山の田の一枚づつに案山子立つ | 素秀 |
銀漢や町の名も川も「天の川」 | はく子 |
星座盤掲げて銀河捉へたり | 素秀 |
ふるさとの家族思ふや天の川 | 満天 |
銀河澄む幾光年の旅重ね | せいじ |
千枚田畔に案山子のコンクール | はく子 |
願い事秘めて仰げり天の川 | なつき |
山上に見し銀漢の荒々し | はく子 |
水遣りをうっかりすれば天の川 | こすもす |
岬往くヘッドライトや天の川 | よう子 |
馬頭琴流るるパオや天の川 | よう子 |
大銀河子どもらに夢語らしむ | せいじ |
コーラス隊みたいな案山子横並び | こすもす |
銀漢の滴やほつとパオ灯る | よう子 |
銀河濃し待ちて覗きし望遠鏡 | せいじ |
通学帽の案山子肩組む学校田 | なつき |
まわりの灯消えて静かや天の川 | わかば |
今年限り案山子に礼の老夫婦 | かかし |
かかし祭トトロファミリー勢ぞろい | はく子 |
雨風に耐へて凜とす案山子かな | 満天 |
2023年7月31日 | |
着くずれし浴衣男子が向い席 | あひる |
頬かむりして懐かしき草いきれ | 素秀 |
過疎村の神の御旅所草いきれ | うつぎ |
雨上がり河原にむせる草いきれ | はく子 |
ざんぎりの力士浴衣の背に四股名 | 素秀 |
草いきれ紡ぎ岩肌石仏 | わかば |
草いきれも良きかな畔の散歩道 | はく子 |
ケーブルカー廃止の噂草いきれ | うつぎ |
塞がれし防空壕跡草いきれ | よう子 |
双子めく母と娘の旅浴衣 | せいじ |
孫に着せやる浴衣は三代目 | はく子 |
紺の浴衣に下駄彼女連れ夕散歩 | 宏虎 |
黒タイを緩め大の字草いきれ | かかし |
髪あげて白きうなじや浴衣の子 | 満天 |
草いきれしてをる阿蘇の大牧場 | せいじ |
城崎の宿浴衣着て夜の町 | わかば |
選りし色違ふ姉妹の浴衣かな | なつき |
草いきれまた一軒の空き家かな | かかし |
よく跳ぬる揃ひの浴衣老人会 | うつぎ |
草いきれ河川敷行くや犬連れて | 満天 |
浴衣着て母と湯めぐり懐かしき | わかば |
手捌きは見よう見まねの浴衣の子 | 素秀 |
草いきれ河原のゴミの収集日 | わかば |
姉妹にて駅中ピアノ藍浴衣 | かかし |
草いきれ川底浚ふ重機かな | なつき |
踝を見せて浴衣の下駄の音 | 小袖 |
草いきれ河原の中の遊歩道 | わかば |
髪飾と揃ひの浴衣双子ちゃん | 満天 |
浴衣着て夕暮れ出かけし若夫婦 | 満天 |
呉服屋の店員意気に藍浴衣 | はく子 |
草いきれ土手にこさへし駐輪場 | せいじ |
胡坐組む浴衣の父の火傷あと | よう子 |
浴衣の子四時の公園待合せ | 小袖 |
記念日の揃ひの浴衣二人卓 | かかし |
裾はだけ姉の後追ふ浴衣の子 | なつき |
草いきれ幼き友の便り絶へ | かかし |
手付かずの歴史街道草いきれ | 小袖 |
草いきれどこまで行くも匂ひ立つ | 満天 |
青年の手足はみ出す宿浴衣 | よう子 |
白日のカルスト台地草いきれ | せいじ |
もてなしは選べる浴衣お温泉の宿 | あひる |
カラフルや吾娘の浴衣も思ひ出も | あひる |
浴衣着て稽古すみまし何時もの酒屋 | 宏虎 |
草いきれ羊ひたすら草を食む | はく子 |
廃寺に消えゆく猫や草いきれ | なつき |
藍浴衣これしかないと紅の帯 | あひる |
踏み込める山羊平然と草いきれ | 素秀 |
草いきれ被さってくる小径ぬけ | あひる |
浴衣の子澄まして座敷童子かな | なつき |
