吟行が苦手だというあなたのために秘訣を教えます。
吟行が苦手だというあなたのために秘訣を教えます。
筆記用具は予備も含めて複数持っていくようにしましょう。
みのるは、吟行時に紛失しないように首紐のついた赤黒二色ボールペン(メモは黒、推敲は赤)を愛用しています。
書店で探せば季語が載っている専用の句帳も売っています。
でも使い古しの手帳とかメモ用紙を小さく切ってホッチキス止めしたような自作の句帳とかでも構いません。
句帳に文字を書くときの注意は、ぎっしり詰めて書くのではなく、あとで推敲するときのために句と句の行間スペースをたっぷり取っておくと便利です。
ポケットサイズの季寄せを一冊持っていると便利です。
歳時記や小型の国語辞典とかもあれば便利ですが、吟行に携行するには重く、最近は電子辞書やスマホを使う人が多いです。
不案内な吟行地の場合は簡単なガイドブックや案内図などもあったほうがいいです。
その他大きめのビニール袋(汚れたところに腰掛ける時や臨時の雨合羽にもなる)、大きい目のハンカチ・・等々
荷物は最小限に、できるだけコンパクトにして体に負担のかからないようにします。
句会に必要な文房具、辞書その他重いものは別にまとめてコインロッカーなどへ預けておくのが賢明です。
吟行地と句会場が近いときは先に句会場に立ち寄って荷物が預けられると助かります。
動きやすくて疲れない服装が一番です。
一張羅を着て汚れるのを気にしながら吟行している人がありますが集中できないので良くないです。
天候や気温が急変したりするので、季節に応じたカーデガンを一枚持っていると調整がききます。
大型のビニール袋は敷物代わりになりますし、大きめのハンカチ、スカーフなども応用がきくので持っておくと便利です。
一番のお奨めは運動靴やジョギング用のスニーカーです。晴雨兼用の軽いトレッキングシューズを愛用する人も増えています。
当然ながら堅い革靴とかハイヒールなどは避けた方がいいです。
たすき掛けできるショルダーバックが一番お奨めです。
女性の場合はどうしても荷物が多くなるので、小型のリュックとウエストポーチの組み合わせが便利です。
ようは両手が空になるようにするのが秘訣です。ハンドバッグ、手持ちカバン等は吟行向きではありません。
気心の知れた仲間と数人で吟行するのはとても良いと思います。但しおしゃべりがすぎないように注意します。
マイペースを守りたい人は群れから離れて1人で吟行する方がいいでしょう。気遣いのいる人と一緒に吟行しても句はできません。
吟行途中で仲間に出会っても軽く会釈をする程度で相手の作句の邪魔をしないように配慮するのがマナーです。相手が気づいていないときは無理に声を掛ける必要はありません。
あちこち欲張って移動すると集中できません。ここだと感じたらその場所を動かないで頑張るのが一番良い結果が得られます。
人通りの多いメイン順路よりも裏ルートに案外よい句材が落ちていますから見逃さないように探しましょう。
吟行経験を積むと句の拾えそうな場所を嗅ぎわける感も養われます。
上級者がどんな処で句を作っているかをこっそり後を付けて勉強するのも一策です。
漫然と歩き回っても句は拾えません。まず季語を見つけましょう。そしてその季語で作るようにします。
同じ季語でもいろんなバリエーションがありますから季寄せなどでチェックしながら作句します。
草花や木々、鳥や虫などの小動物だけが季語ではありません。
人の動き、空や雲の様子、山川池湖などの表情等々、視野を広げて季語を探します。
動物園だから動物、植物園だから植物、墓地だから墓碑…というように場所との関連にこだわって句材を限定すると失敗します。
吟行しながら一句づつ仕上げていく…これは天才の技です。
未完成でも気にすることはなく、見たり感じたことを何でも全てメモしておきましょう。
大事なのは、できるだけ具体的に情景をメモすることです。後で推敲しているときに突然ひらめくと言うこともあるからです。
の一泊鍛錬会では、10句出句の句会を4回、合計40句を詠みます。
この程度で驚いてはいけません。昔の鍛錬会というのは1時間ごとに10句の句会を一晩で数回繰り返したという話を聞きました。
なぜ、こんなことをするのでしょうか。
1時間で10句揃えるには想を練ったり季寄せを調べている時間はありません。とにかく直感でパッと詠むという訓練なのです。
移動は時間のロスなので、ここと決めた処で動かず忍耐して詠みます。こうした修練を積むことで集中力と直感が養われるのです。
佳い句を詠むとか内容とかは二の次、厳守しなければならないのは次の二つだけです。
吟行の苦手意識を払拭するにはこの多作訓練法が最も効果的です。
初心者は、出句が五句と決められたら必死に五句を詠むことに全精力を傾けます。
ところが五句詠み終えると、ひと安心してしまいあとが続かない。これでは吟行を愉しむというより苦行になってしまいます。
ではどうするか、実際にぼくが取り入れている方法を公開しましょう。
吟行後の句会で出句が5句であれば、最低でもその2倍、できれば3倍の15句詠むことを目標にします。
多作の習慣がついていれば10〜15句は問題ではありません。すべてが佳句である必要はないからです。
最終的にその中からベスト5を選ぶのです。一句一句を仕上げようと苦吟して5句揃えるよりこの方が遙かに楽です。
独りで吟行に行くときも、
30句詠むまでは帰らない"
という目標を自分自身に課してできるだけ目標に近づくように頑張ります。佳句を詠もうという意識を封印してひたすら多作です。
まずこの方法を半年続けてみて下さい。成績に執着しない限り句数を揃える事への恐れはなくなります。
一句も詠めなかったらどうしよう…
と心配して、安全パイとして予備の句を句帳に書いてこられる方があります。
じつはこれが一番の弊害なのです。
手持ち句があるという安心があるので、虚ろに移動するばかりで集中して必死に句作することができません。
最終的には何とか詠めた1、2句と手持ち句を足して出句することになります。
メンバーの個性を知る選者なら吟行で詠まれた作品か否かは直ぐに見分けられます。
この悪習慣から抜け出さない限り、ほんとうの吟行の楽しさを知ることはできません。
吟行地が決まると情報を集めたり資料を読んで予備知識を備えます。
その土地の風土や歴史を予習していくこはとても有用なことだからです。でもそうした予備知識をもとに句のイメージまで作り上げてはいけません。
なぜなら有名な吟行地の風土や歴史に立脚した句は既に詠み尽くされているので、類想になることが多いからです。
誰もが詠みそうな題材は避けて自分しか発見できないような対象を探しましょう。
予習は予習とわりきって白紙でのぞむ方が新しい発見に出会える確率が高いです。
このような先入感に縛られて執着するとせっかくの出会いを見落としてしまいます。
能勢吟行で黒川の里の炭焼を見学したときも炭窯や炭焼きを詠もうとすると意外と難しかったですね。
結果、炭焼の佳句は少なく道中の春泥や行者道、猪が出没するという冬河原で佳句をものにされた方が多かったです。
これが吟行の一期一会なのです。
見処の多い場所は、吟行向きではありません。目移りしてあちこち移動し結局は表面的なスナップショットの句しか詠めません。
吟行は観光ではないということを覚えて欲しいです。
多作が達成できたら句帳には未完成の作品がたくさん残っているはずです。これらを見なおして推敲するのです。
冷静に作品を見直すことでことばの配置を換えた方がよいと気づいたり、句会の時には思いつかなかったような措辞に気がつくということもあります。
他のメンバーが詠んだ作品から学ぶことも多いはずです。
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