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2023年05月30日

森に消ゆ鹿の子見送る小糠雨 澄子
梅雨めくや滑りの悪き椅子の脚 せいじ
よく見れば足湯にも居るアメンボウ こすもす
ガマズミの花が受けとる夏の雨 澄子
香水や笑顔美人のフロント嬢 やよい
パンの香の厨に満ちて梅雨入かな あひる
五月尽喧嘩別れの友と逢ふ もとこ
古墳見学の予定変更蛭のため こすもす
紫陽花の毬盛りなり雨よ来ぬ きよえ
曇天に凜と立ちたる濃紫陽花 満天
梅雨入雨止んで順延悔やみけり せいじ
落ちそうに身を乗り出して鵜飼船 宏虎
漬けたての梅酒の瓶の青さかな かえる
繚乱の山どこまでも滴りて 素秀
杜若青き星めく休耕田 智恵子
仏足石に水あぶれたる梅雨入りかな なつき
数多なる小鉢の薬味初鰹 智恵子
クラス慣れ学級閉鎖や五月尽 なつき
雨垂れも樋打つ水も梅雨入の音 あひる
久々に笑壺に入りてアイスカフェ たか子
梅雨晴や八連勝のタイガース はく子
アカヤスデ初めて見つけムカデかと 明日香
杉の葉の落ちて山なす無縁墓 愛正
火の匂い水の匂いも鵜飼はつ 宏虎
夫曰く老ひの元気や缶ビール きよえ
紫陽花の折れさうな毬見回りぬ 明日香
置き傘の目立つ学校梅雨に入る みきお
友の名を刻む墓石や木下闇 むべ
久に訪う街の変貌五月尽 たか子
捨ててゆくビニール傘や虹の駅 素秀
昼寝する微かな香の青簾 愛正
短夜やまどろみ覚めば明けの空 千鶴
青空に両手を伸ばし袋掛け みきお
らっきょうの眩しき白を洗い上げ ぽんこ
入梅やデイサービスの契約書 豊実
清々し白の華やぎ花菖蒲 満天

2023年05月29日

梅雨入りや雨水こぼし黄のカラー きよえ
老鶯や会話途切れし間を埋めて なつき
心太啜る音のみ田舎茶屋 みきお
焼き魚ぴりりと舌に夏大根 和子
山門に一礼とるは夏帽子 和子
順延を余儀なくさせし梅雨入雨 せいじ
入梅の今日ひと日雨降りつづく 満天
傘打つに風のリズムか青時雨 隆松
学び舎の昼灯す窓梅雨の入り 満天
日暮れても遊びは尽きぬ夏に入る かえる
県境の空は有耶無耶花あふち うつぎ
外出は控えて読書梅雨に入る こすもす
十薬の白さきはだつ前照灯 むべ
新茶買い菓子は羊羹一致する 宏虎
自転車の子ら一列に梅雨の坂 なつき
縁側の網戸をせがむ猫のいて こすもす
起き抜けにスリッパ探す梅雨入りなる たか子
風に乗り眼白の声の届く窓 豊実
桐の紋を付けたる神馬青葉風 ぽんこ
捗らぬ農に追ひ討ち梅雨に入る 千鶴
寄り合ひて唱歌歌ふや梅雨の入り みきえ
紫陽花の水よく上がり生け花に 明日香
小雨中でで虫親子ブロックに 明日香
朝日射す蜘蛛糸あちこち木立道 愛正
街道は万緑最中鳥の声 きよえ
梅雨入や吾が髪の毛は湿度計 あひる
松蝉と美林の共演秘境宿 愛正
まだ空の高きにありて梅雨の雲 素秀
媼食ぶソフトクリーム抹茶入り みきえ
走り梅雨ネオン煌めくボンネット 智恵子
土ぼこり揚げるサッカー夏木立 ぽんこ
茶摘み女の初々しきや頬被り 智恵子
田水張り湖から海へ北上す もとこ
梅雨めくや鉢に子連れの団子虫 せいじ
蜜柑畑跡石垣の青蜥蜴 素秀
宇宙より勝る谷川川床料理 宏虎
どくだみの蔓延る生家老二人 みきお
卯の花のこぼれ避け行く雨の朝 隆松

