2024年12月20日 | |
歳晩の楽屋に並ぶ木偶虚ろ | 千鶴 |
押し通す袖なしダウン烈風裡 | せいじ |
切り過ぎて咲かぬ山茶花からす鳴く | よう子 |
クリスマスソングに果てしお茶の会 | あひる |
ゆく年の出来事思ふ柚子湯かな | わたる |
リハビリの予約の取れぬ年の暮 | そうけい |
妻すする饂飩湯気立つ亭午かな | えいじ |
ごうごうとストーヴが鳴る今朝は雪 | 和繁 |
三歳柚子やうやう出番の冬至風呂 | 愛正 |
冬の波皆老いゐたり島の友 | うつぎ |
クリニック咳を隠して受信せり | よし女 |
ひだまりの庭黄水仙早咲きぬ | ほたる |
突き抜けて紺碧となる冬の空 | たか子 |
寒禽の山城趾に高鳴きす | むべ |
落葉浮く水面に戯む鳥もをり | ふさこ |
保母さんは木の実のお礼抱きしめる | なつき |
凍空や天地染め行く大夕焼 | きよえ |
臥す母もつられてクリスマスソング | あひる |
熱き茶をたっぷり淹れて冬至かな | わたる |
数え日や会計監査無事終了 | こすもす |
想ひ出の嬰の祝着干す小春 | 康子 |
鷺渉る枯蘆原のさざなみす | むべ |
書き込みのペン痕混みし古ごよみ | 千鶴 |
差羽舞ふ宮古の空やぬける青 | 明日香 |
湯豆腐の面の次第にゆるびをり | 風民 |
年の瀬や買物がてらボディーケア | せいじ |
旋風追い越し急ぐ師走かな | 澄子 |
蔵鍵音一幅抱へ年用意 | ほたる |
紺碧の湖へ張り出す金鈴子 | うつぎ |
江戸柿の蔕に隠れし郷の渋 | えいじ |
老ぬれば万事がスロウ年用意 | もとこ |
グランドゴルフ残り二回や暮早し | こすもす |
ひと枝にこえのあつまる冬桜 | 澄子 |
草枯の歩く足もと速くなり | 明日香 |
二人して父の背流す年の暮れ | たかを |
臥せし日の空白を埋め日記果つ | 康子 |
足下により来る枯葉色褪すや | きよえ |
2024年12月19日 | |
一村のアダン見たくて冬の島 | 明日香 |
ひとすぢの畦焼く煙山日和 | むべ |
冬の月狭庭に染みめく影黒し | そうけい |
手でつまみ見る干し柿の出来具合 | はく子 |
波の間に浮き沈みする浮寝鳥 | みきお |
良きことのある夜は燗と決めてをり | わたる |
俳句誌の友より届く冬満月 | 山椒 |
吸盤を残し土壁蔦枯るる | みきお |
艶やかに豆を煮あげて冬籠 | 澄子 |
冬鷺の光反して並む河岸 | あひる |
小晦日付けもて贈る笹かまを | せいじ |
冬晴を遮る翼群れ鴉 | きよえ |
空っ風足場踏み締むザレ場かな | 愛正 |
青灰の羽根に日を抱く百合鴎 | えいじ |
山茶花の籬の小径たもとほる | 澄子 |
臥す母に障子開ければ日矢差しぬ | せいじ |
冬晴や綺羅の波立つ日間賀島 | えいじ |
ひとつづつついばむ鳥や木守柿 | ほたる |
来る年の予定書き込む暦かな | みきえ |
語らひの時を惜しみて日短 | うつぎ |
討ち入りの日の結末は南座で | もとこ |
誰ぞくる落葉踏む音近かずきぬ | ふさこ |
冬日差し図書館棚の薄ぼこり | わたる |
冬日向行きつ戻りつウォーキング | 康子 |
年の瀬やずつと遊具の工事中 | なつき |
教会の電飾やさしクリスマス | あひる |
蒼穹に線画を描く枯木立 | むべ |
囀りて煌く光深雪晴れ | ほたる |
空の蒼うつす宮古の冬の海 | 明日香 |
山頂は雲を抜きいで冬空へ | 和繁 |
足弱の試歩の訓練師走街 | ぽんこ |
今年限りの店や早目の晦日蕎麦 | こすもす |
