2025年05月15日 | |
夏の夜の自転車なじむ赤提灯 | 和繁 |
草藤の席巻してるなぞえかな | 明日香 |
バス停に並ぶ足元散りし薔薇 | ほたる |
薔薇鉢や散りてひろがる茜色 | あひる |
タムシバの暗き山を照らしけり | わたる |
ベンチ角シャラシャラ揺れる小判草 | ほたる |
藤蔓のカーテンめきて風涼し | 康子 |
堰堤のしぶき盛んや夏木立 | 千鶴 |
夕薄暑ひと固まりにボール追ふ | なつき |
青蔦に覆ひ尽くさる空き家かな | みきえ |
ロボットと会話の弾む夏帽子 | みきえ |
独りてふ煩わしきもの梅雨深し | たか子 |
樟若葉揺らぐ狭間の蒼い空 | わかば |
園児らの目高放流ビオトープ | かかし |
久々にときめく都心躑躅燃ゆ | せいじ |
万緑の包む山々みづみづし | みきお |
杖や友広鍔深く夏帽子 | きよえ |
古寺の遺構の石積み苔青し | 愛正 |
寝ころべばおぼろ雲みな東ゆく | 勉聖 |
杣の道三葉躑躅の道標 | わたる |
幼子のきれいねと寄る垣のばら | そうけい |
花しようぶ禰宜があんまき買い求む | なつき |
園児らとの夏野菜植え楽しかり | こすもす |
囀のひとつ山越へ届きけり | むべ |
生家訪ひ燕の巣跡見上げけり | うつぎ |
くれないの傘傾ぎゆく賀茂祭 | あひる |
一面に黄色の続く花菖蒲 | こすもす |
蒼穹の吸い込む四十雀の声 | むべ |
カラスの巣回り道する松公園 | きよえ |
万緑に声のこだますかくれんぼ | 康子 |
夏の夜や隣の部屋の祈る声 | 和繁 |
ちゅと鳴いてあとを追ひたる雀の子 | えいじ |
よーいどんよそ見しないで夏帽子 | もとこ |
椅子席の準備整ふ賀茂祭 | せいじ |
跳ね水に光る岩檜葉露天風呂 | 愛正 |
御所車祭り引き立つ車輪音 | ふさこ |
幾株か早苗おぼれる田んぼかな | 明日香 |
初蝶の影すべりゆく石畳 | 勉聖 |
朝の日やひとつばたごの花匂ふ | えいじ |
万緑に寄せ墓の供華彩褪せる | ぽんこ |
若葉風軽き戸外の太極拳 | そうけい |
早暁の逆上がりの子若葉風 | かかし |
次々と芽吹く大木ささやけり | みきお |
目瞑りて水の音聞く薫風裡 | 澄子 |
夕立や柿の葉滑るひと雫 | 博充 |
丹精の黄金波打つ麦の秋 | わかば |
2025年05月14日 | |
田虫葉の不意な出会ひに感謝せり | わたる |
緋牡丹の衣脱ぐやうに散りゆけり | むべ |
日の昇る目覚むさしたる夏の虫 | きよえ |
花蜜柑背戸に迫ぐる緑かな | 澄子 |
戸開ければ先に入りたる蜥蜴かな | ほたる |
飛機雲のヘリ爆音の初夏の空 | きよえ |
面涼し銀山坑夫の力瘤 | うつぎ |
青空にはや咲き染めし百日紅 | ぽんこ |
また小さくなりたる母や更衣 | あひる |
娘等の声麗らかに茶摘み歌 | 山椒 |
ゆくりなく青葉若葉の都心行く | せいじ |
工夫して古着手直し更衣 | あひる |
芝桜旧街道の碑を飾る | 和繁 |
桐の花寺は無住や村外れ | こすもす |
一刷の風に紛れし新樹の香 | えいじ |
薔薇園に水の階段水の綺羅 | もとこ |
夕日背に草引く手元夏の風 | みきお |
肩並べ子と背比べす五月かな | なつき |
坂の上広ぐ稲美野麦の秋 | みきえ |
万緑を砦としたる城の跡 | かかし |
岩檜葉や鉄鎖垂れたる登山道 | 愛正 |
短夜や画面に浮かぶ子のまなこ | 勉聖 |
夜の浅蜊不意に放物線を吐く | えいじ |
