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2024年11月16日

目潰しの落暉広ごる芒原 ぽんこ
満作の照葉ゆかしき茶席かな わかば
きつつきの打つ音響く岨の道 ぽんこ
俳人の酔狂ならん破蓮 はく子
砂利深き紅葉の庵たもとほる せいじ
爽やかやリズム弾ける水琴窟 あひる
美しき団栗独楽の同心円 むべ
百年の杜の大樹や木の実雨 むべ
漣の千々に乱れし紅葉かな 澄子
杉苔にはらり一枚照紅葉 たか子
灯籠の頭でつかちな転げそ えいじ
小春日や洲浜に松の威風かな わかば
水注ぐ水琴窟に秋の声 よう子
倒影の朱を極めたる唐楓 はく子
破蓮すくと立ちたるひと本も はく子
かば像の浮かぶ盆池に帰り花 ぽんこ
一本に百輪咲けり菊花展 むべ
水琴に金輪際の秋を聞く みのる
園丁巡る落葉なき心字池 よう子
無作法を許され楽し口切り茶 あひる
幾百の水の中なる蓮の骨 せいじ
きよめ餅さげて真礼秋詣 えいじ
石蕗の花水琴窟の音清か わかば
杜深し飯桐の実の落し物 むべ
池の辺の芒に風の定らず 澄子
鳥渡る影を映せる水鏡 むべ
太陽の塔は古びず天高し せいじ
小暗さのこんな所に石蕗の花 たか子
金風のウエーブ見よや遠野原 みのる
睡蓮の浮葉散らして返り咲く わかば
メタセコイア秋日の欠片振りこぼし うつぎ
紅葉且つ散りて草庵檜皮葺 たか子
撮り終えて破顔一笑七五三 えいじ
秋声は太郎の塔の裏よりぞ はく子
池わたる風にわななく破れ蓮 みのる
池の面に影の清かに紅葉かな わかば
石蕗の花愛でつ薄茶を賜りぬ たか子
秋日影アメリカ楓は炎立つ うつぎ
啄木鳥や木椅子に人を休まする うつぎ
神木の身にしむ黒き手擦れかな えいじ
太陽の塔より高く昼の月 せいじ
行く雲に秋思うべなふ心字池 みのる
満身に秋の光や掃溜菊 あひる
かさこそと野ねずみ落葉掻き分けて 澄子
爽やかやあるなしの風草紅葉 ぽんこ
お茶席の清談弾む石蕗明かり よう子
枯蓮を奏でて風の過ぎゆけり あひる
櫨紅葉瞼に受くる日差しかな 澄子
残響は冬の音高く水琴窟 たか子
己が姿写して水の枯蓮 うつぎ
色変えぬ松の大見得中島に ぽんこ
薔薇咲けり冬を迎ふになほ赤く はく子
湧水にひかり踊りて初紅葉 澄子
太陽の塔笑む秋天や半世紀 よう子
子規のこと語りつ撮りし杜鵑草 せいじ
枯蓮の池に日当り日の翳り あひる
浮草を隠しきれずや枯蓮 うつぎ
不実梅幹は繁茂の軒忍 えいじ
色鳥の一擲したる池鏡 みのる
破れ蓮射貫く落暉の水面かな よう子

