2024年6月30日 | |
園丁の迷彩服や草を刈る | なつき |
汗激ち落ちて浄書のやり直し | せいじ |
紫陽花の雪崩れて谷を埋め尽くす | せいじ |
風鈴が賑やかしたる山のカフェ | あひる |
昨夜の雨化粧新たな七変化 | かかし |
薫風に英字の絵馬の軽快音 | ぽんこ |
野良猫の日覆の風に微睡みぬ | えいじ |
門前の朝顔の苗ご自由に | よう子 |
堂涼し天女舞ひたる欄間かな | なつき |
父母を思ひて淋し蛍の夜 | わかば |
野に咲ける花に羽音の蜜蜂来 | えいじ |
廃線のケーブルの渓梅雨深し | よう子 |
ビル庭園一角占める青田波 | かかし |
コンテナの野積みの山にさみだるる | みのる |
経木浮かす先祖供養の涼しさよ | ぽんこ |
青梅雨や賽銭湿る仏石跡 | ぽんこ |
山あぢさゐ供花に穴弘法の前 | なつき |
朝焼に紅の揮毫や雲の帯 | えいじ |
梅雨空に相輪刺さる五重塔 | ぽんこ |
ふと風のやみて浮葉のあとしざり | みのる |
スコップの父子団地の溝浚へ | よう子 |
母の日の母に孫から肖像画 | みのる |
回収の缶ばら撒かる音涼し | えいじ |
青芝に立ち紺碧の潮の色 | わかば |
圧力釜憤怒の湯気や梅雨厨 | みのる |
梅雨晴間干し物溢る合宿所 | かかし |
水槽の見ぬ間に殖ゆる目高かな | わかば |
半夏生あまねく付けし花穂ひとつ | あひる |
汗拭ひ日々五千歩のリハビリを | かかし |
日矢二三射して一服梅雨の雲 | えいじ |
歩の竦む雲厚き夜や五月闇 | わかば |
放射状に糸張る池の錦鯉 | ぽんこ |
小流れが紫陽花園を二タ分けす | せいじ |
木の階に梅雨茸白し穴弘法 | なつき |
鉢巻に汗を吸はせて墨書せり | せいじ |
老鶯やいづこ聞き耳立ち止まる | よう子 |
新旧の紫陽花園をつなぐ橋 | せいじ |
好物の茄子漬父に途中下車 | よう子 |
卒寿翁子らに写メール青田波 | かかし |
梅天に凝る白煙や溶鉱炉 | みのる |
早朝に踏む青芝や清々し | わかば |
メリヤス屋の口上に買ふ汗拭ひ | なつき |
滝のごとなだれて栗の花穂かな | あひる |
2024年5月31日 | |
藤棚に忘れ水筒侘し気に | ぽんこ |
青蔦を鎧ひしままに立枯るる | みのる |
緑蔭にキャッチボールの受け損ね | ぽんこ |
昨夜の雨含み艶増す薔薇の花 | わかば |
庭に変身の休耕田の夏野菜 | こすもす |
葉柳や亀の甲羅にタッチする | あひる |
触覚のごと蔓遊ぶ薔薇アーチ | みのる |
緑陰に牧師説きたる天の国 | むべ |
青嵐飛び出し坊や起こす子ら | かかし |
池涼しあぶくと見しは亀の息 | せいじ |
行く川の流れを見遣る花茨 | かえる |
読み聞かせ児ら頬杖や新樹光 | よう子 |
靴の列日溜りの蛇苺揺る | よう子 |
五月雨や一日見る将に徹す | こすもす |
溌溂に少年聖歌青葉風 | えいじ |
言ふことをきかぬ男の児の水遊び | せいじ |
心地よき潮風受くる競渡かな | わかば |
夏の霧畑仕事の影絵めく | かえる |
水鉄砲わざと濡れゆく男の子 | ぽんこ |
ままごとの跡に散らばる鼓草 | かえる |
緑さす墓碑に再会約束す | むべ |
急直下急旋回の夏燕 | かかし |
電柱の根方を包囲地獄蕎麦 | あひる |
キャンバスに赤が氾濫薔薇描く | みのる |
をさなごの去れば雀の水あそび | あひる |
父母と過ごせし町や桐の花 | わかば |