海光に熟れゆく蜜柑島育ち | 千鶴 |
参詣後コンビニにて買ふおでん | よし女 |
冬の朝席譲らるる予約の日 | きよえ |
もみづりて白際立ちぬ白樺 | 康子 |
検索でスリッパ選ぶ年用意 | なつき |
2024年12月18日 | |
押入れの奥に陽届く冬日かな | わたる |
テニスコート舞い込む落葉占むる試合 | ぽんこ |
予定表と兼用仕様日記買う | こすもす |
冬旅やちぎれた綿の雲の上 | 明日香 |
木の葉追ふ揺れて音だすランドセル | 愛正 |
名も知らぬ冬の黄花の影あかり | えいじ |
寒鴉威嚇の激し飛び行きぬ | きよえ |
ペットカフェの玻璃に迫れり冬怒涛 | なつき |
冬薔薇日をいつぱいに花心まで | うつぎ |
ひづみつつ冬の立待月さやか | 和繁 |
ひとひらの紅葉回転して落つる | 康子 |
寒暁に残る星またたきにけり | むべ |
挫く身を励ます冬の虫勇む | きよえ |
山々を見据え皇帝ダリアかな | 風民 |
しばらくは吾子戻り来ず山眠る | あひる |
良夜なり路地くねくねと先斗町 | もとこ |
閑けさや鉄瓶沸る冬座敷 | 澄子 |
橋の上二人の会話息白し | みきお |
冬灯下くらわんか舟の欠け茶碗 | はく子 |
打上げの失敗無念冬の波止 | せいじ |
咳ひとつ放つジョガーや川堤 | あひる |
数え日や明日退院の許し出る | 董雨 |
寄せ鍋の湯気に溶け込む笑顔かな | 愛正 |
皹やひとつ癒へるやまたひとつ | みきえ |
光りつつ鳥の群れめく木の葉舞ふ | むべ |
北風を連れて自転車過ぎゆけり | よう子 |
カラフルな帽子の卒寿冬耕す | かかし |
山眠る母の実家の遠くなり | わたる |
落葉踏む音のいつしか揃ひたり | 風民 |
裸木を見ていて嚏立て続け | よし女 |
ロケットの白煙残る小春空 | せいじ |
格子影切り絵線なす冬の月 | そうけい |
試着幾つ手作りやめて冬帽子 | こすもす |
実千両生け終えし今1人なり | ふさこ |
急傾斜足踏ん張って探梅行 | みきお |
東雲に染むる三棟霜を踏む | ほたる |
日溜まりへそっと押しやる冬飛蝗 | 澄子 |
裸木の隙間埋めたる鳥の影 | 康子 |
冬浜の端の日だまり月見草 | なつき |
漱石忌褪せし全集再読す | かかし |
道狭ばを下りて青海や冬の知多 | えいじ |
鼻風邪やたまらずティッシュ傍らに | 千鶴 |
深井戸に映る自分と冬の雲 | 明日香 |
2024年12月17日 | |
冬晴の朝鳥も早早飛び交ふや | きよえ |
双鳥の絡み高舞う冬の浜 | えいじ |
王朝のドラマ完結年惜しむ | 千鶴 |
炭焼の煤けし顔の八重歯かな | かかし |
雑木林幹もベンチも冬日向 | 風民 |
幾度なる落枝落下の熊の跡 | ほたる |
ビルあはひ冬満月の煌々と | 澄子 |
軒掛の夕日に凍てる輪樏 | ほたる |
冬霞島の街並みおもちゃめく | なつき |
散歩道試歩に優しき落葉かな | 康子 |
手を添えて老が教える注連作 | みきお |
市庁舎に見下ろす銀杏黄葉かな | むべ |
巣立つ子の荷箱並びし数へ日や | 和繁 |
日記買ふ同じところで同じころ | わたる |
討ち入りの日など忘れて十四日 | 明日香 |
木の葉追ふ揺れて音だすランドセル | 愛正 |
冬耕すまだ頑張ると卒寿翁 | かかし |
寒風に歪む球筋テニスかな | ぽんこ |
寄せ鍋や妻の菜園主役なり | 愛正 |
書く予定なき母へなほ手帳買ふ | せいじ |
クロワッサン所望の吾子や風邪の夜 | こすもす |
