2022年12月31日 | |
ひとひらを手に受けとめて雪童子 | 素秀 |
カラフルな長靴の児ら大根引く | かかし |
寂光を纏ふ稜線冬銀河 | 素秀 |
四十七忌枯木天蓋風生まる | ぽんこ |
冬耕の野良着を脱ぎし卒寿翁 | かかし |
弱はる雀素早く狙ふ寒鴉 | ぽんこ |
道祖神袈裟懸けごとき枯れの蔦 | 愛正 |
初雪や二の足踏みつ小買い物 | わかば |
那智黒に落葉の走る義士の寺 | ぽんこ |
調音の舞台見つむる十二月 | むべ |
葱一本残りメニューを思案せし | 素秀 |
娘の作る粕汁いつも具沢山 | こすもす |
雪吊りの匠の技の縄の張り | はく子 |
キャンドルのほのかな揺らぎ聖夜かな | わかば |
雪吊りの縄の流麗張り具合 | はく子 |
交番前シャベルで掬ふ溝浚へ | ぽんこ |
重き荷にハンドルとられ年用意 | むべ |
博物館昭和レトロの懐炉かな | かかし |
納め句座卒寿傘寿の打ち揃ひ | はく子 |
顧みてよく生かされて年惜しむ | わかば |
姫路城見える路線や納め句座 | こすもす |
初雪を集めて小さき雪だるま | なつき |
冬至湯に肩の荷ひとつ流しけり | むべ |
冬晴れや帆畳む船の国旗かな | こすもす |
朝時雨奉る祠の鎖樋 | ぽんこ |
鴨百羽風のベンチに飽かず見ゆ | なつき |
蒸籠の湯気の中より姥の声 | 愛正 |
思ひ出やクリスマスキャロルの聖夜 | わかば |
白首の大根畑空真青 | かかし |
クリスマス猫の首輪の大き鐘 | 素秀 |
雪だるま消えし週間天気予報 | こすもす |
手庇に白き鈴鹿嶺冬晴るる | なつき |
ちぎれ雲見て子と話す日向ぼこ | なつき |
極月や厨に軋む椅子二つ | 素秀 |
順番に小鴨の列の岸上がる | なつき |
白菜を投げて受け取る朝の市 | 愛正 |
枯れ枝につんと冬鵙夕日差す | 愛正 |
裸木も威あり御寺の大銀杏 | はく子 |
霜晴や鉄瓶に沸く山の水 | むべ |
すき焼きがメイン別腹にケーキ | こすもす |
母の髪きつてすつきり年用意 | わかば |
さあ出番孫に貰ひしちゃんちゃんこ | はく子 |
下仁田葱白根にひそむ素材味 | 愛正 |
懸大根息ぴったりの農夫たち | かかし |
火入れせぬ果実酒の泡暖炉燃ゆ | むべ |
2022年12月24日 | |
広縁に広ぐ切干喜寿の皺 | 愛正 |
石蕗咲ける白き土蔵の忍び返し | ぽんこ |
凍つ朝の痩せたかに見え鉄門扉 | 素秀 |
家康像やどり木抜くる冬日ざし | なつき |
日々易き一人暮らしや年惜しむ | はく子 |
能楽堂門に黄葉の吹き寄する | なつき |
冬天や直ぐなる道を歩みたく | わかば |
燭配るチャペルの前や降誕祭 | むべ |
天地のあはひに黒き山眠る | むべ |
黒犬の首輪かがやき日短 | むべ |
アルプスにホルン響かせ年惜しむ | はく子 |
不易なる淀の流れに年惜しむ | はく子 |
街道の起点の石碑山眠る | ぽんこ |
寒灯は沖へ埠頭を出るフェリー | 素秀 |
顔一面網目の枯蔦磨崖仏 | 愛正 |
少しずつそろそろ思ふ年の暮れ | わかば |
風と共にうなずいている菊の花 | ぽんこ |
点滅の騒がしきかな聖樹の灯 | 素秀 |
人波を分けていつもの日記買ふ | わかば |
棟上の太梁高く寒の空 | 素秀 |
長椅子の猫大あくび日向ぼこ | 愛正 |
寒風や遊具の基地の見張り番 | なつき |
園丁の枯蔓からめ運びたり | なつき |
冬紅葉静もる茶屋に団子食ぶ | なつき |
