2025年04月01日 | |
草餅に指先残る葉のかほり | 康子 |
花万朶香煙けぶる地蔵堂 | やよい |
春寒し炊きたる粥に息を掛け | よし女 |
堤へと回り道して雲雀聞く | せいじ |
雨受けて色の際立つ菫かな | 和繁 |
何するで無く日の過ぎて長閑なる | たか子 |
対岸の蕎麦屋透けたり糸柳 | 愛正 |
万愚節留守番チャイムの人不明 | よし女 |
揚雲雀見る間に点となりにけり | 明日香 |
喧騒のあはひにふっと蝶生まる | 澄子 |
咲き満ちて雲に彩なす花の下 | えいじ |
春の田に昇り降りする鳩の群 | 和繁 |
田返しの土黒ぐろと立ってをり | 明日香 |
寄り道の田の草食んで鳥帰る | わたる |
四月始め今日から血圧つけつずく | 董雨 |
裏山の鶯声日ごと澄みてきし | 千鶴 |
紺似合う今も昔も新社員 | ふさこ |
銀輪の頭上鈴の音揚雲雀 | せいじ |
紅白の絵日傘揺るる枝垂れ梅 | ぽんこ |
乙女らのくすくす笑ひ雪やなぎ | もとこ |
かたばみに囃され仰ぐ花の雨 | ほたる |
川風に藏壁塗りたる柳かな | 愛正 |
わらび餅笑わせないで黄粉吹く | 康子 |
花開き雨の雫の涙かな | えいいち |
整体に骨のぽきりと万愚節 | なつき |
三椏の花のなぞへや甘き香 | みきえ |
さへずりや昼間は少し忘れてる | こすもす |
霾や朱き鳥居の大柱 | 藤井 |
黒潮の波濤に向きし山椿 | 藤井 |
居留地へ続く街路や辛夷咲く | わかば |
桜雨一雨ごとに色褪せし | ほたる |
霾るや墨染といふ古町に | あひる |
ケーブルカー終点駅は花の下 | あひる |
イペの木のこれからと云ふ芽吹きかな | わかば |
風ひかる古地図のなかの眼鏡橋 | 澄子 |
夕映への白塀染むる桜かな | 博充 |
霾や晴天予報閉ざさるる | きよえ |
辛夷の下息吸い込みし散歩かな | きよえ |
花淡し天誅組の辞世歌碑 | なつき |
春眠や夢の彼方に日の光 | 博充 |
名残りとは言へぬ大雪春の雪 | わたる |
草に大の字で見上げる春の雲 | えいじ |
2025年03月31日 | |
薔薇の芽や花の色見せ尖りしか | きよえ |
枝垂れては疏水になびく初桜 | たか子 |
薄霞たそがれ映す只見川 | 和繁 |
一輪草静かな湖に櫂の音 | 博充 |
夢うつろ囀る声に目覚めけり | 博充 |
池端の流るるごとき大桜 | えいいち |
花冷えや窓辺で眺む懐手 | ほたる |
み吉野の花の遅きに旅ならず | もとこ |
撮り鉄の待ちたる電車花の雲 | 康子 |
野面積み目地突きいづる名草の芽 | 愛正 |
蒲焼に添へしは庭の山椒の芽 | せいじ |
池の傍せっせとわらび摘みし頃 | 千鶴 |
藏街の川辺きわだつ青柳 | 愛正 |
広芝を一人占めして蝶ひぬ | せつ子 |
萌黄色に染まる列島春来たる | みきお |
騙されしふりしてみせん四月馬鹿 | せいじ |
落ちる星春三日月に刺さりけり | わたる |
さんざんに打ちのめされて春寒し | わたる |
重くなり嬰よく笑ふチューリップ | よし女 |
繋がれし闘牛そばに鼓草 | 藤井 |
黄水仙並びし花や奔放に | きよえ |
見上げれは天守に赤き春灯し | やよい |
グライダー歓声あがる春の空 | あひる |
春休みパス特訓中婆と孫 | みきえ |
試合終え師を胴上げの三月尽 | なつき |
土筆伸ぶ嘗ては隠居の庵とや | たか子 |
このあたり昔塩田新玉葱 | よし女 |
剪定の音の響きけり里の山 | みきお |
