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2025年12月12日

冬麗の池を揺蕩ふ鳥の群れ えいじ
紅白の山茶花のひら波うちて 明日香
別腹も目一杯食ぶ年忘れ なつき
山茶花の匂ふ垣根や通勤路 みきお
ボランティア揃ひのベスト落葉掃き むべ
大根を褒めれば一本抜き呉れし みのる
雪の雫しばし軒にて光り落つ 和繁
すり足で急ぐバス停雪の朝 和繁
靴下の脱ぎ散らかつてゐる炬燵 康子
銀世界ただ吹き荒ぶ虎落笛 ほたる
冴ゆる夜や山峰にただ月の影 勉聖
浮島が起点や鴨のパレードす せいじ
一年の疲れを癒す冬至風呂 みきお
日本一のイルミネーション師走かな やよい
冬川原岩間に残る被災物 愛正
裏木戸の鈴なり蜜柑くぐり行く あひる
カップルの見遣るは鴨のペアーかな せいじ
冬晴れや鳥語さざめく森深し えいじ
小さき花見つけて嬉し吉祥草 むべ
ふる里を発つ朝しぐれ身にしみる 藤井
思いがけぬ句友の土産丸大根 こすもす
束の間の日溜りに舞ふ冬の蝶 きよえ
カップルは学生服や園小春 あひる
歳時記の並ぶ炬燵の指定席 康子
木枯しに紙垂の暴れる夜更けかな わたる
夜半の電話一人居に聞く虎落笛 藤井
市民ホール卒寿も歌ふ第九かな 千鶴
年の暮独り掃除に脚立乗る ぽんこ
星冴ゆる庭にぽつねん冬椿 勉聖
冬雲の白と黒とが入り乱れ うつぎ
空っ風押し戻されし都会っ子 ふさこ
かぼすもぐ大きな棘と争って よし女
手をふれば綿虫ふはと止まりけり 明日香
公園のベンチが誘ふ小春かな わたる
大根引くへつぴり腰といふなかれ みのる
同期会帰路の里山冬夕焼 そうけい
冬薔薇や褒め言葉聴く狭庭かな きよえ
奉行窓隣に小さき蓑帽子 ほたる
銀杏落葉蹴散らし騷ぐ通学児 愛正
立ち飲みの集ふ女子どち着ぶくれて もとこ
省くことなくて一人の年用意 よし女

2025年12月11日

登校児好きな色にて着膨れる 和繁
穭田に残る切り株鳩群れる みきお
小休みの鴨が鴨よぶ池の端 えいじ
校庭の高きフェンスに糸瓜かな みのる
下校後の校庭落葉ペチャクチャと きよえ
果樹園の日の斑明るし柿落葉 澄子
歳末のくじはほどほど小当たり なつき
婆三人喋り笑ひて年忘れ やよい
気嵐やひと舟ひそと朝日受く 勉聖
翅閉ざし小石のやうに冬の蜂 勉聖
嬰ともにまどろむ午後や縁小春 わたる
雑踏の歩みの緩む街小春 わたる
どのレシピ採用せむとりんご見る こすもす
倒木の眠る落葉の深々と あひる
冬空に一点白き機影かな なつき
広池を散らばる鴨の水脈いくつ えいじ
一年の疲れを癒す冬至風呂 みきお
藁縄をきりりと結び菰巻ける むべ
どちらなんはっきりしてよ京時雨 もとこ
濃緑の間より伸びて石蕗の花 明日香
朴落葉ばさりと大き音立てて むべ
湯豆腐を掬ふ友の手しなやかに 康子
久闊を叙する話や冬ぬくし ぽんこ
薔薇の実をもたげし枝のうねりかな 和繁
銀杏落葉積もりて築山すべり台 愛正
園の地のおもてを統ぶる落葉かな せいじ
散り初めて風のやまざる大銀杏 康子
冬岬当たって砕け波真白 よし女
凩に吹かれて迅しちぎれ雲 みのる
厚着して馬鹿言い合ってホカホカと たかを
飛機音の消へて静もる冬の夜 みきえ
冬の庭主の如くねこじゃらし きよえ
夫逝来て千鳥の浜も遠くなり よし女
冬うらら串刺して売る胡麻団子 うつぎ
大根や日毎食卓レシピ替へ みきえ
煤払い仏新たに参り待つ ふさこ
晩酌の父思ひ出す熟柿かな こすもす
鴨寄り来水面近くに座しをれば せいじ
湯たんぽを入れて一と日の仕事終ゆ うつぎ
街角にキャロル流れて十二月 澄子
木守柿たくさん残す今年また 明日香
黒鯉の口浮かびくる冬の水 あひる
風切羽ゆったりたたみ白鳥来 ほたる
冬晴や薄くなりたるカレンダー 千鶴
灯明の揺らぐ仏間や隙間風 愛正

