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山の田の一枚づつに案山子立つ 素秀
銀漢や町の名も川も「天の川」 はく子
星座盤掲げて銀河捉へたり 素秀
ふるさとの家族思ふや天の川 満天
銀河澄む幾光年の旅重ね せいじ
千枚田畔に案山子のコンクール はく子
願い事秘めて仰げり天の川 なつき
山上に見し銀漢の荒々し はく子
水遣りをうっかりすれば天の川 こすもす
岬往くヘッドライトや天の川 よう子
馬頭琴流るるパオや天の川 よう子
大銀河子どもらに夢語らしむ せいじ
コーラス隊みたいな案山子横並び こすもす
銀漢の滴やほつとパオ灯る よう子
銀河濃し待ちて覗きし望遠鏡 せいじ
通学帽の案山子肩組む学校田 なつき
まわりの灯消えて静かや天の川 わかば
今年限り案山子に礼の老夫婦 かかし
かかし祭トトロファミリー勢ぞろい はく子
雨風に耐へて凜とす案山子かな 満天

2023年7月31日

着くずれし浴衣男子が向い席 あひる
頬かむりして懐かしき草いきれ 素秀
過疎村の神の御旅所草いきれ うつぎ
雨上がり河原にむせる草いきれ はく子
ざんぎりの力士浴衣の背に四股名 素秀
草いきれ紡ぎ岩肌石仏 わかば
草いきれも良きかな畔の散歩道 はく子
ケーブルカー廃止の噂草いきれ うつぎ
塞がれし防空壕跡草いきれ よう子
双子めく母と娘の旅浴衣 せいじ
孫に着せやる浴衣は三代目 はく子
紺の浴衣に下駄彼女連れ夕散歩 宏虎
黒タイを緩め大の字草いきれ かかし
髪あげて白きうなじや浴衣の子 満天
草いきれしてをる阿蘇の大牧場 せいじ
城崎の宿浴衣着て夜の町 わかば
選りし色違ふ姉妹の浴衣かな なつき
草いきれまた一軒の空き家かな かかし
よく跳ぬる揃ひの浴衣老人会 うつぎ
草いきれ河川敷行くや犬連れて 満天
浴衣着て母と湯めぐり懐かしき わかば
手捌きは見よう見まねの浴衣の子 素秀
草いきれ河原のゴミの収集日 わかば
姉妹にて駅中ピアノ藍浴衣 かかし
草いきれ川底浚ふ重機かな なつき
踝を見せて浴衣の下駄の音 小袖
草いきれ河原の中の遊歩道 わかば
髪飾と揃ひの浴衣双子ちゃん 満天
浴衣着て夕暮れ出かけし若夫婦 満天
呉服屋の店員意気に藍浴衣 はく子
草いきれ土手にこさへし駐輪場 せいじ
胡坐組む浴衣の父の火傷あと よう子
浴衣の子四時の公園待合せ 小袖
記念日の揃ひの浴衣二人卓 かかし
裾はだけ姉の後追ふ浴衣の子 なつき
草いきれ幼き友の便り絶へ かかし
手付かずの歴史街道草いきれ 小袖
草いきれどこまで行くも匂ひ立つ 満天
青年の手足はみ出す宿浴衣 よう子
白日のカルスト台地草いきれ せいじ
もてなしは選べる浴衣お温泉の宿 あひる
カラフルや吾娘の浴衣も思ひ出も あひる
浴衣着て稽古すみまし何時もの酒屋 宏虎
草いきれ羊ひたすら草を食む はく子
廃寺に消えゆく猫や草いきれ なつき
藍浴衣これしかないと紅の帯 あひる
踏み込める山羊平然と草いきれ 素秀
草いきれ被さってくる小径ぬけ あひる
浴衣の子澄まして座敷童子かな なつき
留学子の鞄に浴衣詰めてやり よう子
襟堅き浴衣の柄は荒削り 素秀
園丁の総身に纏ふ草いきれ よう子
浴衣着て国道電車のりた過去 宏虎
邦人は浴衣で仮装行列し せいじ
近道の公園突つ切る草いきれ うつぎ
島バスを降りて故郷草いきれ うつぎ