青葉若葉解放されたわんぱく児 | ぽんこ |
クローバー編みつ待ちたる納骨式 | むべ |
みほとりの整理をかねて更衣 | わかば |
ペーロンの勝組となる櫂捌き | わかば |
葱坊主撒かれ肥やしとなりにけり | かえる |
小流れの岩がとどめし杜鵑花かな | あひる |
雨に濡れ膨らむやうに枇杷色む | えいじ |
サンダルは嫌とむづかる跣足の児 | せいじ |
小手毬の深きところに雀ゐて | かえる |
遠目なる樗の花の淡さかな | みのる |
青葉風歌声の響くサイトかな | えいじ |
空豆もここにいるよと上向きて | こすもす |
緑陰の仙人めきし気功翁 | あひる |
振り回すライトセーバー裸の児 | せいじ |
雨降つて休むことなし親燕 | えいじ |
ハレルヤと歌も聴こへる森涼し | えいじ |
結葉の明るき墓地に友眠る | むべ |
昨夜雨に色鮮やかや薔薇アーチ | こすもす |
玉葱畑ま白き首の傾ぐ列 | よう子 |
もう一年頑張る卒寿田植笠 | かかし |
若葉雨傘をくるりと下校生 | かかし |
七千歩ほどを気ままに避暑散歩 | せいじ |
下校児の甲高い声夏に入る | よう子 |
高空にさやぎやまずよ花樗 | みのる |
薫風や手作りの庭英国風 | こすもす |
銭湯の富士の壁画やラムネ飲む | かかし |
白百合の花粉こぼるる遺影かな | むべ |
保健師の書類重きや夏に入る | よう子 |
捕虫網振るたび逃がす三歳児 | ぽんこ |
2024年4月30日 | |
なに植えよ苗棚あふる夏野菜 | よう子 |
街路樹は新芽立つ茶や宇治をゆく | あひる |
うねりゆく若葉の宇治の流れかな | あひる |
途切れなく笑い声して飛花落花 | えいじ |
鐘楼の形に刈り込む青葉寺 | なつき |
一本の香る松月桜かな | えいじ |
木々を抜け澄み渡る鶯の声 | えいいち |
藤棚やお喋り止まぬ婆二人 | ぽんこ |
著莪の花ヘアピンカーブ休憩す | かかし |
参道にみな浴びてゆく新茶の香 | あひる |
金色の大阪城や花は葉に | かかし |
鳩の群風にさ揺らぐ藤の花 | ぽんこ |
車道いま躑躅に躑躅咲きつらね | むべ |
阿字池のさざなみと和す藤の影 | せいじ |
阿字池の洲浜を撫づる春の波 | せいじ |
海の綺羅飲み干すやうにソーダ水 | なつき |
終着駅迎へくれしは軒燕 | あひる |
森林のこぼれ日眩し薄暑光 | ぽんこ |
若葉雨木琴のごと車窓打つ | むべ |
海おぼろ島影浮かぶカフェの玻璃 | なつき |
葉桜や轍の跡のにわたずみ | ぽんこ |
新緑の池面に鯉の波紋かな | あひる |
山吹の黄に染まりたる石畳 | むべ |
ジャグリングする男の子あり春の土手 | せいじ |
車座の泰語にぎやか花の下 | えいじ |
魚鼓一打写経の墨に若葉風 | かかし |
波止の灯の等間隔に朧かな | みのる |
水満ちて燕旋回千枚田 | かかし |
藤の香の溢るる宮や能舞台 | わかば |
戴くは今期三度目やタケノコ | こすもす |
咲き満ちてほぐれば大輪緋の牡丹 | よう子 |
太公望竿を一閃風光る | みのる |
接ぎ木苗選びて籠に夏野菜 | よう子 |
夕朧教会の鐘風にのり | わかば |
あめんぼう風に促されて進む | みのる |
花筏大瀞を埋めつくしたる | みのる |
一雨にひらめく花弁夏近し | えいいち |
灰汁抜きはスマホで調べ蕗ご飯 | こすもす |
永き日の貫主なかなか俳句通 | みのる |
肩寄せるふたり見下ろす花満開 | えいじ |