留学子の鞄に浴衣詰めてやり | よう子 |
襟堅き浴衣の柄は荒削り | 素秀 |
園丁の総身に纏ふ草いきれ | よう子 |
浴衣着て国道電車のりた過去 | 宏虎 |
邦人は浴衣で仮装行列し | せいじ |
近道の公園突つ切る草いきれ | うつぎ |
島バスを降りて故郷草いきれ | うつぎ |
2023年6月30日 | |
明け易し今日どこへとも予定なく | たか子 |
夏草のはびこる根っこのしたたかさ | はく子 |
短夜の朝刊配るバイク音 | 満天 |
短夜や眼鏡ずらして糸通し | かかし |
長堤の夏草すっかり刈り取られ | はく子 |
短夜や眠れぬならば起きるまで | もとこ |
短夜の断片的な夢幾つ | こすもす |
短夜の昨日に続く雨の音 | 素秀 |
夏草に囲まれ眠る無縁墓 | 満天 |
耳元に猫の気配の短夜かな | 素秀 |
夏草や土塁短く残りをり | 小袖 |
コンサート終へて余韻の短夜や | かかし |
短夜を寝惜しむ宿の旅寝かな | わかば |
夏草やソーラーパネル並びたり | なつき |
次々と舗装の割れ目夏の草 | うつぎ |
夏草と潮の香微か浜公園 | こすもす |
夏草に来てどの犬もマーキング | うつぎ |
短夜や猫の瞳のガラスめく | こすもす |
夏草に立てし選挙の公示版 | なつき |
短夜の鳴りつぱなしのラジオかな | うつぎ |
短夜や看取りの日々の懐かしく | わかば |
懐かしき香や刈取中の夏草 | こすもす |
短夜のラジオは懐メロ歌謡曲 | はく子 |
短夜の未完の夢となりにけり | 素秀 |
短夜の夢の続きをもう一度 | 満天 |
夏草や勢ひ落ちることのなく | わかば |
産土神覆ふ夏草過疎の村 | かかし |
夏草も景に山家のレストラン | 小袖 |
夏草にホームラン球見失ふ | はく子 |
明易の雨戸を繰りて香手向く | うつぎ |
隧道の夏草闇に滴りぬ | よう子 |
短夜や老いの飲み会五時解散 | もとこ |
行書らし川面に流る夏の草 | よう子 |
腰痛の庭の夏草生ふままに | うつぎ |
夏草に鍬絡まれし老農夫 | かかし |
夏草の切先天に刃物めく | 素秀 |
短夜の明かさぬままの隠し事 | なつき |
夏草に靴をしづめて河畔まで | はく子 |
夏草にジャンプや白のワンピース | もとこ |
明易し母と語りし日々のこと | わかば |
明け易や旅の枕の合わぬまま | たか子 |
短夜や浮かびし俳句夢の中 | よう子 |
夏草の匂の強き河原かな | わかば |
短夜や病ひひよつこり訪れる | もとこ |
廃線の錆の上にも夏の草 | 素秀 |
短夜のガタゴト過ぎる終電車 | 小袖 |
明易し早ばやと鳴く軒雀 | 満天 |
明易し雨音強く裏の川 | 満天 |
明け易や検査結果を待ちて今日 | たか子 |
夏草の揺れに吠えたつチワワかな | なつき |
夏草に只の山なる御土居跡 | もとこ |
夏草や終い墓なるそこかしこ | たか子 |
子の悩み耳に残りて明易し | なつき |
夏草やケーブルカーの廃止ビラ | よう子 |
短夜やこれからの事今の事 | たか子 |
夏草の陰よりスズメ次々と | こすもす |
七十年振りの再会明易し | かかし |
夏草へ三角ベースホームラン | よう子 |
2023年5月31日 | |
雲の上を跳ぬるがごとしあめんぼう | はく子 |
乗り継ぎの三度の駅の薄暑かな | あひる |
子が止めぬ山羊の鳴き真似園薄暑 | なつき |
あらがえど又流さるるあめんぼう | はく子 |
川薄暑開閉橋はあと五分 | 素秀 |
