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2025年3月15日

白障子旧家支える太柱 ぽんこ
つるし雛簾をなせる縁起物 みのる
大正の舶来シェード春灯 うつぎ
圧倒の量と長さの吊るし雛 たか子
梅林や雨に鎮もる汐見坂 澄子
春よ来い地震の灯籠欠けしまま よう子
小糠雨銅山跡を鎮まらせ たか子
堅く閉づ鉄さび扉梅の花 ぽんこ
石室に手向けとなりし落椿 むべ
春大地呟き止まぬ水琴窟 えいじ
大正の館の窓音打つは東風 わかば
百キロの鬼瓦据へ春の雨 ぽんこ
目鼻なき豆雛らの愁ひかな みのる
ミニチュアの昭和の店の暖かし わかば
老夫婦句帳を首に梅の里 かかし
啓蟄や阿吽の鍬の老夫婦 かかし
生業は銅の精錬雛飾る よう子
春日さす風の綾なす池の綺羅 えいじ
歴史ある町の学びや雛館 わかば
暖かやへつつひさんは銅づくし うつぎ
旧邸はモリスの壁紙春めきし たか子
ミニチュアの紛ふことなきうららけし わかば
雪吊解く印半纏太き文字 かかし
大岩へ苔のぼりゆく春の川 康子
畑焼くや焔に祈る農夫たち かかし
代々の吊るし雛舞ふ蔵の風 康子
御簾垂れて暗き玉座や雛の恋 みのる
落合ふは春の時雨の大手門 澄子
ものの芽や城の石垣ゆるべたり むべ
多聞より見下ろす濠や春寒し 澄子
春暖や掌円し木の欄干 えいじ
ミニチュアの昭和あの頃雛飾り たか子
春光に銅輝きし屋敷神 よう子
城壁の角角にある余寒かな 澄子
菜種梅雨緑青を吹く樋かな よう子
四阿の六角形とは百千鳥 うつぎ
離れ家へ足元照らす春障子 康子
山茱萸の花に雨降る番所趾 むべ
子遍路の松かさたどる奥の院 なつき
大松明はこぶ法螺の音しんがりに なつき
初音かな鍬を休めて茶の夫婦 かかし
春の水S字の濁り描きし鯉 えいじ
一木の河津桜に人集ふ むべ
春時雨石垣のみの天守趾 澄子
鬼まつり踏む張る父の肩車 なつき
豪邸の意匠の数多雛飾る わかば
春愁ふドールハウスの昭和かな よう子
自動ドア開いてお迎へ雛飾り なつき
吊るされる粋なデザイン春灯 ぽんこ
大正ガラス歪む庭園椿かな ぽんこ
耳寄せて豆雛らの私語聞かむ みのる
御濠いま水輪崩して鳰現るる むべ
節分会背に鬼面の白法被 なつき
春光の鯉のなぞれり太き影 えいじ
触れたくも触れてはならじ雛調度 うつぎ
郷土館地元名士の雛飾る うつぎ
大正の玻璃戸に歪む苑のどか 康子
海風に色づく河津桜かな 康子
館長のお口は達者ひな屋敷 たか子
顎紐の結び危うき古雛 みのる

