投句控 :500句/1頁

次のページ

2025年11月13日

裸木を透かして見ゆる畝傍山 明日香
寺苑にて銀杏拾ふ吟行子 むべ
冬の庭一樹の紅葉ワイン色 きよえ
夕陽受けいよよもみずる花水木 やよい
食卓が母の祭壇冬薔薇 せいじ
わが世とぞ思ふや寒の鴉鳴く 勉聖
花壇脇歩かば四散す子蟷螂 よし女
冬鳥の犇めく声や最上川 わたる
磨ぎ汁で大根茹づや魚と煮る きよえ
あの声は母のヘルパー街小春 せいじ
たんぽぽの最後の綿毛凩に 和繁
警備員動かぬ肩に色葉散る あひる
一水の流れを染めて銀杏落葉 もとこ
冬時雨吾の腹探る内視鏡 ほたる
竹林の淡きひかりの小春かな 澄子
森に聞くクラリネットに冬ざるる ぽんこ
杉玉の緑あざやふ初しぼり 勉聖
温度差の激しき日々や風邪をひく 藤井
小舟底跳ねて転がる木の実かな 愛正
ベンチ座す友に小春日耀ひぬ 澄子
禅寺の大屋根刷きし秋の雲 康子
すかし見る干し柿の種太きかな みきお
山門を額縁とせり照紅葉 山椒
つかみ取り銀杏指よりこぼれ落つ なつき
宮島の子鹿跳ねたる潮だまり 康子
トラロープ護る紅葉落羽松 みきえ
雨降りの桜紅葉の枝垂れかな えいじ
弾薬庫歴史の重み冬ざるる たか子
野のごとき地主の庭や秋桜 あひる
錦秋の山裾を縫ひ傘の列 山椒
紅残る観音菩薩小春かな 明日香
高梯子立てかけしまま冬はじめ なつき
通夜終え帰る畦道冬の星 みきお
穭田の櫛比のごとく並びをり えいじ
コーヒーの香りに目覚む冬来たり 藤井
枯園に置かれし鎌の錆深し 和繁
時雨来て刈田切り株色深し 愛正
つくづくと田舎育ちや芋茎煮る うつぎ
何よりもこの季を愛す深紅葉 たか子
庭もみじ天守浮き立つ姫路城 千鶴
冬浅し風渡りゆく田の面かな 博充
カフェの門を飾るこすもす手水鉢 みきえ
実万両色づきそむる鐘楼堂 むべ
初みかん去年の肥料の甘味かな よし女

2025年11月12日

冬夕焼け海に鳥居の影絵佇つ 康子
ポインセチア花より葉の赤く映ゆ 勉聖
鶺鴒の風の波乗る番かな えいじ
石蕗咲いて庭の一隅明るうす よし女
里山の小春の朝日受くる色 和繁
寒晴や飛機のぽかりと浮ひてをり もとこ
園児らの団栗拾ふ城址かな 千鶴
秋桜やいたずらに揺れる風の中 勉聖
枯蓮や戦の弓のごとく折れ ぽんこ
冬薔薇留守居の窓辺守りをり 澄子
冬紅葉ますます色を深めけり 明日香
黒御影墓石に映る小春空 あひる
砲台跡へ抜ける林道石蕗明かり やよい
さきがけて枝垂紅葉の寺染むる むべ
冬暖や行き交ふ人の微笑みぬ 博充
衿元は犇めくつぼみ菊人形 あひる
立冬や身の締まる朝いまだ来ず 明日香
喜寿の賀に遺影の母も秋灯下 せいじ
久に咲く寒蘭あるじはもうおらず うつぎ
小春日や放牧牛の声やわら 藤井
日の沈みなお輝けり石蕗の花 みきお
雲一面一筋明る今朝の冬 きよえ
手水鉢覆いを掛けて初時雨 わたる
鉢覆ふ大菊七本仕立てとや みきえ
古代菊競ひ合ふやに勢揃ひ みきえ
これよりは胸突きの磴紅葉寺 康子
探し物やっと見つけり長火鉢 藤井
秋霖や山の襞より昇る霧 山椒
叩き割る防火水槽初氷 みきお
渡船場の跳びかふ木の実屋形船 愛正
試運転の除雪車通過空青し こすもす
岩山の傾斜彩る冬紅葉 和繁
手を引かれ上る落葉の急階段 やよい
天秤の冷えし賽銭焔魔堂 なつき
雨ふればしとどに散るや木犀花 えいじ
母看取り弟逝きし神無月 ほたる
冬暖や畑にほころぶ人の笑み 博充
菊ならぶ役所をつなぐ道の上 せいじ
紅葉池人面鯉の寄り来たり なつき
久々の来訪待ちつ落葉掃く よし女
枯野原吾子の帽子の浮き沈み 愛正
水仙の互ひに優し花揺るる きよえ
槍襖の如き竹林秋時雨 山椒
落花梨すねた横顔誰ぞ似て ほたる
隼人瓜揉みてほどよき塩加減 澄子
竹春の路地を曲がればいけず石 むべ