街薄暑立ち退きビルの解体音 | はく子 |
水馬沈まぬ程の窪みかな | よう子 |
美術館庭に薄暑のモネの池 | 素秀 |
水口を一蹴りターン水馬 | なつき |
あめんぼに凹みし水の金の影 | あひる |
あめんぼう墨ひと雫ほどの影 | 宏虎 |
隠沼の日の斑迷路にあめんぼう | 素秀 |
道標はコンクリートよ町薄暑 | なつき |
みづすまし流れに任せ休みをり | 隆松 |
香草のツンと厨の薄暑かな | 素秀 |
夫の立つ脚立支へる薄暑かな | よう子 |
あめんぼうの乗つかる表面張力 | はく子 |
砂場もう乾き切ったり夕薄暑 | たか子 |
外食と言えどうどん屋街薄暑 | たか子 |
覗き込む影に飛びでるあめんぼう | 素秀 |
あめんぼや歩板を潜り抜けもして | せいじ |
あめんぼう一日遊びて暮れにけり | あひる |
公園の子等何時までも夕薄暑 | 満天 |
水底の影六つまろしあめんぼう | はく子 |
幾つもの水輪描くやみづすまし | 隆松 |
ウォーキング頬を撫でゆく薄暑風 | 隆松 |
早足でい行く諸人駅薄暑 | せいじ |
園薄暑回転ドア―に止めらるる | なつき |
あめんぼう何処にスタミナ有るのかな | 宏虎 |
玉砂利の音は濁音宮薄暑 | 宏虎 |
家路へと混み合う駅の夕薄暑 | たか子 |
スマホ手に声高々の町薄暑 | 満天 |
ちょっととんで考えごとやあめんぼう | あひる |
あめんぼの水輪にみたり和の心 | せいじ |
心字池和尚の影と水馬 | よう子 |
引越しの荷の片付かぬまま薄暑 | あひる |
硝子張りなるビルあまた街薄暑 | せいじ |
魚焼く路地裏匂ふ夕薄暑 | 満天 |
甲子園目指す球児に薄暑光 | かかし |
青空をすいすい歩くみずすまし | 満天 |
あめんぼう黒の塊すいすいと | 宏虎 |
薄暑なる仲見世に食ぶナポリタン | なつき |
解体とや丸ビル仰ぐ街薄暑 | よう子 |
あめんぼが顔の真中に鏡池 | せいじ |
口笛の下校の子たち薄暑光 | かかし |
神鼓打つ僧の一群寺薄暑 | 宏虎 |
ぴょんぴょんと三段跳びの水馬 | かかし |
木漏れ日の眩さの増し道薄暑 | 隆松 |
看護師の痛いですよも薄暑かな | よう子 |
水すまし青天井が舞台なる | たか子 |
我が陰と抱き合っているあめんぼう | たか子 |
手足跡残さぬままに水馬 | かかし |
水馬の水遁の術見事なり | 隆松 |
遮断機の長き時間や夕薄暑 | 満天 |
薄暑光幌を被せし乳母車 | かかし |
2023年4月30日 | |
古希近き婦人吟行春惜しむ | 宏虎 |
惜春の空のみからり晴れ渡り | 小袖 |
多国語の集ふシートや春惜しむ | なつき |
惜春や伊吹の峰にすわり雲 | 隆松 |
むらさきの夜となり都忘れかな | 素秀 |
落人村都忘れに京ことば | よう子 |
憂きことを消し去る都忘れかな | せいじ |
惜春や昔の旅のことばかり | あひる |
砂利舟の吃水深く春の逝く | はく子 |
都忘れ何処にも行かぬ母の庭 | うつぎ |
惜春や昔スターのかすれ声 | あひる |
グーグルに名を聞き都忘れてか | 隆松 |
色失せて都忘れの彩はなし | 宏虎 |
いとまごい一会の茶事に春惜しむ | 小袖 |
鳶の舞ふ砲台跡に春惜しむ | せいじ |
森の木の色の移ろひ春惜しむ | わかば |
ヴォーリーズの近江を訪ね春惜しむ | よう子 |
野春菊うすむらさきに引き込まれ | 満天 |
対岸の島影模糊と春惜しむ | わかば |
都忘れ何故か悲しき花の色 | あひる |
