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指の先そらし編み笠風の盆 千鶴
過ぎ去るを待ちておしゃべり秋の雷 こすもす
月の暈月を大きく見せにけり むべ
法師蝉ひと節ながれ夕木立 あひる
空高しトランペットの音色澄む 澄子
秋めくや取り寄せ野菜箱あふる もとこ
ベンチきて少年どかと座す秋思 えいじ
シャッターの商店街に蝉骸 山椒
植木鉢みな砂漠色秋雨待つ 明日香
口笛や朝の挨拶小鳥飛ぶ きよえ
ビアジョッキぶつけ乾杯する屋台 山椒
虫の音の草むらつつく子犬かな 康子
吟行の吾を待つ夫へかき氷 康子
薔薇色に濃淡ありて秋夕映 むべ
桃喰ふて今日の一ト日の始まりぬ きよえ
情け無く残暑の街を迷ひけり たか子

2025年09月02日

神苑の樹下に賜る風涼し やよい
神おわす三輪の山なみ秋の色 明日香
咽ぶごと胡弓響きて風の盆 千鶴
秋夜空ゆっくりと飛機いづこへか ほたる
夕映えに染まり消えゆく雁の列 あきこ
秋高し杜を突き抜く慰霊塔 康子
秋の瀬戸沖波潮の香を乗せて きよえ
噴煙を飲み込みたるや霧の海 南郷
ガザ戦禍熱砂の中を逃げ惑ふ みきお
栗多く見えるやう盛る栗ご飯 なつき
水遣らぬゴーヤー真っ赤に怒りをり よし女
登高や澄み切る空を吸ひにけり 藤井
道の駅見下ろす高原蕎麦の花 愛正
捨てられぬ物や思ひや秋愁ひ たか子
塩飴にほっと息つく残暑かな こすもす
殻割れば甘く香ばし落花生 むべ
夢の果て土に戻せし蝉骸 山椒
終活をやり遂げられず九月来る せいじ
水路沿ひガードレールに草茂る みきえ
日差しなほ皮膚を突き刺す九月来る せいじ
椋鳥の一群一樹飛び去るや きよえ
今朝からは電車見送る秋静寂 南郷
空奔る雲に射す陽や野分晴 あきこ
畏まり食む柿羊羹見合かな みきお
古書の町秋光やはらぐ句座の午後 勉聖
夕光に綺羅星生まる赤蜻蛉 わたる
夫も居し家族写真や夏の果て よし女
垣越へて車道にころぶ柿ふたつ みきえ
唐辛子効かせパスタはアルデンテ もとこ
参道の行く手を阻む実紫 ぽんこ
秋晴や亭午のしじま刻止まる 明日香
香のゆらぎ句心澄める初句会 勉聖
八月の尽きて丘より日の出待つ えいじ
蝶二頭追いつ追われつ青き空 山椒
流星を呑みこむ真夜の街明り むべ
秋夕焼染まる欅の立ち上がる えいじ
新米の幟が六つ宅配所 和繁
露天湯の岩に張り付く赤とんぼ 愛正
稲刈りの鎌に青空映りけり 博充
スプリンクラーより生まれる虹や秋暑し こすもす
籐バック網棚に縒る夏の果 康子
蜩や夕間暮れゆく杉木立 博充
秋の空風は思いのままに吹く 和繁
仏飯に一粒盛りし栗ご飯 なつき
青鷺の影をこはして雨はげし 藤井

