みのる選:2024年10月度
2024年10月25日 | |
金継ぎの線なぞりゆく秋思かな | 澄子 |
紅萩をふるはす門の軒しづく | なつき |
庄屋門臥龍の松の色変えず | ぽんこ |
ゴブランを地に織るごとし柿落葉 | むべ |
草刈機うなる小道を朝散歩 | よし女 |
秋の日を弾く御室の金襖 | せいじ |
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2024年10月24日 | |
火祭や鞍馬の夜の底燃やす | 山椒 |
渋柿と大き札たつ無人店 | 康子 |
一と匙の粥は新米離乳食 | 康子 |
目薬の一滴鰯雲滲む | むべ |
秋澄むや染付皿の深き青 | 風民 |
一夜さの風に散り果て柿紅葉 | うつぎ |
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2024年10月23日 | |
こぼれ敷く小さき十字花金木犀 | あひる |
田の神さあ刈田の風に吹かれをり | うつぎ |
朝まだき雲なき空に月高し | えいじ |
こすもすの風の迷路にあそびけり | 澄子 |
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2024年10月22日 | |
百体の子授け地蔵花野道 | 風民 |
露一つづつが返してゐる朝日 | うつぎ |
猪除けのフェンス甲斐なし夜半の畑 | 千鶴 |
庭の灯の点れば浮かぶ銀木犀 | あひる |
小夜時雨間遠となりぬ貨車の音 | むべ |
彫深き十六羅漢紅葉雨 | なつき |
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2024年10月21日 | |
払はれし電話ボックス残る虫 | うつぎ |
忘れもの取りに来たのか秋の蝶 | 明日香 |
読み終へて余韻に浸る夜長かな | むべ |
みどり児の眠りに落ちて星月夜 | あひる |
蟷螂の鎌にたじろぎ猫パンチ | みきお |
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2024年10月20日 | |
デイサービス秋思もて乗る送迎車 | よし女 |
雨しづく真赭の糸に珠となり | むべ |
宣誓は白寿の母や運動会 | あひる |
夕日背に豆打つ母の影法師 | みきお |
刈田はや測量杭の打ち込まる | うつぎ |
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2024年10月19日 | |
雑踏の中の孤独や秋時雨 | うつぎ |
落暉より発したるやに鰯雲 | せいじ |
降り出して雨足白し萩の宮 | なつき |
秋天下ひたすら歩くニューシューズ | たかを |
神木に触るる皺の手秋さぶし | なつき |
2024年10月18日 | |
蒼天へ秋風描く羊雲 | 明日香 |
静けさや秋気溶け入る禅の庭 | 山椒 |
牧柵の途切れてポプラ秋の風 | むべ |
ひんがしの山まで染めて秋夕日 | はく子 |
広芝に大の字となり秋の人 | 康子 |
オブジェとも生け花展は秋催ひ | たか子 |
故郷の香りを載せて林檎来る | きよえ |
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2024年10月17日 | |
里山の森に木霊す添水かな | みきお |
大病に克ちたる友と星月夜 | 千鶴 |
秋天へ本茅葺のうだつかな | 明日香 |
杉落葉しがらみとなり飛鳥川 | 明日香 |
芋の露小さき宇宙を閉じこめて | やよい |
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2024年10月16日 | |
収穫を終へたる村の秋ともし | 風民 |
秋さぶや古りしサイロの赤煉瓦 | むべ |
日に透けて軒端彩る吊るし柿 | みきえ |
徳利の底でうべなふ温め酒 | ほたる |
後の月隠して雲の華やげり | やよい |
アトリウムチェロの響きて秋気澄む | 康子 |
炊き上がる新米の香に目覚めけり | ほたる |
佇めば呂律を奏づ秋の川 | 明日香 |
夫の忌を修せば秋の深まりぬ | たか子 |
雨戸閉ず月に別れを惜しみつつ | あひる |
御旅所の籬となりて曼珠沙華 | よし女 |
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2024年10月15日 | |
客人を見送り仰ぐ十三夜 | 澄子 |
おしゃべりの喉を潤す蜜柑かな | きよえ |
山寺の回廊にさす紅葉影 | もとこ |
三栗のいつも押されている真中 | 風民 |
弟妹の一人かけたる十三夜 | ほたる |
四ツ辻は殊にゆるりと秋祭り | たか子 |
掘割に桜紅葉の散る夕べ | 幸子 |
畦道へ触るるばかりに豊の秋 | 明日香 |
万葉歌碑巡るサークル秋澄めり | やよい |
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2024年10月14日 | |
そつと手をさしだしつなぐ虫の夜 | なつき |
号砲は村の鎮守の秋祭り | よし女 |
芒原あかがねに染む落暉かな | むべ |
大原女の過ぐれば菊の香りけり | 智恵子 |
福耳のはみ出す帽子小春風 | みきお |
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2024年10月13日 | |
