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2025年01月20日

誘はれて友と散歩や四温晴 きよえ
前山を鵯の矢走る寒の入り よし女
曇天にひと日暮れゆく炬燵守 澄子
間違ひないと香具師の口癖初大師 なつき
老の春過去の自分と語り合う たかを
飛機如く船の如くや鴨来る えいいち
春兆す折れ伏す蘆の湿原池 愛正
嬰を抱く腕の温もり春近し えいじ
冬日暮れ鐘鳴り渡る大伽藍 山椒
冬日差し客四、五人の電車中 みきえ
寒紅をさし一輪の花のごと 風民
米干せば次々来る寒雀 むべ
一週間前までつけし手袋棺へと こすもす
振り上げる冬耕の鍬煌めけり みきお
弁当の飾り華やか日脚伸ぶ ふさこ
墨垂れは涙のごとし阪神忌 せいじ
足元に真珠ちりばめ蠟梅花 よし女
一息の法螺の音高し冬遍路 なつき
麓より笑ひ始まる里の山 みきお
座ぶとんをまづたっぷりと日向ぼこ 風民
惑星の並べるそらを冬の雷 澄子
余念なくあれこれ試着春近し うつぎ
笛吹ケトル一直線の湯気立てて あひる
冬着きる犬のひきたる人来る えいいち
じゃがいものはるか蝦夷よりほくほくと ぽんこ
冬帽子被りしままの大往生 こすもす
大鳥居濃き影落とし春隣 康子
竹筒の墨痕淋漓阪神忌 せいじ
おやすみの母の祈りや着膨れて あひる
一人身に電気鍋をと届けらる たか子
寒夕焼海峡つつみ果てにける もとこ
枝垂れをる桜冬芽の尖りかな えいじ
寺門へと磴に伸びたる枯木影 康子
除雪車のまず揺れ音の聞こえけり わたる
鉄人の見守る広場冬日燦 みきえ
エーゲ海の落暉の茜春近し 千鶴
大寒と思へぬ気温足軽し やよい
円描く園の葉牡丹アートかな きよえ
ハーレムの数多の宝物春待つや 千鶴
生温し湧水掬ぶ大寒日 わたる
大寒の夜明けを塞ぐ厚き靄 和繁
朝刊の配る足跡まだら雪 愛正
山眠る眼下に遠く街灯り 山椒
磴に赤き天蓋藪椿 むべ

2025年01月19日

母待つと塩なしにぎり阪神忌 きよえ
春近し堤の犬も足軽し 愛正
冬耕の土の塊り日に晒し みきお
初鏡磨きて祈るこれからを よし女
何処までも追ふ幼な子や逃げる水 みきお
強霜に南天の枝真白なる 和繁
列成して手にし粉もん冬温し みきえ
山で飲る氷柱で作るロック酒 わたる
朝散歩眼鏡外してマスクつけ こすもす
大寒や汁粉ふるまふ寺の市 なつき
マラソンの並走の人着ぶくれて ふさこ
花萎む蕾膨らむ冬薔薇 きよえ
後席の咳にマスクすさりげなく せいじ
墓碑銘をなぞる華人や阪神忌 せいじ
春近し道べの草花緑増す 愛正
青春の足跡探し阪神忌 せつ子
霜焼けのシンメトリーや足の指 あひる
冬薔薇や吾が受洗日を祝ぎにけり あひる
阪神忌偲びて忍ぶ集ひかな うつぎ
通り過ぐ犬にウインク日向ぼこ えいいち
四阿四方櫟落葉の浄土かな えいじ
寒暁やクラスト踏む音空破る ほたる
寒木瓜に金色の蕊仄見ゆる むべ
爪先で探るあんかの夜々なりし たか子
暖かやドッチボールの弾む声 ぽんこ
旧家守る対の老松色変へず 澄子
山裾に焼野かがやく朝かな むべ
冬凪の明石眺むや大時計 みきえ
太陽の煌めきしかと春隣 明日香
笑む顔の様々なりし雛の市 康子
寒灯下要件記す文短か 澄子
バス停の時刻を隠す霧氷かな わたる
吐息してひよろひよろおるるカイトかな えいじ
蔵の隅眼にも触れない金屏風 ほたる
昆虫館庭の落葉に虫探し 康子
水仙の一列にして日向むく うつぎ
紅筆の眠る山の背描く朝 明日香
カイロ敷く寺縁日のヘッドスパ なつき
巡りゆき遠くて近き阪神忌 せつ子
ガラタ橋は釣り師天国冬うらら 千鶴
薺打つ明るき余生願ひつつ よし女
寒晴やとりあへずドア開けてみる もとこ
亜と欧を繋ぐ海峡冬かもめ 千鶴

