投句控 :500句/1頁

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レース編む孔雀の羽のごと模様 明日香
風に浮くレースの襟の翅のごと 素秀
花嫁のレース豊かに シヨーウインドウ 小袖
晩年の今が幸せレース編む うつぎ
レース編みしつつ汽車通せし頃も こすもす
風纏ふレースカーテン大欠伸 豊実
病葉やみどりに埋もれ艶ありて もとこ
病葉のまだ艶ありて栞とす 満天
宮参り純白レースのケープ着せ はく子
風が梳く髪のすなほやレースの子 もとこ
踏み惑ふほどの病葉裏参道 よし子
病葉よ苦労判らず同情す 宏虎
病葉や官舎の窓の指の跡 よう子
贈られし汕頭レース惜しみ持つ わかば
いと豪華女子会の友レース着て 宏虎
病葉や老ひて身勝手許さるる もとこ
足湯する病葉浮きし有馬の湯 みづき
清流へ落つ病葉の赤さかな 小袖
レース編む座敷机に似合うもの 宏虎
青空を透かせる小花レースめく こすもす
病葉や老ひてこそ知る事あまた みづき
女子アナのレースの袖や天気予報 豊実
病葉や日の色変わる藪の中 隆松
病葉は廻るばかりや堰は急 たか子
レース着るアナウンサーの語り口 ぽんこ
オリーブを描く病葉も忘れまじ せいじ
昼休み競うてレース編みし日も やよい
寄る辺なき母の枕辺レース編む わかば
病葉をくるりと廻し表裏かな よう子
病葉の吾は我とす潔さ たか子
参燈の隅を病葉移らひて 素秀
古城跡病葉落つる苔の石 隆松
亡き友の母が手編みのレースかな せいじ
おさげの子レースのリボン跳ねてくる よう子
レース編みのテーブルセンター五十年 こすもす
病葉を抜き石垣に散り日の斑 隆松
花嫁の涙隠してレース震る 智恵子
黒レース網目にしみる花の柄 隆松
こきこきとレース編む針光りけり たか子
露天湯や病葉払ふ脱衣籠 みづき
レース編むテラスの風の心地良き 智恵子
暇あればレース編みゐし頃もがな はく子
病葉や積もる祠の歳月に たか子
病葉の艶愛おしや卓の上 よう子
病葉や枝にすがる葉命まだ 明日香

2021年5月

手びねりの湯呑みに今日の新茶淹れ 満天
仏壇に庭の新茶のうすみどり なつき
新茶汲み父の御機嫌とりし母 智恵子
自転車の列追ひ越せぬ峡薄暑 よう子
せがまれて薄暑の池の貸しボート 豊実
新茶飲む尻を並べて湯治宿 素秀
明るさに時計見直す夕薄暑 こすもす
お稲荷を邪教と説法堂薄暑 素秀
鴉啼く睨みきかせる池薄暑 もとこ
吾が贈りし地酒の礼と新茶来る こすもす
リハビリは二分立つから院薄暑 隆松
久々の街素っ気なく夕薄暑 たか子
増へ来たる水上バイク湖薄暑 隆松
渡船場に干物の匂ふ島薄暑 うつぎ
薄暑光ベンチに憩う遊歩道 智恵子
白目立つ見物客や館薄暑 宏虎
しばらくは新茶楽しむ日なりけり みづき
百寿僧の説法終へて新茶濃し かかし
縁に売る新茶知覧の武家屋敷 やよい
新茶の香茶筒を開けたその瞬間 明日香
途中下車新茶の香りに誘はれて 菜々



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