ホームにて出会ひと別れ春惜しむ | かかし |
夕さりて都忘れの真紫 | 素秀 |
俳諧は老後生き甲斐春惜しむ | 宏虎 |
都忘れ宿の前庭濃紫 | わかば |
春惜しむ遺品の鞄艶残し | 小袖 |
暦年の大樹に触れて春惜しむ | はく子 |
巡回バス途中下車して春惜しむ | よう子 |
植木鉢替へてチャペルの春惜しむ | せいじ |
思ひの丈都忘れの濃く淡く | うつぎ |
水神の注連古る井戸や春惜しむ | よう子 |
本流の滾つ宇治川春惜しむ | はく子 |
漣の池を眺めて春惜しむ | こすもす |
鍬休め鳥語を聴くや春惜しむ | かかし |
春惜しむ体操終へて腕捲る | かかし |
尼寺に一むら都忘れかな | なつき |
初めての写経終えたり春惜しむ | なつき |
雨の日は抹茶をたてて春惜しむ | せいじ |
とりどりの花弁掃き寄せ春惜しむ | こすもす |
ゆっくりと園をめぐりて春惜しむ | 満天 |
惜春や里親離す訓練犬 | 小袖 |
灯りたるパールブリッジ春惜しむ | うつぎ |
街出でて都忘れと会ふ小道 | 隆松 |
ぼやけゆく飛行機雲に春惜しむ | こすもす |
幾たびか訪ひし城址や春惜しむ | わかば |
村を出る川の流れに春惜しむ | うつぎ |
竹林の大揺れに春惜しみけり | せいじ |
落柿舎の床几に春を惜しみけり | 宏虎 |
かがまりてふるさとしのぶ都忘れ | 満天 |
都忘れ脛に触るるや花畑 | あひる |
春惜しむ一駅前でバスを下車 | かかし |
逝きし人アルバム広げ春惜しむ | 満天 |
父の忌の近きと都忘れ咲き | 素秀 |
春惜しむパステルカラーの子のぬり絵 | なつき |
金継ぎの記念の湯呑み春惜しむ | かかし |
足元に鳩来るベンチ春惜しむ | なつき |
転げ行く余生のひと日春惜しむ | 宏虎 |
春惜しむ同窓会の欠席に | 満天 |
惜春や女謡ひの声の良し | 素秀 |
しんにょうの流れて春を惜しむ文 | 素秀 |
山影の日毎変わるに春惜しむ | 隆松 |
都忘れ咲かせ高階ひとり住む | はく子 |
惜春や災難続きの日々なれど | うつぎ |
咲きくれし花に感謝や春惜しむ | こすもす |
奥ゆかし都忘れをそつと摘む | あひる |
思い出を紡ぐ城址や春惜しむ | わかば |
側溝の流れの速し春惜しむ | こすもす |
惜春や五時のチャイムに閉づパソコン | よう子 |
都忘れ只の野花と里をいく | 隆松 |
都忘れ淡き紫又濃きも | はく子 |
2023年3月31日 | |
剪定の切り口ぱつと香を放つ | うつぎ |
剪定をどうと決めかね空鋏 | 隆松 |
句碑に酔ひ花にも酔ひて旅終る | 宏虎 |
対岸へ続く車列や花堤 | あひる |
急燈の踊り場ごとの花明り | 素秀 |
年ごとに花見に来にし亡き父母よ | せいじ |
能勢今し何処を通るも山桜 | うつぎ |
剪定す花芽を切らぬやう思案 | せいじ |
絹の雨ドライブインの桜かな | みづき |
ケーブルカー山上駅は花三分 | よう子 |
尼寺の閑かな庭や花の雨 | みづき |
花満ちて一陣の風花吹雪 | 宏虎 |
剪定や替えの鋏を渡す妻 | 隆松 |
切り過ぎを案じる無花果の剪定 | こすもす |
花仰ぐ知らざる人と会話する | 満天 |
雨近き風にふるへる初桜 | なつき |
花舞ふや無人仏も隔て無く | かかし |
剪定の済みてひろごる青き空 | わかば |
三味の音にずれて手拍子花の茶屋 | 隆松 |
剪定の鋏に父の研ぎし癖 | なつき |
百齢の柿剪定は兄の手に | はく子 |