2025年11月11日

爪切りもエンゼルメイク冬ぬくし せいじ
すれ違ふ京都言葉よ紅葉道 山椒
読経の鉦の響きや紅葉寺 山椒
たおやかに風の意のまま秋桜 千鶴
弁天池金木犀の散り染むる なつき
金木犀散る陋屋に喜寿祝ふ あひる
手を引かれ登る急磴落ち葉道 やよい
冬の鳥見張りの一羽天仰ぐ きよえ
大空へ路線図描く大枯木 明日香
山深く蕎麦の庵に冬灯ともる 勉聖
風除も無く砲台の寂れやふ たか子
冬日背に畑打つ鍬の煌めきけり みきお
木の実降る音鳴り響くトタン屋根 愛正
きらきらの緩和病棟日短し 和繁
裸木の全身きらら雨雫 明日香
鳥帰る飛行機雲に交差して むべ
階下より届くや妻の大嚔 えいじ
しずかなる一日なりき玉子酒 藤井
泉水の流れの響き杜鵑草 ぽんこ
障子には猫のつめ跡三すじかな 藤井
いつくしま霧より現るる大鳥居 康子
医通ひや娘と腕を組む秋日和 よし女
冷たかり棺の母に触れたれば せいじ
冬の市ポットのふるまひ茶の熱し なつき
押し入れの奥まで陽届く小春かな わたる
白鳥の少し離れて追ひかける 和繁
他は断念インフルの予防接種日今日 こすもす
山小屋を閉むる尾瀬沼雪の花 愛正
オールディーズ流るファミレス冬日さす えいじ
紅葉燃ゆ錦帯橋の弧を額に 康子
枯葉舞ふ杖音風に待ち合はせ きよえ
神の留守神使兎の目の赤き もとこ
落下せる武骨顔なる花梨の実 澄子
柿ひとつ残し恐々降りにけり 澄子
半袖の医師と向き合ひ冬に入る よし女
毛玉ごと母の形見のカーディガン あひる
寺庭や石蕗の花伸び競ひ咲く 勉聖
枯蟷螂鐘楼登ること半ば うつぎ
薪を割り軒先に積む冬日向 みきお

