2024年12月03日 | |
音たてて踏み行く落葉幾種類 | うつぎ |
見晴るかす冬夕焼や天守閣 | やよい |
てくてくと歩き賜る小春の日 | 澄子 |
裸木の枝に散り散り柿のへた | 和繁 |
このあたり生家ありけり冬木立 | みきお |
藷蔓の小山乾けし夕日影 | そうけい |
風の意のままに我が街冬兆す | たか子 |
車窓より句帳を照らす小春の日 | 康子 |
秋深し垂るるにまかせ葡萄蔓 | 風民 |
散紅葉掬ふ手水に踊りをり | 康子 |
一休みお茶代わりなる蜜柑かな | こすもす |
墳丘に思いを馳せる凍つる道 | 明日香 |
ぼつぼつと始めむ老の年用意 | はく子 |
駅小春問はず語りの女に和し | せいじ |
降り注ぐ如き紅葉や天埋め | 山椒 |
石磴の上に大杉天高し | 山椒 |
銀杏散る手を上げはしゃぐ子供かな | みきお |
京言葉案内やはらか冬座敷 | もとこ |
松林真っ赤に染めて冬夕焼 | きよえ |
目覚めればさっと相寄る番鴨 | えいじ |
冬あたたか歯科と眼科の検診日 | 千鶴 |
貼替へし障子の影絵子ら躍る | 愛正 |
冬鳥の横たふ浜の波光る | えいじ |
冬日落ちアイエスエスを仰ぎ見ゆ | あられ |
傾ぎゆくむらさきがかる白小菊 | なつき |
ライブへと腹ごしらへにおでん食ぶ | なつき |
時雨心地席譲られしお年寄り | ほたる |
届きたる蜜柑あちこちお裾分け | こすもす |
詣で道落葉時雨に差し掛かる | うつぎ |
やはらかな光を纏ひ黄落す | 澄子 |
落ち葉焚き残りし灰のやわらかし | ほたる |
青く透け紅に照りたる冬紅葉 | むべ |
赤福は完売と札駅師走 | せいじ |
病癒ゆ夫と戴く薬喰 | きよえ |
マンションの全戸干し物冬温し | たかを |
冬の雨静かに濡らすキトラ墳 | 明日香 |
きめ粗き樟にまとわる羊歯の葉も | ぽんこ |
その中に鳥の紛れて銀杏散る | 風民 |
2024年12月02日 | |
冴ゆる夜や車窓またたく民家の灯 | せいじ |
白桃の色に浮かぶや冬薔薇 | 和繁 |
道すがら茶の花殻の散らばりて | 明日香 |
熱燗や隣の人と一夜酒 | ふさこ |
小春日や大き狸に迎へられ | みきえ |
券を得て初冬にうれし第九かな | たか子 |
小春日や見晴台へと足延ばし | うつぎ |
冬ざれの山にふはりと靄かかり | 明日香 |
俗世からはるかに霞む雪の山 | たかを |
十一の冬に抜かれし背くらべ | 千鶴 |
おのが影微かに映ゆる冬三日月 | えいじ |
回廊を巡る白足袋軋みをり | 澄子 |
寒昴友と語らふ通夜帰り | 愛正 |
鞄よりはみ出す大き松ぼくり | むべ |
紅葉の狭間法輪天を突き | 山椒 |
冬芒日暮れの路に幡なして | きよえ |
どんぐり駅電車ごっこの来て止まる | 風民 |
せせらぎの空に連ぬる紅葉かな | 山椒 |
正面にシリウス光るチャペルかな | あひる |
木枯らしや手旗信号訓練中 | こすもす |
朝刊の配る足音霜柱 | みきお |
幼児等の遊具補修や冬うらら | こすもす |
武蔵野を集めし煙落葉焚 | むべ |
弁当の予約も楽し顔見世に | もとこ |
紅一葉桜落葉や石の上 | えいじ |
何処からかバッタ飛び来る庭手入れ | 董雨 |
閑けさや落葉玉砂利踏む社 | やよい |
行人もギリギリダンス城小春 | せいじ |
積み上がる落ち葉の袋欅道 | あひる |
松江城歴史を巡るこたつ舟 | みきお |
波光る寄りては潜く波止の鴨 | きよえ |
白足袋や結い上げてみゆ富士額 | 澄子 |
