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2025年11月15日

灰雲へ千手伸ばすや枯木立 えいじ
外堀の曲線に沿ふ紅葉かな ぽんこ
静寂なる苔の磴美し紅葉燃ゆ わかば
妻がゐて甘味タイムや庭小春 みのる
白龍のごとくに迅し秋の雲 澄子
山家みな長者の構へ能勢時雨 うつぎ
冬うらら汐木アブストラクト像 えいじ
風除も無く砲台の寂れやふ たか子
格子影しるき小春の花頭窓 康子
降りやまぬ色葉の杜に地蔵堂 康子
野点茶屋千客万来石蕗日和 みのる
長屋門鎮防火燭の札掲ぐ うつぎ
遍路道のこる導と赤ポスト なつき
銘石に寄り添ふごとく藪柑子 澄子
島々に潮の満ち引く冬の瀬戸 たか子
水鳥の鳴き澄む昆陽池ただ広し もとこ
蔦紅葉遺産となりし赤レンガ ぽんこ
弾薬庫歴史の重み冬ざるる たか子
空馳せる流れのごとく秋の雲 むべ
喬木の覆ふ磴道紅葉映ゆ わかば
弾薬庫へ暗き階段山眠る やよい
こぼれ落つ屑否萩のしじみ蝶 みのる
廻りきて池半分の冬紅葉 もとこ
畦道に広ぐ弁当野路の秋 うつぎ
曇天へ蔓纏繞の枯木かな えいじ
それぞれに枝垂れたわわの花梨の実 わかば
紅葉影抱擁したる一碑かな 康子
枯蔓の雁字搦みや防護柵 えいじ
寺苑統べ黄落やまぬ大公孫樹 澄子
前栽に大倒木や身にぞ入む 澄子
杜深く鳩の遊び場木の葉雨 ぽんこ
どんぐりの散らばっている弾薬庫 やよい
遊歩道静けさ破る冬の鵙 もとこ
拾ひたる吾が手に余る朴落葉 むべ
竹小径風のさやぎも秋の声 むべ
黄落に染まる寺苑の州浜かな 康子
草の名に犬猫麒麟野路の秋 うつぎ
お茶入りましたよと声庭小春 みのる
百幹の竹も鎮もる寺の秋 澄子
四国見ゆ紀淡海峡小春凪 やよい
木立透き小暗き磴へ冬日差す わかば
子の手借り急磴下る冬うらら たか子
柏手の澄むや勝運地蔵尊 なつき
冬萌えの靡く草叢風の浜 えいじ
北風にたじろぎて出る露天の湯 やよい
冬池にカメラ小僧の動かざる もとこ
鳥語降る大樹の杜の小春かな むべ
砲台の歴史も知らず鵙猛る たか子
山号を読みて紅葉の門くぐる むべ
どんぐりを投げ合ふ夫婦深山道 やよい
小春日のシャワーをなせる竹の径 康子
七度参りぼつくり願ふ冬ぬくし なつき
秋草に囲まれ秘そと牛魂碑 うつぎ
立ち枯れて秋草高し追悼碑 なつき
辰鼓楼飾る一本冬紅葉 わかば
城石垣アートの如く蔦紅葉 ぽんこ
散りさうで散らぬ紅葉や時世句碑 なつき
庭仕事よくはかどりし石蕗日和 みのる
寒禽の身じろぎもなき池しずか もとこ
木の実拾ふ園児かしまし声響く ぽんこ