2025年01月18日

恙無く集ふ仲間や根深汁 風民
神苑の梅の蕾の固さかな 澄子
歳越してぐんと抜かるる背比べ みきえ
水仙の咲き出すを待つなぞえかな 明日香
潰れし家今も脳裏に阪神忌 うつぎ
花椿白きは誰の為ならん よし女
大雪や白き魔物の眠るごと ほたる
スカーフしてくぐるモスクの大聖堂 千鶴
金目鯛並べ魚屋の誇らしげ あひる
ごみ出しの荷載せし橇の軽さかな わたる
おしゃれしてひと声名乗る初句会 なつき
天頂に泰然自若寒の月 えいじ
三十年やっと語れる阪神忌 ふさこ
数独に二十日正月とて挑む たか子
人影無き夜汽車の窓や雪の里 和繁
岨道の草木陽に向け冬萌ゆる 愛正
寒風を斬る子ら長き滑り台 康子
悴みつ朝一番の薪運び むべ
再建の父母も鬼籍や阪神忌 うつぎ
鰭酒飲む特別な日を捜しけり わたる
高層ビル合わせ鏡の冬の雲 ぽんこ
寒菊の垣根に小さき花出ずる きよえ
曲に身をゆだね風舞う初踊り ほたる
時進む枝の冬芽の数ふえり 愛正
禍を知らぬ子も手を合はす阪神忌 せいじ
子にサッカー教える父の懐手 康子
日脚伸ぶ帰宅の道の夕日かな きよえ
通夜帰り皆でたい焼き食べにけり こすもす
瀬戸なぎて天使の梯子や浮寝鳥 せつ子
インターホンの解錠依頼実千両 こすもす
鎮魂の園地に朝の冬日影 せいじ
冬ぬくし祈りのコーラン響く古都 千鶴
祓い岩を逸るる厄玉梅の宮 なつき
夫亡くす友の気丈や寒の朝 もとこ
朝まだき小声一声寒烏 せつ子
藍色の海傾けて野水仙 澄子
産声に元気を得たり阪神忌 えいじ
大壺の四方に広がる実千両 あひる
珈琲の幟立つ岩寒の水 むべ
木守柿二つ残して梯子置く 明日香

2025年01月17日

メレンゲのよく角立ちて寒卵 澄子
よりそうの字のまたたきて阪神忌 せいじ
春どなり電車で化粧紅までも ふさこ
アカペラの歌も飛び出し新年会 こすもす
豚汁は炊出しの味阪神忌 あひる
除雪車を聞き分け急ぎ起きる妻 和繁
来客の歓声上ぐる掘炬燵 みきえ
金盥ときおり跳ねる寒の鮒 愛正
主なき庭に一輪冬の薔薇 みきえ
悲しくて動けなかつた冬の朝 えいいち
幾年の命を秘める裸木や 明日香
寒風中犬連れ故に外カフェ ぽんこ
悴む手おのが首あて朝歩き えいじ
をさな子は父となりけり阪神忌 あひる
鎮魂の鐘響く街山眠る わたる
願掛けのきつねの張り子どんど焼く なつき
忘れないあの日の事を阪神忌 きよえ
帰る子を迎ふ四温の白き壁 風民
クリニックは今日空いていて浮寝鳥 よし女
診察の待合包む冬日かな 康子
庭先に猫のうら声春隣 みきお
末黒野の果てまで朝日届きたり むべ
冬空に残響高く槌の音 たか子
庭先に紅白揃ふ花椿 よし女
亡友のジョーク想起す阪神忌 わたる
八千余粁飛んでトルコの寒の朝 千鶴
傍若無人ほこり舞い立て空つ風 たかを
寺内墓地植え込み飾る寒椿 愛正
火付けされあはれまくろや枯れの芝 えいじ
コンビニのおでんの匂ひ冬に入る みきお
阪神忌三十歳の子と語り もとこ
窓明る浮雲淡し寒の朝 きよえ
結果聞くマスクの医師の声こもる なつき
猫連れて進まぬ散歩日脚伸ぶ 風民
繭玉のしだれて障子ほのあかり ほたる
漆喰を詰めしひびなほ阪神忌 せいじ
防災無線と共に黙祷阪神忌 こすもす
恋をする丹頂の舞銀世界 山椒
診察に籠いつぱいの厚着かな 康子
吾も鳥も影絵劇めく枯田道 むべ
寒卵ひかりに命透かし見ゆ 澄子
畝うねの清めの塩や霜おりる 明日香