2025年11月10日

葉の光る垣根越しや石蕗の花 きよえ
団栗や町に熊出で人騒ぐ 藤井
衰へぬ蓬小春の雨に濡れ 和繁
庭砂利にちりばめられて金木犀 あひる
寺の屋根紅葉の谷に埋みたり 山椒
若く逝く友の箪笥に冬の服 藤井
銀杏の匂ひ纏ひてゴッホ展 わたる
冬浅し色鳥刹那木々の間に 愛正
遠山の日に当たりたる片時雨 ほたる
老二人住む庭先に竜の玉 みきお
加太の海冬一番の波がしら たか子
実南天たわわに揺れし火灯窓 澄子
木犀の香に包まれて死化粧 せいじ
たまごかけご飯の湯気や冬の朝 えいじ
飛来せし桐の枯葉や超特大 こすもす
宮島や舞殿浮かぶ冬の凪 康子
燃ゆるごと色鮮やぐや冬紅葉 きよえ
日の暮れて家族揃って冬至粥 みきお
キックボードの子ら風となる冬立つ日 なつき
いたずらの風になぶらる秋明菊 ぽんこ
藪と化す放棄田夜ごと鹿の鳴く 千鶴
蹲に手向けし菊花法然院 山椒
宮小春回廊つつむ水陽炎 康子
農小屋の屋根に影濃し柿たわわ なつき
木桶仕込む醸の匂ひや寒の朝 勉聖
古道敷く万華鏡なる散紅葉 澄子
流れくる何の煙か野路の秋 うつぎ
父に似し連発嚔冬来たる えいじ
鵙猛る弾薬庫への煉瓦道 やよい
鈴生りや実山法師に朝日さす むべ
花水木もみづる深きワイン色 むべ
時雨来る娘と繰る妣の写真帖 せいじ
落葉踏む音に誘われまた踏めり 勉聖
隣室の吾子の嚔をつひ数え あひる
枯園を赤い顔して猿過る 和繁
紅葉山分け入りけり森のカフェ もとこ
二週間先が楽しみ柿を干す こすもす
裏山の雑木に数枚冬紅葉 愛正
朽ちかけた榾木に群れるなめこ茸 ほたる

2025年11月09日

二の丸の橋より始む菊花展 康子
骨上げて帰る車に冬日燦 せいじ
ただ一羽冬田ついばむ鴉かな 和繁
またひとつランプが灯る秋の宿 勉聖
初冬や人気の温かメニューかな こすもす
ものともせぬ人出や雨の初冬かな こすもす
石蕗や使ひの子ども案じけり 藤井
くれなゐの葉に濁りなし今朝の冬 和繁
出棺の讃美歌のぼる小春空 あひる
居酒屋の喧騒混じる燗の酒 わたる
北の地の落葉を深く踏みにけり むべ
山痩せど日射に光る冬紅葉 愛正
胸元は小菊のつぼみ藤娘 なつき
天高し色づく木々と岩稜と 青海
新藁のしとねに子牛産まれ落つ 千鶴
観音の裾の日だまりしじみ蝶 なつき
築山を縫ふ一水へ石蕗あかり 康子
群れ雀ひとうねりして冬田かな 明日香
家々の間遠や蝦夷に冬灯 むべ
皿を打つ水仕の音や今朝の冬 えいじ
塩を振る千枚漬けの樽仕込 山椒
猛禽の胸吹き分けて大西北風 澄子
柊の残る香りや留守の家 みきお
手廻しのオルゴール鳴る小春かな もとこ
冬暖や寺の柱に淡き影 博充
探梅や泥落としつつ回りけり みきお
大大根ずしりと歪むエコバッグ あひる
今川焼手にもつ温もり冬に入る 愛正
酌み交す山形真似て芋煮会 うつぎ
木の葉雨ひねもす籠る厨かな みきえ
句会あと畳む冬コート身に沁みぬ 勉聖
街の灯に負けじと昇る冬の月 えいじ
ひと雨に競ひて伸び来水仙花 みきえ
魔法杖振りたる如き銀世界 山椒
枯れ色の蝗景色に溶け込みて 明日香
鶺鴒の波引く岩を飛び飛びに 青海
初鴨の眼鋭し水飛沫 澄子
饒舌となる火葬場や紅葉散る せいじ

