2025年01月20日 | |
誘はれて友と散歩や四温晴 | きよえ |
前山を鵯の矢走る寒の入り | よし女 |
曇天にひと日暮れゆく炬燵守 | 澄子 |
間違ひないと香具師の口癖初大師 | なつき |
老の春過去の自分と語り合う | たかを |
飛機如く船の如くや鴨来る | えいいち |
春兆す折れ伏す蘆の湿原池 | 愛正 |
嬰を抱く腕の温もり春近し | えいじ |
冬日暮れ鐘鳴り渡る大伽藍 | 山椒 |
冬日差し客四、五人の電車中 | みきえ |
寒紅をさし一輪の花のごと | 風民 |
米干せば次々来る寒雀 | むべ |
一週間前までつけし手袋棺へと | こすもす |
振り上げる冬耕の鍬煌めけり | みきお |
弁当の飾り華やか日脚伸ぶ | ふさこ |
墨垂れは涙のごとし阪神忌 | せいじ |
足元に真珠ちりばめ蠟梅花 | よし女 |
一息の法螺の音高し冬遍路 | なつき |
麓より笑ひ始まる里の山 | みきお |
座ぶとんをまづたっぷりと日向ぼこ | 風民 |
惑星の並べるそらを冬の雷 | 澄子 |
余念なくあれこれ試着春近し | うつぎ |
笛吹ケトル一直線の湯気立てて | あひる |
冬着きる犬のひきたる人来る | えいいち |
じゃがいものはるか蝦夷よりほくほくと | ぽんこ |
冬帽子被りしままの大往生 | こすもす |
大鳥居濃き影落とし春隣 | 康子 |
竹筒の墨痕淋漓阪神忌 | せいじ |
おやすみの母の祈りや着膨れて | あひる |
一人身に電気鍋をと届けらる | たか子 |
寒夕焼海峡つつみ果てにける | もとこ |
枝垂れをる桜冬芽の尖りかな | えいじ |
寺門へと磴に伸びたる枯木影 | 康子 |
除雪車のまず揺れ音の聞こえけり | わたる |
鉄人の見守る広場冬日燦 | みきえ |
エーゲ海の落暉の茜春近し | 千鶴 |
大寒と思へぬ気温足軽し | やよい |
円描く園の葉牡丹アートかな | きよえ |
ハーレムの数多の宝物春待つや | 千鶴 |
生温し湧水掬ぶ大寒日 | わたる |
大寒の夜明けを塞ぐ厚き靄 | 和繁 |
朝刊の配る足跡まだら雪 | 愛正 |
山眠る眼下に遠く街灯り | 山椒 |
磴に赤き天蓋藪椿 | むべ |
2025年01月19日 | |
母待つと塩なしにぎり阪神忌 | きよえ |
春近し堤の犬も足軽し | 愛正 |
冬耕の土の塊り日に晒し | みきお |
初鏡磨きて祈るこれからを | よし女 |
何処までも追ふ幼な子や逃げる水 | みきお |
強霜に南天の枝真白なる | 和繁 |
列成して手にし粉もん冬温し | みきえ |
山で飲る氷柱で作るロック酒 | わたる |
朝散歩眼鏡外してマスクつけ | こすもす |
大寒や汁粉ふるまふ寺の市 | なつき |
マラソンの並走の人着ぶくれて | ふさこ |
花萎む蕾膨らむ冬薔薇 | きよえ |
後席の咳にマスクすさりげなく | せいじ |
墓碑銘をなぞる華人や阪神忌 | せいじ |
春近し道べの草花緑増す | 愛正 |
青春の足跡探し阪神忌 | せつ子 |
霜焼けのシンメトリーや足の指 | あひる |
冬薔薇や吾が受洗日を祝ぎにけり | あひる |
阪神忌偲びて忍ぶ集ひかな | うつぎ |
通り過ぐ犬にウインク日向ぼこ | えいいち |
四阿四方櫟落葉の浄土かな | えいじ |
寒暁やクラスト踏む音空破る | ほたる |
寒木瓜に金色の蕊仄見ゆる | むべ |
爪先で探るあんかの夜々なりし | たか子 |
暖かやドッチボールの弾む声 | ぽんこ |
旧家守る対の老松色変へず | 澄子 |