2023年6月30日

明け易し今日どこへとも予定なく たか子
夏草のはびこる根っこのしたたかさ はく子
短夜の朝刊配るバイク音 満天
短夜や眼鏡ずらして糸通し かかし
長堤の夏草すっかり刈り取られ はく子
短夜や眠れぬならば起きるまで もとこ
短夜の断片的な夢幾つ こすもす
短夜の昨日に続く雨の音 素秀
夏草に囲まれ眠る無縁墓 満天
耳元に猫の気配の短夜かな 素秀
夏草や土塁短く残りをり 小袖
コンサート終へて余韻の短夜や かかし
短夜を寝惜しむ宿の旅寝かな わかば
夏草やソーラーパネル並びたり なつき
次々と舗装の割れ目夏の草 うつぎ
夏草と潮の香微か浜公園 こすもす
夏草に来てどの犬もマーキング うつぎ
短夜や猫の瞳のガラスめく こすもす
夏草に立てし選挙の公示版 なつき
短夜の鳴りつぱなしのラジオかな うつぎ
短夜や看取りの日々の懐かしく わかば
懐かしき香や刈取中の夏草 こすもす
短夜のラジオは懐メロ歌謡曲 はく子
短夜の未完の夢となりにけり 素秀
短夜の夢の続きをもう一度 満天
夏草や勢ひ落ちることのなく わかば
産土神覆ふ夏草過疎の村 かかし
夏草も景に山家のレストラン 小袖
夏草にホームラン球見失ふ はく子
明易の雨戸を繰りて香手向く うつぎ
隧道の夏草闇に滴りぬ よう子
短夜や老いの飲み会五時解散 もとこ
行書らし川面に流る夏の草 よう子
腰痛の庭の夏草生ふままに うつぎ
夏草に鍬絡まれし老農夫 かかし
夏草の切先天に刃物めく 素秀
短夜の明かさぬままの隠し事 なつき
夏草に靴をしづめて河畔まで はく子
夏草にジャンプや白のワンピース もとこ
明易し母と語りし日々のこと わかば
明け易や旅の枕の合わぬまま たか子
短夜や浮かびし俳句夢の中 よう子
夏草の匂の強き河原かな わかば
短夜や病ひひよつこり訪れる もとこ
廃線の錆の上にも夏の草 素秀
短夜のガタゴト過ぎる終電車 小袖
明易し早ばやと鳴く軒雀 満天
明易し雨音強く裏の川 満天
明け易や検査結果を待ちて今日 たか子
夏草の揺れに吠えたつチワワかな なつき
夏草に只の山なる御土居跡 もとこ
夏草や終い墓なるそこかしこ たか子
子の悩み耳に残りて明易し なつき
夏草やケーブルカーの廃止ビラ よう子
短夜やこれからの事今の事 たか子
夏草の陰よりスズメ次々と こすもす
七十年振りの再会明易し かかし
夏草へ三角ベースホームラン よう子

2023年5月31日

雲の上を跳ぬるがごとしあめんぼう はく子
乗り継ぎの三度の駅の薄暑かな あひる
子が止めぬ山羊の鳴き真似園薄暑 なつき
あらがえど又流さるるあめんぼう はく子
川薄暑開閉橋はあと五分 素秀
街薄暑立ち退きビルの解体音 はく子
水馬沈まぬ程の窪みかな よう子
美術館庭に薄暑のモネの池 素秀
水口を一蹴りターン水馬 なつき
あめんぼに凹みし水の金の影 あひる
あめんぼう墨ひと雫ほどの影 宏虎
隠沼の日の斑迷路にあめんぼう 素秀
道標はコンクリートよ町薄暑 なつき
みづすまし流れに任せ休みをり 隆松
香草のツンと厨の薄暑かな 素秀
夫の立つ脚立支へる薄暑かな よう子
あめんぼうの乗つかる表面張力 はく子
砂場もう乾き切ったり夕薄暑 たか子
外食と言えどうどん屋街薄暑 たか子
覗き込む影に飛びでるあめんぼう 素秀
あめんぼや歩板を潜り抜けもして せいじ
あめんぼう一日遊びて暮れにけり あひる
公園の子等何時までも夕薄暑 満天
水底の影六つまろしあめんぼう はく子
幾つもの水輪描くやみづすまし 隆松
ウォーキング頬を撫でゆく薄暑風 隆松
早足でい行く諸人駅薄暑 せいじ
園薄暑回転ドア―に止めらるる なつき
あめんぼう何処にスタミナ有るのかな 宏虎
玉砂利の音は濁音宮薄暑 宏虎
家路へと混み合う駅の夕薄暑 たか子
スマホ手に声高々の町薄暑 満天
ちょっととんで考えごとやあめんぼう あひる
あめんぼの水輪にみたり和の心 せいじ
心字池和尚の影と水馬 よう子
引越しの荷の片付かぬまま薄暑 あひる
硝子張りなるビルあまた街薄暑 せいじ
魚焼く路地裏匂ふ夕薄暑 満天
甲子園目指す球児に薄暑光 かかし
青空をすいすい歩くみずすまし 満天
あめんぼう黒の塊すいすいと 宏虎
薄暑なる仲見世に食ぶナポリタン なつき
解体とや丸ビル仰ぐ街薄暑 よう子
あめんぼが顔の真中に鏡池 せいじ
口笛の下校の子たち薄暑光 かかし
神鼓打つ僧の一群寺薄暑 宏虎
ぴょんぴょんと三段跳びの水馬 かかし
木漏れ日の眩さの増し道薄暑 隆松
看護師の痛いですよも薄暑かな よう子
水すまし青天井が舞台なる たか子
我が陰と抱き合っているあめんぼう たか子
手足跡残さぬままに水馬 かかし
水馬の水遁の術見事なり 隆松
遮断機の長き時間や夕薄暑 満天
薄暑光幌を被せし乳母車 かかし