2025年11月08日

小春日や障子に過ぎる鳥の影 澄子
大海の色寿司ネタの初秋刀魚 よし女
落葉道続く道立図書館へ むべ
お下がりの餅のぜんざい報恩講 こすもす
句会へと出づる冬コート少し重し 勉聖
テーブルの小さき籠に蜜柑盛る きよえ
宮島の鳥居照らしつ秋日落つ 康子
苔寒し神話の國の力石 もとこ
秋耕の畝を啄む群鴉 愛正
冬暖や洗ひ物干す母の背 博充
寒卵割ればあらわる黄味二つ みきお
同じ実を小さき細木も柿花火 和繁
鳥語飛び木立の枯葉落とし行く きよえ
バリトンの僧の法話や報恩講 こすもす
冬波に小舟ゆらぎて伊佐木釣る 藤井
窓越しに猫の見つめる町小春 和繁
山車に舞ふ日本人形菊まつり なつき
ど忘れとサラリとかわす老の秋 たかを
薄氷のごと昼の月やや溶けて 明日香
木枯しや背ナを丸めて漕ぐペダル せいじ
雲り日の葉裏に顰む樗の実 えいじ
石仏の御座す野の道彼岸花 山椒
音ばかり姿は何処遠花火 みきえ
ビンに挿すつわぶきの黄や古き土間 藤井
柿花火朝日の照らす一軒家 山椒
冬立つや八頭身の影と行く やよい
庭手入れ済みたるばかり色鳥来 うつぎ
臨終はいつもの寝顔冬に入る せいじ
さやけしや原爆ドーム透かす空 康子
冬蘭に埋もれて母の逝きにけり あひる
寺に散る朴の葉ひとつ苔の庭 勉聖
田舎店ナメコアリマス手書き文字 わたる
臨終の祈りの窓に寒夕焼 あひる
窓辺かな微かに応ふつわの花 よし女
移住者も真似て古民家釣干菜 愛正
枯れ葉踏む音柔らかや歌碑巡り 明日香
塩纏ふ炒り銀杏の粧かな えいじ
湯煙を纏ひ出て来る柚子湯かな みきお
宿木の帽子ひつかけ枯木立 むべ
名刹の真澄の空に鵙猛る 澄子
貰い手の数多でき良きチンゲン菜 千鶴
仏頭に目合はせ参る冬立つ日 なつき
リハビリの歩幅に合わせ秋麗 ほたる
焼き林檎頬張りながら老い語る たか子
芝原に白く群るるや冬かもめ ほたる

2025年11月07日

冬来たる雲なき空のひとつ星 えいじ
野遊びの匂ひの満ちる零余子飯 みきお
ふかし芋食し父母懐かしむ こすもす
冬波に小舟ゆらぎて伊佐木釣る 藤井
翻るとき金色に橡落葉 むべ
冬耕の土艶々と盛り上り 明日香
結局はマフラーを巻く保育補助 和繁
立冬の日だまりに読む句集かな みきお
寒月の真上に高き港町 もとこ
身に入めり一羽となりし孔雀小屋 なつき
いく筋も湧水跨ぐ登山道 康子
穏やかな立冬なるや鍬仕事 千鶴
名刹や一日暮れゆく石蕗の花 澄子
空明る草木光りて今朝の冬 きよえ
そそけたる白髪を飛ばし隙間風 たか子
薄野に松五本立つ追悼碑 なつき
バス停の椅子にひと葉朴落葉 勉聖
水昏れて石蕗の黄の色際立ちぬ 澄子
冬ぬくし猫伸び切りし縁の先 博充
庭石の窪みの翳や石蕗の花 うつぎ
戸を引くや出しばかりの大き月 みきえ
落葉踏む夫の足音瀬戸の波 きよえ
支線柱上りきりたる蔦紅葉 愛正
槍のごと地を撃ち貫く雷雨かな 勉聖
過疎の村野鳥呼び込む柿花火 愛正
滝涸れてしじま広がる明日香村 明日香
今日の無事感謝しながら温め酒 わたる
具の数多入れて豚汁冬立つ日 やよい
小鳥来て朽ちし切株啄みぬ むべ
報恩講の準備整う仏間かな こすもす
大物をからす咥へて冬に入る 和繁
獅子舞に並べる頭秋祭 山椒
ゴンドラの影の縫ひゆく渓紅葉 康子
御籤箱振る音高し秋の空 山椒
冬に入る沼の吐息の泡ひとつ 藤井
冬天の嶺々を掠むる雲迅し えいじ