墨流しめく中天に月涼し | むべ |
滝音に聞き入る人へ風渡る | 博充 |
くずし字の読めざる句碑や業平忌 | 藤井 |
母の忌が近しミニ薔薇咲き継げり | なつき |
道場へ向かふ石段木下闇 | 康子 |
新緑や水辺づたひの一人旅 | 博充 |
山行きて白根葵とまた出会ふ | わたる |
芍薬の一輪すくと鶴首に | みきえ |
夕暮れて子ら盛り上がる夏の路地 | 康子 |
校庭の築山埋もれリ若葉陰 | 愛正 |
姦しき雀に交じり時鳥 | せいじ |
青葉冷え柩見送る手の震へ | たか子 |
玻璃越しの裏庭に咲くヤマボウシ | こすもす |
五月闇をんなも混じる坑内夫 | うつぎ |
賀茂祭輿静々と葵揺れ | ふさこ |
濡れしのち夕陽に燃ゆる白牡丹 | 勉聖 |
夏の空寄り重なりてエノテラ花 | ほたる |
若葉風展望台にひと休み | やよい |
さそり座や待ちゐる姿南風 | 藤井 |
落とし文幾つも拾ふ杣のみち | 澄子 |
ナイターの浜風渡る外野席 | 千鶴 |
母の日や母の苦労を鑑みる | わかば |
倒木も豊かに青葉茂りをり | 和繁 |
農家カフェ曲がりし胡瓜食べ放題 | かかし |
夏茜羽根水平に過りけり | 明日香 |
小さな夢適ふ喜び薔薇真紅 | わかば |
青葉闇抜けて開けり日本海 | みきお |
2025年05月13日 | |
日輪を包み込むごと牡丹かな | ほたる |
芍薬や花倍増の朝と夕 | 千鶴 |
夏茜ふた回りしてポール先 | 明日香 |
朝顔の開き始めし鐘ひとつ | 博充 |
夏霞突煙雲に今朝の瀬戸 | きよえ |
坑道に響く樂あり滴れる | うつぎ |
シート張り一気に落とす実梅かな | みきお |
校庭の隅に押しやる案山子かな | ぽんこ |
石敷に仕掛け噴水児ら逃ぐる | むべ |
闇深しあをめる白き花蜜柑 | 澄子 |
風薫る境内初の太極拳 | そうけい |
若葉風延々続く遊歩道 | やよい |
切り株を励ますやふに草繁る | えいじ |
五月晴老人駆ける朝の道 | 藤井 |
露天風呂渓の吹き上ぐ若葉風 | 愛正 |
白南風や髪すく少女目を伏せて | 勉聖 |
ルピナスの水掛けやれば立ち直り | せいじ |
母の日や組み立て家具のねじ締めて | なつき |
参道の吹き上ぐ香立つ柏餅 | きよえ |
池鏡若葉の影を楽します | わかば |
平野には金の絨毯麦の秋 | もとこ |
水打ちて風生まれけり路地の影 | 博充 |
母の日や疲れし目にと観葉樹 | せいじ |
山里の宅地の先の竹落葉 | 藤井 |
爺丹精フェンス伝いに鉄線花 | こすもす |
蚊柱が夕日に光る薔薇の園 | 和繁 |
隣家いま庭いつぱいの薔薇園に | 康子 |
満月や並びて丸き大手毬 | わたる |
新緑の古都や国際色豊か | わかば |
連なりしキックボードや風五月 | なつき |
切通し定家葛の花垂るる | むべ |
母の日の花籠セロファン外されり | みきえ |
坑夫像みなイケメンや風青し | うつぎ |
茹であげて翡翠めきたるえんどう豆 | あひる |
蜘蛛の糸桜花弁を揺らしけり | えいじ |
新緑や進んでみたき杣の道 | わたる |
廃校の机の傷や花は葉に | かかし |
大路行く鹿の若角艶々と | 明日香 |
成熟を願ひ間引かる早桃の実 | みきえ |
五月晴れ鳩と向き合うベンチかな | たかを |
密かなる音で転がるやえんどう豆 | あひる |
枝先に揺れる小鳥や春障子 | みきお |
髪上げて深く被りし夏帽子 | ほたる |
水満ちし田に青空の映る朝 | 和繁 |
火曜日は定例会や夏の月 | こすもす |
