みのる選:2023年3月度

過去一覧 縦書PDF 検索

2023年3月26日

3月18日~3月24日

2023年03月24日
湯の郷の宿ウエルカム蕨餅むべ
喬木の辛夷が苑の丘統ぶるはく子
一幅の花の絵となる玻璃戸かなあひる
谷筋を埋めつくして山桜千鶴
水漬きたる芽柳つつく稚魚の群れ智恵子
2023年03月23日
子を連れて謝りにゆく春の宵ひのと
花見頃とて駐屯地開放すそうけい
似し声で彼岸の経誦す老姉妹なつき
仲良しのおててつないで卒園すたか子
母として花の母校を訪ひにけりひのと
2023年03月22日
相輪は四方の春光あつめけりぽんこ
三椏の森を黄金に染む夕日素秀
子遍路のリュックの小鈴よく鳴りぬなつき
大き尻振りて中州の春の鴨なつき
2023年03月21日
夫帰る右手いつぱい土筆持ち明日香
林立の力士幟や街は春こすもす
野遊びや橋なき川に行き止まる千鶴
一両車傾きゆける花菜畑素秀
観音のそびら明るし白木蓮うつぎ
2023年03月20日
うららかやお礼参りの車椅子やよい
な踏みそと犬抱き上ぐるげ花菫かえる
はくれんの今合掌を解かんとす素秀
子が踏んでゆきし土筆も摘みにけりなつき
吾が決めし標準木に初桜たか子
春天の飛機彗星のごと速しみきえ
2023年03月19日
大甍よりをどりでし春の月よし子
カラフルなパラグライダー山笑ふこすもす
薄紙にお顔を包み雛納むぽんこ
春愁の受話器の母を励ましぬむべ
2023年03月18日
行きゆきて戻るも楽し花堤せいじ
春愁や余生惜しむにあらねども宏虎
校長は達筆と知る卒業式豊実

2023年3月19日

3月11日~3月17日

2023年03月17日
囀りやお代は吊るす竹筒にうつぎ
卒業証遺影の父に報告すむべ
貸し舟のあるじ手を挙ぐ浜のどかひのと
お辞儀しておさげ地に触る卒園式もとこ
森の蝶道の日の斑に紛れけり澄子
2023年03月16日
黒土に落花畳をなせりけりせいじ
岩穴に灯る仏の春灯なつき
ごみ出しの手を止めて聞く初音かなもとこ
客人として故郷の青き踏むうつぎ
耕され土黒々と立つてをり明日香
囀りの伝播途切れぬ楠大樹素秀
2023年03月15日
首に巻く真珠に春の寒さありひのと
登り行くリフトの足下蕗の薹豊実
筆洗ふ水を貰ひし春の川素秀
輸血とは命のしずく春日差すたか子
2023年03月14日
老い母へ朝日を透かす春障子あひる
不織布に透けたるごとく月朧たか子
愚づる子を肩車して青き踏むみきお
宮参りの嬰に合掌老遍路なつき
2023年03月13日
失せ物を探しあぐねる日永かなぽんこ
前通るたびつまみ食ひ雛あられみきお
春泥の肉球あとやボンネットこすもす
川面へとなだれをなせる雪柳満天
2023年03月12日
四阿に一会の人とあたたかしなつき
路地裏は子らの縄張り春夕焼ひのと
店番に犬置いてゆく苗売女ひのと
初音聞くとの一行の日記かなうつぎ
2023年03月11日
庭仕の手思はず止まる初音かなうつぎ
採寸の両手真つ直ぐ春日燦ひのと