2025年11月06日

心字池縁取る石蕗の花明かり 康子
君とみる待ちしシネマや初時雨 藤井
鐘一打風も止みたる山あざみ 勉聖
行く秋や苔の緑の深まりぬ 和繁
水溜り所々や秋時雨 こすもす
どんぐりやちゃんで呼び合ういとこ会 ほたる
柿落つる音のやさしき暮の秋 藤井
天高し橋桁潜るコウノトリ こすもす
冬霧の大和三山漂いて 明日香
里芋の大葉広々日の影や きよえ
帽子浮く吾子の溺るる枯野原 愛正
蓮枯れて朝日浴ぶ田鎮まりぬ きよえ
ロストバゲジ着のみ着のまま冬の旅 山椒
行く秋やローカル線路草の丈 わたる
同い年徒歩颯爽と秋日傘 みきえ
虫喰はれ豆植えなほす寺の畑 なつき
色冴ゆる桜紅葉の雨上がり 千鶴
白砂の浜で待ちたる十三夜 よし女
こぼれても尚はなやかや金木犀 明日香
秋さぶや蝦夷の丘陵続きけり むべ
校庭の華やぐ桜紅葉かな みきえ
雀どち枯木にぎはす夕間暮 むべ
池庭に輝き放つ菊花展 山椒
冬めくや煌く街はおもちゃ箱 もとこ
身をよじる被爆樹木や身にぞ入む 康子
渡し場の木の実転がる小舟かな 愛正
遠くから焼芋の声かけ出す子 みきお
寺に落つ朴の一葉や濡れし苔 勉聖
山茶花の百のつぼみやさざれ石 なつき
芝の丘刈られて吹くや秋の風 えいじ
夕凪や瀬戸の島々動かざる みきお
パンジーを植えてやうやく夕餉かな よし女
枝先の二三葉染むる寒き朝 ほたる
さらでだに明るき空や石蕗の花 うつぎ
寝転べば吾を見下ろす昼の月 えいじ
窓放ち静けさ満つる小春かな 博充
桜の葉すつかり落ちて青い空 和繁

2025年11月05日

山あざみ風の止みたる青さかな 勉聖
ふる里に旅人めきし冬帽子 藤井
映画館出れば茫洋冬の空 たか子
境内の箒目著るし神送り 澄子
スーパームーン撮らむと出たり入ったり こすもす
しろがねの白樺林十三夜 むべ
朝焼や負けじと灯る星一つ えいじ
心澄む風の匂ひや麦熟るる 勉聖
凍土に躓き登る富士の山 みきお
古書店の主と語らふ文化の日 藤井
茶の花の明るし出世不動かな なつき
一刷の風に綺羅めく秋の川 えいじ
米寿の師喜寿の子集ふ菊日和 みきえ
橙の転がり落つか熟しをり きよえ
三椏や蕾のうなじややあげて 澄子
しかめ面の野仏傾ぐ実南天 なつき
時雨晴まだら模様の枯野かな わたる
神職の弾く琵琶の音木の葉舞ふ 山椒
生け花と盆栽ずらり文化の日 山椒
柘榴裂き透きとほる紅散らしけり 和繁
今日の供花友の呉れたる菊の花 こすもす
重ね着をあれやこれやと旅支度 康子
藁くべて火焔に炙る秋鰹 千鶴
木の実降る奥の院への山の径 愛正
初冠雪日毎待ちわぶ今朝の富士 ほたる
行く秋や束の間の陽を受くる樹々 和繁
蔵壁の家紋を蔽う蔦紅葉 愛正
積読の山片付けて時雨かな もとこ
縁小春てるてる坊主笑ひをり 康子
弦楽の余韻抱ふる落葉道 むべ
赤信号道にカラスの置く胡桃 ほたる
汲み置きのバケツの水や初氷 みきお
椋鳥や変幻自在群舞かな みきえ
小春日や妻の針目の揃ひをり 博充

