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2024年7月13日

全山を纏うみどりや近江冨士 えいじ
寺まつり元武家屋敷開け放し なつき
落ちてなほこよなく白し沙羅の花 わかば
作り滝水の滔々岩の苔 ぽんこ
青萩や柵を掴まへ迫り上がり かえる
風涼し老舗暖簾の字の合はず みのる
さざ波の上を睡蓮の広ごりぬ せいじ
渡し板蓮の巻葉の通せんぼ なつき
蟻の巣の口の周りはプチ砂丘 せいじ
湧水の楽を聞くやに花擬宝珠 康子
萩叢の隧道抜けて序破の風 澄子
蹲踞の水満々に陽炎たつ ぽんこ
モリアオガエル卵塊の雨を待つ わかば
一条の日の輪のをどる泉かな みのる
万緑の中往く登山列車かな わかば
枝切れば紫陽花の房手にずしり よう子
吟行子まづオーダーの氷水 かえる
本堂に五十路のバンド夏祭 なつき
水底に尾の影ひきてゆく金魚 澄子
名も知らぬ夏花咲けり茶臼山 えいじ
梅天に響くサイレン天王寺 えいじ
パーゴラに斑を散らしたる若葉影 康子
鬼百合の珠芽太りてつや増しぬ むべ
まだ軟き翅を乾かす蝉の黙 あひる
膨らんで撒水ホースとぐろ巻く せいじ
砥部焼の白磁の皿の藍涼し みのる
岩清水ひきて蹲踞奏でしむ みのる
梅雨茸整列したる丸太椅子 あひる
せつかちな空蝉もあり穴の横 あひる
夏の杜深くへ消ゆる蛇の目傘 かえる
初蝉や木立に鴉小競り合い ぽんこ
早起きの夏鶯の禊受く よう子
汗拭ひ太子絵伝の絵解き僧 なつき
緑雨降る兵どもの泪めく えいじ
夏木立樹間に浮かぶ通天閣 えいじ
一揆寺藪蚊も失せし暑さかな なつき
主居ぬ二階の軒へ夏つばめ よう子
四阿をはみだし大き星の笹 康子
湧水の辿る岩間に新樹光 康子
掬ぶ手にまろび輝く泉かな むべ
はまぼうの花散る樹下や梅雨嵐 あひる
抽んでし蓮蕾まるで三姉妹 せいじ
おはぐろや睡蓮の葉を放蕩す あひる
鍼灸院出てかたばみのバス停へ よう子
見霽かす緑また緑の夏の苑 かえる
荒縄の葦をくぐりて夏祓 ぽんこ
駅飾る庭園の竹星の竹 むべ
青葉して日の斑の遊ぶ苔畳 澄子
ゆくりなく疏水に現れし羽抜鴨 せいじ
四阿は網代天井星の竹 澄子
清らなり杉苔青し寺の庭 わかば
羅に真白な腕の透き通る かえる
蓮広葉車軸の雨に寧からず みのる
蟻の穴地下帝国を思ひけり むべ
背伸びして高きに結ぶ星の竹 むべ
石刻の涅槃仏へと沙羅の花 わかば
笹飾り幼き文字で平和へと 康子
人を待つ四阿渡る風涼し 澄子
美容師の相槌じょうず櫛涼し よう子
青蔦の覆ふ小径に足取られ ぽんこ