松手入女庭師の赤鋏 | たか子 |
秋天の高さ広さよ鳶一羽 | むべ |
御朱印に列なす人や初紅葉 | 山椒 |
海峡に水尾幾筋や秋澄みぬ | 千鶴 |
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2024年10月12日 | |
究極の安定感や芋の露 | 千鶴 |
牛描く田んぼアートは古代米 | なつき |
キャンパスに獣道あり蝦夷の秋 | むべ |
ふたかみの天辺かくす片時雨 | 明日香 |
草紅葉分け入りすすむ杣の道 | 澄子 |
道ゆきの祠に供ふ木の実かな | 澄子 |
2024年10月11日 | |
しもた屋の細き露地より弓張月 | ぽんこ |
朝寒や掬す手水のほのぬくし | やよい |
秋さやか牧に散らばる放牧馬 | 澄子 |
鯉跳ねて映る水面の天高し | ほたる |
燈火親し遺句集読みて汝れ偲ぶ | ほたる |
ひと揺れに進むゴンドラ秋気澄む | 幸子 |
墓山を埋め尽くさんと曼珠沙華 | 愛正 |
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2024年10月10日 | |
雲海を抽んでて見ゆ富士山遥か | むべ |
苑の萩愛づ短冊のホ句もまた | あひる |
爽涼や海風届く天守閣 | 千鶴 |
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2024年10月09日 | |
明日香路の畦といふ畦彼岸花 | 明日香 |
神宮の玉砂利踏めば音さやか | 山椒 |
長き夜の思考迷走してやまず | たか子 |
茹でたての枝豆つまむ厨妻 | むべ |
ハングライダー風の翼のごと撓む | ほたる |
深秋や生家を守り独り住む | 千鶴 |
参道のいつしか濡れて萩の雨 | あひる |
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2024年10月08日 | |
残る虫かつてたばこ屋ありし辻 | 幸子 |
千年を湧き継ぐ水の澄みまさり | あひる |
庭涼し作務衣の僧の京言葉 | せいじ |
碑に防人歌や荻の声 | むべ |
桐下駄の軽き音して秋湯治 | 千鶴 |
曼珠沙華焼杉塀の裾綴る | 康子 |
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2024年10月07日 | |
萩こぼる宮名水に口漱ぐ | はく子 |
松手入れ終へて梢に透く美空 | 康子 |
露地さやか亀甲竹の塀つづく | むべ |
鯛焼きの小豆は地産朝の市 | なつき |
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2024年10月06日 | |
棋士はいま思案投首秋扇 | あひる |
諸鳥の零れ落ちくる刈田かな | やよい |
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2024年10月05日 | |
肩こりを忘れ一途に栗を剥く | うつぎ |
豊秋の青海波なす畔を行く | あひる |
2024年10月04日 | |
双蝶のひそひそ話藤袴 | うつぎ |
鯛一尾丸ごと炊けり今年米 | 千鶴 |
掃くもよし掃かざるもよし溢れ萩 | 澄子 |
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2024年10月03日 | |
小鳥来る聖書輪読せる窓に | あひる |
古書店の奥の奥まで秋日射 | みきお |
気遣ひの杖の置かれし登山口 | 千鶴 |
参道の左右を綴る曼珠沙華 | 澄子 |
石鎚の峰より発し川澄めり | 千鶴 |
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2024年10月02日 | |
うち仰ぐ峡の棚田の稲架襖 | せいじ |
風通ふたびに掃かるる萩の屑 | むべ |
横抱きに運ぶ案山子の軽さかな | なつき |
草の花あひ持ち寄りし茶会かな | 康子 |
水澄むや水輪の主は何ならむ | やよい |
笑む顔も泣き顔もある案山子かな | むべ |
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2024年10月01日 | |
異国語の客に梨剥く朝市女 | なつき |
秋天に槌音たかく宮普請 | 澄子 |
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2024年09月30日 | |
教会の尖塔高く鳥渡る | 幸子 |
蟷螂の見得きるごとき構へかな | 明日香 |
秋の雲串刺しにせる飛行雲 | やよい |
風通ふ稔田捨て田隣りあひ | むべ |
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2024年09月29日 | |
虫の音に一句もがなと長湯かな | うつぎ |
象の鼻滑る遊具や木の実降る | なつき |
百幹のさざめきやまぬ竹の春 | 澄子 |
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2024年09月28日 | |
舞へるとも吹かれをるとも秋の蝶 | 風民 |
秋の蚊に刺される儘に庭仕事 | うつぎ |
団欒の灯の洩る路地や虫の声 | 康子 |