兄を追ふ小さき銀輪野路の春 | あひる |
芽吹く木々聞こえるほどの息遣ひ | 明日香 |
花人に負けじと燥ぐ鳥の声 | 康子 |
どんみりと鳥居にかかる朝桜 | ぽんこ |
花吹雪昔のことよ恋去りて | ふさこ |
外壁の塗り替へ新た風光る | みきえ |
瞑りて聞く囀りのシャワーかな | せつ子 |
かたばみに囃されている桜かな | ほたる |
ボール追ふ子の声遠く土筆摘む | なつき |
春暁や社の裏の草も燃ゆ | 藤井 |
春雨や通り過ぐかに迢空碑 | 明日香 |
羽根をちょと濡らして去りぬ雀の子 | えいじ |
テラス席閑散として花の冷え | 澄子 |
春潮や気流旋回鳶はるか | 澄子 |
中学時代思ひ出させる小手毬よ | こすもす |
野遊びや犬はお座り嬉しげに | 和繁 |
鵜と鷺の寄り合ふ中洲鳥曇 | えいじ |
2025年03月30日 | |
見上げれば顔に桜の雨雫 | ほたる |
須弥山の文様触るる暖かし | 明日香 |
消灯の会堂に差す花明り | せいじ |
羊羹を食べて目ひらく花曇り | 和繁 |
花冷えや一羽となりし孔雀小屋 | なつき |
風ひかるグラバー邸の坂登る | 澄子 |
チューリップ咲く日待ちつつ赤三本 | きよえ |
日照雨京の桜の覚めまほし | えいじ |
鋭角のカーブ描いて初燕 | わたる |
山寺や一雨ごとに草青む | 藤井 |
開花日を今日と日記に書く桜 | 藤井 |
花の風たゆたふスワンボートかな | 康子 |
蛍烏賊目の残りたる夕餉かな | わたる |
一輪草暮れゆく空に染みゆきて | 博充 |
売られをる桜苗木も花盛り | あひる |
三川の風に煽られ花堤 | あひる |
花冷えの青きシートの手持ちぶさ | ふさこ |
校庭の花ちらほらと笑まひけり | みきえ |
花の席シングル会として集ふ | たか子 |
冴返るきっちり戻るブーメラン | 千鶴 |
パンジーに朝の雫のレンズかな | むべ |
石垣沿ひ光る羽毛の翁草 | 愛正 |
遊歩道私も見てと木瓜の花 | みきえ |
雪柳アーチを潜る笑顔かな | きよえ |
語り部は同窓生や城のどか | やよい |
引き潮の穴より馬刀貝躍り出る | よし女 |
東風吹くや舫解く手の温もりて | 博充 |
せせらぎの風に乗りたるしゃぼん玉 | 康子 |
大輪の椿好みし武家屋敷 | 澄子 |
咲きすすむ下枝川面へ花堤 | むべ |
遠山に点々と白花こぶし | こすもす |
昨の雨ふふむ桜の洛大路 | えいじ |
百年を愛でる人見し糸垂桜 | ほたる |
翁草芽吹く樹下の砂だまり | 愛正 |
月映す池とや今は花かがみ | たか子 |
光悦の愛し三山涅槃西風 | もとこ |
そぼ降りの仄かに花の光りけり | えいいち |
ほつほつと肩で息する芽吹き山 | 明日香 |
土手のどか走者は絆ロープして | せいじ |
ハンカチにつつむ貝殻磯遊び | なつき |
桜湯の香りおこわに炊き込まむ | よし女 |
鳶風に煽られながら風に乗る | 和繁 |
2025年03月29日 | |
淡雪や時計静かに秒刻む | 藤井 |
花曇り水面は太陽のみ映す | 和繁 |
ひとり居の背なの湿布や春憂ひ | たか子 |
初花や一輪愛でる肩車 | ほたる |
蓮の葉の屋根ともなりて花を守る | せいじ |
石積の隙間に芽出す翁草 | 愛正 |
砂浴びの雀飛び立つ翁草 | 愛正 |
花冷えや丸くなってる膝の猫 | こすもす |
競漕の足の突っ張り赤銅色 | みきお |
退院して驚く青葉額の花 | 董雨 |
盃に桜をひとつ浮かべけり | わたる |