2025年2月15日

神木にひかり波立つ春北風 澄子
蒼帝の下に遥けき池田城 わかば
障子明り寝釈迦醒めよと堂に満つ みのる
涅槃図の絵解きはじまる花咥へ ぽんこ
格子戸門入ればなぞへに竹の秋 康子
クレオパトラも訪ひし廃都や春浅し 千鶴
春寒の池田の路地にいけず石 うつぎ
酒蔵の四角い路地や春浅し よう子
大甍反りに反りたる四温晴 みのる
冬晴や温水プールいま出でり えいじ
温水のプール窺ふ藪椿 えいじ
涅槃図の絵解きの僧の役者ぶり うつぎ
島々の消へては現るる雪しまき むべ
潮待ちの港に寄する春の波 むべ
暖かや研ぎ屋くすり屋街昭和 うつぎ
紅梅の引き寄す空の青さかな 澄子
山はまだ覚めずと見しが雲は春 みのる
涅槃図の箱や古色に梁の上 わかば
梅の宮ひらがなばかりの祈願絵馬 なつき
日の揺るる温水プール春きざす えいじ
涅槃図解くつまりは諸行無情だと うつぎ
蔵の鬼瓦に家紋梅香る なつき
六畳を越す表装の涅槃絵図 たか子
石造り旧銀行の凍て階段 よう子
麹の香洩るる古町踏青す みのる
本堂の古き天井涅槃の日 ぽんこ
冬ぬくし合祀墓碑に「倶会一処」 はく子
厳しき御門潜れば梅万朶 澄子
ビリケンさん届かぬ足裏涅槃西風 よう子
楽流る温水プール冬うらら えいじ
砂利道の枝疎らなる蝋梅かな ぽんこ
今年酒古き老舗のいけず石 ぽんこ
春寒や旧き商家のいけず石 千鶴
薬酒賜るもろ手悴みて むべ
絵天井の時代を語る涅槃寺 はく子
春寒の寺苑の隅の鬼瓦 たか子
解体の家の祠にふふむ梅 康子
古りたるも金箔しるき涅槃像 はく子
冬日さす温水歩く娘のほとり えいじ
蜜柑生る母郷につどふ地鎮祭 なつき
涅槃図の絵解きの妙味耳澄ます 千鶴
沙羅双樹花満開の涅槃絵図 はく子
涅槃図に射す玻璃越しの明かりかな わかば
涅槃図の絵解きに思ふことをふと わかば
文豪の書斎に向かひ咲く椿 康子
アトリエの高き窓より囀れる 康子
温かやうどん屋の壁色紙満つ よう子
ふるさとのビリケンさんや風光る 千鶴
開帳の涅槃図鶴も描かれをり 千鶴
常夜燈ともりて昏き春の海 むべ
ミュージアム落語を育て小春かな たか子
得々と涅槃の絵解き切りも無し たか子
風花や島に小さき船着場 むべ
春日射す板戸の隙間涅槃堂 うつぎ
名物の温かうどん昼食に はく子
禊ぎとて香炉を跨ぎ涅槃図へ たか子
臘梅のほのと香の立つ弱き風 わかば
初音かな口笛吹かばまた鳴けり なつき
芝居小屋見え切る看板春近し よう子
染めの街貫く川に水草生ふ 康子
一本の水面に傾ぐ黄水仙 澄子
春の日に相好ゆるむ鬼瓦 みのる
待春の水面耀ふ神の池 澄子
春寒し長蛇の列の細うどん ぽんこ
掛け声は福は内のみ豆を撒く なつき

2025年1月11日

山颪小舟打ち上ぐ冬の浜 澄子
寒風に晒されし頬ほてりけり せいじ
冬木の芽緩めてゆきし久の雨 わかば
七日粥宮よりテイクアウトあり なつき
病院に寝正月なる友見舞ふ わかば
門松の縄の寿ぐ梅結び むべ
銀輪のをちこち倒れ虎落笛 あひる
マスクの目笑みし巫女より破魔矢受く なつき
元朝の真日に燦々鮒釣りぬ えいじ
山茶花をひと片散らすめじろかな むべ
広芝の犬のジャンプや年明けり えいじ
と見る間に冬鷺魚を一呑みす せいじ
蒼天をつつくがごとく冬木の芽 せいじ
青空の何処か風花隠したる 澄子
赤赤と尾灯絶へざる寒の底 澄子
竹百稈青々として淑気満つ むべ
野辺送り煙一筋雪催 澄子
参拝の列の曲りし宮焚火 なつき
さざなみの川上りゆく空つ風 あひる
晩学の足鈍らせる寒の雨 わかば
枯葦のつつく川面に光生る あひる
神田の畔に立ちたる初鴉 なつき
遅れ来て父のぞき見る初みくじ なつき
風止めば陽だまりとなり冬木立 あひる
松古木菰巻く縄に緩みなし むべ
初春の楽とあわさる風速計 えいじ
決めた事破るに如かず寒の雨 わかば
風除けにならず堤の枯木立 せいじ
おにぎりを持つ手悴む河川敷 せいじ
笹叢に本朱の艶や藪柑子 むべ
初茶会母の形見の帯を締む わかば
大海の初日に霞む鳥の影 えいじ
実南天己が重さに項垂れり 澄子
初日の出ふたり寄り添う波堤かな えいじ
木枯しや木の葉のごとく翔ぶ雀 あひる

