古町のうだつをかすめ燕来る

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  • みのる:「古町」と「うだつ」という短い措辞によってたちまちタイムスリップしたような景が目に浮かぶから俳句は愉しいですね。低空を掠めうだつをよぎりながら高空へ飛翔する燕の躍動感も感じます。つばめが営巣して子育てを始めると子燕が糞を落とすので嫌うひとも多いのですが、古町の人たちは巣立ったあと綺麗に洗って古き良き町を守りながら毎年渡ってくる燕たちも受けいれて共存しているのです。 - 2024/02/11(日)
  • 澄子:まるで浮世絵版画に描かれたような美しい景が浮かびます。古町とあり かつて人の往来や物流集散拠点となって栄えた町だと判ります。私は子供の頃 極短い期間うだつの残る四国吉野川沿いの小さな町に住んだことがあり うだつの残る通りが登下校ルートでした。子供心にも溢れる情緒を感じました。藍の集積地商いが盛んだった阿波の脇町のうだつは当時から有名でした。防火壁であるうだつをつくるには膨大な費用がかかることから 富と地位の象徴となりやがてその高さや装飾を競ったことにも納得。個人的な記憶から漆喰独特の光陰 吉野川から吹き上げてくる春の川風を感じました。 - 2024/02/11(日)
  • 康子:「うだつ」についてむべさんの解説と写真でよくわかりました。防火や屋根を支える為の壁は確かに天敵にも守られ巣を作りやすいのでしょう。燕は安全な場所をちゃんと知っているんですね。「かすめ」の措辞からは燕の勢いを感じ、燕が飛び交う春の様子が浮かびます。「また出てこないかな」と待っている作者も想像できます。またその背景として伝統を守る古き良き街並み、またそこに住んでいる方々のことも想像できます。燕の巣が出来ると縁起が良く幸せを呼ぶとと言われているので、今年もまた燕が来てくれたわ、と喜んで棲家を貸してあげているのかもしれません。 - 2024/02/10(土)
  • えいいち:ツバメがやってきたのですね。うだつの脇をヒューと飛ぶ姿はさぞかしカッコよいのではないかと思います。春の風を颯爽と切って滑空する燕を想像すると気持ちがスカッとします。 - 2024/02/10(土)
  • かえる:うだつの写真を拝見し、これは燕や蜂のマイホーム作りにうってつけだと思いました。古町には、うだつを設けた昔ながらの家屋が建ち並び、燕たちはそれぞれのお気に入りのうだつへと毎年帰ってくるのでしょうね。燕の飛び交う古町の様は、まさに春。柔らかな陽光や、燕に微笑む人々の様子が浮かぶようです。 - 2024/02/10(土)
  • むべ:うだつ(梲)は江戸時代初期よりつくられた、屋根を支えたり防火の役目を担ったりする壁を指す建築用語だそうです。後代のうだつは裕福さの象徴でもあったとのこと。「岐阜県美濃市」と「徳島県美馬市の脇町南町」が特に有名だそうですが、私は本物を見たことがありません。「古町」とありますので、古い町家や商家などが保存されているのでしょう。作者は春の暖かな日に古い街並みを訪れ、精緻な装飾が施されたうだつをかすめるように初燕がやってきたのを見ました。家屋じたいはもう人が住んでいないのかもしれませんが、丁寧に修復保存され、今年もまた子育てのために燕たちがやってきたのです。昔の日本家屋は、凸凹が多く営巣しやすいですし、鴉や猫などの天敵からも隠れやすいのでしょう。燕には現役の家屋なのですね。古い街並みがこのように自然の摂理の中でまだ用いられていることに、作者は静かな感動を覚えたかもしれません。 - 2024/02/10(土)