ちりあやめ足元気配る芝の中 | 愛正 |
花蜜柑一山あげて匂ひけり | 澄子 |
母の日や贈り贈られ四世代 | 康子 |
若葉風簾のかげに黄瀬戸あり | 勉聖 |
田水張り豊作祈願老夫婦 | かかし |
定番の急ぎ帰りて冷奴 | ふさこ |
2025年05月12日 | |
山襞に霧いく筋も立ち昇る | 澄子 |
風五月疎水犇めき二タ流れ | えいじ |
母の日や確とお礼を書く老母 | せいじ |
幹裂けてなお咲き滴る藤の花 | 勉聖 |
さくらんぼ葉の繁りいて見つからず | 董雨 |
若楓重なる狭間鴟尾光る | わかば |
大輪の数多かぐはし薔薇の門 | むべ |
急ぎ入れる洗濯物や月涼し | こすもす |
黄薔薇咲く多くスマホにおさまらず | 董雨 |
アップアップしてる早苗や青き空 | 明日香 |
田舎にはいなかの名前井守町 | 藤井 |
ぷうぷうとインコ啼きけり夏の夜 | 和繁 |
尼の墓若葉青葉の日の班かな | なつき |
朱の鳥居覆ふ若葉の手向山 | わかば |
風鈴の音のひとしきり風の路地 | あひる |
初生りの真っすぐ伸びし胡瓜かな | 千鶴 |
菜の花をまっぷたつにし川早し | 勉聖 |
ほろ酔ひて帰る田道の早苗月 | 藤井 |
外灯に浮かびあがりて夜の薔薇 | あひる |
車道脇僅かな隙に犬ふぐり | みきえ |
卓上で食べ頃を待つシャーベット | 康子 |
緑陰や饒舌の父肉を焼く | みきお |
待ちわびたフラワームーン昇りけり | わたる |
外風呂の沸きて賑わふ菖蒲の日 | 愛正 |
ぽつねんと空見上ぐなり雲は夏 | ふさこ |
蔓薔薇の攀ぢる医院の窓格子 | せいじ |
里照らすフラワームーン優しけり | わたる |
葉桜のトンネル潜りみづみづし | むべ |
囀りをビージーエムに読書かな | 山椒 |
夏きざすベンチで憩ふ口輪犬 | ぽんこ |
柏餅できたてをまず仏壇へ | ほたる |
ヤマボウシ尖る花びらお茶目なる | たか子 |
捕虫網構へる子らの忍び足 | 康子 |
写生する子ら取り取りの夏帽子 | やよい |
ステッキの夫に寄り添ふ杜若 | なつき |
埠頭いま雲母光りに夏の海 | 澄子 |
逆光に浮かぶ人影大夕焼 | みきお |
駅頭を飛び過ぐる影初燕 | 山椒 |
夕飯は蕨三昧こごみ三昧 | 和繁 |
花あやめ取り囲まれし辻地蔵 | 愛正 |
故郷の山河を繋ぐ麦の秋 | えいじ |
老鶯の声とさざなみ島日和 | もとこ |
濁り池大口集ふ夏の鯉 | みきえ |
2025年05月11日 | |
別れがたきか離れあぐむや錦鯉 | ほたる |
木道にえご散る下山ルートかな | むべ |
万緑をまたぐ橋桁潜りけり | 康子 |
ささゆりや一本ずつの支えあり | 明日香 |
日焼の子笑ふ口元歯の白し | みきお |
母の日や嫁の手配に子の名前 | もとこ |
翆黛の著るき山々夏にいる | わかば |
永遠に超え得ぬ人や花は葉に | 勉聖 |
母の日に虎やよーかん届きけり | 董雨 |
廃校の廊下奥まで大西日 | みきお |
海峡の藍を深めて夏に入る | わかば |
友逝きて袖に染むなり春時雨 | 博充 |
あやめ咲く一雨毎に増えにけ | 董雨 |
雨光る紫陽花の葉の緑かな | きよえ |
水の面に風そよぐなりかきつばた | 藤井 |
子のににカーネーションの赤見えて | なつき |
春の水千々のさざ波煌めけり | 山椒 |
風五月光りて転ぶ菓子袋 | えいじ |
整うの未だわからぬ夏サウナ | わたる |
分かち合ふ午後の一時卓の薔薇 | きよえ |
