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2024年12月20日

歳晩の楽屋に並ぶ木偶虚ろ 千鶴
押し通す袖なしダウン烈風裡 せいじ
切り過ぎて咲かぬ山茶花からす鳴く よう子
クリスマスソングに果てしお茶の会 あひる
ゆく年の出来事思ふ柚子湯かな わたる
リハビリの予約の取れぬ年の暮 そうけい
妻すする饂飩湯気立つ亭午かな えいじ
ごうごうとストーヴが鳴る今朝は雪 和繁
三歳柚子やうやう出番の冬至風呂 愛正
冬の波皆老いゐたり島の友 うつぎ
クリニック咳を隠して受信せり よし女
ひだまりの庭黄水仙早咲きぬ ほたる
突き抜けて紺碧となる冬の空 たか子
寒禽の山城趾に高鳴きす むべ
落葉浮く水面に戯む鳥もをり ふさこ
保母さんは木の実のお礼抱きしめる なつき
凍空や天地染め行く大夕焼 きよえ
臥す母もつられてクリスマスソング あひる
熱き茶をたっぷり淹れて冬至かな わたる
数え日や会計監査無事終了 こすもす
想ひ出の嬰の祝着干す小春 康子
鷺渉る枯蘆原のさざなみす むべ
書き込みのペン痕混みし古ごよみ 千鶴
差羽舞ふ宮古の空やぬける青 明日香
湯豆腐の面の次第にゆるびをり 風民
年の瀬や買物がてらボディーケア せいじ
旋風追い越し急ぐ師走かな 澄子
蔵鍵音一幅抱へ年用意 ほたる
紺碧の湖へ張り出す金鈴子 うつぎ
江戸柿の蔕に隠れし郷の渋 えいじ
老ぬれば万事がスロウ年用意 もとこ
グランドゴルフ残り二回や暮早し こすもす
ひと枝にこえのあつまる冬桜 澄子
草枯の歩く足もと速くなり 明日香
二人して父の背流す年の暮れ たかを
臥せし日の空白を埋め日記果つ 康子
足下により来る枯葉色褪すや きよえ

2024年12月19日

一村のアダン見たくて冬の島 明日香
ひとすぢの畦焼く煙山日和 むべ
冬の月狭庭に染みめく影黒し そうけい
手でつまみ見る干し柿の出来具合 はく子
波の間に浮き沈みする浮寝鳥 みきお
良きことのある夜は燗と決めてをり わたる
俳句誌の友より届く冬満月 山椒
吸盤を残し土壁蔦枯るる みきお
艶やかに豆を煮あげて冬籠 澄子
冬鷺の光反して並む河岸 あひる
小晦日付けもて贈る笹かまを せいじ
冬晴を遮る翼群れ鴉 きよえ
空っ風足場踏み締むザレ場かな 愛正
青灰の羽根に日を抱く百合鴎 えいじ
山茶花の籬の小径たもとほる 澄子
臥す母に障子開ければ日矢差しぬ せいじ
冬晴や綺羅の波立つ日間賀島 えいじ
ひとつづつついばむ鳥や木守柿 ほたる
来る年の予定書き込む暦かな みきえ
語らひの時を惜しみて日短 うつぎ
討ち入りの日の結末は南座で もとこ
誰ぞくる落葉踏む音近かずきぬ ふさこ
冬日差し図書館棚の薄ぼこり わたる
冬日向行きつ戻りつウォーキング 康子
年の瀬やずつと遊具の工事中 なつき
教会の電飾やさしクリスマス あひる
蒼穹に線画を描く枯木立 むべ
囀りて煌く光深雪晴れ ほたる
空の蒼うつす宮古の冬の海 明日香
山頂は雲を抜きいで冬空へ 和繁
足弱の試歩の訓練師走街 ぽんこ
今年限りの店や早目の晦日蕎麦 こすもす
海光に熟れゆく蜜柑島育ち 千鶴
参詣後コンビニにて買ふおでん よし女
冬の朝席譲らるる予約の日 きよえ
もみづりて白際立ちぬ白樺 康子
検索でスリッパ選ぶ年用意 なつき