2025年01月16日

遊ぼうよ淀川土手の寒すずめ ふさこ
片橇で進む干潟やむつ五郎 みきお
あのニュース友の安否や阪神忌 たか子
不揃ひの薪積む朝や冬の草 むべ
太寒や大地の震え思い出し もとこ
無口なる百歳体操冬日和 みきお
しろがねに夕日の騒ぐ小白鳥 ほたる
凍空を仰げばほのか火星衝 ほたる
避難リュック点検したり阪神忌 やよい
幾年の命を秘める裸木や 明日香
ガス電気消して鍵かけ冬の旅 千鶴
地震ふりて赫き寒月畏れをり 澄子
冬の日の庭に小さき滑り台 風民
どんど祭単身赴任先で焼き わたる
学生たりし娘は五十路阪神忌 こすもす
木枯しや鳥語遠くに里の道 きよえ
起伏野に光るは凍てし潦 せいじ
結球の外葉隆々キャベツ畑 あひる
群伏して風にたへをる仏の座 えいじ
園しずか蝋梅の香に誘はるる きよえ
炎上ぐ開眼達磨どんど焼き 山椒
雲海に抽きんでたるは雪の富士 せいじ
もてなされもてなし返し女正月 澄子
シリウスの今にも雫こぼしさう うつぎ
五円玉巫女に賜るどんど焼き みきえ
樹間よりこぼれる日差し春隣 ぽんこ
日のさして笑窪弾ける実南天 風民
白鳥に風のいたずら羽毛立つ 康子
焚火へと寄りし宮司の鼻赤し なつき
植え込みの小枝に隠る冬椿 愛正
パトカーの喚叫躍る寒の夜 えいじ
古セーターの紅楽しみつ七十路ゆく あひる
木道に迫る熊笹冬の行く 愛正
15日過ぎてもやはり御慶かな 明日香
裸木にひよ高鳴きを憚らず むべ
革ジャンのポケットに手初仕事 なつき
真珠光りの雨滴を連ね枯木立 よし女
屠蘇気分ふりきり夜のウォーキング えいいち
仏花にと夫の庭より冬菊を よし女
寒禽の嘴尖る白き枝 わたる
山道を行く殿の寒さかな うつぎ
革靴の客雪搔きを買つて出る 和繁

2025年01月15日

グワグワグワ水草揺らすはぐれ鴨 愛正
荒海にもまれうちあぐ波の花 ほたる
梔子の実の色移る夕日かな むべ
裸木の枝掴むごと祈るごと 風民
繁茂なる野趣の香潜む仏の座 えいじ
初詣高舞ふ鳶や長き列 みきえ
花いちもんめ男の子選ばれ女正月 なつき
振り袖で矢を射る娘成人日 山椒
小寒の大梁の軋む家 澄子
寒卵啜りて気概老い見せず うつぎ
一と所緋の絨毯や藪椿 よし女
何もせぬひと日と決めて女正月 やよい
お喋りの前に完食小豆粥 こすもす
見舞ひとは言はぬ訪問あたたかし あひる
生かされしこの一年や冬芽たつ もとこ
早起きの夫炊き上げし小豆粥 明日香
除雪車の光芒闇を割りにけり ほたる
雪止みし帰宅路次男の誕生日 和繁
孫去りて一人となりぬ雪だるま わたる
宮守と世直し語る焚火前 なつき
さざ波の綺羅を集めし大白鳥 康子
近道や籬に遊ぶ寒雀 澄子
初場所や気迫溢るる固唾のむ きよえ
雲間よりこぼるる日差し冬ぬくし 明日香
溶けぬよに日陰におかる雪兎 わたる
冬満月夜更けの塾の窓明かり 風民
山茶花のけふまた窓に紅を足す せいじ
小正月やつと一人に紅ひいて ふさこ
川ほとり藻の中黒き寒の鮒 愛正
点描の日の斑のごとき冬桜 えいじ
母からの電話長引く小正月 むべ
波打てる叢雲抜けて冬満月 あひる
仏花みな夫の植へたる庭のもの よし女
傾きし巣箱に入る鳥の影 みきお
冬ざるる立木も畠も鳥も見ず きよえ
着膨れて目だけ出したる強風裡 康子
眩しきはマンホールらし芝枯るる せいじ
旅前夜荷作り終へて玉子酒 千鶴
凍風の夜のポストへ投函す えいいち
集ひたる面思ひ出し骨正月 たか子
曇天にどんどの煙吸いあげし ぽんこ
どんど焼き頭垂れ聞く祝詞かな みきえ
凍空に火のごと火星上り来る えいいち