2024年6月15日

蓮の葉の玉水に棲む小さき虫 せいじ
紫陽花の谷の底より朱の御門 あひる
新樹陰弁財天のハート絵馬 なつき
目を奪ふ真白を通す七変化 うつぎ
池透けて見ゆ萍の細根かな むべ
山峡の谷戸に展ごる植田かな 澄子
目に涼し宇治の早瀬よ水音また みのる
あぢさゐに埋もれ明王苦笑ひ もとこ
頭の欠けし北向き地蔵走り梅雨 なつき
宇治川の激流の空夏燕 こすもす
山門をくぐればどっと濃紫陽花 千鶴
吟行の締め宇治金時のかき氷 はく子
万緑を分かちて激つ瀬の白し あひる
微塵子籠め蓮の雫の小宇宙 うつぎ
青蔦を背に鎮座する薬師如来 ぽんこ
大前を埋め尽くしたる蓮の甕 せいじ
脚継ぎし陶の狛犬木下闇 なつき
水底に影の縺るるあめんぼう むべ
かき氷山を崩して五臓六腑 ぽんこ
押しくらのごと鬩ぎあふ未草 みのる
日照雨きて際立ちませる青山河 澄子
小粒立つ青蜜柑下瀬戸の海 澄子
日をはねて水かげろふや作り滝 むべ
吾と共に石橋渡る塩蜻蛉 あひる
行厨は瀬音涼しき川岸に はく子
彫り深き人面めきて鯉涼し こすもす
休耕田ざりがに池のなれの果て かえる
息吸つて胞の膨らむ煙の木 えいじ
激つ瀬の水上に並む鵜舟かな せいじ
宇治川の激つ瀬音の涼しかり はく子
夏柳風に誘はれ地を摩る かえる
行厨は宇治橋見つつ夏木立 たか子
片膝をつきても霞む庭石菖 えいじ
川風が攫ひし宙の糸とんぼ みのる
軒忍水車飛沫に常濡れす 康子
五月雨や大水を裂く木除杭 せいじ
宇治川の激つ白波夏河原 たか子
宇治訪ふてやはり読もうか宇治十帖 千鶴
万緑や千年を守る宇治上社 はく子
極彩のベゴニア繚乱植物園 えいじ
虫食ひの茄子一つ熟るほまち畑 なつき
清水汲み石佛供ふ欠け茶碗 もとこ
寺薄暑ようおまいりと碑の迎ふ もとこ
犇めきて亀ら飛び込む夏の川 えいじ
ガラス戸に映る古刹の緑の景 ぽんこ
緑陰の川辺に拡ぐ弁当かな 千鶴
三世代おなじ面差し水合戦 かえる
蓮巻葉大き浮葉を突き上ぐる うつぎ
老鶯の美声振りまく古刹かな ぽんこ
畳なはる山の緑の色違へ わかば
運転手は新人女性古都薄暑 こすもす
亭涼し竹籠に活く山野草 康子
紫陽花寺「ようおまいり」と誘へり たか子
梢洩る日矢に煌めく泉かな 康子
大岩に揺るる日の斑や樹下涼し 康子
沖つ波潤みて瀬戸に梅雨兆す 澄子
青海波なして咲き満つ濃紫陽花 みのる
老鶯や遠谺して宇治の山 たか子
神木の大欅の辺岩清水 わかば
濃淡に紫紺織りなす菖蒲園 むべ
万緑に三重の塔の見へ隠れ ぽんこ
ゆっくりと征く雲映し植田かな 澄子
蜘蛛の囲や檜皮葺なる拝殿に たか子
新茶汲む茶舗立ち並ぶ宇治の辻 千鶴
木下闇神木欅三百齢 はく子
紫陽花の苑をたゆたふ人の群 あひる
鬱葱の木立の中や青葉闇 わかば
橋半ば水皺となりし夏の風 えいじ
鶯や勇気付けられ磴上る わかば
霊石の幣をちぎりて蔦茂る なつき
水鏡沢紫陽花と青空と むべ
天辺より山食んでゆく氷宇治 あひる
もてなしの和菓子に添へる四葩かな みのる
枝先にまろき梅の実数多生る かえる
花手水竜の口吹く泉かな 康子
苔しげる小さき地蔵の祈りの手 もとこ
紫陽花や友の労り有り難し わかば
解禁の出番待ちたる鵜舟かな 千鶴
異彩放つ紫陽花に歩を緩めけり こすもす
あぢさゐと句碑に散らばる字のをかし もとこ
広芝のスプリンクラー虹生る かえる
宇治川を背なに涼しげ式部像 うつぎ
注文は迷はず宇治のかき氷 うつぎ
緑陰を占めて一団瞑想中 こすもす
天空の山寺に早や鬼やんま せいじ