ものの芽の潤ふ雫や雨しづか | もとこ |
八重椿ばさりと重き音に落つ | 藤井 |
学園へと変身の母校花の冷え | こすもす |
遠峰は黒し菜の花畑かな | むべ |
一本の桜咲き満つ寺の庭 | きよえ |
麗らかや高舞ふ鳶の目は何を | わかば |
春を撮る焦点深度浅くして | せいじ |
朱橋より鯉の口見る花の下 | なつき |
押し車の新車の軽し三月じん | 董雨 |
山嶺の薄雲払ふ桜東風 | 明日香 |
チューリップ小さき手の鉢あぶなかし | ふさこ |
黄水仙輪に咲き日浴ぶ木の袂 | きよえ |
お座りのララと見てゐる初朧 | えいじ |
春の日や孫の寝返り再挑戦 | 康子 |
風光る湖さざめきて櫂走る | 博充 |
鵯の子の軒端に宿る菜種梅雨 | 澄子 |
死の淵に彷徨ふ爺に寒戻る | みきお |
キッチンカーに惑ふや春の城マルシェ | やよい |
ダム湖畔映る桜は四分か五分 | 千鶴 |
ぷるぷると風に三色すみれかな | えいいち |
花冷えや橋の袂はさらさらと | 博充 |
子の駆ける大地百花や風光る | えいじ |
車椅子降りて写真や花の下 | 康子 |
藪椿重さあるごと落ちにけり | よし女 |
揚げ雲雀上昇気流のり歌う | わたる |
木の芽棘よけて摘む手の残り香よ | ほたる |
八方に風つかまんと雪柳 | むべ |
白鷺をマイクロバスが抜く春野 | 和繁 |
木々の間を埋め三椏明かりかな | わかば |
たこ壷の口あんぐりと春の浜 | よし女 |
昼灯すキッチンカーや花曇り | なつき |
春や春五十五万石とや城下なる | たか子 |
日輪の沖に留まる遅日かな | 澄子 |
2025年03月28日 | |
茫漠の巨大落日黄沙舞ふ | えいいち |
春の泥長靴逆さに干す現場 | 山椒 |
再会はまだ三分咲き花の下 | なつき |
花むしろ猫耳つけておしゃまな子 | なつき |
初桜大使館辞す吾のうへに | むべ |
店先に並ぶバケツやチューリップ | あひる |
磯静か子らの足音春夕焼 | 博充 |
あたたけし小さき手合はす曹父母に | もとこ |
初蝶の大地百花を練りゆけり | えいじ |
海原や千里遥かな蝶の旅 | 澄子 |
首塚の真上に歌ふ揚雲雀 | 明日香 |
坂登れば河津桜の吹雪をり | 千鶴 |
花冷えや軒の隙より猫の声 | 博充 |
春蘭のつまし一株香の密か | わかば |
幾度となく挨拶に来る初燕 | ほたる |
しばらくは子雀あそぶパーゴラに | 康子 |
島二つかすかに浮かぶ黄砂かな | 藤井 |
初音聞く里の小径を出勤す | むべ |
木の芽時昼餉は吾も庭椅子で | よし女 |
次々と駆け込む軒下春驟雨 | みきお |
香を放つ空家の庭の沈丁花 | こすもす |
つぎつぎと芽吹く鉢植え笑みこぼる | 明日香 |
花守の車の整理多忙なる | みきお |
ブロック塀はみ出し揺るる雪柳 | こすもす |
捨て畑や畦に明るき金鳳華 | 愛正 |
吉宗も愛でし庭園藻草生ふ | やよい |
春蘭の目覚め促す木漏れ日よ | わかば |
マンションの百灯に照る大桜 | 康子 |
あばら家の上座居座る君子蘭 | 愛正 |
春嵐雨の匂ひを纏ひたり | 山椒 |
つちふるや派手な部屋干し旗めきて | ふさこ |
春寒し一枚羽織る駅出口 | みきえ |
自転車の保険更新春野馳す | せいじ |
クラックに生ふ蒲公英のロゼット葉 | せいじ |
嬰笑ふ顔憶えたり春うらら | わたる |
口すすぐ庭土佐みずきの花明かり | よし女 |
馬酔木咲く村の小道や子らの声 | 藤井 |