2025年01月14日

冬温しバスに遅れて四千歩 やよい
裸木を映して震るる池鏡 えいじ
着膨れて励まし合ひの立ち話 あひる
凍空にのぼる十四五歳の月 せいじ
飛機の灯の凍てし夜空に消えにけり 康子
ストーブに友薪焚ぶる里居かな むべ
初場所や大関結へし大銀杏 みきえ
雪兎ミニカーふたつ引連れて わたる
ただいまの駆け込む娘の背月冴ゆる そうけい
一筋の岨の白煙山眠る せいじ
能面の俯きぐはひ冬の地震 澄子
縁側に並べて今日の布団干し 康子
初打ちの卓球教室今日八人 こすもす
暖房の音の中なる眠気かな よし女
冬木の芽空にアブストラクト描く えいじ
山肌の夕日ほのかに紅の雪 ほたる
桜のごと咲き乱れたる朝の雪 ほたる
初掃除重きガラス戸磨きあげ ぽんこ
春着の娘放つ矢三十三間堂 山椒
枝先に雨粒光る冬木立 明日香
屋根瓦に光のしずく冬名月 千鶴
エンジンをかけ針状の雪払ふ 和繁
掘り抜き井戸生残りたる寒の鮒 愛正
松過の床の隅にはレゴ人形 もとこ
雪踏みの一筋の道文殊堂 わたる
寒椿のつぼみ開きて茶会果つ なつき
一月の満月我が家の真上かな よし女
葉を揺らし枝から枝へ鳥交る みきお
老犬や老婆を散歩冬落暉 えいいち
初生けの花器に水足す昼下がり みきえ
続く壁影は名画に枯木道 そうけい
冬夕日戯る如し雲の中 きよえ
囀りの溢れる梢青ひ空 みきお
城壕や編隊組みし鴨の陣 愛正
土凍てて縮む甘さや法蓮草 たか子
楽しそに手を振る子等や四温の日 きよえ
火の玉となりて落暉す寒の空 千鶴
駕籠吊るす旧家の井戸や寒椿 明日香
女正月食つて喋つて痛い喉 たかを
渓隔て暫し寒禽鳴き交わす 澄子
早寝かな寒満月を帰りきて なつき
寒月に松の切株晒さるる むべ
冬麗薄化粧する二十歳の子 ふさこ

2025年01月13日

晩鴉鳴く冬夕焼や宮の杜 えいじ
初場所や将棋のチェックはスマホにて こすもす
冬うらら瀬戸の小島を徘徊る やよい
朝散歩止め足伸ばす掘り炬燵 よし女
上州の風にちぢれし菠薐草 あひる
松とれて孫独り立ち引っ越しす 董雨
長閑なり録画を見るも松の内 愛正
アクセルの緩む初旅サンセット せつ子
不具合の眼鏡の予約初電話 よし女
吾を見舞ふけんちん汁の蓋堅し そうけい
蒼天に五指めく桜冬木の芽 えいじ
氷柱水滴り屋根の軽くなり わたる
寄り合ひて光る皮靴成人日 みきえ
成人の日夢溢れたる児と遊ぶ なつき
遠き日の思ひ出胸に雛納 みきお
受験子へ校舎に応援メッセージ 康子
冬茜浄土の空と白き道 わたる
送る娘の車の点滅冬の星 そうけい
歯朶の葉が雪解け水をしたたらせ 和繁
月光に枯木の梢白々と 風民
干竿にほんの小さきつららかな えいいち
青信号連なる先の雪の富士 康子
孫来たり買ふしかないと寒苺 あひる
冬薔薇薄紅色の一輪なり きよえ
自在なる枝振りよろし蝋梅花 澄子
冬凪の浦帆船の滑り航く 千鶴
また地震の緊急速報寒月下 うつぎ
冬霧の川面に深く立ちのぼり 明日香
びつしりと咲みつ椿他を寄せず もとこ
振袖に華やぐ市中成人日 みきえ
山懐の豊かに湧きし寒九水 ほたる
日常に戻る速さや松納 たか子
テレビ台夫と組み立て小正月 なつき
手を広げ北風に乗らんと駆けだす子 たかを
海裂けて荒れ狂う波冬嵐 ふさこ
気分転換はケーキ作りや受験生 こすもす
初場所の技と力の土俵かな きよえ
振袖のバス待つ列や成人日 むべ
祭日も生ゴミ出せる松の内 明日香
姫椿面影残る旧居かな 澄子
自転車のハンドル持ちてご慶交わす ぽんこ
祖母に顔見せんと集ふ成人日 せいじ
親に菓子焼きて証に成人日 せいじ
冬空に聳ゆ稲藁ゴジラ像 山椒
無我夢中尻まで濡らす潮干狩 みきお
岩肌に白花ごとき綿氷 愛正
見晴かす富士の白妙寒日和 むべ