一面の青葦原の匂ひ立つ | えいいち |
茶畑のこれみよがしに隣る駅 | せいじ |
幽玄と夜に浮かぶ蒲公英の絮 | えいいち |
豆飯の莢を剥きつつ妣のこと | わかば |
人も虫も甘き香の中藤白し | なつき |
頬撫づる風の温みや春惜しむ | えいいち |
新緑を抱くダム湖の赤い橋 | よう子 |
通勤の燕も通ふ無人駅 | よう子 |
山菜は戴きしものばかりなり | こすもす |
目力の阿吽の仁王若葉風 | かかし |
万葉の歌に詩心藤の苑 | わかば |
呼び鈴の藤房隠れ手探りす | むべ |
老朽のレンガ造りや苔茂る | ぽんこ |
末垂るる木香薔薇の万朶かな | むべ |
何もかも目覚める勢春の山 | わかば |
どすこいと孫の突つ張る花の下 | えいじ |
反橋を渡りて宇治の春惜しむ | せいじ |
赤髪の托鉢笠や青葉雨 | なつき |
2024年3月31日 | |
背伸びたとバスケに励む春休み | よう子 |
畦を塗る今年限りの卒寿翁 | かかし |
高齢のボランティアどち若布うどん | こすもす |
紫木蓮解き初む蕾天を指す | わかば |
春時雨朽ちし根株に深き洞 | むべ |
特急のよぎるホームに風光る | せいじ |
花すみれ歪む古刹の石段に | 康子 |
マカロンの箱に詰めたり染卵 | なつき |
潮の香の心地よきかな春の浜 | こすもす |
染み残す買い出しリュック春時雨 | よう子 |
ブナ林足許明かし射干の花 | ぽんこ |
湖霞茫漠となる伊吹山 | 隆松 |
かぎろひに頬染めてゐる春の雲 | えいじ |
大甍春日に反らす大伽藍 | みのる |
あんぱんに老母の機嫌や春うらら | あひる |
つぼ探る鍼灸師の手あたたかし | せいじ |
真青なる空を染めんと大ミモザ | 康子 |
機上の師も眺むるらむ朧月 | むべ |
鶯に口笛吹きて下校生 | かかし |
どの軒の樋もた走る雪解水 | よう子 |
機窓いま大東京の灯のおぼろ | みのる |
花冷や夫に日本酒供へけり | こすもす |
うつくしき開き初めたる白椿 | えいじ |
春寒し開花予想のずれ込みぬ | せいじ |
催花雨にうながされゆく並木道 | ぽんこ |
卒業の乙女ら浜にジャンプせり | なつき |
銭湯の暖簾おろすや春寒し | ぽんこ |
のどけしや犬の散歩に渡し船 | かかし |
白木蓮の花弁ぽたりと鵯の嘴 | えいいち |
犬呼べば春泥蹴つて横つ飛び | えいいち |
渋滞の花のトンネル朱塗橋 | なつき |
紅椿燃ゆる雑木の幹隠れ | 康子 |
落としたる洗濯ばさみクロッカス | よう子 |
春眠やディサービスをおサボりす | あひる |
紫木蓮暮色にくすむ山抱ふ | むべ |
月朧草書の文字で写経せん | かかし |
遅霜や赤茶け杉に差す朝日 | 隆松 |
子らの描く絵入りの由緒遍路寺 | なつき |
雫うけ小さき木の芽は玉の中 | えいいち |
牧師焼く種なしパンや受難節 | あひる |
球春やラジオが友と鍼灸師 | せいじ |
念願を貫き通し入学す | わかば |
切株の年輪へ射す春日かな | 康子 |
人の居ぬホームのベンチ春日占む | せいじ |
山越への鈴新しき遍路杖 | なつき |
小雨降る樹冠鈴なる春の鳥 | えいじ |
雨の日の著莪はこくりと俯けり | えいじ |
本堂の花頭窓射す若葉影 | むべ |
朝霞里へ薄日の谷の底 | 隆松 |
住人の変われど白木蓮の無垢 | あひる |
無番地の宿は砂浜春の波 | こすもす |
夜半の声聞けば烏の春の鳴き | えいいち |