手を翳し燭もて渡る待降節 | むべ |
後四日退院またる年の暮れ | 董雨 |
幸せやいつものように賀状書く | 明日香 |
クリスマスソングで包む柩かな | あひる |
隣家より紅葉ひとひら石の上 | えいじ |
セコイアに赤らむ枯葉夕日影 | 康子 |
ただ一人遅れて登校霜の朝 | みきお |
灯台の元に群れゐるゆりかもめ | なつき |
一輪の咲きて明るし冬薔薇 | こすもす |
散り敷ける落葉の径踏む靴は赤 | よし女 |
大根やざくりと切れば転げだす | あひる |
玉あられ手のひら広ぐ登校子 | わたる |
美しきエンゼルメイク冬薔薇 | せいじ |
満月に祝福受ける誕生日 | もとこ |
公園のシニア並びて日向ぼこ | ふさこ |
朝日背に背伸び干す我息白し | きよえ |
2024年12月16日 | |
枇杷の花無音の朝によく匂ふ | えいじ |
フレームやベンチに赤きサンタ座す | えいじ |
雪の窓根も蔓も伸ぶグラス芋 | ほたる |
漂ひて釣りを忘れる小春凪 | わたる |
新コロナ流行る年の瀬缶詰に | 董雨 |
葉牡丹の渦の日毎に緩みをり | 澄子 |
妹を気遣ふ兄や聖夜劇 | せいじ |
なだらかな富士の山容冬落暉 | むべ |
本殿の龍の目と合ふ年用意 | ぽんこ |
しろがねの冬満月の揺るぎなし | 澄子 |
燭火礼拝気ままにゆらぐ炎かな | あひる |
裸木の囲む校庭子ら駆ける | みきえ |
サンタとは被らぬやうにプレゼント | 康子 |
冬の土手穂すすきの続く挨拶 | 明日香 |
老二人雑炊で足る夕餉かな | みきお |
寒菊の膨らむ蕾日々覗く | よし女 |
五十分もの電車の遅れ今朝の雪 | こすもす |
雨雪や横断歩道の子ら青く | 和繁 |
寄せ鍋や孫嫁意外に鍋奉行 | 愛正 |
冬の月静謐流る最上川 | わたる |
年の瀬やリハビリ部屋で二三日 | 董雨 |
百本の懸大根や夕日燦 | かかし |
遠山の日毎色濃く装へり | やよい |
山肌にいくつもの影冬の雲 | 明日香 |
顔歪むぎつくり腰に来る嚔 | うつぎ |
雪起こし杉の木裂いて黒き跡 | ほたる |
生かされしことに感謝の日記買ふ | 康子 |
束買ひのごんぼ埋めるや冬の畑 | 千鶴 |
寒天のヘリのペラの音重たげな | きよえ |
朝月に子も飛び起きる近さかな | そうけい |
イベントへの参加断念今朝の雪 | こすもす |
冬の街ど真ん中には通天閣 | もとこ |
兄弟で継ぎし千枚漬の店 | せいじ |
手作りの友の干し柿甘きかな | 千鶴 |
吹きだまり落ち葉踏み付け鬼ごつこ | ふさこ |
口ゆすぐ水の冷たし身の縮む | きよえ |
山裾に現れ消える時雨虹 | みきお |
冬の月戸を開閉し影を追ふ | そうけい |
街師走親子第九の駅ピアノ | かかし |
少年ら枯野に影となる落暉 | あひる |
本堂を出づる通夜僧冬の月 | 愛正 |
針葉樹青白く染め冴ゆる月 | むべ |
2024年12月15日 | |
万両の実と葉しづかに輝けり | 和繁 |
傘の端に紅葉一枚陶狸 | えいじ |
一年を生きて冬咲くシクラメン | えいじ |
線香の煙る墓石へ冬日射 | 康子 |
ひとり居に広すぎる家寒灯 | うつぎ |
師走月病院食の遅きこと | 董雨 |
足音に混じる水音冬昴 | 風民 |
モダンなる遺愛の火鉢蘆花の家 | むべ |
時雨雲かつらぎ金剛烟らせて | 明日香 |
時雨虹二度見た朝や弾む胸 | わたる |
棚つけて模様替えせる年の暮 | なつき |
正客の席改る野水仙 | 澄子 |
