2025.1〜2025.12の自選作品集です。
2025.1〜2025.12の自選作品集です。
昨夜の雨袴に溜める土筆かな
ふふむ梅雨の雫の珠落とす
白蝶の紛れ舞ひたる川の綺羅
嶮競ふメタセコイヤの径涼し
水口を落つる田水の音涼し
東雲に薄紅の鰯雲
信濃路や空いつぱいの鰯雲
ひつぢ田の尖る葉先に雨の珠
さざなみのやうに音たて風落葉
曇天へ千手を翳す大枯木
ほとんどが自宅近くの公園や田んぼなどで詠んだ句ですが、これからも身近なふつうの風景の中から感興を見つけ思いきって詠んでいこうと思います。 みのるさん、皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
老い母の寝息に安堵大旦
母の背を優に超えたる卒業子
お試しのショートステイへ春帽子
食国の膳は玉ねぎづくしかな
峰雲へ機首たてジャンボ離陸しぬ
新涼や帯に惹かれて新刊書
吾妹子と灯火親しむ茶の間かな
首塚の梵刻深き秋日影
冬うらら寝顔のままに母逝きぬ
咲き続く葬に飾りし冬薔薇
年を越せるかどうか危ぶまれた母が無事に正月を迎えることができたことから2025年は始まりました。母の自宅介護のめどが立ち、孫が中学を卒業して高校に入り、金婚式と喜寿の祝いをしてもらい、息子家族の渡米を見送り、須磨浦公園の吟行句会に参加し、最後は、母を見送るといった、私にとっては近年にない激動の一年となりました。俳句は低空飛行でしたが、思い出に残る句を選びました。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。
孫ひ孫御慶百寿の手を取りて
ヘルパーさん来て老い母の初湯かな
見舞ひとは言はぬ存問あたたかし
外つ国へ去ぬ子らと見る桜かな
野の子らに鈴ふるやうに揚雲雀
海峡に色戻りたる梅雨晴間
巣立ちの日旋回つづく親燕
夏帽子落としてならじ一の谷
出棺の讃美歌とどけ小春空
毛玉ごと母の形見のカーディガン
この一年は義母の介護で外出もままなりませんでしたが一日一日俳句を作ることで何とか前へ進めました。いろんな人に温かなお気持ちを頂いたこと句を読み返しながら思い出し感謝の気持です。
大好きと書かれし浜や磯遊び
機窓いま雲居突き抜け春日燦
花吹雪天誅組の辞世碑に
日傘閉ぢ風の八橋渡りけり
若布粗朶揺らして過ぎる定期船
トロ箱にパセリの育つ島の路地
神鏡に吾の顔映る新樹光
ハンカチにつつむ貝殻シーグラス
姿見に夏負けの背の曲りけり
秋薔薇の粗なるアーチを風抜ける
コロナ禍の空白の時間を埋めるほどではないが、少し吟行をできるようになった。明石須磨吟行へ参加できたことは自信となり来年はもっと吟行へ出かけたいと思う。ゴスペルとのつき合いがもっともっと続くように願います。
認知症検査満点うそ寒し
降る雪に天の手心祈りけり
あたたかや嬰の手しかと生命線
トロ箱の蛸は逃げ出しつつ糶らる
水切れしゴーヤー真つ赤に怒りをり
ただ無為に佇みをれば桐一葉
物思ふやに腰曲がる案山子翁
居待月今宵最後の飛行灯
茶の花の訪ひ来る人もなく暮るる
池小春鯉を指さすベビーカー
一年の早いこと、師走に入って改めてそう思います。年の後半は残された畑や庭の手入れに頑張りすぎて体中の痛みに苦しみました。デイケアサービスも止め、三四日誰とも話さない日もありますが認知症は避けたいと食事には気を配っております。みのるさんや皆様のご厚意で再開できました俳句も全く奮いませんが今は生き甲斐ともなっております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
