みのる選:2024年8月度
2024年08月23日 | |
他人に聞く亡夫の逸話や長き夜 | むべ |
秋風や荷台に覗く子牛の眼 | よし女 |
くるくると回る子犬や群とんぼ | 康子 |
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2024年08月22日 | |
子が覚えチャーハンつづく夏休み | なつき |
蜻蛉の伴走うれしペダル漕ぐ | せいじ |
上段に構へ蟷螂たじろがず | 澄子 |
通されて暫くひとり夏座敷 | うつぎ |
秋桜風車の丘を埋めけり | はく子 |
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2024年08月21日 | |
鯉の池錦沈めて水澄みぬ | 澄子 |
神職の一人は女白芙蓉 | よし女 |
爽やかな風にカーテン膨れけり | えいじ |
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2024年08月20日 | |
水菓子に添へて一茎吾亦紅 | 澄子 |
秋天を袈裟がけに切る飛行雲 | ぽんこ |
モノレール窓に満月ついてくる | かえる |
ふしくれの指が繕ふ菊人形 | みきお |
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2024年08月19日 | |
子ら去にて伽藍堂なる冷蔵庫 | あひる |
一両車大き弧を描く青田かな | うつぎ |
縦横に闇夜切り裂く稲光 | むべ |
雑踏をおろおろ歩む残暑かな | 澄子 |
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2024年08月18日 | |
去ぬ孫ら見送りてより昼寝かな | あひる |
蒼き舌赤き舌見せかき氷 | むべ |
連発の余韻の煙花火果つ | うつぎ |
西窓のゴーヤ小さきまま爆ぜる | なつき |
月の出にまだ灯さずにゐる書斎 | 幸子 |
ジャズ流るレトロ喫茶やかき氷 | 山椒 |
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2024年08月17日 | |
葬終へて香匂ふ髪洗ひけり | 康子 |
校長のうしろ手に佇つ秋風裡 | 幸子 |
2024年08月16日 | |
受け取れば予期せぬ重み黒葡萄 | あひる |
ふくよかな腹で踏ん張る茄子の牛 | 康子 |
安産を願ひ新藁牛小屋に | みきお |
正午いま半旗だらりと終戦忌 | かえる |
鰯雲貫くやうに飛行雲 | 智恵子 |
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2024年08月15日 | |
吹き渡る風の甘さよ葡萄畑 | 風民 |
下ろされて這ひ這ひはやし夏座敷 | なつき |
マネキンを脱がせて買いし夏セール | あひる |
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2024年08月14日 | |
逃げ場なき信号待ちや早稲匂ふ | うつぎ |
この歳になればわかると生身魂 | 明日香 |
花火師の海を見ている昼の顔 | よし女 |
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2024年08月13日 | |
秋灯や棺の母に紅をさす | 康子 |
郷里より盆供にせよと早場米 | うつぎ |
隣家より漂ふ苧殻焚くにほひ | むべ |
飛び石といふ飛び石に青蜻蛉 | かえる |
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2024年08月12日 | |
一村を洗ひ上げたる夕立かな | 風民 |
帰省子のキャンセルという訳聞かず | せいじ |
就農子手作り野菜盆供とす | たか子 |
風見鶏向き変へ秋の来てゐたり | 澄子 |
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2024年08月11日 | |
縞瓜の縞くつきりと塩揉みに | むべ |
子ら集ひきて亡き夫の盆迎へ | たか子 |
白杖の人へ手向ける白日傘 | あひる |
足元に涼風通ふ今朝の庭 | ふさこ |
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2024年08月10日 | |
体操の号令を消す蝉時雨 | うつぎ |
滑り台触るるを拒む炎暑かな | 風民 |
2024年08月09日 | |
妹が欲しと願ふ子星祭り | こすもす |
曾孫らの仕切るに任せ墓洗ふ | うつぎ |
老犬の深く息吸ふ今朝の秋 | むべ |
