さ享受かたつむり | もとこ |
代搔きや今年の苗は短かかり | 千鶴 |
黒南風やポスターのなき掲示板 | せいじ |
間違いて鰹掛かり右往左往 | 宏虎 |
娘の古着吾にぴったり更衣 | あひる |
滴りし山通り抜け彼方へと | みきえ |
実梅捥ぐ二の腕眩し朝の庭 | みきお |
梵鐘は茅葺き屋根や空青し | ぽんこ |
開店の日傘開閉忙しけり | そうけい |
蜜豆の匙で薬を溶きにけり | ひのと |
一面に緑綾なすキトラ墳 | 明日香 |
糸蜻蛉透き通る羽風揺らし | ふさこ |
水足してまた少し飲む砂糖水 | 素秀 |
トマトひとつ減りをり烏の狼藉 | こすもす |
謎を秘め古墳公園梅雨に入る | 宏虎 |
夕の駅荷を持つ帰路の青葉風 | そうけい |
梅雨湿り値引き広告妻燃える | たかを |
通り雨夏帽胸に抱へる子 | きよえ |
川床の水音に会話かき消され | あひる |
小綬鶏の跳ねて横切るフェアウェイを | 豊実 |
差し招く蛍袋や渡り廊 | せいじ |
逆上がり夕焼の空をひと巡り | 凡士 |
町中の植田の余白夕明かり | 満天 |
古書店に蜘蛛の巣能の和綴本 | 凡士 |
田舎道横切る毛虫刹那生く | みきお |
花の名を調べつつゆく園薄暑 | なつき |
結び葉や彼方に聳ゆ二上山 | 明日香 |
上水の水面穏しき桜桃忌 | 澄子 |
2022年06月17日 | |
桟橋はどちらですかと白日傘 | ひのと |
ほうたるの消えて魑魅の闇深し | うつぎ |
塔頭の樟大樹や苔の花 | ぽんこ |
短夜の夜半の地震に目覚めけり | 千鶴 |
飲むゼリー握りつぶして飲み干せり | なつき |
夏の朝古刹の鐘の滲み入りぬ | かえる |
ぴかぴかの選挙ポスター街薄暑 | せいじ |
釣りに来て帰り造りの美味きこと | 宏虎 |
フランスの田舎料理や夏野菜 | こすもす |
花合歓や遺跡に古代人の夢 | 素秀 |
ストローをタピオカのぼるカフェの夏 | あひる |
山若葉丹波一国風の旅 | 凡士 |
恥じらひて試着鏡の夏帽子 | あひる |
風鈴の快ひ音やかくれ茶屋 | きよえ |
漂流記胸に抱へて籐寝椅子 | 素秀 |
角曲るたび色とりどりの濃紫陽花 | 満天 |
夏つばめ柱状節理の洞の中 | 凡士 |
吊り橋の板から見ゆる夏の川 | 宏虎 |
睡蓮の余白の水面鯉の口 | 満天 |
葬列の続く畦道夏の雲 | みきお |
青柿の枝支へをる太き杭 | みきえ |
茅葺きの鐘楼古色青あらし | たか子 |
ぎぼうしの蕾守るか若葉蜘蛛 | むべ |
サルビアの一叢枯れし花時計 | なつき |
蝶の道水撒く庭に寄り道す | 智恵子 |
西向かふ車窓真っ赤に夏夕焼 | みきえ |
家並を逆さに宿し植田澄む | せいじ |
薫風や葉のおしゃべりす里の道 | きよえ |
境内に風のみちあり夏木立 | 澄子 |
炊飯器でフランス料理ラタトゥイユ | こすもす |
待機中祭り提灯京の辻 | もとこ |
葉隠れに首かしげゐる未草 | せつ子 |
良縁を祈り見守る恋蛍 | 智恵子 |
沙羅の花この世と別れ落花せり | ふさこ |
水田の鏡に遊ぶ朝燕 | 豊実 |
青葉闇電球ひとつ点しけり | 澄子 |
ぴん札をはぢく指先涼しかり | ひのと |
朝刊の湿る手ざわり半夏生 | みきお |
明日香路の水落ち遺跡月見草 | 明日香 |
太鼓打つ蒸気と化して汗昇る | たか子 |
友来る茹でた竹の子そつと置く | たかを |
2022年06月16日 | |
一揆寺の濠に十薬またたけり | なつき |
ブラインド開くや車窓に植田かな | みきえ |
ATM用事済ませる梅雨晴間 | 満天 |
素十句に学ぶ写生や夏木立 | せいじ |