久方に日光浴すたんぽぽ黄 | ぽんこ |
疎まるる杉の花粉の烟りかな | わかば |
俥夫はいま胸突古都の花の坂 | みのる |
春憂う樹も日競うとガイドいへり | えいじ |
木蓮や棚びく雲の山の寺 | わかば |
春嵐にざわめき軋む松並木 | 隆松 |
雨に透く日向水木の仄あかり | えいいち |
由緒ある鳥居にかかる初桜 | ぽんこ |
春の野に乳母車の児哺乳瓶 | かかし |
山茱萸の花けぶる谷戸小糠雨 | むべ |
建仁寺垣をこぼれて落椿 | みのる |
楼門へ翳す萌黄の若葉かな | みのる |
大寺の山門翳す若葉影 | 康子 |
書家の昼筆干す庭に麦青む | よう子 |
ニ十年着たるジャケツを知る人と | あひる |
包みゐし勢をはじく辛夷かな | わかば |
2024年2月29日 | |
梅の丘目路に淀川はるかなり | はく子 |
改修成る寺の大梁梅日和 | よう子 |
春寒や片頬欠けし狛狐 | 素秀 |
若僧のまだ生臭し梅の寺 | 素秀 |
春寒し税務署前の花壇見る | 隆松 |
紅梅を池辺に散らし鷺一羽 | 素秀 |
ゆるやかな磴百段の梅の宮 | はく子 |
大絵馬に影あはあはと枝垂梅 | なつき |
ゆるゆると杖を頼りの梅見坂 | 素秀 |
春寒や通ひ続ける鍼灸院 | 満天 |
梅の花紅白にある良き遅速 | わかば |
春寒しメールして置く届け物 | よう子 |
春寒や遅き変換パソコンに | 満天 |
梅真白仏頭祀る無住寺 | なつき |
集ひては持病の話春寒し | 満天 |
三世代手編み帽子で観梅す | かかし |
梅東風や水掛け牛の背乾く | なつき |
錆びし缶梅一輪の無人駅 | かかし |
春寒し駅舎のの字の轍かな | よう子 |
梅東風や伊吹の裾を流れ雲 | 隆松 |
梅の里旧街道の道祖神 | かかし |
堂屋根のしなる古寺の梅白し | なつき |
黒タイを緩め終電春寒し | かかし |
又一つ更地となりて春寒し | 満天 |
点滴を終へて窓辺の梅日和 | かかし |
祈願後の女梅見る天神社 | 隆松 |
探梅や母の手を引き背を押し | なつき |
はらからの相次ぐ葬や春寒し | はく子 |
卒寿刀自共に詣でて梅の宮 | はく子 |
春寒に声も震ふや明烏 | 隆松 |
白梅に募る追慕のあらたなる | わかば |
本堂の天井の闇春寒し | よう子 |
供花のなき力士の墓や春寒し | よう子 |
紅白の彩香を違へ梅の花 | わかば |
春寒や酸素足るるも脈が飛ぶ | 隆松 |
春寒し騒ぐ舞子の松林 | わかば |
春寒し讃岐うどんを啜りこむ | 素秀 |
寂しそうめじろ遊ばぬ宮の梅 | はく子 |
春寒や鴬張りの長廊下 | わかば |
青空に白のとけいる梅日和 | 満天 |
2024年2月22日 | |
父よりも母が達人独楽まわし | こすもす |
独楽廻す猫のパンチが二度三度 | かかし |
妹を泣かせて止まる暴れ独楽 | なつき |
大寒の日差しを通すサンルーム | 素秀 |
大寒の風を聞きつつ夜の熱 | 素秀 |
大寒の月の光を庭隅へ | 満天 |
大寒や丸まる背ナに孫の声 | かかし |
大寒の空に高舞ふ鳶かな | わかば |
老人会折紙独楽の作り方 | こすもす |
紐離れ独楽空中に廻りけり | 素秀 |
大寒の聞かぬふりする風の音 | 素秀 |
大寒や百段駆ける部活生 | かかし |
大寒の柏手響く神社かな | 満天 |
大寒の鉢に珈琲かす撒けり | なつき |
大寒の棺兄は花に埋もる | はく子 |
大寒の朝のみそ汁具沢山 | なつき |
喧嘩独楽手垢の紐の宙を舞ふ | よう子 |