2023年05月28日

孫訪へば裾下げ請はれ夏ズボン あひる
ペットボトル振りつつ戻る草刈夫 なつき
母好む色でありしや美女桜 隆松
十四才となりて無口な夏に入る あひる
社守る樟大樹の深みどり ぽんこ
蓮池の底にうごめく稚魚の影 ぽんこ
薄暑はや窓全開のミニチャペル せいじ
夏帽子友と揃えの旅行せず 宏虎
美郷てふ名前も美しき蛍里 素秀
引退馬瞳の澄めり五月尽 澄子
新茶汲み眠れぬ宵を悶々と みきお
親指に蟻を這わせて間引く花 素秀
広前を小走りの巫女宮薄暑 和子
紫陽花や改良重ね色分かつ きよえ
紫陽花の赤青紫色咲く小径 きよえ
実に枝に産毛かがやく枇杷たわわ むべ
用水に遊び遊ばる水馬 和子
燕の巣歩を止め見上ぐ道の駅 みきえ
園薄暑鴉が雀追いたてて 満天
声のみを残し過ぎたり軒簾 愛正
孫子らと焼肉パーティー夏の暮 せいじ
グランドゴルフ四方の窓より若葉風 こすもす
青葉光自転車降りて遊歩道 満天
青嵐やベンチに腐心十七音 やよい
戦地へと続く青空麦の秋 みきお
何時の間にか傘寿過ぎたり古茶新茶 はく子
犬は犬子は子と集う園薄暑 たか子
夏草や藁葺屋根に根付きをり 智恵子
梛の花鎮守の杜に盛りなる 智恵子
散歩道ちよいと省略初夏の老 たかを
山蛍ひとつふたつと飛び交へる 澄子
試合開始囃す如啼くホトトギス こすもす
サイダーの泡きらきらと田舎弁 宏虎
ひた歩く見知らぬ街の五月かな もとこ
万緑に吸ひ込まれ行くハイウェイ みきえ
紫陽花の根元の何を嗅ぐ子犬 豊実
背を向けて氷菓を齧る氷菓売り かえる
一週間の長雨予報五月尽 千鶴
水仙翁酔うておらぬと老いが野に 隆松
金魚の子産まれて夫の仕事増ゆ 明日香
松蝉や野外授業の大合唱 愛正
血圧に玉ねぎ料理毎食時 明日香
夏風邪に寝込み七歳誕生日 なつき

2023年05月27日

プレミアムシートに沈下昼寝人 せいじ
杜若ドローン飛ばす守る会 なつき
風涼し楠大樹の傘の中 ぽんこ
夏草に揺れを残して猫の去る 素秀
振り回す蜘蛛の囲光る竹箒 愛正
父母の墓蟻の出入りを許しおく 和子
若葉風おしゃべり尽きぬ部活女子 みきえ
老鶯の声とニアミス駅ホーム せいじ
植田来て水浴びしたる鴉かな なつき
花南天ひそと満開迎へけり むべ
峡谷の光る青羊歯雨上がり 愛正
作るたび固さの違ふゼリーかな かえる
落雷や街中真っ暗信号も こすもす
ハラミ焼く煙の白し西日の矢 豊実
代搔きの出番待ちたるトラクター 千鶴
紫陽花や義姉に介護の日々終はる あひる
孔雀舎に零るひと群雀の子 やよい
着るあてもなく布買ふて梅雨明ける 和子
来週は梅雨の走りか買ひだめす 満天
緑蔭のベンチにハーブ香と風と きよえ
仁王立ち力士の背なへ大団扇 たか子
薫る風ハーブのアーチ手をつなぎ きよえ
夏場所や体も立派優勝す 宏虎
湖鏡を縁取り燃ゆる杜若 智恵子
草刈り機唸る白昼雲の峰 澄子
聖五月洋蘭狭庭統べにけり はく子
LED眩しきほどに夜市の灯 素秀
運転中信号消えし夕薄暑 こすもす
笑みたまふ寝釈迦へ夏の蝶とまる 明日香
学び舎のフェンス囲ひに躑躅咲く 満天
夏帽子軽きリュックの馴染みけり 宏虎
夏服のお転婆きずの膝小僧 あひる
歩み止む斜面沸き上ぐ風涼し 澄子
ぬかるみの轍は深し牛蛙 智恵子