2025年11月04日

鳥語降る落ち葉踏む音重なりて わたる
海原の深き藍色秋惜しむ なつき
金木犀仏間全開届けよと たか子
白龍のうねる大空秋の雲 山椒
枯れ葉踏む音柔らかや歌碑巡り 明日香
一万歩まであと少しなり天高し こすもす
文化の日意味を確かむ書を開き 藤井
在宅を確かめ暦配らるる みきえ
ゆるやかに舟の影引く小春凪 博充
糸電話妣を呼びたる秋日和 藤井
銘柄の由来を聞きつ新酒酌む 康子
秋行くや踏切の風乗せて行く きよえ
落葉敷く野外チャペルに石の椅子 むべ
所在なき膝掛けひとつ母の留守 あひる
赤ワイン夫婦五十年秋しぐれ 勉聖
ビル窓の弾く夕日や照紅葉 康子
山の家心安まる榾明かり みきお
梅の葉っぱ皆落ち明日は庭掃除 千鶴
遠嶺に束の間釣瓶落としの日 澄子
カラスよけネット裂けたり寒風裡 せいじ
手庇しに竹生島見る秋日濃し なつき
木犀の道ゆつくりとペダル漕ぐ せいじ
ボール投げ毬栗頭の小学生 みきえ
目交に落葉ひとひら賜りぬ むべ
花びらに滴きらりと寒露かな やよい
時雨るるや村の古祠守る神の杉 明日香
しなだれの稲穂の残る刈田雨 えいじ
吹きすさぶ北からの風干し大根 みきお
蹲に紅葉一葉客迎へ 澄子
陽を受けて連なる雑木紅葉かな 和繁
金木犀ひとこと褒めて母出かけ あひる
赤とんぼ帽子に止まり番ひけり うつぎ
新米の精米したと実家より 和繁
水鳥や飛沫あげつつ滑走す こすもす
秋澄むや映るものなし最上川 わたる
道ゆけば転となりけり木の実落つ えいじ
積読の本の崩れて文化の日 もとこ
楠の根や葉の裏ひそと茸かな 勉聖
白鷺の冠の稚児秋祭り 山椒
行く秋や山小屋仕舞ふ尾瀬ヶ原 愛正
朝日差す共に唄ふや虫の声 きよえ
土手道を狭めし穂草風まかせ 愛正