初蝶の影すべりゆく石畳
万緑の渓へ迫り出すテラス席
夏蝶のゆくてに青き富士の嶺
緑陰のベンチに集ひ福音歌
星涼し亡き人の句に想ひ馳せ
月光の波紋ひろごる良夜かな
冴ゆる夜や山峰に落つ月の影
臥す人の髪に櫛入れ薄暑かな
口吻をふかく花芯へ秋の蝶
水面より掬へば月のくづれけり
2025年5月から「毎日句会」に参加し何とか今日まで続けて参りましたが、俳句の奥ゆかしさ、また難しさをつくづく身に染みて感じております。それでも一日一日俳句を詠むことが楽しみであり、また生き甲斐ともなっております。これからも精進して参りますので、みのるさん、皆様どうぞ宜しくお願いいたします。
八千余キロ飛んでトルコの寒の朝
冬ぬくし祈りのコーラン響く古都
太鼓打ち蒲団だんじり春田行く
玉ねぎの匂ひ消えぬ手収穫日
出荷終へひと息つけるラムネかな
篝火の揺るる川面や鵜飼舟
秋日影濃く射す須磨の師弟句碑
菓舗茶舗をめぐる城下の秋の旅
穏やかに冬立つ朝や坂ウオーク
温かき日を背に享けて畑仕事
ゴスペル俳句に入会させていただきちょうど5年になります。俳句の実力はあまり冴えませんが、PCの前に座って毎日句会を続けています。一月のトルコ旅行の際もホテルのWI-FIを利用して現地での実感を作句で報じておりました。10月の須磨吟行では関西の知己の方々と再会し、関東中部の方々ともお知り合いができて、とても刺激になりました。今年一年大変お世話になりました。これからもよろしくお願いします。
藍色の海傾けて野水仙
野良猫の匍匐前進苜蓿
蟷螂の一寸ほどが見得を切る
初蝉のふと空耳を疑ひぬ
散水を巧みに逃れ夏の蝶
余念なき野草観察夏帽子
草の花活けて人待つ山家かな
臈長けし白寿の面や菊日和
柿花火旧家の庭を明るうす
寒菊のひと塊が暮れ残る
草花や虫を詠んだ句を選びました。改めて見返すと其々の句が生まれた時の景に一瞬で引き戻され、まるで記憶の玉手箱が一気に開かれるように、風の匂いや湿度、ひかりの耀いまで立ち上がってくる…そんな俳句の不思議さに魅了されています。これからも楽しんで俳句を学んでいきたいと思います。
防災無線黙祷を告ぐ阪神忌
着膨れてシートベルトに四苦八苦
キャンパスに満つる青春風光る
パドックの栗毛の気合汗光る
老いてなほ願うことあり星祭り
遠路来て御朱印受くる秋の宮
秋風や海一望の異人館
深呼吸したくなる海秋の晴
少年野球の甲高き声霧の朝
持寄りはリクエストされきのこ飯
拙い句ながら投句を続けて来て又一年が去ろうとしています。10句揃うかどうか案じる程の低調ぶりに反省しきりです。身辺俳句が多くなってしまいがちなのでそこからの脱皮目指して頑張ろうと思っています。但馬の自然を更にじっくり観察していきたいものです。
ネクタイの苦しき仕事始めかな
登頂を祝す氷柱のロック酒
風花の湯饅頭店の湯気に舞ふ
漬物の石までしみる寒さかな
月光に濡るるにまかせ石畳
早生奥手パッチワークの稲田かな
音もなく末広なせる鴨の水尾
眼のつぼを押してまどろむ縁小春
夕日背に銀杏拾ふ影法師
木枯しに紙垂狂ほしき夜更けかな
2024年12月中旬からこちらにお世話になりまる1年となりました。はじめは勢いにまかせ句もでき先生にも拾ってもらっていましたが、夏場は調子を落としこれでは10句に達するのは無理かと思うこともありました。それでも「継続は力」と自分に活を入れ何とか揃えることができほっとしています。これも先生の指導のおかげと感謝しております。みのる先生、そしてGH俳句の皆様、今後ともよろしくお願いします。