2023年05月26日

汐の香を胸いっぱいに夏の夕 きよえ
雨あがる植田に雲の浮かびおり 和子
竹割って流しそうめん台作り 千鶴
境内を縦横無尽荒神輿 素秀
石垣の宿いさき焼く香の漂ひぬ 和子
囀りに包まれ下る長き坂 澄子
廃屋や緋色に燃ゆる躑躅垣 澄子
庫裏の間に香流れ込む青すだれ 愛正
スナップが実えんどうほど太ってる 明日香
アナウンス流れ浮き立つ夏の旅 もとこ
世界卓球のライブ放送薄暑の夜 こすもす
わが町の駅舎につばめふた家族 あひる
箱眼鏡舟傾けて覗く底 みきお
簾障子日通す先の綿埃 愛正
缶詰のかぱっと開く水羊羹 豊実
老幹を元気づけるや若葉雨 満天
電線を蹴り四方へと巣立ち鳥 智恵子
ペチュニアを喰みて失踪何者ぞ あひる
麦秋の中に一本細き道 みきお
帰宅して窓開け放つ夕薄暑 かえる
手の乗するミニ盆栽の苔青し なつき
夏落ち葉踏みつつ探す皇子の歌碑 明日香
青白き星のはじけり額の花 むべ
波止閑散潮の香乗せて卯月波 きよえ
踏切を園児達待つ町薄暑 満天
立ち葵直立に伸ぶ姿美し たか子
太陽の陰るや否や夕立来る せいじ
一灯も無き箱庭に星明かり 宏虎
歌会まであと二時間やシャワー浴ぶ こすもす
夕明り追うて鴉の麦の秋 素秀
青葉風匂い残して土間抜ける 智恵子
草刈女一番風呂に指揉めり なつき
離れて来た妻を持ち上げ夕端居 宏虎
ケアバスの帰着寸前夕立やむ せいじ
夏空が狭くなりたりビル林立 ぽんこ

2023年05月25日

緑陰やグランド・ゴルフの打順待ち こすもす
残り香に人の気配や杜若 なつき
校舎背に色とりどりの立葵 満天
海岸線潮の香微か若葉風 こすもす
前後ろわからぬほどの日焼けの子 みきお
摑まれて鵜の首細る修羅の闇 宏虎
山葵漬金婚旅行の土産かな みきえ
ガマガエル告ぐかに鳴くや雨近し 千鶴
草臥れて寄り道出来ぬ大夕焼 素秀
松落葉速度増したるすべり台 愛正
老鶯の鳴きて吊り橋渡り切る 智恵子
苗取りの濯ぐ水音ここかしこ みきお
西日さす出窓は猫の指定席 智恵子
一枚は蝶の国なる休耕田 なつき
まくなぎに寂しさ混ぜて払いけり たか子
ワクチンの帰途に転倒青嵐 ぽんこ
朝夕の水遣りはじめ夏に入る かえる
目つぶしを碍子に食らふ西日中 せいじ
若葉風ふたかみ眺む無人駅 明日香
篝火や鵜匠に遠慮無き火の粉 宏虎
子烏の飛んでは戻り飛んで行き きよえ
厨窓ヤモリの足の踏ん張りて 明日香
坂上に朝採り苺並ぶ店 みきえ
八金に逢ふ楽しみや初がつお 和子
巣立つ子をじっと見送り親烏 きよえ
桜蓼「ちひろ」の描くほっぺ色 和子
網戸なほ虫の通ひ路ともなりぬ せいじ
ワクチンの外で待つ人町薄暑 満天
待ちぼうけ駅のつばめに見下され あひる
七十度にふわりと開く新茶かな むべ
防風林立ち居さまざま散る松葉 愛正
緑蔭や老の二人は黙に足る たか子
可憐なる嘴もてつばめ身繕ひ あひる
紫陽花の青に定まる今朝の雨 素秀
薔薇の園見知らぬ人と蘊蓄を もとこ