2025年12月10日

帰り花いつもの坂を上り来て やよい
濯ぎ物干す背や嬉し日向ぼこ きよえ
静謐や光の温み冬の月 わたる
揺らめきて橋より垂るる冬の蔓 えいじ
庭仕事つわぶきの黄に手が進み 千鶴
銀世界渡る機関車雪帽子 山椒
ナビになき信号曲がる町師走 なつき
時雨るるや傘の縁より雫絶ゆ 博充
枯芝に弾む雀や玉日和 澄子
石蕗の虻日差し移れば菊の虻 みのる
極月のだあれも居ない理髪店 よし女
黄葉いま舞殿の窓金色に 康子
日の壁に影法師めく枯蟷螂 みのる
飛行雲青空遥か今朝の冬 きよえ
時雨あと石畳へと光差す 博充
紅葉山一山背なふ摩崖仏 愛正
冬の朝荷下ろし賑やか商店街 もとこ
落葉掻き終へて広ごる狹庭かな みきえ
三輪山の右の裾より冬曙 明日香
冬穭田うっすら覆う銀世界 ほたる
おさらひの昔話や冬座敷 なつき
街師走赤一色の中華街 うつぎ
神殿の光背めきし黄葉かな 康子
極月や人の流れに物怖じも たか子
ドアノブへひそと差し入る冬の月 勉聖
頼まれど先ずは新聞すすはらい ふさこ
鮟鱇鍋味を試すと迷ひ箸 愛正
濃緑の間より伸びて石蕗の花 明日香
暖房と雨垂れの音だけの朝 和繁
浮島を取り巻くやうに鴨憩ふ せいじ
夕映えて主役となりし実南天 あひる
マンホールの蓋は白鳥落葉飛ぶ よし女
薄明や蘆の水面に靄たちぬ ほたる
懸崖を朝日に透けつ紅葉散る むべ
白バラに赤き実あまた園小春 あひる
電話なる詐欺めく声や年の暮 勉聖
なけなしの百円をもて鴨に餌 せいじ
アクセント師のマフラーはえんじ色 こすもす
銀河めく霜の花咲く夜明け前 えいじ
流れくる煮物の香り冬の雲 和繁
雀の宿夕陽に返す銀杏記黄葉 ぽんこ
年の瀨を打ちやりコンサートの一と日 うつぎ
日にとけて風にほどけて枯尾花 澄子

2025年12月09日

囲炉裏端待つや鮟鱇吊るし切り 愛正
冬ぬくし入浴剤を入れもして よし女
冬日落ちて綺羅の波延べ知多の海 えいじ
庭に出て甘味休憩石蕗日和 みのる
登りきて砂州の白さや冬の潮 たか子
寒き夜の小籠包に舌焼きぬ うつぎ
稜線に沈む太陽冬茜 みきお
木枯しや山毛欅大木の動かざる わたる
すす払い先ずは親父の古時計 ふさこ
杖の先コロコロ舞ひて落葉かな きよえ
一陣の風に応へて黄落す むべ
一片を開いたままに冬薔薇 なつき
車庫からのヘッドライトの光冴ゆ 和繁
銀杏落葉地より光の湧くごとし ほたる
小魚に揺るる水面の散紅葉 康子
冬日向句会場なるベンチかな むべ
一斉に谷戸の底ひへ風落葉 康子
京時雨赤提灯の路地抜ける もとこ
久闊の友と別れて冬の月 澄子
落葉道葉を蹴散らして遊ぶらん 明日香
堂々と道へはみ出る庭紅葉 えいじ
塩むすび頬張り男の子サッカーす みきえ
熱々を割れば香ばし石焼芋 勉聖
新調の若水桶に光射す みきお
七五三袴着つけて敬礼す 千鶴
留守戸口葉付き大根横たはり みきえ
くっきりと影を落として枯木立 こすもす
けふもまた手持ち無沙汰や秋過ぎぬ 勉聖
グラタンかお好み焼きかオイスター 明日香
舞い降りて桜紅葉の髪飾り 澄子
寄せ墓に面てを納める菊の供華 ぽんこ
晴れ渡る空へ背高枯木立 こすもす
亡き母の笑顔よぎりて寒卵 藤井
風邪の朝初音が少し濁りけり 藤井
横断旗持つ子の駆けてゆく時雨 和繁
着ぶくれて背に重さうなリュックかな なつき
包丁の刃に身を締むるなまこかな よし女
日課とす散歩の畦の野菊かな みのる
大小の蛇行剣めく氷柱どち せいじ
花柊妖精めきて香りけり ほたる
地震の地不安と寒さ祈りつつ きよえ
枯草刈る園丁二人きりもなや やよい
尻尾裂け卵弾くる柳葉魚かな 愛正
手悴む初めは痛き蛇口の湯 せいじ