2024年10月12日

せせらぎに憩ふ我らに風涼し 澄子
銀杏の一撃喰らふ吟行子 せいじ
神籤結ぶ囲いの中の萩の声 ぽんこ
萩揺れて蝶も揺れゆく裏参道 もとこ
紅白の錦織りなす曼珠沙華 澄子
武蔵野に拾ふ木の実や楢櫟 むべ
碩学の歌碑へとなだる乱れ萩 せいじ
秋草を見むと床の間躙りより むべ
古民家の籬をなせる竹の春 康子
萩に触れ桔梗に会ひて京ひと日 はく子
桔梗の庭に向かひて並む円座 あひる
喬木の銀杏鈴生り寺の庭 わかば
展がりて起伏をなせる花野かな 澄子
桔梗の白砂の庭に端然と はく子
薮茗荷の実は黒真珠神の庭 うつぎ
蕊あまた蒼穹を指す曼珠沙華 むべ
色変へぬ松の枝ぶり源氏庭 ぽんこ
拝殿へ誘ふ参道萩あふる わかば
果て見えぬ萩トンネルや香満つる 康子
鬼瓦の目元くすぐる薄紅葉 ぽんこ
澄む川の岩に迸る白さかな 康子
秋涼の庵に薄茶いただきぬ むべ
平安を偲ぶ境内桔梗咲く わかば
ゆらゆらと短冊の句に萩の風 もとこ
桔梗咲く千年の彩式部庭 ぽんこ
乱れ萩古し社に白と紅 もとこ
吟行子を誘ふ如く秋の蝶 ぽんこ
秋まつり提灯筒に積み上ぐる えいじ
丘までの道を綴りし曼珠沙華 澄子
秋まつりばらす櫓の砥の粉散る えいじ
水屋より亭主現るるや竹の春 むべ
秋惜しむ白砂に苔の源氏庭 はく子
記念写真ベンチに払ふ零れ萩 あひる
丘埋む紅き絨毯曼珠沙華 澄子
桔梗の庭によもやの大鴉 せいじ
萩叢へひらひら黄蝶しじみ蝶 はく子
新涼や瀬音に隣る長屋門 康子
玉砂利を隠れ蓑とすこぼれ萩 せいじ
観音は大和座りや残る虫 せいじ
盧山寺にこその桔梗今盛る はく子
漆喰の白壁に透く薄紅葉 康子
御所さんの銀杏なればと拾ひけり うつぎ
ペンキ屋もとびも蕎麦屋も秋まつり えいじ
落日や下之一色秋祭り えいじ
能舞台四方に白萩紅の萩 あひる
参道の細きも風情萩綴る うつぎ
銀杏や帽子のつばを打ちて落つ あひる
桔梗や十二単衣のひと色に うつぎ
手水舎の含む名水秋澄める わかば
萩の蝶翔てばかすかに枝の弾み あひる
蝶あまた地擂り萩には蜆蝶 うつぎ
白萩の零す花弁楚々として わかば
秋澄むや伸びたる背筋写経せむ もとこ
桔梗咲く五十四帖語られし もとこ
提灯の群れて綾なす秋まつり えいじ

2024年9月14日

笹の葉の早瀬に逸る水の秋 むべ
ポイ捨てはやめてと園に立つ案山子 せいじ
田の畦や朱を極むるは彼岸花 わかば
本物の人と見紛ふ案山子かな せいじ
方位盤涼し連山パノラマに みのる
海見えて標高千の牧涼し みのる
小魚の影濃く水の澄めりけり むべ
豊かさと真澄の流れ秋の水 わかば
秋蝶のグライダーめく飛行かな せいじ
おはぐろや奔流しぶきやまざりし 澄子
白鷺の首くにやくにやと池面かな あひる
いつとなく花野となりし牧の径 みのる
券売の釣落つ音や秋うらら えいじ
羽衣のやうな秋雲一揆寺 なつき
秋海やグラブバケット汐を呑む えいじ
水脈広げ荷船ゆるりと秋の湾 えいじ
野良仕事果てぬ案山子の夫婦かな あひる
葉隠れに茗荷の花の白さかな 澄子
佇めば一渓わたる蝉の声 澄子
早世の友の好みし花桔梗 わかば
女郎蜘蛛早瀬を睨み身じろがず 康子
山寺に草履と瓢揺れてをり なつき
すつぽんの掻き分けてくる青みどろ あひる
飯桐の実を踏みしだく男坂 なつき
マゼンタの点が綺羅なす萩葎 せいじ
日を弾く水面の綺羅や風立ちぬ 澄子
滝岩を攀じらんとする蔦紅葉 康子
殉教絵碑のこる古寺やこぼれ萩 なつき
秋の水瀬音に混じる人の声 わかば
新涼の灯の鎖なす海の橋 みのる
藪蘭の咲く木陰にてひと休み あひる
鯔跳ねて作業終わりの小舟ゆく えいじ
潺を跨ぐ一糸や女郎蜘蛛 澄子
青き空映して清か秋の水 わかば
蔦蔓がんじがらみの屋敷林 康子
夕映の穂波に乗るや群蜻蛉 むべ
搾りたて牛乳避暑の牧至福 みのる
穂の垂れていま満水の稲田かな せいじ
浮島の葎となりて漂ひぬ あひる
秋麗の一湾臨む展望台 えいじ
庭苔に朝露珠と艶めきぬ 康子
古鳥居撤去の穴や身に入めり なつき
葉隠に綺羅の一縷や山清水 康子
湯けむりにぬつと現るるは花蘇鉄 むべ
遣水を渉り茶室へ初紅葉 むべ

