2024年07月01日 | |
指先の塩の湿りや半夏生 | 澄子 |
不覚にもとげとげ胡瓜摘み落とす | よし女 |
同い年の従兄弟の手術半夏生 | 千鶴 |
蟻の列登る地蔵のすまし顔 | 康子 |
夏つばき足るを知るとはいと難し | もとこ |
突と雨止みて夏越の大祓 | うつぎ |
熱き砂蹴散らし駆ける素足かな | かえる |
夏の陣激戦の地と立看板 | えいじ |
蒼然と雨に錆びたる額の花 | むべ |
夏の果てユトリロの街白い壁 | 山椒 |
夏衣きのう一枚今日一枚 | たか子 |
夫も吾も傘置き忘れ梅雨晴間 | あひる |
突風に蓮の葉踊る手水鉢 | ぽんこ |
雨垂れの別れを惜しむ梅雨晴間 | えいいち |
足場立て計画通り梅雨の朝 | みきえ |
足元に恐れを知らぬ雀の子 | みきお |
いくたびも聞き覚へし花ジギタリス | よし女 |
梅雨深し昼なほ昏き奥社 | 澄子 |
葉先より銀の雨垂れ梅雨晴るる | えいじ |
雨上がり紫陽花の白目に留まる | 満天 |
雨止むとひらひら夏蝶軒下に | きよえ |
夕涼や闇に窓開け風通す | 智恵子 |
寝息立つ老母に優し扇風機 | 康子 |
雨だれの途切れぬままに梅雨晴間 | えいいち |
町ぐるみ健診終へて生ビール | 千鶴 |
孫と朝餉暗いねと言ひテレビつけ | そうけい |
山の水集めて激つ梅雨の滝 | せいじ |
さざなみに揺れる早苗や雲流る | みきお |
なにゆえの背の大瀑布黙となる | ふさこ |
青き香や捥ひできたよとトマト手に | きよえ |
旅の窓夏満月を収めをり | 風民 |
緑道の枇杷たらふくに雀どち | あひる |
朝餉にと孫の捥ぐミニトマト添へ | そうけい |
半夏生ゆっくりと街進むバス | 山椒 |
山岳展あずみ野渡る風涼し | 愛正 |
傘を打つ雨音たのし半夏生 | なつき |
梅雨深し生駒はひねもす靄込めに | はく子 |
風薫る女子高生の白き服 | 満天 |
早朝の緊急避難梅雨しとど | 董雨 |
もぞもぞと彩動きけり梅雨の山 | 明日香 |
ねぢ花を見つむる切られ地蔵かな | なつき |
峠茶屋水瓶に浮く心太 | 愛正 |
からつぽとなり身の軽き水中り | かえる |
梅雨休み雲間に光る二つ星 | 智恵子 |
山頂の空地を狭め草茂る | せいじ |
2024年06月30日 | |
寺壕に小さき泡たつ半夏生 | なつき |
睡蓮の陣渺渺と舘堀 | 澄子 |
破れ土嚢踏み山路行く梅雨晴間 | せいじ |
鰻焼く煙とともに店に入る | 満天 |
雨音に目覚めれば四時六月尽 | こすもす |
荒れ梅雨や瀬音のたぎり止む間なし | 千鶴 |
梅雨晴れや現場振り向き一礼す | えいじ |
磐を食み石と存問糸とんぼ | 明日香 |
錆びし屋根青葉茂れる廃墟かな | たかを |
ひいき打者ホームラン打つ梅雨の月 | 董雨 |
追風にミットのごとく蓮大葉 | ぽんこ |
山小屋に人待ち顔の立葵 | かえる |
折り畳む杖に名を入れ六月尽 | よし女 |
その内に黙つてしまひ牛蛙 | うつぎ |
園の川山の恵に池も満つ | きよえ |
岩灼けて地獄広がる大涌谷 | 山椒 |
梅雨雲や肌を撫でゆく風温む | えいいち |
山頂は巌へつぴり腰で立つ | あひる |
雲覆う頂を指す登山杖 | 風民 |
植ゑし苗見え隠れする青田波 | 千鶴 |
常濡れの苔の滝道な滑りそ | せいじ |
洋菓子店七夕男女大玻璃に | そうけい |
船連ね浪速の夏や幕開く | ふさこ |
諍いを夕雲流す梅雨晴間 | そうけい |
高藪の揺れる若竹通り風 | 愛正 |