冬晴や能勢より望む甲山 | うつぎ |
照り返す紅葉明かりフットボール | ぽんこ |
2024年12月01日 | |
十二月弘法市で仏具買ふ | なつき |
着膨れて遊ぶ昭和の子供かな | みきお |
谷埋む紅葉や雲の流る如 | 山椒 |
焼き味噌をせむとて拾ふ朴落葉 | うつぎ |
白壁の目立つ影絵や花八手 | 愛正 |
柊の匂ふ池垣小さき花 | みきお |
久々の湖畔巡れば帰り花 | うつぎ |
会堂のクリスマスツリー星キラリ | きよえ |
真鍮の手燭きらめく待降節 | むべ |
冬日和天守に望む船の影 | やよい |
風雪防ぐ柵の整列十二月 | 和繁 |
陽光に煌めく紅葉真如堂 | 山椒 |
冴ゆる夜や注文取りに庭師の子 | あひる |
選句する蒲団の肩の鼾犬 | えいじ |
高窓や桜紅葉の額のごと | みきえ |
青空を突き刺す銀杏紅葉かな | ほたる |
会堂に燭灯り初め待降節 | あひる |
ブロッコリー採取して売る夕の畑 | そうけい |
待降節世界の和解説く牧師 | 和繁 |
銀杏落葉踏まれ微塵の外苑路 | ほたる |
ハイウエー日浴び晴れやか冬紅葉 | きよえ |
つむじ風すすきの穂波ほしいまま | 明日香 |
冬日燦覗くは蘭の花芽らし | はく子 |
高値なり手に取り戻す冬野菜 | ふさこ |
ジャングルジム粧ふ山の近くなる | 風民 |
荒れ田には綿菓子のごと芒の穂 | 明日香 |
ユリノキの枯葉蹴散らすジョガーかな | えいじ |
寒晴の化学プラント白火り | せいじ |
誕生日のたこ焼パーティー師走来る | こすもす |
高きよりライスシャワーめく黄落期 | むべ |
着ぶくれてモスラ這うごと双子をり | もとこ |
凍星に対峙すコンビナートの灯 | せいじ |
ぬかるみて時雨つづきについ愚痴が | 千鶴 |
百幾年薄れる墓碑に小鳥来る | ぽんこ |
館ぬくし本上げますとリサイクル | たか子 |
電柱のからす毛まとむ冬日差 | そうけい |
2024年11月30日 | |
音響く庭師の鋏師走空 | 董雨 |
突風にフィナーレのごと銀杏散る | 風民 |
大天守巡れば寒し沖つ風 | やよい |
きらきらのさざ波よぎる鴨の澪 | 明日香 |
山門を潜り帽子に紅葉かな | 澄子 |
廃屋の大樹刈られて落葉無く | みきえ |
葉の陰に赤く灯せり冬苺 | みきお |
最上階クレ−ン三基の凍て雲に | そうけい |
一水に筏流しの散紅葉 | むべ |
改めてレシピ確認大根煮る | こすもす |
喘ぐやに背高泡立草枯る | えいじ |
雑草に負けさう庭の冬菜畑 | なつき |
大屋根の空鳥渡る天満宮 | 山椒 |
鯨鳴くといふ恋しさ我もまた | もとこ |
鎌もたげそのまま死せり枯蟷螂 | みきお |
余生入るシニア並びて日向ぼこ | ふさこ |
味噌を搗く母を見守る役は父 | あひる |
まぶだちを見舞ふ師走のプチ旅行 | せいじ |
雨去つて雲に寝転ぶ冬三日月 | えいじ |
糸杉の香るリースや待降節 | むべ |
舗道行く足が師走となってゐし | うつぎ |
大戸口一隅占むる花八手 | 愛正 |
古ショール亡母の自慢を思ひ出し | あひる |
もう一つ蕾増えたり冬の薔薇 | こすもす |
電線に列なし日浴ぶ冬の鳥 | きよえ |
霜月の果てる日の土粘っこし | 千鶴 |
楠大木を見守るごとく実南天 | ぽんこ |
おしどりの群見し周防の奥小野湖 | よし女 |
秋夕焼山嶺青む京盆地 | 山椒 |
起きてきた妻に初雪教へられ | 和繁 |
花びらのあひだに雪のとどまりぬ | 和繁 |