しだれ梅愛づやだらりの帯の如 | きよえ |
味噌蔵の甍の波に春陽差し | たか子 |
雨止む間初蝶野中ふはふはと | きよえ |
広野いまアブストラクト芝青む | えいじ |
不揃ひの二両編成春の野に | 和繁 |
地の酒に桜浮かべて酔ひにけり | わたる |
春雨や田から鵟が向かふ森 | 和繁 |
春雷や細く仄かにホライズン | 澄子 |
明け方に目覚めしままや春の雨 | ぽんこ |
2025年03月27日 | |
黒マルチ宝蓋草に縁取られ | みきえ |
花山椒摘みし指先香りたり | むべ |
甘辛の土筆煮子らの食卓に | なつき |
明日こそ咲いてくれそうチューリップ | こすもす |
草刈女土払ひたる五円玉 | なつき |
先頭に翁の二輪車うららけし | せつ子 |
知己の来て近況報告春時雨 | よし女 |
春厨野菜炒めの音たてて | よし女 |
降らずみの夕べ色濃き紅椿 | せいじ |
城壕に水満々と花万華 | 山椒 |
曙や赤城を包む薄霞 | 愛正 |
流れ行く小川の水の温むかな | きよえ |
彼岸会の叔母に呼ばれしえいじちゃん | えいじ |
雛巡り伝建地区に醤の香 | やよい |
笑へよとパンジー揺れて迎へけり | もとこ |
次世代を担ふ齢や春人事 | せつ子 |
春光の届かぬ壁の動かぬ蜘蛛 | 和繁 |
雨模様祈る気持ちの挿し木かな | 明日香 |
春雷や道路工事を中断す | 董雨 |
咲きたるも数は疎らや白モクレン | こすもす |
友見舞ひ泣き笑いして春憂ふ | わかば |
春陰やま白き水脈の逸れ鳥 | えいじ |
友見舞ふ藪の小径に初音聴く | わかば |
風招く白きベールの雪柳 | ぽんこ |
讃美歌は老母の部屋から春うらら | あひる |
ネモフイラのあお風に揺れ横向いて | ふさこ |
降り立てば磯の香の駅春の波 | たか子 |
菜の花の堤も緩く蛇行して | むべ |
盛りあがる郷のはなしや日向夏 | あひる |
摘草や摘んで捜してまた摘んで | わたる |
初蝶や小さき使いとなりて舞ふ | わたる |
畳敷く苑の回廊あたたかし | 康子 |
黄砂来るみ空も小言早く去れ | きよえ |
信号の渡り訓練入学児 | 千鶴 |
三月の海を眺める竜馬像 | 藤井 |
いくたびも数ふる薬春愁ひ | 康子 |
麗かや川辺蛇行の散歩道 | 愛正 |
またたきは鳩の羽ばたき朝霞 | 和繁 |
プランターの土を返せば蜥蜴出で | 明日香 |
春光に影を躍らす子等の声 | 博充 |
尾立てて横切る猫や春障子 | みきお |
エンジンの水音高く四月かな | 藤井 |
東風匂ふ磯に響くや遠き波 | 博充 |
上流は古都や花散る背割堤 | せいじ |
鼻歌や酒場帰りの春の雨 | えいいち |
簡単に道案内の婆村のどか | たか子 |
缶コーヒー片手に親子麦を踏む | みきお |
ビル屋上しろうお漁を一望す | やよい |
ローカル線駅埋め尽くす桜かな | 山椒 |
2025年03月26日 | |
春愁をそっと置き去るホ−ムかな | そうけい |
新縄で繕ふ垣根匂ひけり | みきお |
初蝶と別れてバスの客となり | あひる |
ものの芽や裏山道に色味増す | 愛正 |
花の中進む列車や青き川 | 山椒 |
卓の明かり続けたきこと菜花和え | そうけい |
野の花に隠れてしまふ白き蝶 | よし女 |
驚くや藪の切れ間を初蝶来 | えいじ |
桜咲く虫も歓喜の羽拡げ | ぽんこ |
啓蟄や活字ぼやけて瞼落つ | 博充 |
鶴翼のごと橋ふたつ花堤 | せいじ |