ジャガイモの花と教はる二人連れ | みきえ |
稚錦のすばしっこきやまだ白し | ほたる |
あるがまま真白が美味し冷奴 | えいじ |
田起こしの音こだまする峡の里 | やよい |
若葉風添へてランチの農家カフェ | かかし |
屋根の上今はゆつくり飛ぶ燕 | 和繁 |
黒雲と春田の狭間鳶揺るる | 和繁 |
総出して池の草刈り朝一番 | 千鶴 |
遠雷の余韻に畑鎮まりぬ | 博充 |
土産とす馴染みの店の柏餅 | こすもす |
白牡丹いとも容易く崩れをり | 澄子 |
幼虫の榎若葉へ同化して | 明日香 |
オルレアに朝日の注ぐ風五月 | むべ |
老桜干されしシャツに母の影 | 勉聖 |
普段着の医師ぎごちなく薔薇手入れ | せいじ |
庭園は僕の図書館春の風 | 山椒 |
噴水のしぶける真中競走馬 | ぽんこ |
薫る風古道が近き隣村 | 愛正 |
松林縦横抜き去る風薫る | 愛正 |
母の日や嫁からもらふ花二つ | みきえ |
一面のたんぽぽの絮風を待つ | 康子 |
添へ木にも千年欅若葉萌へ | かかし |
スフィンクス風に猫座りをる木陰かな | こすもす |
一輪ずつ子よりカーネーションを受く | なつき |
満月にゆがみ僅かや麦の秋 | 藤井 |
母の日の植へし鈴花偲びけり | わたる |
ジャスミンの香るアニマルクリニック | せいじ |
2025年05月10日 | |
母の日や母に贈りしバッグ持つ | もとこ |
快音に湧くスタジアム風薫る | みきえ |
昨日今日切り口並ぶ蕨かな | ほたる |
忘れずの勿忘草よ今日咲けり | わたる |
雨の日の春の田眠るかの如し | 和繁 |
灯の下に紅茶と厚き翻訳書 | 勉聖 |
万緑を眼下にしたる句会かな | 康子 |
葉桜や皆と遅れし休暇なり | ふさこ |
メイドらも卒業し行く秋葉原 | 山椒 |
古書の中恋文ひとつ薄暑かな | 博充 |
街角に気安く薔薇の売られをり | 澄子 |
黄薔薇咲く西南の庭数二十 | 董雨 |
糸柳みどり一筆川の風 | 愛正 |
大樹にて葉のこまごまと青楓 | せいじ |
鈴蘭の小さき匂ひ確かめり | わたる |
兜型の箸袋添へパック飯 | こすもす |
親燕何度も飛行子等続き | きよえ |
青芝や球児ら讃ふ外野席 | みきえ |
万緑の中防草シートまっすぐに | ほたる |
二百円の筍飯や完売す | こすもす |
出てるよと呼ばれて仰ぐおぼろ月 | せいじ |
夏安居香煙真すぐに立ち昇る | たか子 |
医師迎う庭草とりて安堵する | 董雨 |
咲き満ちて薔薇のアーチの影深し | 勉聖 |
青嵐猫の佇む縁の下 | 博充 |
ローカル線襲ふ谷間の藤の波 | 愛正 |
花香るひとつばたごの震へかな | えいじ |
かけ声も嗄れてボートの練習生 | やよい |
岩肌を新緑覆う雨上がり | きよえ |
暗き山椎の若葉のぽこぽこと | 明日香 |
行儀良く並んで届くさくらんぼ | 康子 |
紫が小雨に映ゆる杜若 | なつき |
色深き紫蘭顔出すなぞへかな | むべ |
百千鳥音なく伸びる飛行雲 | 澄子 |
馬鈴薯の花房ふえし朝かな | あひる |
莢豌豆ふくらみすぎし花壇かな | あひる |
きらきらと日も弾きをり蜘蛛の糸 | 藤井 |
老鶯や渓響かせて鳴き交はす | 藤井 |
柿若葉茶釜残して野点果つ | なつき |
樟大樹また間に芽吹く木肌かな | ぽんこ |
降り来たる黒雲初夏の山圧す | 和繁 |
名物に並ぶのも慣れ夏来る | 明日香 |
僧堂に響く読経雪深し | 山椒 |