大寒の瑞枝に尖る蕾かな | わかば |
大寒の荒れて高濤打つ巌 | わかば |
大寒を駈ける短パン元気つ子 | はく子 |
紐甘し右手へ左手へよろけ独楽 | 隆松 |
大寒の湯気ほのぼのと厨朝 | 満天 |
大寒や診療所の急階段 | よう子 |
大寒や押しくらの如猿の群れ | かかし |
独楽眠る方舟めける玩具箱 | 素秀 |
大寒や雲一片のビルの空 | 満天 |
大寒やコーヒーの木にうす埃 | なつき |
大寒やトートバックの重さ増す | よう子 |
大寒をマーガレットは咲き満つる | はく子 |
臥せし児の枕辺に置く木の実独楽 | わかば |
大寒の群で飛び立つ雀どち | 満天 |
大寒や顔を洗うに身構えぬ | 隆松 |
大寒や影の連なる歩道橋 | なつき |
大寒やモノトーンなる里の山 | かかし |
くるりんと逆立ちしたる独楽をかし | はく子 |
大寒や朝練の子の意気高し | よう子 |
大寒や暦通りの雪警報 | こすもす |
伊吹への残照淡し寒がはり | 隆松 |
手の甲へしっぺの如く独楽の紐 | 隆松 |
独楽回し女子遠巻きに囃しをり | よう子 |
飾り独楽いつの間にかの土の上 | わかば |
紐を巻くことから伝授独楽回し | はく子 |
大寒やホールインワン久々に | こすもす |
2024年2月22日 | |
父よりも母が達人独楽まわし | こすもす |
独楽廻す猫のパンチが二度三度 | かかし |
妹を泣かせて止まる暴れ独楽 | なつき |
大寒の日差しを通すサンルーム | 素秀 |
大寒の風を聞きつつ夜の熱 | 素秀 |
大寒の月の光を庭隅へ | 満天 |
大寒や丸まる背ナに孫の声 | かかし |
大寒の空に高舞ふ鳶かな | わかば |
老人会折紙独楽の作り方 | こすもす |
紐離れ独楽空中に廻りけり | 素秀 |
大寒の聞かぬふりする風の音 | 素秀 |
大寒や百段駆ける部活生 | かかし |
大寒の柏手響く神社かな | 満天 |
大寒の鉢に珈琲かす撒けり | なつき |
大寒の棺兄は花に埋もる | はく子 |
大寒の朝のみそ汁具沢山 | なつき |
喧嘩独楽手垢の紐の宙を舞ふ | よう子 |
大寒の瑞枝に尖る蕾かな | わかば |
大寒の荒れて高濤打つ巌 | わかば |
大寒を駈ける短パン元気つ子 | はく子 |
紐甘し右手へ左手へよろけ独楽 | 隆松 |
大寒の湯気ほのぼのと厨朝 | 満天 |
大寒や診療所の急階段 | よう子 |
大寒や押しくらの如猿の群れ | かかし |
独楽眠る方舟めける玩具箱 | 素秀 |
大寒や雲一片のビルの空 | 満天 |
大寒やコーヒーの木にうす埃 | なつき |
大寒やトートバックの重さ増す | よう子 |
大寒をマーガレットは咲き満つる | はく子 |
臥せし児の枕辺に置く木の実独楽 | わかば |
大寒の群で飛び立つ雀どち | 満天 |
大寒や顔を洗うに身構えぬ | 隆松 |
大寒や影の連なる歩道橋 | なつき |
大寒やモノトーンなる里の山 | かかし |
くるりんと逆立ちしたる独楽をかし | はく子 |
大寒や朝練の子の意気高し | よう子 |
大寒や暦通りの雪警報 | こすもす |
伊吹への残照淡し寒がはり | 隆松 |
手の甲へしっぺの如く独楽の紐 | 隆松 |
独楽回し女子遠巻きに囃しをり | よう子 |
飾り独楽いつの間にかの土の上 | わかば |
紐を巻くことから伝授独楽回し | はく子 |
大寒やホールインワン久々に | こすもす |
2023年12月31日 | |
冬ざるる高架となりし廃線路 | なつき |
