日溜りに干すトロ箱に冬の蝿

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  • むべ:「冬の蝿」が三冬の季語。トロ箱は洗っても魚の臭いがついているもので、その臭いにつられて蝿がやってきました。冬日がスポットライトのようにトロ箱に当たって、味わう私たちの視点もトロ箱にフォーカスしていきますが、早朝の水揚げやせりが終わった後の、小さな静かな漁師町を想像しました。何とも言えない風情が漂って来る句です。 - 2023/09/01(金)
  • えいいち:作者は漁師町をふらりと歩いているように思えます。日に干している魚臭いトロ箱に蠅がたかっています。何のことの無い町の風景ですが何度も読んでいるとよく日が当たるように立てかけあるトロ箱とそれにたかる蠅がどんどんクローズアップされてきてとても強い生活感と生命感を感じてきます。なんだか一枚の風景画を見ているようですがトロ箱に日が当たって明るい色彩で描かれているように感じます。 - 2023/08/31(木)
  • あひる:冬の蠅が三冬の季語。トロ箱とはトロール漁(トロール船による底びき網漁業)による海産物を入れる箱という意味で、木製もプラスチック製もあるようです。特に木製のものは衛生的にも干す必要があるのでしょう。暖かな冬の陽射しと染み付いた魚の匂いにつられて、どこかで縮こまっていた蝿が飛んできたようです。光と匂いと蝿の動き、そして港で働く人々の生活感が、この小さな光景から生き生きと感じられます。 - 2023/08/31(木)
  • せいじ:冬の蠅が三冬の季語。朝の糶が終わって、空になったトロ箱を日溜りに干しているのだが、トロ箱に残る魚の匂いを感知して、一匹の蠅が来ている。蠅の動きは鈍く、じっとしているだけかもしれない。人々が去った後、蠅が小春日和の波止場を独り占めし、日向ぼっこしているかのようである。 - 2023/08/31(木)