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2023年11月30日

雑踏にたがふ焚火の匂ひかな 澄子
今昔の大和三山大根干し 明日香
クリスマスリース牧師がドアに掛け あひる
束の間の夕日に映える冬紅葉 みきお
枯蟷螂コンクリの上歩きをり きよえ
凩の冷気纏ひて帰り来し 澄子
テニスコートネット目掛けて落ち葉降る たか子
草刈りの土手に瘤あり枯葎 愛正
すずかけの枯葉の塞ぐ排水溝 素秀
紙漉きし紙屋川埋め散紅葉 もとこ
遊ぶ児の程よき風や散紅葉 きよえ
地蔵尊その名は音羽菊五色 満天
山茶花のはや咲いてをり散ってをり うつぎ
冬夕焼赤き光芒消えゆけり 康子
ストーブを独り占めの子婆の厨 そうけい
登校の子に振る両手冬の朝 みきえ
お念仏の前のコーラス報恩講 こすもす
夫獲りて炊く猪鍋の懐かしき 千鶴
冬ぬくしボディーケアーに微睡みぬ せいじ
灯油売り雪やこんことひっそり来 たか子
にじり口揃える草履石蕗の花 智恵子
冬耕の鴉つき来る長き畝 素秀
雲一つ小春日和を歩きけり 明日香
八重洲口再開発のビル寒し ぽんこ
対岸の走る人あり片時雨 愛正
風あそぶ銀杏黄葉のホバリング 康子
クリスマスリースの檜葉の香の清し あひる
風と日と浴びて河川の冬菜畑 なつき
婆担ふ一日からの掃納 そうけい
車椅子の母の影あり冬田道 せいじ
売り物より遙かに細き大根引く 豊実
向かひ風掻き分け進む冬木道 みきお
吊るし柿ぶつからぬやふ配置換へ みきえ
落葉吾を追ひ越しゆくや風の道 むべ
始まる迄ジャズやコーラス報恩講 こすもす
冬薔薇や五人がかりの蔓手入 むべ
天日干し白菜に埋む曲がり縁 智恵子
寒風や角曲がるまで見送れり なつき
よく知らぬひとも交わり年忘れ かえる
バッサリと伐られし銀杏空青し 満天
灯を消すや闇を友とし長き夜 たかを

2023年11月29日

荒るるまま枯草積もる無人庭 きよえ
冬枯れの池畔に髪の逆立てり みきえ
差羽舞ふ上昇気流探せたか 明日香
膨らみし穂を凛とあげ枯すすき あひる
河川敷かご編むごとき枯葎 愛正
巨大レモンパスタに要れば極上に そうけい
完成のお手玉は二個置炬燵 こすもす
冬柿の熟れて捥ぐ人なき庭に 満天
被せられ丸ビル解体冬ざるる たか子
思ひがけぬ所からまた鳰の首 うつぎ
鮟鱇を吊し一礼捌く厨 智恵子
霜月の果つる日の土柔らかし 千鶴
落葉して公園遊具鮮やかに 満天
我が影をなぞりてい行く町小春 せいじ
ドーム背に寒中水泳日本晴 みきお
老犬のバギーやをらに落葉道 むべ
皸の子や音読の威勢良し みきえ
三寒の風にも慣れて畑に居る 千鶴
堆き落葉の一葉栞とす ぽんこ
ビル窓に刎ねて注ぐや冬日燦 康子
霜焼の子の手を包む大きな掌 みきお
三山を背山に溢る冬紅葉 もとこ
花落とす名は香水の冬薔薇 素秀
手を繋ぎ孫とかけっこ冬ぬくし 康子
下戸なるは口惜しきかも牡丹鍋 澄子
襟巻は父より借りて出張す あひる
鈍色の雲にぽかりと小春空 明日香
冬霧がすつぽり覆ふ小盆地 せいじ
夜泣きの子冬の厨の常夜灯 豊実
地に還る桜紅葉のかそけき音 むべ
暖房に寝過ごす電車二つ先 たか子
湯気立ちぬ五席一坪餃子店 澄子
寒鯉の群れて橋桁同化せり 智恵子
霜月の晴わたる今朝もふ末来 きよえ
道端の軒を借りるや片時雨 愛正
うたた寝に声掛けられぬ古炬燵 素秀
星月夜庇の影のくっきりと そうけい
冬菜畑土手に鴉がたむろせり なつき
綿虫や友の建てたる生前墓 なつき
思春期の愚息の鋭眼や寒きかな かえる

