みのる選:2024年1月度
みのる選:2024年1月度
2024年01月26日 | |
黒ぼこを持ち上げてをる霜柱 | かえる |
凍月の雲に滲みし月光環 | あられ |
さざ波を枕のごとく浮寝鳥 | 康子 |
海風に研がれし丘の梅真白 | 千鶴 |
2024年01月25日 | |
朝の陽に微笑むやうに梅ふふむ | かえる |
門ごとに柊を挿す古都の路地 | 智恵子 |
庭存問こんな所に薮柑子 | うつぎ |
悴みし手に息吹いて支払す | 満天 |
旅の本折り目付けつつ春を待つ | 康子 |
老幹を撫でて雪折れ悼みけり | かえる |
2024年01月24日 | |
雪催ひ紅茶に垂らすブランデー | なつき |
葉牡丹の同心円に色深む | むべ |
極寒や独り居の身となればなほ | たか子 |
2024年01月23日 | |
初春や白面の富士泰然と | 千鶴 |
寒風にテニスボールの歪みとぶ | ぽんこ |
野ざらしの古壺に宿る余寒かな | 澄子 |
日さす窓へと首捻じる室の花 | かえる |
底冷えのテニスコートにたたら踏む | ぽんこ |
雨晴れてきたとおしやべり寒雀 | かえる |
2024年01月22日 | |
天守閣より鳥瞰す梅の園 | はく子 |
日の射して四温の鯉の動きだす | 満天 |
げんげ田に片足入れて測量す | みきお |
青竹の壺に一輪寒椿 | 澄子 |
すつと席立ちてどうぞと春コート | 千鶴 |
地べたより屋根へと移る猫の夫 | 澄子 |
枯蓮の中に真つ直ぐ鷺の脛 | 素秀 |
つけ添ふる仏花に庭の猫柳 | うつぎ |
裸木にひつかかりたる昼の月 | あひる |
2024年01月21日 | |
庭木影現れては失せる白障子 | うつぎ |
白息の気合発止と小剣士 | 素秀 |
山茶花の屑が埋めしなぞへかな | えいじ |
2024年01月20日 | |
納骨の帰るさの道時雨やむ | むべ |
医師に問へば答へ曖昧うそ寒し | なつき |
検査着の折り目正しき余寒かな | なつき |
大根引手塩かけたる重みかな | 豊実 |
2024年01月19日 | |
襤褸市に座すヒマラヤの佛かな | 澄子 |
鈴懸の実の散り敷きし遊歩道 | あひる |
さしのべし手に雪虫のとどまらず | かえる |
着膨れに頭出てをる抱つこの子 | 康子 |
2024年01月18日 | |
庭の木々四温の雨に息づきぬ | 満天 |
春障子尾を立てよぎる猫の影 | みきお |
湿原の涸れて歩板の軋む音 | むべ |
連鎖して逆立つ鴨の尻をかし | えいじ |
土蜂の巣白く凍てゐる百度石 | なつき |
位牌守り遺愛の木々に寒肥す | うつぎ |
2024年01月17日 | |
夜半更けて湖凍りつつありし音 | 素秀 |
海風に総身で応ふ水仙峡 | 千鶴 |
2024年01月16日 | |
シングルの姉妹となりて女正月 | たか子 |
鴨翔ちし飛沫や池のショーのごと | 康子 |
手料理をあひ持寄りて女正月 | こすもす |
寒きびし寝耳に水の訃報かな | うつぎ |
2024年01月15日 | |
皮むけば輝く白や八頭 | むべ |
どんど火に燻つてをる狐面 | なつき |
己が肩みづから叩き冬籠 | うつぎ |
袋糶凍風の吹く魚市場 | みきお |
老い二人あれこれそれと初笑ひ | 明日香 |
受験子に握る小さき塩むすび | むべ |
乱れ打つ太鼓に猛るどんどの火 | 康子 |
黒帯を目指して子らの寒稽古 | かかし |
どんど燃ゆ里山百選守り継ぎ | うつぎ |
狼藉や霙地を打ち吾を打ち | むべ |
2024年01月13日 | |
頑張れと言はぬ応援受験子に | あひる |
昇竜のごときどんどの炎かな | 康子 |
落暉いま金塵の舞ふ枯野道 | むべ |
注:雪虫を「雪の虫」、襤褸市を「襤褸の市」などと表記すると意味が変わってしまう。季語は正しく使いましょう。
2024年01月12日 | |
初みくじ箱の底より吉拾ふ | なつき |
二羽の鳰連鎖反応して潜る | 康子 |
風捉へみるみる天へ凧 | かえる |