2024年8月17日

茂りたる杜の静けさ今朝の秋 澄子
雷火いま高層ビルを袈裟懸けに みのる
ソフィアローレンがどこかにいそう向日葵田 こすもす
夏の果貝殻絵馬の文字うすれ なつき
稚魚の群れミストとを浴びる睡蓮池 ぽんこ
水かげろふ葉裏に揺るる晩夏光 むべ
夏雲の水漬く枝に像崩す むべ
葛の原小径とぎれて一面に むべ
蹲に木槿浮かせし旧家かな 澄子
息詰まる緊急浮上せしプール えいじ
ギプスに手添へて参拝原爆忌 なつき
流星や逝きし人々懐かしむ わかば
美しきステンドグラス堂涼し わかば
水替へて吐息新たや水中花 みのる
日差しへと首に二重の汗拭ひ なつき
軍艦のごと鯉の寄り来る厄日 なつき
流されず一つところに鴨涼し むべ
時刻表枕に昼寝無人駅 みのる
雨あがる橋を超え来て秋の雲 澄子
参道を羽化失敗の蟬あるく なつき
夏服やゆつくりと着て心地よく わかば
白靴をぬぎて渚に遊びけり みのる
蓮の実は何処に飛んだか同胞は ぽんこ
空青し写真自撮りす向日葵田 こすもす
畔行くや蜻蛉の群れに打ちまじり むべ
水面に触れんばかりの夏柳 ぽんこ
チューリップ畑が変身したるひまわり田 こすもす
またひとりねずみ男のゐるプール えいじ
鎮魂や核なき世をと敗戦忌 わかば
とどのごと潜水をかしプールの吾 えいじ
ゆき悩む流灯を手で促しぬ みのる
文豪の漫歩の路地に風立たぬ 澄子
木曽川の水満ち溢るプールかな えいじ
叫びては見間にジャンププールの子 えいじ
杉美林バックにひまわり五十万本 こすもす
花火舟果て闇寂し蝦夷の旅 わかば
迷路めく背高ひまわり畑かな こすもす
逆立ちす突き出た茎の赤とんぼ ぽんこ
蝉のこえ途切れがちなる雨催 澄子
睡蓮にミストの蒸気いきいきと ぽんこ