2023年05月24日

豆飯の匂ひ嫌いな夫の居て もとこ
極上の新茶封切るあしたかな 澄子
夏帽子荷物預けて盥舟 宏虎
九十路夏富士を背に笑み給ふ 澄子
初夏の雲映し運河の滔々と たか子
欄干に身を乗り出して蛍狩り 豊実
茅花の穂風に逆らう者の無し たか子
手箕振るふ慣れし手つきや菖蒲守 むべ
パンジーの気ままな向きやミニブーケ あひる
雨マーク並ぶ六月ピンチかな 千鶴
ビル街を明るうしたる杜鵑花かな せいじ
風薫るベンチにひとり本を読む 満天
相輪を越へてふりくる若葉風 和子
雨上がり白雲走る植田かな 満天
摩天楼ビルを綴りて杜鵑花咲く せいじ
伽羅蕗をしかめっ面で噛む子ども かえる
白日傘神鼓音する氏神様 宏虎
ガリバーのやうな餌を引く蟻遅々と やよい
青葉影寺猫眠る祠かな なつき
七変化縁切り寺へ長き坂 なつき
舞殿を囲む白砂散る松葉 愛正
薔薇園のベンチに並ぶ豆画伯 智恵子
ハーバーの真帆引く船に夏の月 素秀
植田早や泥巻きあぐるものは何 和子
蝉の声目覚めの時刻知らしけり きよえ
風に乗り高み高みへ鷹柱 みきお
「花結び」の作品展や濃紫陽花 こすもす
草刈り機止みて静もる住宅地 みきえ
目覚めるや奏づリズムの蝉の声 きよえ
町はずれ目高の無人販売所 みきお
おすすめの札に釣られて買ふ外郎 あひる
片陰に寝そべる犬と車椅子 智恵子
害虫に食はる青葉や新芽出づ みきえ
貸店舗涼風入れて手作り展 こすもす
星連れて夏三日月は山の上 素秀
里近し下る山路の杉落葉 愛正

2023年05月23日

参道を横切る蛇に印を切る なつき
百円のゲーム券迷ふ祭の子 なつき
万緑を星のぶらんこひと跨ぎ 明日香
紫陽花や土の加減に色づきて たか子
寺内墓地リヤカーに積む杉落葉 愛正
網戸して見れば解れのありにけり せいじ
麦藁のストロー持参喫茶店 みきお
雨晴れて鳥かしましき代田かな せいじ
祈り込める折鶴ブローチ風光る 和子
切り花の引き立て役や霞草 ぽんこ
朝靄の森に郭公木霊せり 智恵子
咲き満ちて池一色に杜若 満天
雨脚や音が音消す皐月闇 澄子
足ふらつく何時も率先溝浚え 宏虎
断捨離の窓全開に夏に入る あひる
紫陽花の私の好きな今日の色 満天
無防備に楽譜広げし揚羽蝶 明日香
籐椅子の座禅の悟り開くごと 宏虎
皐月雨真夜に屋根打つ凄まじさ 澄子
衣替へまだ残したる二、三枚 たか子
梅を干す亡母の呉座有り片隅に もとこ
湯上がりの首のタオルやラムネ噴く 豊実
山羊の背に眩しき夏の光あり 素秀
届く新茶手作りなりと箋にあり ふさこ
輪ゴム手に見よう見真似の袋掛 千鶴
被爆地に人の集ひて新樹光 和子
田水引く濡れつ啄む鷺一羽 愛正
雨後の朝芳しきかな草いきれ 智恵子
靴下のかたちに灼ける素足かな かえる
親燕スクラム組みて高鳴きす むべ
数十年振りの花とや竜舌蘭 こすもす
先がけて二輪明るき金糸梅 あひる
キャンパスに高々竜舌蘭の花 こすもす
ひと鳴きに声を枯らせる杜鵑 素秀
土を踏み古代を偲ぶ素足かな みきお