2024年12月14日

極月の路地へはみだす小商ひ みのる
極月の何も張られぬ高札場 なつき
大椋の裸木空を細分す せいじ
老木の治療終えたる十二月 もとこ
タモリも訪いし枚方宿に年惜しむ こすもす
丘に佇ち淀川滔々冬の空 もとこ
舟宿の冷えし廊下の黒光り あひる
街師走我らは牛歩吟行す みのる
瘤と洞さらし小春の椋大樹 あひる
走り根に添ひて木の実の納まりぬ 澄子
幾世経し椋隆々の大枯木 うつぎ
年忘れ恐れ多くも師の隣 もとこ
切通しの参道は直ぐ息白し なつき
秀吉の御殿跡とや返り花 あひる
丹精の懸崖菊や軒の下 よう子
くらわんかの牛蒡汁啜り年忘れ うつぎ
置かれたる岩の真黒や月輪熊 えいじ
太き鉄格子湯気立て犀尿る えいじ
黒松の二本のあはひ冬青空 むべ
滑らぬようそろり舟宿冬階段 よう子
聖堂の尖塔ふたつ冬日燦 せいじ
椋大樹威圧の体や冬兆す たか子
入り込みし廊下の冷えや宿鍵屋 うつぎ
舟宿の淀の光や冬障子 よう子
神楠の洞に突き出す猿茸 なつき
藍染川に水筋光る枯尾花 なつき
暴れ川鎭ませ街道冬日和 たか子
トタン屋根散黄葉埋め明るけれ もとこ
宿木を掲げ老木閑かなり 澄子
冬晴の苑の篁耀へり 澄子
くらわんか浪速言葉の冬ぬくし たか子
ベレー帽かぶる地蔵の冬ぬくし もとこ
椋大樹七百齢の日向ぼこ あひる
冬あたたかマララの鉛筆立つなぞへ うつぎ
竹林を透かし離れに冬日燦 むべ
冬もみぢ茅葺屋根に懸りたる むべ
名優の変わる表札散紅葉 よう子
婆娑と寝てみたきふかふか落葉かな みのる
寒禽や絞り幟の天満社 なつき
いまし火の坩堝といはむ庭紅葉 みのる
クリスマスリース宿場の出格子に うつぎ
冬の水胡麻斑海豹背泳す えいじ
走り根や落葉の大地握りしむ むべ
冬晴や麒麟の尻の払子振る えいじ
彩違ふ落葉の小径リズム良く わかば
幾そなる瘤もつ椋の大冬樹 わかば
白昼の深く日の射す冬座敷 澄子
武蔵野を木の葉時雨に降られつつ むべ
逍遥の有終の美と冬紅葉 わかば
名にし負ふ椋の裸木うち仰ぐ せいじ
日溜まりの草を離さぬ冬飛蝗 澄子
寒鴉きてごみ箱探る動物園 えいじ
淀川の向こう妙見紅葉山 よう子
代々の鋳物師の椋の大冬樹 わかば
赤き実も混じりて落葉うずたかく こすもす
船宿の面影宿し冬構へ たか子
梢まで登りつめたる蔦紅葉 あひる
早々に来年の絵馬冬うらら こすもす
起伏野のごとたたなづく紅葉山 みのる
高座椅子これも馳走や冬座敷 せいじ
照り陰る枚方宿に年惜しむ せいじ
冬空へまだ伸びんとす椋大樹 こすもす
マララの鉛筆見守る如く石蕗の花 こすもす
忘年会時代を宿す大広間 たか子
天を衝き四方に枝を張り大冬樹 わかば