2023年3月12日

3月4日~3月10日

2023年03月10日
野遊びに飽きて頬張る握り飯かえる
親株を遠巻きにして名草の芽うつぎ
赴任地は海沿ひの町燕来るひのと
五百齢触れてあたたか椋大樹はく子
芹青き水に揺られて寂光土素秀
2023年03月09日
お手玉の転がつてをり雛の間うつぎ
重箱の中は宴や豆ひひなうつぎ
一輪車手を振り進む春堤みきお
トロ箱を狭しと跳ねる桜鯛智恵子
2023年03月08日
酔いどれの千鳥足なる路地朧かえる
空を蹴り山を蹴り上げ半仙戯よし子
吊橋の足下に激つ雪解川豊実
地の温み残る夕餉の蕗の薹うつぎ
幾度も戦禍くぐりし古雛澄子
芹洗ふ泣く子を足に絡ませてひのと
芥なきみたらし川へ椿落つ明日香
2023年03月07日
山吹の枝垂れ一渓明るうす素秀
大玻璃に展けて京の山うらら明日香
鉋くづ東風に飛ばさる寺普請なつき
河口から始まる春の月の道素秀
足掛けて飛び乗る小舟風光るひのと
うららかや焼き立てパンの並ぶ店みきえ
2023年03月06日
転んでは起こす自転車山笑ふひのと
おんぶの子伸ばす右手に風車かえる
コンビニに鞐ゆるめる老遍路素秀
玉垣の狭しと宮の梅盛るせつ子
遺さるる身の哀しさよ鳥帰るたか子
2023年03月05日
海風に幟はためく梅の山千鶴
逃げ水を追うて地団駄踏む子かな素秀
マイカーを洗ふ背中に揚雲雀素秀
藁舟のくるりとまはる流し雛あひる
2023年03月04日
靴振れば小石がひとつ山笑ふひのと
立話して満開の梅を見ず満天
さざ波の夕日揉みゐる春の川はく子
黒猫と見しは陶器や花ミモザなつき
流さずに家苞に買ふ流し雛明日香
春眠のつむじを見せて夢見顔むべ

2023年3月5日

2月25日~3月3日

2023年03月03日
賀茂うらら犬も飛石渡りけり明日香
代々の雛みな飾る苫屋かなせいじ
旋回に傾ぐ機窓の雪の原豊実
柔き日に翅をゆるめる胡蝶かな素秀
大の文字抱きて東山笑ふ明日香
春天に鳶の群れ舞ふ賀茂河原あひる
掌にのせて心通はす落椿満天
もういいかいまあだだよとて森うららもとこ
寄せ波に手伸ばし子らの流し雛素秀
爺吾と孫と並びて麦を踏むみきお
2023年03月02日
踏青や夫唱婦随に半世紀たか子
大いなる鳶の輪の中春耕すやよい
伸び縮みして遠足の列進むみきえ
手を繋ぎ園児ら唄ふチューリップもとこ
2023年03月01日
春山の裾野青空市の旗なつき
連翹の一枝徒長す籬かな素秀
植木屋に茶を汲む縁のあたたかしひのと
いづくなく沈丁にほふ小路かな澄子
家路へと唄が飛び出す春夕焼むべ
この道や鳥語も喜喜と梅日和董雨
山笑ふ老々介護がんばれとたか子
春堤走る電車に手を振る子きよえ
啓蟄や野良着の破れ繕はむみきお
2023年02月28日
春暁や一灯のこる橋の下素秀
春塵の古書運びだす棚卸しむべ
強東風にぶつかりあへる祈願絵馬こすもす
春の雲吾にナンクルナイサーとたか子
2023年02月27日
糟糠の妻に感謝や愛のチョコせいじ
跳び箱の八段成功風光る智恵子
水曜はパン屋の来る日島うららひのと
耳立てて干支のうさぎの内裏雛なつき
伸びすれば事務椅子まはる春の昼ひのと
2023年02月26日
お雛さまごめん掃除の尻当たるひのと
一刷毛のモップに消えし春ぼこりあひる
吹き出して鶯餅の粉飛ばすたか子
書き置きの端おさへたる蓬餅ひのと
2023年02月25日
啓蟄のくねる蚯蚓の砂化粧うつぎ
乱れ髪そつと抑えて女雛置くあひる
手招きに駆け寄ればほら蕗の薹かえる
先達のめこぼしならめ蕨摘む澄子
羨道の奥までくれば暖かしせいじ