2023年4月30日

古希近き婦人吟行春惜しむ 宏虎
惜春の空のみからり晴れ渡り 小袖
多国語の集ふシートや春惜しむ なつき
惜春や伊吹の峰にすわり雲 隆松
むらさきの夜となり都忘れかな 素秀
落人村都忘れに京ことば よう子
憂きことを消し去る都忘れかな せいじ
惜春や昔の旅のことばかり あひる
砂利舟の吃水深く春の逝く はく子
都忘れ何処にも行かぬ母の庭 うつぎ
惜春や昔スターのかすれ声 あひる
グーグルに名を聞き都忘れてか 隆松
色失せて都忘れの彩はなし 宏虎
いとまごい一会の茶事に春惜しむ 小袖
鳶の舞ふ砲台跡に春惜しむ せいじ
森の木の色の移ろひ春惜しむ わかば
ヴォーリーズの近江を訪ね春惜しむ よう子
野春菊うすむらさきに引き込まれ 満天
対岸の島影模糊と春惜しむ わかば
都忘れ何故か悲しき花の色 あひる
ホームにて出会ひと別れ春惜しむ かかし
夕さりて都忘れの真紫 素秀
俳諧は老後生き甲斐春惜しむ 宏虎
都忘れ宿の前庭濃紫 わかば
春惜しむ遺品の鞄艶残し 小袖
暦年の大樹に触れて春惜しむ はく子
巡回バス途中下車して春惜しむ よう子
植木鉢替へてチャペルの春惜しむ せいじ
思ひの丈都忘れの濃く淡く うつぎ
水神の注連古る井戸や春惜しむ よう子
本流の滾つ宇治川春惜しむ はく子
漣の池を眺めて春惜しむ こすもす
鍬休め鳥語を聴くや春惜しむ かかし
春惜しむ体操終へて腕捲る かかし
尼寺に一むら都忘れかな なつき
初めての写経終えたり春惜しむ なつき
雨の日は抹茶をたてて春惜しむ せいじ
とりどりの花弁掃き寄せ春惜しむ こすもす
ゆっくりと園をめぐりて春惜しむ 満天
惜春や里親離す訓練犬 小袖
灯りたるパールブリッジ春惜しむ うつぎ
街出でて都忘れと会ふ小道 隆松
ぼやけゆく飛行機雲に春惜しむ こすもす
幾たびか訪ひし城址や春惜しむ わかば
村を出る川の流れに春惜しむ うつぎ
竹林の大揺れに春惜しみけり せいじ
落柿舎の床几に春を惜しみけり 宏虎
かがまりてふるさとしのぶ都忘れ 満天
都忘れ脛に触るるや花畑 あひる
春惜しむ一駅前でバスを下車 かかし
逝きし人アルバム広げ春惜しむ 満天
父の忌の近きと都忘れ咲き 素秀
春惜しむパステルカラーの子のぬり絵 なつき
金継ぎの記念の湯呑み春惜しむ かかし
足元に鳩来るベンチ春惜しむ なつき
転げ行く余生のひと日春惜しむ 宏虎
春惜しむ同窓会の欠席に 満天
惜春や女謡ひの声の良し 素秀
しんにょうの流れて春を惜しむ文 素秀
山影の日毎変わるに春惜しむ 隆松
都忘れ咲かせ高階ひとり住む はく子
惜春や災難続きの日々なれど うつぎ
咲きくれし花に感謝や春惜しむ こすもす
奥ゆかし都忘れをそつと摘む あひる
思い出を紡ぐ城址や春惜しむ わかば
側溝の流れの速し春惜しむ こすもす
惜春や五時のチャイムに閉づパソコン よう子
都忘れ只の野花と里をいく 隆松
都忘れ淡き紫又濃きも はく子