年惜しむ昔のドラマ見直して | こすもす |
信号待ちに消えてしまいし冬の虹 | こすもす |
うつくしき聖菓切り分く小夜の卓 | むべ |
枯蔦の絡む門戸や雀舞ふ | 愛正 |
背を丸め本読む姥や日向ぼこ | 愛正 |
昼間は枯れ木夜は電飾七色に | ぽんこ |
短日や監査と会議食事会 | こすもす |
ポインセチア百七歳の誕生日 | わかば |
柊の花のまたるる蕾かな | わかば |
何時来ても人見ぬ奥社年惜しむ | はく子 |
一陽来復木の香も清し奥社成る | はく子 |
聖誕節古りしオルガン響もせり | むべ |
北風に鳥の一声鳴き渡る | ぽんこ |
裸木の一際高き北正門 | 素秀 |
2022年12月17日 | |
老いる里またをちこちの休耕田 | かかし |
勘亭流招き文字てふ京師走 | かかし |
北窓を開けるや否や大嚔 | 愛正 |
露天湯の湯気に紅さす冬夕焼 | 愛正 |
どこよどこほらそこひそと冬桜 | はく子 |
晴れやかに抜ける青さや冬の空 | わかば |
釣宿の潮の匂ひの隙間風 | 宏虎 |
襟直し二礼二拍手皮ジャンパー | 素秀 |
嫁ぎ来て夫婦好みの味噌おでん | なつき |
冬紅葉残る力を尽くすなり | わかば |
冬ざれや姿消すもの潔く | わかば |
葉牡丹で卯年の干支や園児たち | かかし |
落葉てふ欅大樹の声すなり | むべ |
ポインセチア赤の溢れるカフェテラス | ぽんこ |
大楠の裏に声なき寒さかな | 素秀 |
番鴨群れを離れて澪流す | わかば |
空は青水は水色冬寒し | 宏虎 |
寺守の礼に始まる落葉掃 | なつき |
雪吊りの見直す松の男振り | 宏虎 |
ブロッコリー立ちて木のやうサラダ皿 | 素秀 |
二歳児が鳩追いかける園小春 | ぽんこ |
裸木の公園空を広くする | はく子 |
悴みて窓口の声やはらかし | むべ |
冬帽子に変えてグランドゴルフかな | こすもす |
玄関のトントゥ人形師走来る | こすもす |
健康を念じ十年日記買ふ | かかし |
豚饅と焼芋屋さん開店す | はく子 |
枯葉浮く露天に老の長湯かな | 素秀 |
冬日和彩雲被く浅間山 | 愛正 |
ポインセチアしづかに燃ゆる赤選ぶ | むべ |
浮寝鳥吹かれ集むる澪標 | 素秀 |
風呂上り寝室で見るオリオン座 | こすもす |
赤色のスニーカー行く大枯野 | こすもす |
駅前の屋台飛び込むおでん酒 | 愛正 |
正装にマスク加えり去年今年 | 宏虎 |
その底になぞるマグマや山眠る | 宏虎 |
ビル風のまともに煽る菊畑 | ぽんこ |
歩を止める園の入口大ダリア | ぽんこ |
焼芋を分けて兄妹げんかかな | なつき |
パトカーの赤色灯も霙れけり | むべ |
冬ぬくし還暦会に名刺なし | なつき |
茶菓子買ひそろへ始むる年用意 | なつき |
駅中のピアノ第九や街師走 | かかし |
天辺を尖らせセコイヤ冬木立 | はく子 |
中抜けも中座も居たり師走句座 | こすもす |
一雨に紅深くせり藪柑子 | むべ |
何時の間にあっと言う間に十二月 | はく子 |
ただよへる鴨それぞれに群れなさず | わかば |
寺男鉢巻きぎゅっと落葉掻く | ぽんこ |
木の間から陽さす山道冬日和 | 愛正 |
2022年12月10日 | |
名も知らぬ鳥啄みて木守柿 | こすもす |
尾行するやうに見守り落葉道 | こすもす |
講堂に枯蔦まとふアーチ窓 | むべ |
野地蔵の見下ろす村里冬日和 | 愛正 |
極月のひと日老どちバス旅へ | はく子 |