2024年11月16日

目潰しの落暉広ごる芒原 ぽんこ
満作の照葉ゆかしき茶席かな わかば
きつつきの打つ音響く岨の道 ぽんこ
俳人の酔狂ならん破蓮 はく子
砂利深き紅葉の庵たもとほる せいじ
爽やかやリズム弾ける水琴窟 あひる
美しき団栗独楽の同心円 むべ
百年の杜の大樹や木の実雨 むべ
漣の千々に乱れし紅葉かな 澄子
杉苔にはらり一枚照紅葉 たか子
灯籠の頭でつかちな転げそ えいじ
小春日や洲浜に松の威風かな わかば
水注ぐ水琴窟に秋の声 よう子
倒影の朱を極めたる唐楓 はく子
破蓮すくと立ちたるひと本も はく子
かば像の浮かぶ盆池に帰り花 ぽんこ
一本に百輪咲けり菊花展 むべ
水琴に金輪際の秋を聞く みのる
園丁巡る落葉なき心字池 よう子
無作法を許され楽し口切り茶 あひる
幾百の水の中なる蓮の骨 せいじ
きよめ餅さげて真礼秋詣 えいじ
石蕗の花水琴窟の音清か わかば
杜深し飯桐の実の落し物 むべ
池の辺の芒に風の定らず 澄子
鳥渡る影を映せる水鏡 むべ
太陽の塔は古びず天高し せいじ
小暗さのこんな所に石蕗の花 たか子
金風のウエーブ見よや遠野原 みのる
睡蓮の浮葉散らして返り咲く わかば
メタセコイア秋日の欠片振りこぼし うつぎ
紅葉且つ散りて草庵檜皮葺 たか子
撮り終えて破顔一笑七五三 えいじ
秋声は太郎の塔の裏よりぞ はく子
池わたる風にわななく破れ蓮 みのる
池の面に影の清かに紅葉かな わかば
石蕗の花愛でつ薄茶を賜りぬ たか子
秋日影アメリカ楓は炎立つ うつぎ
啄木鳥や木椅子に人を休まする うつぎ
神木の身にしむ黒き手擦れかな えいじ
太陽の塔より高く昼の月 せいじ
行く雲に秋思うべなふ心字池 みのる
満身に秋の光や掃溜菊 あひる
かさこそと野ねずみ落葉掻き分けて 澄子
爽やかやあるなしの風草紅葉 ぽんこ
お茶席の清談弾む石蕗明かり よう子
枯蓮を奏でて風の過ぎゆけり あひる
櫨紅葉瞼に受くる日差しかな 澄子
残響は冬の音高く水琴窟 たか子
己が姿写して水の枯蓮 うつぎ
色変えぬ松の大見得中島に ぽんこ
薔薇咲けり冬を迎ふになほ赤く はく子
湧水にひかり踊りて初紅葉 澄子
太陽の塔笑む秋天や半世紀 よう子
子規のこと語りつ撮りし杜鵑草 せいじ
枯蓮の池に日当り日の翳り あひる
浮草を隠しきれずや枯蓮 うつぎ
不実梅幹は繁茂の軒忍 えいじ
色鳥の一擲したる池鏡 みのる
破れ蓮射貫く落暉の水面かな よう子

2024年10月12日

せせらぎに憩ふ我らに風涼し 澄子
銀杏の一撃喰らふ吟行子 せいじ
神籤結ぶ囲いの中の萩の声 ぽんこ
萩揺れて蝶も揺れゆく裏参道 もとこ
紅白の錦織りなす曼珠沙華 澄子
武蔵野に拾ふ木の実や楢櫟 むべ
碩学の歌碑へとなだる乱れ萩 せいじ
秋草を見むと床の間躙りより むべ
古民家の籬をなせる竹の春 康子
萩に触れ桔梗に会ひて京ひと日 はく子
桔梗の庭に向かひて並む円座 あひる
喬木の銀杏鈴生り寺の庭 わかば
展がりて起伏をなせる花野かな 澄子
桔梗の白砂の庭に端然と はく子
薮茗荷の実は黒真珠神の庭 うつぎ
蕊あまた蒼穹を指す曼珠沙華 むべ
色変へぬ松の枝ぶり源氏庭 ぽんこ
拝殿へ誘ふ参道萩あふる わかば
果て見えぬ萩トンネルや香満つる 康子
鬼瓦の目元くすぐる薄紅葉 ぽんこ
澄む川の岩に迸る白さかな 康子
秋涼の庵に薄茶いただきぬ むべ
平安を偲ぶ境内桔梗咲く わかば
ゆらゆらと短冊の句に萩の風 もとこ
桔梗咲く千年の彩式部庭 ぽんこ
乱れ萩古し社に白と紅 もとこ
吟行子を誘ふ如く秋の蝶 ぽんこ
秋まつり提灯筒に積み上ぐる えいじ
丘までの道を綴りし曼珠沙華 澄子
秋まつりばらす櫓の砥の粉散る えいじ
水屋より亭主現るるや竹の春 むべ
秋惜しむ白砂に苔の源氏庭 はく子
記念写真ベンチに払ふ零れ萩 あひる
丘埋む紅き絨毯曼珠沙華 澄子
桔梗の庭によもやの大鴉 せいじ
萩叢へひらひら黄蝶しじみ蝶 はく子
新涼や瀬音に隣る長屋門 康子
玉砂利を隠れ蓑とすこぼれ萩 せいじ
観音は大和座りや残る虫 せいじ
盧山寺にこその桔梗今盛る はく子
漆喰の白壁に透く薄紅葉 康子
御所さんの銀杏なればと拾ひけり うつぎ
ペンキ屋もとびも蕎麦屋も秋まつり えいじ
落日や下之一色秋祭り えいじ
能舞台四方に白萩紅の萩 あひる
参道の細きも風情萩綴る うつぎ
銀杏や帽子のつばを打ちて落つ あひる
桔梗や十二単衣のひと色に うつぎ
手水舎の含む名水秋澄める わかば
萩の蝶翔てばかすかに枝の弾み あひる
蝶あまた地擂り萩には蜆蝶 うつぎ
白萩の零す花弁楚々として わかば
秋澄むや伸びたる背筋写経せむ もとこ
桔梗咲く五十四帖語られし もとこ
提灯の群れて綾なす秋まつり えいじ