2025年10月18日

門川に紅葉浮かびし屋敷町 康子
一の谷葛の病葉揺れゐたり なつき
大秋晴波の子もなく浦展け みのる
栗餅を買ふ行列の蛇行かな あひる
浜茶屋のあとかたもなし秋深む みのる
火灯窓座せば薄らの庭紅葉 えいじ
とりどりの紅葉埋めし石畳 康子
天高し舞ひ飛ぶ鳶の笛縺れ あひる
田圃道ほどの踏切草の花 みのる
スカートや颯爽と詠む秋の人 みきえ
海の色空の色秘め野葡萄は うつぎ
山の端の雲を纏へる月の郷 えいじ
風の秋縮緬波や須磨の浦 こすもす
首塚の梵刻深し秋入日 せいじ
敦盛のジャンボ塚へと小鳥来る せいじ
虫すだく薮と化したる一の谷 せいじ
湧水のゆらぎに寄する落葉かな 康子
草もみじ焼杉塀の裾つづる 康子
車窓いま綺羅の海坂須磨涼し むべ
秋涼し天井高き異人館 せいじ
師弟句碑どんぐり拾ひ訪ねけり なつき
歩す二人不即不離なる秋の浜 みのる
海見ゆる塩屋の路地に秋惜しむ うつぎ
草深き師弟句碑前櫟の実 こすもす
波止眩し秋日を弾く潮だまり むべ
石畳音たて弾む木の実かな わかば
道ゆけば瀬音に交じる虫の声 えいじ
蔓からみ合ひて分厚き真葛原 なつき
秋麗の堰落つる水きらめけり あひる
海の橋釣瓶落としの日を弾く むべ
川岸の樹幹を攀ぢる蔦紅葉 えいじ
守りたき獣の命木の実時 わかば
秋潮の綺羅に散らばる漁船かな うつぎ
身に入むや万神祀る一つ屋根 なつき
木洩れ日のスポット照らす草の花 康子
水脈涼し縮緬波をニタ分けに 澄子
秋澄めり彼方に架橋須磨の浜 みきえ
異人館の無花果葉も実もLサイズ こすもす
秋の人思ひ思ひに句碑囲む 澄子
須磨潟の突堤に佇つ秋の人 みのる
ぴかぴかの福禄寿の頭萩の風 なつき
爽やかや海風入れて異人館 うつぎ
一の谷受くる身ほとり秋の風 わかば
句碑めぐりいつのまにやら草虱 こすもす
野葡萄の色づき初むる一の谷 澄子
国生みの島へ秋潮またぐ橋 むべ
菊手向く塚の敦盛寧かれと 澄子
黒松のますらをぶりや浜涼し むべ
眼下には大秋晴れの須磨淡路 わかば
木の実かと思へば桜紅葉かな あひる
秋の日や花の描かれし駕籠の中 えいじ
秋山路退りて須磨の浦望む せいじ
句碑綴る木々の鳥語や秋の晴 わかば
海の橋から紅に夕焼けぬ 澄子
薄紅葉透ける渓谷一の谷 こすもす
飛ぶ鷺の影滑りゆく秋の川 あひる
松見越しきらめく海や秋の須磨 みきえ
句碑辿る盗人萩を道連れに うつぎ

2025年9月13日

香煙とミストくぐれり彼岸寺 なつき
川幅の細る岸辺や荻長ける わかば
トンネルを出れば颱風待つてゐる えいじ
歌碑の辺に添ひくるものは秋の声 わかば
ミスト降る参道に脱ぐ夏帽子 なつき
展けたる海風捉へ蜻蛉ふゆ わかば
海展けなぎさ海道秋暑し わかば
島遍路釣り人とゆく定期船 なつき
水底に躍る日の斑や秋澄めり 澄子
黄落や風に答ふる楢林 むべ
黄落や空透かしみゆ散歩道 澄子
秋空やビルつなぎゆく飛行雲 康子
グランドのフェンスなだるる蔦かずら 康子
大嵐過ぎて毬栗転ぶ森 康子
夕日浴び鹿の子跳ね逝く風の丘 澄子
秋の森幾度も濡らす狐雨 澄子
風渡る丘に鹿の子ら集ひけり 澄子
颱風裡車線はみでる急貨物 えいじ
颱風や海をま白に横切れり えいじ
神木の千手広ぐる秋の空 康子
菊芋をひと枝手折る山路かな むべ
ビオトープ綴る小道や昼の虫 わかば
つくばいの水輪きりなし秋日燦 康子
暴風雨玻璃をワイパー軋めけり えいじ
息とめて鳥を見逃す颱風神 えいじ
草原を這ひくる霧のはやさかな むべ
かなかなや四国巡りの奥の院 なつき
日照雨過ぐあかがね色の芒原 むべ
風渡る高黍空を刷きにけり むべ
書ききらぬ思ひ身に入む願ひ石 なつき