エクセルの家計簿始む麦の秋 | 千鶴 |
ママ五人ひとつばたごの花の下 | えいじ |
緑陰に開く一冊風めくる | むべ |
2025年05月09日 | |
白煙と鐘の音響く五月かな | みきえ |
新緑や翁は深々スクワット | えいじ |
クリスタルビルは空色夏来る | 康子 |
新緑を添えて引き立つ奈良の寺 | 明日香 |
穴子割く手際の良さと生きの良さ | たか子 |
蛇穴を出でしそのままひかれけり | 千鶴 |
後ろから目残し恵み蕨かな | ほたる |
深呼吸散歩コースの新樹光 | こすもす |
高らかに響く木遣りや夏祭 | 山椒 |
ごつい手の静かな捌き新茶汲む | ほたる |
石の塀苔の張りつく五月かな | 藤井 |
夏きざすパネル漲る太陽光 | 愛正 |
四阿に憩えば風の樟若葉 | わかば |
足元に菜の花敷ひて月の山 | わたる |
横断旗持ちて駆ける児新樹光 | 和繁 |
だんじりの集ふ万博五月雨 | きよえ |
羽音立て払へど寄り来蚊の出でし | みきえ |
初蛙しきりに鳴くや池のはた | むべ |
亭涼し一輪飾るちまき籠 | 康子 |
山下る翁持つ籠の夏蕨 | 愛正 |
夏空に鉄塔かすめ飛機着陸 | ぽんこ |
風鈴や古書店奥に開くる窓 | 博充 |
若竹のはや唸りたる茶室裏 | なつき |
夏帽の顎紐締める父子の笑み | えいじ |
駆ける子ら鉢巻は皆菖蒲の葉 | こすもす |
薔薇うまく育てたし娘のプレゼント | せいじ |
花時計回る公園夏めけり | 藤井 |
雨降って鳴きだす蝦蟇の声太き | みきお |
マーガレットカラフル小さきドームなし | あひる |
切岸に覗く朱の色躑躅かな | わかば |
アセチレン臭ふ境内夜店かな | みきお |
花卯木水湧く音の近づきぬ | むべ |
畑に咲く蜜柑の花の無垢の香よ | きよえ |
飲み干して空にかざせりラムネ玉 | なつき |
美しきこの宝石は桜の実 | せいじ |
薫風や紅茶に入るる薔薇のジャム | やよい |
夏めくや影とじゃれ合ふ路地の猫 | 博充 |
名物の一時間待ち初夏の奈良 | 明日香 |
嫁ぐ日の無言の父に桐の花 | ふさこ |
水没す新緑林の現はれり | わたる |
新入りのバラ元気かと朝戸繰る | あひる |
やはらかき銀杏若葉のみどりかな | 和繁 |
アトリエの波打つ硝子夏に入る | もとこ |
2025年05月08日 | |
牡丹散るはらり一片また一片 | やよい |
炎天や木陰の円の縁揺れる | たかを |
大の字をみはるかしけり夏館 | もとこ |
草刈りて無住寺にたつ野点かな | なつき |
噴水に思ひ思ひの背中かな | 康子 |
ドライブに娘が連れくれしこどもの日 | せいじ |
石段に清水流るる美術館 | むべ |
蝶々の吹かれてはまた戻り来む | 澄子 |
不意をつくかたきもあるや筍飯 | えいじ |
垣のバラ今年も咲ひて香り立つ | きよえ |
先導の女騎手ゆく燕子花 | ぽんこ |
花菜咲き揃ひつつあり休耕田 | 和繁 |
線路脇触れんばかりの杜鵑花かな | こすもす |
芍薬を仏壇に活け華やかに | 明日香 |
腰蓑の揺れる鵜匠の手の捌き | みきお |
若葉会男ひとりの短歌会 | 藤井 |
路地だれも通らぬ今宵おぼろ月 | あひる |
葉柳の茂る並木の校門前 | きよえ |
故郷への沿線植田続きけり | こすもす |
夏つばめ農道低く翔び来たり | 千鶴 |
狭庭にも草の勢い夏来る | ふさこ |
山雀の懐いてきたり名を付ける | わたる |
垣根越し足止め語る花あやめ | 愛正 |
