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2024年3月31日

背伸びたとバスケに励む春休み よう子
畦を塗る今年限りの卒寿翁 かかし
高齢のボランティアどち若布うどん こすもす
紫木蓮解き初む蕾天を指す わかば
春時雨朽ちし根株に深き洞 むべ
特急のよぎるホームに風光る せいじ
花すみれ歪む古刹の石段に 康子
マカロンの箱に詰めたり染卵 なつき
潮の香の心地よきかな春の浜 こすもす
染み残す買い出しリュック春時雨 よう子
ブナ林足許明かし射干の花 ぽんこ
湖霞茫漠となる伊吹山 隆松
かぎろひに頬染めてゐる春の雲 えいじ
大甍春日に反らす大伽藍 みのる
あんぱんに老母の機嫌や春うらら あひる
つぼ探る鍼灸師の手あたたかし せいじ
真青なる空を染めんと大ミモザ 康子
機上の師も眺むるらむ朧月 むべ
鶯に口笛吹きて下校生 かかし
どの軒の樋もた走る雪解水 よう子
機窓いま大東京の灯のおぼろ みのる
花冷や夫に日本酒供へけり こすもす
うつくしき開き初めたる白椿 えいじ
春寒し開花予想のずれ込みぬ せいじ
催花雨にうながされゆく並木道 ぽんこ
卒業の乙女ら浜にジャンプせり なつき
銭湯の暖簾おろすや春寒し ぽんこ
のどけしや犬の散歩に渡し船 かかし
白木蓮の花弁ぽたりと鵯の嘴 えいいち
犬呼べば春泥蹴つて横つ飛び えいいち
渋滞の花のトンネル朱塗橋 なつき
紅椿燃ゆる雑木の幹隠れ 康子
落としたる洗濯ばさみクロッカス よう子
春眠やディサービスをおサボりす あひる
紫木蓮暮色にくすむ山抱ふ むべ
月朧草書の文字で写経せん かかし
遅霜や赤茶け杉に差す朝日 隆松
子らの描く絵入りの由緒遍路寺 なつき
雫うけ小さき木の芽は玉の中 えいいち
牧師焼く種なしパンや受難節 あひる
球春やラジオが友と鍼灸師 せいじ
念願を貫き通し入学す わかば
切株の年輪へ射す春日かな 康子
人の居ぬホームのベンチ春日占む せいじ
山越への鈴新しき遍路杖 なつき
小雨降る樹冠鈴なる春の鳥 えいじ
雨の日の著莪はこくりと俯けり えいじ
本堂の花頭窓射す若葉影 むべ
朝霞里へ薄日の谷の底 隆松
住人の変われど白木蓮の無垢 あひる
無番地の宿は砂浜春の波 こすもす
夜半の声聞けば烏の春の鳴き えいいち
久方に日光浴すたんぽぽ黄 ぽんこ
疎まるる杉の花粉の烟りかな わかば
俥夫はいま胸突古都の花の坂 みのる
春憂う樹も日競うとガイドいへり えいじ
木蓮や棚びく雲の山の寺 わかば
春嵐にざわめき軋む松並木 隆松
雨に透く日向水木の仄あかり えいいち
由緒ある鳥居にかかる初桜 ぽんこ
春の野に乳母車の児哺乳瓶 かかし
山茱萸の花けぶる谷戸小糠雨 むべ
建仁寺垣をこぼれて落椿 みのる
楼門へ翳す萌黄の若葉かな みのる
大寺の山門翳す若葉影 康子
書家の昼筆干す庭に麦青む よう子
ニ十年着たるジャケツを知る人と あひる
包みゐし勢をはじく辛夷かな わかば