山裾に焼野かがやく朝かな | むべ |
冬凪の明石眺むや大時計 | みきえ |
太陽の煌めきしかと春隣 | 明日香 |
笑む顔の様々なりし雛の市 | 康子 |
寒灯下要件記す文短か | 澄子 |
バス停の時刻を隠す霧氷かな | わたる |
吐息してひよろひよろおるるカイトかな | えいじ |
蔵の隅眼にも触れない金屏風 | ほたる |
昆虫館庭の落葉に虫探し | 康子 |
水仙の一列にして日向むく | うつぎ |
紅筆の眠る山の背描く朝 | 明日香 |
カイロ敷く寺縁日のヘッドスパ | なつき |
巡りゆき遠くて近き阪神忌 | せつ子 |
ガラタ橋は釣り師天国冬うらら | 千鶴 |
薺打つ明るき余生願ひつつ | よし女 |
寒晴やとりあへずドア開けてみる | もとこ |
亜と欧を繋ぐ海峡冬かもめ | 千鶴 |
2025年01月18日 | |
恙無く集ふ仲間や根深汁 | 風民 |
神苑の梅の蕾の固さかな | 澄子 |
歳越してぐんと抜かるる背比べ | みきえ |
水仙の咲き出すを待つなぞえかな | 明日香 |
潰れし家今も脳裏に阪神忌 | うつぎ |
花椿白きは誰の為ならん | よし女 |
大雪や白き魔物の眠るごと | ほたる |
スカーフしてくぐるモスクの大聖堂 | 千鶴 |
金目鯛並べ魚屋の誇らしげ | あひる |
ごみ出しの荷載せし橇の軽さかな | わたる |
おしゃれしてひと声名乗る初句会 | なつき |
天頂に泰然自若寒の月 | えいじ |
三十年やっと語れる阪神忌 | ふさこ |
数独に二十日正月とて挑む | たか子 |
人影無き夜汽車の窓や雪の里 | 和繁 |
岨道の草木陽に向け冬萌ゆる | 愛正 |
寒風を斬る子ら長き滑り台 | 康子 |
悴みつ朝一番の薪運び | むべ |
再建の父母も鬼籍や阪神忌 | うつぎ |
鰭酒飲む特別な日を捜しけり | わたる |
高層ビル合わせ鏡の冬の雲 | ぽんこ |
寒菊の垣根に小さき花出ずる | きよえ |
曲に身をゆだね風舞う初踊り | ほたる |
時進む枝の冬芽の数ふえり | 愛正 |
禍を知らぬ子も手を合はす阪神忌 | せいじ |
子にサッカー教える父の懐手 | 康子 |
日脚伸ぶ帰宅の道の夕日かな | きよえ |
通夜帰り皆でたい焼き食べにけり | こすもす |
瀬戸なぎて天使の梯子や浮寝鳥 | せつ子 |
インターホンの解錠依頼実千両 | こすもす |
鎮魂の園地に朝の冬日影 | せいじ |
冬ぬくし祈りのコーラン響く古都 | 千鶴 |
祓い岩を逸るる厄玉梅の宮 | なつき |
夫亡くす友の気丈や寒の朝 | もとこ |
朝まだき小声一声寒烏 | せつ子 |
藍色の海傾けて野水仙 | 澄子 |
産声に元気を得たり阪神忌 | えいじ |
大壺の四方に広がる実千両 | あひる |
珈琲の幟立つ岩寒の水 | むべ |
木守柿二つ残して梯子置く | 明日香 |
2025年01月17日 | |
メレンゲのよく角立ちて寒卵 | 澄子 |
よりそうの字のまたたきて阪神忌 | せいじ |
春どなり電車で化粧紅までも | ふさこ |
アカペラの歌も飛び出し新年会 | こすもす |
豚汁は炊出しの味阪神忌 | あひる |
除雪車を聞き分け急ぎ起きる妻 | 和繁 |
来客の歓声上ぐる掘炬燵 | みきえ |
金盥ときおり跳ねる寒の鮒 | 愛正 |
主なき庭に一輪冬の薔薇 | みきえ |
悲しくて動けなかつた冬の朝 | えいいち |
幾年の命を秘める裸木や | 明日香 |
寒風中犬連れ故に外カフェ | ぽんこ |