2025年8月16日

手をつなぎくぐる茅の輪や姫の宮 なつき
パーゴラのグリーンより洩る虫の声 康子
さざれ石に生えし榊の艶やかに なつき
窓開けて終ひ湯に聞く遠花火 康子
花火いま果てて拍手の坩堝かな えいじ
遠花火屋根に顔出すいま佳境 康子
壺型埴輪ならぶ古墳やバッタ飛ぶ なつき
蝉の鳴くドームとなりしビオトープ 康子
蜩に募る寂しさ峡の道 わかば
神苑の橋殿よぎる風は秋 せいじ
姫の宮神体山の清水汲む なつき
睡蓮の円座三つ四つ神の池 あひる
石橋を塩辛蜻蛉くぐりきて むべ
フィナーレの彩を尽くして大花火 わかば
睡蓮の閉ぢし亭午の池巡る せいじ
かなへびの尾のみ見へたる岩涼し むべ
草刈りて埴輪の並ぶ古墳山 なつき
花火果つ煙とどむる遠き闇 えいじ
萩むぐら左右に分るる順路かな あひる
神宮の千畳敷の白砂灼く せいじ
泣くる子の頬のあたりに遠花火 えいじ
大欅ベンチ並みたる樹下涼し むべ
牽牛花蕾一つといふ希望 わかば
神木の紙垂を震わす蝉しぐれ 康子
木洩れ日と遊ぶ目高や神の森 せいじ
橋殿に舞ひ揃ひたる江戸風鈴 あひる
今朝の秋庭に玉ゆら紛れ無し わかば
木下闇榎の洞のかぐろさよ むべ
風鈴の短冊に児の平和の字 せいじ
蒼龍池したたる翠なだれ込み あひる
目潰しの白玉砂利や夏日さす むべ
満月を眺め素直なこころへと わかば
風吹けば円の欠けたる遠花火 えいじ
江戸ふうりん京の都に鳴り響き あひる
跳ねたるは花火となりぬ夜の金魚 えいじ

2025年7月12日

手水舎に背中涼しきミストシャワー 康子
御手洗の赤き柱や青紅葉 ぽんこ
燕とぶ乗り継ぎ駅の空埋めて なつき
奥の池すいと顔出す亀涼し むべ
現れしメタボの蜥蜴尾を持たず みのる
水底に異な虫の這ふ泉かな みのる
白鶺鴒水路の綺羅を啄めり むべ
本陣跡今は図書館山車かざる なつき
緑蔭の離宮に拾う詩心 わかば
お馬車道昔しのびて木下闇 わかば
蜜蜂の花をジプシーする野かな えいじ
慰霊碑へのぼる香煙青葉風 康子
噴水のリズムに乗せて水の精 わかば
若竹の天辺風のうねりかな わかば
川半ば四肢の揃わぬ亀涼し えいじ
開け放つ蕎麦屋の風鈴鳴りやまず 康子
靴擦れの足を冷やせり夏の川 なつき
初蝉や森蔭落とし川流る えいじ
緑陰に朝食広げ老夫婦 むべ
小苑に青葉尽くしの風の道 澄子
水底の砂をどらしむ泉かな みのる
夏草や町を見下ろす関所跡 なつき
白珠の散らばるなぞへ藪茗荷 むべ
蕎麦粉挽く水車の涼し音もまた 康子
万博の夏夜を飾るドローンかな ぽんこ
築山へ紫陽花の途辿りけり 澄子
葉漏れ日を舞ひて瑠璃なる夏の蝶 えいじ
素枯れゆく紫陽花ゆかし小径かな 澄子
邪気払ふ葉を足場とし蜻蛉生る むべ
水打つてネオンの滲む夜の街 みのる
夏空の櫓のしゃちの反り身かな ぽんこ
炎天に鯉も逃げ出す橋の下 ぽんこ
花付きの胡瓜も並ぶ無人棚 澄子
端居して米騒動の話かな みのる
水底の魚戯れて青葉影 澄子
カラフルな絵馬の犇く青葉寺 康子
鬩ぎ合ひ池を狭しと鏡草 わかば
緑陰の少年ナハトムジーク弾く えいじ
城の濠水位の低き旱かな ぽんこ
水子供養の頬ゆたかなり夏椿 なつき