燗酒に店の喧騒混ざりけり | わたる |
落ち葉焚き芋も一緒に焼きにけり | 千鶴 |
天窓に融け残る雪濃く薄く | 和繁 |
跡継ぎの覚悟の眉間炭を焼く | かかし |
歳末やしわの補助券束ねたる | なつき |
二〇二五の文字は葉牡丹グラデーション | こすもす |
寒風にはためく更地売り出し中 | みきえ |
母に手を引かれをさなら聖夜劇 | むべ |
子供らの朝の挨拶息白し | みきお |
冬の菊随意陽を追ふ庭隅に | 愛正 |
ゆさゆさと千両の実の零るかな | きよえ |
一服の茶も気忙しく暮早し | 千鶴 |
牧師より貰ふ絵本やクリスマス | あひる |
泥被る立て横ななめ蓮の骨 | きよえ |
屋根走る軽き物音夜半の雪崩 | ほたる |
延々と華やぐ歩道銀杏黄葉 | やよい |
年の瀬や三日続けて医者通ひ | せいじ |
銀杏落葉廃校跡の尊徳像 | かかし |
銀杏葉をかけ合ひ遊ぶ子供かな | みきお |
冬ざるる詣る人なき古社 | もとこ |
シュトレンに似し干し柿と柚子の菓子 | せいじ |
あれこれと少しづつメモ年用意 | ふさこ |
新しき家に声ある十二月 | 風民 |
宝くじジャンボかミニか年の暮 | みきえ |
老母の喉ゆるりと滑れ芋の粥 | あひる |
竹藪に色を添へたる藪柑子 | 澄子 |
退院や窓越しではない冬の月 | 康子 |
わが影は斜め後ろに冬夕焼 | 明日香 |
木の葉雨落ちて舞い上ぐ風の道 | 愛正 |
2024年12月14日 | |
巨の緋熊観覧の母子立ち尽くす | えいじ |
枯れ菊に腰深くして名残の香 | たか子 |
仕舞風呂お腹に響く雪起こし | こすもす |
夕晴れる高く明るく冬の月 | きよえ |
古民家の軋む広縁北塞ぐ | むべ |
雑踏の居心地良さよ日記買ふ | わたる |
おかわりを所望の紳士りんごパン | あひる |
年忘れ闘う国の人今は | ふさこ |
嵐去ぬ裸木照らす月明かり | 愛正 |
凍て蝶の動かざるまま夜に入る | 澄子 |
メモを消す線の込み入る古暦 | なつき |
冬座敷鳥の形の釘隠し | むべ |
我よりも若き人逝き日記果つ | うつぎ |
血圧に一喜一憂冬の朝 | よう子 |
寒菊や畝盛り上げて黄花盛り | きよえ |
風呂上がり喉を潤す寒の水 | みきお |
風邪の床珈琲の香のうつつかな | なつき |
寒禽の棕櫚突く群の騒し朝 | そうけい |
厨窓尾長の群に恐ささえ | そうけい |
歳晩や千両箱に目の眩み | せいじ |
人生初トップに並ぶ年の市 | みきえ |
裏庭は風の狼藉柿落葉 | よし女 |
猫舌の鍋焼きうどん七回転 | ぽんこ |
シュトレンを一センチづつ待降節 | せいじ |
対向車屋根にうっすら雪のせて | こすもす |
冬空の雲何層なるも一閃ありぬ | 明日香 |
朱点の妣の歳時記雪しまき | ほたる |
オリオンの沈みし方に出航す | わたる |
夕焼けの色変わりつつ沈み行く | 董雨 |
白熱の学び聖菓に和みけり | あひる |
水枯れの太き罅入る水路かな | えいじ |
スピッツや屏風の虎に咆哮す | 澄子 |
地を跳ねてさっと降りやむ霰かな | 千鶴 |
神殿を歩む花嫁冬日和 | 山椒 |
小袋のおかか揉み込む冬厨 | みきえ |
七草籠といふものありて出荷待つ | 和繁 |
近付くる救急車の音にはか雪 | 和繁 |
牛ふんの寒肥の落下田んぼまで | 千鶴 |
十二月街ゆく人に追はれけり | もとこ |
船べりを叩く冬波日本海 | みきお |
枯れ尾花なぞえに続く列なして | 明日香 |