2025年09月01日

夜の秋弓張月の煌々と やよい
アニメ観に最後のひと日夏休み みきえ
本殿に朝日差し込む秋暑し ぽんこ
朝夕の季の移り行く風涼し きよえ
茹でたては醍醐のごとし落花生 むべ
久々に丁寧に煮る栗南瓜 よし女
山間に波打つ白き蕎麦の花 愛正
水澄むや苔をついばむ鯉の群れ 康子
溢れ来る泡もろともに干すビール 山椒
白き肌指あと残るきぬかづき ほたる
かき氷溶けてしまへり愚痴を聞く みきお
ひそやかに咲き初む萩の道を抜け あひる
散水のホースどんどん長くなり 明日香
下り簗水清らかに山青し 藤井
秋暑しペダルに絡む鉢の蔓 せいじ
花火果て跡は黝き虚の空 勉聖
パリパリに乾くタオルや震災忌 なつき
見上げれは半月白し夕散歩 こすもす
柿色の空に響けり虫時雨 あきこ
ドローン飛びカメムシ防除厄日過ぐ 千鶴
望外の暑さに蟄居せる如し たか子
衣被つまむ夜更けの二人酒 ほたる
蜻蛉舞ふ天空高き野天風呂 愛正
朝まだき野草手まねく秋涼し えいじ
月淡し薄雲三重に流れけり 南郷
細き川僅かに映す天の川 南郷
目標は五千歩半月見上げつつ こすもす
梨皿にむく手の滴フォーク添ふ きよえ
織姫は空のてつぺん冷めぬ町 和繁
倉庫開け放し点検防災日 なつき
山遠く熱を率いて去ぬ燕 あきこ
名産のかぼちゃ色良く仕上りぬ 和繁
クーラーの効いた図書館憩いの場 山椒
稲刈りや農家はホット息を吐く 藤井
ホ句せんと顔灼く野路の秋旱 えいじ
打水に色の浮き出す石畳 康子
青天や薄紅葉ではなく枯れ葉 明日香
いそいそと茶碗揃える今年米 もとこ
夕日射す村の入口案山子かな 博充
寝そびれてうつらうつらの夕端居 勉聖
晩夏光御紋浮きたつ軒瓦 むべ
草茂る閉じ込められしすべり台 あひる
枝払ふやる気スイッチ押し続け せいじ
最後には香りに負けし葛の花 わたる
並ぶ列新蕎麦を食む峠茶屋 みきお
魚糶場真水で洗ひ八月尽 よし女

2025年08月31日

蝉の骸しかと爪たて力石 ぽんこ
裏山を白波立てて花すすき あきこ
朝霧や後ろのビルの見えぬ街 ほたる
水風船投げて濡れ合ふ晩夏かな あひる
浅草を揺らす踊り子カーニバル 山椒
漣に消ゆる山容秋の池 せいじ
カレンダーめくるひと日や八月果つ 明日香
口窄め小さき葡萄をおしゃまなり もとこ
水打てばどの花も辞儀繰り返す よし女
砂利道に影おどらせて夏の蝶 あひる
漣の澄みし水面を徘徊す せいじ
太鼓橋閉じて杖なる秋日傘 愛正
迷ひ来し蝶のそのまま夜を明かす 澄子
玻璃ビルのかへす西日は濠水へ むべ
見晴るかす白き絨毯蕎麦の花 わたる
高速道入らむ車さるすべり 和繁
秋桜や果てを知らで散り急ぐ 勉聖
茸狩りや勝手知りたる山の道 藤井
映画見て帰る夜道や星月夜 みきお
竹春や葉影ゆらめく野点傘 康子
打ち水や笑む子ら濡れて庭の縁 勉聖
手を繋ぎ歩く川土手良夜かな みきお
月の宴廊下の長き博物館 藤井
誰を待つ無人駅舎の黒とんぼ 愛正
観音へ袈裟懸けに射す秋日かな 康子
ルピナスの庭愛らしき百均柵 和繁
片陰も等間隔に塀瓦 むべ
焼けそうな日本列島朝清し ほたる
秋の蚊の大群来たる森の闇 えいじ
暑けれどいつの間にやら鰯雲 こすもす
炭酸がいいと聞きすぐ飲む秋日 明日香
救急車見守る媼ら八月尽 みきえ
梨をむくガブリとかぶる至福かな きよえ
いくえにもゆるるすすきは泡のよう あきこ
玄関に色なき風を迎へけり 南郷
天からも地からも湧けり赤とんぼ よし女
花一面犇めく大葉蓮田かな きよえ
鳴り響く乾杯の音ビアガーデン 山椒
秋灯下整理に思案古日記 たか子
秋蝶の草の間に間を訪ねゆく えいじ
枯れながら群れ立つ紅きカンナかな 澄子
秋の田や水面を滑る鳥の影 博充
寝つかれぬまま茫然と秋暑し 千鶴
捥ぎたての葡萄隣家の鉢育ち みきえ
秋めくやハツユキカズラ地面這う 南郷