2025年6月14日

夏雲を睨みつけてる鬼瓦 ぽんこ
園丁は若き女子や薔薇の園 なつき
頑張れと檄飛ぶダート夏の空 えいじ
庭涼し小流れに風生まれけり 澄子
絵図の立つ歴史古道の木下闇 みのる
岩噛んで根上りしたる樹下涼し みのる
奥宮へ続く石段苔青し もとこ
定家かずら散りくる樹下の立ち話 あひる
待ち人やカフェの静もる梅雨の窓 よう子
薔薇園の小道ゆつくり黒日傘 なつき
実梅落つ四代並ぶ廟の前 なつき
涼風や万物ゆらぐ朱雀池 あひる
薄暗き水面を染める青紅葉 ぽんこ
緑陰に風の道あり遍路寺 もとこ
豊かなる湧き水藻花揺れやまず むべ
川涼し早瀬に靡く水草また 澄子
何処までも定家葛の縋る白 よう子
地蔵どち天蓋となる若楓 よう子
緑蔭や童地蔵の持つ憂へ わかば
一掬の湧水に汗ひきにけり 康子
ありのまま生きよと大師夏の池 もとこ
万緑を統べ巌頭の大師像 うつぎ
夏の日にビロード肌の馬巡る えいじ
往還は道無き道や青葉風 たか子
遠音聴く森の静寂や時鳥 わかば
樹下涼し植物談義盛り上がる もとこ
楼門の褪せど紫陽花滴りぬ よう子
黄菖蒲や弁財天の琵琶盛ん うつぎ
太閤の由緒そちこち青嵐 たか子
わらべ地蔵罪なき笑顔苔の花 ぽんこ
竹藪の石の塔積む苔の花 ぽんこ
石庭に日の斑を落とす樹下涼し 康子
わさわさとウェーブなして風若葉 澄子
定家葛の落花畳や余野街道 こすもす
修道士ロレンソの道滴れり あひる
蔵涼し天蓋なせる大欅 むべ
ロレンソの布教の小径青葉風 うつぎ
青楓もりあお蛙の毬隠す うつぎ
夏草や花弁の数が名の決め手 こすもす
急流の赤き鉄橋濃あじさい ぽんこ
あめんぼう青天井を弾きけり 康子
修道士どち通ひし道や樹下涼し こすもす
苔むせる巌迸る滝涼し わかば
縫いぐるみ脇侍に地蔵夏街道 もとこ
十薬の群落なせる水辺かな 澄子
一渓の涼し瀬となり淵となり みのる
せせらぎを覗く四葩を吾ものぞき たか子
湧水の吹上げやまぬ樹下涼し 澄子
三連単当たりてだちと呑むビール えいじ
薔薇園に焼き立てパンのカフェテラス なつき
五年生の遠足即席麺工場 こすもす
緑さす磴の天辺朱の祠 康子
若楓十重二十重なすテラス席 むべ
青紅葉の葉陰泡々の卵塊 こすもす
木洩れ日を撥ねてたばしる夏の水 あひる
観音の御前で付きぬ草虱 うつぎ
とれたての枇杷ふるまはる農家かな むべ
毬小さき四代廟の濃紫陽花 なつき
池鏡緑の木々の影美し わかば
出走を呼び出すアナの声涼し えいじ
門川に板渡し売る夏野菜 むべ
激つ瀬の足下に逸る橋涼し みのる
苔の上をたたら走りす岩清水 康子
青嵐下五指折る吾の頭上 たか子
土手つ腹からも水吐く梅雨の渓 みのる
秀吉の植えたる榧や樹下涼し あひる
夏雲や大師像統ぶ具足池 よう子
競り合へる馬は鼻の差風青し えいじ
薬師堂小暗さに差す夏日影 たか子
花期近き数多の蕾夏椿 わかば