2024年2月29日

梅の丘目路に淀川はるかなり はく子
改修成る寺の大梁梅日和 よう子
春寒や片頬欠けし狛狐 素秀
若僧のまだ生臭し梅の寺 素秀
春寒し税務署前の花壇見る 隆松
紅梅を池辺に散らし鷺一羽 素秀
ゆるやかな磴百段の梅の宮 はく子
大絵馬に影あはあはと枝垂梅 なつき
ゆるゆると杖を頼りの梅見坂 素秀
春寒や通ひ続ける鍼灸院 満天
梅の花紅白にある良き遅速 わかば
春寒しメールして置く届け物 よう子
春寒や遅き変換パソコンに 満天
梅真白仏頭祀る無住寺 なつき
集ひては持病の話春寒し 満天
三世代手編み帽子で観梅す かかし
梅東風や水掛け牛の背乾く なつき
錆びし缶梅一輪の無人駅 かかし
春寒し駅舎のの字の轍かな よう子
梅東風や伊吹の裾を流れ雲 隆松
梅の里旧街道の道祖神 かかし
堂屋根のしなる古寺の梅白し なつき
黒タイを緩め終電春寒し かかし
又一つ更地となりて春寒し 満天
点滴を終へて窓辺の梅日和 かかし
祈願後の女梅見る天神社 隆松
探梅や母の手を引き背を押し なつき
はらからの相次ぐ葬や春寒し はく子
卒寿刀自共に詣でて梅の宮 はく子
春寒に声も震ふや明烏 隆松
白梅に募る追慕のあらたなる わかば
本堂の天井の闇春寒し よう子
供花のなき力士の墓や春寒し よう子
紅白の彩香を違へ梅の花 わかば
春寒や酸素足るるも脈が飛ぶ 隆松
春寒し騒ぐ舞子の松林 わかば
春寒し讃岐うどんを啜りこむ 素秀
寂しそうめじろ遊ばぬ宮の梅 はく子
春寒や鴬張りの長廊下 わかば
青空に白のとけいる梅日和 満天

2024年2月22日

父よりも母が達人独楽まわし こすもす
独楽廻す猫のパンチが二度三度 かかし
妹を泣かせて止まる暴れ独楽 なつき
大寒の日差しを通すサンルーム 素秀
大寒の風を聞きつつ夜の熱 素秀
大寒の月の光を庭隅へ 満天
大寒や丸まる背ナに孫の声 かかし
大寒の空に高舞ふ鳶かな わかば
老人会折紙独楽の作り方 こすもす
紐離れ独楽空中に廻りけり 素秀
大寒の聞かぬふりする風の音 素秀
大寒や百段駆ける部活生 かかし
大寒の柏手響く神社かな 満天
大寒の鉢に珈琲かす撒けり なつき
大寒の棺兄は花に埋もる はく子
大寒の朝のみそ汁具沢山 なつき
喧嘩独楽手垢の紐の宙を舞ふ よう子
大寒の瑞枝に尖る蕾かな わかば
大寒の荒れて高濤打つ巌 わかば
大寒を駈ける短パン元気つ子 はく子
紐甘し右手へ左手へよろけ独楽 隆松
大寒の湯気ほのぼのと厨朝 満天
大寒や診療所の急階段 よう子
大寒や押しくらの如猿の群れ かかし
独楽眠る方舟めける玩具箱 素秀
大寒や雲一片のビルの空 満天
大寒やコーヒーの木にうす埃 なつき
大寒やトートバックの重さ増す よう子
大寒をマーガレットは咲き満つる はく子
臥せし児の枕辺に置く木の実独楽 わかば
大寒の群で飛び立つ雀どち 満天
大寒や顔を洗うに身構えぬ 隆松
大寒や影の連なる歩道橋 なつき
大寒やモノトーンなる里の山 かかし
くるりんと逆立ちしたる独楽をかし はく子
大寒や朝練の子の意気高し よう子
大寒や暦通りの雪警報 こすもす
伊吹への残照淡し寒がはり 隆松
手の甲へしっぺの如く独楽の紐 隆松
独楽回し女子遠巻きに囃しをり よう子
飾り独楽いつの間にかの土の上 わかば
紐を巻くことから伝授独楽回し はく子
大寒やホールインワン久々に こすもす