宅急便受け取る御慶交はしつつ
ショウウインドウに姿勢を正す薄暑かな
平和誓ふ子の声清し原爆忌
連打また連打佳境の遠花火
高梯子上り獅子舞ふ秋祭
小鳥来て狭庭に会議してをりぬ
鵙猛る弾薬庫への煉瓦道
どんぐりの散らばっている弾薬庫
冴えざえと鎌の月挙ぐ天守閣
城紅葉ライトアップに炎上す
光陰矢の如し、あっという間に過ぎた気がする一年でしたが俳句のお陰で心豊かに過ごせた事に感謝です。来年も吟行に沢山出掛けて俳句生活を楽しみたいと思います。
僧放つ破魔矢天空裂きにけり
炎上ぐ開眼達磨どんど焼き
境内に弾む琴の音梅日和
残雪や並ぶ地蔵の赤帽子
ダム底に沈みし村や花筏
お喋りの尽きぬ電車や新学期
谷渡る風飲み込むや鯉のぼり
青空に跳ね上げる棹鮎解禁
練り歩く神輿に街の揺らぎをり
すれ違ふ京都言葉よ紅葉道
英語の通訳ガイドを開始して一年三ヶ月になりました。清澄庭園の芭蕉句碑を案内する時、自作のお気に入りの俳句も紹介しています。外人さんたちも喜んでくれます。
松飾り梅結びなるめでたさよ
風花す島の小さき船着場
間詰石より咲きいでし花菫
半鐘のごとく窓打つ春霰
プラタナス並木の統ぶる緑夜かな
青梅雨や水きらきらと鎖樋
国生みの島へ秋潮またぐ橋
釣り人の竿先暮るる秋の波止
鉄鍋の黒々として榾明り
編み棒を指揮棒代はり聖歌隊
今年のハイライトは、なんといっても10月の須磨浦吟行、旧グッゲンハイム邸句会への参加です。関西メンバーのみなさんの温かい歓迎と須磨の縮緬波に感動ひとしおでした。来年は詠んだことのない古き良き季語にも挑戦してみたいと思います。みなさん、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
走る子につられて回る吊るし雛
東西のキャンパスつなぐ花の道
紫陽花の色揉みあへる池鏡
観音の裳裾引つ張る蜘蛛の糸
ひと粒の涙をとどめ昼寝の子
一筆箋添へて届きしマスカット
宮島の子鹿跳ねたる潮だまり
ゴンドラの影の縫ひゆく紅葉山
水陽炎をどる回廊宮小春
感嘆符つく励ましの寒見舞
毎日句会で毎日お会いできる皆さん、和気あいあいといつも楽しい武蔵野女子会、そして心の支えになっているみのるさん。GHの皆さんには心から感謝しています。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。
晩年の今が幸せ初鏡
ウォーキング寒夕焼の褪せぬ間に
大正の舶来シェード春灯
春泥にまみれし子らに未来あり
小高きはどれも古墳や夕朧
花万朶永遠の平和を祈る碑に
牡丹散る客の来る日を待たずして
蛍火のぽつりぽつりと峡暮るる
発芽率一〇〇パーセント草を引く
秋風の須磨に拾ひし忘れ貝
スランプに陥り休むことも度々ありましたが、その都度皆さんとお会いできる吟行でリフレッシュ出来たように思います。唯一つの趣味なので苦にならないように楽しんでいけたらと思っています。
お雑煮を供へ遺影に御慶のぶ
涅槃図の百足エス字に身悶へて
白魚の跳ねて綺羅散る四つ手網
坂がかる異人館街花ミモザ
葱坊主前に習へは苦手なる
枝垂れては疏水になびく桜かな
寺町の僧速足に夏衣
ひとり居の憚ることのなき昼寝
秋茄子をきゅきゅと泣かせて夕支度
読みかへす悲喜こもごもの古日記