2025年5月17日

パドックの栗毛スリムや夏木立 こすもす
闊歩する噴水越しの黒毛馬 こすもす
フラッグの振られ疾走きそい馬 わかば
夏の浜隣りは鳶の話しなど えいじ
パドックにいかにもやんちゃ競べ馬 ぽんこ
紫の揃ひの法被菖蒲守 なつき
薫風や水面にみどり揺れやまず 澄子
騎手どちのカラフル衣装草競馬 こすもす
瀬しぶきに雫の光る歯朶涼し 康子
おつちやんの怒号も走る夏の芝 もとこ
句帳手に遠まなざしのサングラス みのる
藤棚の風に煌めく洩れ日かな 康子
青芝の折り目正しく刈られをり 澄子
顔上げるゴールの騎手や夏兆す よう子
返し馬馬場を確かむ夏レース ぽんこ
出走待つ馬場の緊張雀の子 よう子
池底の石に足生ゆ蝌蚪の群 なつき
返し馬涼しく踵返しけり みのる
わだつみの神の使ひや夏の鳶 えいじ
女騎手二番人気や草競馬 うつぎ
鹿子の木の栞となりぬ夏落葉 えいじ
木洩日の大樹の根方著莪浄土 むべ
鞭一打勝馬目指す走りかな わかば
尊徳像の本に散りたる桜しべ なつき
夏空に掲げる馬場の日章旗 ぽんこ
鈴蘭のそよ風過ぐる谷戸の道 むべ
武具飾る昭和モダンの出窓かな むべ
馬走る噴水上ぐる競馬場 もとこ
武蔵野の初夏を活けたる竹の籠 澄子
赤旗を振ればゲートの開く夏 ぽんこ
藤若葉掃きゐる空の青さかな むべ
勝馬の騎手夏空へ拳あぐ みのる
重馬場の砂蹴散らせて草競馬 うつぎ
初めての馬券を買いて握る汗 ぽんこ
青芝を一閃奔る鳥の翳 澄子
元気馬見極む背伸びのサングラス こすもす
街騒を絶ちたる苑の新樹かな 澄子
田植終ふ足跡深き御神田かな なつき
風涼し急磴つづる羊歯の道 康子
真剣にパドック見つめ薄暑光 もとこ
勝負服涼し白黒ダイヤ柄 うつぎ
夏来る選びし騎手はマリンブルー もとこ
海の日や波の匂へる夏の浜 えいじ
パドックのアピールぶりや風薫る こすもす
風涼し駿馬見定むパドックへ わかば
パドックへジョッキー一礼芝青し よう子
蹄音の怒涛に汗すゴール前 みのる
幾筋の綺羅さ走れる苔清水 康子
コーナーを駈く砂嵐草競馬 うつぎ
埒内の噴水風に踊らさる わかば
均されし馬場へ白鷺闊歩する わかば
笑み涼し当たり馬券を見せ合ひて みのる
長き尾の蝌蚪の大国湧水源 むべ
降り注ぐ鳥語や竹の落葉また 康子
勝ち馬券ビールの旨し定食屋 もとこ
夏風の滑り込みたる三河湾 えいじ
噴水は高さ競はず競馬場 うつぎ
下賜されし菖蒲を守りし米寿翁 なつき
着陸の機体沈むや夏木立 よう子
初めての当たり馬券や汗握る よう子

2025年4月12日

辻風に螺旋を描く飛花落花 むべ
切り株に座せば足許春落葉 ぽんこ
大正琴発祥の碑や花の舞ふ えいじ
碑の平和よ永遠に花の影 うつぎ
生演奏のパイプオルガン春うらら こすもす
菜の花や水平線の放牧馬 かかし
池の辺の四阿抜くる飛花落花 なつき
生垣に散り積む風の落花かな 康子
満開の桜も見ずやガードマン よう子
千年てふ支へ数多も若葉風 かかし
影連れてゆつくり流る花筏 うつぎ
勧誘の声も潜るや花の門 よう子
変顔の女学生らに飛花落花 うつぎ
キャンパスのどこを通るも花の道 よう子
キャンパスのメタセコイアの芽吹きかな うつぎ
歩道橋抱きて湧けり花の雲 むべ
キャンパスの活気をよそに蜷の道 うつぎ
赤い屋根見ゆは駅舎や花の雲 康子
車座の吟行子の背春落葉 こすもす
キャンパスの大路は今し花吹雪 澄子
花ロード行けばチャペルと兜山 もとこ
車椅子席も設けて花筵 かかし
花を掃く僧の駆け込む寺務所裏 えいじ
見上げいる椰子の林立青き踏む ぽんこ
変顔で仲間写真や卒業子 みのる
桜散る掛け声も散るグラウンド もとこ
オルガンの音は絵硝子へ春空へ たか子
キャンパスは桜満開ロック湧く たか子
台風碑の裾に瞬く犬ふぐり なつき
セコイアの芽木高空の風いなす みのる
キャンパス内のそぞろ歩きや若葉風 こすもす
のどやかや撞木に乗りぬ鳩一羽 えいじ
新入生熱き勧誘ライブ待つ もとこ
叫ぶ子に群鳩散りぬ花の寺 えいじ
屈折にためらひの跡蜷の道 みのる
キャンパスの小道しきりに笹鳴ける 康子
学生の声の弾ける花の中 わかば
花の道過ぎゆくバスの軽やかし もとこ
男らのどた靴並ぶ花筵 なつき
水湧きて白山吹のなだれ咲く むべ
兜山学び舎抱き春惜しむ ぽんこ
図書館へ連翹つづる小径かな むべ
山桜慰霊の小さき鐘つき堂 なつき
耳当てて木槌でこんと桜守 かかし
春日射すチャペルの楽に静心 わかば
学園祭ポスターポップ花の下 たか子
春光も若さも眩し山を背に たか子
池鏡枝垂れ柳の影落とす わかば
駅舎へと一直線に花の坂 澄子
夜桜や光るおもちゃで客呼べり なつき
汝の肩にひとひら残る落花かな 澄子
久闊を叙して姦し花万朶 康子
途絶へてはまたはらはらと落花かな 澄子
蜷の道ジグソーパズルさながらに みのる
寺町を巡る御詠歌花の中 えいじ
甲山背に時計台うららけし わかば
バイク背に自撮り革ジャン花の下 よう子
花筏澱みし流れ明るうす こすもす
青空にセコイヤすくと芽吹きいし ぽんこ
若葉影映す学舎のアーチ窓 康子
学舎へ続く並木の桜かな わかば
花の池我が影踏みて佇みし ぽんこ
飛花落花バッハ奏でるチャペル入る もとこ
誰も居ぬテニスコートや花の客 よう子
外つ国の着物でチーズ花吹雪 かかし
花海棠斜めに散らす夕嵐 むべ
風なくば無聊や池の花筏 みのる
キャンパスに満つエネルギー風光る こすもす
若者よ忘るな桜の学び舎を たか子
生垣の陰翳奔る射干畳 澄子