2024年5月11日

濯がれて軒に干されし鯉のぼり せいじ
雨含む岩を絞りて苔清水 ぽんこ
透明度百パーセント瀞涼し みのる
深山道木立の中に山躑躅 わかば
磴百段下れば泉そこここに 康子
姫女苑防災倉庫置く空き地 なつき
湧き水の奔流となる梅雨初め よう子
田水張る水面の電車喘ぎ来る よう子
クレソンを研ぎゐる清き流れかな むべ
開発の迫るなぞへや二輪草 澄子
小祠に守られている銀竜草 ぽんこ
藍染の鯉のぼりたつ工芸館 むべ
母衣掲げ熊谷草は堵列せり 澄子
苔清水リズムは刻をきざむよう 小袖
花びらも名前も雅なり花菖蒲 せいじ
山家いま迫る五彩の緑かな 小袖
楽しみと待つこと久し新茶の香 わかば
密やかに届く木洩れ日熊谷草 あひる
ヌートリア声高らかに泳ぎきる えいじ
駆けつけし時蛇の尾の消えゆけり あひる
連理して大緑陰をなせりけり みのる
ものの芽を踏むまじとゆくなぞへかな 澄子
慰霊塔萌ゆる若葉に抽ん出し 康子
地蔵尊燃ゆる躑躅を籬とす 康子
筍の丈の限りに伸びゆけり 澄子
沢蟹の透けて生れたて直ぐ隠る うつぎ
沢蟹の小さき石を砦とし たか子
我に来て憩えと翳す緑樹かな みのる
旋回し戻る瀬石や糸蜻蛉 あひる
恐竜の森とや熊谷草抱だき うつぎ
鳥居から神木へ吊る鯉のぼり なつき
日と風をとどめて池の杜若 なつき
振り下ろす指揮は雨粒蛙鳴く よう子
洞深き台場くぬぎに若葉雨 あひる
しがらみのごと名札立つ菖蒲池 せいじ
貴種流離山芍薬の佇まひ 澄子
草笛や青空の下吹きたくて わかば
不意にきし色の見えたる黒揚羽 えいじ
国の保護無しとや不憫熊谷草 たか子
渓風に紅ほぐれそむ楓の芽 むべ
新緑の山路を友と枯木杖 小袖
鉱山は今は昔や山滴る うつぎ
炭窯の崩れし洞に花むぐら あひる
風孕む熊谷草の淡き母衣 たか子
草摘みて子育て大師供へたり なつき
切岸の谷底のぞく射干の花 ぽんこ
樹下涼しデッキチェアに足あづけ かえる
けりけりと番い騒げる代田かな えいじ
岨道の青羊歯覆う間歩の跡 ぽんこ
ため息のごとあぶく吐く緋鯉かな かえる
蜘蛛の囲のうつぎだらけに粧へる うつぎ
苔潤むところ若葉の影遊ぶ かえる
熊谷草道聞く人の絶え間なし よう子
ゆらゆらとひとつばたごの花満開 えいじ
水の色森の色引き糸蜻蛉 うつぎ
日を倦みて欠けし一片朴散華 むべ
ゆるゆると手を逃れたる柳絮かな えいじ
長続きせぬ沢蟹のかくれんぼ 小袖
花菖蒲江戸肥後伊勢の名を負ひて せいじ
石垣の隙間ゆるりとくちなわの尾 ぽんこ
雉子鳴く子等見ぬ村の休耕田 よう子
山颪しばしな吹きそ朴の花 むべ
黄菖蒲の咲きて池辺満たすなり わかば
満水の池面に浮かぶ未草 せいじ
大蛇めく蔓みあげれば天つ藤 みのる
大いなる緑を訪ね立夏かな たか子
石楠花に添ひし水音や心地よく わかば
啓蟄やくちなわを見る深山かな たか子
手汗拭きおもかる石を持ち上ぐる なつき
一輌車谷戸の代田に傾きぬ みのる
山腹の緑に豊かベニウツギ 小袖
せせらぎの楽を標に谷若葉 康子
一穢なき空に紋様夏の蝶 康子
灯籠に日の斑のあそぶ夏木立 かえる
堂裏へ禰宜の掃きよす春落葉 かえる

