みのる選:2024年6月度

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2024年6月30日

6月22日~6月28日

2024年06月28日
梅雨雲の山襞を埋めつくしけり明日香
一服のまこと新茶とうべなひぬうつぎ
片陰を拾ひつ巡る古都の路地澄子
2024年06月27日
万緑に投げ入れしごと峡の駅満天
貸杖は青さの残る今年竹なつき
2024年06月26日
四阿に座せば下より蚊遣香康子
あめんぼう綺羅の水面に紛れけりうつぎ
電車いま夕焼の湾に傾きぬ澄子
ふるまひの麦茶空つぽ大薬缶なつき
2024年06月25日
亡き夫の部屋の窓開け夏の月うつぎ
滝壺に飛び込み笑ふ島の子らもとこ
古書店の本棚に射す西日かなみきお
山狭に一筋ひかる螢の瀬澄子
瀬の楽がBGMや蛍舞ふこすもす
2024年06月24日
さくらんぼ最後の一つ譲りあふむべ
無人店野菜並べる日焼けの手康子
尖塔の町を自在につばくらめ風民
托鉢の足袋に滲み入る梅雨の雨かえる
2024年06月23日
御手洗の後ろの影に雪の下ぽんこ
遍路みち一服せよと合歓の花澄子
2024年06月22日
吟行子らに囲まれて蟻の列うつぎ
柱廊のごと喬木や夏木立山椒
片影に寄せて昼寝の営業車かえる
落し文三刀殿の便りかもよし女
皮剥けば真珠の照りや新玉葱むべ
風いなす蓮の大葉の裏返りぽんこ

2024年6月23日

6月15日~6月21日

2024年06月21日
桑の実を煮つめし匙の黒光りむべ
大小の棚田に渡る代田水千鶴
新茶注ぎ下戸の佛に二タ三言よし女
炎昼や波音だけの漁師町みきお
夏草を絡め取りたる牛の舌みきお
雨上がりエプロンに摘む茗荷の子康子
2024年06月20日
摘み取りて虹色放つ初なすびよし女
駒を打つ棋士の指先所作涼しあひる
雨の中峡田を低く飛ぶ燕うつぎ
雫手で受けて酌する冷酒瓶かえる
霊岩に凭れ涼風賜はれりなつき
2024年06月19日
十薬の虜となりし空き家かな澄子
吉野窓透けてお庭の緑さすもとこ
よく冷えしペットボトルを頬に当てあひる
我が影に侍るがごとく草を引くうつぎ
怒り貌せし兜虫よく売れるよし女
背なの子のぐずりサンダル脱ぎ飛ばす風民
一太刀のバットに西瓜砕けたり山椒
2024年06月18日
白薔薇の淡きみどりをふふみけりむべ
手で割きし水茄子漬や糠香るむべ
売家札立ちて紫陽花盛んなりうつぎ
朝市や曲りし胡瓜詰め放題なつき
繁茂せる十薬掻きし鎌匂ふかえる
2024年06月17日
一村の見渡す限り麦熟るる千鶴
漱ぐ宇治の名水てふ清水せいじ
双子なり泣く子笑ふ子花柘榴もとこ
ヨットいま舳先持ち上ぐ波頭かえる
日の落ちて水辺を綴る蛍かなかえる
紫陽花の毬の寧けし花手水たか子
2024年06月16日
紫と蒼のきざはし濃紫陽花むべ
扇忙し投句の刻の迫り来しうつぎ
鱚釣りや磯に未明の月白し千鶴
2024年06月15日
藍染の竿に靡ける薫風裡むべ
茅葺の屋根の厚さや庵涼しもとこ
植田いま風を誘ふ丈となり明日香
睡蓮の浮葉の揺れて鯉の口あひる
父の日や怒りし顔の遂に見ずうつぎ

2024年6月16日

6月8日~6月14日

2024年06月14日
やや熱き足湯に浸かり暑に耐ふるよし女
水鏡滑るがごとくあめんぼうかえる
苗床に声かけ朝の水手向く千鶴
清流に画架を立てたる夏帽子風民
夜ふかしの帳尻合はす昼寝かなうつぎ
2024年06月13日
迷路めく紫陽花寺の径めぐるこすもす
草を引く隣家の影の失せぬ間によし女
真つ白な雲よぎりゆく代田かなむべ
2024年06月12日
初鰹ひと振り土佐の天日塩うつぎ
のぞき見る瀬々の玉藻の涼しさよ明日香
放ちやる闇の蛍の行方かなうつぎ
大岩の苔を絞りて滴れる澄子
草を引く蕾のあるは残しけりなつき
山法師真白きベール纏ふごとみきえ
2024年06月11日
揚羽蝶園の花壇をジプシーすよし女
2024年06月10日
万緑を砦としたる古刹かなせいじ
紫陽花寺見渡す三百六十度こすもす
汗拭いて喉を潤すグリーンティー千鶴
雲の峰東西険を競ふごときよえ
宇治川の堰たぎり落つ涼しさよ千鶴
風波に溺れそうなる早苗かなみきお
2024年06月09日
沢音の響き蛍の夜となりぬ風民
脱稿し古茶の渋みをふふみけりむべ
透明のビニール傘を洩る緑せいじ
水皺の生まれては消ゆ植田かなよし女
2024年06月08日
久闊の友をもてなす新茶かなあひる
湧き水の走る岩肌軒忍むべ
竹落葉舞ひて風道を教へけりむべ