大小の欠片となりぬ鏡割 | 豊実 |
唐門に瑞枝差し伸ぶ冬芽かな | うつぎ |
浅春の庭へ竜宮門潜る | あひる |
病院食鍋焼うどん切れぎれに | 素秀 |
残照の藍の残りし寒夕焼 | はく子 |
2024年01月11日 | |
リメイクと知らず旨いとお節食ぶ | 明日香 |
思ひ出のちやんちやんこ着て母偲ぶ | きよえ |
大うつばり煤びかりせる冬館 | 澄子 |
玻璃透けて日の斑ゆらめく冬座敷 | かえる |
旅籠屋にひびく寂声謡初 | むべ |
万両が見てよ見てよと躙口 | むべ |
寒紅の地唄の声のよどみなく | 澄子 |
父母の眠る大宰府梅ふふむ | 山椒 |
2024年01月10日 | |
初稽古宝づくしの帯締めて | 小袖 |
路地裏のバーのドアにも注連飾 | せいじ |
大どんど果てたるあとのふと寂し | 明日香 |
大仏の螺髪に遊ぶ寒雀 | 智恵子 |
凍つる夜や圧力釜が笛を吹く | 千鶴 |
絶食の明けてすずしろだけの粥 | 素秀 |
被災地の復興祈る宮焚火 | なつき |
2024年01月09日 | |
伊勢海老の跳ねだす茶碗初点前 | なつき |
飴色に大根透けるおでん酒 | やよい |
鶴と亀飾る御苑や初句会 | 康子 |
石仏の目鼻隠るる毛糸帽 | ぽんこ |
沼島見ゆ沖の朝凪淑気満つ | 千鶴 |
菰巻の飾り結びに松祝ふ | むべ |
2024年01月08日 | |
松過ぎて体重計を疑ひぬ | みきえ |
餅焼けば風神雷神猛るごと | 山椒 |
ラガーメン凱歌の頬に絆創膏 | 素秀 |
老二人暮らしのおでん明日もまた | やよい |
破れ障子洩るる夕日に力なし | 康子 |
卒寿翁意気軒高と初謡 | 千鶴 |
2024年01月07日 | |
気合入れ創るお節や孫に嫁 | そうけい |
セーターの虫喰いに刺す花刺繍 | あひる |
ほつれ髪姉に直さる春着の子 | かえる |
2024年01月06日 | |
線描のごとき秀枝や枯木立 | むべ |
見上ぐれば蝋梅に透く御空かな | もとこ |
餅花の路地パトカーの音馳せる | あられ |
植木屋も農夫も給仕大根焚 | うつぎ |
2024年01月05日 | |
初日射す笹竜胆の紋幕に | うつぎ |
肉球のしるき跡ある霜畑 | かえる |
懐かしき彼の筆跡初便 | 素秀 |
山茶花の白が浮き立つ夕の道 | むべ |
大空の碧さに気づく金鈴子 | あひる |
味つけは夫好みとす雑煮かな | 明日香 |
「安寧」と祈り心に書初す | 山椒 |
2024年01月04日 | |
軒下の薪を頼みに冬篭 | 澄子 |
ゐ並びて揃ふ柏手初詣 | うつぎ |
愛唱の詩篇誦しつつ読初す | むべ |
日照雨して光る淑気の石畳 | うつぎ |
初稽古ごみ拾ひより始まれり | なつき |
寝癖髪ぺこりとさげて子の御慶 | かえる |
2024年01月03日 | |
木肌より剥がれるやうに冬の蝶 | 澄子 |
三日はや一抜け二抜け老二人 | せいじ |
子ら去にて無口な夫になる三日 | なつき |
子等去にてこれよりは吾の女正月 | ぽんこ |
コロナ禍の明けて郎党初写真 | かかし |
電車揺れ棚の破魔矢の鈴鳴りぬ | 智恵子 |
2024年01月02日 | |
新暦記帳はじめは通院日 | 満天 |
抱つこされ鈴緒に触るる初詣 | かえる |
2024年01月01日 | |
嫁迎へ一つ増えたる雑煮腕 | 康子 |
吹抜けの高窓射抜く初日かな | 素秀 |
喰積をどうぞと孫の世話上手 | こすもす |
山城の四方に展けし初御空 | むべ |
2023年12月31日 | |
去年今年句帳とペンを手放さず | 康子 |
感謝また感謝の年や日記果つ | 千鶴 |
亡き夫の字のメモ残る古暦 | たか子 |
晦日蕎麦友の手打ちのお裾分け | やよい |
不調なる日はみな白紙日記果つ | 愛正 |
除夜祈祷終へて寛ぐ老牧師 | むべ |
2023年12月30日 | |
野仏の前掛ま更年の暮 | かえる |
数え日の漁港賑はふ競りの声 | 智恵子 |
店仕舞ふ主へ感謝の薔薇贈る | 澄子 |