2024年12月18日

押入れの奥に陽届く冬日かな わたる
テニスコート舞い込む落葉占むる試合 ぽんこ
予定表と兼用仕様日記買う こすもす
冬旅やちぎれた綿の雲の上 明日香
木の葉追ふ揺れて音だすランドセル 愛正
名も知らぬ冬の黄花の影あかり えいじ
寒鴉威嚇の激し飛び行きぬ きよえ
ペットカフェの玻璃に迫れり冬怒涛 なつき
冬薔薇日をいつぱいに花心まで うつぎ
ひづみつつ冬の立待月さやか 和繁
ひとひらの紅葉回転して落つる 康子
寒暁に残る星またたきにけり むべ
挫く身を励ます冬の虫勇む きよえ
山々を見据え皇帝ダリアかな 風民
しばらくは吾子戻り来ず山眠る あひる
良夜なり路地くねくねと先斗町 もとこ
閑けさや鉄瓶沸る冬座敷 澄子
橋の上二人の会話息白し みきお
冬灯下くらわんか舟の欠け茶碗 はく子
打上げの失敗無念冬の波止 せいじ
咳ひとつ放つジョガーや川堤 あひる
数え日や明日退院の許し出る 董雨
寄せ鍋の湯気に溶け込む笑顔かな 愛正
皹やひとつ癒へるやまたひとつ みきえ
光りつつ鳥の群れめく木の葉舞ふ むべ
北風を連れて自転車過ぎゆけり よう子
カラフルな帽子の卒寿冬耕す かかし
山眠る母の実家の遠くなり わたる
落葉踏む音のいつしか揃ひたり 風民
裸木を見ていて嚏立て続け よし女
ロケットの白煙残る小春空 せいじ
格子影切り絵線なす冬の月 そうけい
試着幾つ手作りやめて冬帽子 こすもす
実千両生け終えし今1人なり ふさこ
急傾斜足踏ん張って探梅行 みきお
東雲に染むる三棟霜を踏む ほたる
日溜まりへそっと押しやる冬飛蝗 澄子
裸木の隙間埋めたる鳥の影 康子
冬浜の端の日だまり月見草 なつき
漱石忌褪せし全集再読す かかし
道狭ばを下りて青海や冬の知多 えいじ
鼻風邪やたまらずティッシュ傍らに 千鶴
深井戸に映る自分と冬の雲 明日香

2024年12月17日

冬晴の朝鳥も早早飛び交ふや きよえ
双鳥の絡み高舞う冬の浜 えいじ
王朝のドラマ完結年惜しむ 千鶴
炭焼の煤けし顔の八重歯かな かかし
雑木林幹もベンチも冬日向 風民
幾度なる落枝落下の熊の跡 ほたる
ビルあはひ冬満月の煌々と 澄子
軒掛の夕日に凍てる輪樏 ほたる
冬霞島の街並みおもちゃめく なつき
散歩道試歩に優しき落葉かな 康子
手を添えて老が教える注連作 みきお
市庁舎に見下ろす銀杏黄葉かな むべ
巣立つ子の荷箱並びし数へ日や 和繁
日記買ふ同じところで同じころ わたる
討ち入りの日など忘れて十四日 明日香
木の葉追ふ揺れて音だすランドセル 愛正
冬耕すまだ頑張ると卒寿翁 かかし
寒風に歪む球筋テニスかな ぽんこ
寄せ鍋や妻の菜園主役なり 愛正
書く予定なき母へなほ手帳買ふ せいじ
クロワッサン所望の吾子や風邪の夜 こすもす
手を翳し燭もて渡る待降節 むべ
後四日退院またる年の暮れ 董雨
幸せやいつものように賀状書く 明日香
クリスマスソングで包む柩かな あひる
隣家より紅葉ひとひら石の上 えいじ
セコイアに赤らむ枯葉夕日影 康子
ただ一人遅れて登校霜の朝 みきお
灯台の元に群れゐるゆりかもめ なつき
一輪の咲きて明るし冬薔薇 こすもす
散り敷ける落葉の径踏む靴は赤 よし女
大根やざくりと切れば転げだす あひる
玉あられ手のひら広ぐ登校子 わたる
美しきエンゼルメイク冬薔薇 せいじ
満月に祝福受ける誕生日 もとこ
公園のシニア並びて日向ぼこ ふさこ
朝日背に背伸び干す我息白し きよえ