宿り木の天網透かし冬の空 | 澄子 |
村の民家一際黒き寒夕やけ | そうけい |
溢れたるクロスを染めるボジョレヌボ | ほたる |
赤帽の子ら駆け回る落葉掻き | みきえ |
せきれいに囃されており昇り坂 | あられ |
教えどり尾を振りながら振り向かず | ほたる |
冬空にカラス四、五十映画めく | 明日香 |
味噌樽の茶室は紅葉灯りかな | なつき |
気動車に聞く国言葉冬ぬくし | せいじ |
園広場冬薔薇直ぐと自生かな | きよえ |
2024年11月29日 | |
雨男けふは晴れたる七五三 | なつき |
色のまだ染まずままなる冬紅葉 | 千鶴 |
暮れ易し狭のそこひの灯りかな | 澄子 |
走り根の縦横無尽寒き朝 | ふさこ |
男声ギターに合わせ寒がらす | ぽんこ |
冬うらら日差しの眩し雲光る | きよえ |
ぎっしりが疎らとなりて干椎茸 | 風民 |
清水の谷の纏へり夕紅葉 | 山椒 |
散紅葉桜の下に色重ね | きよえ |
にわたずみ小春を映しやや揺らぎ | 明日香 |
冬の夜や餃子六十湯気のなか | えいじ |
母の知己訪ふて語らふ暮れ早し | みきえ |
はらはらと霜降るやうな枇杷の花 | えいじ |
遠くから売り声聞こゆ寒蜆 | みきお |
足元の熱き早朝暖房車 | 康子 |
雲間より差し込む朝日冬時雨 | 和繁 |
連れ立ちて車道をわたる冬せきれい | 明日香 |
手袋をはずし赤子の手を温め | 康子 |
ポインセチア胸に抱へる家路かな | むべ |
薄ら日を纏ひ播磨の山眠る | せいじ |
カーテン越し裸木の影揺らめきぬ | こすもす |
日の神てふ大磐石据へ山眠る | うつぎ |
野の香りのせて銀杏おこわ盛る | ほたる |
迫力あり能面のごと朴落葉 | 愛正 |
冬日燦普通電車に四十分 | みきえ |
まだまだと蓋閉じ夫の河豚雑炊 | もとこ |
池の鳰眼光鋭き面構え | よし女 |
冬晴や車窓きらめく須磨の海 | せいじ |
鍋焼うどん一玉半の二人分 | あひる |
枯葉舞ふ園の駆けっこくるみ組 | たか子 |
椀に盛る如小菊の数珠繋ぎ | そうけい |
老い二人歩数三桁の日向ぼこ | そうけい |
爆心地貫く道路ルミナリエ | みきお |
水琴の響き深けり散紅葉 | 山椒 |
日向ぼこの猫人好きで城に棲む | やよい |
日短か畑道はただ風の音 | 風民 |
明星の釣瓶落して昇りけり | むべ |
毘沙門堂仰ぐ青空冬紅葉 | 澄子 |
供花全て庭に得しもの石蕗も又 | こすもす |
小春日や抱く子につられ大欠伸 | ほたる |
2024年11月28日 | |
桜紅葉乳鋲錆びたる大手門 | やよい |
辞儀深く背高泡立草枯る | えいじ |
冬の雷音だけ残し何処へか | 明日香 |
沐浴に眠る赤子や冬ぬくし | 康子 |
気に入りの暦開きて待つ新年 | みきえ |
乗換三度の播但線や山眠る | こすもす |
枯菊や笑ひ羅漢の笑へよと | もとこ |
懸大根明るき軒や里の道 | むべ |
ひつぢ田を湿原にして潦 | せいじ |
ひび割れの地蔵のお顔毛糸帽 | ぽんこ |
走り根の押し競めきし枯葉かな | えいじ |
棋士ふたり仰ぐ紅葉の天守閣 | せいじ |
一条の日差しスポット紅葉燃ゆ | 澄子 |
ポインセチア赤白ピンクとりどりに | 明日香 |
宣伝のラジオ気になる節料理 | みきえ |
いないいないばあ手に持つ朴落葉 | 愛正 |
逆行なる銀杏落ち葉の万華鏡 | ふさこ |
窓磨く肩に冬日の留まりぬ | むべ |
軒下に雨風避ける寒雀 | みきお |