2023年11月28日

美容室へポインセチアに誘われ 満天
冬の蝶遊ぼとジャンプ散歩犬 智恵子
四人居て今は一人の炬燵かな たか子
冬籠り十七音をよるべとし たか子
遠景に富岳足下に枯菊 そうけい
夕映や緑の囲む冬紅葉 きよえ
花鉢の混み合つてゐる縁の冬 うつぎ
内側が曇る落葉のポリ袋 せいじ
小春日の葬果ていとこ会となり むべ
カフェバーを出れば時雨るる旧城下 千鶴
嵐が丘開く夕べの雪催 素秀
寒鴉お供え蜜柑失敬す きよえ
用水路水車押しだす落ち葉川 愛正
メモ紙手に歩く畦道探梅行 みきお
朴落葉神社で遊ぶ子らの声 愛正
友の名の喪中はがき来初時雨 なつき
風立つや銀杏黄葉の金の雨 ぽんこ
ぽんぽんと軽く叩いてキャベツ採る 豊実
紅葉散るなか諸手あげすべり台 満天
狛犬に巫女の手縫いの冬帽子 かかし
散りゆきて山茶花の道白すがし むべ
木枯しのフォトウエディングヴェール飛ぶ 明日香
大根のはち切れさうな艶光り あひる
影曳きて小雪の露地人と犬 澄子
老犬の齢寿ぐ冬の朝 澄子
片時雨二ヶ月ぶりのパーマかけ 千鶴
乗り込めばフロントガラスに霜の花 かえる
淡路より望む明石や橋小春 明日香
松並に一本の柚子撓みけり そうけい
冬紅葉夕日の色を重ねけり 康子
みほとけに捧ぐライブや冬ぬくし もとこ
効能のことは思はず葛湯吹く 素秀
小春日や上着持たさる遊園地 康子
歳時記をめくるベンチや四温晴 みきお
茹であげて甘みに気付く菠薐草 あひる
養生の芝に降り積む落葉かな なつき
あと口の大学芋の良き甘さ せいじ
冬夕焼零れつくばい朱に映ゆる 智恵子
霜の朝背筋伸ばして指体操 かかし
一通のはがき投函着膨れぬ ぽんこ

2023年11月27日

冬河原鴉ねぐらの楡大樹 なつき
湯豆腐や時効となりし噺など 澄子
引き揚げて猫もろともの古毛布 素秀
使ふたび君に感謝と冬耕機 千鶴
オリオンの三つ星に手を伸ばし見る かえる
次々と落葉は堰の滑り台 智恵子
息白し襷の走者駆け抜ける みきお
御座候と肉まんに列ポインセチア こすもす
山門に散りかかりけり寒紅葉 隆松
連休を窓開け過ごす流行風邪 なつき
落葉踏む音確かむる試歩の道 智恵子
白鳥の雫をこぼす嘴黄なり せいじ
ほつこりす時雨空より薄日射し 明日香
柊のこぼれる石段折れる影 みきお
漬物樽太る白菜はみ出しけり ぽんこ
北の地の礼拝堂へ霜だたみ むべ
葉落とせば狭庭の梢に小鳥の巣 あられ
小春日の自転車降りてゆっくりと 満天
鳴きかはす意気揚々と鴨集結 もとこ
吹きだまりからから良き音掃く落ち葉 そうけい
母の忌日母知る人も吾と妹 千鶴
待つ客の大判焼に列そぞろ 素秀
雪吊りの松の影より暮れゆきぬ 澄子
軒天をトラバースして葡萄枯る むべ
急く帰路の山の畑の枯れ木星 あひる
緋毛氈の上歩くごと散紅葉 満天
吾が銀輪倒す意地悪空つ風 あひる
街かどに落葉の袋山と積む せいじ
小さき手で掬う落葉のシャワーかな 康子
冬日没る松影長き土蔵壁 愛正
油絵の如き色なす散紅葉 康子
冬茜背負ひトラック現れし 明日香
同化すや朱の山門と寒紅葉 隆松
短日や頭痛の種の書類ども たか子
美容院出ればうなじに短き日 たか子
枯れ葉舞う外湯帰りの正ちゃん帽 愛正
腕に寝る四千グラム日向ぼこ 豊実
落ち葉入の袋も二つゴミ出し日 こすもす