2023年3月31日

剪定の切り口ぱつと香を放つ うつぎ
剪定をどうと決めかね空鋏 隆松
句碑に酔ひ花にも酔ひて旅終る 宏虎
対岸へ続く車列や花堤 あひる
急燈の踊り場ごとの花明り 素秀
年ごとに花見に来にし亡き父母よ せいじ
能勢今し何処を通るも山桜 うつぎ
剪定す花芽を切らぬやう思案 せいじ
絹の雨ドライブインの桜かな みづき
ケーブルカー山上駅は花三分 よう子
尼寺の閑かな庭や花の雨 みづき
花満ちて一陣の風花吹雪 宏虎
剪定や替えの鋏を渡す妻 隆松
切り過ぎを案じる無花果の剪定 こすもす
花仰ぐ知らざる人と会話する 満天
雨近き風にふるへる初桜 なつき
花舞ふや無人仏も隔て無く かかし
剪定の済みてひろごる青き空 わかば
三味の音にずれて手拍子花の茶屋 隆松
剪定の鋏に父の研ぎし癖 なつき
百齢の柿剪定は兄の手に はく子
三川を見下ろす塔に花の雲 はく子
小気味よき鋏の音や剪定す うつぎ
記念日の植樹の桜仰ぎ観る かかし
風禍から立ち直りたる花堤 せいじ
幽けしや暮ゆく渓の江戸彼岸 よう子
誕生日祝ふフレンチ花の雨 小袖
大窓へ万朶の花のレストラン はく子
花の屑自動ドアより闖入す かかし
城望むベンチの端しに花の昼 小袖
花堤夫と来し日の遠きかな はく子
碧眼の酒酌み交はす花の下 あひる
川風の吹き上ぐ城址飛花落花 なつき
太陽の塔裳裾は花の友禅か よう子
剪定の枝の燻るドラム缶 素秀
剪定の小枝こみちを塞ぎけり あひる
無花果の切り過ぎほどに剪定す 宏虎
釈尊も御目開けませ花の寺 小袖
巡礼の首振りをりて花の寺 隆松
人の数増えてうれしや花の山 せいじ
通院のタクシーに過ぎし花の道 はく子
花の道御宮参りの多きかな なおこ
来年の再会約す花見かな みづき
見分け難し白木蓮と辛夷かな こすもす
風に舞ひ風と別れて花筏 かかし
剪定の農家に学ぶ売り子どち なおこ
花の露咲くを待たずに逝きし人 わかば
花満ちて終の住処に迷ひ無し うつぎ
花に花重ねて寺の甍かな 素秀
老木に耳当ててをり桜守 かかし
今度こそ生れよと言ひつ剪定す うつぎ
駅前はピンク一色花満開 こすもす
行燈の裏の夜桜寂しけり 宏虎
土に聞き枝に聞きつつ剪定す 宏虎
花の道行きつ戻りつ背を正す 満天
夕時や満開の花昏れ残る みづき
枝垂れゐて水面に揺るる花一枝 素秀
どの窓も顔花明りケーブルカー よう子
剪定の終わりし後の日差しかな 満天
体操に広ぐ両手の朝桜 小袖
剪定や脚立降りれば頬に風 隆松
緑なる水滑りゆく花見船 あひる
花の風孔雀の冠羽揺らしたり なつき
空を切るやうに剪定鋏鳴る 素秀
剪定や木々の実りヘ思ひ馳す わかば
輪になりて相見上げたる花万朶 わかば
二年ぶり庭師を入れて剪定す せいじ
ベビーカーの双子の寝顔花の下 満天
書出しはお元気ですか花の雨 小袖
花便りインターネット句友より なおこ
神社へと花のトンネルゆるめる歩 こすもす
公園で遊ぶ親子に花吹雪 満天
立ち止まり立ち止まり見る花並木 みづき
剪定の高枝にぬつと漢の顔 あひる
剪定の子は腰屈め親背伸び よう子
舞ふごとく枝垂れ桜や神楽殿 なつき
花咲きて思い出綴り城址かな わかば