2025年08月30日

真摯に見つ路線情報秋の旅 千鶴
幼な子のこころやはらか桃を剥く もとこ
宇宙へと展ごる虫のシンフォニー 山椒
爽やかな風にきらめく車輪かな 明日香
まどろみて寝返りひとつ夕端居 勉聖
朝露の山路に潜む羽音かな あきこ
日傘手に登校の子や一列に みきお
遠くから蝉のひと声白い雲 みきお
お参りを終へし神前秋日傘 愛正
談笑の冴える窓辺に野分晴 あきこ
秋空や初めて感ずロス気分 こすもす
水澄みて鮮やかなりし鯉の模様 ぽんこ
栗拾ひ飽きてぶらんこ二人乗り なつき
水遣れば山吹一花お辞儀する よし女
夜食つくりひとり芝居を演じをり 藤井
老い母と祈る牧師の声涼し せいじ
秋風に置き換わりたる売物件 南郷
小袋に茶葉詰め分くる夜長かな みきえ
地芝居や酔ってをります馬の脚 藤井
フィナーレの花火の後の黒き空 わたる
新米にかなわぬ古米世もありぬ ほたる
夏惜しみ本丸跡に望む街 むべ
色も香も豊か晩夏の薔薇の園 和繁
競技種目にグランドゴルフ運動会 こすもす
朝霧を出船のごとく阿蘇五岳 南郷
秋蝉のこゑ澄みわたる鎮守杜 愛正
睡蓮の葉のはみ出せる花手水 康子
一輪の山吹の黄に庭陽気 よし女
軒下の姿見ずとも虫すだく きよえ
拾つたと胸張り食ぶる栗ご飯 なつき
突然の雨に息つく秋野菜 明日香
石垣は白き伊豆石晩夏光 むべ
スマホにて答え迷へば厄日かな 勉聖
藁塚に風の止みたる夕間暮 博充
流れきて波紋綾なす秋の川 えいじ
日が昇り霧たちこめる広田かな 和繁
一水に沿いし風鈴鳴りやまず 康子
川堤右へ右へと蝗飛ぶ えいじ
母のホ句聴きながら食ぶ葡萄かな ほたる
母を訪ひくれし牧師はアロハシャツ せいじ
暁の日の昇る空秋気配 きよえ