三川を見下ろす塔に花の雲 | はく子 |
小気味よき鋏の音や剪定す | うつぎ |
記念日の植樹の桜仰ぎ観る | かかし |
風禍から立ち直りたる花堤 | せいじ |
幽けしや暮ゆく渓の江戸彼岸 | よう子 |
誕生日祝ふフレンチ花の雨 | 小袖 |
大窓へ万朶の花のレストラン | はく子 |
花の屑自動ドアより闖入す | かかし |
城望むベンチの端しに花の昼 | 小袖 |
花堤夫と来し日の遠きかな | はく子 |
碧眼の酒酌み交はす花の下 | あひる |
川風の吹き上ぐ城址飛花落花 | なつき |
太陽の塔裳裾は花の友禅か | よう子 |
剪定の枝の燻るドラム缶 | 素秀 |
剪定の小枝こみちを塞ぎけり | あひる |
無花果の切り過ぎほどに剪定す | 宏虎 |
釈尊も御目開けませ花の寺 | 小袖 |
巡礼の首振りをりて花の寺 | 隆松 |
人の数増えてうれしや花の山 | せいじ |
通院のタクシーに過ぎし花の道 | はく子 |
花の道御宮参りの多きかな | なおこ |
来年の再会約す花見かな | みづき |
見分け難し白木蓮と辛夷かな | こすもす |
風に舞ひ風と別れて花筏 | かかし |
剪定の農家に学ぶ売り子どち | なおこ |
花の露咲くを待たずに逝きし人 | わかば |
花満ちて終の住処に迷ひ無し | うつぎ |
花に花重ねて寺の甍かな | 素秀 |
老木に耳当ててをり桜守 | かかし |
今度こそ生れよと言ひつ剪定す | うつぎ |
駅前はピンク一色花満開 | こすもす |
行燈の裏の夜桜寂しけり | 宏虎 |
土に聞き枝に聞きつつ剪定す | 宏虎 |
花の道行きつ戻りつ背を正す | 満天 |
夕時や満開の花昏れ残る | みづき |
枝垂れゐて水面に揺るる花一枝 | 素秀 |
どの窓も顔花明りケーブルカー | よう子 |
剪定の終わりし後の日差しかな | 満天 |
体操に広ぐ両手の朝桜 | 小袖 |
剪定や脚立降りれば頬に風 | 隆松 |
緑なる水滑りゆく花見船 | あひる |
花の風孔雀の冠羽揺らしたり | なつき |
空を切るやうに剪定鋏鳴る | 素秀 |
剪定や木々の実りヘ思ひ馳す | わかば |
輪になりて相見上げたる花万朶 | わかば |
二年ぶり庭師を入れて剪定す | せいじ |
ベビーカーの双子の寝顔花の下 | 満天 |
書出しはお元気ですか花の雨 | 小袖 |
花便りインターネット句友より | なおこ |
神社へと花のトンネルゆるめる歩 | こすもす |
公園で遊ぶ親子に花吹雪 | 満天 |
立ち止まり立ち止まり見る花並木 | みづき |
剪定の高枝にぬつと漢の顔 | あひる |
剪定の子は腰屈め親背伸び | よう子 |
舞ふごとく枝垂れ桜や神楽殿 | なつき |
花咲きて思い出綴り城址かな | わかば |
2023年2月28日 | |
札掛けし釘をそのまま卒業す | 素秀 |
台拭きで輪っか拭き取る春炬燵 | 豊実 |
定期券少し残して卒業す | よう子 |
先程の涙は乾き卒業す | 豊実 |
クッションは枕の代り春炬燵 | うつぎ |
卒業子袴姿の大人びて | よう子 |
挨拶も大人びてきて卒業子 | 満天 |
旅誘ふカタログ広げ春炬燵 | はく子 |
春炬燵出て背伸びする爺の昼 | よう子 |
間延びして聞こゆるアリア春炬燵 | うつぎ |
春炬燵じっとしていて揃いけり | 宏虎 |
マスクにて校歌斉唱卒業生 | かかし |
春炬燵急ぐことなど何も無し | うつぎ |
春炬燵ドラマ見ながらうたた寝す | 満天 |
卒業生記念植樹に名札架け | かかし |
卒業や友それぞれの道進む | わかば |