2024年7月13日

全山を纏うみどりや近江冨士 えいじ
寺まつり元武家屋敷開け放し なつき
落ちてなほこよなく白し沙羅の花 わかば
作り滝水の滔々岩の苔 ぽんこ
青萩や柵を掴まへ迫り上がり かえる
風涼し老舗暖簾の字の合はず みのる
さざ波の上を睡蓮の広ごりぬ せいじ
渡し板蓮の巻葉の通せんぼ なつき
蟻の巣の口の周りはプチ砂丘 せいじ
湧水の楽を聞くやに花擬宝珠 康子
萩叢の隧道抜けて序破の風 澄子
蹲踞の水満々に陽炎たつ ぽんこ
モリアオガエル卵塊の雨を待つ わかば
一条の日の輪のをどる泉かな みのる
万緑の中往く登山列車かな わかば
枝切れば紫陽花の房手にずしり よう子
吟行子まづオーダーの氷水 かえる
本堂に五十路のバンド夏祭 なつき
水底に尾の影ひきてゆく金魚 澄子
名も知らぬ夏花咲けり茶臼山 えいじ
梅天に響くサイレン天王寺 えいじ
パーゴラに斑を散らしたる若葉影 康子
鬼百合の珠芽太りてつや増しぬ むべ
まだ軟き翅を乾かす蝉の黙 あひる
膨らんで撒水ホースとぐろ巻く せいじ
砥部焼の白磁の皿の藍涼し みのる
岩清水ひきて蹲踞奏でしむ みのる
梅雨茸整列したる丸太椅子 あひる
せつかちな空蝉もあり穴の横 あひる
夏の杜深くへ消ゆる蛇の目傘 かえる
初蝉や木立に鴉小競り合い ぽんこ
早起きの夏鶯の禊受く よう子
汗拭ひ太子絵伝の絵解き僧 なつき
緑雨降る兵どもの泪めく えいじ
夏木立樹間に浮かぶ通天閣 えいじ
一揆寺藪蚊も失せし暑さかな なつき
主居ぬ二階の軒へ夏つばめ よう子
四阿をはみだし大き星の笹 康子
湧水の辿る岩間に新樹光 康子
掬ぶ手にまろび輝く泉かな むべ
はまぼうの花散る樹下や梅雨嵐 あひる
抽んでし蓮蕾まるで三姉妹 せいじ
おはぐろや睡蓮の葉を放蕩す あひる
鍼灸院出てかたばみのバス停へ よう子
見霽かす緑また緑の夏の苑 かえる
荒縄の葦をくぐりて夏祓 ぽんこ
駅飾る庭園の竹星の竹 むべ
青葉して日の斑の遊ぶ苔畳 澄子
ゆくりなく疏水に現れし羽抜鴨 せいじ
四阿は網代天井星の竹 澄子
清らなり杉苔青し寺の庭 わかば
羅に真白な腕の透き通る かえる
蓮広葉車軸の雨に寧からず みのる
蟻の穴地下帝国を思ひけり むべ
背伸びして高きに結ぶ星の竹 むべ
石刻の涅槃仏へと沙羅の花 わかば
笹飾り幼き文字で平和へと 康子
人を待つ四阿渡る風涼し 澄子
美容師の相槌じょうず櫛涼し よう子
青蔦の覆ふ小径に足取られ ぽんこ