2024年12月16日

枇杷の花無音の朝によく匂ふ えいじ
フレームやベンチに赤きサンタ座す えいじ
雪の窓根も蔓も伸ぶグラス芋 ほたる
漂ひて釣りを忘れる小春凪 わたる
新コロナ流行る年の瀬缶詰に 董雨
葉牡丹の渦の日毎に緩みをり 澄子
妹を気遣ふ兄や聖夜劇 せいじ
なだらかな富士の山容冬落暉 むべ
本殿の龍の目と合ふ年用意 ぽんこ
しろがねの冬満月の揺るぎなし 澄子
燭火礼拝気ままにゆらぐ炎かな あひる
裸木の囲む校庭子ら駆ける みきえ
サンタとは被らぬやうにプレゼント 康子
冬の土手穂すすきの続く挨拶 明日香
老二人雑炊で足る夕餉かな みきお
寒菊の膨らむ蕾日々覗く よし女
五十分もの電車の遅れ今朝の雪 こすもす
雨雪や横断歩道の子ら青く 和繁
寄せ鍋や孫嫁意外に鍋奉行 愛正
冬の月静謐流る最上川 わたる
年の瀬やリハビリ部屋で二三日 董雨
百本の懸大根や夕日燦 かかし
遠山の日毎色濃く装へり やよい
山肌にいくつもの影冬の雲 明日香
顔歪むぎつくり腰に来る嚔 うつぎ
雪起こし杉の木裂いて黒き跡 ほたる
生かされしことに感謝の日記買ふ 康子
束買ひのごんぼ埋めるや冬の畑 千鶴
寒天のヘリのペラの音重たげな きよえ
朝月に子も飛び起きる近さかな そうけい
イベントへの参加断念今朝の雪 こすもす
冬の街ど真ん中には通天閣 もとこ
兄弟で継ぎし千枚漬の店 せいじ
手作りの友の干し柿甘きかな 千鶴
吹きだまり落ち葉踏み付け鬼ごつこ ふさこ
口ゆすぐ水の冷たし身の縮む きよえ
山裾に現れ消える時雨虹 みきお
冬の月戸を開閉し影を追ふ そうけい
街師走親子第九の駅ピアノ かかし
少年ら枯野に影となる落暉 あひる
本堂を出づる通夜僧冬の月 愛正
針葉樹青白く染め冴ゆる月 むべ

2024年12月15日

万両の実と葉しづかに輝けり 和繁
傘の端に紅葉一枚陶狸 えいじ
一年を生きて冬咲くシクラメン えいじ
線香の煙る墓石へ冬日射 康子
ひとり居に広すぎる家寒灯 うつぎ
師走月病院食の遅きこと 董雨
足音に混じる水音冬昴 風民
モダンなる遺愛の火鉢蘆花の家 むべ
時雨雲かつらぎ金剛烟らせて 明日香
時雨虹二度見た朝や弾む胸 わたる
棚つけて模様替えせる年の暮 なつき
正客の席改る野水仙 澄子
燗酒に店の喧騒混ざりけり わたる
落ち葉焚き芋も一緒に焼きにけり 千鶴
天窓に融け残る雪濃く薄く 和繁
跡継ぎの覚悟の眉間炭を焼く かかし
歳末やしわの補助券束ねたる なつき
二〇二五の文字は葉牡丹グラデーション こすもす
寒風にはためく更地売り出し中 みきえ
母に手を引かれをさなら聖夜劇 むべ
子供らの朝の挨拶息白し みきお
冬の菊随意陽を追ふ庭隅に 愛正
ゆさゆさと千両の実の零るかな きよえ
一服の茶も気忙しく暮早し 千鶴
牧師より貰ふ絵本やクリスマス あひる
泥被る立て横ななめ蓮の骨 きよえ
屋根走る軽き物音夜半の雪崩 ほたる
延々と華やぐ歩道銀杏黄葉 やよい
年の瀬や三日続けて医者通ひ せいじ
銀杏落葉廃校跡の尊徳像 かかし
銀杏葉をかけ合ひ遊ぶ子供かな みきお
冬ざるる詣る人なき古社 もとこ
シュトレンに似し干し柿と柚子の菓子 せいじ
あれこれと少しづつメモ年用意 ふさこ
新しき家に声ある十二月 風民
宝くじジャンボかミニか年の暮 みきえ
老母の喉ゆるりと滑れ芋の粥 あひる
竹藪に色を添へたる藪柑子 澄子
退院や窓越しではない冬の月 康子
わが影は斜め後ろに冬夕焼 明日香
木の葉雨落ちて舞い上ぐ風の道 愛正