2024年9月14日

笹の葉の早瀬に逸る水の秋 むべ
ポイ捨てはやめてと園に立つ案山子 せいじ
田の畦や朱を極むるは彼岸花 わかば
本物の人と見紛ふ案山子かな せいじ
方位盤涼し連山パノラマに みのる
海見えて標高千の牧涼し みのる
小魚の影濃く水の澄めりけり むべ
豊かさと真澄の流れ秋の水 わかば
秋蝶のグライダーめく飛行かな せいじ
おはぐろや奔流しぶきやまざりし 澄子
白鷺の首くにやくにやと池面かな あひる
いつとなく花野となりし牧の径 みのる
券売の釣落つ音や秋うらら えいじ
羽衣のやうな秋雲一揆寺 なつき
秋海やグラブバケット汐を呑む えいじ
水脈広げ荷船ゆるりと秋の湾 えいじ
野良仕事果てぬ案山子の夫婦かな あひる
葉隠れに茗荷の花の白さかな 澄子
佇めば一渓わたる蝉の声 澄子
早世の友の好みし花桔梗 わかば
女郎蜘蛛早瀬を睨み身じろがず 康子
山寺に草履と瓢揺れてをり なつき
すつぽんの掻き分けてくる青みどろ あひる
飯桐の実を踏みしだく男坂 なつき
マゼンタの点が綺羅なす萩葎 せいじ
日を弾く水面の綺羅や風立ちぬ 澄子
滝岩を攀じらんとする蔦紅葉 康子
殉教絵碑のこる古寺やこぼれ萩 なつき
秋の水瀬音に混じる人の声 わかば
新涼の灯の鎖なす海の橋 みのる
藪蘭の咲く木陰にてひと休み あひる
鯔跳ねて作業終わりの小舟ゆく えいじ
潺を跨ぐ一糸や女郎蜘蛛 澄子
青き空映して清か秋の水 わかば
蔦蔓がんじがらみの屋敷林 康子
夕映の穂波に乗るや群蜻蛉 むべ
搾りたて牛乳避暑の牧至福 みのる
穂の垂れていま満水の稲田かな せいじ
浮島の葎となりて漂ひぬ あひる
秋麗の一湾臨む展望台 えいじ
庭苔に朝露珠と艶めきぬ 康子
古鳥居撤去の穴や身に入めり なつき
葉隠に綺羅の一縷や山清水 康子
湯けむりにぬつと現るるは花蘇鉄 むべ
遣水を渉り茶室へ初紅葉 むべ

2024年8月17日

茂りたる杜の静けさ今朝の秋 澄子
雷火いま高層ビルを袈裟懸けに みのる
ソフィアローレンがどこかにいそう向日葵田 こすもす
夏の果貝殻絵馬の文字うすれ なつき
稚魚の群れミストとを浴びる睡蓮池 ぽんこ
水かげろふ葉裏に揺るる晩夏光 むべ
夏雲の水漬く枝に像崩す むべ
葛の原小径とぎれて一面に むべ
蹲に木槿浮かせし旧家かな 澄子
息詰まる緊急浮上せしプール えいじ
ギプスに手添へて参拝原爆忌 なつき
流星や逝きし人々懐かしむ わかば
美しきステンドグラス堂涼し わかば
水替へて吐息新たや水中花 みのる
日差しへと首に二重の汗拭ひ なつき
軍艦のごと鯉の寄り来る厄日 なつき
流されず一つところに鴨涼し むべ
時刻表枕に昼寝無人駅 みのる
雨あがる橋を超え来て秋の雲 澄子
参道を羽化失敗の蟬あるく なつき
夏服やゆつくりと着て心地よく わかば
白靴をぬぎて渚に遊びけり みのる
蓮の実は何処に飛んだか同胞は ぽんこ
空青し写真自撮りす向日葵田 こすもす
畔行くや蜻蛉の群れに打ちまじり むべ
水面に触れんばかりの夏柳 ぽんこ
チューリップ畑が変身したるひまわり田 こすもす
またひとりねずみ男のゐるプール えいじ
鎮魂や核なき世をと敗戦忌 わかば
とどのごと潜水をかしプールの吾 えいじ
ゆき悩む流灯を手で促しぬ みのる
文豪の漫歩の路地に風立たぬ 澄子
木曽川の水満ち溢るプールかな えいじ
叫びては見間にジャンププールの子 えいじ
杉美林バックにひまわり五十万本 こすもす
花火舟果て闇寂し蝦夷の旅 わかば
迷路めく背高ひまわり畑かな こすもす
逆立ちす突き出た茎の赤とんぼ ぽんこ
蝉のこえ途切れがちなる雨催 澄子
睡蓮にミストの蒸気いきいきと ぽんこ