木の葉舞い宵の明星潤みけり | えいいち |
巻き上ぐる風に目深に冬帽子 | きよえ |
野葡萄は森の宝石吾の宝石 | うつぎ |
着膨れて夫押す母の車椅子 | あひる |
畑走る若人の売るブロッコリー | そうけい |
雨雲の分離独立冬暁 | 和繁 |
氷塊に羽を休める尾白鷲 | みきお |
大玻璃の紅葉に染まる京料理 | なつき |
靴下にホッカイロ敷き冬の畑 | 千鶴 |
軽鴨のアイライン映ゆ朝池畔 | よし女 |
一両電車のボックスシート着膨れて | こすもす |
ひときわの紅や吾子より林檎来る | あひる |
歯医者へと美容院へと師走来る | たか子 |
北山時雨リュックに杖をたたみ入れ | なつき |
ゆず袋揉んで滴る仕舞風呂 | 康子 |
2024年11月27日 | |
時雨るるや否や点りし街路灯 | せいじ |
夕焚き火真っ直ぐ天へ黒き煙 | ほたる |
斎串立てお神酒を供ふ冬社 | 明日香 |
人よんで囲みたくなるおでん鍋 | うつぎ |
枯蘆や鷺の孤高のポーズかな | よし女 |
回覧板干し柿一つ添へ置かれ | よし女 |
茸飯けふは薄味言ひ訳し | みきえ |
軽トラを皆で押し上ぐ刈田かな | 山椒 |
地蔵さん余り毛糸の冬帽子 | もとこ |
コンビニのおでんの匂ひ冬来たる | みきお |
山眠る帰路はうたた寝バスの旅 | ふさこ |
雑草にまぎれ蒲公英返り咲 | きよえ |
城壕に揺らぐ紅葉と天守閣 | やよい |
吉例のまねき上げたる京師走 | みきえ |
荒ぶ風しなふがごとく冬の浜 | えいじ |
濠映ゆる銀杏黄葉の帯写し | やよい |
冬田道ところ選ばぬ土竜塚 | 愛正 |
隼人瓜解かぬ拳の白さかな | むべ |
街並みはクリスマス仕様赤信号 | こすもす |
小夜時雨山の稜線滲ませて | たか子 |
三宝の鳥居を守る寒がらす | ぽんこ |
初冠雪まばゆき朝日の赤城山 | 愛正 |
匂いたつなじむ歪みの花梨の実 | ほたる |
散る黄葉お日様今はかくれんぼ | たかを |
新生児名札つくまま干蒲団 | 康子 |
みちくさは落ち葉の宮や車椅子 | あひる |
紅葉づれる欅並木は万華鏡 | はく子 |
冬の雨畝の谷筋どっぷりと | 千鶴 |
紅葉して降りず降らずみ山時雨 | 澄子 |
好物のカタログ届くズワイ蟹 | 董雨 |
石蕗の咲く軒下花の次々と | きよえ |
柊の花の万朶の霰めく | あひる |
雨垂れの音は空耳小六月 | 和繁 |
道の駅知人の作る大根買ふ | みきお |
からからと木の葉のやうに親方逝く | えいいち |
一両電車から乗換三度報恩講 | こすもす |
狭の村釣瓶落としの日をとどめ | 澄子 |
冬耕の鍬持つ人が聞き手役 | えいじ |
小さき手に思い思いの紅葉かな | 風民 |
街路樹の銀杏の梢雲渡る | 風民 |
夕映をセコイア黄葉濾すごとし | むべ |
綿虫の手に一休みしてをりぬ | 明日香 |
みどりごの大き欠伸や日向ぼこ | 康子 |
この気分相撲ロスらし夕時雨 | せいじ |
水鏡映す紅葉や摩天楼 | 山椒 |
2024年11月26日 | |
降る雨に部屋へ取り込む吊るし柿 | みきえ |
渇筆の漢字一字書師走便 | そうけい |
茶の花愛ず日当たるシルバーカーに座し | よし女 |
冬晴や門前市の賑はへり | なつき |
池の上紅葉の森へ伸びる橋 | 山椒 |
時雨るるや止みて降り出す雲乱る | きよえ |
山荘はベンガラ屋根や冬霞 | せいじ |
行く秋を露天に語り合ふてをり | 風民 |
厚き雲切れて一条冬日燦 | 明日香 |