悴む手おのが首あて朝歩き | えいじ |
をさな子は父となりけり阪神忌 | あひる |
鎮魂の鐘響く街山眠る | わたる |
願掛けのきつねの張り子どんど焼く | なつき |
忘れないあの日の事を阪神忌 | きよえ |
帰る子を迎ふ四温の白き壁 | 風民 |
クリニックは今日空いていて浮寝鳥 | よし女 |
診察の待合包む冬日かな | 康子 |
庭先に猫のうら声春隣 | みきお |
末黒野の果てまで朝日届きたり | むべ |
冬空に残響高く槌の音 | たか子 |
庭先に紅白揃ふ花椿 | よし女 |
亡友のジョーク想起す阪神忌 | わたる |
八千余粁飛んでトルコの寒の朝 | 千鶴 |
傍若無人ほこり舞い立て空つ風 | たかを |
寺内墓地植え込み飾る寒椿 | 愛正 |
火付けされあはれまくろや枯れの芝 | えいじ |
コンビニのおでんの匂ひ冬に入る | みきお |
阪神忌三十歳の子と語り | もとこ |
窓明る浮雲淡し寒の朝 | きよえ |
結果聞くマスクの医師の声こもる | なつき |
猫連れて進まぬ散歩日脚伸ぶ | 風民 |
繭玉のしだれて障子ほのあかり | ほたる |
漆喰を詰めしひびなほ阪神忌 | せいじ |
防災無線と共に黙祷阪神忌 | こすもす |
恋をする丹頂の舞銀世界 | 山椒 |
診察に籠いつぱいの厚着かな | 康子 |
吾も鳥も影絵劇めく枯田道 | むべ |
寒卵ひかりに命透かし見ゆ | 澄子 |
畝うねの清めの塩や霜おりる | 明日香 |
2025年01月16日 | |
遊ぼうよ淀川土手の寒すずめ | ふさこ |
片橇で進む干潟やむつ五郎 | みきお |
あのニュース友の安否や阪神忌 | たか子 |
不揃ひの薪積む朝や冬の草 | むべ |
太寒や大地の震え思い出し | もとこ |
無口なる百歳体操冬日和 | みきお |
しろがねに夕日の騒ぐ小白鳥 | ほたる |
凍空を仰げばほのか火星衝 | ほたる |
避難リュック点検したり阪神忌 | やよい |
幾年の命を秘める裸木や | 明日香 |
ガス電気消して鍵かけ冬の旅 | 千鶴 |
地震ふりて赫き寒月畏れをり | 澄子 |
冬の日の庭に小さき滑り台 | 風民 |
どんど祭単身赴任先で焼き | わたる |
学生たりし娘は五十路阪神忌 | こすもす |
木枯しや鳥語遠くに里の道 | きよえ |
起伏野に光るは凍てし潦 | せいじ |
結球の外葉隆々キャベツ畑 | あひる |
群伏して風にたへをる仏の座 | えいじ |
園しずか蝋梅の香に誘はるる | きよえ |
炎上ぐ開眼達磨どんど焼き | 山椒 |
雲海に抽きんでたるは雪の富士 | せいじ |
もてなされもてなし返し女正月 | 澄子 |
シリウスの今にも雫こぼしさう | うつぎ |
五円玉巫女に賜るどんど焼き | みきえ |
樹間よりこぼれる日差し春隣 | ぽんこ |
日のさして笑窪弾ける実南天 | 風民 |
白鳥に風のいたずら羽毛立つ | 康子 |
焚火へと寄りし宮司の鼻赤し | なつき |
植え込みの小枝に隠る冬椿 | 愛正 |
パトカーの喚叫躍る寒の夜 | えいじ |
古セーターの紅楽しみつ七十路ゆく | あひる |
木道に迫る熊笹冬の行く | 愛正 |
15日過ぎてもやはり御慶かな | 明日香 |
裸木にひよ高鳴きを憚らず | むべ |
革ジャンのポケットに手初仕事 | なつき |
真珠光りの雨滴を連ね枯木立 | よし女 |
屠蘇気分ふりきり夜のウォーキング | えいいち |
仏花にと夫の庭より冬菊を | よし女 |
寒禽の嘴尖る白き枝 | わたる |