暖炉前耳の垂れゐるうさぎ二羽 | 素秀 |
ストーブを囲み話の弾みけり | 満天 |
冬ざれや線路の脇の一軒家 | こすもす |
吊り橋に二の足踏むや冬ざれし | かかし |
歩道橋風の尖りて冬ざるる | 満天 |
陸奥のだるまストーブ懐かしき | わかば |
海峡の船影見えず冬ざるる | わかば |
日の燦とある日は暖房消しませう | はく子 |
冬ざれや廃線跡のケーブルカー | かかし |
ストーブの上に黒豆ふつふつと | はく子 |
冬ざれや空き地そのまま来年も | たか子 |
冬ざれやとみに増したるもの忘れ | はく子 |
足元に豆ストーブの美容院 | なつき |
夫の癖忘れ行く日の冬ざるる | たか子 |
するめ焼くストーブ列車山峡へ | たか子 |
ストーブに旅装それぞれ商人宿 | 素秀 |
ぽちぽちと真夜に買物暖炉燃ゆ | なつき |
山小屋の薪整然とうず高し | たか子 |
冬ざれや振り向く猫と目の合いぬ | よう子 |
ストーブの窓に確かむ焼き林檎 | うつぎ |
冬ざれや川筋の葦風に鳴る | うつぎ |
恙無き一日に安堵煖炉燃ゆ | かかし |
ストーブの温めてゐる写経堂 | なおこ |
ストーブも無くて火鉢に暖取りし | たか子 |
遠山の見慣れし景も冬ざるる | 満天 |
冬ざれや医院建つてふ札傾ぎ | なつき |
淀は滔々冬ざれの河川敷 | はく子 |
冬ざれの始発列車の灯しかな | 小袖 |
ストーブを背に居眠りの電話番 | よう子 |
ストーブに濡れた手袋靴を乾す | わかば |
酒蔵の道冬ざれの波止場まで | よう子 |
冬ざれの河川敷行く水際まで | はく子 |
ストーブのワイングラスに乾杯す | 満天 |
峠越へ冬ざる村の野菜買ふ | よう子 |
三十年動くストーブ娘は母に | こすもす |
海峡の逆波立ちて冬ざるる | うつぎ |
冬ざるる軽トラの菜の売れ残り | よう子 |
鈍色の雲灰色の海冬ざるる | わかば |
父の椅子今も暖炉の定位置に | うつぎ |
風強きからぶ小川の冬ざるる | わかば |
手かざせば赤き輪郭暖炉の火 | 素秀 |
冬ざるる転がる空き缶音高し | 満天 |
竹箒払ふ古墳の冬ざるる | 素秀 |
冬ざれや卒寿と古希の親子かな | こすもす |
ストーブを燃やし喧嘩の夫待てり | なつき |
白うさぎ褪せたる絵馬の冬ざるる | 素秀 |
冬ざれやモノトーンなる過疎の村 | かかし |
現役のストーブ九十一年製 | こすもす |
冬ざれや煌々と月あるばかり | うつぎ |
冬ざれにダークカラーの帰宅びと | なおこ |
烏賊の香の達磨ストーブ北の果て | かかし |
2023年11月30日 | |
白菜の売らるる白き尻並べ | うつぎ |
白菜を刻み浅漬け一人分 | はく子 |
雅楽の音低く流れて神の留守 | 小袖 |
神の留守無断駐車のお散歩カー | もとこ |
高垣の白菜畑杣の家 | よう子 |
白菜の漬物石は子に重し | わかば |
平和へと行脚されたし神の旅 | たか子 |
乱切りの白菜の音ハミングす | かかし |
箒目につけし足跡神の留守 | なつき |
神の留守子はポケットに石詰めて | なつき |
定番の白菜鍋やみんな好き | こすもす |
白菜の日に輝きて河川畑 | 素秀 |
頂きて白菜一つの重さかな | はく子 |
柏手も鈴も大きく神の留守 | はく子 |
くぐもれる土鳩の声や神の留守 | かかし |
奉行から合図待ちたる山白菜 | もとこ |
湯殿山流れを止めぬ神の留守 | わかば |