2024年6月9日

6月1日~6月7日

2024年06月07日
グランドの歓声響く雲の峰康子
風鈴は雨の気配の風に鳴るかえる
墨の香の残る文机夏座敷かえる
額の花江ノ電はいま徐行中智恵子
新じゃがの笑窪をはじく爪の先よし女
苔庭に小人の傘よ梅雨茸むべ
2024年06月06日
余白なく巻葉犇く未草きよえ
青梅に仄と虹さす桶の中むべ
熊注意札立つ山路蛍狩澄子
青嵐祈願の絵馬を打ち鳴らし康子
麦の秋金波銀波にさざめける明日香
家々に灯ともり代田昏れにけりみきえ
2024年06月05日
緑蔭に卓を移してティータイム澄子
夏草に分け入りて誦す一碑かな千鶴
夏落葉嵩なし隠す皇子の歌碑明日香
な滑りそ畦に溢るる代田水せいじ
園児らのお散歩コース薔薇アーチ満天
蔀戸の簾に透きし茶室かな澄子
2024年06月04日
深呼吸して翅閉づる揚羽蝶むべ
摩天楼ビル並ぶごと雲の峰康子
2024年06月03日
木苺の一つを口に畑の帰路よし女
雨雲の切れて日の射す青嶺かな明日香
息凝らし螢火そつと幼な手にもとこ
道路いま川となりたる大夕立むべ
そぞろゆく日の斑の径や夏木立千鶴
釣り上げし鮎の飛沫の珠光明日香
閑けさや瀬音に和する遠河鹿隆松
雷火一閃漆黒の闇裂きにけりむべ
濃紫陽花つづる茶室の小径かななつき
2024年06月02日
千枚の植田展けし露天の湯よし女
書道紙の肘に張り付く薄暑かな愛正
里山を袈裟懸けに裂く夏燕風民
城壁の白一文字万緑裡あひる
2024年06月01日
球場の歓声聞こゆ夏木立千鶴
瑠璃蜥蜴我を一瞥して消ゆる明日香
池涼し逆さ映しに城櫓みきえ
おちょぼ口突き出して吹くしゃぼん玉康子
玉苗の切先並ぶ水面かな澄子
紋白蝶スローワルツに舞ひゆけりむべ

2024年6月2日

5月25日~5月31日

2024年05月31日
暦年の校歴を知る楠若葉かえる
大岩に立ち夏空を仰ぎけり風民
大空に背を翻す鳶涼しむべ
足湯へと茅花流しの径辿るよし女
霧吹かれ玉の雫の吊忍澄子
2024年05月30日
銃眼に新樹光洩る城址かななつき
手庇に目つぶしの日矢夏木立風民
無人店レシピ添へある夏野菜康子
闇雲に草引く夫を詮無しとみきえ
しざるごと背中丸めて草を引くきよえ
採りたての札に誘はれトマト買ふ千鶴
初生りの胡瓜一本仏前へ明日香
電線の弧を映したる植田かなよし女
2024年05月29日
龍馬像見下ろす浜や青あらし千鶴
日の匂ひ土の匂ひの髪洗ふなつき
山風に寄せてやまざる麦の波愛正
補陀落のお山に詣で余花に逢ふもとこ
2024年05月28日
夏霧に浮かぶ四万十川沈下橋千鶴
金継ぎの夫婦湯呑みに新茶汲むかかし
翠巒の雨烟りして走り梅雨董雨
2024年05月27日
久闊を叙す緑陰の一墓碑によし女
白亜なる洋館並ぶ薔薇の丘山椒
水揚げを確かめ四葩仏壇へ明日香
吾子と編む白詰草の花冠むべ
鳥帰る白砂の浜に潮目跡よし女
石庭の砂紋に沿ひて蟻の列康子
腕白の狼藉無残梅雨きのこたか子
2024年05月26日
バードバス埋めて薔薇の花手水康子
宮涼し手水を習ふ異国人たか子
杜涼し疏水辿れば朱の鳥居もとこ
食べなせとフルコースなる初鰹千鶴
2024年05月25日
石庭に一筋しるき蜘蛛の糸康子
てらてらと撫牛光る夏の宮たか子
大小の石仏並ぶ木下闇かえる
山法師白際立ちて夕帷満天