ミニとまとくれない燃ゆる笊の中 | よし女 |
青梅雨や五輪目指してアスリート | みきえ |
鮎釣りのひと対を成す水鏡 | かえる |
手擦れせる父の歳時記晒したり | 澄子 |
樹も家も傾き登山電車かな | 風民 |
山あぢさゐ穴弘法へ日の班踏み | なつき |
夏野菜求め長蛇の直売所 | 山椒 |
日覆の樹間に展ぐ芝野かな | えいじ |
翅広げ紫見せる梅雨の蝶 | むべ |
秘密基地入口覆ふ今年竹 | 愛正 |
カラス鳴く日射し一条梅雨の空 | たかを |
荒梅雨や在宅知らす蓑と笠 | もとこ |
吾が為に造るはシンプル夏料理 | たか子 |
な踏みそ道にひとつぶ青銀杏 | こすもす |
夏雲を背に山頂のシルエット | あひる |
万緑に吸い込まれたる遊歩道 | 康子 |
町内の素麺流し人だかり | 董雨 |
老木を螺旋に飾る梅雨茸 | 康子 |
飛んで欲し翅畳むより川とんぼ | 明日香 |
ラベンダー写して影も花ほの香 | きよえ |
風鈴の風に佇む坂半ば | むべ |
2024年06月29日 | |
青田風浴びたる一夜堤かな | なつき |
日傘さし手巾を握るレディーかな | えいいち |
車止めより子等走る夜店かな | 董雨 |
古寺や一際青き今年竹 | 愛正 |
風涼しバス停煙るミストかな | 康子 |
言い過ぎを引きずる吾に冷奴 | 明日香 |
梅雨空にハートをブルーインパルス | 智恵子 |
梅雨晴間ファミリー集ふ園賑ふ | きよえ |
外仕事ままならぬ梅雨断捨離に | 明日香 |
双龍を襖に放ち夏座敷 | もとこ |
御下がりの西瓜鎮座す座布団に | ぽんこ |
若竹の撓み覆うや釣瓶井戸 | 愛正 |
川風に風鈴響く宿場町 | 山椒 |
久々に青空写す植田かな | 千鶴 |
夏菊の蕾ほぐれば仏花とす | よし女 |
大風車水平線の雲の峰 | 智恵子 |
塩蜻蛉水面触るるよ又触るる | きよえ |
梅雨の森うすらと滲むバンガロー | かえる |
雷雨過ぐ軒の雫の音だけに | せいじ |
学び舎の昼灯す窓梅雨最中 | 満天 |
胴長の干され煌々月涼し | えいじ |
空馳せる雲の白さや大夏野 | 澄子 |
夏草の先つちよ風に行き惑ふ | せいじ |
鉄線を活けし座敷や序破の風 | よし女 |
男坂女坂にもるりとかげ | なつき |
風みんな優しくなりてお花畑 | 風民 |
ミニトマトかんざしのごと鈴なりに | みきえ |
手に残る螢の匂ひ夕餉かな | みきお |
新樹光登山鉄道滑り行く | 山椒 |
雲行きのいつも怪しき半夏生 | たか子 |
梅雨激し業者周り来タオル持て | みきえ |
深々と根を張る早苗恵み雨 | みきお |
渋滞の先にふわりと夏の雲 | えいいち |
公開中てふ看板の元虎耳草 | こすもす |
予報外れ俄開催夜店の灯 | 董雨 |
男梅雨葛葉したたか打ち据へぬ | 澄子 |
日矢射して青苔に浮く仁王門 | 康子 |
ベランダの干し物増へる梅雨晴間 | 満天 |
初田うえ長靴の中足泳ぎ | ふさこ |
男梅雨屋根を太鼓に乱れ打ち | かえる |
軽鳬の子の躱す橋桁団子なる | えいじ |
2024年06月28日 | |
ロープウェイ遥かに青き夏の富士 | 山椒 |
六月や足場の鉄筋ほどく音 | よし女 |
暑くてもウイルス避けのマスクして | 明日香 |
梅雨滂沱待合室にジャズ流れ | あひる |
この時と梅雨の雨去る鳥語降る | きよえ |
窓越しの風の涼しや無音界 | たかを |
梅雨深しパソコン突如黙り込む | はく子 |
カウベルの揺れて夏草食む一日 | 風民 |