2025年08月29日

萎えし身に雑踏怖し秋深む たか子
潮風の涼し人道の港 こすもす
虫の音に校正のペンふと止まり むべ
秋桜の舞ひ落つ風に庭しずか 勉聖
夕涼し背なの荷重し足軽し きよえ
落暉いま赤く縁取る雲の峰 康子
風一陣風鈴をかき鳴らす よし女
物干し場アロハに同化の赤とんぼ 愛正
手持ち扇風機の風の左右より なつき
黒葡萄飛び出す母のホ句たより ほたる
供花に陰さして路地ゆく秋日傘 えいじ
西日より逃るすべなき指定席 澄子
草むらに青ちりばめる牽牛花 和繁
朝まだき弓張る草の秋涼し えいじ
宵闇や鯉の跳ねたる橋の下 博充
一と夜さの雨の恵みや秋の畑 よし女
部活終へ汗ほとばしる真夏かな 勉聖
衣被つるりと剥けぬ子も有りぬ もとこ
蚊に食われ背中に並ぶ七つ星 山椒
薄月の一片剝がれ鱗雲 むべ
神木に今生の声秋の蝉 愛正
蔵王麓あさ雲の上蕎麦の花 わたる
向日葵に並ぶ園児らバス乗り場 康子
老い母の今日は元気や桃を食む あひる
防波堤乗り上げ秋の波白し 千鶴
生垣に大輪の朝顔ひとつ 和繁
歩み止め見上ぐる空や秋思かな 藤井
街角に折れた傘散る野分かな あきこ
鈴虫の声響き合ふ寺の庭 博充
秋暑し鉄道資料館はスルー こすもす
ただいまと吾が花鉢に黒揚羽 あひる
始業式小さくなりし虫の声 ぽんこ
餌遣れば御辞儀を返し奈良の鹿 山椒
羽音せず藪蚊に刺さる祈りの手 なつき
峠超ゆこれより深き霧の海 澄子
落ちそうで落ちない熟柿風に揺れ みきお
デイ涼し齢忘れや誕生会 きよえ
留守家の靡き迎える白き萩 ほたる
裾捌き鮮やかなりし阿波踊 みきお
夏場所に一気に昇進土俵晴れ 藤井
回廊の軋みやすでに夜の秋 あきこ

2025年08月28日

より高き屋根に鶺鴒朝の声 和繁
秋風やあの日あの時忘れまじ こすもす
秋暑し三たび回すは洗濯機 明日香
朝涼に朝体操の腕延びる たか子
鶏頭の筒に入らぬ太さかな 明日香
葉の裏に隠れるごとき残暑かな 南郷
わが肩に留まらずして一葉落つ 澄子
水の辺に鋭き目付き秋の鷺 きよえ
郵便受け迄の外出秋暑し よし女
秋風や咲けば散る野菊かなしけり 勉聖
紅差しを待つや南国のマンゴかな 勉聖
籐椅子に過ぎる夕風一番星 むべ
風に揺れ朱色の覗く蕎麦の花 わたる
ゆつくりと本音聞きだす夜長かな 康子
信号を待つひとときの虫時雨 康子
雨上り鯉戯るや秋の寺 きよえ
絡み合ひ日の斑を落とし秋の蝶 えいじ
湧水に塔婆流しの盆の寺 なつき
先週とは天と地の差や夜半の秋 こすもす
むらさきの小さきつぼみ草の花 えいじ
凝視せり車窓た走る秋の灯を せいじ
風そっと涼しさ運ぶ今朝の庭 ふさこ
片付けを後回しにす残暑なほ せいじ
靴脱ぎに赤き杖あり盆の寺 なつき
裾捌き鮮やかなりし阿波踊 みきお
健やかに転がす胡桃手のひらに みきお
秋めくや馬の嘶き天を衝く 愛正
長き夜に硯に墨を擦りにけり 博充
斜張橋のケーブルの果秋高し ほたる
下駄鳴らす阿波の踊りや宵の風 藤井
大雲の火の鳥めくや秋夕焼 南郷
両脇に百日紅満つ観音径 ぽんこ
空つぽの園バス帰る大夕焼 和繁
宵闇の門を抜け行く木の葉風 博充
物寂し藁小屋に鳴くちちろ虫 愛正
良夜かな映画の余韻連れ帰る 藤井
おはぐろの案内ひそりと生家かな もとこ
庭先にホース暴るる晩夏かな むべ
畑の土水に沈めて農の秋 千鶴