冬晴れに渋き色好きをんなの子 | ふさこ |
寒暁の寝床の中にある至福 | せいじ |
濡れそぼつ落葉小立に敷き詰むや | きよえ |
城址の石段粗くもみぢ散る | はく子 |
六方に冬晴載せて六角堂 | もとこ |
星のせてクッキー焼く夜降誕節 | あひる |
夕日背に佇立見送る渡り鳥 | そうけい |
サイレンの時雨掻き消す夜更けかな | むべ |
猿廻しの芸に和めり城小春 | やよい |
御所の砂利母娘で踏んで冬ぬくし | 千鶴 |
霜纏ひやや萎るるも美しき | 和繁 |
海鳴りのどよもす冬の月高し | えいじ |
松手入れ茶髪の弟子は黙々と | みきお |
北風と不意の耳鳴り混線す | えいじ |
街灯の周りに小さき返り花 | ほたる |
植えたてのビオラを弾く初時雨 | あひる |
ビル影をすっぽり隠す銀杏黄葉 | ぽんこ |
艶めきし雀の声や冬萌ゆる | みきお |
何やかや男手の無き冬支度 | たか子 |
あれも此れもどれも薬草小六月 | うつぎ |
炉点前の緩急に沿ふ釜の湯気 | 風民 |
火を囲む子ら顔赤し冬キャンプ | なつき |
雪吊りや張り出す茶室水の上 | 山椒 |
秋の浜沖の姫島鮮やかに | よし女 |
梢振る百舌鳥の高鳴白き富士 | ほたる |
寒空や経過観察二つ三つ | えいいち |
朝日来て山茶花いよよ真白なり | むべ |
初冠雪まばゆき朝日の赤城山 | 愛正 |
薄き雲透かし繊月冬天に | 明日香 |
2024年11月25日 | |
偽刑事と刑事を迷い朝寒し | 董雨 |
石垣の崩れし小径石蕗の花 | みきお |
散歩道釣瓶落しと競ひたり | 風民 |
重ね着を血圧計に見破られ | 康子 |
散るままに紅をおく紅葉かな | 澄子 |
朝の路地カラコロ落葉走りけり | 山椒 |
吾の影を生して天頂冬の月 | えいじ |
無農薬なる菜を洗ふ虫と競争 | 明日香 |
壕端の綺羅の反射や蔦かずら | ぽんこ |
独り居の庭訪へば石蕗明り | むべ |
年長さん振り返りつつ路小春 | きよえ |
神輿足袋滲む時雨のつま先立 | ほたる |
浜小春汐木たゆたふ波の音 | えいじ |
枯菊や仏花の役終へ土に伏す | 愛正 |
横丁に香る焼鳥夕灯り | 山椒 |
白菊のの拭う余地無し朝の供花 | そうけい |
黄帽の列正して点呼園小春 | なつき |
手分けして会堂掃除冬あたたか | むべ |
櫨一樹紅ひとすぢにもみいずる | もとこ |
落葉道音と感触楽しみつ | 明日香 |
酉の市ダミ声響く手締めかな | 智恵子 |
おでん種締まらぬ蓋につゆ飛沫 | 智恵子 |
打破したき閉塞感や寒鴉 | せいじ |
雨予報外れて小春日の夕べ | 和繁 |
餅つきの予定日朱書きカレンダー | みきえ |
牡蠣料理新聞レシピ切り取りぬ | みきえ |
日短かや鈍間散歩も急かしたり | えいいち |
合の手のやうに咳する夫と吾 | 康子 |
身をゆだぬ森の静寂や子六月 | ふさこ |
熟柿もぐ玉子のように手渡され | よし女 |
大箱振る武将みくじや冬うらら | なつき |
御所通り廬山寺を訪ふ小春かな | 千鶴 |
一本の蜜柑たわわや生家跡 | よし女 |
城塁に紅葉且つ散る鳥の声 | やよい |
ささやかな自立や夫はりんご剥く | あひる |
鈴の音の空より降らむ楝の実 | 風民 |
日向ぼこがてらに琴の弦張替え | こすもす |
冬晴の児童の笑顔通学路 | きよえ |
夫剥きて彫刻めきし林檎かな | あひる |
寒晴やものみな玻璃を纏ふごと | せいじ |
古井戸の滑車に絡む枯葎 | みきお |
2024年11月24日 | |