黄砂降る平安京も夢うつつ | もとこ |
靴紐を結びなおして青きを踏む | ふさこ |
黄砂吹く西方浄土の彼方より | 山椒 |
梅の咲く里山筵彼方此方に | きよえ |
畦道に揺るる土筆の背比べ | 博充 |
老朽化聞かぬ日のなし春の闇 | わたる |
黄水仙河原に穢れなき気負ひ | わかば |
軒下に木の芽雀の上り下り | 和繁 |
つんつんと草の芽伸びぬ我が留守中 | 千鶴 |
変わり種去年の鉢植へ芽吹きけり | みきえ |
春の鳥二羽づつ飛ぶも群の中 | きよえ |
連翹の光背めきし観世音 | なつき |
シラス丼磯のかほりと白さ食ぶ | たか子 |
春陰や芝野只今養生中 | えいじ |
四つ手網沈めべた凪しろうお漁 | やよい |
伏流水やがて地上に黄水仙 | 藤井 |
片付けと読書で黄砂避けにけり | こすもす |
山荘の眼下に望む花堤 | せいじ |
雪濁り流れ膨らむ最上川 | わたる |
椿挿す一花の気禀自づから | わかば |
行きずりに老ひ犬労ぐる春の宵 | むべ |
ウィンドウの並ぶ新柄傘うらら | えいいち |
行儀よく脱がれし靴の春の泥 | あひる |
巣造りの長く垂れいる物は何 | よし女 |
城趾の塚山覆う春の草 | 愛正 |
桟橋を大きく揺らす春怒涛 | みきお |
しらす丼食ぶる白魚まつり果て | やよい |
芽吹く木の遅速楽しむ朝かな | 明日香 |
三又に樟のねじれる遍路道 | なつき |
深更のひと気なき辻朧かな | むべ |
ほろほろと音の聞こゆる花あしび | 明日香 |
小さき群ここにあそこにクロッカス | 和繁 |
2025年03月25日 | |
俯くも蔓立ち上ぐる貝母かな | 愛正 |
門前に明るく光り寒桜 | 山椒 |
ランドセル笑顔のメール曾孫六つ | きよえ |
畦道の土筆の雫光りけり | 博充 |
いぬふぐり摘むやはらりと風さらふ | 明日香 |
黄砂降る洗濯のばす口実に | せいじ |
貝母の花縺れ小祠に頭垂る | 愛正 |
梅の枝大きく伐られバケツへと | こすもす |
春風や光ゆらめき舟揺るる | 博充 |
黄沙来てオレンジ色の夕陽かな | 明日香 |
生みくれし母へ食介春灯下 | せいじ |
春の宵速足真似て電車待ち | みきえ |
掬われて躍るしろうお透き通る | やよい |
日溜まりに一斉に咲くはこべかな | むべ |
馳走とは季のもの一つふきのたう | わたる |
青天に山茱萸の黄の模様置き | もとこ |
夕日背に暖簾くぐれば春の闇 | えいいち |
医師暖か退院につき年だから | 董雨 |
佇めば桜謳うがごとく咲く | えいじ |
夏蜜柑たわわ吉田松陰生誕地 | よし女 |
街あげて白魚に呼ぶ湯浅かな | たか子 |
雪解田をそろり白鷺踏み渡る | 和繁 |
足先を出しては入るる春炬燵 | 康子 |
掃き寄せて太刀塚囲ふ落椿 | なつき |
追い風に手品のごとく初蝶来 | わたる |
霾天をよぎる鴉の大き影 | むべ |
囀の北の彼方にからす鳴く | 和繁 |
久かたの邂逅うらら姉卒寿 | 千鶴 |
下萌にハローキティのストラップ | なつき |
久々の歩数八千春の汗 | こすもす |
濯ぎ物全て部屋干し黄砂降る | わかば |
四つ手網白魚見せんと踊らさる | たか子 |
春鴨の流さるる如波高し | きよえ |
つちふるや幌で覆ひしベビーカー | 康子 |
追抜けばまた追抜かれ蝶とゆく | あひる |
行く道を白く染めあげ白木蓮 | ぽんこ |
あれほどに開くを待ちし梅花散る | よし女 |
靄ならぬ烟る海峡黄砂降る | わかば |