梅雨滂沱新幹線が止まったと | 智恵子 |
くるくると飛ばすや子等の梅雨のつぶ | えいいち |
さみだれ萩波立つ土手の通り風 | 愛正 |
四肢なげて日覆の影にまろぶ犬 | えいじ |
梅雨雲の山襞深く漂ひて | 明日香 |
ぽつぽつと肩にやさしく梅雨の雨 | きよえ |
梅雨冷えや足の喜ぶ入浴剤 | よし女 |
厨より緑の匂ひ豆ごはん | みきお |
初物や狭庭のきゅうり青臭き | ふさこ |
涼しさを雨傘に聞く医者通ひ | せいじ |
六角堂弁財奉る菊の供華 | ぽんこ |
七夕の飾り客呼ぶ商店街 | もとこ |
胸に挿すハンカチ真白老紳士 | かえる |
何処へと殻は空き家や蝸牛 | かえる |
一服のつくづく新茶なりしかな | うつぎ |
蒂よりも小さき柿落つ梅雨嵐 | あひる |
父真似て草刈る男の子牧の風 | 風民 |
湯上がりに励む筋トレ扇風機 | みきえ |
白寿まであと一年や燭涼し | せいじ |
物干しに喉上下さす雨蛙 | 千鶴 |
子ら振るや身丈の倍の捕虫網 | 康子 |
寺屋根に羽繕いひせり梅雨鴉 | なつき |
シュワーンと弾く車輪の梅雨の楽 | えいいち |
エイとばかり茄子植ゑの杭打ちにけり | 千鶴 |
吾子の乗る田植機立ち去ぬ夕まぐれ | 愛正 |
夏蝶の目移りしたる花壇かな | 康子 |
片陰を拾ひつ巡る古都の路地 | 澄子 |
夏野菜白磁の皿に盛りつける | 満天 |
繰り返すシニアの会話雨季最中 | みきえ |
入梅や紫色の花にあふ季節 | えいじ |
生駒峯をひた隠しとす男梅雨 | たか子 |
寺壕に蓮咲き満つる一揆寺 | なつき |
暗闇にせせらぎの音螢かな | みきお |
透き通る硝子の小鉢夏料理 | 山椒 |
廃屋の背戸にせまぐる青葉かな | 澄子 |
笹の子の糠漬け自慢峠茶屋 | 智恵子 |
休耕田半日がかりの除草かな | こすもす |
2024年06月27日 | |
西陽さす高層窓のブラインド | 智恵子 |
夏草に占拠されたる四つ目垣 | せいじ |
峠茶屋沢水に浮く心太 | 愛正 |
聞き耳を立てる番犬祭り笛 | みきお |
受付の坊守の笑み青ドウダン | こすもす |
古民家の四方の窓より緑さす | 康子 |
千仭の渓を小鳥のひとっ飛び | 山椒 |
雷やチャイムも鳴らず回覧板 | 明日香 |
万緑に押しつぶされさうな駅ひとつ | 満天 |
屋上に涼しき星と繋がらむ | 澄子 |
鱧天に舌鼓うち昼の酒 | かえる |
一躍す姿造りの瀬付き鯵 | よし女 |
雨粒を真珠つなぎに若楓 | よし女 |
梅雨荒るる足止め食らふ熊野古道 | ふさこ |
遊歩道杖の掻き分く夏の萩 | 愛正 |
大河へと一滴生るる夏の山 | 風民 |
六月の雨に錆びゆくメカニズム | えいいち |
ギャラリーの墨絵の鼓動雲の峰 | もとこ |
置きし如点々と散り夏ツバキ | こすもす |
梅雨霞水平線はいづこなる | 智恵子 |
そら豆は欠かせぬ老母の誕生日 | あひる |
ぎくしゃくと身体の歪み夏迎ふ | たか子 |
南瓜咲く畑埋め尽くす大葉の間 | きよえ |
貸し杖は青さの残る今年竹 | なつき |
黒南風に木々の唸りや一揆寺 | なつき |
蒼天へ直立したる夏の草 | せいじ |
茅葺の屋根に怒髪の軒忍 | 康子 |
風の道かすれ音する小判草 | ぽんこ |
夕立の予感ありけり砂煙り | みきお |
整然と列なす苗に植田風 | 千鶴 |
山滴り眼潤し箱根旅 | 山椒 |
とんとんと傘突き歩く梅雨晴間 | えいじ |
待合の空しき時計梅雨曇 | えいいち |
梅雨晴れ間神がかりしてカーブ勝つ | 董雨 |
