みのる選:2024年5月度
みのる選:2024年5月度
2024年05月10日 | |
渓谷の人寄せ付けぬ落椿 | うつぎ |
鍔広の帽子取り出す薄暑かな | 澄子 |
2024年05月09日 | |
こつぜんと青天井や若葉谷 | たか子 |
夕風をいなし玉解く芭蕉かな | むべ |
2024年05月08日 | |
苔清水受けて祠の閼伽の水 | うつぎ |
姿見に左見右見しつ衣更え | たか子 |
この山の主てふ椎の若葉映ゆ | 明日香 |
一万歩までと励みぬ薫風裡 | せつ子 |
白滝の樹間に見ゆる深山道 | あひる |
2024年05月07日 | |
囀の枝移りせる大樹かな | 康子 |
森統ぶるやに老鶯の叫びけり | むべ |
清流を跨ぐ倒木苔の花 | ぽんこ |
ブラウスの中通り抜く若葉風 | かえる |
水満ちて代田に風の生まれけり | 澄子 |
黄菖蒲の一叢池畔明るうす | むべ |
砲弾のごとき筍釜茹でに | えいじ |
円墳の裾野はなべて苜蓿 | 風民 |
トンネルを出れば終点若葉山 | あひる |
2024年05月06日 | |
杉木立樹間斜めに縫ふ春日 | かえる |
顔近く寄せれば翳る白牡丹 | うつぎ |
隆々と雲の湧くごと樟若葉 | むべ |
芝桜遠山並へひろごりて | かえる |
雲近き村と人言ふ山若葉 | 風民 |
2024年05月05日 | |
菖蒲湯に長寿を願ふ老二人 | きよえ |
広々と富士を映せる代田かな | 澄子 |
この村の命育む山清水 | かえる |
玉ねぎの匂ひ消えぬ手収穫日 | 千鶴 |
花疲れ居眠る犬に吾も添ひ寝 | かえる |
諸手あげ幼の潜るバラアーチ | せつ子 |
2024年05月04日 | |
木道の組木にのぞく山すみれ | むべ |
鶯や父の遺影に小窓開け | むべ |
夜蛙に眠り誘はれ旅枕 | かえる |
若葉してよき影落とす大欅 | 風民 |
2024年05月03日 | |
花虻の出入り忙しき車輪梅 | むべ |
焼かれゐる岩魚おほきく口を開け | かえる |
教室の窓に校歌の山笑ふ | はく子 |
畑しごと頑張れと背に春日燦 | 千鶴 |
沢蟹の砦としたる河原石 | かえる |
初宮の双子に翳す楠若葉 | もとこ |
風光るバックミラーに富士の山 | 澄子 |
水かげろふ秀枝にあそぶ若楓 | 康子 |
塩むすび新茶うましと頬張りぬ | 澄子 |
2024年05月02日 | |
かずら橋渡る一歩に岩つつじ | 愛正 |
里一面ウエーブなして麦青む | かえる |
かたばみの花の陣なす出城址 | むべ |
雪解水富士の裾野に高鳴りぬ | 澄子 |
激流に分け入り鮎の竿をふる | かえる |
2024年05月01日 | |
詮無しやベンチを埋む桜蕊 | せいじ |
軽トラの窓から足や三尺寝 | みきお |
街薄暑上着を肩に就活生 | 康子 |
農小屋でやりすごしたる春驟雨 | 千鶴 |
2024年04月30日 | |
髪切りしうなじくすぐる若葉風 | きよえ |
囀りに目覚めの朝戸繰りにけり | 澄子 |
2024年04月29日 | |
子ら駆けて花吹雪また花吹雪 | 風民 |
激つ瀬を一筋よぎる蜘蛛の糸 | 康子 |
大富士に向かひて泳ぐ鯉幟 | 澄子 |
2024年04月28日 | |
藤房の風に揺らげる二尺かな | あひる |
2024年04月27日 | |
遮断器のなき踏切や青き踏む | 澄子 |
あるじ居ず蜘蛛の囲やぶれかぶれかな | せいじ |
風紋となる校庭の花の塵 | 風民 |
草笛を教ふ老翁得意顔 | もとこ |
工房の街藍匂ふ薫風裡 | 澄子 |