神鏡に吾の顔映る新樹光 | なつき |
田起しに混み合ふ道を譲り合ふ | 和繁 |
斜に少し構へて座る夏帽子 | えいじ |
猿石の小首かしげて都草 | 明日香 |
万緑に潜り込みたる信号機 | 康子 |
新聞に分け合ふ春菜旬になる | 藤井 |
風五月筆の走りの良き日なり | うつぎ |
風を跳ね空駈ける如鯉のぼり | 山椒 |
園児らの帽子攫ひて青嵐 | むべ |
燕の子見とれてしまう親心 | わたる |
夏めきて鉢物移ろふ小庭かな | 愛正 |
細波に溺れそうなる早苗かな | みきお |
庭先にたけのこ茹だる山家かな | あひる |
古都の路地上リ下リて夏兆す | 澄子 |
アカシアの双樹に和むゲート前 | せいじ |
2025年05月07日 | |
蹲る蕨をしばし見つめけり | わたる |
山間に線路消へゆく夏霞 | むべ |
風受けてシンクロスイム鯉のぼり | 山椒 |
読みはじむ使徒行伝や窓若葉 | あひる |
花房を振らば鳴るべし栃の花 | せいじ |
薫風を入れて新車の祓はるる | 千鶴 |
開け放つ堂の読経や緑さす | うつぎ |
緑風や童女従へ賀茂の川 | ふさこ |
園うららど忘れしたるハーブの名 | せいじ |
老鶯の良く啼く日なり生家訪う | こすもす |
万歩計いつしか増える山菜採り | ほたる |
遠山の翠黛しるき五月かな | 明日香 |
桜散る空家の前の駐車場 | 藤井 |
一泊のショートステイの夏衣 | あひる |
花過ぎし老木見上ぐ老夫婦 | 愛正 |
溝浚へ操るショベル調子良し | みきえ |
初夏の風濯ぎ物腕に絡めをり | きよえ |
ときおりに竹串刺さる茹で筍 | えいじ |
生家へと空港抜ければかかり藤 | こすもす |
初夏の雨風激し寝汗かな | 和繁 |
筍の真二つなるや鍋の湯気 | えいじ |
日傘閉ぢ風の八橋渡りたり | なつき |
初節句嬰は上座で眠りをり | 康子 |
家居して画面の万博見る五月 | たか子 |
孫を祝ふことの幸せ子供の日 | 康子 |
遠山の稜線くっきり五月晴れ | みきえ |
靴擦れに休むベンチや藤白し | なつき |
埋め尽くす桜の雲を渡りけり | 山椒 |
友と打つ駒の響きや夏は来ぬ | 藤井 |
新緑のまばゆひまでや鳥語飛ぶ | きよえ |
山々の輝きそめる椎の花 | 明日香 |
夜来雨馬場の重たし競べ馬 | ぽんこ |
日向ぼこ喜寿も傘寿も良く笑ふ | みきお |
嘘つかぬまじめ一徹四月馬鹿 | みきお |
老鶯の声よく響く宵の森 | 和繁 |
麦秋や帽子の紐にひと雫 | 博充 |
白焼きか照りか迷ひの穴子寿司 | もとこ |
おりとれば涙の如き蕨かな | ほたる |
廃校の砂場の樹陰里若葉 | 愛正 |
夏空や羽音を残し消ゆる鳩 | 博充 |
手に受けし花びらひとつ山桜 | わたる |
夏蝶の三きょうだいやも知れず | むべ |
2025年05月06日 | |
物淋し葉桜迎ふ無人駅 | 愛正 |
しゃぼんだま噴き出している広野かな | あひる |
指先の作る樹形や緑摘む | 康子 |
雨音をバックにドラマ初夏の夜 | みきえ |
大蟻や葉裏に伸ばす手を伝ふ | むべ |
権禰宜の摂社を拭ふ祭前 | なつき |
五月六日の手づくり煮込みハンバーグ | 和繁 |
入口へみちびくかほり針槐 | あひる |
風鈴の鳴りはじめたる路地親し | 澄子 |
母の日の送られし杖用心棒 | ふさこ |
母の日や仏間を抜ける風やさし | 藤井 |
「一芯三葉」亡夫の口癖新茶摘む | よし女 |
緑摘む女庭師の指やさし | 康子 |
