句会に参加するための心がけです。
テレビ番組のプレバトなどでは兼題で詠むスタイルが多いですが初心者にはあまりお勧めできません。
俳句は文芸(詩)ですから心に響いた感動や喜び、驚きを十七文字に写しとるというプロセスで詠むのが基本です。
兼題はやもすると頭で考えた作品になりやすく初心者がこれを真似ると悪い癖がついて上達の妨げになるからです。
自由題というのは、兼題に対応した分類で、「当季雑詠」という言い方のほうが一般的です。
季語はいまの季節(つまり当季)から選びますが、テーマは何でも自由(雑詠)という意味です。
当季厳守とされる指導者もまれにおられますが必要以上に神経質になることはなく、真冬に真夏の句を詠むというような極端な作品を詠まない限り許容されます。
句会に参加するときに最低限持っていた方がよい物を説明します。
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句帳:詠んだ句メモするもの。手作とか使い古しの手帳とか何でもよい。
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大学ノート:選句作業をするときに予選句を書き留めておくのに必要です。
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小型の国語辞典:分からないことば直ぐに調べるようにしましょう。
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歳時記:最近は季語も載っている小型の電子辞書を使われる方が多いです。
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筆記用具:短冊や清記は太いサインペンがよく、視力の弱い人に配慮して太く丁寧に書くのがマナーです。
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全員に短冊(出句の数だけ)と白紙(A4程度)を2枚配ります。1枚は清記用、もう1枚は選句用です。
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句会のルールとして、出句5句、選句5句という具合にあらかじめ世話役が宣言しておきます。
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10人程度の句会であれば、この数が標準です。馴れてきたら7〜10句にしてください。
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選句用紙には、右端に「浦島太郎選」というふうに縦書きで名前を書いておきます。清記には何も書きません。
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選句用紙は、選句作業が終わるまで必要ないので机の下などに退避しておく方がいいでしょう。
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選句中は、別途用意したノートに書き写していき、最後に選句用紙に清書します。
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短冊に番号は要りません。書き終わった短冊は、あらかじめ指定された場所に出句します。
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出句した短冊は、1枚ずつ20センチ間隔ぐらいにわけて横一列に並べておきます。
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短冊は上へ重ねて置いていくので、5句出句であれば5つの短冊の山が出来ることになります。
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あらかじめ出句〆切時間を決めておきます。時間厳守することは当然の義務です。
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通常は〆切時間の5〜10分まえまでに出句を終えるのがマナーです。
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〆切5分前になったら、「出句〆切5分前です。」と世話役がアナウンスし遅れている人を促します。
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全員が出句を終わったら、右端から短冊の山をとり左隣の山に重ねます。
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順次左端まで重ねていって最終的に一つの束にします。
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このようにすることで、同じ作者の短冊が連続して配られることが避けられます。
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全ての短冊を束ねたら、上から順番に出句数に応じて短冊を配布していきます。
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どこから配ってもいいのですが、指導者がいるときは指導者から配りはじめます。
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短冊が配布されたら、あらかじめ配られた清記用紙に短冊の句を清記していきます。
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太く大きい字で、句と句との間隔も適切にとり見やすく書きます。
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短冊の字が明らかに間違っている場合以外は、短冊に書かれたとおりに清記します。
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勝手に略字に変えたり、ひらがなを漢字に変えたりなどしてもいけません。
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送り仮名やかな使いが間違っていると思ってもそのまま書きます。
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明らかな間違いで短冊の作者が特定できそうな場合に限って、こっそりと確認してもいいでしょう。
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短冊の書き間違いは本人の責任ですが、間違った内容で清記した場合は清記した人の責任です。
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これら一連の作業を「清記する」といいます。またこの用紙のことを「清記用紙」呼びます。
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短冊の句を清記することで筆跡が隠され誰の作品かが分からなくなります。
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5句選だからといって初めから5句に絞って選ぶことは無理です。
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まずは自分が用意したノートに少し多めに抜き取って予選していきます。