2025年08月27日

草の花風に飛んでる転んでる きよえ
故郷愛感ず友の句涼新た こすもす
長廊下木々の風呼ぶ休暇明け 愛正
あめんぼが湖面を揺らす夕焼けかな 和繁
法師蟬とミストくぐれり札所寺 なつき
秋の蝶水のかかりし葉陰より むべ
青い目の早乙女の裾ひるがえる みきお
大砲のレンズ睨むや小鳥来る えいじ
夕露や轍の果の鐘の音 あきこ
稲の花銀輪列なす通学路 愛正
友の句の見事な飛躍天高し 明日香
長き夜や頁めくれば影揺るる 博充
鐘楼に迫る夕闇秋の風 山椒
渡り廊素足に軋む夜の秋 あきこ
旅先の輪踊り吾も入りけり 千鶴
常滑の皿によこたふ巨峰かな えいじ
玻璃窓を洗ふがごとき白雨かな 澄子
炊き出しの熾火となりぬ天の川 南郷
阿波踊腰の印籠はしゃぎけり ほたる
ひぐらしの声に母呼ぶ吾子の声 勉聖
焦げ目美味皿はみ出して初秋刀魚 もとこ
秋雷や黒雲走り雨柱 山椒
秋雷や待つ雨パラリ通り過ぐ きよえ
菊日和華道の友と茶を点てる 勉聖
浜残暑別荘の白際立てり よし女
果樹園の小屋に不揃ひ秋すだれ 康子
秋扇群れ寄る虫をゆるり追う 南郷
葉隠に息を潜めし鹿の子かな 澄子
星満ちて川面に揺るる良夜かな 博充
雷鳴に雨待ちつ窓閉ぢにけり みきえ
つくづくしみんみんと和す神の庭 やよい
パイナップル皮の器の香るカフェ 康子
新涼の朝日が照らす鰹木かな ぽんこ
珈琲は深煎りにして今朝の秋 藤井
鯔跳ねて夕日の海や蓼の花 藤井
蕎麦の花揺れて根元の朱色かな わたる
葡萄の実腫れし喉へと絞りたり むべ
夕涼み潜りて出づる鴨の影 和繁
法師蝉ボーシの音がより高く 明日香
虫の音に迎へられたり停留所 せいじ
必需品の塩タブレット汗みどろ こすもす
医通ひや引き初めたる葉月潮 よし女
鳴き尽くし蝉の骸のおちこちに みきお
宵闇の車窓に直す夏帽子 あひる
秋の灯の車窓に走馬灯めきし せいじ
秋桜や棚田の黄金夕日満 ほたる

2025年08月26日

刈草の香に吹かれつつ野辺の道 あひる
吊り橋に人影一つ秋の暮 博充
雲の峰弁天島へ秘仏見に なつき
待ち兼ねて大歓迎や秋の雨 こすもす
馬上より眺む青葉や正宗像 勉聖
万博や後半に入り残暑なる ふさこ
野路ゆけば鼻腔くすぐる青田風 せいじ
気になるは潮浴びあとの肌ケアー よし女
ゆくりなく指に残りし檸檬の香 せいじ
松手入れ茶色くなった葉も取りつ 明日香
秋の夕ザーと降りそな風の吹く きよえ
棒アイス二つ孫らの置みやげ あひる
枝たわめトゲに注意し庭木刈る 明日香
電飾の木立より洩る虫の声 康子
学び舎の声なき庭の芙蓉咲く えいじ
下駄の緒のゆるみて終る踊かな 藤井
白足袋の迫力の演男踊り ほたる
蹴飛ばされ煙風発せし茸 えいじ
神馬被ふ楓の傘に日の出かな ぽんこ
鯔跳ねて濁る夕日の河口かな 藤井
グランドに照明もつく秋夕焼 こすもす
廃寺に居着くこほろぎ石畳 愛正
花畑に水遣れば散るバッタかな よし女
厨窓に葉擦れ響くや秋の風 博充
日向水吾子の水浴ぶ金盥 愛正
目薬の溢れる頬や処暑の朝 みきお
紋白蝶その一枚の田に群るる 和繁
紅底の茶碗に灯影ゆらぎけり 勉聖
古の匂い捜して吾亦紅 わたる
夕風に吹かれひととき枝払ふ みきえ
塗香の手合はせ秘仏を仰ぎけり なつき
蜂雀蛾と我とで愛づる木槿かな 和繁
秋耕や鋤きこむ藁と牛糞と 千鶴
半壊を余震過りし天の川 南郷
神苑に座して耳貸す法師蝉 やよい
秋桜や追伸一行書き足せり 澄子
昼寝覚め亡母の声を聞いたやう たか子
グランドに銅像の背や秋夕焼 康子
バッサリと長髪切って涼新た みきお
ひと袋手花火忘れ石畳 もとこ
もろこしの山積みされて道の駅 澄子
蓮の花白々明けし谷の朝 山椒
鶺鴒や隣の垣根出入して きよえ
たおやかな指先流る阿波踊り ほたる
をちこちにご飯よの声鰯雲 南郷