2025年12月08日

石蕗の虻日差し翳れば居ずなんぬ みのる
手袋の掛かる垣根や通学路 愛正
階を一気に駆けて息白し 澄子
咲き満ちてなほ密やかに花柊 あひる
剪定と落葉掻きして日の暮れぬ 千鶴
勅使坂行きも帰りも散紅葉 もとこ
初雪や庭木も屋根も薄化粧 こすもす
掌の初雪ひとついま消へり えいじ
鴨の陣人現れて動き出す よし女
身を浄め初水を汲む世帯主 みきお
五大湖の風に曲がりし氷柱かな せいじ
里の山冬うぐいすの声響く きよえ
日の熱を全身に浴び縁小春 わたる
恋鴨の池の端しぶく水尾かな きよえ
サービスデー多めに買ひしおでん種 こすもす
花ひいらぎ箒目のこる垣根かな あひる
山茶花のはにかむやうに開きけり よし女
散紅葉まみれの瀬石渡りけり 康子
冬服や重きを決めて海渡る 藤井
初雪の斜め書きして夜の町 えいじ
寒夕焼お顔のほてり立観音 ぽんこ
枯枝に残る数多の柿のへた 和繁
襤褸市や粋に着崩す着物かな 澄子
はつ冬や短く過ぎし秋の日々 勉聖
水輪揺れ逆さ紅葉の「蓴菜池」 博充
雪玉を投げつ友待つ登校斑 和繁
麹桶に冬大根漬ける老いし母 勉聖
ご苦労様言いながら掃く落葉かな 明日香
断捨離の宣言したり十二月 なつき
湯葉掬ふ田舎杓子や忘年会 むべ
俳諧の末座に侍り翁の忌 たか子
時雨空滅入る気持ちを振り払う 明日香
濡れそぼる参道に沿ふ石蕗の花 みきお
寺市のコンサート席落葉降る なつき
薄日差す靴音軽き師走かな 博充
懸崖や四囲のなぞへの紅葉燃ゆ 康子
湯豆腐のゆらゆらをどる雪平鍋 むべ
草々を友とす日々や庭小春 みのる
身内旅亡母の話し深紅葉 たか子
限りなし落ち葉重なりまた落ち葉 ふさこ
友ふたり過飲の末の霜柱 藤井
背を丸め吐く息手にす今朝の冬 愛正
伸びたとは氷柱のことや写メール来 せいじ
朝散歩犬も主も着膨れて 山椒
一筋を見詰める瞳カーリング 山椒
おでん鍋湯気の向かふに誰も居ず やよい

2025年12月07日

冬晴や指して名を挙ぐ白き山 わたる
みどり子のピンクの毛糸帽目深 きよえ
SLを眺め冬の日老夫婦 和繁
行き会ひてベンチで喋る小春かな うつぎ
四畳半一人の夜の冬布団 藤井
散もみじ飛びてつかむは紅葉の手 ふさこ
真つすぐに続く紅葉の川堤 せいじ
望遠のシャッターチャンス浮寝鳥 かかし
ピアノ紡ぐ寄り添ひ咲ける遅き薔薇 勉聖
息合はせ合吟競ふ年の暮 千鶴
蝋梅の蕾膨む日和かな 澄子
柚ジャムを煮詰め家中香りけり 澄子
小六月尻の芝屑母子園路 えいじ
大根抜くベランダ越しの冬日和 勉聖
坊っちゃんの朱書数多や漱石忌 かかし
山茶花の二輪笑まへり朝戸繰る みきえ
一年のゆるりと過ぎて大根焚 もとこ
苔庭や市松模様に松葉敷く むべ
子を抱きて滑る芝坂小春空 えいじ
冬ぬくし子らの絵掲ぐ電車かな 康子
病床の窓から拝む初明かり みきお
幼らも釣糸垂らす小春かな やよい
聖壇のローソク二本灯りをり きよえ
雪晴の田にほんのりと緑差す 和繁
当番の夫の手料理トマト鍋 なつき
耳鳴りの消えて聞こゆる虎落笛 藤井
蒼穹の白化粧なる小春かな ほたる
ひとり座す銀杏黄葉の玉筵 せいじ
枝打の杣人纏ふ檜の香 むべ
見下ろしの湾戸に冬の海の綺羅 たか子
境内の石に凭れる撫子かな ぽんこ
塵出して戻る西空白き月 みきえ
電車の通過待つ寒稽古の学生 こすもす
病院の待つ間小春の中庭に 康子
吾ひとり銀杏落葉の円の中 あひる
冬河原枯れし草藪淵に攻む 愛正
流れ落つ魚道の先の鴨の陣 愛正
師走来て机の隅に紙残る 博充
蒼天の果てまで白し雪の朝 ほたる
ファン集ふ聖地巡礼町師走 なつき
良かったこと語り合ひつつ小春坂 あひる