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全ての句を書き写そうとすると時間がかかりすぎて他のメンバーの迷惑になります。
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選句数の3倍程度(15句)を目安に予選し、その中から最終のベスト5に絞ります。
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仮に清記が10枚として、平均1枚に1句予選すると10句、1枚に2句予選すると20句です。
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ですから1枚に付き1~2句抜き取るというのが予選の目安の数になります。
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予選句をノートに書き写すときは、1行ずつ空行を開けて書いておくと便利です。
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分からない言葉の読み方や意味を調べて書き添えたり、指導者選の添削結果などをあとから書きたせるからです。
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頃合いを見て、指導者が「1番」と声を出し自分の書いた清記の右肩に「1」と大きく書きます。
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指導者を起点に時計回りに次の人が「2番」と声を出し、自分の清記用紙右肩に「2」と書きます。
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3番以降も順番に声を出して、それぞれ清記に番号を付していきます。
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最後の人は、たとえば10人であれば、「10番止め」と声を出し清記用紙右肩に「10止メ」と書きます。
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指導者不在の句会では、世話人もしくは最長老を番号の起点にするといいでしょう。
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清記番号を書き終わったら、その中から良いと思う句を選んで予選ノートに書き写します。
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予選し終わった清記は、自分の右手側の人に回します。つまり反時計回りに回していくのです。
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スムーズな進行を保つために自分のところで清記が渋滞しないように注意しましょう。
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清記は裏向けにして右隣へ回すのがマナーです。きちんと番号通りに回すことも重要です。
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もし清記を3枚以上たまる場合は、自分の選句作業が遅いのだということを自覚しましょう。
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いろいろ考えて選ばないで直感で選びます。気になる句はとりあえず写しておけばいいのです。
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清記が滞らないためにも選句中に歳時記や辞書で調べるのは最低限にします。
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ベテランメンバーは、常に気配りし、おかしいと思ったらやさしく注意して下さい。
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すべての清記がまわって予選が終わったら、その中からベスト5に絞ります。
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控えてある作品の中から、行頭に○印をつけて10句程度にまで絞り込みます。
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更に一番良いと思う順番に◎に変えてゆき最終5句に絞るのです。
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最後に、初めに用意してあった選句用紙(名前を書いた用紙)に最終の5句を清書して披講子に提出します。
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披講子が披講を始めたら私語をやめ、余計なことを考えないで集中して耳を傾けます。
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自分の句が読み上げられたら、間髪を置かず名乗りを上げます。
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名乗りが遅れるのは披講子に対してとても失礼な行為とされています。
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誰がどんな句を選んでいるのかと耳を研ぎ澄まして披講を聞く姿勢が大切です。
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「え〜、はい私です」「梅子です」というような名乗りではなく、「太郎!」「梅子!」と一声で名乗ります。
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タイミング良く名乗りの声が上がらないと披講子の調子が狂い、句座の雰囲気を壊してしまいます。
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指導者選の場合は、添削で直されている場合もあるので、とくに注意して聞きましょう。
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「もう一度お願いします」というような割り込み発言をすることは禁止です。あとから確認すればいいのです。
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集中していれば添削されていても自分の作品であることは分かります。躊躇せず自信をもって名乗りましょう。
俳句は座の文学ともいわれ、句会は、コミュニティー、社交場でもあります。
参加者同士、ひとことも言葉を交わすことなく退席するのではなくて、互いに存問の言葉をかけあって交わりましょう。
結果に執着する余り、成績がふるわないと不機嫌になって寡黙になる人もまれに居ます。逆に好成績に有頂天になって誰彼構わずハイテンションに接して喜ぶというのも大人げないです。
謙遜に思いやりと祈り心を持ってよき交わりを育みましょう。このようにして培ったよき人間関係はやがてあなたの宝物になります。
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