2024年12月13日 | |
一切れの肝譲り合ふ鮟鱇鍋 | うつぎ |
側溝のガサガサ音や冬紅葉 | ふさこ |
不遜なる自画像映し冬鏡 | 澄子 |
嫁駕籠は斯くも小さきか冬館 | せいじ |
菰巻きの松の見守る寺内墓地 | 愛正 |
はぐれたる我を呼ぶ声歳の市 | 澄子 |
さざなみに日差し耀ふ冬の川 | むべ |
腰痛の立居離せぬホッカイロ | よし女 |
太割す薪の小山や冬支度 | むべ |
音止めど秒針の音と冬の雨 | そうけい |
小松菜のポリでもみ込む即席漬 | ぽんこ |
朝日燦小鳥囀る深雪晴れ | ほたる |
トーンチャイム鳴らして冬のハーモニー | 千鶴 |
中庭へ四方より集ふ落葉かな | 康子 |
空高し村の踊りの稽古笛 | わたる |
四日振りの風呂は熱めに風邪癒えて | なつき |
入院を癒す聖樹の瞬く灯 | 康子 |
着膨れて路地に犇めく吟行子 | せいじ |
釣竿の波間擦れ擦れ冬の鳥 | きよえ |
舟底を晒す釣り舟冬川原 | みきお |
病癒え茶の花ふふむ庭に下り | なつき |
新聞を炬燵に読んで忘れたり | よし女 |
寒禽や狛犬金の眼剥く | うつぎ |
注連作り聞いても見てもねじれない | 明日香 |
たこやきのおかかちりちり冬の街 | もとこ |
花苗のプレゼント有り年の市 | みきえ |
プランターぎっしり植わるミニ葉牡丹 | こすもす |
真白なる雪置かれ佳き梅の枝 | 和繁 |
二〇二五の葉牡丹文字や堤防に | こすもす |
凍雨やひとり昼餉の幽かなり | そうけい |
猛然とバレルぶん投ぐ北極熊 | えいじ |
冬座敷比叡六甲を見晴るかす | はく子 |
ふたかみへ天使の梯子冬日差し | 明日香 |
冬鵙に叱られてをる吟行子 | えいじ |
寄せる波揺り籠とす浮寝鳥 | みきお |
無音なり窓を開ければ雪二尺 | ほたる |
小鳥来る村の社の鬼飾り | わたる |
枝しなるサンタ夫妻のキス人形 | あひる |
時雨ども急かぬ見納め渡月橋 | よう子 |
神木を懐きて生ゆや冬の菊 | きよえ |
団欒を映し聖樹の金の鈴 | あひる |
2024年12月12日 | |
裸木の伐採予告の赤きひも | そうけい |
椋の巨木のベストアングル冬雲と | こすもす |
ひび割れし道白銀の霜が継ぐ | 和繁 |
単線の行き着く先の紅葉山 | むべ |
熊の肝胃薬として噛むマタギ | みきお |
凍空に掲ぐ松明被団協 | 山椒 |
冬の波止潮路に船の影落し | きよえ |
ハイタッチして往く児らや散紅葉 | せいじ |
晴れ渡る冬空東京スカイツリー | 山椒 |
夕映えに輝き魅せる冬紅葉 | ふさこ |
時雨きて墓参を迎ふ冬の虹 | あられ |
立石の名は乳母石か枯木立 | 明日香 |
白壁に濁流の跡秋出水 | みきお |
枯木より洩れくる夕日アトリウム | 康子 |
豆柿は鳥の目こぼし三つ四つ | うつぎ |
園丁の箒の先の藪柑子 | 澄子 |
江戸時代に誘う館年惜しむ | こすもす |
待ち人の左見右見して十二月 | もとこ |
子の笑顔電飾灯るクリスマス | ぽんこ |
マフラーを巻けば闊歩の歩幅かな | 風民 |
冬ざれや凛とランタナ紅灯す | えいじ |
煤払ひ作業中断品不足 | みきえ |
年用意妻の広ぐるレシピ帳 | 愛正 |
門ごとに色違う菊京街道 | あひる |
座布団の少し膨らむ小春かな | わたる |
苔帯びる庭のもちの木冬日燦 | 千鶴 |
老いの手に出来ぬこと多々年用意 | 董雨 |
館ぬくし大判小判に触れもして | たか子 |
買い物にまんまと拾ふ流行り風邪 | なつき |