風露草渓谷に雲湧き上がる | 風民 |
転がつて障子にちらと夏の月 | えいじ |
明易し枕に届く鳥の声 | 満天 |
俎板に刻むリズムや明け易し | 澄子 |
お腹見せ背中も見せて夏燕 | 明日香 |
蛙鳴く雨待つのかな弱々し | きよえ |
朝涼の雨戸を繰れば老母目覚む | あひる |
陸橋やレールの果ての夏の嶺 | かえる |
2024年06月26日 | |
シニアらの占むる昼間のビアホール | せいじ |
万緑に古城揺るぎなく聳ゆ | 風民 |
巻紙風の涼しき手紙届きけり | こすもす |
四十雀二羽鳴き交はす森の朝 | むべ |
海賊船悠々渡る夏の湖 | 山椒 |
靭やかに芝野掠めて燕鳴く | えいじ |
梅雨晴間ホールインワンに賑はひて | 満天 |
鳴き飽きてすとんと落ちし揚雲雀 | えいじ |
見よかしにオープンカーのアロハシャツ | もとこ |
四阿に座せば下より蚊遣香 | 康子 |
あんまきの列片影をはみ出せり | なつき |
花ぎぼし薄むらさきに雨意兆す | むべ |
低空にとんぼ戯れ池鏡 | ぽんこ |
救急車サイレン間伸び梅雨じめり | たか子 |
薄紅のアンネの薔薇は教会に | はく子 |
大袋背負ふ庭師や夏の草 | 康子 |
青き舌見せる男の子や氷水 | かえる |
デッキチェアぽかりぽかりと夏の雲 | かえる |
深閑と青田に朝日ゆきわたり | よし女 |
紫陽花展金賞貼られ豆画伯 | 智恵子 |
アルプスの絵に涼をとる書斎かな | 愛正 |
緑陰の鳥語にシテとワキありぬ | 澄子 |
花栗の香の関所めく小径かな | あひる |
新緑やいざ山頂へケーブルカー | 山椒 |
蟻の道ひふみ数へ子仁王立ち | ふさこ |
白き葉で吾はここと呼ぶ半夏生 | あひる |
今日もまたアンテナに鳴く四十雀 | えいいち |
安曇野の風涼しきや美術館 | 愛正 |
抱っこされコーチ離れぬプールの子 | みきえ |
天空の雲間のもれ日梅雨晴間 | きよえ |
あめんぼう光の中へ紛れけり | うつぎ |
ガードレールの向うに立ちし子鹿かな | こすもす |
夕焼けの入江に傾ぐ電車かな | 澄子 |
短夜や都知事選挙のユーチューブ | 千鶴 |
歳訊かれお喋り弾む梅雨晴れ間 | 明日香 |
麦の波丘遥かなる地平線 | 風民 |
梅雨しとど車内化粧の女の子 | 明日香 |
ふるまひの麦茶空つぽ大薬缶 | なつき |
緑さす主治医の机上薬辞書 | よし女 |
久闊を叙す駅地下のビアホール | せいじ |
背泳ぎや弧を描く腕ピンと伸ぶ | みきえ |
すくと百合咲ひて美し友の庭 | きよえ |
釣忍遠き昭和を懐かしみ | うつぎ |
夏野菜高温に泣く道の駅 | 智恵子 |
2024年06月25日 | |
花手水止まり処の無きやんま | たか子 |
からっぽのほたる袋に何入れる | はく子 |
月見草花明かりなす丸太橋 | 智恵子 |
尾長追うカラス逃げ込む夏木立 | たかを |
枝垂るる浅き水辺の四十雀 | 愛正 |
雨上がり葉陰より出ず梅雨の蝶 | 満天 |
条幅を仕上げて汗のほとばしる | せいじ |
夏萩を括り山門明るうす | なつき |
花言葉は出会えた喜び薔薇深紅 | はく子 |
紫陽花のカーブ登山電車来る | 山椒 |
藁屑と紛ふ蟷螂生まれたて | みきえ |
配達の人にほだされトマト買ふ | せいじ |
ルドベキア大花踏ん張る炎中下 | そうけい |
久々の一人の留守居メロン食む | あひる |
地蔵尊へ夏花沢に鉢植えを | 満天 |
堵列せる石仏辿る木下闇 | 康子 |