練習中の屋根全開や青葉風 | こすもす |
天気図を見つつ段取り田植え前 | 千鶴 |
葉隠れにほつりほつりと山蛍 | 澄子 |
夕風を招く厨の涼しさよ | ひのと |
次々と白波寄せる夏の浜 | みきお |
葛畳線路のフェンス上り詰め | 明日香 |
乱れ打つ気迫の太鼓夏舞台 | たか子 |
転げ落つ生首のごと沙羅双樹 | かえる |
白糸の滝めき落つる梅雨滂沱 | 智恵子 |
枇杷たわわいま潮風の桜島 | 小袖 |
女湯の妻を待ちをり百日紅 | ひのと |
銀紙の鶴の眩しき梅雨晴間 | 素秀 |
睡蓮の水面あちこち花開く | きよえ |
青葉陰心の財を説く石碑 | もとこ |
鳥語降る梅雨の晴間の朝まだき | せいじ |
蜘蛛の囲に真珠連なる雨上がり | むべ |
蝸牛葉裏に隠れ角隠す | ふさこ |
甘酢漬けほのと紅さす新生姜 | ぽんこ |
青紫蘇を刻みキッチン香にあふれ | 満天 |
通勤の窓の隙間や梅雨湿り | 豊実 |
枝伸ばし道半ば占む柿若葉 | みきえ |
草刈ればなほ広々と遺跡の野 | あひる |
呑み干せりアルミカップの岩清水 | みきお |
ドームへと紫陽花ロード走りけり | こすもす |
夕立来て身代はり申と軒の下 | 凡士 |
梅雨の蝶ヒラヒラ舞ひて何処辺や | きよえ |
万の甕黒酢を醸す大南風 | 凡士 |
一揆寺地平より吹く麦の風 | なつき |
母と見し瀬戸の夕べや麦の秋 | 小袖 |
小流れに追われる方向目高同じ | 宏虎 |
雨しとど地下の街行く夏帽子 | たかを |
鮎釣りの膝が腰まで移動せり | 宏虎 |
漏刻や水からくりの歴史見る | 明日香 |
ばら苑に隣る芍薬いずれ艶 | はく子 |
どくだみの香る真中に草刈女 | あひる |
店頭の夏靴弄る店主かな | たかを |
短夜の寝覚めの畳匂ひけり | うつぎ |
隠沼に生ひて明かるし花あさざ | 智恵子 |
屋根けぶるほど雲低き梅雨の闇 | 素秀 |
北山の青紅葉添へ京料理 | たか子 |
2022年06月15日 | |
通り過ぎ匂ひに戻る鰻丼屋 | 凡士 |
恐竜館出でれば森の梅雨霞 | 智恵子 |
一つ家の部屋にそれぞれ夏灯 | ひのと |
夏大根ぴりりと美味し朝餉かな | 宏虎 |
夏蛙眠れぬほどの大合唱 | むべ |
ザクザクと刻む薬味や初夏香気 | 智恵子 |
まいまいや貝にみるみるなりすまし | かえる |
日時計は石へ還りぬ五月闇 | ひのと |
寺石のくぼみそれぞれ苔茂る | 明日香 |
梅雨の朝そうじ当番小止み待ち | みきえ |
夏草のポール打たれし更地かな | せつ子 |
立葵天へ一途に咲き登る | 満天 |
風呂上がり蛍を追ひし幼なき日 | みきお |
梅雨烏樹下の餌食べ歩き居る | そうけい |
沢蟹の入水するかの如く落ち | 素秀 |
青空に漂う風や合歓の花 | 豊実 |
野のあざみおしゃれに挿され厨窓 | あひる |
玉葱を軒下へ吊る昔から | 宏虎 |
ゴム長の足跡埋めて蝌蚪の群れ | なつき |
松葉菊勾配早き男坂 | ぽんこ |
睨み合うて相怯えたり蛇と犬 | うつぎ |
わが町を侵略せしは濃紫陽花 | せいじ |
梅雨曇り傘で遊んで下校の子 | きよえ |
隣家の屋根越し梅雨の満月よ | こすもす |
茂り葉に深く埋もれし石灯籠 | もとこ |
さざなみの音を聞きつつ夏料理 | みきお |
御廟所の筋塀の外実梅落つ | なつき |
くちなしを籬としたる番屋跡 | せいじ |
遠近と蚯蚓咥へて忙し鳥 | みきえ |
禅寺や多重の塔の影涼し | 明日香 |
梅雨晴れに装い迷ふバス旅行 | ふさこ |
ハンカチの湿り折り替へ山路ゆく | 千鶴 |
宵宮の神を降ろさむ笛静か | 素秀 |