無駄にすは第二ボタンか卒業子 | 隆松 |
春炬燵古きアルバムめくりては | 満天 |
手の甲に涎垂るるや春炬燵 | 隆松 |
春炬燵施設のカタログ片隅に | はく子 |
春炬燵仕舞ふを拒む者の居て | わかば |
制服のボタンちぐはぐ卒業日 | よし子 |
レコードのノイズ懐かし春炬燵 | かかし |
蹴るボールばかり観ている春炬燵 | よし子 |
濠巡る船に設らふ春炬燵 | はく子 |
代々の遺影の囲み春炬燵 | 素秀 |
春炬燵ひとつ温みの仏間かな | 素秀 |
浪人の覚悟を決めて卒業す | 豊実 |
青空にちよつと転んで卒業す | わかば |
卒業の節目幾度もくぐり抜け | 小袖 |
ひちりきの音色に泣きて卒業歌 | 素秀 |
定宿の茶の間にぽつり春炬燵 | 豊実 |
演劇にどっぷり末っ子卒業す | はく子 |
春炬燵有れば有ったで邪魔になり | 宏虎 |
セーラー服の卒業写真捨てられず | うつぎ |
おふくろと呼び始めるや卒業子 | 満天 |
春炬燵変換ミスのメール打つ | なつき |
箸使ひ食べるチップス春炬燵 | なつき |
卒業に制帽の舞ふ大講堂 | 隆松 |
飼いうさぎ入る気はなし春炬燵 | 小袖 |
先生の綽名覚えて卒業す | 宏虎 |
春炬燵いよいよ尻に根の生える | はく子 |
シャンプーの香の子を膝に春炬燵 | なつき |
富士山へ敬礼直り卒業す | 隆松 |
折り紙や一日の暮れる春炬燵 | よう子 |
分校の卒業式や山晴れて | よし子 |
なんでやと手足擦り擦り春炬燵 | 隆松 |
卒業歌村に一つの小学校 | うつぎ |
卒業子白き手首で証書受く | なつき |
転校す友と歌へり卒業歌 | なつき |
卒業はまだと米寿の春耕す | かかし |
名の太く卒業証書着付けにも | 小袖 |
煙草屋のお喋り誘ふ春炬燵 | よう子 |
春こたつ特等席にいつも猫 | よし子 |
居心地の良さについつい春炬燵 | わかば |
仏壇に証書を供ふ卒業生 | かかし |
春炬燵猫の残せし長きひげ | 素秀 |
制服のはち切れそうな卒業子 | 満天 |
卒業の列の乱れは握手かな | 宏虎 |
卒業の参考の一歩身を粉なに | 宏虎 |
リモコンの転がる音や春炬燵 | 豊実 |
置いてあるだけで気の済む春炬燵 | わかば |
仕舞いかね夫にも問ふて春炬燵 | 小袖 |
夕飯につい離せずに春炬燵 | 小袖 |
2023年1月31日 | |
水面に鳥のまどろむ冬麗 | ぽんこ |
助手席の水仙誰に野菜売り | よう子 |
水仙花コップに活けて二人卓 | かかし |
潮分ける斜面に沿うて野水仙 | たか子 |
起伏野を埋め尽くして水仙花 | せいじ |
水仙の活けて姿勢のただしけり | もとこ |
岸壁の波頭激しや水仙花 | かかし |
冬うららテニスコートを駆ける女 | 智恵子 |
校庭にドッチボール冬霞 | 智恵子 |
冬麗の空を広げる枝払い | 豊実 |
車椅子二人笑顔や冬麗 | 満天 |
風駈ける丘に叢なす水仙花 | ぽんこ |
水仙と錆の匂ひの鐵工所 | 素秀 |
水仙の自由気ままな空地かな | あひる |
園児等の黄青帽子冬麗 | 満天 |
冬うららいっしょう懸命乳飲む子 | はく子 |
玄関の赤き長靴今年初 | こすもす |
雨風に育つ岩間の野水仙 | わかば |
冬うらら鋏のはづむ庭仕事 | 明日香 |
日差し浴ぶ亀石の目や冬うらら | 明日香 |
冬うらら広場のからくり時計台 | みづき |
なだれ咲く水仙郷に香の溢る | わかば |
冬麗や深き眼指し妻老いぬ | 宏虎 |