ひるがえり水面に一葉照紅葉 | ほたる |
葉を落とす老黐の木に肥土を | 董雨 |
汐風や消えたる冬の虹を待つ | えいじ |
柿の木に残る実一つ垣根越へ | ふさこ |
冬もみじ行楽地行く他国人 | きよえ |
枯菊や仏花の役終へ土に伏す | 愛正 |
霊場を巡るコートを腰に巻き | なつき |
鉄橋の影もそよぎて枯野原 | せいじ |
瓦積み休みし窯や枯むぐら | 千鶴 |
鉄橋の下埋め尽くし芦枯るる | せいじ |
親方休みや勤労感謝の日 | えいいち |
日の色に染まる軒下吊し柿 | 風民 |
水涸れて川底の石白々と | 明日香 |
黄落の道の温みや日を留め | むべ |
冬三日月上げし連山黒屏風 | むべ |
実も枝も落としスリムに柿立てり | みきえ |
小春日の球根はやも芽ぐみたり | 澄子 |
網代組む古りし障子の豪商家 | もとこ |
朝まだきゴミ出し邪魔す寒鴉 | 智恵子 |
春待つや女児の花柄命名紙 | 康子 |
松園の面相筆や館小春 | 明日香 |
鳥声に気づく松間の紅葉かな | そうけい |
園小春一人ベンチで缶コーヒー | なつき |
美術展作者夫妻とはち合わせ | あひる |
湯気立ててお早うの声うべなひぬ | 康子 |
半分は虹に照らされ冬の山 | こすもす |
日照雨とも時雨とも古都隠れ里 | 澄子 |
玄関の戸締りしかと石蕗の花 | ぽんこ |
夕刊を配る路地裏日脚伸ぶ | みきお |
さざ波の皺きらきらと冬夕焼 | やよい |
呼びあへる晩烏つがひや冬茜 | えいじ |
盛り上がる落ち葉の小径赤きのこ | ほたる |
大粒が先に無くなり籠蜜柑 | あひる |
境内を一色に染め銀杏黄葉 | こすもす |
積む落葉猫の住処か無人邸 | きよえ |
皇城を囲むビル群秋の雲 | 山椒 |
来たよ来た白鳥が来た朝日受け | 和繁 |
石畳路地時雨るるや光る道 | 智恵子 |
大伽藍響く梵鐘秋の暮れ | 山椒 |
ひとり居を慣れしかと突く風呂の柚子 | たか子 |
遠くから熊よけの鈴響きけり | みきお |
2024年11月23日 | |
寒風に絵馬の高鳴り六文銭 | ぽんこ |
健やかに老も勤労感謝の日 | きよえ |
モーニング里からと添ふ蜜柑かな | きよえ |
冬の灯や望楼望む東山 | もとこ |
ベンチ座し大秋青を両の手に | えいじ |
もみぢ狩り土産買いこむ道の駅 | はく子 |
トンネルを抜けるや木曽路恵比寿講 | 明日香 |
冬ぬくし書肆の名前はからしだね | せいじ |
アパートを巡りてここに石蕗が | 和繁 |
風に震え畑中に立つ子守柿 | 智恵子 |
声殺し湖を窺ふ寒鴉 | うつぎ |
義歯試着帰路枯草に雨の粒 | そうけい |
定位置に留まりて鵙の猛々し | 澄子 |
仕舞湯を濁して柚子と遊びけり | うつぎ |
辻ヶ花しつけのついた冬袷 | ほたる |
山眠る亜が育ちしをふところに | たか子 |
秋夕焼け光背帯びし摩天楼 | 山椒 |
池の面に紅葉を写し魚跳ねる | 董雨 |
黄落のしきり目を閉じ耳で聞き | むべ |
玻璃窓に映す照葉の絵画めく | 風民 |
初時雨孫の新居の初訪問 | 愛正 |
枯蓮の時を止めたる力かな | 風民 |
時雨来て止みては時雨るリフレイン | 千鶴 |
肩すくめ雨戸開ければ鵙高音 | 智恵子 |
立枯れの大葦原の昏れゆけり | あひる |
香しき煙の匂ひ落葉焚 | みきお |
落日の水鳥の二羽流るまま | ふさこ |
ブラックフライデー人に酔ひをり直ぐ帰る | やよい |
起きて知る庭の湿りや小夜しぐれ | 千鶴 |