2025年3月15日

白障子旧家支える太柱 ぽんこ
つるし雛簾をなせる縁起物 みのる
大正の舶来シェード春灯 うつぎ
圧倒の量と長さの吊るし雛 たか子
梅林や雨に鎮もる汐見坂 澄子
春よ来い地震の灯籠欠けしまま よう子
小糠雨銅山跡を鎮まらせ たか子
堅く閉づ鉄さび扉梅の花 ぽんこ
石室に手向けとなりし落椿 むべ
春大地呟き止まぬ水琴窟 えいじ
大正の館の窓音打つは東風 わかば
百キロの鬼瓦据へ春の雨 ぽんこ
目鼻なき豆雛らの愁ひかな みのる
ミニチュアの昭和の店の暖かし わかば
老夫婦句帳を首に梅の里 かかし
啓蟄や阿吽の鍬の老夫婦 かかし
生業は銅の精錬雛飾る よう子
春日さす風の綾なす池の綺羅 えいじ
歴史ある町の学びや雛館 わかば
暖かやへつつひさんは銅づくし うつぎ
旧邸はモリスの壁紙春めきし たか子
ミニチュアの紛ふことなきうららけし わかば
雪吊解く印半纏太き文字 かかし
大岩へ苔のぼりゆく春の川 康子
畑焼くや焔に祈る農夫たち かかし
代々の吊るし雛舞ふ蔵の風 康子
御簾垂れて暗き玉座や雛の恋 みのる
落合ふは春の時雨の大手門 澄子
ものの芽や城の石垣ゆるべたり むべ
多聞より見下ろす濠や春寒し 澄子
春暖や掌円し木の欄干 えいじ
ミニチュアの昭和あの頃雛飾り たか子
春光に銅輝きし屋敷神 よう子
城壁の角角にある余寒かな 澄子
菜種梅雨緑青を吹く樋かな よう子
四阿の六角形とは百千鳥 うつぎ
離れ家へ足元照らす春障子 康子
山茱萸の花に雨降る番所趾 むべ
子遍路の松かさたどる奥の院 なつき
大松明はこぶ法螺の音しんがりに なつき
初音かな鍬を休めて茶の夫婦 かかし
春の水S字の濁り描きし鯉 えいじ
一木の河津桜に人集ふ むべ
春時雨石垣のみの天守趾 澄子
鬼まつり踏む張る父の肩車 なつき
豪邸の意匠の数多雛飾る わかば
春愁ふドールハウスの昭和かな よう子
自動ドア開いてお迎へ雛飾り なつき
吊るされる粋なデザイン春灯 ぽんこ
大正ガラス歪む庭園椿かな ぽんこ
耳寄せて豆雛らの私語聞かむ みのる
御濠いま水輪崩して鳰現るる むべ
節分会背に鬼面の白法被 なつき
春光の鯉のなぞれり太き影 えいじ
触れたくも触れてはならじ雛調度 うつぎ
郷土館地元名士の雛飾る うつぎ
大正の玻璃戸に歪む苑のどか 康子
海風に色づく河津桜かな 康子
館長のお口は達者ひな屋敷 たか子
顎紐の結び危うき古雛 みのる

2025年2月15日

神木にひかり波立つ春北風 澄子
蒼帝の下に遥けき池田城 わかば
障子明り寝釈迦醒めよと堂に満つ みのる
涅槃図の絵解きはじまる花咥へ ぽんこ
格子戸門入ればなぞへに竹の秋 康子
クレオパトラも訪ひし廃都や春浅し 千鶴
春寒の池田の路地にいけず石 うつぎ



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