月仰ぐ所作うつくしき踊りの手 | 澄子 |
仕舞屋の秋の風鈴鳴りやまず | 澄子 |
フィナーレのスターマインや大花火 | 明日香 |
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2024年08月08日 | |
日に遊ぶ切子の翳や卓涼し | むべ |
新涼や今朝の目覚めの大背伸び | きよえ |
白菊の慰霊の花火闇に浮く | たか子 |
オムレツに朝採れトマトトッピング | こすもす |
白靴で玄関を出る身の軽し | うつぎ |
孫ら来る巨大サンダル脱ぎ散らし | もとこ |
水撒けば三和土の匂ふ土間涼し | かえる |
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2024年08月07日 | |
サングラスしたまま浴ぶるミストかな | むべ |
夜の更けて風鈴チリンと鳴りにけり | みきえ |
馬つなぎ残る城址や蝉時雨 | なつき |
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2024年08月06日 | |
せせらぎを小突きやまずよ糸蜻蛉 | 風民 |
遠泳の波間に遠き烏帽子岩 | 智恵子 |
大鹿の彼方をみやる眼の涼し | 風民 |
幾重にも連鎖して爆ず揚花火 | 千鶴 |
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2024年08月05日 | |
谷川の瀬音に肥ゆる青胡桃 | 風民 |
観音の微笑み給ふ樹下涼し | ぽんこ |
浮き出づる水占いの文字涼し | 明日香 |
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2024年08月04日 | |
西瓜切り礼拝後の愛餐会 | あひる |
尖塔を過ぎる筋雲秋高し | 康子 |
卓涼し白布に並ぶカトラリー | 幸子 |
三輪山を嵌めたる茅の輪潜りけり | 明日香 |
夕焼けにグラス翳してワイン酌む | よし女 |
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2024年08月03日 | |
身も灼くる花見小路の石畳 | せいじ |
二三言蝉の寝言か真夜の庭 | あひる |
花氷細りて宴果にけり | ふさこ |
闇市の名残りの路地の暑さかな | 澄子 |
2024年08月02日 | |
花火師の中洲に躍る影法師 | 智恵子 |
飛び石の歩幅に合はぬ日の盛り | 幸子 |
似顔絵師涼しき眼より描き初む | よし女 |
石庭の岩を撫でゆく風涼し | あひる |
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2024年08月01日 | |
傾ぎたる志士の墓碑より蟻出ずる | よし女 |
通勤のイヤホン族に蝉しぐれ | 康子 |
大雷雨天の水甕割れしごと | むべ |
水撒けばどこにいたのか川蜻蛉 | 明日香 |
飛び石の濡れては乾く川涼し | かえる |
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2024年07月31日 | |
狛犬の小鼻膨らむやに大暑 | よし女 |
路地親し風船葛の青簾 | 澄子 |
背の伸びし青田を撫ぜて風渡る | かえる |
橋脚を呑むぞと疾る出水かな | むべ |
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2024年07月30日 | |
日傘さしても避けられぬ照り返し | ふさこ |
山の風運んで来たる赤蜻蛉 | 澄子 |
襖絵の涼し蓮池展けけり | せいじ |
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2024年07月29日 | |
立ち呑みの人垣にさす西日かな | 澄子 |
迷子猫の手書きポスター炎天下 | なつき |
告げる事あれやこれやと墓洗ふ | もとこ |
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2024年07月28日 | |
大天井涼し双龍描きたる | せいじ |
水遊び父川下に仁王立 | 康子 |
バスのごと一両電車行く青田 | みきえ |
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2024年07月27日 | |
風鎮は父の形見や夏座敷 | 澄子 |
先を行く妻の振り真似盆踊 | うつぎ |
揺らめける蓮の葉裏に水陽炎 | 康子 |
ベランダは特等席や遠花火 | こすもす |
古町の甍まばゆき夕立後 | かえる |