綿虫の透けて漂ふ合戦地 | なつき |
炭焼の煤けき顔や歯の真白 | かかし |
背中入る使い廻しの懐炉かな | 素秀 |
一列に岸に集合百合鴎 | はく子 |
参道に少しはみ出て黄落期 | むべ |
生ゴミの隙間に詰める庭落ち葉 | こすもす |
遠望の山真っ白や師走来る | こすもす |
千枚漬け旨しが高し思案す | 宏虎 |
冬雲に無きものとされ草の影 | 素秀 |
花八手家人の好み知れる庭 | むべ |
留守頼むドアの施錠や石蕗の花 | ぽんこ |
枯芒身を切る風に抗はず | むべ |
リビングへ日の燦々と十二月 | はく子 |
その内に未来を秘めて冬木の芽 | わかば |
水鳥のもぐる水輪や太鼓橋 | ぽんこ |
日の陰り寒さの募る野辺の道 | はく子 |
子らのいぬ苑の遊具の冬ざるる | わかば |
おでん酒よき心友と無礼講 | 宏虎 |
七五三げんごつ握る反抗期 | なつき |
黒ネクタイ緩め屋台のおでん酒 | かかし |
思い切り不要断捨離師走来て | 宏虎 |
梟を主に廃屋朽ちゐける | 素秀 |
一陣の風に落葉の立ち上がる | ぽんこ |
歩きたき赤い鼻緒の七五三 | なつき |
綿虫や赤き帽子の百羅漢 | なつき |
枯桑の梢飛び交ふ雀かな | 愛正 |
サッカーの地図で国名冬うらら | かかし |
日の光集め耀ふ冬紅葉 | わかば |
落葉鋤く有機農法頑固翁 | かかし |
竹垣に紅葉かつ散る築地塀 | ぽんこ |
妻留守はおでんと決める晩ご飯 | 宏虎 |
すき焼きの小鍋もつきしランチかな | こすもす |
風荒ぶ山の木立の冬ざるる | わかば |
曇り空オブジェの如く冬芽あり | ぽんこ |
冬銀河便りの絶へて幾年ぞ | かかし |
戌の日の賑はふ寺や冬紅葉 | なつき |
昨日とて過去の事とし氷柱伸ぶ | 素秀 |
歩道橋渡る子らの息白し | 愛正 |
冬凪の先には今し戦禍の地 | むべ |
桑枯れて赤城の裾の長きこと | 愛正 |
噸堀のネオン師走の雨に濡れ | 宏虎 |
初しぐれ枯山水に吸い込まる | はく子 |
黄昏を波に知りたる浮寝鳥 | 素秀 |
ジョギングの行きか帰りか息白し | 愛正 |
山路来て静かに休む枯木立 | わかば |
2022年12月3日 | |
木探しの子ら駆け巡る朴落葉 | 愛正 |
藪巻を終へし松並引き締まる | 愛正 |
着水の鴨に乱るる水の面 | 素秀 |
父と子が集める庭の柿落葉 | こすもす |
今年又無花果食す至福かな | こすもす |
打ちよせるさざ波もあり冬の海 | こすもす |
黄落の百余年なる礼拝堂 | むべ |
碧眼もスマホ向けたる紅葉径 | ぽんこ |
大阪城広き空あり銀杏散る | ぽんこ |
行き戻る靴跡一つ冬河原 | なつき |
柿落葉の赤燃ゆるごと石畳 | むべ |
一陣に裾を崩して落葉山 | 素秀 |
城壁にしがみつきたる蔦紅葉 | ぽんこ |
青空へ銀杏照葉の翳すなり | わかば |
尾長鳥つぎつぎに来て落葉雨 | むべ |
岩壁を登る山霧沢巡り | 愛正 |
小春日の墓を包みて父母を恋ふ | 素秀 |
風に舞ふ銀杏黄葉の蝶のごと | わかば |
冬雷に身震いしたる銀杏巨樹 | 素秀 |
初冬や寺内空切る朝読経 | 愛正 |
近隣の街路彩る紅葉かな。 | わかば |
大火鉢据えて老舗の料理店 | はく子 |
凩の雑木の森を唸らせる | わかば |
海風が吹き寄すバス停の落葉 | こすもす |
宇治小春茶そば御膳に舌鼓 | はく子 |
夕日中まっすぐ続く冬田道 | はく子 |