2025年12月06日

冬青空雪被る山迫り来る 和繁
北風や砂丘の浜の形かはる 藤井
穭田に残る切り株群れる鳩 みきお
岩山や面其々に冬紅葉 きよえ
冬の凪伊根の舟屋を見下ろせば たか子
森の中道案内は寒の月 ふさこ
夕日落ちて赤銅の海枯芝野 えいじ
風のなか鳥が飛ぶごと散落葉 ぽんこ
雪晴に少し霞の中の村 和繁
十六夜の寒月然と確認す こすもす
野茨の実を添へリース完成す むべ
干し柿や開けばとろり濃琥珀 ほたる
師走風ビルの谷間に消え残る 博充
白鳥や舞ひ降る沼の波騒ぐ 勉聖
休日の学舎に銀杏散り積もり 康子
朱に赤に飯桐の実に夕映す むべ
山茶花の蕾ほどきし玉日和 澄子
思ふまま手足動きて冬ぬくし 千鶴
鴨の陣大小水輪池広し きよえ
休みては登る坂道帰り花 うつぎ
墓囲む若き笑談冬ビール ほたる
大銀杏まさをな空を貫きて やよい
軽四で回る路地裏焼芋屋 みきお
初雪や里山さらに丸くなり わたる
師走満月雲なき空に煌々と よし女
落葉焚一期一会の談笑す かかし
鳥声の姿を透かす枯木立 康子
箱火鉢京の老舗の金平糖 かかし
マトリョーシカサンタの中に雪だるま なつき
襖絵の鯉に睨まる冬座敷 もとこ
池小春鯉指さしてベビーカー よし女
年の瀬や客足絶えぬ朝の市 勉聖
カラフルな水上バスや冬運河 せいじ
師走空人の溢るる駅ひとつ 博充
クリスマス大道芸の眠り姫 なつき
濯ぎ物干す手悴む今朝の晴れ みきえ
白菜をみっつあげると言はれても わたる
葉の陰を野に咲く一花冬蒲公英 えいじ
鳩ならび日向ぼつこのアーチ橋 あひる
冬初め足裏覚ゆ田んぼ道 愛正
美的とは思はぬまでも霜の花 藤井
柚子味噌を添へし小鉢をつけ足しぬ 澄子
河岸に色葉打ち上げ観光船 あひる
鈍色の運河に沿ひて冬の薔薇 せいじ
冬川の木の葉流るる魚道かな 愛正