2024年2月22日

父よりも母が達人独楽まわし こすもす
独楽廻す猫のパンチが二度三度 かかし
妹を泣かせて止まる暴れ独楽 なつき
大寒の日差しを通すサンルーム 素秀
大寒の風を聞きつつ夜の熱 素秀
大寒の月の光を庭隅へ 満天
大寒や丸まる背ナに孫の声 かかし
大寒の空に高舞ふ鳶かな わかば
老人会折紙独楽の作り方 こすもす
紐離れ独楽空中に廻りけり 素秀
大寒の聞かぬふりする風の音 素秀
大寒や百段駆ける部活生 かかし
大寒の柏手響く神社かな 満天
大寒の鉢に珈琲かす撒けり なつき
大寒の棺兄は花に埋もる はく子
大寒の朝のみそ汁具沢山 なつき
喧嘩独楽手垢の紐の宙を舞ふ よう子
大寒の瑞枝に尖る蕾かな わかば
大寒の荒れて高濤打つ巌 わかば
大寒を駈ける短パン元気つ子 はく子
紐甘し右手へ左手へよろけ独楽 隆松
大寒の湯気ほのぼのと厨朝 満天
大寒や診療所の急階段 よう子
大寒や押しくらの如猿の群れ かかし
独楽眠る方舟めける玩具箱 素秀
大寒や雲一片のビルの空 満天
大寒やコーヒーの木にうす埃 なつき
大寒やトートバックの重さ増す よう子
大寒をマーガレットは咲き満つる はく子
臥せし児の枕辺に置く木の実独楽 わかば
大寒の群で飛び立つ雀どち 満天
大寒や顔を洗うに身構えぬ 隆松
大寒や影の連なる歩道橋 なつき
大寒やモノトーンなる里の山 かかし
くるりんと逆立ちしたる独楽をかし はく子
大寒や朝練の子の意気高し よう子
大寒や暦通りの雪警報 こすもす
伊吹への残照淡し寒がはり 隆松
手の甲へしっぺの如く独楽の紐 隆松
独楽回し女子遠巻きに囃しをり よう子
飾り独楽いつの間にかの土の上 わかば
紐を巻くことから伝授独楽回し はく子
大寒やホールインワン久々に こすもす

2023年12月31日

冬ざるる高架となりし廃線路 なつき
暖炉前耳の垂れゐるうさぎ二羽 素秀
ストーブを囲み話の弾みけり 満天
冬ざれや線路の脇の一軒家 こすもす
吊り橋に二の足踏むや冬ざれし かかし
歩道橋風の尖りて冬ざるる 満天
陸奥のだるまストーブ懐かしき わかば
海峡の船影見えず冬ざるる わかば
日の燦とある日は暖房消しませう はく子
冬ざれや廃線跡のケーブルカー かかし
ストーブの上に黒豆ふつふつと はく子
冬ざれや空き地そのまま来年も たか子
冬ざれやとみに増したるもの忘れ はく子
足元に豆ストーブの美容院 なつき
夫の癖忘れ行く日の冬ざるる たか子
するめ焼くストーブ列車山峡へ たか子
ストーブに旅装それぞれ商人宿 素秀
ぽちぽちと真夜に買物暖炉燃ゆ なつき
山小屋の薪整然とうず高し たか子
冬ざれや振り向く猫と目の合いぬ よう子
ストーブの窓に確かむ焼き林檎 うつぎ
冬ざれや川筋の葦風に鳴る うつぎ
恙無き一日に安堵煖炉燃ゆ かかし
ストーブの温めてゐる写経堂 なおこ
ストーブも無くて火鉢に暖取りし たか子
遠山の見慣れし景も冬ざるる 満天
冬ざれや医院建つてふ札傾ぎ なつき
淀は滔々冬ざれの河川敷 はく子
冬ざれの始発列車の灯しかな 小袖
ストーブを背に居眠りの電話番 よう子
ストーブに濡れた手袋靴を乾す わかば
酒蔵の道冬ざれの波止場まで よう子
冬ざれの河川敷行く水際まで はく子
ストーブのワイングラスに乾杯す 満天
峠越へ冬ざる村の野菜買ふ よう子
三十年動くストーブ娘は母に こすもす
海峡の逆波立ちて冬ざるる うつぎ
冬ざるる軽トラの菜の売れ残り よう子
鈍色の雲灰色の海冬ざるる わかば
父の椅子今も暖炉の定位置に うつぎ
風強きからぶ小川の冬ざるる わかば
手かざせば赤き輪郭暖炉の火 素秀
冬ざるる転がる空き缶音高し 満天
竹箒払ふ古墳の冬ざるる 素秀
冬ざれや卒寿と古希の親子かな こすもす
ストーブを燃やし喧嘩の夫待てり なつき
白うさぎ褪せたる絵馬の冬ざるる 素秀
冬ざれやモノトーンなる過疎の村 かかし
現役のストーブ九十一年製 こすもす
冬ざれや煌々と月あるばかり うつぎ
冬ざれにダークカラーの帰宅びと なおこ
烏賊の香の達磨ストーブ北の果て かかし