2023年2月28日

札掛けし釘をそのまま卒業す 素秀
台拭きで輪っか拭き取る春炬燵 豊実
定期券少し残して卒業す よう子
先程の涙は乾き卒業す 豊実
クッションは枕の代り春炬燵 うつぎ
卒業子袴姿の大人びて よう子
挨拶も大人びてきて卒業子 満天
旅誘ふカタログ広げ春炬燵 はく子
春炬燵出て背伸びする爺の昼 よう子
間延びして聞こゆるアリア春炬燵 うつぎ
春炬燵じっとしていて揃いけり 宏虎
マスクにて校歌斉唱卒業生 かかし
春炬燵急ぐことなど何も無し うつぎ
春炬燵ドラマ見ながらうたた寝す 満天
卒業生記念植樹に名札架け かかし
卒業や友それぞれの道進む わかば
無駄にすは第二ボタンか卒業子 隆松
春炬燵古きアルバムめくりては 満天
手の甲に涎垂るるや春炬燵 隆松
春炬燵施設のカタログ片隅に はく子
春炬燵仕舞ふを拒む者の居て わかば
制服のボタンちぐはぐ卒業日 よし子
レコードのノイズ懐かし春炬燵 かかし
蹴るボールばかり観ている春炬燵 よし子
濠巡る船に設らふ春炬燵 はく子
代々の遺影の囲み春炬燵 素秀
春炬燵ひとつ温みの仏間かな 素秀
浪人の覚悟を決めて卒業す 豊実
青空にちよつと転んで卒業す わかば
卒業の節目幾度もくぐり抜け 小袖
ひちりきの音色に泣きて卒業歌 素秀
定宿の茶の間にぽつり春炬燵 豊実
演劇にどっぷり末っ子卒業す はく子
春炬燵有れば有ったで邪魔になり 宏虎
セーラー服の卒業写真捨てられず うつぎ
おふくろと呼び始めるや卒業子 満天
春炬燵変換ミスのメール打つ なつき
箸使ひ食べるチップス春炬燵 なつき
卒業に制帽の舞ふ大講堂 隆松
飼いうさぎ入る気はなし春炬燵 小袖
先生の綽名覚えて卒業す 宏虎
春炬燵いよいよ尻に根の生える はく子
シャンプーの香の子を膝に春炬燵 なつき
富士山へ敬礼直り卒業す 隆松
折り紙や一日の暮れる春炬燵 よう子
分校の卒業式や山晴れて よし子
なんでやと手足擦り擦り春炬燵 隆松
卒業歌村に一つの小学校 うつぎ
卒業子白き手首で証書受く なつき
転校す友と歌へり卒業歌 なつき
卒業はまだと米寿の春耕す かかし
名の太く卒業証書着付けにも 小袖
煙草屋のお喋り誘ふ春炬燵 よう子
春こたつ特等席にいつも猫 よし子
居心地の良さについつい春炬燵 わかば
仏壇に証書を供ふ卒業生 かかし
春炬燵猫の残せし長きひげ 素秀
制服のはち切れそうな卒業子 満天
卒業の列の乱れは握手かな 宏虎
卒業の参考の一歩身を粉なに 宏虎
リモコンの転がる音や春炬燵 豊実
置いてあるだけで気の済む春炬燵 わかば
仕舞いかね夫にも問ふて春炬燵 小袖
夕飯につい離せずに春炬燵 小袖