2024年6月15日

蓮の葉の玉水に棲む小さき虫 せいじ
紫陽花の谷の底より朱の御門 あひる
新樹陰弁財天のハート絵馬 なつき
目を奪ふ真白を通す七変化 うつぎ
池透けて見ゆ萍の細根かな むべ
山峡の谷戸に展ごる植田かな 澄子
目に涼し宇治の早瀬よ水音また みのる
あぢさゐに埋もれ明王苦笑ひ もとこ
頭の欠けし北向き地蔵走り梅雨 なつき
宇治川の激流の空夏燕 こすもす
山門をくぐればどっと濃紫陽花 千鶴
吟行の締め宇治金時のかき氷 はく子
万緑を分かちて激つ瀬の白し あひる
微塵子籠め蓮の雫の小宇宙 うつぎ
青蔦を背に鎮座する薬師如来 ぽんこ
大前を埋め尽くしたる蓮の甕 せいじ
脚継ぎし陶の狛犬木下闇 なつき
水底に影の縺るるあめんぼう むべ
かき氷山を崩して五臓六腑 ぽんこ
押しくらのごと鬩ぎあふ未草 みのる
日照雨きて際立ちませる青山河 澄子
小粒立つ青蜜柑下瀬戸の海 澄子
日をはねて水かげろふや作り滝 むべ
吾と共に石橋渡る塩蜻蛉 あひる
行厨は瀬音涼しき川岸に はく子
彫り深き人面めきて鯉涼し こすもす
休耕田ざりがに池のなれの果て かえる
息吸つて胞の膨らむ煙の木 えいじ
激つ瀬の水上に並む鵜舟かな せいじ
宇治川の激つ瀬音の涼しかり はく子
夏柳風に誘はれ地を摩る かえる
行厨は宇治橋見つつ夏木立 たか子
片膝をつきても霞む庭石菖 えいじ
川風が攫ひし宙の糸とんぼ みのる
軒忍水車飛沫に常濡れす 康子
五月雨や大水を裂く木除杭 せいじ
宇治川の激つ白波夏河原 たか子
宇治訪ふてやはり読もうか宇治十帖 千鶴
万緑や千年を守る宇治上社 はく子
極彩のベゴニア繚乱植物園 えいじ
虫食ひの茄子一つ熟るほまち畑 なつき
清水汲み石佛供ふ欠け茶碗 もとこ
寺薄暑ようおまいりと碑の迎ふ もとこ
犇めきて亀ら飛び込む夏の川 えいじ
ガラス戸に映る古刹の緑の景 ぽんこ
緑陰の川辺に拡ぐ弁当かな 千鶴
三世代おなじ面差し水合戦 かえる
蓮巻葉大き浮葉を突き上ぐる うつぎ
老鶯の美声振りまく古刹かな ぽんこ
畳なはる山の緑の色違へ わかば
運転手は新人女性古都薄暑 こすもす
亭涼し竹籠に活く山野草 康子
紫陽花寺「ようおまいり」と誘へり たか子
梢洩る日矢に煌めく泉かな 康子
大岩に揺るる日の斑や樹下涼し 康子
沖つ波潤みて瀬戸に梅雨兆す 澄子
青海波なして咲き満つ濃紫陽花 みのる
老鶯や遠谺して宇治の山 たか子
神木の大欅の辺岩清水 わかば
濃淡に紫紺織りなす菖蒲園 むべ
万緑に三重の塔の見へ隠れ ぽんこ
ゆっくりと征く雲映し植田かな 澄子
蜘蛛の囲や檜皮葺なる拝殿に たか子
新茶汲む茶舗立ち並ぶ宇治の辻 千鶴
木下闇神木欅三百齢 はく子
紫陽花の苑をたゆたふ人の群 あひる
鬱葱の木立の中や青葉闇 わかば
橋半ば水皺となりし夏の風 えいじ
鶯や勇気付けられ磴上る わかば
霊石の幣をちぎりて蔦茂る なつき
水鏡沢紫陽花と青空と むべ
天辺より山食んでゆく氷宇治 あひる
もてなしの和菓子に添へる四葩かな みのる
枝先にまろき梅の実数多生る かえる
花手水竜の口吹く泉かな 康子
苔しげる小さき地蔵の祈りの手 もとこ
紫陽花や友の労り有り難し わかば
解禁の出番待ちたる鵜舟かな 千鶴
異彩放つ紫陽花に歩を緩めけり こすもす
あぢさゐと句碑に散らばる字のをかし もとこ
広芝のスプリンクラー虹生る かえる
宇治川を背なに涼しげ式部像 うつぎ
注文は迷はず宇治のかき氷 うつぎ
緑陰を占めて一団瞑想中 こすもす
天空の山寺に早や鬼やんま せいじ