野良猫と目の合う玻璃戸冬うらら | よう子 |
冬うらら珈琲香る寺の市 | なつき |
手の届きさうな雲あり冬うらら | あひる |
雪中花飛び石の間に群れ咲きて | 智恵子 |
冬麗や水陽炎して浮御堂 | うつぎ |
草刈つて水仙残るなぞへかな | 明日香 |
水仙の美人こうべを垂れており | ぽんこ |
野水仙波音激し日本海 | みづき |
水仙が咲かば墓前へ母訪はな | うつぎ |
冬麗や湾の抱かふ真珠筏 | もとこ |
街路樹の微かな動き冬麗 | 満天 |
水仙の俯きかげん夢路風 | たか子 |
植木屋に踏まれし水仙花もたぐ | うつぎ |
重たげや地面すれすれ水仙花 | こすもす |
冬麗おふくろの味手ばかりに | ふさこ |
水仙や背筋の美しき人想ふ | たか子 |
飼い犬に帽子かぶせて冬うらら | 明日香 |
汐風に揺れ通しなり水仙郷 | はく子 |
山の音川音も変はり冬うらら | みづき |
冬うらら一枚脱ぎてウォーキング | こすもす |
群れて咲く水仙の白ひびきあい | 宏虎 |
野水仙一輪摘みて母の元 | 智恵子 |
冬麗やボトルシップのマスト立て | 素秀 |
もののふの気概に立ちぬ水仙花 | 素秀 |
冬麗や太平洋に臨む丘 | せいじ |
冬麗の京見晴るかす峠茶屋 | あひる |
紺碧の海に展けし水仙郷 | せいじ |
冬麗大橋潜るポンポン船 | わかば |
香強すぎ好まざるなり雪中花 | ふさこ |
今年又水仙群れ咲くひと処 | はく子 |
群青の海へとなだる野水仙 | せいじ |
鶴首の一輪水仙背を正す | 満天 |
朝凪のヨットハーバー冬うらら | 豊実 |
冬うらら農具手入れに腕捲り | かかし |
金網のなぞえに凭れ水仙花 | ぽんこ |
水仙郷ただいま五分と写メ送り | ふさこ |
冬うららベンチに句帖広げもし | よう子 |
冬うらら赤児の小さき欠伸かな | こすもす |
水仙郷海風吹かば香にむせる | 智恵子 |
楼門に鳩の並べり冬うらら | なつき |
海風のままに水仙傾れ咲く | よう子 |
水仙や雪の褥に伏してをり | あひる |
冬うらら犬も乗りをる渡し船 | かかし |
隣家との境界線や水仙花 | なつき |
国生みの島の果てなる水仙郷 | せいじ |
一本でも玄関満たす水仙香 | 明日香 |
冬うららぽっぽぽっぽと鳩時計 | はく子 |
冬麗の比叡おがみて朝始む | もとこ |
小物買ひもらふ福銭冬うらら | なつき |
水仙や薩摩切子の彫り深し | みづき |
魚信待つ野池の土手の水仙花 | 豊実 |
石臼は水仙の盤祖谷の宿 | よう子 |
冬麗や老舗ののれん奈良町に | みづき |
水仙や小暗き森の道標 | あひる |
冬うらら二人見せあうハートくじ | なつき |
松の木の影に水仙香で知らせ | ふさこ |
一本の水仙卓におばんざい | もとこ |
冬麗煌めきて波打ち寄せる | わかば |
冬麗や動かぬ如く雲じっと | 宏虎 |
冬麗に汽車ひた走る海真下 | もとこ |
水仙や海荒るる日の香の深く | わかば |
パソコンの卓上の瓶水仙花 | 宏虎 |
司会者の机上まっすぐなる水仙 | こすもす |
束となり水仙土手に香を放つ | ふさこ |
水仙の土手競ひ咲き眩しけり | 満天 |
冬うらら遊具のペンキ塗り終わる | たか子 |
冬うらら焼き立パンの香持ち帰る | はく子 |
磨硝子ダイヤ光や冬うらら | ぽんこ |
誰の活けし無人駅舎の水仙花 | かかし |
式場の白いチャペルや冬うらら | 豊実 |
木喰仏にハグを許され冬うらら | うつぎ |