紅葉散る古刹の御堂へ散華とも | はく子 |
色残す木々を濡らして時雨かな | わかば |
一筋の肉焼く煙冬河原 | なつき |
さり気なく置かれし如く蔦紅葉 | こすもす |
絮飛ばしきらぬ河原の冬たんぽぽ | なつき |
葦枯るる川に残りし渡し舟 | 素秀 |
冬の雨街にひとつの写真館 | むべ |
寒木瓜のほのと紅差す二三輪 | むべ |
落葉道夜来の雨にな滑りそ | ぽんこ |
老夫婦寄り添ふベンチ冬桜 | なつき |
木枯しに缶カランコロ裏通り | 愛正 |
山腹の銀杏紅葉の際立てり | はく子 |
落葉踏む音にふり向く大マスク | なつき |
日射し濃く黄色重なる石蕗の花 | ぽんこ |
2022年11月26日 | |
適塾の中庭に有る花八つ出 | 宏虎 |
寄せ鍋の白菜つつく山崩し | 愛正 |
筋交ひも古りし堂裏木の実雨 | なつき |
眼を閉じて過す術後や夕時雨 | こすもす |
寺の池落葉散り込む透き間なく | ぽんこ |
庭でなく畑に皇帝ダリアかな | こすもす |
ジーンズに大き水じみ初時雨 | むべ |
川べりの炊煙一とすじ冬浅し | 愛正 |
母娘三代この地に住みて柿熟るる | はく子 |
咲き初むや隣家の垣根の山茶花 | こすもす |
鯉眠る池辺に飛ぶ蒲の絮 | ぽんこ |
山姥の咳きのごと立木鳴く | 素秀 |
朴落葉笑ひ転ぐる子らの声 | 愛正 |
茶の花や清楚であるを心とす | わかば |
経に飽き嬰が這ひ這ひ冬座敷 | なつき |
海を背に巡る酒蔵小六月 | わかば |
亡夫の服孫の着てゐる冬うらら | はく子 |
冬紅葉刹那に見せるやつれかな | 素秀 |
かげ踏みの鬼に角見え冬の月 | 素秀 |
宮参りの嬰すやすやと冬日和 | なつき |
秋高しグランドゴルフに卒寿刀自 | はく子 |
木の葉髪治りの悪き脛の傷 | なつき |
茶の花やささめく時のなぐさめと | わかば |
すれ違ふ風に潜みて鎌鼬 | 素秀 |
這ひ這ひの嬰膝に来て冬ぬくし | なつき |
藪巻の結び目に凝る庭師かな | 愛正 |
冬青空群れとぶ鳩の腹白し | むべ |
とりどりの唐草模様小春の日 | こすもす |
夕暮れに塒を目指す冬雀 | ぽんこ |
仰向けのカマキリ摘み草叢へ | こすもす |
冬めくや怒濤の海ヘ眼をそらす | 宏虎 |
不穏なる間違ひ電話寒き夜 | 素秀 |
唇に冷たき夫のハーモニカ | むべ |
天の鷹獲物狙いて目するどし | 宏虎 |
下校児の賑わす寺内神無月 | 愛正 |
薄らと濡らす石庭初時雨 | わかば |
コーヒーの美味しくなる日今宵かな | 宏虎 |
寒暁の月を抱へしまま明くる | むべ |
ベランダの僅かな日照り椎茸干す | ぽんこ |
三々五々墓に集まる小六月 | むべ |
晴れ渡る富士を背に吊るし柿 | はく子 |
冬日和昭和のミシン妻動く | 宏虎 |
門前を余念なく掃く冬帽子 | ぽんこ |
ポインセチア短日処理に赤ほのと | はく子 |
伝統を踏まえて造る今年酒 | わかば |
2022年11月19日 | |
小流れを堰きて落葉のしきりなり | はく子 |
遺された父のセーター着る子かな | むべ |
山茶花の散るは淋しき夕べかな | わかば |
本殿の鏡は暗し神の留守 | ぽんこ |
大楠の守りて鎮守の神の留守 | はく子 |
西空に茜の色や初時雨 | わかば |
山霧や谷川岳の沢重し | 愛正 |
セコイヤの落葉舞ひ散る雪のごと | はく子 |
袖揺らし賽銭投ぐる七五三 | なつき |
山茶花の咲き継ぐ庭や汝は亡く | わかば |