2023年11月30日

白菜の売らるる白き尻並べ うつぎ
白菜を刻み浅漬け一人分 はく子
雅楽の音低く流れて神の留守 小袖
神の留守無断駐車のお散歩カー もとこ
高垣の白菜畑杣の家 よう子
白菜の漬物石は子に重し わかば
平和へと行脚されたし神の旅 たか子
乱切りの白菜の音ハミングす かかし
箒目につけし足跡神の留守 なつき
神の留守子はポケットに石詰めて なつき
定番の白菜鍋やみんな好き こすもす
白菜の日に輝きて河川畑 素秀
頂きて白菜一つの重さかな はく子
柏手も鈴も大きく神の留守 はく子
くぐもれる土鳩の声や神の留守 かかし
奉行から合図待ちたる山白菜 もとこ
湯殿山流れを止めぬ神の留守 わかば
渓谷の倒木真白神の留守 よう子
行儀良く白菜鍋のミルフィーユ たか子
神の留守橋に立つ吾のうすき影 なつき
大木の伐り倒しする神の留守 もとこ
箒目の美しき庭神の留守 満天
どの木木も鳥語賑やか神の留守 満天
欄干無き橋渡りませ神の旅 よう子
神の留守広前貸して古本市 満天
煮あがれば白菜の嵩これだけに たか子
白菜は八分の一ひとり鍋 こすもす
刃を入れて大白菜をサクッと切る 満天
五キロ超へ白菜に笑む老農夫 かかし
小流れに白菜洗ふ泥の色 素秀
白菜を包む千秋楽の新聞 こすもす
外海へ鳶遠ざかる神の留守 素秀
白菜の山崩れさう道の駅 うつぎ
妣漬けし白菜の味忘られず わかば
白菜は四分割と決めて買う たか子
寺参りばかり三箇所神の留守 こすもす
白菜の中の青虫丸まりて よう子
白菜や何はなくとも存在し もとこ
にぎやかに白菜を切る異国人 素秀
氏神の灯りて空つぽ神の留守 うつぎ
手づからの白菜キムチ届く頃 うつぎ
白菜の何しても合う甘味かな たか子
緩く巻く白菜を手に買ひあぐる なつき
白菜の漬物石のオブジェ化す もとこ
氏子らは合祀の話神の留守 素秀
よちよち歩きの十ヶ月の子神の留守 こすもす
白菜の粗塩舐めて漬け始む よう子
神留守の今日も人見ず氏神社 はく子
御手洗に小雀遊ぶ神の留守 満天
御手洗の水音澄める神の留守 うつぎ
神留守の誰彼詣で七五三 はく子
傘寿祝ぐ絵馬の桧の香や神の留守 なつき
白菜を漬けて水あぐ頃となり わかば
生産者名の白菜道の駅 かかし
不揃ひの白菜積みて無人店 かかし
力石でんとかまへて神の留守 わかば