2024年4月13日

古庭の高きより落つ藪椿 あひる
春秋や並ぶさくらと楠紅葉 えいいち
せせらきに触れなんとすや枝桜 隆松
大池を眼下にくだる花の坂 せいじ
花筵へ下ろされ犬の胴震ひ なつき
句談義の四阿にいま若葉風 あひる
瞬かぬ鹿の遠目や花吹雪 よう子
池鏡蜃気楼めく花の影 みのる
しやぼん玉否国宝の水晶玉 うつぎ
若桜駈け登りたり三笠山 ぽんこ
花菜畑苑の一隅明るうす 澄子
甘茶仏御手の小さきに雨細く たか子
焦点は山門先へ花の道 隆松
生垣をクッションにして椿落つ 康子
てうてうにどこまでついてゆく子かな えいじ
内濠の碧き止水に花の影 せいじ
春燈や阿修羅の影す後ろ壁 うつぎ
初音いま目つむりて聞く岨の道 せいじ
紅の円陣となる落椿 澄子
早暁の山門の花ひらひらり かかし
亀どちや餌待ち顔の春の川 えいじ
フェスうららからくり太鼓時を打つ せいじ
雨晴れて畑の遠近土竜塚 澄子
古刹から望む霞に竹生島 隆松
銀輪を押して歩きぬ花の道 かえる
大葉に乗る独りぼっちのかたつむり ぽんこ
ぬれ縁の着物姿や春灯 こすもす
天蓋に飛天の舞やうららけし もとこ
ジョガーゆく堀川端の初音かな えいじ
隣り合ひお国はどちら花の下 よう子
広庭は落花畳や療養所 むべ
春泥にまみれし鹿の澄まし顔 たか子
照れば濃く翳れば淡き桜かな 澄子
春の燭憂いを含む阿修羅像 ぽんこ
水揚げのめかぶ切り分く朝市女 なつき
早暁のサッカー少年青き踏む かかし
目に涼しオープンガーデン花手水 みのる
眉根寄す阿修羅の苦悩春憂う たか子
春陰や菩薩足指反らしける もとこ
大寺に意外に小ぶり花御堂 はく子
花李あち見こち見に咲き満ちぬ かえる
春塵に十二神将身をよじり もとこ
色々な民族衣装春の古都 こすもす
犬膝におしゃべり続く花の昼 なつき
春愁や眉動きそふ阿修羅像 よう子
分け入りし小暗き森に著莪真白 かえる
公園は花見テントの展示会 えいいち
苔庭の花と見紛ふ黄蝶かな うつぎ
茅葺きの山の茶室の春燈 あひる
日矢射して桜吹雪のきらめけり あひる
青空に雨だれめきし花しぶき えいじ
囀りの輪唱やまぬ森の朝 康子
花の雲三笠山を指呼の四阿に はく子
青空をキャンバスにして花万朶 康子
おにぎりをほおばる背なに花吹雪 こすもす
若楓瑞々しき日落しけり みのる
山門の花から花へ鳥語聴く かかし
花添はせ枝張る松の男ぶり うつぎ
弔ひを幾度見送り花万朶 澄子
つぎつぎと落花留まる瓢箪池 あひる
花の雲大池三百六十度 みのる
春愁か悩み多そう阿修羅像 こすもす
草臥れた脚をさするや山笑ふ ぽんこ
帯なすは草原に群る韮の花 康子
天上天下読経の続く仏生会 はく子
花満る小鳥飛び交う雲の下 えいいち
チップイン仰ぐ春空鳶の円 えいじ
花下に笑む患者とナースはいポーズ 康子
華やぐや落つる椿の開く土 えいいち
歩けども歩けどもまだ花の道 むべ
人出絶へ木々に耳当て桜守 かかし
春時雨阿修羅の深き憂い浸む たか子
たもとほる病舎の庭にリラの花 むべ
春陰の蛇を踏みたるマリア像 むべ
外つ国の人らに古都の花吹雪 うつぎ
赴任せし先生自撮り花の門 かかし
満開の花又花の車窓かな はく子
初孫は双子や友の花まつり よう子
紅白帽駆けるグランド花吹雪 こすもす
広芝に刺繍のごとく花すみれ かえる
花陰に生ふは地獄の釜の蓋 せいじ
潮騒に草笛低く吹き継げり なつき
大玻璃に一望苑の花の雲 むべ
春寒し千手観音そそり立つ もとこ
天蓋の花を潜りてバス徐行 かえる
桜散る古色の塔へ散華とも はく子
紅白と桜繚乱古刹坂 隆松
太刀のごと反る石垣や花の城 みのる
持ち帰る甘茶や夫の仏生会 よう子
また一歩吾に歩み来る残る鴨 えいいち
桜散る堂縁に寝る異国人 たか子
家苞に柿の葉寿司や春憩ふ ぽんこ
花筵の犬が抱つこの犬に吠ゆ なつき
四阿に馳走は風と囀りと もとこ