柔らかな日ざしの中の浮寝鳥 | ぽんこ |
山頂のヒュッテ報せる初氷 | 素秀 |
炊きたてを握る熱さよ今年米 | むべ |
蒟蒻を積み込む軽トラ山の影 | 愛正 |
川下へ時雨の分ける街灯 | 素秀 |
願わくは一願成就留守の宮 | ぽんこ |
園丁ら手を振るトレイン冬麗 | こすもす |
ヒーローになりたいと絵馬小鳥来る | なつき |
手から手へオペラグラスを月蝕す | むべ |
茶の花の白凜として汚れなく | わかば |
無住寺に鐘一打撞く小春かな | なつき |
かむり雪屹となりたる浅間山 | 愛正 |
新しき毛布を犬と分けあひて | むべ |
水鳥の羽の手入れに余念なく | ぽんこ |
古戦場梢のかこみ冬の鳥 | ぽんこ |
山の霧白き凝塊沢のぼる | 愛正 |
セコイヤの落葉しぐれの中に居る | はく子 |
樹の名前子に聞かれつつ紅葉狩 | 素秀 |
滑走路果てたるさきの枯芒 | 素秀 |
大鳥居くぐりて雲に神の旅 | わかば |
箒目を草履が崩す七五三 | なつき |
青空へ抜けむと銀杏黄葉かな | こすもす |
花八手見つめ佇む車椅子 | 素秀 |
ただよへる小春嗅ぎわけ犬散歩 | むべ |
何事も無かったように月まんまる | こすもす |
唐門の綺羅にいてふの黄金散る | はく子 |
視聴率今日の一位は月中継 | こすもす |
雲影の波走り行く枯野かな | 愛正 |
満開の衣装重たげ菊人形 | なつき |
信長も見たてふ月食進行中 | こすもす |
2022年11月12日 | |
街の灯を白く濁して初時雨 | 素秀 |
外人墓地菊の供花と国旗添へ | ぽんこ |
老木の裾にひこばゆスカート巻く | ぽんこ |
通帳の残高にらむ一葉忌 | 宏虎 |
小鳥来るヒマラヤ杉の梢高く | はく子 |
ひよ鳥のつつき飛び交う熟柿かな | 愛正 |
秋天にさしも九輪塔聳えけり | ぽんこ |
動物の童話仕立ても菊花展 | はく子 |
夕映えの残る美空に白き月 | はく子 |
青空を守もりて鷹の空統べる | 宏虎 |
惑星の次々のぼり月孤独 | むべ |
陶器かと見紛ふばかり次郎柿 | 素秀 |
至福なりコスモス畑に佇みて | こすもす |
木枯しに押され合鴨流れ去ぬ | 愛正 |
傾ける日をかき分けて秋の蝶 | 素秀 |
天高しヒマラヤ杉のなほ高し | はく子 |
黄落の肩に鞄に自転車に | むべ |
古民家を抜ける爽籟一服す | むべ |
泥んこも何のそのとて甘藷掘り | こすもす |
赤々と紅葉が翳す花時計 | なつき |
木枯しの後追ふ空き缶音高し | 愛正 |
洋館の門にしだれる秋の薔薇 | ぽんこ |
御朱印の達筆競ふ神の留守 | 宏虎 |
杖の爺よちよちと追ふ小春かな | なつき |
七五三年子の兄が世話焼けり | なつき |
力なく臥す胸のうへ月渡る | むべ |
秋アカネ乱舞の広場ドッグラン | こすもす |
文化祭皆歳取りぬ当日朝 | 宏虎 |
散る日迄目を楽します紅葉かな | 宏虎 |
恐竜のマスクの男の子七五三 | なつき |
芳香の樟の切株神の留守 | なつき |
ドアノブの鈍く光るや霜の夜 | 素秀 |
着き菓子の柚餅子を語る仲居かな | 愛正 |
古民家の誰待つ人ぞ柿熟す | 愛正 |
秋の水きらめき落つる水車小屋 | むべ |
釈迦像のあばら浮き立ち落葉降る | ぽんこ |
草の実の取払方四苦八苦 | こすもす |
山向こう雨止んだらし秋の虹 | こすもす |
秋惜しむ読経洩れ来る大寺に | はく子 |
編み込むは錦の糸の紅葉山 | 素秀 |