夏満月大河静かに流れをり | 風民 |
朝戸くるふいに飛び込む草いきれ | 智恵子 |
使はれぬ部屋の窓開け夏の月 | うつぎ |
魚屋のレシートにうろこ梅雨じめる | 千鶴 |
軽鴨の子の漕ぎ出し亀も潜水す | えいじ |
梅雨の部屋お香を焚きて推敲す | そうけい |
葛なだる防護フェンスをないがしろ | うつぎ |
滝壺に飛び込み笑ふ島育ち | もとこ |
古書店の本棚照らす西日かな | みきお |
雨蛙透き通るあを葉に隠れ | ふさこ |
夏蝶の老婆の足へ纏ふかな | えいいち |
練習日のホールインワン梅雨晴間 | こすもす |
伸び放題夏野に埋まる地蔵かな | みきお |
浴衣着て童女は少し大人びる | かえる |
夏至正午草刈り伏せて音止めり | なつき |
山狭に一筋ひかる螢の瀬 | 澄子 |
池面に我が身映すか金鈴子 | ぽんこ |
瀬の楽がBGMや蛍飛ぶ | こすもす |
学生のフリマ賑はふ新樹光 | 康子 |
夏つばき受話器の寡婦の凛として | あひる |
水桶に身を沈めたるラムネ瓶 | かえる |
雲翳に赤咲きのぼる立葵 | むべ |
子かまきり庭師のてのひら逃げまどふ | よし女 |
土砂降りの梅雨入りとなりて雨戸繰る | よし女 |
昼下がり墓地彩りて立葵 | 澄子 |
扇風機素知らぬ顔で首ふりぬ | えいじ |
のうてんきな夫の寝息や明易し | 明日香 |
水煙立てて全山梅雨しとど | 山椒 |
こだわりを捨て切れぬまま半夏生 | 明日香 |
袖払う蟻の一匹足元に | たかを |
草刈りて鎌の研ぎ方教わりぬ | むべ |
見え隠れ雑木の葉影四十雀 | 愛正 |
2024年06月24日 | |
さくらんぼ最後の一つ譲りあふ | むべ |
無人店野菜並べる日焼けの手 | 康子 |
夏来たるたかが八十路と人の言ふ | ふさこ |
甘酒を歳に適わぬ身に含む | たか子 |
尖塔の町を自在に夏燕 | 風民 |
橋涼し先に動くは鷺か吾か | よし女 |
汗しとど前髪押さえ帰宅の娘 | 智恵子 |
夏草の石押しあぐる力かな | 澄子 |
激つ瀬の轟き緑雨煙る山 | 山椒 |
走り根を跨ぐ駐輪梅雨さなか | ぽんこ |
托鉢の足袋に滲み入る梅の雨 | かえる |
西日さす卓の茶碗に味御飯 | えいじ |
先端の開花やしなる立葵 | えいいち |
雨雫たっぷり含む四葩かな | 明日香 |
手足らずの捨て田と植田隣り合ひ | 千鶴 |
夜のビールあればと励む庭仕事 | うつぎ |
梅雨晴間愛犬つれて立ち話 | 満天 |
木々の間にほのと紅さす合歓の花 | はく子 |
夜雨止んで草から出でし夏蛙 | 隆松 |
曇天に鳧鳴く朝の響きかな | えいじ |
崑崙花石段飾る鉢涼し | むべ |
天空に香の届くかにラベンダー園 | きよえ |
子鴉の親と変わらぬ仕草かな | みきお |
とんねるを抜ければ満つる新樹光 | かえる |
回り込む岩棚しぶく裏見滝 | 愛正 |
点描のごとき植えたて稲の苗 | 千鶴 |
午後八時活動開始の蛍かな | こすもす |
ペチュニアの花冠あげ初む雨あがり | あひる |
梅雨入の大気切り裂き飛機発てり | 風民 |
新緑の光る湖滑る船 | 山椒 |
青鷺の七瀬の淀をわたりけり | 明日香 |
梅雨晴や窓全開に風通す | 満天 |
目で追えば空家へ蛇のするすると | こすもす |
アナベルの琥珀光るや雨休止 | きよえ |
水盤の水呑む仔猫叱られて | みきお |
ホイッスルボイス梅雨空突き抜けて | せいじ |
橋桁を越えんと激つ梅雨の川 | せいじ |
近道の揺るる吊り橋裏見滝 | 愛正 |