遺構なる血天井とや青嵐 | たか子 |
清らかに沙羅咲く渓を渡りけり | あひる |
揺るぎなき悟りの窓に薄暑光 | たか子 |
跳ねまはる子らせせらぎに糸とんぼ | 凡士 |
浜茶屋は組立中や夏帽子 | こすもす |
息止めてクレッシェンドの梅雨を聴く | そうけい |
頂きし玉葱軒に吊るしをり。 | きよえ |
行々子小橋の左右の葦間より | はく子 |
梅雨入や四方の山々模糊として | 満天 |
2022年06月14日 | |
門入りて子らの朝顔鉢並ぶ | なつき |
青梅の色づくやうな恋ごころ | 素秀 |
五月雨や和本を綴る絹の糸 | ひのと |
曇天を素知らぬ体の紫陽花や | たかを |
戸を放ち四方八方若葉風 | 明日香 |
鳴き龍の声木霊して夏の風 | あられ |
さくらんぼ硝子器に盛りしばし眺め | 満天 |
車道の夜揺れて色ある濃紫陽花 | そうけい |
余り苗隅に放られ二、三束 | たか子 |
犬友に朝顔の種お裾分け | かえる |
梅雨寒に暖とり合ふて人と猫 | 澄子 |
群れを解く海猫のゆくへや島青し | ひのと |
萍の池畔子の居て不思議そう | 宏虎 |
夏蝶の縺れ合ひたる荒野かな | あひる |
小さき根苔むす木々に蔓延りて | ふさこ |
薫風や千の地蔵のよだれ掛け | たか子 |
処方箋貰ひて帰る梅雨の月 | うつぎ |
楽奏づごと大地打つ梅雨入雨 | みきえ |
連れ立ちて行けば明るし青時雨 | あひる |
梅林の間に間に脚立梅捥ぎぬ | 智恵子 |
三杯酢添へて夕餉に鯵を焼く | みきえ |
レインマン見た日の午後や梅雨に入る | こすもす |
ルビーめきてしばし眺めしさくらんぼ | 満天 |
荒梅雨やバスの中まで雨模様 | 凡士 |
日本海波が波押す皐月波 | みきお |
白花の皆錆びやすし薄暑光 | はく子 |
あぢさゐや花瓶に変はる今朝の色 | 素秀 |
昨日見えて今夜は見えぬ梅雨の月 | こすもす |
議事録を仕上ぐるによき梅雨入かな | せいじ |
苗箱に蛙つぎつぎ梅雨入かな | 千鶴 |
万緑の中の名刹源光庵 | ぽんこ |
えぐられし山肌癒えて若葉風 | みきお |
雨の中純白光るアナベルや | きよえ |
山寺へ一本道を青葉染む | もとこ |
禅寺の木立を抜ける夏の風 | あられ |
入梅や雲厚く風温かし | 宏虎 |
移植せし苗に水浸む薄暑かな | 豊実 |
雨被る樹樹の緑の色の増す | きよえ |
予定日が梅雨入となりし山歩き | せいじ |
山寺や下闇続くラビリンス | 明日香 |
衣かへて尻ポケットに鍵の束 | なつき |
アナベルの頭を垂れる梅雨入かな | むべ |
金剛杖かくも短し夏遍路 | 智恵子 |
京町屋一輪挿しに四葩かな | 凡士 |
舞ひ昇り木立のともしび蛍沢 | せつ子 |
2022年06月13日 | |
ほうたるの恋を邪魔せり月明り | うつぎ |
袋掛けされずに残る青林檎 | あひる |
梅雨風に背伸びしてみる思い切り | たかを |
曲がるたび山法師咲くニュータウン | あひる |
紫蘭咲く瀬戸の浜辺のそよそよと | きよえ |
枝支ふ杭持て行きし袋掛け | みきえ |
枕辺に絵本伏せおく天花粉 | ひのと |
万緑のホールインワンにもろ手あげ | 満天 |
梅雨寒やついに掃除機動かざる | 千鶴 |
みどり児の臀部さながら実梅熟る | せいじ |
禅寺の苔むす杉や幾世なり | ふさこ |
せせらぎに被る大樹や夕蛍 | 豊実 |
軽トラに満載収穫のキャベツ | こすもす |
楓寺恨跡しるき血天井 | ぽんこ |
走り来て汗も香となる吾子笑顔 | 素秀 |
真つ白なアマリリス置く堂の前 | 明日香 |
桐の花うすむらさきは雲の中 | 満天 |