天守閣命綱付け煤払ひ | みきえ |
初咲きの山茶花を愛ず箒持ち | よし女 |
木枯しに素知らぬ体の昼の月 | たかを |
夕食は桃太郎寿司鰆食ぶ | 董雨 |
湯たんぽにひと賑わいの厨かな | あひる |
柊や背伸びして寄す花も香も | よう子 |
オブジェかな東の空の冬霞 | きよえ |
夢追ひて九州場所の初賜杯 | わたる |
金色の日光浴や桑黄葉 | むべ |
息白し園児日課のランニング | なつき |
鳥眠るレクイエムなる冬の凪 | えいじ |
約束の日のまだ二三古暦 | うつぎ |
街の灯に頻る数多の冬の星 | そうけい |
映画館出でて遥かに雪の嶺 | 風民 |
名優のかつての邸冬紅葉 | せいじ |
小火鉢や古老の語り聴き入りぬ | 澄子 |
2024年12月11日 | |
着膨れの一塊となりペダルこぐ | 澄子 |
豆柿や大き葉陰のかくれんぼ | あひる |
着膨れの爺一葉手に紅の富士 | ほたる |
初咲きの山茶花を愛ず箒持ち | よし女 |
杣山に常磐木もあり冬もみぢ | むべ |
着水の角度違はぬ番鴨 | 澄子 |
うがひして見上ぐ天井冬の蜘蛛 | みきえ |
父の顔ほころぶ夕餉初秋刀魚 | みきお |
淀川を照らす目潰し大西日 | ぽんこ |
冬ざれやびんづるさんの足撫でる | もとこ |
一群の風と波打つ落葉かな | えいじ |
六代の将軍の墓所枯れ葉散る | 山椒 |
寄鍋を小鉢取置き幼の膳 | きよえ |
風道に傾ぐ枯葦順送り | そうけい |
里芋を再び畑に眠らせり | 風民 |
皹や力の入らぬ指の先 | みきえ |
目深帽ジョガーの鼓動息白し | ほたる |
吟行子樹下に集へば小鳥来る | あひる |
病院のホールのピアノ冬の雨 | 和繁 |
通夜僧や法衣浮き立つ冬の月 | 愛正 |
冬紅葉宝ヶ池を耀かせ | 明日香 |
あちこちに幾何学模様枯はちす | みきお |
薪割りの音聞く里や日短し | むべ |
屋敷神守り秘せるや竜の玉 | 風民 |
年の瀬や飛び乗る女性専用車 | せいじ |
ワイパーを掴む落葉や何処までも | えいじ |
冬日燦渡り廊下の窓一面 | 康子 |
比叡山雑木増えしや冬紅葉 | 明日香 |
廃線に想い出募る冬うらら | ふさこ |
妹弟に手渡す大根ちんげん菜 | 千鶴 |
隣り合ふ寺院とチャペル冬ぬくし | せいじ |
夜の冷えて又負かされる囲碁試合 | 董雨 |
窓磨き空晴れ渡る年の暮れ | 山椒 |
通学路おしゃべり子等の息白し | きよえ |
ブロッコリー三倍の葉に凹み居り | そうけい |
2024年12月10日 | |
隣席は無口な老婆夜鷹蕎麦 | 澄子 |
茶の花や褪せし枝折戸軋みけり | せいじ |
剪定を了へて青空近づきぬ | 澄子 |
忘年会少し広すぎ大広間 | あひる |
掃かず置く友来る庭の散紅葉 | 風民 |
古刹訪ふ資料片手に冬うらら | 明日香 |
年木樵虫を目当ての小鳥どち | むべ |
冬の空綿菓子の様千切れ雲 | きよえ |
冬夕日目映し光天地被ふ | きよえ |
二色なる懸崖菊や玄関前 | こすもす |
叡山の白く尖りて十二月 | もとこ |
朝さんぽ手袋の要る候となり | 千鶴 |
若者やなんでもネットクリスマス | ふさこ |
あの人もこの人も逝き冬の月 | 山椒 |
花八手鈍き動きの蝿とどむ | 愛正 |
聞き耳はたてて寝てをる緋熊かな | えいじ |
分校の赤屋根低く山装ふ | むべ |
塔跡や礎石探して落葉掃く | 明日香 |
息白し唯一一回の道歩く | えいじ |
池の鷺落ち葉の中の立ち往生 | そうけい |