2024年12月14日

巨の緋熊観覧の母子立ち尽くす えいじ
枯れ菊に腰深くして名残の香 たか子
仕舞風呂お腹に響く雪起こし こすもす
夕晴れる高く明るく冬の月 きよえ
古民家の軋む広縁北塞ぐ むべ
雑踏の居心地良さよ日記買ふ わたる
おかわりを所望の紳士りんごパン あひる
年忘れ闘う国の人今は ふさこ
嵐去ぬ裸木照らす月明かり 愛正
凍て蝶の動かざるまま夜に入る 澄子
メモを消す線の込み入る古暦 なつき
冬座敷鳥の形の釘隠し むべ
我よりも若き人逝き日記果つ うつぎ
血圧に一喜一憂冬の朝 よう子
寒菊や畝盛り上げて黄花盛り きよえ
風呂上がり喉を潤す寒の水 みきお
風邪の床珈琲の香のうつつかな なつき
寒禽の棕櫚突く群の騒し朝 そうけい
厨窓尾長の群に恐ささえ そうけい
歳晩や千両箱に目の眩み せいじ
人生初トップに並ぶ年の市 みきえ
裏庭は風の狼藉柿落葉 よし女
猫舌の鍋焼きうどん七回転 ぽんこ
シュトレンを一センチづつ待降節 せいじ
対向車屋根にうっすら雪のせて こすもす
冬空の雲何層なるも一閃ありぬ 明日香
朱点の妣の歳時記雪しまき ほたる
オリオンの沈みし方に出航す わたる
夕焼けの色変わりつつ沈み行く 董雨
白熱の学び聖菓に和みけり あひる
水枯れの太き罅入る水路かな えいじ
スピッツや屏風の虎に咆哮す 澄子
地を跳ねてさっと降りやむ霰かな 千鶴
神殿を歩む花嫁冬日和 山椒
小袋のおかか揉み込む冬厨 みきえ
七草籠といふものありて出荷待つ 和繁
近付くる救急車の音にはか雪 和繁
牛ふんの寒肥の落下田んぼまで 千鶴
十二月街ゆく人に追はれけり もとこ
船べりを叩く冬波日本海 みきお
枯れ尾花なぞえに続く列なして 明日香

2024年12月13日

一切れの肝譲り合ふ鮟鱇鍋 うつぎ
側溝のガサガサ音や冬紅葉 ふさこ
不遜なる自画像映し冬鏡 澄子
嫁駕籠は斯くも小さきか冬館 せいじ
菰巻きの松の見守る寺内墓地 愛正
はぐれたる我を呼ぶ声歳の市 澄子
さざなみに日差し耀ふ冬の川 むべ
腰痛の立居離せぬホッカイロ よし女
太割す薪の小山や冬支度 むべ
音止めど秒針の音と冬の雨 そうけい
小松菜のポリでもみ込む即席漬 ぽんこ
朝日燦小鳥囀る深雪晴れ ほたる
トーンチャイム鳴らして冬のハーモニー 千鶴
中庭へ四方より集ふ落葉かな 康子
空高し村の踊りの稽古笛 わたる
四日振りの風呂は熱めに風邪癒えて なつき
入院を癒す聖樹の瞬く灯 康子
着膨れて路地に犇めく吟行子 せいじ
釣竿の波間擦れ擦れ冬の鳥 きよえ
舟底を晒す釣り舟冬川原 みきお
病癒え茶の花ふふむ庭に下り なつき
新聞を炬燵に読んで忘れたり よし女
寒禽や狛犬金の眼剥く うつぎ
注連作り聞いても見てもねじれない 明日香
たこやきのおかかちりちり冬の街 もとこ
花苗のプレゼント有り年の市 みきえ
プランターぎっしり植わるミニ葉牡丹 こすもす
真白なる雪置かれ佳き梅の枝 和繁
二〇二五の葉牡丹文字や堤防に こすもす
凍雨やひとり昼餉の幽かなり そうけい
猛然とバレルぶん投ぐ北極熊 えいじ
冬座敷比叡六甲を見晴るかす はく子
ふたかみへ天使の梯子冬日差し 明日香
冬鵙に叱られてをる吟行子 えいじ
寄せる波揺り籠とす浮寝鳥 みきお
無音なり窓を開ければ雪二尺 ほたる
小鳥来る村の社の鬼飾り わたる
枝しなるサンタ夫妻のキス人形 あひる
時雨ども急かぬ見納め渡月橋 よう子
神木を懐きて生ゆや冬の菊 きよえ
団欒を映し聖樹の金の鈴 あひる