2023年11月26日

老庭師松を言祝ぎ松手入れ 澄子
叩かんとして躊躇せむ冬の蝿 かえる
冬ばらの蕾膨らむ待ちしこと きよえ
ふかふかの土に玉ねぎ植えゆけり 千鶴
島今や玉ねぎ植えの真っ最中 千鶴
朴の葉にじゃれあう吾子ら落葉時 愛正
中天に凛と輝く冬の月 みきえ
赤い靴ごみ拾ひせり冬河原 なつき
お寺参りの貸切バスや月冴ゆる こすもす
紅葉谷大岩登るクライマー 智恵子
ご近所の渋柿までも吊るすはめ 明日香
枯枝を踏む音軽き山の道 康子
革靴で鯉に餌やり宮小春 なつき
乗り遅れ待つか歩くか冬満月 もとこ
暖冬に眠られぬ山まだら色 みきお
膝かけを持参の町の映画館 たか子
大根に行列長し野菜市 たか子
白波の河口中洲に鴨の道 素秀
雲海の故里あとに峠越ゆ せいじ
そびへ立つ空へ皇帝ダリア咲く きよえ
ケアハウス椅子持ち出して日向ぼこ 康子
ポインセチア窓辺に飾る聖家族 みきお
筑山の裾野広ぐる落ち葉かな 愛正
蒼天へ皇帝ダリア突き抜けん 明日香
夕星や木枯しの街見下ろして あひる
寒月や半音低き夜想曲 素秀
大き蕪抜くごと総出電池替え みきえ
バイバイの声流れ行くもみぢ葉に せいじ
記念大会果てし途端の雪催 こすもす
曾孫抱く腕の重し暖かし はく子
恨めしきゴルフコースの冬の雷 豊実
渋ぬきの柿が科学の話へと あひる
星冴ゆる人寄せつけぬ樅こずえ むべ
青空に樹間が透ける散紅葉 ぽんこ
狛犬の顔に苔むす神の留守 満天
小春日や親子賑はふ園あふれ 満天
錦秋の中のせせらぎ丸太橋 智恵子
橙に色差しきたる寒さかな 澄子

2023年11月25日

川縁の金襴のごと枯尾花 きよえ
庭照らす広き枝間の冬の月 愛正
まさをなる空にぽつりと緋寒桜 もとこ
息子より吉報を聞く炬燵かな 康子
紅葉愛で乾通りの御開門 智恵子
時雨雲来て電飾の魔界めく なつき
膝よりも炬燵が宜しうちの猫 こすもす
小夜更けて立ち寄る吾子に蕪汁 あひる
糀屋の新味噌届く二升分 千鶴
リフォームの雑誌めくりし霜夜かな なつき
何げなく寄り添ふ二羽の浮寝鳥 素秀
冬紅葉一樹に夕日留めをり 満天
豊穣の土くれ黒き冬耕す 千鶴
小さくとも揺るがぬ姿勢シクラメン あひる
冬霧や魁夷の白馬昇るごと 明日香
清流に揉まれ揉まれて行く落葉 せいじ
ステントの脈弛みけり冬の虹 隆松
朝霧にドクターイエローの疾風 智恵子
図鑑よりはらりと紅葉栞かな 澄子
哺乳瓶の底から覗く口小春 豊実
冬鳥の編隊飛行塒かな きよえ
乱積みの古りし石垣花八手 むべ
冬の雲切り裂き進むヘリの音 みきお
桟橋を大きく揺らす冬の波 みきお
黄昏の東天白き冬の月 みきえ
遺影へと供花持つナース冬ぬくし たか子
子を連れし母鴨すくと伸ばす首 せいじ
公園の灯るに早き日の短 満天
石庭の砂紋消し去る空っ風 愛正
電飾の街へワープすクリスマス 康子
焼香の温もり香るファンヒーター 素秀
間引菜を決めかねてまた迷い指 かえる
車窓より東は朝焼け冬の朝 ぽんこ
黄金の舞い散る落葉積む根方 明日香