軽き傘取りて梅雨入りの街へ出る | あひる |
梅雨に入り雨谷に瀬音生まれけり | 隆松 |
ほの暗き仏間に父のパナマ帽 | もとこ |
梅雨晴れや髪掻き上げて風を待つ | 智恵子 |
ベビーカー寝息の洩るる夏帽子 | 康子 |
塀にあご預けくちなし香を放つ | よし女 |
神木の太き切株ほととぎす | なつき |
七夕の願ひや子らの鏡文字 | なつき |
目の合ふやお辞儀す小さき夏帽子 | みきえ |
2024年06月23日 | |
コンビニに作業車停めて三尺寝 | もとこ |
留守の間に新茶置かるる勝手口 | かえる |
梅霖の教会堂に満つ聖歌 | あひる |
梅雨の入り庭木益益色を濃く | 満天 |
雨しとど病葉重ね石畳 | むべ |
梅雨空へゴスペルの声湧き上がる | あひる |
一揆寺足投げだして縁涼し | なつき |
川風に紫陽花揺れる箱根路 | 山椒 |
鳥の声くぐもりてより梅雨の入り | 満天 |
良き陰を作る木立や紫陽花園 | せいじ |
園丁の手入れで落つる作り滝 | 康子 |
夏至今朝の寝起きはつらつ庭師来る | よし女 |
ドームの屋根叩く五月雨試合佳境 | こすもす |
鳧飛んで職方叱る造成地 | えいじ |
取合いや鴉青鷺神杉を | 明日香 |
尻尾のみ眼前よぎる蜥蜴かな | 明日香 |
葉桜や九十の手習ひ電子機器 | よし女 |
蔵町に茂柳に風遊ぶ | 智恵子 |
御手洗の静けき影の雪ノ下 | ぽんこ |
梅雨入雨ひねもす雑巾ミシン掛け | みきえ |
免許返す車庫入口の蜘蛛の糸 | 愛正 |
朽ちし木の根に梅雨茸の重なりて | 千鶴 |
行人を燕掠めて改札口 | むべ |
岩走る流れ涼しき箱根路 | 山椒 |
基地のなか夏草萌ゆる滑走路 | かえる |
片蔭に銀輪押して家路つく | えいじ |
遍路みち道標なる合歓の花 | 澄子 |
鴇色を梅雨空に添へ旅鞄 | 風民 |
濯ぎ物出し入れ忙し梅雨の妻 | えいいち |
ガタゴトと氷躍るや冷蔵庫 | 智恵子 |
吾子と舞ふ花へとふわり黒揚羽 | ふさこ |
お揃ひの浴衣で詣る神社かな | みきお |
橋脚の付け根を洗ふ梅雨の川 | せいじ |
花南天零れ散りをり屋敷神 | 風民 |
暗闇の城池を渡る夏の月 | 愛正 |
青苔に笑まふわらしべ地蔵かな | 康子 |
夏帽子またひとつ増へ立ち話 | みきお |
ほととぎす正午を知らす腕時計 | なつき |
朝顔に優劣は無く校門に | たか子 |
2024年06月22日 | |
風涼し友に同席うどん噛む | たかを |
一発に竹の子倒さむ鎌を研ぐ | よし女 |
しなやかに風が草梳く夏野かな | 風民 |
虎刈りの夏芝かをる散歩道 | えいじ |
岩檜葉の根元過ぎさる尾根の風 | 愛正 |
俳人に取り囲まれて蟻の列 | うつぎ |
倒木の陰に小さな早松茸 | 智恵子 |
バンダナの君は真ん中山登り | こすもす |
初物の枇杷があります走り書き | みきお |
梅雨入りやいな跳ぬ波止の昼下り | きよえ |
一鉢の客を迎へるアマリリス | 満天 |
柱廊の如し青葉の杉並木 | 山椒 |
風纏ふ龍のたてがみ堂涼し | 千鶴 |
くちなしの花に訪ふ夕の色 | 風民 |
片影に寄せて昼寝の営業車 | かえる |
万緑を空中散歩ロープウェイ | 山椒 |
伸び過ぎた紫陽花早も切り戻し | 明日香 |
雨しとど白夜に似たる夏至の朝 | せいじ |
いちめんの水鏡なる植田かな | 澄子 |
落し文かの世より来し便りかも | よし女 |
天草を採る島の子ら庭に干す | 智恵子 |
梅雨晴れ間前籠に足す卵かな | みきえ |