2024年12月12日

裸木の伐採予告の赤きひも そうけい
椋の巨木のベストアングル冬雲と こすもす
ひび割れし道白銀の霜が継ぐ 和繁
単線の行き着く先の紅葉山 むべ
熊の肝胃薬として噛むマタギ みきお
凍空に掲ぐ松明被団協 山椒
冬の波止潮路に船の影落し きよえ
ハイタッチして往く児らや散紅葉 せいじ
晴れ渡る冬空東京スカイツリー 山椒
夕映えに輝き魅せる冬紅葉 ふさこ
時雨きて墓参を迎ふ冬の虹 あられ
立石の名は乳母石か枯木立 明日香
白壁に濁流の跡秋出水 みきお
枯木より洩れくる夕日アトリウム 康子
豆柿は鳥の目こぼし三つ四つ うつぎ
園丁の箒の先の藪柑子 澄子
江戸時代に誘う館年惜しむ こすもす
待ち人の左見右見して十二月 もとこ
子の笑顔電飾灯るクリスマス ぽんこ
マフラーを巻けば闊歩の歩幅かな 風民
冬ざれや凛とランタナ紅灯す えいじ
煤払ひ作業中断品不足 みきえ
年用意妻の広ぐるレシピ帳 愛正
門ごとに色違う菊京街道 あひる
座布団の少し膨らむ小春かな わたる
苔帯びる庭のもちの木冬日燦 千鶴
老いの手に出来ぬこと多々年用意 董雨
館ぬくし大判小判に触れもして たか子
買い物にまんまと拾ふ流行り風邪 なつき
天守閣命綱付け煤払ひ みきえ
初咲きの山茶花を愛ず箒持ち よし女
木枯しに素知らぬ体の昼の月 たかを
夕食は桃太郎寿司鰆食ぶ 董雨
湯たんぽにひと賑わいの厨かな あひる
柊や背伸びして寄す花も香も よう子
オブジェかな東の空の冬霞 きよえ
夢追ひて九州場所の初賜杯 わたる
金色の日光浴や桑黄葉 むべ
息白し園児日課のランニング なつき
鳥眠るレクイエムなる冬の凪 えいじ
約束の日のまだ二三古暦 うつぎ
街の灯に頻る数多の冬の星 そうけい
映画館出でて遥かに雪の嶺 風民
名優のかつての邸冬紅葉 せいじ
小火鉢や古老の語り聴き入りぬ 澄子

2024年12月11日

着膨れの一塊となりペダルこぐ 澄子
豆柿や大き葉陰のかくれんぼ あひる
着膨れの爺一葉手に紅の富士 ほたる
初咲きの山茶花を愛ず箒持ち よし女
杣山に常磐木もあり冬もみぢ むべ
着水の角度違はぬ番鴨 澄子
うがひして見上ぐ天井冬の蜘蛛 みきえ
父の顔ほころぶ夕餉初秋刀魚 みきお
淀川を照らす目潰し大西日 ぽんこ
冬ざれやびんづるさんの足撫でる もとこ
一群の風と波打つ落葉かな えいじ
六代の将軍の墓所枯れ葉散る 山椒
寄鍋を小鉢取置き幼の膳 きよえ
風道に傾ぐ枯葦順送り そうけい
里芋を再び畑に眠らせり 風民
皹や力の入らぬ指の先 みきえ
目深帽ジョガーの鼓動息白し ほたる
吟行子樹下に集へば小鳥来る あひる
病院のホールのピアノ冬の雨 和繁
通夜僧や法衣浮き立つ冬の月 愛正
冬紅葉宝ヶ池を耀かせ 明日香
あちこちに幾何学模様枯はちす みきお
薪割りの音聞く里や日短し むべ
屋敷神守り秘せるや竜の玉 風民
年の瀬や飛び乗る女性専用車 せいじ
ワイパーを掴む落葉や何処までも えいじ
冬日燦渡り廊下の窓一面 康子
比叡山雑木増えしや冬紅葉 明日香
廃線に想い出募る冬うらら ふさこ
妹弟に手渡す大根ちんげん菜 千鶴
隣り合ふ寺院とチャペル冬ぬくし せいじ
夜の冷えて又負かされる囲碁試合 董雨
窓磨き空晴れ渡る年の暮れ 山椒
通学路おしゃべり子等の息白し きよえ
ブロッコリー三倍の葉に凹み居り そうけい