2023年10月31日

時々は雨に邪魔され後の月 こすもす
後の月火の見櫓の構えるへ はく子
末枯の土手の日溜りもぐら塚 なつき
愛でる声まんまるまるく十三夜 小袖
末枯や高架なるてふ廃線路 なつき
山頂の灯の呟ける十三夜 うつぎ
門に立ち仰ぐみ空や十三夜 わかば
すれ違ふケーブル軋む末枯れ山 よう子
末枯や人差し指の油染み 素秀
再検の結果に安堵後の月 かかし
末枯やとどきはせぬも空真澄 素秀
山の端にゆったり出でし十三夜 満天
山河みな息を止めたる十三夜 うつぎ
研修を終へ報告書十三夜 よう子
漁火の沖に光りて後の月 わかば
熱の子を胸に抱きて十三夜 なつき
末枯や夕潮川辺浮かべをり わかば
末枯の先ず始まりし鉢ひとつ あひる
膝裏を風立ち上ぐる十三夜 素秀
嵐去る空に潤みし後の月 あひる
恙なくひと日終えるや後の月 満天
末枯てなほ隆々の大欅 うつぎ
釣狐月見て啼くや十三夜 素秀
夕づきて鴨川堤末枯るる はく子
手で払ふ野の末枯の軽さかな 小袖
芝居はね電車の窓の十三夜 よう子
我影と連れ立ちて行く十三夜 満天
引っ越しの友の家跡末枯るる なつき
暮れなずむ山の端出でし後の月 小袖
コンビニに振り込み済ませ十三夜 小袖
外に待たん名残の月を見るまでは せいじ
旅の途の湖上に孤高後の月 はく子
雨去りて耿耿と射す十三夜 わかば
浮橋に鉾のまぼろし十三夜 素秀
末枯や川辺の草の勢なく わかば
末枯の起伏野に日の落ちにけり せいじ
嵯峨野路の葉擦れの音色十三夜 かかし
末枯の堤五千歩目指しけり こすもす
突然の雨も上がりて後の月 せいじ
おやすみと月に目配せ十三夜 あひる
中天に鋼と光る後の月 あひる
後の月連れ添ふ雲もなかりけり はく子
点滴を終へて休息十三夜 かかし
末枯の野辺に十三仏座す 小袖
末枯るる野路の地蔵のよだれかけ よう子
十三夜母の愛でをし軋む椅子 かかし
独り居のつましき暮らし十三夜 うつぎ
末枯の野に陽のあたるベンチかな あひる
花見せてくれず仕舞ひや末枯るる うつぎ
川沿の末枯れいよよ進み行く 満天
廃校の花壇の跡地末枯るる かかし
この並木みな末枯れて色づかず せいじ
共に愛でむとメール送信後の月 こすもす
釣り人去り末枯れそめし河原かな よう子
新装の欄干土手の末枯るる はく子
末枯の始まりている狭き庭 満天
末枯や古き窯跡荒れしまま せいじ
野良猫の庭を横切る十三夜 なつき

2023年9月30日

単線のホームのベンチ秋の空 せいじ
あぜ道のゆるき蛇行や曼珠沙華 あひる
思い出の明日香の棚田曼殊沙華 はく子
林間に漁り火のごと曼殊沙華 せいじ
雲の間の隙間の青き天高し 満天
秋空の雲の変幻見て飽かず はく子
肩の子の伸ぶ手いつぱい秋の空 素秀
古刹へと誘ふ畔の曼珠沙華 うつぎ
木洩れ日の渓に散らばる曼珠沙華 あひる
筆の穂を開き染めたり曼珠沙華 わかば
八方のいづれ正面曼珠沙華 満天
曼珠沙華群生なせる畑の隅 わかば
彼岸花の供花に華やぐ辻地蔵 なつき
イベントの白鳩百羽秋の空 かかし
秋空へ法螺の音たかし稚児の列 なつき
参磴を二列で上る曼殊沙華 せいじ
説法の百寿の僧や秋の空 かかし
厨事窓にひろごる鰯雲 満天
区画田の線引くごとし曼珠沙華 満天
鬩ぎ合ふ気圧のさなか秋の空 素秀
月置きて更けし秋空澄み渡る はく子
秋天に市民ランナー一万人 かかし
秋天へ聳ゆる大樹風戦ぐ わかば
奈良の古寺紅白曼殊沙華咲かせ はく子
ユニフォーム竿一杯や秋の空 かかし
窓側の座席は妻に秋の空 せいじ
ひとつあり魁と咲く曼珠沙華 素秀
藁ぼっち囲むは畔の曼珠沙華 うつぎ
胸の内全部打ち明け曼珠沙華 満天
秋空へ垂直に伸ぶ飛行雲 なつき
曼珠沙華傘をくるりと下校生 かかし
秋の空映す山湖の清々し わかば
秋天へふらここ漕ぐよおーい雲 はく子
曼珠沙華揃ひ立ちたる一里塚 なつき
背もたれを倒して仰ぐ秋の空 せいじ
蕾なる朱をを覗かせて曼珠沙華 わかば
園児らの組体操や秋の空 なつき
真青なる川の蛇行や秋の空 あひる
歩はいつか涅槃へ続く曼珠沙華 素秀
曼珠沙華盆地は今し真つ赤つ赤 うつぎ
大空へ背伸び背伸びの曼珠沙華 あひる
秋天の深きに挿さるパゴダ塔 素秀