雨しとど疲れの見えし七変化 | 明日香 |
聞くほどに暑さ増したるニュスかな | 愛正 |
薔薇の名に名画の風情ありにけり | なつき |
風知草大きく揺れて風を呼ぶ | みきお |
山の端の重なり見ゆる緑夜かな | むべ |
玄関の遠くなりけり夏木立 | かえる |
弁天堂囲む若葉の池鏡 | 康子 |
一山の色を添へたる合歓の花 | 澄子 |
山法師の花こぼす雫の白きかな | きよえ |
皮剥けば真珠の照りや新玉葱 | むべ |
加茂川の濁流となり梅雨に入る | もとこ |
鰻丼を給仕せし娘の銀ピアス | えいじ |
遊歩道の裾を明るくさつき咲く | 満天 |
気に入りのベンチや今は梅雨しとど | たか子 |
瀬を渡るサマードレスのデートかな | 康子 |
青葉窓カフェにおひとり様の席 | なつき |
厨窓開くや飛び退く守宮かな | みきえ |
風孕む蓮の大葉の裏返し | ぽんこ |
絽羽織に笑まふ初戴冠の棋士 | せいじ |
2024年06月21日 | |
雨雫光を放つ梅雨晴れ間 | 明日香 |
庭いじり踵に感ず茗荷の子 | 康子 |
しだるるや川面へ開く凌霄花 | 風民 |
名古屋弁の大吉みくじ夏至の宮 | なつき |
桑の実を煮つめし匙の黒光り | むべ |
夏サラダビタミン色を重ね盛る | たか子 |
初採りの胡瓜の溢す雫かな | かえる |
大小の棚田に代田水渡る | 千鶴 |
壕の蓮分けて通れり渡し板 | なつき |
風薫るローカル駅に足湯人 | よし女 |
茄子の花次々咲ひて実の育つ | きよえ |
棘多き枝の先なる雨蛙 | 風民 |
夏雲に椰子の並木や基地の街 | かえる |
痩せ尾根の岩檜葉青し雨上がり | 愛正 |
雲はらふ梅雨満月のひかりかな | 澄子 |
梅雨入りて晴れし夜空に望の月 | 智恵子 |
分別の壜の転がる音涼し | えいじ |
二タ三言下戸の佛に新茶注ぐ | よし女 |
ゆうゆうと青鷺飛べり梅雨晴間 | 明日香 |
コンビニへ徒歩で買物夏至の夕 | こすもす |
南吹くヘルメットとり髪ほどけ | ふさこ |
大鉢に競うごとくに蓮青葉 | ぽんこ |
落とすなと言はれ落とせし大西瓜 | あひる |
雨去りて藍色の空月涼し | むべ |
山の末川七曲る山法師 | そうけい |
茄子の花茎の色染む薄紫 | きよえ |
兎跳ね口から手水宮涼し | もとこ |
四阿に鳥声わたる紫陽花園 | せいじ |
夏花の鉢植え済ます雨予報 | そうけい |
炎昼や波音だけの漁師町 | みきお |
沢歩き踏み石変ふるさざれ蟹 | 愛正 |
梅天の街に牙するゴジラ像 | えいじ |
夏草を絡め取りたり牛の舌 | みきお |
山坂や一条縷々と出水あり | 澄子 |
雨上がりエプロンに摘む茗荷の子 | 康子 |
梅雨入りや肩掛け出して椅子に掛け | 智恵子 |
鎌倉を染める紫陽花古寺の道 | 山椒 |
大雨に明けて戸を閉め梅雨の入り | 満天 |
紫陽花に埋もれて巡る園の径 | せいじ |
高らかなチャイムに終はる三尺寝 | あひる |
2024年06月20日 | |
下り坂なれば楽ちん紫陽花園 | せいじ |
ラッキー賞に湧くグランドや夏の雲 | こすもす |
走り梅雨湯殿に通ふ傘の列 | 澄子 |
短冊を結ぶ小さき手星祭り | みきお |
大岩の苔食む鯉の涼しさよ | ぽんこ |
けり鳴けり農小屋傾ぐ休耕田 | なつき |
摘み取りて虹色放つ初なすび | よし女 |
走り梅雨戸の開け閉めに軋みけり | 満天 |
とうもろこし食むハーモニカ吹く如く | 山椒 |
隨道を栖に群るる苔の花 | 智恵子 |