やまだみのる

教会では来週から【待降節】に入ります。

聖歌隊は、クリスマスイベントのための特訓がいよいよ本格化します。今日の練習では、専門の声楽の先生が指導に来てくださいました。その中で、先生が「心を無にして歌う」というお話しして下さったのですが、なんと俳句にもぴったりのお話でした。

「どう声を出そうか、どう口を開けようか…などと考えず心を無にして普通におしゃべりするような口の動きで歌いなさい。」

発生練習や基礎知識の学びも必要ですが、本番で歌うときにはまったく無になって自然体で歌う。専門家はその訓練をするのだそうです。

俳句にもあてはまります。心を無にして自然体で対象に対すること、やがて対象物の方から語りかけてくるまでひたすら待ち、それを捉えることが大事なのです。欲張って頻繁に動き回ってはいけないといわれるのはそう言う意味なのです。

頭で考えて句を作るのは疲れます。知識や経験が増えて行くほどに余計にあれこれ考えてしまうので結局は壁にぶち当たって挫折します。吟行が苦手…という方は、ぜひ心を無にして対象物からの語りかけを待つという訓練をしてみてください。

近くの公園や家の近所の散歩で良いのです。俗事のすべてを忘れ心を無にして対象に集中することから始めてみてください。初めは句が授からないこともあるでしょう。そんなことは一切気にせず黙々と訓練してみて下さい。必ず変わってきます。

「作句の壺」のような内容になってしまいましたが、声楽の先生のお話に納得しながら思いついたことを書いてみました。

(2002年11月24日の日記より)