耐へきれず雨にうなだる牡丹かな | うつぎ |
初蝉や歓呼のキャディー空見上ぐ | えいじ |
杉の秀を取り合う鴉巣作りに | 明日香 |
夏野菜先ずは畑の土作り | こすもす |
紫に戸口昇るや鉄線花 | みきえ |
吾を父と呼ぶ若き友こどもの日 | せいじ |
サングラス取って黙祷ドーム前 | みきお |
半年かけ土より出でし新玉ねぎ | 千鶴 |
春風や気球に乗って旅に出る | 山椒 |
連休の帰りし子らに虹の橋 | わたる |
祖母の手によく馴染みたる団扇かな | 博充 |
寝坊してひねもす卯の花腐しかな | 澄子 |
有機農業の受講中とや夏来たる | こすもす |
白薔薇を浮き立たせをり夕薄暮 | 明日香 |
プリンセスミチコてふ薔薇家苞に | せいじ |
夜半の雨上るや否や夏の虫 | きよえ |
雨催ひ丸くなりける花蘇芳 | 和繁 |
湾曲の水平線や夏きたる | 藤井 |
あか星や雲なき空に夏は来ぬ | えいじ |
潮垂るるバケツでもらふ浅蜊かな | むべ |
木も草も背伸ぶ勢ひ夏来る | きよえ |
若葉して姿整ふ庭の木々 | 愛正 |
山の風孕み幟の川渡し | やよい |
安居てふ句作に浸る一日かな | もとこ |
指折りて友の名告ぐる一年生 | なつき |
駄菓子屋は休日返上子供の日 | 山椒 |
風薫る携帯ラジオ新調す | わたる |
新緑の中を出勤クールビズ | みきお |
夏の月靴音ひとつ灯の消ゆる | 博充 |
2025年05月05日 | |
無防備な蟻の行進続いてる | 明日香 |
一家して貝を見せあふ磯遊び | えいじ |
ゴールデンウイークの日のネット買ひ | 藤井 |
夜半の雨上がりて急ぐわらび採り | ほたる |
谷渡る風飲み込むや鯉のぼり | 山椒 |
捕まえてみよとばかりにしゃぼん玉 | あひる |
春眠や差し込む日差しまどろめり | 博充 |
砂浜の簡易テントや磯遊び | こすもす |
誰も来ぬ黙す一日や子供の日 | やよい |
青空にソフトクリームかざし食む | あひる |
梅は実に出世稲荷に影青し | なつき |
残りしは穂のほぐれたるわらびかな | ほたる |
名知らぬ昆虫小庭の花巡り | 愛正 |
新緑の色映したる小川かな | 康子 |
若葉風吉と出でたる御籤かな | 澄子 |
すれすれに麦の穂波を夏燕 | えいじ |
臙脂から真白に変じ咲くジャスミン | せいじ |
薫風や父母の見守る横断旗 | わたる |
明神に氷甘酒崩し食ぶ | なつき |
でで虫やタイパ•コスパを気にしない | 明日香 |
初夏の高原の風ビーフシチュー | 和繁 |
毎朝の水まき蜂の来訪に | ぽんこ |
浅蜊吹く厨の床の潮溜り | むべ |
図書館の落ち着く場所は花水木 | たか子 |
薫風に鯉のたなびく最上川 | わたる |
立夏の空飛行機雲の伸びゆけり | 千鶴 |
日の丸の旗くっきりと青葉風 | 康子 |
百年の杜を養ふ噴井かな | むべ |
夏兆す単衣紬の藍衣 | 澄子 |
母の日やひとつ増へたるエコバッグ | みきえ |
児が描く母は丸顔チューリップ | 藤井 |
万緑の山に響かす鐘一打 | うつぎ |
柿若葉その葉艶艶幹太し | きよえ |
帽子を脱ぎやっと落ち着く花疲 | みきお |
石橋に春水の影あそびける | もとこ |
傘さして歩みし男日焼け足 | みきえ |
故郷の山美しく立夏かな | こすもす |
葉桜に見え隠れする峠茶屋 | 愛正 |
こどもの日掃除ロボット充電中 | 和繁 |
枇杷を食む思わぬ種の太さかな | みきお |
青鷺の脛屈む如立つ川辺 | きよえ |