山道を行く殿の寒さかな | うつぎ |
革靴の客雪搔きを買つて出る | 和繁 |
2025年01月15日 | |
グワグワグワ水草揺らすはぐれ鴨 | 愛正 |
荒海にもまれうちあぐ波の花 | ほたる |
梔子の実の色移る夕日かな | むべ |
裸木の枝掴むごと祈るごと | 風民 |
繁茂なる野趣の香潜む仏の座 | えいじ |
初詣高舞ふ鳶や長き列 | みきえ |
花いちもんめ男の子選ばれ女正月 | なつき |
振り袖で矢を射る娘成人日 | 山椒 |
小寒の大梁の軋む家 | 澄子 |
寒卵啜りて気概老い見せず | うつぎ |
一と所緋の絨毯や藪椿 | よし女 |
何もせぬひと日と決めて女正月 | やよい |
お喋りの前に完食小豆粥 | こすもす |
見舞ひとは言はぬ訪問あたたかし | あひる |
生かされしこの一年や冬芽たつ | もとこ |
早起きの夫炊き上げし小豆粥 | 明日香 |
除雪車の光芒闇を割りにけり | ほたる |
雪止みし帰宅路次男の誕生日 | 和繁 |
孫去りて一人となりぬ雪だるま | わたる |
宮守と世直し語る焚火前 | なつき |
さざ波の綺羅を集めし大白鳥 | 康子 |
近道や籬に遊ぶ寒雀 | 澄子 |
初場所や気迫溢るる固唾のむ | きよえ |
雲間よりこぼるる日差し冬ぬくし | 明日香 |
溶けぬよに日陰におかる雪兎 | わたる |
冬満月夜更けの塾の窓明かり | 風民 |
山茶花のけふまた窓に紅を足す | せいじ |
小正月やつと一人に紅ひいて | ふさこ |
川ほとり藻の中黒き寒の鮒 | 愛正 |
点描の日の斑のごとき冬桜 | えいじ |
母からの電話長引く小正月 | むべ |
波打てる叢雲抜けて冬満月 | あひる |
仏花みな夫の植へたる庭のもの | よし女 |
傾きし巣箱に入る鳥の影 | みきお |
冬ざるる立木も畠も鳥も見ず | きよえ |
着膨れて目だけ出したる強風裡 | 康子 |
眩しきはマンホールらし芝枯るる | せいじ |
旅前夜荷作り終へて玉子酒 | 千鶴 |
凍風の夜のポストへ投函す | えいいち |
集ひたる面思ひ出し骨正月 | たか子 |
曇天にどんどの煙吸いあげし | ぽんこ |
どんど焼き頭垂れ聞く祝詞かな | みきえ |
凍空に火のごと火星上り来る | えいいち |
2025年01月14日 | |
冬温しバスに遅れて四千歩 | やよい |
裸木を映して震るる池鏡 | えいじ |
着膨れて励まし合ひの立ち話 | あひる |
凍空にのぼる十四五歳の月 | せいじ |
飛機の灯の凍てし夜空に消えにけり | 康子 |
ストーブに友薪焚ぶる里居かな | むべ |
初場所や大関結へし大銀杏 | みきえ |
雪兎ミニカーふたつ引連れて | わたる |
ただいまの駆け込む娘の背月冴ゆる | そうけい |
一筋の岨の白煙山眠る | せいじ |
能面の俯きぐはひ冬の地震 | 澄子 |
縁側に並べて今日の布団干し | 康子 |
初打ちの卓球教室今日八人 | こすもす |
暖房の音の中なる眠気かな | よし女 |
冬木の芽空にアブストラクト描く | えいじ |
山肌の夕日ほのかに紅の雪 | ほたる |
桜のごと咲き乱れたる朝の雪 | ほたる |
初掃除重きガラス戸磨きあげ | ぽんこ |
春着の娘放つ矢三十三間堂 | 山椒 |
枝先に雨粒光る冬木立 | 明日香 |
屋根瓦に光のしずく冬名月 | 千鶴 |
エンジンをかけ針状の雪払ふ | 和繁 |
掘り抜き井戸生残りたる寒の鮒 | 愛正 |
松過の床の隅にはレゴ人形 | もとこ |