GHにお世話になってほぼ10年、その間の様々な出来事や変化の中に俳句は大きな役割りを担ってくれました。喜怒哀楽のままに詠んでみたり或いは大袈裟に、、となりがちなところを静かな気持ちになって少しは内面を見る事が出来たのは作句のお陰でした。みのるさんと俳友の方々のお陰です。
国内線搭乗口に松飾り
愛犬が水先案内春の土手
入院のベッドの窓辺花朧
窓越しに囀り移り行きにけり
水満ちし田にひろがりし青天井
力石狗尾草に隠れけり
山頂を撫でて越えゆく秋の雲
行く秋や束の間の陽を纏ふ樹々
裸木にとまりて鞠となる雀
降誕祭スリッパを足し椅子を足し
毎日句会に参加させて頂いて1年ちょっとが過ぎました。はじめは毎日なんてとても無理と尻込みしていましたが、始めてみると俄然やる気が出てきまして、みのるさんの若き日の俳句修行の逸話にも刺激され継続できております。神様が私の眼を開いてくださり一句でも多く詠むことができますように。今後ともよろしくお願いいたします。
ぴかぴかの革靴並ぶ成人日
子と並び漕ぐふらここに風優し
千年を生きて盛んや藤の花
紫陽花の毬が塞ぎし小径かな
雨の古都祇園囃子に傘の花
縮緬波きらめく須磨の秋日和
秋草を籬としたる師弟句碑
遠来の句友と須磨の秋惜しむ
倒されど神輿太鼓の鳴り止まず
米寿の師喜寿の子集ふ菊日和
写生句がなかなか詠めず四苦八苦の一年でした。須磨吟行がとてもありがたく、オンラインで句友の方々とお会いできたことは非常に嬉しいことでした。みのるさん、皆様、今後ともよろしくお願いいたします。
寒夕焼立観音の面染むる
飛ぶ鳥のごとく高舞ふ風落葉
身に入むや数百体の水子地蔵
曼珠沙華燃え立つなかに忠魂碑
寧かれと陸墓に紅さす百日紅
空蝉のしかと爪たつ力石
照り返す夏日の屋根に鬼瓦
磊々の河原に遊ぶ石叩
蒼天に一筆書きの春の雲
大幹の洞に嵩なす落葉かな
ゴスペル俳句に参加させていただき20数年になります。その間吟行での楽しかった事、句会ではいつもドキドキしたことなどが思い出されます。最近は主人の深刻な病気の介護など色々ありますが細々とでも続けて行きたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
春寒の胸押し付けるレントゲン
母直伝伽羅蕗やつと我が味に
恐竜も春の雪積む福井かな
黄砂降る平安京も幻に
連翹の垂れてひかりの疏水かな
食堂は島に一軒鯵フライ
うそ寒し医師はデーター見るばかり
秋の日の光と影や禅の庭
苔寒し神話の国の力石
片時雨愛宕山には日の差して
毎日が慌ただしく過ぎて行く中で、毎日一句だけは何とか続けてきました。景を詠むのはやはり京都に帰った時になってしまいます。やはり吟行は大事ですね。身体の調子も良くなってきたので、今年は色々出かけて行きたいと思います。
障子明り寝釈迦醒めよと堂に満つ
耳寄せて豆雛らの私語聞かむ
セコイアの芽木高空の風いなす
風なくば無聊や池の花筏
返し馬涼しく踵返しけり
勝馬の騎手夏空へ拳あぐ
一渓の涼し瀬となり淵となり
土手つ腹からも水吐く梅雨の渓
現れしメタボの蜥蜴尾を持たず
浜茶屋のあとかたもなし秋深む
年度作品にご協力いただいて感謝します。みなさんの素晴らしい作品を拝見しながら自らのそれは平々凡々としていて感動薄く恥ずかしく思います。特に今年は老化を言い訳にして吟行が少なくなっていました。来年度はできるだけ計画的に吟行予定を組んで実践したいと願っています。できれば予定をオープンにしたいと考えていますのでよろしければお付き合いください。