みのる選:2024年5月度

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2024年5月26日

5月18日~5月24日

2024年05月24日
しやぼん玉風と押しくらして膨れ康子
外つ国の人波で混む駅薄暑もとこ
咲きのぼる葵まゝごと見守りぬむべ
方丈に座して青葉を眩しめり澄子
2024年05月23日
毛虫とる蝶に化けるの見きわめて明日香
残照に映ゆる白さや山法師むべ
梅雨入前収穫急ぐ畑のもの千鶴
新緑やダム湖を跨ぐ橋幾つうつぎ
卯の花の古道を辿る伊勢路かな風民
青葉陰踏む参道の石畳かえる
ふらここの靴裏高く蹴りあげてぽんこ
2024年05月22日
河骨の傾ぎそめたる流れかなたか子
すれ違ふ二の腕眩し街薄暑満天
祝福の薔薇の花びら高く撒くあひる
夕薄暑老の夕餉のはやばやともとこ
雀どちげんげ浄土にかくれんぼ康子
2024年05月21日
序破急に騒ぐ葉擦れや竹の秋かえる
潔き鋏づかひや薔薇手入れ澄子
熊野路や日の斑につける遍路杖風民
天辺に巨石鼻だす青嶺かなせいじ
樹下涼しのみ跡しるき丸太椅子あひる
2024年05月20日
麦笛の爺取り囲む下校の子愛正
花菖蒲ひようたん池を縁どりぬ康子
サングラス取りて黙祷ドーム前みきお
シーソーの子の背に弾む夏帽子かえる
2024年05月19日
カフェテラスへとウエルカム薔薇アーチ康子
山容をかき消すやうに五月雨るる千鶴
五月雨や千年の杜鎮もれるたか子
打掛に色を添へたる若葉影康子
気をつけの朝礼の空燕舞ふかえる
2024年05月18日
鶴嘴を振り上げる額油汗みきお
卯波立つ沖の磯より大落暉千鶴
大書せし孫の命名墨涼し康子

2024年5月19日

5月11日~5月17日

2024年05月17日
手裏剣の如宙を切るつばくらめ山椒
蔵壁の破れを覆ふ若葉影かえる
園児らの覗き込みたる蝌蚪の国康子
傘たたむミストのごとき若葉雨むべ
2024年05月16日
樹下涼し渓よりとどく瀬音またかえる
生鱧を海へほり投げ豊漁祭千鶴
2024年05月15日
薔薇アーチ通りぬけ来し風匂ふむべ
迷ひつつビルの谷間を白日傘あひる
神官の裾ひるがえる山開きみきお
松の芯つまむ庭師の指太しかえる
泉湧く水の揺らぎの留まらずかえる
本殿の鴟尾夏空へ跳ねにけりもとこ
2024年05月14日
竿に干す産着真つ白五月晴康子
田水張る高き信濃の空映し風民
水晶の雨粒まろぶ蓮浮葉康子
蚊いぶしに吾もいぶられて庭手入せいじ
里山をつつむ五彩の緑かなせつ子
犬養節流れ万葉館涼し明日香
2024年05月13日
母の日や漢字も使ふ手紙来てもとこ
新茶酌む夫手びねりの湯呑かな満天
藤棚の下に集合清掃日たか子
彌陀三尊倭坐りに五月闇うつぎ
白絲を引く雨だれや夏館むべ
2024年05月12日
花殻を集めし袋薔薇香るむべ
清流の岩に宿りし落椿ぽんこ
ドローンめく鴉代田に降りたちぬせいじ
風孕みシーツ膨らむ皐月晴かえる
春陰に御目光れる不動尊うつぎ
薄紅と深紅の出会ふ薔薇アーチむべ
2024年05月11日
川風に吹き攫はれし糸とんぼ風民
青空の青もらひたるしやぼん玉康子

2024年5月12日

5月4日~5月10日

2024年05月10日
渓谷の人寄せ付けぬ落椿うつぎ
鍔広の帽子取り出す薄暑かな澄子
2024年05月09日
こつぜんと青天井や若葉谷たか子
夕風をいなし玉解く芭蕉かなむべ
2024年05月08日
苔清水受けて祠の閼伽の水うつぎ
姿見に左見右見しつ衣更えたか子
この山の主てふ椎の若葉映ゆ明日香
一万歩までと励みぬ薫風裡せつ子
白滝の樹間に見ゆる深山道あひる
2024年05月07日
囀の枝移りせる大樹かな康子
森統ぶるやに老鶯の叫びけりむべ
清流を跨ぐ倒木苔の花ぽんこ
ブラウスの中通り抜く若葉風かえる
水満ちて代田に風の生まれけり澄子
黄菖蒲の一叢池畔明るうすむべ
砲弾のごとき筍釜茹でにえいじ
円墳の裾野はなべて苜蓿風民
トンネルを出れば終点若葉山あひる
2024年05月06日
杉木立樹間斜めに縫ふ春日かえる
顔近く寄せれば翳る白牡丹うつぎ
隆々と雲の湧くごと樟若葉むべ
芝桜遠山並へひろごりてかえる
雲近き村と人言ふ山若葉風民
2024年05月05日
菖蒲湯に長寿を願ふ老二人きよえ
広々と富士を映せる代田かな澄子
この村の命育む山清水かえる
玉ねぎの匂ひ消えぬ手収穫日千鶴
花疲れ居眠る犬に吾も添ひ寝かえる
諸手あげ幼の潜るバラアーチせつ子
2024年05月04日
木道の組木にのぞく山すみれむべ
鶯や父の遺影に小窓開けむべ
夜蛙に眠り誘はれ旅枕かえる
若葉してよき影落とす大欅風民

2024年5月5日

4月27日~5月3日

2024年05月03日
花虻の出入り忙しき車輪梅むべ
焼かれゐる岩魚おほきく口を開けかえる
教室の窓に校歌の山笑ふはく子
畑しごと頑張れと背に春日燦千鶴
沢蟹の砦としたる河原石かえる
初宮の双子に翳す楠若葉もとこ
風光るバックミラーに富士の山澄子
水かげろふ秀枝にあそぶ若楓康子
塩むすび新茶うましと頬張りぬ澄子
2024年05月02日
かずら橋渡る一歩に岩つつじ愛正
里一面ウエーブなして麦青むかえる
かたばみの花の陣なす出城址むべ
雪解水富士の裾野に高鳴りぬ澄子
激流に分け入り鮎の竿をふるかえる
2024年05月01日
詮無しやベンチを埋む桜蕊せいじ
軽トラの窓から足や三尺寝みきお
街薄暑上着を肩に就活生康子
農小屋でやりすごしたる春驟雨千鶴
2024年04月30日
髪切りしうなじくすぐる若葉風きよえ
囀りに目覚めの朝戸繰りにけり澄子
2024年04月29日
子ら駆けて花吹雪また花吹雪風民
激つ瀬を一筋よぎる蜘蛛の糸康子
大富士に向かひて泳ぐ鯉幟澄子
2024年04月28日
藤房の風に揺らげる二尺かなあひる
2024年04月27日
遮断器のなき踏切や青き踏む澄子
あるじ居ず蜘蛛の囲やぶれかぶれかなせいじ
風紋となる校庭の花の塵風民
草笛を教ふ老翁得意顔もとこ
工房の街藍匂ふ薫風裡澄子