2024年7月13日

全山を纏うみどりや近江冨士 えいじ
寺まつり元武家屋敷開け放し なつき
落ちてなほこよなく白し沙羅の花 わかば
作り滝水の滔々岩の苔 ぽんこ
青萩や柵を掴まへ迫り上がり かえる
風涼し老舗暖簾の字の合はず みのる
さざ波の上を睡蓮の広ごりぬ せいじ
渡し板蓮の巻葉の通せんぼ なつき
蟻の巣の口の周りはプチ砂丘 せいじ
湧水の楽を聞くやに花擬宝珠 康子
萩叢の隧道抜けて序破の風 澄子
蹲踞の水満々に陽炎たつ ぽんこ
モリアオガエル卵塊の雨を待つ わかば
一条の日の輪のをどる泉かな みのる
万緑の中往く登山列車かな わかば
枝切れば紫陽花の房手にずしり よう子
吟行子まづオーダーの氷水 かえる
本堂に五十路のバンド夏祭 なつき
水底に尾の影ひきてゆく金魚 澄子
名も知らぬ夏花咲けり茶臼山 えいじ
梅天に響くサイレン天王寺 えいじ
パーゴラに斑を散らしたる若葉影 康子
鬼百合の珠芽太りてつや増しぬ むべ
まだ軟き翅を乾かす蝉の黙 あひる
膨らんで撒水ホースとぐろ巻く せいじ
砥部焼の白磁の皿の藍涼し みのる
岩清水ひきて蹲踞奏でしむ みのる
梅雨茸整列したる丸太椅子 あひる
せつかちな空蝉もあり穴の横 あひる
夏の杜深くへ消ゆる蛇の目傘 かえる
初蝉や木立に鴉小競り合い ぽんこ
早起きの夏鶯の禊受く よう子
汗拭ひ太子絵伝の絵解き僧 なつき
緑雨降る兵どもの泪めく えいじ
夏木立樹間に浮かぶ通天閣 えいじ
一揆寺藪蚊も失せし暑さかな なつき
主居ぬ二階の軒へ夏つばめ よう子
四阿をはみだし大き星の笹 康子
湧水の辿る岩間に新樹光 康子
掬ぶ手にまろび輝く泉かな むべ
はまぼうの花散る樹下や梅雨嵐 あひる
抽んでし蓮蕾まるで三姉妹 せいじ
おはぐろや睡蓮の葉を放蕩す あひる
鍼灸院出てかたばみのバス停へ よう子
見霽かす緑また緑の夏の苑 かえる
荒縄の葦をくぐりて夏祓 ぽんこ
駅飾る庭園の竹星の竹 むべ
青葉して日の斑の遊ぶ苔畳 澄子
ゆくりなく疏水に現れし羽抜鴨 せいじ
四阿は網代天井星の竹 澄子
清らなり杉苔青し寺の庭 わかば
羅に真白な腕の透き通る かえる
蓮広葉車軸の雨に寧からず みのる
蟻の穴地下帝国を思ひけり むべ
背伸びして高きに結ぶ星の竹 むべ
石刻の涅槃仏へと沙羅の花 わかば
笹飾り幼き文字で平和へと 康子
人を待つ四阿渡る風涼し 澄子
美容師の相槌じょうず櫛涼し よう子
青蔦の覆ふ小径に足取られ ぽんこ

2024年6月15日

蓮の葉の玉水に棲む小さき虫 せいじ
紫陽花の谷の底より朱の御門 あひる
新樹陰弁財天のハート絵馬 なつき
目を奪ふ真白を通す七変化 うつぎ
池透けて見ゆ萍の細根かな むべ



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