2023年11月24日

電飾と花火に集ふ冬の園 なつき
熱燗の徳利つまみ父至福 智恵子
土手光る朝の散歩の霜柱 智恵子
冬空を切る僧院のクルスかな せいじ
冬空の東に月の早出し きよえ
雪嶺の富士薄雲に見へ隠れ ぽんこ
冬耕やゆったり進むトラクター 千鶴
産後なほ腹ふつくらと冬日向 豊実
紅葉見の十分巡る園列車 なつき
鳩の群れ翔ちて落ち葉を舞い上げり 康子
ハイボール溶けぬ氷や夜寒し かえる
ぽってりと甘く大きい吊るし柿 満天
菜畑今朝まばゆきほどの霜降りぬ 千鶴
冬の夕辺り見渡す猫何処 きよえ
木枯しに騒めく木々や胸騒ぎ たかを
興に乗るぬり絵の夫に冬日燦 やよい
石段を一足飛びの落葉かな 愛正
お開きの記念大会雨催 こすもす
夕映えに黄葉且散る並木道 澄子
本棚に香箱座り猫小春 素秀
洗ひたる大根の白さ眩しけり みきお
雨傘を忍ばす鞄雨催 こすもす
早々と忘年会と集まれり たか子
僧院の白きクルスや空小春 せいじ
咳をしてあたり見廻す電車人 もとこ
ビル街の銀杏黄葉に朝日影 康子
陽だまりに枯螳螂を逃しけり 澄子
人住まぬ塀より覗く冬の柿 満天
夜の更けて無音の世界霜の声 みきお
不意に来て髪絡ませるからつ風 素秀
黝のインクこぼすや夜空冴ゆ むべ
久々の都会に酔うて冬迎ふ たか子
ドクターヘリ見上ぐる顔に降る落ち葉 愛正

2023年11月23日

冬の月吾が影追ひし田舎道 きよえ
優勝のパレード銀杏黄葉中 みきえ
離陸機の小さくなりゆく小春空 せいじ
冬夕焼け今日の試合はブービー賞 こすもす
鼠黐恐ろしきほど実のたわわ うつぎ
傾く日に砂金撒くごと芒原 むべ
あれこれと献立決める忘年会 満天
軒下へドレミドレミファ柿暖簾 やよい
乾杯す夫婦の勤労感謝の日 康子
入り日さす明障子に冬の蠅 愛正
綿虫を吹いてレンガの石畳 なつき
黄落を来て吾が街の音楽会 うつぎ
子ら騒ぐ滑り台の木の葉雨 愛正
電飾の赤し勤労感謝の日 なつき
差し交はす星をとどめむ冬の月 素秀
片時雨滲む太陽月のごと 明日香
懐手尻尾飛び出す犬のいて 智恵子
人が来てやれ嬉しやと鍋囲む たか子
寒木瓜の咲ききる前のまろさかな むべ
緑濃く畝盛り上げて冬菜畑 はく子
醜草も名草も均し冬野原 澄子
テレビ見る独居の父や残る虫 豊実
植木屋の跡取りが来て年用意 せいじ
里古りて主のをらぬ花八つ手 素秀
立ち話つい長引きて冬ぬくし 千鶴
伊勢路抜け動くものなし冬田かな もとこ
冬霧の真中を過ぐる新幹線 明日香
釣り堀は満員御礼冬麗ら 澄子
木枯らしや解体の街我がものに たか子
入ってみた闇の地下壕底冷えて 千鶴
パソコンの遅き変換冬寒し 満天
冬烏鋭し声に飛び起きぬ きよえ
東雲や初霜きらり冬菜畑 かえる
裁縫の特等席や縁小春 康子
寒鴉群れ電線にゴミの朝 智恵子

2023年11月22日

もう少しゆくりとしてよ木の葉散る もとこ
ビル仰ぐ銀杏黄葉に青き空 康子
冬青空融雪装置の試運転 こすもす
冬雀空家の庭の木に集ふ きよえ
獣道抜けて広がる冬の海 智恵子
嶺々の纏ふ錦は冬紅葉 明日香
散紅葉積みて水底賑はへる 満天
小菊刈る蔭の蕾に陽よ届け あひる
枯萩をくぐりて猫の顔険し 素秀
小春日や納戸整理に精出しぬ 千鶴
悪声をひとつ零せり冬烏 なつき
里近し下山道の片時雨 愛正
先週の時雨にいまだ田のじゅるし 千鶴
暮れ早し鍵穴探る駐輪場 みきお
もみぢ葉に大王松の松葉積む せいじ
合槌のひとことが欲し夫婦の日 たか子
小春日や波止に釣人釣日和 きよえ
それぞれの重さ吊して柿簾 澄子
ベールめく紅葉の影やマリア像 せいじ
まほろば線旧き家並みと眠る山 明日香
小春日の陽を背に受けて鉢手入れ あひる
校庭の築山高し木の葉雨 愛正
三度目や大きめ選び吊るし柿 みきえ
うぶすなの河はたうたう冬田打つ 素秀
冬青空煙となりし父昇る むべ
紅葉寺巡り古都行く人力車 智恵子
母姉妹お喋り続く炬燵かな 康子
冬ざるる赤字の薄る危険札 なつき
短日の夜の澄みゆく気配かな 澄子
修道女丹精込めた冬菜畑 ぽんこ
渋柿を見つけまたもや皮剥けり みきえ
鳩歩くビルの谷間や冬隣 豊実
とめどなく流れる涙冬薔薇 みきお
見習ひの猟夫皮剥ぐしじまかな かえる
空よりも水面明るし銀杏落葉 満天