雪踏みの一筋の道文殊堂 | わたる |
寒椿のつぼみ開きて茶会果つ | なつき |
一月の満月我が家の真上かな | よし女 |
葉を揺らし枝から枝へ鳥交る | みきお |
老犬や老婆を散歩冬落暉 | えいいち |
初生けの花器に水足す昼下がり | みきえ |
続く壁影は名画に枯木道 | そうけい |
冬夕日戯る如し雲の中 | きよえ |
囀りの溢れる梢青ひ空 | みきお |
城壕や編隊組みし鴨の陣 | 愛正 |
土凍てて縮む甘さや法蓮草 | たか子 |
楽しそに手を振る子等や四温の日 | きよえ |
火の玉となりて落暉す寒の空 | 千鶴 |
駕籠吊るす旧家の井戸や寒椿 | 明日香 |
女正月食つて喋つて痛い喉 | たかを |
渓隔て暫し寒禽鳴き交わす | 澄子 |
早寝かな寒満月を帰りきて | なつき |
寒月に松の切株晒さるる | むべ |
冬麗薄化粧する二十歳の子 | ふさこ |
2025年01月13日 | |
晩鴉鳴く冬夕焼や宮の杜 | えいじ |
初場所や将棋のチェックはスマホにて | こすもす |
冬うらら瀬戸の小島を徘徊る | やよい |
朝散歩止め足伸ばす掘り炬燵 | よし女 |
上州の風にちぢれし菠薐草 | あひる |
松とれて孫独り立ち引っ越しす | 董雨 |
長閑なり録画を見るも松の内 | 愛正 |
アクセルの緩む初旅サンセット | せつ子 |
不具合の眼鏡の予約初電話 | よし女 |
吾を見舞ふけんちん汁の蓋堅し | そうけい |
蒼天に五指めく桜冬木の芽 | えいじ |
氷柱水滴り屋根の軽くなり | わたる |
寄り合ひて光る皮靴成人日 | みきえ |
成人の日夢溢れたる児と遊ぶ | なつき |
遠き日の思ひ出胸に雛納 | みきお |
受験子へ校舎に応援メッセージ | 康子 |
冬茜浄土の空と白き道 | わたる |
送る娘の車の点滅冬の星 | そうけい |
歯朶の葉が雪解け水をしたたらせ | 和繁 |
月光に枯木の梢白々と | 風民 |
干竿にほんの小さきつららかな | えいいち |
青信号連なる先の雪の富士 | 康子 |
孫来たり買ふしかないと寒苺 | あひる |
冬薔薇薄紅色の一輪なり | きよえ |
自在なる枝振りよろし蝋梅花 | 澄子 |
冬凪の浦帆船の滑り航く | 千鶴 |
また地震の緊急速報寒月下 | うつぎ |
冬霧の川面に深く立ちのぼり | 明日香 |
びつしりと咲みつ椿他を寄せず | もとこ |
振袖に華やぐ市中成人日 | みきえ |
山懐の豊かに湧きし寒九水 | ほたる |
日常に戻る速さや松納 | たか子 |
テレビ台夫と組み立て小正月 | なつき |
手を広げ北風に乗らんと駆けだす子 | たかを |
海裂けて荒れ狂う波冬嵐 | ふさこ |
気分転換はケーキ作りや受験生 | こすもす |
初場所の技と力の土俵かな | きよえ |
振袖のバス待つ列や成人日 | むべ |
祭日も生ゴミ出せる松の内 | 明日香 |
姫椿面影残る旧居かな | 澄子 |
自転車のハンドル持ちてご慶交わす | ぽんこ |
祖母に顔見せんと集ふ成人日 | せいじ |
親に菓子焼きて証に成人日 | せいじ |
冬空に聳ゆ稲藁ゴジラ像 | 山椒 |
無我夢中尻まで濡らす潮干狩 | みきお |
岩肌に白花ごとき綿氷 | 愛正 |
見晴かす富士の白妙寒日和 | むべ |
2025年01月12日 | |
雑踏の交はす御慶の慌ただし | もとこ |
と見る間に小雪となりて日矢差しぬ | せいじ |
満潮に河水と凌ぎ初靄や | きよえ |
名を連れね奉仕の方々冬の古祠 | たかを |