2025年12月05日

アトリウム窓に瞬く聖樹の灯 康子
鍼灸院を閉じる知らせの十二月 なつき
大根を引きて思わぬ太さかな よし女
花寺の苑にあちこち冬囲 愛正
摩天楼ゆらぐ川面に鴨の陣 あひる
銀杏落葉女生徒拾ふ校門前 きよえ
星々の寒満月に侍りけり むべ
セキレイのつがい横断終えて赤 あられ
ほかほかの布団の至福乾燥機 やよい
耕し手ゐない田圃の芒かな 千鶴
頼る人無くてストーブ二つ出す たか子
山茶花の秀枝に開く一花かな むべ
県境の連山白し冬の雲 愛正
秋深し読書に浸る午後の幸 勉聖
車椅子押す手の震へ老いを知る 藤井
冬暖の径を黄の翅紛れ舞ふ えいじ
御堂筋銀杏落ち葉はまだ途中 明日香
トンネルを抜けて海風波の花 みきお
コンコースでんと据え聖樹かな ぽんこ
前山の枯れてあらはに獣道 うつぎ
枯葉散る踏むたび過ぎし日のひかり 藤井
工場の受付全きシクラメン 和繁
雪饅頭監視カメラの故郷朝 ほたる
いつまでも残れ孫の手雪手形 わたる
川風にもてあそばれて冬薔薇 あひる
クリスマスの気分満載村のカフェ こすもす
師走路や靴音弾み薄日射す 博充
ミニスカの闊歩着膨れの群を裂く あられ
娘からの写真で冬の月を見る こすもす
吊られたる玉葱の影雪明り 和繁
前撮りの打掛へ銀杏黄葉舞ふ 康子
柚子の香にふと思ひ出す長湯かな きよえ
師走満月エンディングノートを開く よし女
もらいけり雑木に絡む通草の実 ほたる
待降の日々シュトレンを五ミリづつ せいじ
落葉して色載せらるる檜皮葺 もとこ
大聖樹小さき聖樹を組み上げて せいじ
静謐の温なき光冬の月 わたる
文添へて届く故郷の柚あまた 澄子
ランタナの睡る四つ角冬の月 えいじ
師走市袋をさばく声高し 博充
静まりて落葉時雨の御陵かな なつき
中天に巳の年最後寒満月 みきえ
ぶつぶつと切れる新蕎麦良き匂ひ みきお
熊と人せめぎ合う野や秋深し 勉聖
照らされし胸の内まで寒の月 ふさこ
呼び込みの着ぐるみ放つ大嚏 澄子

2025年12月04日

一と所渦巻いている冬の雲 よし女
青空や錐揉む枯葉直下へと あひる
冬晴や干し物風ももっと欲し 明日香
初寒波杖や青空里山路 きよえ
冬の風茶屋ののれんをまくり上げ なつき
岩礁にぶつかり崩る冬の波 みきお
虎落笛厨に灯り点りけり 博充
べた凪の川面に鴨の陣ふたつ せいじ
山陰線に入りし途端雪景色 こすもす
天心の雲なき空を冬の月 えいじ
柳散る茶屋へと人の流れ込む なつき
菩提寺や本堂末座の隙間風 愛正
一陣の風に落葉の徒競走 ぽんこ
朝一や結露を拭きて始まりき ふさこ
風花や萌え袖ひかれ犬散歩 ほたる
微なる風に震へる冬すみれ みきお
雪晴に柳の緑揺れて映ゆ 和繁
赴任地の裏日本の鰤起こし 藤井
泰国人大はしゃぎなる冬桜 もとこ
二分けに落葉の筏水上バス あひる
暮れ残る秀枝にならぶ寒雀 康子
蔦枯るる館の門のぎいと鳴る むべ
蜜柑こぼれたもと広がる速さかな ほたる
末枯れの所々に華やぐ実南天 よし女
やまぶきに染まる裏山寒夕焼け 千鶴
デパ地下に犇めく人や街師走 せいじ
秋深し軒まで来たり熊の影 勉聖
心字池ひと巡り了へ紅葉冷 澄子
小春日や影の行き交ふ芝の丘 えいじ
ちぎれ雲浮かぶ青空小春かな 明日香
順番を決めて朝の枯葉掃く 藤井
早々と雨戸閉じゆく寒さかな 澄子
初雪や砂糖菓子とも見ゆる町 和繁
カーポート屋根に枝折れし実南天 みきえ
湧水の古代色積む朽葉かな わたる
何事もいい加減なり暮れ早し たか子
落葉道通学路にも熊の跡 勉聖
朝餉の音起きてまた寝る今朝の冬 愛正
水はじく洗車の窓に冬青空 むべ
友連れて立ち寄る男の子息白し みきえ
門閉ざす旧家硝子戸冬紅葉 きよえ
冬ひなた猫懇ろに顔洗ふ やよい
冬紅葉胸の中まで染まりけり うつぎ
蒼天を我が物とせり大銀杏 山椒
別々の畝に葉牡丹赤と白 こすもす
直売の野菜売り切れ暮早し 康子
白壁に垂るる紅葉石畳 山椒