蒲団着て選句の肩に犬鼾く | えいじ |
日だまりの縁で爪切る小春かな | みきお |
冬麗の花舗に明るきビオラ選る | あひる |
色鳥の日の斑横切る影淡し | なつき |
一枚の木の葉ベンチに席札めく | むべ |
さりげなき降誕祭の掲示板 | せいじ |
半分は青空に消ゆ冬の虹 | こすもす |
きらきらと綿散る芒入日かな | えいいち |
泣くやうに騒めくの森の冬の風 | えいいち |
照紅葉透かして遠く富士の峰 | 山椒 |
和箪笥にころんと古りしひび薬 | 澄子 |
伸びやかや皇帝ダリア冬空へ | こすもす |
ようやくに白む山の端冬始発 | 明日香 |
毛氈に先客めきし散紅葉 | なつき |
風邪の吾を案じ一人で遊ぶ孫 | 康子 |
2024年11月22日 | |
草虱取り合ふ森の吟行子 | むべ |
木枯や頬かぶりして畑の中 | 千鶴 |
陸奥の友は達者に雪掻きぬ | せいじ |
鳥の声落葉一葉を促せリ | 風民 |
買うなんて考えられず煮るおでん | こすもす |
ひざまづき太さ確かめ大根引く | 千鶴 |
天辺に凛々しき構え冬の鵙 | みきお |
桜木の残る紅葉や蒼き空 | えいいち |
湯豆腐は店で食べへん京都人 | もとこ |
山下る背負いかごの婆柿の影 | そうけい |
時雨きて虹たつ朝の至福かな | やよい |
漆黒の天空統ぶる冬の月 | えいじ |
菖蒲田の末枯れし風情谷戸の風 | 澄子 |
寒肥やし葡萄畑の安らげリ | 風民 |
かくれんぼ上手な零余子逃げ足も | 明日香 |
冬庭の枝間の光芒街路灯 | 愛正 |
こころ旅終章迎へ冬帽子 | たか子 |
木漏れ日に光る紅葉や見とれおり | 董雨 |
紅葉祭り紅絨毯に腰かけて | 董雨 |
落紅葉日を浴ぶ庭に遊ぶよに | きよえ |
参道に輝く銀杏天高し | 山椒 |
寒烏大路に交わす朝のこえ | 澄子 |
西方の落暉に映ゆる枯蓮 | ぽんこ |
補助線をうまく引けた日小春かな | 明日香 |
桟橋の釣り人笑い鰡跳ねる | 智恵子 |
穴仏へブーツ鳴らして出入りの子 | なつき |
孫産まれ届く写真に卓小春 | 康子 |
数多なる懐炉去年のブービー賞 | こすもす |
ディサービス拒否する母へホットレモン | あひる |
笹鳴きや薮から薮へ影動く | みきお |
風もなく綿むしの来て肩叩く | ふさこ |
霊場の四国巡りや落葉雨 | なつき |
冬枯れや里の見え透く雑木林 | 愛正 |
冬の虹大きくかかる通学路 | 和繁 |
陸奥の紅葉は玻璃のごと透けて | せいじ |
日を浴ぶる欅落葉の金茶色 | むべ |
木枯しやたどり着きたるブックカフェ | あひる |
草の間へ秋蝶風を躱しけり | えいじ |
森中に鳥のお喋り冬の雨 | えいいち |
冬の夕宵の明星一つあり | 智恵子 |
寒禽の連呼ぶ声の木立かな | きよえ |
2024年11月21日 | |
初雪の一日でとけしてふ便り | あひる |
民宿の空地に二列懸大根 | こすもす |
穴仏鬼柚子一つ灯りけり | なつき |
赤黒き炭火を模すや冬紅葉 | 和繁 |
落葉掃く我が目の前をまた一葉 | 澄子 |
一日終へ夜具に移り香胼薬 | むべ |
女性市長候補寺市来る小春 | なつき |
冬日和輪になり茣蓙のマイホーム | もとこ |
渋滞の並木啄木鳥奇跡かな | 智恵子 |
寒禽の鋭き声や闇を裂く | みきお |
夕焼雲いざなひ瀬戸や冬夕日 | きよえ |
綺羅見せて硝子さながら冬の浪 | たか子 |
風の色舞の如きに柳散る | ぽんこ |
もみぢ葉に導かれてや観音堂 | 風民 |