2025年08月25日

縁結びハートの絵馬に秋の声 ぽんこ
ひとすじに絵馬より伸びる蜘蛛の糸 康子
赤赤き鬼灯頂き即仏前 よし女
空き瓶を花火へかざす小さき手 南郷
星明かり老翁語り出す民話かな 勉聖
甲子園余韻残して故郷へ ふさこ
愚図る子も登校したと新学期 あられ
病窓にそよぐ竹林目に涼し 康子
ムチ打って下る山路牧帰り みきお
温室の屋根を照らして星月夜 あきこ
秋扇隣でもらう風優し ほたる
秋風に妊婦絶えたる子供歌 藤井
盆の寺僧侶のさばく駐車場 愛正
冷ややかな石段の苔光りけり 博充
クッキーと抹茶の香る敬老会 あきこ
青柿の落ちて転がる音にぶき 千鶴
花に色戻る夕暮れ風涼し 和繁
走る背に張り付くシャツや秋の朝 ほたる
月詠みし芭蕉の句碑や涼新た こすもす
山の端の淡く浮きたつ星月夜 むべ
鰯雲屋根の彼方に広がりぬ 博充
新涼や今年の味噌の出来を見る わたる
こほろぎや土間のいずこか夜ごとなく 愛正
赤く爆ぜ子らに見つかるゴーヤかな なつき
新しき白き農小屋青田中 せいじ
坂道の左右に展けし青田かな せいじ
早朝のコンビニに群れ秋アカネ こすもす
秋の日や手押しカートで来るカツ丼 和繁
子の依頼エンディングノートに書く夜長 よし女
帰宅時に迎えてくれる白粉花 明日香
花芙蓉蔭を頼みて朝体操 たか子
暮色濃し微かに揺らぐ吾亦紅 澄子
雲切れて首に日矢さす秋暑し えいじ
落ち蝉のあまりの軽さ手のひらに 明日香
星月夜斜めに区切る飛行灯 南郷
路地の草グングン伸びて花あまた きよえ
吊橋の真下を埋めて葛の花 澄子
新畳み匂ふ床の間秋めけり みきお
秋燕知られぬ空を翔びゆけり 勉聖
秋日傘名物和菓子届きをり みきえ
友来たり七輪で焼く初秋刀魚 藤井
かき氷舌見せあひて食べにけり なつき
四時起きの弁当持たせ新学期 あられ
きらきらの稲田分け行くローカル線 もとこ
曇る朝飛ぶ鳥鳴かぬ秋暑かな きよえ
三日まだ逗まるままや秋曇り えいじ
夜露おく沓脱石は鞍馬より むべ