冬林檎一片小鳥もてなしぬ | 澄子 |
冬の日や死囚の恋歌読みて果つ | えいじ |
「自転車重も」北風に漕ぐ女学生 | やよい |
島人はひっそりと住み冬温し | たか子 |
茎先に開く一輪冬の薔薇 | えいいち |
青年隊輪になりすする七日粥 | なつき |
鯉の影長く曳きたる四温晴れ | 康子 |
初売やちんどん屋さんについてゆき | むべ |
三連休夜更け押し見てゲームする | 董雨 |
食べ盛りもう一品と炊くおでん | みきえ |
落葉踏む足音しづか雨後の朝 | 康子 |
冬陽浴び青菜輝く風無き日 | たかを |
寒中の献花の凛と保たるる | 和繁 |
冬の波止風向き選ぶ鴨の陣 | きよえ |
雪晴れて深呼吸せり遠き山 | わたる |
まる雀寒雨凌ぐ藪の宿 | わたる |
出汁継ぎて五平餅やのおでん鍋 | なつき |
鈍色の雲の重なり風凍つる | 明日香 |
大正の模様硝子や冬日燦 | むべ |
石塔へ我が影映す冬夕焼 | 明日香 |
窓硝子曇ると見ればしまく雪 | せいじ |
雪晴や積上げられし小枝藁 | こすもす |
冬蜂のよたよた歩き我重ぬ | ふさこ |
寒牡丹咲かす花寺藁ぼっち | 愛正 |
眩しかり今年の月の光かな | よし女 |
大鳥居絡み里向く飾り凧 | 愛正 |
冬晴や真日に南京櫨実る | えいじ |
積上がる落葉の袋切も無し | ぽんこ |
みどり児を肩車して青き踏む | みきお |
青空に須臾吹きあぐる粉の雪 | ほたる |
矢のごとし瀬戸に刺入る冬光芒 | せつ子 |
古釘に端引っ張られたるショール | 千鶴 |
堰に来て立ち上がり落つ雛の舟 | みきお |
果てしなく二本の轍遠霞 | ほたる |
蝋梅の一花に励む庭仕かな | うつぎ |
青空や準備着々どんど焼 | こすもす |
灰雲に月ぼんやりと冬ざるる | えいいち |
冬ざれし亀甲模様の池の底 | 澄子 |
2025年01月11日 | |
取り込みも山を越へたか女正月 | 澄子 |
干す手拭ひピンと立ちけり寒の入り | みきお |
川原石窪みに光る蝉氷 | 愛正 |
寒風に大樹は揺れるブランコも | たかを |
雪晴や遥かに白き単線路 | わたる |
降雪の仰げば何処かぎりなや | ほたる |
白銀の住む人なきや蔵開 | ほたる |
すべらかに師の手のふくさ初茶湯 | 風民 |
雪の日も予約通りにヘルパー来 | よし女 |
待ちかねし善哉鏡開きかな | みきえ |
冬日差す杖と里道背を押すや | きよえ |
前かごに揺るる福笹漕ぐ翁 | みきえ |
摩天楼ビルより低く山眠る | せいじ |
風花や頬撫で行きてさっと去る | きよえ |
師の米寿祝ぐ初釜の華やぎに | なつき |
薄氷や重なりあひて流れけり | みきお |
異な鳥と見しは単独行の鴨 | えいじ |
三椏の花芽に宿る朝日かな | むべ |
あでやかな着物揃ひし初茶の湯 | なつき |
年神や稲穂飾りの重く垂る | 風民 |
水涸れてひび威勢よき池の底 | せいじ |
ものの芽の一点にある力かな | うつぎ |
通勤へ朝日を透かす冬木立 | 康子 |
寒風に子供は風の子声援す | たかを |
大小の福笹ありぬ電車中 | もとこ |
白簾幾度覆ふ雪時雨 | わたる |
雪雲の地につながりて遠き街 | あひる |
もう一年居ない職場か年忘 | いち |
雪だるま作る姉妹や頬真っ赤 | こすもす |
幾何模様なす影をゆく枯木道 | 康子 |
着ぶくれてリードの犬と風遊び | いち |
雨戸閉め吹雪に耐ゆる二日間 | よし女 |