2023年11月21日

秋惜しむ朝焼けに染む神戸港 豊実
身ほとりの整理などしつ大根炊く もとこ
三輪山のふもと広ごる大根干し 明日香
総門の前は一面冬菜畑 せいじ
吟行の締めはベンチで日向ぼこ せいじ
けふの昼おでんとシチュー鎮座せり みきえ
冬紅葉五彩の衣を纏ひをり 明日香
街路樹の裸木となり街明かり 智恵子
大岩を引き立てる菊咲き乱れ ぽんこ
寒空や乗員ひとり紫電改 千鶴
綿虫や喪服の群れによく見ゆる むべ
残業の夜道侘びしき冬の月 かえる
宮の杜影絵となりし冬夕焼 なつき
小春日を浴びて居眠り縁の猫 みきお
冬ぬくし一人旅発明石城 きよえ
この先を案じて炬燵囲む宵 たか子
鋤焼がお決まりメニュー吾が女子会 こすもす
停車駅案内の声冬うらら きよえ
並べたる鉢のもみずるカフェかな なつき
焦げチーズ膨らむやうな寒夕焼 素秀
花苗の鉢の並びて冬に入る あひる
冬萌や秘めたる闘志湧き上がる みきお
みかん揉む見よう見まねの孫の手々 康子
刃入れ白菜の水溢れしむ 澄子
冬夕焼け一本道を赤く染め 康子
入り日さす縁に居座る冬の蠅 愛正
特攻の出撃跡地枯れすすき 千鶴
河川敷入り日の影の枯葎 愛正
酒蔵の土壁鎧ふ蔦紅葉 澄子
朝寒の靴音速き勤め人 満天
高層の窓は西日に燃えるごと 智恵子
きらきらとホールインワンに紅葉散る 満天
打たんとて羽音のあはれ冬蚊かな 素秀
猫横断万両色づく狭庭かな こすもす
病む友の庭にすくすく桜草 あひる

2023年11月20日

外厠照らして柔し花八手 たか子
干し物を取り込む間なし夕時雨 せいじ
離れへと誘ふ小径石蕗明かり 澄子
石鐙に手袋一つ忘れ物 ぽんこ
炉を開く鉄瓶磨く隠居翁 愛正
聳え立つ城壁に沿う柿紅葉 豊実
冬うらら始業の前の皆体操 明日香
瑠璃窓に野良と目の合ふ小春かな もとこ
時雨止む葉書二枚をポストまで せいじ
冬三日月鎌研ぐごとし宵の空 むべ
鯉の影さ走る鴨と差し交わす かえる
色付くも枯葉の揺るる園侘し きよえ
大根と法衣干しある山の寺 たか子
白壁に夕影まとふ花八手 愛正
水天宮紅葉に浮かぶ水御籤 智恵子
熱々の鯛焼まずは尻尾から 千鶴
キタテハの影も明るき石蕗の花 あひる
海望む十字の墓に冬薔薇 澄子
風に舞ふ落葉掻き分けドライブす 康子
大小の靴跡残る冬田道 みきお
柿のれん個数数へる軒端かな 千鶴
冬木の芽何やら少しなまめかし 明日香
木漏れ日に揺れる水面や紅葉渓 智恵子
夕日射す燃ゆる紅葉の水鏡 康子
小雀の冬日拾ひに小枝来て 満天
干し柿を貰ひて終わる立ち話 あひる
「里の秋」大合唱で祭り果つ こすもす
閑かなる朝に小笹の霜化粧 素秀
スマートホンと話す人来る枯野かな うつぎ
暮早し服に灯ともすガードマン 満天
ガード下煙ただよふ焼鳥屋 みきお
冬の夕西空明る上弦の月 きよえ
能面のうつむき見やる冬座敷 素秀
濯ぎ物竿三本や暮早し こすもす