2023年05月22日

鳥語飛び朝空晴れて蝉の声 きよえ
ティタイム思い出巡る更衣 きよえ
メモ代り五月の暦埋まりけり ぽんこ
ちらほらと数える程の蛍狩 豊実
風薫るペンキ塗りたて白き柵 みきえ
会報作り終へて一汗流しけり 千鶴
蚊の飛翔気づけば耳朶の痒みかな あひる
西からの雨あし虹を連れて去る 素秀
あづまやの席を覆ふや杉落葉 愛正
濡れ縁に地下足袋のまま三尺寝 みきお
紫陽花やひと日の雨に色を増す 満天
加茂川を自由気ままに夏の鴨 もとこ
灯点せば万緑の森沈みけり 澄子
ゲリラ雨駆けてコンビニ人の波 智恵子
冷し酒底の波良し江戸切子 宏虎
飯用にと半分残す青豌豆 こすもす
思ひ出を語りあふ夜や青葉木菟 あひる
篝火の水面にもつれ鵜飼舟 素秀
ひとつだけ買うた氷菓を突き合ふ かえる
列成してグランドゴルフ若葉道 たかを
転んでも泣かぬ赤帽花あふち 和子
鷺一羽植田の隅に立ちつくす 満天
今年竹白き節目の目立ちをり 和子
二花絡み柵に顔出す忍冬 ふさこ
天幕を破りて涼し一つ星 智恵子
居間の木の若葉天井まで届く せいじ
風と来て風と立ち去る黒揚羽 みきお
断崖の反り立つ松や涼気立つ 愛正
付き添ひて巨大迷路に日傘さし なつき
つい見上ぐ無住の家の枇杷熟るる 千鶴
遠来の友包みたる新茶の香 むべ
お菜にと山蕗野路に折り取りぬ 澄子
見頃過ぎ風のやさしき杜若 なつき
色の良し塩加減良し豆の飯 こすもす
窓若葉書淫のまなこ癒しけり せいじ
青竹の切り口匂ふ川床料理 宏虎