2025年08月24日

甲子園余韻残して故郷へ ふさこ
灼くる道人影絶えて波の音 あきこ
百合の香の窓より忍びくる夜更 むべ
拾ってはもらえぬ恵落穂かな ほたる
新涼やほっとした顔野の仏 わたる
高々と蓮の実とばす一揆寺 なつき
下駄箱を片付け終へぬ冬支度 勉聖
運転手の案内上手秋の旅 こすもす
クイーンニーナ甘き香りや赤葡萄 千鶴
縦笛の名前ひらがな帰省の子 南郷
空気入れ押す二の腕の蚊は打てず せいじ
開け放つ寺の広縁涼新た こすもす
奥院に木彫りさやけし恵比寿像 康子
揚花火吾子のまなこに開きけり 南郷
明日香路畦に延びてる赤まんま 明日香
卸青果隠語で叫ぶ秋暑し ぽんこ
小蟷螂逆さにサイドバイザーに 和繁
霧晴れて小雨となりぬ朝の径 藤井
解けぬまま数式ページや夏休み 勉聖
虫時雨杜の匂ひに風の音 博充
秋灯下夫は句帳とにらめつこ あひる
秋霖に立ちて見送る救急車 あひる
青空で大往生の油蝉 ほたる
稜線をくっきり観せて稲光り たか子
残る蝉枝垂るるやふに鳴きやまず えいじ
青々と松の葉匂ふ松手入れ みきお
盆の月城跡遺構の登城道 愛正
鯊釣りの竿並ぶ土手風さやか みきお
姿なき鴨の合唱大青田 やよい
野ざらしの駐輪場やサドル灼く せいじ
天高し爆音微か飛行雲 明日香
庭木刈る二階の風道西東 愛正
新米の入荷ありとの店先に きよえ
名月やグーグルマップ友の家 藤井
竹春の光背めきし戦没碑 康子
新涼や耳を澄ませば時の音 博充
草の葉の光と紛れ糸蜻蛉 和繁
ティタイム老舗のほくり栗饅頭 きよえ
あかあかと苔桃茂る足の下 あきこ
橋の央風に縮れし秋の川 えいじ
一揆寺影の小さき百日紅 なつき
草刈り機唸る早朝休養日 みきえ
家々の燈る灯りも秋めきし 澄子
ほとほりし身を横たふる熱帯夜 むべ
ゑのころのじゃれるものなき埋立地 もとこ
庭隅に犇きあひて花茗荷 澄子
前の店米と魚と暖簾新た 董雨

2025年08月23日

五時起きで巻きずし巻くや娘ら帰省 千鶴
よだれかけはアンパンマン柄地蔵盆 こすもす
蜩や夕日に向かい大泣きの子 ほたる
沈黙に安らぐ吾と蚊遣香 あひる
うずたかく薪を積み上げ雁渡し 明日香
秋の蝶見送れば屋根より高く 明日香
寄り添いて徘徊の友や星月夜 勉聖
一粒の無花果もらふ垣根かな あひる
美しく林立したる木賊かな せいじ
鬼やんま闇を破りて窓を撞つ 勉聖
薪割りの音の響けり冬支度 みきお
弟へ祝メールや秋日和 こすもす
焼き杉の塀の居並ぶ涼新た ぽんこ
遠山の輪郭黒し秋夕焼 南郷
落蝉の起死回生に飛びゆけり えいじ
師の指図受けて整ふ松手入れ みきお
メールにて訃報一行秋の風 澄子
隠れ出て隠れて飛んで秋の蝶 わたる
秋めくや街の人らは茶の衣 博充
神木へ散水やまぬ旱かな 康子
秋風の吹き抜く竹林葉擦れ音 愛正
訪へば秋風鈴の鳴る窓辺 澄子
新涼や筧をのぼる水陽炎 康子
さわやかに草の囁く丘の道 えいじ
秋曇里山囲み空垂るる きよえ
新涼や幽かに白む東空 南郷
汗と叫び発しエアコン掲げ組む 和繁
炎天に信玄の像揺らめけり 山椒
けふ処暑の決勝戦や駆け抜けよ もとこ
白髪の婦人日傘に薄風呂敷 和繁
爽やかなり里山抜くる沢の風 愛正



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