2024年3月16日

足長の花瓶にすくと鬱金香 かえる
見る影無く墓場の守の枯芭蕉 ぽんこ
波返堤の砂泥にかほる水仙花 えいじ
銃眼を貫く春の光かな みのる
針の芽を鞘に隠して枯芭蕉 せいじ
花堤どの木も撮る人撮らる人 うつぎ
鞄当て餅花一つ飛ばしけり なつき
慰霊碑は武揚の書や花万朶 せいじ
湧き水の微温はぐくむ蝌蚪の紐 むべ
弁当売り土堤の桜を知り尽くす よう子
陽の射せばひときは著き花の影 あひる
福寿草わづかに開く晴れ曇り むべ
春草に雁字搦めや犬の糞 えいじ
幾たびも堰落つる川風光る 康子
花下に立つ白きドレスとカメラマン あひる
花の寺鳥羽や戦の石碑守る よう子
河津桜鳥も潜れぬ万朶かな うつぎ
梅散るや花のかたちの萼残し むべ
目を凝らす朽ち葉のあはひ節分草 澄子
城跡の読めぬ看板花の下 よう子
水澱む瞳凝らせば蝌蚪の紐 かえる
躓きて見渡す限り竹の秋 ぽんこ
ママ友がバギー連ねて花堤 せいじ
遊歩道行くを遮る花の枝 ぽんこ
淀駅や花見の客に飲み込まれ よう子
哺乳瓶こくこく吸ふて花の下 あひる
河津桜紅の帳を張るごとく うつぎ
春旅や気分は気比の翁像 隆松
簪のごとく揺るるや花馬酔木 むべ
七段の階段箪笥雛飾る なつき
みどり児も花の宴のミルクかな あひる
あけび芽のまきついてゐるゑくぼ花 えいじ
水の上をたたら走りし鴨飛翔 みのる
百相の瘤の榎の芽吹きけり 澄子
駅名板残す廃線燕来る なつき
激つ瀬の回るあぶくに春日燦 康子
熊笹にかさりと椿の落つる音 かえる
山茱萸の芽吹き初めたる淀堤 はく子
久しぶり句友と花見楽しめり はく子
菰巻を解かれ松肌艶めきぬ 澄子
川べりに花の釈迦堂小さき仏 ぽんこ
春風や帽子飛びゆく鳥居下 隆松
さざ波の春光綺羅の星を揉む みのる
古刹には松の根方に福寿草 わかば
椿落ちてでんぐり返るなぞへかな みのる
春月や砂持つ遊行像の上 隆松
匂ひして鼻であなぐる花馬酔木 かえる
春の泥掻き分けてゐる烏鯉 かえる
春泥に敷く藁筵やわきかな 康子
湧水の砂に潜める蝌蚪の紐 康子
はらからと睦ぶ行厨花の下 わかば
河津桜見事に開き香の高く わかば
顔白く塗りし地蔵や涅槃寺 せいじ
芭蕉句碑巡る敦賀や春日和 隆松
ソーラーパネル光る町並み山笑ふ なつき
啓蟄の道を舗装の作業班 えいじ
淀城址河津桜の紅の濃き はく子
黄色の足許明かし福寿草 ぽんこ
松毬転がるままに芝青む 澄子
破蓮よどみし濠の淀城址 はく子
淀水路河津桜のまだ散らず よう子
宵待てる紙燭の白や雛調度 むべ
竹林の奥の闇より囀れり せいじ
花の淀俯瞰せんとて城山へ うつぎ
見下ろして翳して淀の花堤 うつぎ
廃線のホームのベンチ初蝶来 なつき
春日射し水底現るる鯉の影 康子
雨の日に独り占めなる大春野 えいじ
家族連れ犬連れそぞろ花の道 はく子
落椿日翳りてより鬱つのる みのる
河津桜訪ひて戊辰の歴史知る わかば
ふらここにひと休みする散歩道 あひる
咲き満ちて水に枝垂るる桜かな わかば
蝌蚪の紐生かす五寸の深さかな 澄子