2025年01月12日

雑踏の交はす御慶の慌ただし もとこ
と見る間に小雪となりて日矢差しぬ せいじ
満潮に河水と凌ぎ初靄や きよえ
名を連れね奉仕の方々冬の古祠 たかを
冬林檎一片小鳥もてなしぬ 澄子
冬の日や死囚の恋歌読みて果つ えいじ
「自転車重も」北風に漕ぐ女学生 やよい
島人はひっそりと住み冬温し たか子
茎先に開く一輪冬の薔薇 えいいち
青年隊輪になりすする七日粥 なつき
鯉の影長く曳きたる四温晴れ 康子
初売やちんどん屋さんについてゆき むべ
三連休夜更け押し見てゲームする 董雨
食べ盛りもう一品と炊くおでん みきえ
落葉踏む足音しづか雨後の朝 康子
冬陽浴び青菜輝く風無き日 たかを
寒中の献花の凛と保たるる 和繁
冬の波止風向き選ぶ鴨の陣 きよえ
雪晴れて深呼吸せり遠き山 わたる
まる雀寒雨凌ぐ藪の宿 わたる
出汁継ぎて五平餅やのおでん鍋 なつき
鈍色の雲の重なり風凍つる 明日香
大正の模様硝子や冬日燦 むべ
石塔へ我が影映す冬夕焼 明日香
窓硝子曇ると見ればしまく雪 せいじ
雪晴や積上げられし小枝藁 こすもす
冬蜂のよたよた歩き我重ぬ ふさこ
寒牡丹咲かす花寺藁ぼっち 愛正
眩しかり今年の月の光かな よし女
大鳥居絡み里向く飾り凧 愛正
冬晴や真日に南京櫨実る えいじ
積上がる落葉の袋切も無し ぽんこ
みどり児を肩車して青き踏む みきお
青空に須臾吹きあぐる粉の雪 ほたる
矢のごとし瀬戸に刺入る冬光芒 せつ子
古釘に端引っ張られたるショール 千鶴
堰に来て立ち上がり落つ雛の舟 みきお
果てしなく二本の轍遠霞 ほたる
蝋梅の一花に励む庭仕かな うつぎ
青空や準備着々どんど焼 こすもす
灰雲に月ぼんやりと冬ざるる えいいち
冬ざれし亀甲模様の池の底 澄子