春陰や松月未だ眠りをり | えいじ |
首を振りここへと招く黄水仙 | 山椒 |
2025年03月24日 | |
倒木の様子見に来て初音かな | 和繁 |
卵かけご飯に少し蕗の味噌 | わたる |
麗らかや猫うつろへる庭の石 | 博充 |
囀と入場無料ジャズライブ | もとこ |
茎立の葉牡丹のこす札所寺 | なつき |
手を止めて又耳すます初音かな | こすもす |
風光る湖水さざめき舟ゆらぐ | 博充 |
白魚網よいしょよいしょと子ら揚ぐる | やよい |
梅東風ゃ古木の標揺らすなり | せつ子 |
明日香川春を集めて歌うごと | 明日香 |
病室にはばかりながら咳多し | 董雨 |
霊場に隊列なりしチューリップ | なつき |
野豌豆緑野に赤き羽ひろげ | むべ |
首伸ばし狛犬も待つ花便り | 山椒 |
食介のヘルパーふたり新社員 | せいじ |
白蓮のつぼみ青空突上げて | よし女 |
蒼穹のかけら落ちたるいぬふぐり | むべ |
葉の間から初蝶いづる黄の花かと | きよえ |
春の水須弥山石を通り抜け | 明日香 |
堤防を行けば鶯本調子 | こすもす |
曇天を詠吟しつつ春の雷 | えいじ |
たかいたかい赤子の笑う花の下 | 康子 |
うららかや埴輪の女人語りくる | 千鶴 |
大試験終へて愈々無口な子 | うつぎ |
御三家の城の圧倒花は未だ | たか子 |
囲わるる一茶の句碑や落松葉 | せつ子 |
春筍のおむすびですと娘持ち来 | きよえ |
彼方此方に起こる山火事雨よ来よ | みきえ |
つくばいの水面を撫ずる柳の芽 | 愛正 |
水堀に沿ひし柳や芽ふけり | 愛正 |
入院の部屋に一輪小ダリア | 董雨 |
蕾では気づくことなし犬ふぐり | わたる |
ハッとして喜びの湧く初つばめ | みきお |
山茱萸の老いの一木ひろぐ花 | わかば |
春日和我が影を追ふ二歳かな | みきお |
大胆に刈る生垣や木の芽風 | 和繁 |
しろうおの三匹重し四つ手網 | やよい |
偕老に席譲られる彼岸詣 | ぽんこ |
大口が春眠封じ食介助 | せいじ |
日向水木解く穂先の花を愛づ | わかば |
彼岸会の露店の絵皿選びかな | えいじ |
橋渡る人みな煽られて春嵐 | あひる |
畑を打つ腰を伸ばせば初蝶すぐ | よし女 |
青空を大きくなびく白木蓮 | ほたる |
主人なき庭にまだらなチューリップ | ほたる |
墓よりも孫は駄菓子屋春彼岸 | 康子 |
雛飾りまた一年の闇の中 | 山椒 |
労られをるは牧師や花粉症 | あひる |
2025年03月23日 | |
梅寒し老の二三の歩きけり | えいじ |
春俳誌一行ごとに世界あり | ほたる |
春休み甘口カレー作りをり | もとこ |
霊石にもたれて仰ぐ白木蓮 | なつき |
春泥に触れず影行く猫の足 | 博充 |
道々のあまた木の芽の山路かな | 愛正 |
銀鼠の光りを放つ芒かな | みきお |
潮引きて好きと書く子ら磯遊び | なつき |
野遊びや母と草の名当てっこし | 康子 |
この道は昔畦道つくづくし | むべ |
入院の長引き頭洗いたし | 董雨 |
教会の扉に風のあたたかき | 和繁 |
古街の店先並ぶ雛飾り | 山椒 |
白壁や塀より落つる桃の花 | 博充 |
去る人の多し来る人よりも春 | わたる |
大往生の友の母堂や春の憂し | こすもす |
鉢いっぱい一輪づつの黄水仙 | きよえ |
三月や午前も午後も集いあり | わたる |
春うらら小舟入港白波引き | 董雨 |
明日香村歴史の舞台花を待つ | 明日香 |