渓谷の倒木真白神の留守 | よう子 |
行儀良く白菜鍋のミルフィーユ | たか子 |
神の留守橋に立つ吾のうすき影 | なつき |
大木の伐り倒しする神の留守 | もとこ |
箒目の美しき庭神の留守 | 満天 |
どの木木も鳥語賑やか神の留守 | 満天 |
欄干無き橋渡りませ神の旅 | よう子 |
神の留守広前貸して古本市 | 満天 |
煮あがれば白菜の嵩これだけに | たか子 |
白菜は八分の一ひとり鍋 | こすもす |
刃を入れて大白菜をサクッと切る | 満天 |
五キロ超へ白菜に笑む老農夫 | かかし |
小流れに白菜洗ふ泥の色 | 素秀 |
白菜を包む千秋楽の新聞 | こすもす |
外海へ鳶遠ざかる神の留守 | 素秀 |
白菜の山崩れさう道の駅 | うつぎ |
妣漬けし白菜の味忘られず | わかば |
白菜は四分割と決めて買う | たか子 |
寺参りばかり三箇所神の留守 | こすもす |
白菜の中の青虫丸まりて | よう子 |
白菜や何はなくとも存在し | もとこ |
にぎやかに白菜を切る異国人 | 素秀 |
氏神の灯りて空つぽ神の留守 | うつぎ |
手づからの白菜キムチ届く頃 | うつぎ |
白菜の何しても合う甘味かな | たか子 |
緩く巻く白菜を手に買ひあぐる | なつき |
白菜の漬物石のオブジェ化す | もとこ |
氏子らは合祀の話神の留守 | 素秀 |
よちよち歩きの十ヶ月の子神の留守 | こすもす |
白菜の粗塩舐めて漬け始む | よう子 |
神留守の今日も人見ず氏神社 | はく子 |
御手洗に小雀遊ぶ神の留守 | 満天 |
御手洗の水音澄める神の留守 | うつぎ |
神留守の誰彼詣で七五三 | はく子 |
傘寿祝ぐ絵馬の桧の香や神の留守 | なつき |
白菜を漬けて水あぐ頃となり | わかば |
生産者名の白菜道の駅 | かかし |
不揃ひの白菜積みて無人店 | かかし |
力石でんとかまへて神の留守 | わかば |
2023年10月31日 | |
時々は雨に邪魔され後の月 | こすもす |
後の月火の見櫓の構えるへ | はく子 |
末枯の土手の日溜りもぐら塚 | なつき |
愛でる声まんまるまるく十三夜 | 小袖 |
末枯や高架なるてふ廃線路 | なつき |
山頂の灯の呟ける十三夜 | うつぎ |
門に立ち仰ぐみ空や十三夜 | わかば |
すれ違ふケーブル軋む末枯れ山 | よう子 |
末枯や人差し指の油染み | 素秀 |
再検の結果に安堵後の月 | かかし |
末枯やとどきはせぬも空真澄 | 素秀 |
山の端にゆったり出でし十三夜 | 満天 |
山河みな息を止めたる十三夜 | うつぎ |
研修を終へ報告書十三夜 | よう子 |
漁火の沖に光りて後の月 | わかば |
熱の子を胸に抱きて十三夜 | なつき |
末枯や夕潮川辺浮かべをり | わかば |
末枯の先ず始まりし鉢ひとつ | あひる |
膝裏を風立ち上ぐる十三夜 | 素秀 |
嵐去る空に潤みし後の月 | あひる |
恙なくひと日終えるや後の月 | 満天 |
末枯てなほ隆々の大欅 | うつぎ |
釣狐月見て啼くや十三夜 | 素秀 |
夕づきて鴨川堤末枯るる | はく子 |
手で払ふ野の末枯の軽さかな | 小袖 |
芝居はね電車の窓の十三夜 | よう子 |
我影と連れ立ちて行く十三夜 | 満天 |
引っ越しの友の家跡末枯るる | なつき |
暮れなずむ山の端出でし後の月 | 小袖 |
コンビニに振り込み済ませ十三夜 | 小袖 |
外に待たん名残の月を見るまでは | せいじ |
旅の途の湖上に孤高後の月 | はく子 |