陽光や雪雲の端を輝かせ | あひる |
杜に入るや群れで飛び立つおながかな | そうけい |
落語会俳句と歌留多の演題 | こすもす |
寒干しの魚の貌の尖りけり | 澄子 |
四方葺のいわれを聞くや冬帽子 | 明日香 |
古本に栞る珊瑚樹枯葉かな | えいじ |
パック裂きひび割れ走る鏡餅 | ぽんこ |
籬垣に寒菊の黄の暮れのこる | むべ |
冬ぬくし母子四人の気儘旅 | やよい |
坊主めくりの百人一首年初め | ふさこ |
爪先で探るあんかの夜々であり | たか子 |
賽銭の音も引き締まる寒き朝 | そうけい |
初凧の切れておさまる鬼瓦 | 愛正 |
時雨るるや村の古祠守る神の杉 | 明日香 |
聞くところ昭和百年松納め | 千鶴 |
2025年01月10日 | |
吊るし干し寒風滲みる開き腹 | わたる |
方々の音暖少し垂り雪 | わたる |
泣いた子の今は読み手や歌留多とり | こすもす |
寒念仏途絶へ無音に身を置きぬ | 澄子 |
並びたる手描き歌留多や緋毛氈 | むべ |
星々の瞬き止まぬ霜夜かな | むべ |
参拝の列伸びちぢみ松の内 | なつき |
氷上を走らす小石子の騒ぎ | 愛正 |
紅仄か笑まう菩薩の寺四温 | 明日香 |
七草の粥をふるまう神社かな | みきお |
猫蚤を手探る媼冬日向 | えいいち |
山颪白波尖る寒の瀬戸 | 澄子 |
枝伸ばす桜枯れ木のアーケード | えいじ |
藁屋根のヒバ苔青し雪しずく | なつき |
大木の洞に詰まりし落葉かな | ぽんこ |
凩に四分五裂す堰の水 | せいじ |
寄鍋の音色の囃す一人の餉 | よし女 |
ダイヤ乱る架線に絡む飾り凧 | 愛正 |
大雪や半数参ず御祈祷祭 | 和繁 |
福男目ざし駆け出す初戎 | みきえ |
一叢か冬の岸辺の沼狸 | えいじ |
大雪に松倒れたる庫裏の屋根 | 和繁 |
北風や妻の後追う四千歩 | たかを |
冬ざれや地震の日のまた偲ばるる | うつぎ |
寒雀陽の波乗りて遊びけり | もとこ |
冬ざれや薄れし土手の注意書き | せいじ |
木枯しや旧家の梛の聳え立つ | 明日香 |
門開くや飛び出す男初戎 | みきえ |
正体は蘇鉄や菰のぐるり巻き | こすもす |
薄氷ただよふ空や鏡池 | 康子 |
飛び石を伝ひて巡る初景色 | 山椒 |
地吹雪や甲冑まとふ埴輪武者 | 千鶴 |
ストーブに翳して動くピアノの手 | 康子 |
和らぎし母のたいくつ窓の雪 | あひる |
賑やかに寒波知らぬか下校の子 | きよえ |
蠟梅の一花を嗅ぎし至福かな | よし女 |
初走の満面笑みの福男 | きよえ |
臥す窓に動くものただ牡丹雪 | あひる |
沈み行く夕照の富士淑気満つ | 山椒 |
山里の空は広々冬北斗 | やよい |
学校の掲示淑気の歌一首 | そうけい |
冴えざえと更けゆく夜や独り言 | みきお |
2025年01月09日 | |
籬中紙垂の一片寒風裡 | ぽんこ |
枯すすき我が物顔に畑の中 | きよえ |
梢雪昼時待たず消えてゆき | わたる |
正月のもう要らぬてふ女正月 | もとこ |
朝礼す工事現場に白き息 | 康子 |
初晴や敷布なびかふ物干場 | 愛正 |
大入りの御膳屋寄席や初笑 | せつ子 |
鳰の群浮くも潜くも離れざる | 康子 |
草木瓜の莟粒立つ寒の入 | 澄子 |
狛犬の射抜く眼光淑気満つ | 山椒 |
雪搔きの先陣を切る工場長 | 和繁 |
七草の粥食む百歳健やかに | みきお |
強霜や湯気上がりくる堆肥小屋 | 千鶴 |