2023年05月21日

一閃に雷走る宝塚 宏虎
故郷の兄と見ている蛍かな あひる
雨しずく受けし蜘蛛の囲光りたる 千鶴
どくだみの暗きところに白十字 ぽんこ
四十雀朝明のしじま破りけり むべ
街路樹はジャム用みかんバレンシア 和子
若葉風クラブ活動駆け足で 満天
追ふポイの穴をすり抜く金魚かな なつき
赤ずきんめく子には大きな夏帽子 素秀
鬼灯の花散りて袋になりにけり みきえ
薫風や中学生の顔となり 満天
水脈立てて進む湖蛇の首 みきお
毎朝の手に一盛りの苺摘む 豊実
夏きざす人のんびりとニュータウン もとこ
夏霧や朽木ふいに顕れり 澄子
万緑を抜けてトロッコ電車赤 智恵子
片蔭に沿って歩きぬ八千歩 千鶴
小満の妹に含ます哺乳瓶 やよい
噴水と子らは仲良く遊んでる はく子
近づけばふいと止みたり蟇の声 あひる
肩すぼめ門くぐりたり薔薇の刺 愛正
婿殿になるひと迎へ蕨餅 かえる
そら豆を焼けばいそいそグラス出し 智恵子
路地裏を汗じみ増せりスケボの子 素秀
紫陽花の色変りなす小毬かな きよえ
山映し明日の田植をまつ水田 よし子
病んでなほ世界情勢甚平着て たか子
公民館夏のイベント稽古中 たか子
麦秋の動かぬ雲の白さかな なつき
「どちたの」泣く妹に寄る夏帽子 やよい
チャペルへと足弱と行く薫風裡 せいじ
腕時計キラリと光る夏芝居 みきお
山薄暑樹下に憩ひし人と犬 澄子
早起きの草取り後の睡魔かな こすもす
漆黒の闇を背負うや川蜻蛉 明日香
老い母と刻む若葉の女坂 せいじ
冷麦茶ほす喉越の嬉しさよ きよえ
卯波寄せ桟橋揺れて島揺るる 宏虎
幽玄の夜は更け行く薪能 よし子
ゆらゆらと天をくすぐる楠若葉 ふさこ
若葉風日の斑を顔に遊ばせて 明日香
碧空や代田に揺れるバックネット 愛正
店先に溢れ落ちたるつばめの子 和子
大玻璃戸開けて味わう若葉風 こすもす

2023年05月20日

紫陽花へ先に近づく掲示板 満天
藪うつぎ届かぬ枝の紅深し 澄子
もたもたと身を持て余し衣替え 明日香
父母の居なくて郷は麦の秋 あひる
金のまつ毛風にもめげず未央柳 ぽんこ
端居して賢治の父と吾を重ぬ せいじ
ひもろぎの万葉の香や初夕立 明日香
十薬の白い花つけ同じ顔 宏虎
嵩低く痩身延べし夏布団 たか子
緑さすダム湖の水は深緑 千鶴
芝刈り機翻弄されて四苦八苦 智恵子
ドナドナの調べ染み入る緑雨かな せいじ
黙々とただ黙々と豆をむく 和子
若葉風子ら駆け回る広場かな みきえ
目の冴えて解禁前夜鮎の宿 みきお
硝子器に梅花空木の白涼し むべ
丸々と肥えて蚕豆天を向く かえる
老鶯の駆け込み寺の背山より なつき
こんがりと熟れぐあい良し麦の秋 あひる
代掻くや土壌こぼしてトラクター きよえ
昨夜雨や色付き初めし濃紫陽花 こすもす
雲海飛び沈む夕日を追いかけて 宏虎
ベコニアのこぼれて咲きし溝の中 ぽんこ
曇天に夏鳶低く流れゆく 澄子
袋角何度も下げて鹿せんべい 素秀
半ズボン膝に一枚傷テープ みきえ
小夜更けて河鹿の闇の中にいる 和子
田水張る屋敷を映す反射鏡 愛正
商談を切り出す前の麦茶かな 豊実
新緑の雨晴てみな輝けり 満天
枕辺に置ひて眠る子捕虫綱 みきお
気分はと聞くルーティン夏の朝 たか子
十薬や古家蔓延り主となる もとこ
竹林を描く屏風絵涼を呼ぶ 愛正
どくだみを引く手に白き根の長さ 素秀
牡丹二輪ランチタイムのカウンター こすもす
小満やゴーヤのひげが宙つかむ なつき