2025年12月03日

この村もいつか消えゆく山眠る 勉聖
子ら駆ける校庭囲む冬木かな みきえ
果実酒で祝う勤労感謝の日 愛正
炉話に灰の匂ひの円座かな むべ
難産の仔牛すつくと冬の朝 和繁
寒夕焼四囲の山々金色に 明日香
御座船の波にたゆたふ鴨の陣 せいじ
猟銃を枕辺に置く寒夜かな 藤井
城下町のロケ現場なり山眠る こすもす
黄落のテラスで暫しティータイム 澄子
芝の丘小春三百六十度 えいじ
小春日の雲なき空や芝の丘 えいじ
突風に万の枯葉のレースめく あひる
堆く磴の隅っこ落葉風 ぽんこ
冬雲を二タ分けしたる電話線 よし女
冬の月あぐる合掌造りかな むべ
晩秋や日光もみじはや移ろへり 勉聖
ほのと緋に染むる赤蕪甘酢漬け 康子
スキップの上手くなりたい十二月 もとこ
朝日浴ぶ木々のときめき雪景色 ほたる
虎落笛犬の遠吠え重なりぬ 博充
アスファルト裂け目に冬の雨溜まる 和繁
両親の記念樹傘寿冬紅葉 ほたる
顔当たる落葉あらしの潔き わたる
帰り咲く蒲公英に歩を留めをり 澄子
敷き詰める紅葉の石段山門へ 山椒
冬菊の仁王立ちかな束ねられ きよえ
万歩計見合ふ勤労感謝の日 愛正
ノーリード禁止の幕が枯芝に せいじ
ロケ現場絶えぬ客足師走かな こすもす
北の湖句碑に冬日の淡々し なつき
繰返し日の班たたくは冬鶺鴒 明日香
鏡池鴨引く水脈と己が影 やよい
散紅葉ライトアップに舞ひて蝶 ふさこ
仏塔と紅葉遥かに京の街 山椒
凩や干物躍る絡みをり きよえ
午前二時かすかに震ふ冬の月」 藤井
バス停を起点としたる落葉かき あひる
漬物の樽で冬菊売る露店 康子
雪降ると耳にし軒へ植木鉢 みきえ
休みては冬の噴水しぶき上げ なつき
胸張って紅葉且つ散る散歩道 千鶴
散りてより知る柊の咲きしこと うつぎ

2025年12月02日

堰越えて落ちる月影闇の中 みきお
二人目の曾孫誕生ダイヤ婚 きよえ
落ち葉舞ふ滝音近き水源地 愛正
一枚の葉がアクセント柿を盛る せいじ
枯れ萩を焚く夕暮れや香立ちゆく 勉聖
湯たんぽのほつこり重き綿布団 うつぎ
枯れ薄風の形に右ひだり 明日香
年かさね車いすとは師走なり ふさこ
大根と芋に長蛇の農業祭 たか子
銀杏黄葉色のホーム喧噪音 ほたる
冬木より日の洩る千本鳥居かな 康子
大根の萎れを待ちて軒の下 藤井
燗酒や喪中葉書きの集まる日 わたる
鷭一羽紛れてゐたる鴨の陣 やよい
神苑の大銀杏の実拾ひたり なつき
城堀に傾れ落ちゆく冬紅葉 もとこ
昨日釣る伊佐木の香り冬の海 藤井
車窓より次々と見ゆ柿花火 こすもす
冬将軍来るらし明日はキムチ鍋 千鶴
裸木のすきま抜けるや空青し えいじ
虎落笛夜汽車の窓に影消ゆる 博充
街灯の明かり清かり冬の朝 和繁
日当たるや枯れ山少し華やぎて 明日香
冬の蠅ふわり我が手をくぐりけり 和繁
落ち葉炊まるい灰跡芋温し ほたる
虎落笛藁屋の屋根に影ゆらぐ 博充
ダンボール滑る芝山小春の日 えいじ
薮から薮へ姿見えねど笹子鳴く みきお
裸木の展けし空に大鳥居 康子
冬鳥の満員お礼河瀬岩 よし女
特急電車前も後ろも咳の音 こすもす
ひもすがら黄落やまぬ並木道 澄子
ぬばたまの闇に一輪白椿 澄子
友を待つ茶の間にクリスマスソング あひる
飛機光るぐんぐん西へ冬の空 みきえ
落葉踏む古美術展の帰り道 勉聖
三輪の真っ赤な椿帰り花 きよえ
銀杏並木明かきもみじの旧街道 愛正
残照の川面に水輪鴨潜く むべ
茹でられて膳に並びし寒卵 せいじ
雨上り取り残されている紅葉 よし女
鴨の陣三々五々に広き川 むべ

2025年12月01日

冬ぬくし療養の身を起こし散歩 ぽんこ
お取越お寺参りに良き日なり よし女
朝靄の覆ふ山々眠りをり きよえ
小屋の屋根子どもと直す小春空 和繁



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