2022年11月5日 | |
老木にしもべの如くオキザリス | ぽんこ |
受付の一輪挿しに石蕗の花 | こすもす |
頭垂れ舗道見下ろす泡立草 | 素秀 |
金次郎の本に賽銭小鳥来る | なつき |
気持ちよく晩学に出る小春かな | わかば |
秋桜その彩りの風流す | はく子 |
初さんま煙吹き散る排気口 | 愛正 |
深秋の渚に波の音はざん | 素秀 |
仏飯はコウノトリ米報恩講 | こすもす |
鰯雲寝て遣りすごす頭痛かな | むべ |
龍神の旅立つ海や笛太鼓 | わかば |
秋桜百万本の浄土かな | かかし |
沢沿いをのぼる川霧露天風呂 | 愛正 |
長き夜や地図をなぞりて時刻表 | かかし |
葉の黄ばむ一鉢離し菊花展 | なつき |
絶好調の友の背中に赤トンボ | こすもす |
と見る間に里山覆ふ霧襖 | かかし |
顔のごと大き付け毛の七五三 | なつき |
渋柿の食べ方談義休み時間 | こすもす |
小春なる峰寺訪いて句碑めぐる | わかば |
百舌鳥鳴くや夕影帯びし鎮守杜 | 愛正 |
こすもすの可憐さに秘む強さかな | はく子 |
散り占めて近づき難し金木犀 | 素秀 |
細き辻金木犀を踏むまじく | むべ |
書店仕舞ふ本の行方に秋愁ふ | 素秀 |
秋桜風をいなしてすましをり | はく子 |
洋館の門にしだれる秋の薔薇 | ぽんこ |
比叡よりの風にコスモス大揺らぎ | はく子 |
そぞろ寒テープでつなぐ玻璃の罅 | なつき |
釈迦像の肋浮き立つ頭に落葉 | ぽんこ |
初霜や薪割り急かす里の山 | かかし |
秋空にさしも九輪塔聳へけり | ぽんこ |
チャイム鳴る空の校庭小鳥来る | なつき |
華やかやここはむらさきゑのこ草 | むべ |
廃屋の樋に名知らぬ草の花 | 愛正 |
老木の幹にひこばゆスカート巻く | ぽんこ |
AIに労らはれたるうそ寒し | むべ |
重ね着をしすぎて上衣持て余す | わかば |
こすもすや比叡山頂くっきりと | はく子 |
大漁と聞けど高値の秋刀魚かな | 愛正 |
藤袴アサギマダラを憩わせて | わかば |
薬膳や生姜を欲す病み上がり | むべ |
新走おらが国さの米自慢 | かかし |
萩の去り路地に立ちたる売家札 | 素秀 |
一礼し潜る鳥居や木の実降る | こすもす |
2022年10月29日 | |
父遺す畑仕舞する帰郷かな | なつき |
カラオケで青年の声戻る秋 | 宏虎 |
夕日受け河原に靡き | わかば |
病窓より見ゆるドラマや運動会 | むべ |
秋晴や濯ぎ物多々靡くなり | わかば |
久々の吟行に秋惜しみけり | こすもす |
走り根にどんぐりの実の弾く音 | ぽんこ |
火口湖を目指す山地や照紅葉 | わかば |
さやけしや修繕中の礼拝堂 | むべ |
瀬戸内の秋夕焼けの美しさ | 宏虎 |
みそとせの同窓会や身に入みて | むべ |
股覗き水平線の鰯雲 | かかし |
橙の実の葉籠り下行厨す | ぽんこ |
金木犀夜見る人も花こぼれ | 宏虎 |
根釣人糸繰りし指揉んでをり | なつき |
落葉路からと音して翻る | わかば |
産土の七五三絵馬打ち鳴れり | なつき |
小鳥くる群れて鳥語の一樹かな | わかば |
注連縄の甑の岩に小鳥来る | ぽんこ |
行雲を追ふ目虚ろに母の秋 | 素秀 |
紫に暮れ行く山に秋惜しむ | はく子 |
むらさきの丘に匂ひし濃竜胆 | 素秀 |
釣果なき夕餉多弁な根釣夫 | なつき |
奥宮の拝殿造替神の留守 | はく子 |
奥院の人見ぬ杜や残る虫 | はく子 |