2025年11月03日

照り降りや行きも帰りも秋の虹 こすもす
早朝のバスの開きて金木犀 南郷
角曲がり不意に華やぐ秋の庭 和繁
小春風遊び場に声満ちにけり 博充
参詣の人なほ絶えず神の留守 せいじ
行く秋や農道せわしきトラクター 愛正
ひつぢ田の尖る葉先へ雨しとど えいじ
土塀より香の溢れ出す金木犀 せいじ
山もみぢ北の大地の差し色に むべ
売り出しの長き列見る秋の虹 みきえ
朝顔の手入れの婦人手早くて きよえ
神の恋明るくみだら里神楽 もとこ
文化の日先師の句集読み返す やよい
秋雨の草に転ぶや銀の珠 えいじ
雪吊のピンと張りたる縄匂ふ みきお
手拭いを漂白してをり文化の日 よし女
役目終え満足顔の捨案山子 みきお
左中間あわやホームラン秋の空 勉聖
小六月干されて白し麻の布 博充
武蔵野を北風駆け抜く朝かな 澄子
実踏む音秋の名残の石畳 愛正
和太鼓の音量激し文化の日 千鶴
鳥どちのレストランめく七竈 むべ
柿の木に爪痕五本折れし枝 ほたる
落ち葉掃く残らず掃いてふと寂し 明日香
金襴の綾残しつつ山眠る 明日香
声あげて百寿の愛ずる金木犀 あひる
踏まずんば参拝ならず銀杏の実 うつぎ
路地逸れて木犀の闇香りけり 澄子
特異日となれずに雨の文化の日 わたる
ぼけ封じ仏への階紅葉影 なつき
珠暖簾なしてさ揺らぐ雀瓜 うつぎ
落葉掃き戻れば風の狼藉に 康子
句吟行終へて気楽や萩の花 勉聖
折り鶴を孫に褒められ文化の日 康子
リサイクルショップ混みあふ秋の雨 和繁
青空に流る白雲秋惜しむ きよえ
七五三着物凛々しき豆紳士 山椒
亡き妹と東寺の紅葉懐かしき 董雨
朝見えて夕に又見え秋の虹 こすもす
私語も有り舞台は街の文化祭 たか子
故郷は遠し夕陽の赤まんま あひる
たてよこに色なき風の膨らめり 南郷

2025年11月02日

初冬や息白くして若き声 藤井
コンポートとジャム炊くりんご詰め放題 やよい
倒されど神輿太鼓の鳴り止まず みきえ
夕映えの天守に架かる時雨虹 千鶴
水子地蔵秋風鈴を籬とし 康子
耳毛立て蝦夷栗鼠森へ消へにけり むべ
名シーン続くテレビや十三夜 こすもす
秋草の名は知らねども懐かしき せいじ
天を指す畝に残りしオクラかな あひる
もそもそと鯉の口あり散り紅葉 明日香
柿の葉の一葉一葉へ秋日かな 青海
御神燈仕舞ひて末社冬に入る あひる
湯の中の吾が脚揺らぐ秋の宿 和繁
葎いま金木犀の屑浄土 康子
野良猫のあと追ふ犬や秋の闇 勉聖
冬の陽や狭きベンチに姥五人 たかを
網棚の忘れ外套ひとり旅 明日香
橋の上消えゆく機影秋の海 山椒
藤棚の下のベンチや雨雫 こすもす
赤燃えて黄輝きて山紅葉 わたる
秋寒し廃寺の歩廊過ぐる風 愛正
列車いま白樺黄葉の林抜け むべ
神住みし地名の駅や冬晴るる もとこ
丈余なる孤高背高泡立ち草 えいじ
ひとり居のぼつぼつ担ふ冬支度 たか子
冬空の鉛色なる北の町 藤井
海浮かぶ離宮の紅葉船の旅 山椒
雨の実をつけて垂るるや秋の草 えいじ
赤ポスト背に揺れゐる実南天 なつき
蜘蛛の囲に童が葉つぱ乗せんとす せいじ
シャワーやめ浸かる湯船に冬来る えいいち
竹の春一雨ごとに枝葉伸ぶ きよえ
鵙鳴きてがらんとしたる田んぼかな 青海
鳥渡る飛機の型して西に消ゆ きよえ
ドンと鳴り駆け上ぐ二階大花火 みきえ
萩刈れば虫音も細き狭庭かな 愛正
後の月一枚残る奥手の田 和繁
観音みち二畝細き冬菜畑 なつき
包丁の冴えや夕餉の秋刀魚切る 勉聖

2025年11月01日

亀虫や落ち葉の軸にしがみつき 和繁
鐘一打祈り終ふまで音澄めり なつき
拾はずにをれぬ紅葉や吟行子 あひる
銀輪を走る坂道秋の風 ぽんこ
てんでんと雨打つ音や秋山路 えいじ



次のページ