2024年12月10日

隣席は無口な老婆夜鷹蕎麦 澄子
茶の花や褪せし枝折戸軋みけり せいじ
剪定を了へて青空近づきぬ 澄子
忘年会少し広すぎ大広間 あひる
掃かず置く友来る庭の散紅葉 風民
古刹訪ふ資料片手に冬うらら 明日香
年木樵虫を目当ての小鳥どち むべ
冬の空綿菓子の様千切れ雲 きよえ
冬夕日目映し光天地被ふ きよえ
二色なる懸崖菊や玄関前 こすもす
叡山の白く尖りて十二月 もとこ
朝さんぽ手袋の要る候となり 千鶴
若者やなんでもネットクリスマス ふさこ
あの人もこの人も逝き冬の月 山椒
花八手鈍き動きの蝿とどむ 愛正
聞き耳はたてて寝てをる緋熊かな えいじ
分校の赤屋根低く山装ふ むべ
塔跡や礎石探して落葉掃く 明日香
息白し唯一一回の道歩く えいじ
池の鷺落ち葉の中の立ち往生 そうけい
クレ−タ−撮れたと笑顔昼の月 そうけい
コンサート果てる余韻に寒北斗 たか子
絡みあふ蛇の冬眠毬のごと みきお
神苑の埋もれたくて踏む落葉 うつぎ
玉葱植ゑ終ゆる安堵や冬あかね 千鶴
茶の花を愛でんと寄ればセコム音 せいじ
水鳥のひしめく小沼かしましき みきお
桜は黒銀杏は白と裸の木 和繁
重けれどタイムセールの大根買ふ みきえ
谷根千に並ぶ行列和栗カフェ 山椒
両脇は川となりたる銀杏落葉 ぽんこ
狛犬の前爪欠けたる神の留守 よし女
一メートル程の鉢植枇杷の花 こすもす

2024年12月09日

意を決し賀状仕舞ひの電話する 千鶴
もみづれる島へ伸びたる大架橋 みきえ
水鳥のひしめく小沼かしましき みきお
来る年のリュックに突き刺すカレンダー うつぎ
浪速の冬ビルの谷間の八軒屋 ふさこ
茶の花や金の蘂にも夕翳り むべ
忙しさの無き年となり師走かな えいいち
山茶花のほどけてのぞく朱唇かな よし女
星空をなぞるひと刷毛息白し えいじ
茶で乾杯大川望む年忘れ もとこ
病窓へ青空透かす冬木立 康子
清水や夕照浴びし峪紅葉 山椒
子ら遊ぶ障子明かりの影絵かな 愛正
千秋楽のライブビュー見し年の暮 なつき
朱の綸子障子明りに地紋浮く むべ
着膨れにされて乗りたる車椅子 康子
たちまちに散紅葉なる一樹かな 風民
ぼんぼりは茶筅の形園小春 せいじ
すれすれに顔だけ出した冬たんぽぽ 明日香
ちやんちやんこ亡母の温もり背なに逢ふ きよえ
忘年会十人に余る大広間 あひる
風筋の残り紅葉振るわせて ぽんこ
寒波背に登校する子みな無口 みきお
冬茜ノルウェーに立つ被団協 山椒
竹隠てふ古びし茶室竹の春 せいじ
塑像めく綺羅の海見る冬の鷺 えいじ
陽光に煌めく凪の冬の海 みきえ
柚子の湯の湯ぶくれ柚子と戯るや きよえ
雪吊りの松のなにやら華やぎぬ 澄子
すれ違う軽トラ同士山眠る こすもす
冬の館響かせ第九大合唱 たか子
三輪山を背に素麺の干してあり 明日香
ライブ終へ溜めたる咳を払ひたり なつき
朝日燦雪の山並み朱となりぬ 和繁
凝らし見る紅葉に染まる枝の鳥 そうけい
夕暮れの闇しんしんと白椿 澄子
大空に光透かして冬の鷺 あひる
一吹きの梢雪花たち去りぬ ほたる

2024年12月08日

珍しき竹の種あまた園小春 せいじ
岩山のドレスアップや冬紅葉 きよえ
チェロの音に船を漕ぎたり暖房裡 うつぎ
スマホ手にゲームうつつや暮易し 千鶴
木の股の朝日に憩ふ寒雀 むべ
ゆく年を一字に込めり清水寺 山椒
師走なり足音もなく迫り来る ふさこ
大谷に始まり終えり去年今年 山椒
椀並べ締めの雑炊取り分けり なつき
スタジアム前の応援合戦片時雨 こすもす
綿吹きし背高泡立草枯る えいじ
くちばしで田のみみず振る冬の鷺 明日香
梔子の実は黄金の小瓶めく せいじ
群れなせば入り交じりたる鴨の水脈 えいじ
来年のカレンダー届き予定書く 董雨
小雨中椀に溢るる大根焚 もとこ
着けてみる吾子少年の日の手套 あひる



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