2023年05月19日

近道を通り氷菓を買いにけり 宏虎
身を捩り流され渡る烏蛇 みきお
松の花三保の松原見上ぐ富士 智恵子
大師堂前に絵日傘開くカフェ なつき
麦秋や河童伝説のこる郷 あひる
水口のささ濁りして植田かな 素秀
和菓子屋の幟まだまだかしわ餅 こすもす
雀らの低空飛行麦の秋 あひる
伊吹峰に雨上がり雲夏きざす 隆松
里遊び草笛の児と紙飛行機 明日香
年ごとに着やすき物を更衣 満天
雨上がり残り滓めく雲涼し 隆松
雨待ちてうすら明るき額の花 むべ
出し抜けに降るだけ降りし夏の雨 せいじ
子ら去りて風が揺らせりハンモック なつき
友の家友の薦める新茶かな たかを
老婆とて負けじとポーズ薔薇の前 もとこ
葉桜や変わりばんこにすべり台 はく子
大粒の青き実漬けて梅ジュース 千鶴
緑雨いま旅装の妻を迎へけり せいじ
稜線の緑豊かに時雨かな きよえ
公園を歩く妊婦や若楓 豊実
緑陰を辿り媼を訪ヘリ 澄子
夜更くとも合唱続く蛙どち みきえ
峠より光る瓦や油風 愛正
衣替え亡母の古着に手を通す 和子
新茶淹れ共に暮らして半世紀 満天
歩道橋目を引き付ける薔薇花壇 ぽんこ
レグホンの水場に蟇の睥睨す 素秀
キラキラと葉脈透かし若楓 智恵子
新緑の鴉の育児けたたましい ぽんこ
夏めくや犬長々と舌を出し かえる
一陣の風に音たて楠落ち葉 和子
ゆくりなく子鹿と出逢ふ森の朝 澄子
公園の葉皆穏やか薫風裡 宏虎
グランドゴルフドームの屋根の五月雨音 こすもす
葎若葉白壁覆ふ朽ちた蔵 愛正
生駒峯を離れ難きに夏の霧 たか子
薄翅をはみ出したまま天道虫 明日香
売家の庭の大木柿若葉 みきお

2023年05月18日

ようやっとからりと乾く夏の空 明日香
郭公や明けの静寂を破りをり 澄子
よきことの何かあるごと新茶汲む 澄子
せせらきを聞くや水木の花の道 隆松
顔染めて雲梯する子夏眩し もとこ
夏来る作句頼むかAIに はく子
空き缶を集める漢や緑陰に ぽんこ
遍路道三鈷の松にハート絵馬 なつき
満面の笑み溢しつつ赤きバラ きよえ
五月の草雑草魂発露なり 千鶴
真夏日や川に佇む鹿一頭 こすもす
大西日瀬戸の島々呑み込みぬ みきお
夕暮れを斑らに著莪の小糠雨 素秀
薫風に出汁の香放つうどん店 みきえ
膝立てし地蔵大士や青葉影 なつき
バラ園の丘に園児の見え隠れ ぽんこ
十キロも痩せたるおもは薄暑光 たか子
ゴメの群岩壁照らす夕陽かな みきお
青き空地平線へと芝桜 智恵子
手を翳し見上ぐ夏空飛行雲 智恵子
散歩犬二匹引き連れ町薄暑 満天
若葉風ホールインワンの笑顔かな 満天
淹れる香で新茶と気付く客間かな かえる
サングラス優し主人と思い出す 宏虎
母の日のひと日遅れの速達便 和子
赤松や初代藩主の墓碑に散る 愛正
小さき手の並び藍植う児童館 素秀
いつぞやの金魚のおもちゃ溝浚え 豊実
側溝に満つどくだみの花葎 せいじ
水木咲き谷風渡る木立道 隆松
近道を重機がふさぐ町薄暑 せいじ
夏帽子目深に被りすましおり 宏虎
老鶯の見得を切るかに豊かなり 和子
一列に画板持つ児ら若葉道 むべ
帰路涼し電車で席を譲られて こすもす
ふはり来てまづ葉に止まる揚羽蝶 明日香
朽ちた木戸絡む葎の若葉かな 愛正
紫陽花の咲き初む小径水色に きよえ



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