2023年1月31日

水面に鳥のまどろむ冬麗 ぽんこ
助手席の水仙誰に野菜売り よう子
水仙花コップに活けて二人卓 かかし
潮分ける斜面に沿うて野水仙 たか子
起伏野を埋め尽くして水仙花 せいじ
水仙の活けて姿勢のただしけり もとこ
岸壁の波頭激しや水仙花 かかし
冬うららテニスコートを駆ける女 智恵子
校庭にドッチボール冬霞 智恵子
冬麗の空を広げる枝払い 豊実
車椅子二人笑顔や冬麗 満天
風駈ける丘に叢なす水仙花 ぽんこ
水仙と錆の匂ひの鐵工所 素秀
水仙の自由気ままな空地かな あひる
園児等の黄青帽子冬麗 満天
冬うららいっしょう懸命乳飲む子 はく子
玄関の赤き長靴今年初 こすもす
雨風に育つ岩間の野水仙 わかば
冬うらら鋏のはづむ庭仕事 明日香
日差し浴ぶ亀石の目や冬うらら 明日香
冬うらら広場のからくり時計台 みづき
なだれ咲く水仙郷に香の溢る わかば
冬麗や深き眼指し妻老いぬ 宏虎
野良猫と目の合う玻璃戸冬うらら よう子
冬うらら珈琲香る寺の市 なつき
手の届きさうな雲あり冬うらら あひる
雪中花飛び石の間に群れ咲きて 智恵子
冬麗や水陽炎して浮御堂 うつぎ
草刈つて水仙残るなぞへかな 明日香
水仙の美人こうべを垂れており ぽんこ
野水仙波音激し日本海 みづき
水仙が咲かば墓前へ母訪はな うつぎ
冬麗や湾の抱かふ真珠筏 もとこ
街路樹の微かな動き冬麗 満天
水仙の俯きかげん夢路風 たか子
植木屋に踏まれし水仙花もたぐ うつぎ
重たげや地面すれすれ水仙花 こすもす
冬麗おふくろの味手ばかりに ふさこ
水仙や背筋の美しき人想ふ たか子
飼い犬に帽子かぶせて冬うらら 明日香
汐風に揺れ通しなり水仙郷 はく子
山の音川音も変はり冬うらら みづき
冬うらら一枚脱ぎてウォーキング こすもす
群れて咲く水仙の白ひびきあい 宏虎
野水仙一輪摘みて母の元 智恵子
冬麗やボトルシップのマスト立て 素秀
もののふの気概に立ちぬ水仙花 素秀
冬麗や太平洋に臨む丘 せいじ
冬麗の京見晴るかす峠茶屋 あひる
紺碧の海に展けし水仙郷 せいじ
冬麗大橋潜るポンポン船 わかば
香強すぎ好まざるなり雪中花 ふさこ
今年又水仙群れ咲くひと処 はく子
群青の海へとなだる野水仙 せいじ
鶴首の一輪水仙背を正す 満天
朝凪のヨットハーバー冬うらら 豊実
冬うらら農具手入れに腕捲り かかし
金網のなぞえに凭れ水仙花 ぽんこ
水仙郷ただいま五分と写メ送り ふさこ
冬うららベンチに句帖広げもし よう子
冬うらら赤児の小さき欠伸かな こすもす
水仙郷海風吹かば香にむせる 智恵子
楼門に鳩の並べり冬うらら なつき
海風のままに水仙傾れ咲く よう子
水仙や雪の褥に伏してをり あひる
冬うらら犬も乗りをる渡し船 かかし
隣家との境界線や水仙花 なつき
国生みの島の果てなる水仙郷 せいじ
一本でも玄関満たす水仙香 明日香
冬うららぽっぽぽっぽと鳩時計 はく子
冬麗の比叡おがみて朝始む もとこ
小物買ひもらふ福銭冬うらら なつき
水仙や薩摩切子の彫り深し みづき
魚信待つ野池の土手の水仙花 豊実
石臼は水仙の盤祖谷の宿 よう子
冬麗や老舗ののれん奈良町に みづき
水仙や小暗き森の道標 あひる
冬うらら二人見せあうハートくじ なつき
松の木の影に水仙香で知らせ ふさこ
一本の水仙卓におばんざい もとこ
冬麗煌めきて波打ち寄せる わかば
冬麗や動かぬ如く雲じっと 宏虎
冬麗に汽車ひた走る海真下 もとこ
水仙や海荒るる日の香の深く わかば
パソコンの卓上の瓶水仙花 宏虎
司会者の机上まっすぐなる水仙 こすもす
束となり水仙土手に香を放つ ふさこ
水仙の土手競ひ咲き眩しけり 満天
冬うらら遊具のペンキ塗り終わる たか子
冬うらら焼き立パンの香持ち帰る はく子
磨硝子ダイヤ光や冬うらら ぽんこ
誰の活けし無人駅舎の水仙花 かかし
式場の白いチャペルや冬うらら 豊実
木喰仏にハグを許され冬うらら うつぎ



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