2023年11月19日

濃く低く里を覆うや冬の雲 愛正
大路までひと見送りぬ冬の月 澄子
もみずれる南京櫨の実の白き はく子
裸木の杜や見上げば空広し 千鶴
頰被り後ろ姿でわかる父 みきお
湯豆腐に曇り易きや厨窓 澄子
冬ざれや小鳥飛交ふ片峠 愛正
クロスワード五人巻き込む炬燵かな あひる
ありし日の藁打つ祖父のまろき背な 千鶴
洗顔の適温を待つ冬の朝 たか子
大空に真綿の如し雲流る きよえ
穂芒を束ね屋根葺く谷戸匂う 智恵子
沼の面の冬天未だ青であり 隆松
指先の荒れもう早し冬に入る 満天
秋桜の迷路盗人なりて出づ なつき
笑い顔描いた木の実や作品展 康子
背伸びして濯ぎ物干す小春かな うつぎ
元気かと気まぐれ電話冬ぬくし もとこ
銀杏散りフードにはらりと忍び込む かえる
冬うらら人馴れのして鳩番 きよえ
母ひとり子ひとり七五三詣り うつぎ
合掌のごと翅合わせ蝶凍つる 明日香
モール街すつぽり入り寒の虹 素秀
大原女の行きて頭上の菊かほる 智恵子
つぎつぎと訃報の回覧冬の雨 満天
隠しおく万両の赤啄まれ 明日香
撫子をふと撫でてみる別れかな あひる
どんぐりの実ペタルの籠に座りけり ぽんこ
そぞろ寒雨降りしきる滑走路 豊実
早朝のマラソン人や息白し みきえ
子を追ひて深き秋桜迷路かな なつき
小春日や三等当たり上機嫌 みきえ
黄落の領土広げしつむじ風 むべ
天映す沼の鏡に冬紅葉 隆松
中天に寒三日月の夕まぐれ 素秀
冬空へ飛び立つ飛機や手を振る子 康子
柊の花や空家の塀越しに こすもす
コトコトと煮詰まる湯豆腐遅き客 みきお

2023年11月18日

みかん山木にオーナーの名札下げ 千鶴
木目粗き老木なれど冬超す芽 ぽんこ
凩に風とコラボの園遊具 きよえ
水鳥の影もろともに沈みけり 素秀
鉄塔の真上冷えびえ鎌の月 たか子
鈴懸の広葉五彩に散り初むる はく子
色淡し固きつぼみの冬薔薇 なつき
父逝きて石蕗の蕾のあしたかな むべ
天窓に落ち着く木の葉風落ちぬ 愛正
肥後嵯峨と色鮮やかに冬の菊 満天
玄関の足元にある石蕗明り せいじ
出来たての霜きらきらと朝日浴ぶ 明日香
凩や急ぎウインドブレーカー せいじ
ハサミ持ち笑顔の子らや蜜柑狩り 千鶴
籬より我も我もとお茶の花 かえる
荒星や朽ちるままなる無人島 もとこ
アンテナで朝日を浴びる尉鶲 豊実
丸顔の埋まる首巻き小学生 みきお
学生らワイン葡萄を丹精す むべ
夕日浴ぶ吾も草木も枯野道 きよえ
ランタンを闇に放ちて星祭り 智恵子
引力に負けまいと舞ふ冬の蝶 明日香
寒天に放水訓練小さな弧 たか子
冬の雲下山者の背に白きもの 愛正
観覧車超えよと落葉の舞踊り 智恵子
木の葉舞ふ苑のベンチで一息す 康子
屋敷林リズム奏でる落葉掃き 康子
寒禽の鋭き声や闇に消ゆ みきお
咳込みて大事な台詞聞き逃す なつき
凩やカメムシすっかり姿消す こすもす
牡蠣フライ山ほど揚げて孫を待つ あひる
枯葦のぞめきの中に川眠る 素秀
欠け継ぎし茶碗に影す冬陽かな 澄子
真夜の玻璃打つ音大き霰かな みきえ
校門の落葉蹴り上げ下校時 満天
おもはざる訃報重なり冬ざるる 澄子
山ほどの蜜柑無くなる孫の来て あひる

2023年11月17日

風強く紅く身をそる唐辛子 よし子
北風吹いて白雲別ける遠嶺かな 素秀
冬木立人も疎らな美術館 澄子
曇天に早くも暮れし気忙しや きよえ
祝宴の手提げ袋や蔦紅葉 豊実
六人のみ参加の歌会冬陽射し こすもす
叱られて帰る夜道や星月夜 みきお
明朝は冬将軍のお目見えか 千鶴



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