2024年5月11日

濯がれて軒に干されし鯉のぼり せいじ
雨含む岩を絞りて苔清水 ぽんこ
透明度百パーセント瀞涼し みのる
深山道木立の中に山躑躅 わかば
磴百段下れば泉そこここに 康子
姫女苑防災倉庫置く空き地 なつき
湧き水の奔流となる梅雨初め よう子
田水張る水面の電車喘ぎ来る よう子
クレソンを研ぎゐる清き流れかな むべ
開発の迫るなぞへや二輪草 澄子
小祠に守られている銀竜草 ぽんこ
藍染の鯉のぼりたつ工芸館 むべ
母衣掲げ熊谷草は堵列せり 澄子
苔清水リズムは刻をきざむよう 小袖
花びらも名前も雅なり花菖蒲 せいじ
山家いま迫る五彩の緑かな 小袖
楽しみと待つこと久し新茶の香 わかば
密やかに届く木洩れ日熊谷草 あひる
ヌートリア声高らかに泳ぎきる えいじ
駆けつけし時蛇の尾の消えゆけり あひる
連理して大緑陰をなせりけり みのる
ものの芽を踏むまじとゆくなぞへかな 澄子
慰霊塔萌ゆる若葉に抽ん出し 康子
地蔵尊燃ゆる躑躅を籬とす 康子
筍の丈の限りに伸びゆけり 澄子
沢蟹の透けて生れたて直ぐ隠る うつぎ
沢蟹の小さき石を砦とし たか子
我に来て憩えと翳す緑樹かな みのる
旋回し戻る瀬石や糸蜻蛉 あひる
恐竜の森とや熊谷草抱だき うつぎ
鳥居から神木へ吊る鯉のぼり なつき
日と風をとどめて池の杜若 なつき
振り下ろす指揮は雨粒蛙鳴く よう子
洞深き台場くぬぎに若葉雨 あひる
しがらみのごと名札立つ菖蒲池 せいじ
貴種流離山芍薬の佇まひ 澄子
草笛や青空の下吹きたくて わかば
不意にきし色の見えたる黒揚羽 えいじ
国の保護無しとや不憫熊谷草 たか子
渓風に紅ほぐれそむ楓の芽 むべ
新緑の山路を友と枯木杖 小袖
鉱山は今は昔や山滴る うつぎ
炭窯の崩れし洞に花むぐら あひる
風孕む熊谷草の淡き母衣 たか子
草摘みて子育て大師供へたり なつき
切岸の谷底のぞく射干の花 ぽんこ
樹下涼しデッキチェアに足あづけ かえる
けりけりと番い騒げる代田かな えいじ
岨道の青羊歯覆う間歩の跡 ぽんこ
ため息のごとあぶく吐く緋鯉かな かえる
蜘蛛の囲のうつぎだらけに粧へる うつぎ
苔潤むところ若葉の影遊ぶ かえる
熊谷草道聞く人の絶え間なし よう子
ゆらゆらとひとつばたごの花満開 えいじ
水の色森の色引き糸蜻蛉 うつぎ
日を倦みて欠けし一片朴散華 むべ
ゆるゆると手を逃れたる柳絮かな えいじ
長続きせぬ沢蟹のかくれんぼ 小袖
花菖蒲江戸肥後伊勢の名を負ひて せいじ
石垣の隙間ゆるりとくちなわの尾 ぽんこ
雉子鳴く子等見ぬ村の休耕田 よう子
山颪しばしな吹きそ朴の花 むべ
黄菖蒲の咲きて池辺満たすなり わかば
満水の池面に浮かぶ未草 せいじ
大蛇めく蔓みあげれば天つ藤 みのる
大いなる緑を訪ね立夏かな たか子
石楠花に添ひし水音や心地よく わかば
啓蟄やくちなわを見る深山かな たか子
手汗拭きおもかる石を持ち上ぐる なつき
一輌車谷戸の代田に傾きぬ みのる
山腹の緑に豊かベニウツギ 小袖
せせらぎの楽を標に谷若葉 康子
一穢なき空に紋様夏の蝶 康子
灯籠に日の斑のあそぶ夏木立 かえる
堂裏へ禰宜の掃きよす春落葉 かえる