クレ−タ−撮れたと笑顔昼の月 | そうけい |
コンサート果てる余韻に寒北斗 | たか子 |
絡みあふ蛇の冬眠毬のごと | みきお |
神苑の埋もれたくて踏む落葉 | うつぎ |
玉葱植ゑ終ゆる安堵や冬あかね | 千鶴 |
茶の花を愛でんと寄ればセコム音 | せいじ |
水鳥のひしめく小沼かしましき | みきお |
桜は黒銀杏は白と裸の木 | 和繁 |
重けれどタイムセールの大根買ふ | みきえ |
谷根千に並ぶ行列和栗カフェ | 山椒 |
両脇は川となりたる銀杏落葉 | ぽんこ |
狛犬の前爪欠けたる神の留守 | よし女 |
一メートル程の鉢植枇杷の花 | こすもす |
2024年12月09日 | |
意を決し賀状仕舞ひの電話する | 千鶴 |
もみづれる島へ伸びたる大架橋 | みきえ |
水鳥のひしめく小沼かしましき | みきお |
来る年のリュックに突き刺すカレンダー | うつぎ |
浪速の冬ビルの谷間の八軒屋 | ふさこ |
茶の花や金の蘂にも夕翳り | むべ |
忙しさの無き年となり師走かな | えいいち |
山茶花のほどけてのぞく朱唇かな | よし女 |
星空をなぞるひと刷毛息白し | えいじ |
茶で乾杯大川望む年忘れ | もとこ |
病窓へ青空透かす冬木立 | 康子 |
清水や夕照浴びし峪紅葉 | 山椒 |
子ら遊ぶ障子明かりの影絵かな | 愛正 |
千秋楽のライブビュー見し年の暮 | なつき |
朱の綸子障子明りに地紋浮く | むべ |
着膨れにされて乗りたる車椅子 | 康子 |
たちまちに散紅葉なる一樹かな | 風民 |
ぼんぼりは茶筅の形園小春 | せいじ |
すれすれに顔だけ出した冬たんぽぽ | 明日香 |
ちやんちやんこ亡母の温もり背なに逢ふ | きよえ |
忘年会十人に余る大広間 | あひる |
風筋の残り紅葉振るわせて | ぽんこ |
寒波背に登校する子みな無口 | みきお |
冬茜ノルウェーに立つ被団協 | 山椒 |
竹隠てふ古びし茶室竹の春 | せいじ |
塑像めく綺羅の海見る冬の鷺 | えいじ |
陽光に煌めく凪の冬の海 | みきえ |
柚子の湯の湯ぶくれ柚子と戯るや | きよえ |
雪吊りの松のなにやら華やぎぬ | 澄子 |
すれ違う軽トラ同士山眠る | こすもす |
冬の館響かせ第九大合唱 | たか子 |
三輪山を背に素麺の干してあり | 明日香 |
ライブ終へ溜めたる咳を払ひたり | なつき |
朝日燦雪の山並み朱となりぬ | 和繁 |
凝らし見る紅葉に染まる枝の鳥 | そうけい |
夕暮れの闇しんしんと白椿 | 澄子 |
大空に光透かして冬の鷺 | あひる |
一吹きの梢雪花たち去りぬ | ほたる |
2024年12月08日 | |
珍しき竹の種あまた園小春 | せいじ |
岩山のドレスアップや冬紅葉 | きよえ |
チェロの音に船を漕ぎたり暖房裡 | うつぎ |
スマホ手にゲームうつつや暮易し | 千鶴 |
木の股の朝日に憩ふ寒雀 | むべ |
ゆく年を一字に込めり清水寺 | 山椒 |
師走なり足音もなく迫り来る | ふさこ |
大谷に始まり終えり去年今年 | 山椒 |
椀並べ締めの雑炊取り分けり | なつき |
スタジアム前の応援合戦片時雨 | こすもす |
綿吹きし背高泡立草枯る | えいじ |
くちばしで田のみみず振る冬の鷺 | 明日香 |
梔子の実は黄金の小瓶めく | せいじ |
群れなせば入り交じりたる鴨の水脈 | えいじ |
来年のカレンダー届き予定書く | 董雨 |
小雨中椀に溢るる大根焚 | もとこ |
着けてみる吾子少年の日の手套 | あひる |