春夕日霞む瀬戸内波光る | きよえ |
くじ引きで姉妹に分けし雛あられ | 山椒 |
挙げ雲雀青春謳歌するごとく | 明日香 |
朝寝終へ息子の作る茶漬けの香 | 和繁 |
下ばかり見て歩く吾にいぬふぐり | あひる |
予約席一輪の花待ちぼうけ | ふさこ |
青空の映る水面の落椿 | あひる |
象牙色の白木蓮を眩しめり | むべ |
花の下陰から陰へ花筵 | みきお |
蕗味噌を炊きて好みの友尋ぬ | わかば |
春憂ふ母の歩幅の狭くなり | 康子 |
ルピナスや倒れてもまた立ち直り | せいじ |
子と並び漕ぐふらここに風優し | みきえ |
青空に背伸びするごと桜の木 | ぽんこ |
花壇手入れ梅の花びら散り敷ける | よし女 |
犬走り縁取る草芽の逞しさ | 愛正 |
群がりて春の上野のテント市 | 千鶴 |
うらなしやたらの木の芽の何もなや | ほたる |
春の憂し訃報欄には友の母 | こすもす |
球春や流れよ来いと子ら連呼 | せいじ |
城址へと花を探るも未だ固く | わかば |
地に咲ける河津桜を家苞に | えいじ |
大騒ぎしても一人や花種まく | よし女 |
2025年03月22日 | |
春疾風波乗りのごと鳶の群 | あひる |
春うらら鬼怒の湯ざわり優しかな | 千鶴 |
家々の秀枝にあそぶ雀の子 | 康子 |
沈丁の風吹く店に並び待つ | むべ |
線香をたっぷりと上げ春彼岸 | 山椒 |
見送りの門靄がかる春の宵 | わかば |
また一人長き息吐く春露天 | わたる |
草の芽や青き点描庭に見る | 愛正 |
東風吹きて無垢のワイシャツ異動せし | せつ子 |
お彼岸のことに明るき墓苑かな | はく子 |
御三家の桜は未だ野面積み | たか子 |
風押して走る幼な子風車 | みきお |
不意にあるひとかたまりの土筆かな | 和繁 |
澄む空にさやかに響く雲雀かな | 博充 |
動かざるこの足の下青き踏む | えいいち |
タンポポにそっと触る児の笑顔かな | きよえ |
犬ふぐり幼な顔なる六地蔵 | なつき |
切り株の触ればもろく陸墓の春 | ぽんこ |
息はまだ白くあれども月朧 | えいじ |
蕗味噌の苦さですすむ晩の酒 | わたる |
賽銭の積まれし地蔵春彼岸 | 山椒 |
合祀墓の献花山なる彼岸かな | 愛正 |
初雷や新しきこと始めんと | 明日香 |
春泥に草の香染むる素足かな | 博充 |
春の畑造り物なるカラス立て | きよえ |
五六分と案内の遠し遍路道 | なつき |
妻起きて吾とあいさつ春嚔 | えいじ |
ワンちゃんは飼い主連れて花の道 | たかを |
八流派こぞりて春のいけばな展 | こすもす |
丁子の香闇に紛ふる事もなく | わかば |
ほがらかな顔揃ひけり春彼岸 | よし女 |
春日和キャッチボールの調子良し | みきえ |
暁に梅の若枝あかあかと | 和繁 |
幾たびも橋潜り来て水温む | あひる |
大干潟沖のタンカー引き寄せる | みきお |
日光や奥社の宝塔なごり雪 | 千鶴 |
遊覧船の白き水脈曳き瀬戸うらら | せつ子 |
春雨の楠並木苑しづか | もとこ |
一本の轍を通す春の雪 | よし女 |
濃く淡くむらさきに透け諸葛菜 | むべ |
車窓より河津桜の花堤 | せいじ |
管理費の納付澄ませし彼岸かな | みきえ |
春出水あふれる堰の魚の影 | 明日香 |
囀の包む団地の亭午かな | 康子 |
名を知るは十指に満たず春の花展 | こすもす |
競馬場過ぎて車窓に花堤 | せいじ |
2025年03月21日 |