2024年4月13日

古庭の高きより落つ藪椿 あひる
春秋や並ぶさくらと楠紅葉 えいいち
せせらきに触れなんとすや枝桜 隆松
大池を眼下にくだる花の坂 せいじ
花筵へ下ろされ犬の胴震ひ なつき
句談義の四阿にいま若葉風 あひる
瞬かぬ鹿の遠目や花吹雪 よう子
池鏡蜃気楼めく花の影 みのる
しやぼん玉否国宝の水晶玉 うつぎ
若桜駈け登りたり三笠山 ぽんこ
花菜畑苑の一隅明るうす 澄子
甘茶仏御手の小さきに雨細く たか子
焦点は山門先へ花の道 隆松
生垣をクッションにして椿落つ 康子
てうてうにどこまでついてゆく子かな えいじ
内濠の碧き止水に花の影 せいじ
春燈や阿修羅の影す後ろ壁 うつぎ
初音いま目つむりて聞く岨の道 せいじ
紅の円陣となる落椿 澄子
早暁の山門の花ひらひらり かかし
亀どちや餌待ち顔の春の川 えいじ
フェスうららからくり太鼓時を打つ せいじ
雨晴れて畑の遠近土竜塚 澄子
古刹から望む霞に竹生島 隆松
銀輪を押して歩きぬ花の道 かえる
大葉に乗る独りぼっちのかたつむり ぽんこ
ぬれ縁の着物姿や春灯 こすもす
天蓋に飛天の舞やうららけし もとこ
ジョガーゆく堀川端の初音かな えいじ
隣り合ひお国はどちら花の下 よう子
広庭は落花畳や療養所 むべ
春泥にまみれし鹿の澄まし顔 たか子
照れば濃く翳れば淡き桜かな 澄子
春の燭憂いを含む阿修羅像 ぽんこ
水揚げのめかぶ切り分く朝市女 なつき
早暁のサッカー少年青き踏む かかし
目に涼しオープンガーデン花手水 みのる
眉根寄す阿修羅の苦悩春憂う たか子
春陰や菩薩足指反らしける もとこ
大寺に意外に小ぶり花御堂 はく子
花李あち見こち見に咲き満ちぬ かえる
春塵に十二神将身をよじり もとこ
色々な民族衣装春の古都 こすもす
犬膝におしゃべり続く花の昼 なつき
春愁や眉動きそふ阿修羅像 よう子
分け入りし小暗き森に著莪真白 かえる
公園は花見テントの展示会 えいいち
苔庭の花と見紛ふ黄蝶かな うつぎ
茅葺きの山の茶室の春燈 あひる
日矢射して桜吹雪のきらめけり あひる
青空に雨だれめきし花しぶき えいじ
囀りの輪唱やまぬ森の朝 康子
花の雲三笠山を指呼の四阿に はく子
青空をキャンバスにして花万朶 康子
おにぎりをほおばる背なに花吹雪 こすもす
若楓瑞々しき日落しけり みのる
山門の花から花へ鳥語聴く かかし
花添はせ枝張る松の男ぶり うつぎ
弔ひを幾度見送り花万朶 澄子
つぎつぎと落花留まる瓢箪池 あひる
花の雲大池三百六十度 みのる
春愁か悩み多そう阿修羅像 こすもす
草臥れた脚をさするや山笑ふ ぽんこ
帯なすは草原に群る韮の花 康子
天上天下読経の続く仏生会 はく子
花満る小鳥飛び交う雲の下 えいいち
チップイン仰ぐ春空鳶の円 えいじ
花下に笑む患者とナースはいポーズ 康子
華やぐや落つる椿の開く土 えいいち
歩けども歩けどもまだ花の道 むべ
人出絶へ木々に耳当て桜守 かかし
春時雨阿修羅の深き憂い浸む たか子



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