2023年8月31日

天の川子らはテントに寝息たて なつき
過疎の郷山から山へ天の川 あひる
高原の闇に輝く天の川 わかば
天の川俗世浄土の橋渡し かかし
三代の帽子引き継ぐ案山子かな かかし
学校田に腕まくりする案山子かな なつき
銀河濃し親子で花山天文台 せいじ
ご機嫌の笑顔くずれぬ案山子かな あひる
案山子の子案山子の親により添われ あひる
求めども一体も見ず田の案山子 こすもす
畔に憩う一家全員案山子さん こすもす
かかし祭中にコスプレファッションも はく子
銀漢の廻してをりぬ大風車 素秀
雀来て孤独にあらず案山子かな わかば
学校田案山子の腕に群雀 なつき
波音のここまでとどく遠案山子 素秀
鉢巻の学ラン案山子過疎の村 よう子
天の川亡き友思ひ星いずこ 満天
アブラムもかつて仰ぎし大銀河 せいじ
中庭の庇切りとる天の川 素秀
天の川球児素振りを五百回 かかし
人からの期待を纏ひ案山子立つ 満天
帯状に集まる星や天の川 こすもす
芭蕉翁訪ねて伊賀の案山子かな よう子
天の川立山の影屏風立つ わかば
数多なる案山子の親子過疎の里 かかし
力作の棚田の案山子勢揃ひ わかば
鉾杉の影黒々と天の川 あひる
天の川被さるやうに踊りの輪 あひる
誰彼に似たる顔つき案山子かな 満天
山の田の一枚づつに案山子立つ 素秀
銀漢や町の名も川も「天の川」 はく子
星座盤掲げて銀河捉へたり 素秀
ふるさとの家族思ふや天の川 満天
銀河澄む幾光年の旅重ね せいじ
千枚田畔に案山子のコンクール はく子
願い事秘めて仰げり天の川 なつき
山上に見し銀漢の荒々し はく子
水遣りをうっかりすれば天の川 こすもす
岬往くヘッドライトや天の川 よう子
馬頭琴流るるパオや天の川 よう子
大銀河子どもらに夢語らしむ せいじ
コーラス隊みたいな案山子横並び こすもす
銀漢の滴やほつとパオ灯る よう子
銀河濃し待ちて覗きし望遠鏡 せいじ
通学帽の案山子肩組む学校田 なつき
まわりの灯消えて静かや天の川 わかば
今年限り案山子に礼の老夫婦 かかし
かかし祭トトロファミリー勢ぞろい はく子
雨風に耐へて凜とす案山子かな 満天

2023年7月31日

着くずれし浴衣男子が向い席 あひる
頬かむりして懐かしき草いきれ 素秀
過疎村の神の御旅所草いきれ うつぎ
雨上がり河原にむせる草いきれ はく子
ざんぎりの力士浴衣の背に四股名 素秀
草いきれ紡ぎ岩肌石仏 わかば
草いきれも良きかな畔の散歩道 はく子
ケーブルカー廃止の噂草いきれ うつぎ
塞がれし防空壕跡草いきれ よう子
双子めく母と娘の旅浴衣 せいじ
孫に着せやる浴衣は三代目 はく子
紺の浴衣に下駄彼女連れ夕散歩 宏虎
黒タイを緩め大の字草いきれ かかし
髪あげて白きうなじや浴衣の子 満天
草いきれしてをる阿蘇の大牧場 せいじ
城崎の宿浴衣着て夜の町 わかば
選りし色違ふ姉妹の浴衣かな なつき
草いきれまた一軒の空き家かな かかし
よく跳ぬる揃ひの浴衣老人会 うつぎ
草いきれ河川敷行くや犬連れて 満天
浴衣着て母と湯めぐり懐かしき わかば
手捌きは見よう見まねの浴衣の子 素秀
草いきれ河原のゴミの収集日 わかば
姉妹にて駅中ピアノ藍浴衣 かかし
草いきれ川底浚ふ重機かな なつき
踝を見せて浴衣の下駄の音 小袖
草いきれ河原の中の遊歩道 わかば
髪飾と揃ひの浴衣双子ちゃん 満天
浴衣着て夕暮れ出かけし若夫婦 満天
呉服屋の店員意気に藍浴衣 はく子
草いきれ土手にこさへし駐輪場 せいじ
胡坐組む浴衣の父の火傷あと よう子
浴衣の子四時の公園待合せ 小袖
記念日の揃ひの浴衣二人卓 かかし
裾はだけ姉の後追ふ浴衣の子 なつき
草いきれ幼き友の便り絶へ かかし
手付かずの歴史街道草いきれ 小袖
草いきれどこまで行くも匂ひ立つ 満天



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