秋桜の揺れて楽譜の如き列 | 素秀 |
ハロウィンのかぼちゃの侍るポーチかな | ぽんこ |
半眼の神の守りし秋の水 | ぽんこ |
一房を粒押し合ひし葡萄かな | 宏虎 |
長き夜や父母を偲びて写経せん | かかし |
黄落はまだ先メタセコイヤかな | こすもす |
巡回バス集落むすぶ刈田道 | 愛正 |
農家カフェ地産地消の走り蕎麦 | かかし |
梁太き櫓を抜くる秋の風 | なつき |
ドングリの色もサイズも様々に | こすもす |
過疎村に炊煙揺らぐ冬隣 | 愛正 |
彼の地では今を盛と金木犀 | こすもす |
家空けて勝手わからず火恋し | むべ |
点滴の針抜く痛み黄落期 | むべ |
板朽ちて芒が覆ふ校舎塀 | 愛正 |
すがれ虫残念石の城の跡 | かかし |
薄切りの檸檬沈まぬ朝スープ | 素秀 |
言はでものその一言のうそ寒し | はく子 |
月白に屋根の影増す倉庫街 | 素秀 |
たこ焼きの舟皿温し秋祭り | 愛正 |
海見ゆるビル屋上に秋惜しむ | はく子 |
山路行く車窓過ぎゆく芒かな | 宏虎 |
参拝の客の途切れず秋の宮 | こすもす |
一日に二便のバスや柿簾 | かかし |
老僧の柚味噌談義や庫裏の斎 | 愛正 |
2022年10月22日 | |
栗飯を買うてお仏供と昼ごはん | はく子 |
細波の綺羅に初鴨潜りけり | ぽんこ |
秋祭り裏路地走る下駄の音 | 愛正 |
一筋の川面光れり芒原 | なつき |
三国越ゆ越後の山の錦かな | 愛正 |
喬木に色を添えたる蔦紅葉 | わかば |
秋声は大山門の柱より | はく子 |
江戸文字の寄付札並ぶ秋祭り | 愛正 |
保護犬の泣き声細し秋の暮れ | 愛正 |
冷まじゃ初代社長の五十回忌 | 宏虎 |
手の平に乗る盆栽の紅葉かな | ぽんこ |
石垣の通る頭上に泡立草 | ぽんこ |
空占める大樹の中の櫨紅葉 | ぽんこ |
長き夜や円周率の果てしなき | かかし |
冬支度一缶多き灯油かな | 愛正 |
あきつ群る園内バスの停留所 | なつき |
杉玉の並ぶ酒蔵新酒出来 | 宏虎 |
古色なる水路閣より秋の声 | はく子 |
風の中翅も動かぬ秋の蝶 | ぽんこ |
法堂の開け放されて秋日和 | はく子 |
学童の笑顔に応へ赤い羽根 | わかば |
川底のうねりのままに鮭のぼる | 素秀 |
数多なる色を違へて紅葉かな | わかば |
色変へぬ松選ばれて三百年 | 素秀 |
立ち入れば溺れさうなる芒波 | 素秀 |
ハロウィンのかぼちゃとベンチ座りたる | なつき |
剪定に身よじるやうな秋薔薇 | 素秀 |
古井戸は猫のたまり場秋さびし | なつき |
先着順に決まる乗客秋惜しむ | こすもす |
晩学に定年はなし夜学生 | かかし |
秋惜しむ時刻みけり砂時計 | 宏虎 |
秋の日の親の横いる牧子牛 | 宏虎 |
決断のいる値段だが松茸籠 | 宏虎 |
爽涼の窓全開で写経せん | かかし |
色鳥や母の齢を祝ふかに | わかば |
ハロウィンやかぼちゃの並ぶオーケストラ | なつき |
小春日や空にドクターヘリの音 | こすもす |
銀杏の実終焉地てふ芭蕉句碑 | かかし |
単線に断続しつつ野紺菊 | 素秀 |
四人組歌いっ放し秋惜しむ | こすもす |
回覧板は害獣駆除の秋日程 | こすもす |
秋夕焼山を焦がさんばかりかな | はく子 |
菊花展特別賞の卒寿翁 | かかし |
四阿に憩ひて紅葉明かりかな | わかば |
2022年10月15日 | |
踏み入りて空しか見えぬ芒原 | 素秀 |