2024年2月17日

冴返る音なく止まる救急車 よう子
春暁にドクターヘリの影帰る 素秀
春浅しアラビア文字の絵馬あらた 澄子
乱れ飛ぶ礫の如き福の豆 澄子
御屋敷街「猪がでます」と其処此処に うつぎ
法螺貝の響く参道節分会 康子
梅林の花の雲より時計塔 あひる
粛粛と御練り行列節分会 澄子
蒼天に福豆描く放物線 むべ
金泥の贅をつくせし涅槃会図 みのる
節分会乙女太鼓に華やぎぬ 澄子
線香の烟に日矢さす寺四温 康子
薄みどり帯びたる萼に梅白し むべ
節分の法螺貝天に響もせり むべ
老木を春の啄木鳥起こしけり むべ
若僧の蒼き剃り跡春日射す かえる
泥濘にワジめく軌跡池涸るる せいじ
日の注ぐ句碑を巡りて寺は春 康子
燃ゆる緋や鹿児島紅梅園を統ぶ うつぎ
踏むまいぞ見晴台の春の泥 うつぎ
白梅の香る清しさいとほしむ わかば
母支え見し頃思ふ濃紅梅 たか子
梅の花香に寄り添ひて巡りけり わかば
谷戸晴れや宅地脇でもこごみ採る 隆松
凍返る知恵百度石撫でもせず うつぎ
梅の苑思ひの彩と香を放つ わかば
紅梅の色いやまさる勢かな わかば
連弾のお琴の音色梅見茶屋 かかし
僧侶らのお練り美々しく春日向 かえる
畑を打つ尻また返す鳥に鳥 隆松
踏み石に梅の薄影苔むして ぽんこ
走り根の隙間に芽吹く生命かな かえる
海豹の髭さながらに梅の蕊 せいじ
園丁の泥掻き出して蓮を植う せいじ
葉牡丹のパッチワークや花時計 せいじ
梅の丘振り返る目に茅渟の海 たか子
お手植の樹齢百年梅三分 かかし
やせ細る盆梅の幹咲き満つる なつき
鐘の音が前口上や年男 むべ
看護師の開くカーテン春立ちぬ 素秀
茅渟の海見んと春泥跨ぎけり よう子
薄氷を踏みて登校列乱る かかし
病窓を画角に山の笑ひたる 素秀
読経僧寝釈迦醒めよ鐘たたく みのる
シルバーの歩数競ふや梅日和 よう子
金色の九輪見下ろす梅の丘 みのる
春菜に他県車止まる峠道 隆松
待ち合はせ梅が香通ふ山門に 康子
畑返す土黒々し谷戸の晴 隆松
灘霞コンビナートの煙飲む うつぎ
安寧の面輪に涅槃したまへり みのる
梅苑のピエロの曲技一輪車 かかし
女どち犬を小脇に梅の坂 なつき
梅ふふむ撫で牛の背に日の温み なつき
水仙が広場の顔や物見台 ぽんこ
囀りや水車の廻る蕎麦処 澄子
下校子の道草靴に春の泥 よう子
梅愉し開花に遅速あればこそ たか子
鰐口を叩けば余韻涅槃寺 たか子
舞ふ豆に挙ぐる千手や節分会 康子
早春の駅中ピアノわらべ歌 かかし
四阿の座布団梅見指定席 よう子
小春の日宝探しの句碑巡り かえる
白梅やしぶきのごとく枝垂れ落つ あひる
梅園の裏山に湧く雲白し あひる
結界に飛び石もどる探梅行 なつき
きざはしの途に早散る梅の丘 ぽんこ
高台の春泥しるき町全貌 ぽんこ
春愁や並び聞こゆる心電音 素秀
たたなわる梅の花背にポーズとる ぽんこ
びんずるのお顔滑らか暖けし かえる
センサーで流るる手水春ひかり あひる
点滴のラインもつれる建国日 素秀
梅日和子と浮かべたる水みくじ なつき
池涸るる鷺よく歩く泥の中 せいじ
ぬかるみを物ともせずに探梅す たか子
つぶつぶに数珠なし蕾む枝垂梅 みのる
四阿の暗きに添へる淡き梅 わかば
梅東風やうち並びたる杓文字絵馬 あひる

2024年1月13日

寺田屋のお登勢祀りて幣小春 たか子
ガス灯の烟る居留地枯木道 わかば
新成人乗せて俥夫往くけふ佳日 かえる
山茶花の白刀痕の池田屋に あひる
石垣に彩を添へたる万両かな ぽんこ
口づけのごとく寒紅酒を利く みのる
福藁へ踏み入り訪ぬ古屋敷 かえる
寺田屋の門の一歩に白椿 うつぎ
古民家の艶めく床に冬日射し 康子
冬晴や湯屋の煙突残る街 うつぎ
鞠のごと跳ねて日向へ寒雀 かえる
寒禽の朝のお喋り樟大樹 ぽんこ
武蔵野の空の広さや凧揚がる むべ
来る年も荒れ放題の芭蕉墓碑 ぽんこ
乗初や明石海峡晴れてをり わかば
水郷の水の揺らぎや小六月 たか子
方丈に庇の影の白障子 ぽんこ
コウコウと声の聞こゆる白鳥沼 隆松
撫でて身に入む寺田屋の刀傷 みのる
冬の海荒れて埠頭を越ゆる波 わかば
増へてゆく水子地蔵や菊の供華 ぽんこ
寒禽のこぼるる声や城の森 わかば
絶対と絵馬に念押す初詣 なつき
俯きて神話のごとく水仙花 素秀
まぼろしの初湯のひかり子宝湯 澄子
石灯籠遠き昭和の冬館 澄子



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