2025年01月11日

取り込みも山を越へたか女正月 澄子
干す手拭ひピンと立ちけり寒の入り みきお
川原石窪みに光る蝉氷 愛正
寒風に大樹は揺れるブランコも たかを
雪晴や遥かに白き単線路 わたる
降雪の仰げば何処かぎりなや ほたる
白銀の住む人なきや蔵開 ほたる
すべらかに師の手のふくさ初茶湯 風民
雪の日も予約通りにヘルパー来 よし女
待ちかねし善哉鏡開きかな みきえ
冬日差す杖と里道背を押すや きよえ
前かごに揺るる福笹漕ぐ翁 みきえ
摩天楼ビルより低く山眠る せいじ
風花や頬撫で行きてさっと去る きよえ
師の米寿祝ぐ初釜の華やぎに なつき
薄氷や重なりあひて流れけり みきお
異な鳥と見しは単独行の鴨 えいじ
三椏の花芽に宿る朝日かな むべ
あでやかな着物揃ひし初茶の湯 なつき
年神や稲穂飾りの重く垂る 風民
水涸れてひび威勢よき池の底 せいじ
ものの芽の一点にある力かな うつぎ
通勤へ朝日を透かす冬木立 康子
寒風に子供は風の子声援す たかを
大小の福笹ありぬ電車中 もとこ
白簾幾度覆ふ雪時雨 わたる
雪雲の地につながりて遠き街 あひる
もう一年居ない職場か年忘 いち
雪だるま作る姉妹や頬真っ赤 こすもす
幾何模様なす影をゆく枯木道 康子
着ぶくれてリードの犬と風遊び いち
雨戸閉め吹雪に耐ゆる二日間 よし女
陽光や雪雲の端を輝かせ あひる
杜に入るや群れで飛び立つおながかな そうけい
落語会俳句と歌留多の演題 こすもす
寒干しの魚の貌の尖りけり 澄子
四方葺のいわれを聞くや冬帽子 明日香
古本に栞る珊瑚樹枯葉かな えいじ
パック裂きひび割れ走る鏡餅 ぽんこ
籬垣に寒菊の黄の暮れのこる むべ
冬ぬくし母子四人の気儘旅 やよい
坊主めくりの百人一首年初め ふさこ
爪先で探るあんかの夜々であり たか子
賽銭の音も引き締まる寒き朝 そうけい
初凧の切れておさまる鬼瓦 愛正
時雨るるや村の古祠守る神の杉 明日香
聞くところ昭和百年松納め 千鶴

2025年01月10日

吊るし干し寒風滲みる開き腹 わたる
方々の音暖少し垂り雪 わたる
泣いた子の今は読み手や歌留多とり こすもす
寒念仏途絶へ無音に身を置きぬ 澄子
並びたる手描き歌留多や緋毛氈 むべ
星々の瞬き止まぬ霜夜かな むべ
参拝の列伸びちぢみ松の内 なつき
氷上を走らす小石子の騒ぎ 愛正
紅仄か笑まう菩薩の寺四温 明日香
七草の粥をふるまう神社かな みきお
猫蚤を手探る媼冬日向 えいいち
山颪白波尖る寒の瀬戸 澄子
枝伸ばす桜枯れ木のアーケード えいじ
藁屋根のヒバ苔青し雪しずく なつき
大木の洞に詰まりし落葉かな ぽんこ
凩に四分五裂す堰の水 せいじ
寄鍋の音色の囃す一人の餉 よし女
ダイヤ乱る架線に絡む飾り凧 愛正
大雪や半数参ず御祈祷祭 和繁
福男目ざし駆け出す初戎 みきえ
一叢か冬の岸辺の沼狸 えいじ
大雪に松倒れたる庫裏の屋根 和繁
北風や妻の後追う四千歩 たかを
冬ざれや地震の日のまた偲ばるる うつぎ
寒雀陽の波乗りて遊びけり もとこ
冬ざれや薄れし土手の注意書き せいじ
木枯しや旧家の梛の聳え立つ 明日香
門開くや飛び出す男初戎 みきえ
正体は蘇鉄や菰のぐるり巻き こすもす
薄氷ただよふ空や鏡池 康子
飛び石を伝ひて巡る初景色 山椒
地吹雪や甲冑まとふ埴輪武者 千鶴
ストーブに翳して動くピアノの手 康子
和らぎし母のたいくつ窓の雪 あひる
賑やかに寒波知らぬか下校の子 きよえ
蠟梅の一花を嗅ぎし至福かな よし女
初走の満面笑みの福男 きよえ
臥す窓に動くものただ牡丹雪 あひる
沈み行く夕照の富士淑気満つ 山椒
山里の空は広々冬北斗 やよい
学校の掲示淑気の歌一首 そうけい
冴えざえと更けゆく夜や独り言 みきお

2025年01月09日

籬中紙垂の一片寒風裡 ぽんこ
枯すすき我が物顔に畑の中 きよえ
梢雪昼時待たず消えてゆき わたる
正月のもう要らぬてふ女正月 もとこ
朝礼す工事現場に白き息 康子
初晴や敷布なびかふ物干場 愛正
大入りの御膳屋寄席や初笑 せつ子
鳰の群浮くも潜くも離れざる 康子
草木瓜の莟粒立つ寒の入 澄子
狛犬の射抜く眼光淑気満つ 山椒
雪搔きの先陣を切る工場長 和繁
七草の粥食む百歳健やかに みきお
強霜や湯気上がりくる堆肥小屋 千鶴



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