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2025年04月01日

草餅に指先残る葉のかほり 康子
花万朶香煙けぶる地蔵堂 やよい
春寒し炊きたる粥に息を掛け よし女
堤へと回り道して雲雀聞く せいじ
雨受けて色の際立つ菫かな 和繁
何するで無く日の過ぎて長閑なる たか子
対岸の蕎麦屋透けたり糸柳 愛正
万愚節留守番チャイムの人不明 よし女
揚雲雀見る間に点となりにけり 明日香
喧騒のあはひにふっと蝶生まる 澄子
咲き満ちて雲に彩なす花の下 えいじ
春の田に昇り降りする鳩の群 和繁
田返しの土黒ぐろと立ってをり 明日香
寄り道の田の草食んで鳥帰る わたる
四月始め今日から血圧つけつずく 董雨
裏山の鶯声日ごと澄みてきし 千鶴
紺似合う今も昔も新社員 ふさこ
銀輪の頭上鈴の音揚雲雀 せいじ
紅白の絵日傘揺るる枝垂れ梅 ぽんこ
乙女らのくすくす笑ひ雪やなぎ もとこ
かたばみに囃され仰ぐ花の雨 ほたる
川風に藏壁塗りたる柳かな 愛正
わらび餅笑わせないで黄粉吹く 康子
花開き雨の雫の涙かな えいいち
整体に骨のぽきりと万愚節 なつき
三椏の花のなぞへや甘き香 みきえ
さへずりや昼間は少し忘れてる こすもす
霾や朱き鳥居の大柱 藤井
黒潮の波濤に向きし山椿 藤井
居留地へ続く街路や辛夷咲く わかば
桜雨一雨ごとに色褪せし ほたる
霾るや墨染といふ古町に あひる
ケーブルカー終点駅は花の下 あひる
イペの木のこれからと云ふ芽吹きかな わかば
風ひかる古地図のなかの眼鏡橋 澄子
夕映への白塀染むる桜かな 博充
霾や晴天予報閉ざさるる きよえ
辛夷の下息吸い込みし散歩かな きよえ
花淡し天誅組の辞世歌碑 なつき
春眠や夢の彼方に日の光 博充
名残りとは言へぬ大雪春の雪 わたる
草に大の字で見上げる春の雲 えいじ

2025年03月31日

薔薇の芽や花の色見せ尖りしか きよえ
枝垂れては疏水になびく初桜 たか子
薄霞たそがれ映す只見川 和繁
一輪草静かな湖に櫂の音 博充
夢うつろ囀る声に目覚めけり 博充
池端の流るるごとき大桜 えいいち
花冷えや窓辺で眺む懐手 ほたる
み吉野の花の遅きに旅ならず もとこ
撮り鉄の待ちたる電車花の雲 康子
野面積み目地突きいづる名草の芽 愛正
蒲焼に添へしは庭の山椒の芽 せいじ
池の傍せっせとわらび摘みし頃 千鶴
藏街の川辺きわだつ青柳 愛正
広芝を一人占めして蝶ひぬ せつ子
萌黄色に染まる列島春来たる みきお
騙されしふりしてみせん四月馬鹿 せいじ
落ちる星春三日月に刺さりけり わたる
さんざんに打ちのめされて春寒し わたる
重くなり嬰よく笑ふチューリップ よし女
繋がれし闘牛そばに鼓草 藤井
黄水仙並びし花や奔放に きよえ
見上げれは天守に赤き春灯し やよい
グライダー歓声あがる春の空 あひる
春休みパス特訓中婆と孫 みきえ
試合終え師を胴上げの三月尽 なつき
土筆伸ぶ嘗ては隠居の庵とや たか子
このあたり昔塩田新玉葱 よし女
剪定の音の響きけり里の山 みきお
兄を追ふ小さき銀輪野路の春 あひる
芽吹く木々聞こえるほどの息遣ひ 明日香
花人に負けじと燥ぐ鳥の声 康子
どんみりと鳥居にかかる朝桜 ぽんこ
花吹雪昔のことよ恋去りて ふさこ
外壁の塗り替へ新た風光る みきえ
瞑りて聞く囀りのシャワーかな せつ子
かたばみに囃されている桜かな ほたる
ボール追ふ子の声遠く土筆摘む なつき
春暁や社の裏の草も燃ゆ 藤井
春雨や通り過ぐかに迢空碑 明日香
羽根をちょと濡らして去りぬ雀の子 えいじ
テラス席閑散として花の冷え 澄子
春潮や気流旋回鳶はるか 澄子
中学時代思ひ出させる小手毬よ こすもす
野遊びや犬はお座り嬉しげに 和繁
鵜と鷺の寄り合ふ中洲鳥曇 えいじ

2025年03月30日

見上げれば顔に桜の雨雫 ほたる
須弥山の文様触るる暖かし 明日香
消灯の会堂に差す花明り せいじ
羊羹を食べて目ひらく花曇り 和繁
花冷えや一羽となりし孔雀小屋 なつき
風ひかるグラバー邸の坂登る 澄子
チューリップ咲く日待ちつつ赤三本 きよえ
日照雨京の桜の覚めまほし えいじ
鋭角のカーブ描いて初燕 わたる
山寺や一雨ごとに草青む 藤井
開花日を今日と日記に書く桜 藤井
花の風たゆたふスワンボートかな 康子
蛍烏賊目の残りたる夕餉かな わたる
一輪草暮れゆく空に染みゆきて 博充
売られをる桜苗木も花盛り あひる
三川の風に煽られ花堤 あひる
花冷えの青きシートの手持ちぶさ ふさこ
校庭の花ちらほらと笑まひけり みきえ
花の席シングル会として集ふ たか子
冴返るきっちり戻るブーメラン 千鶴
パンジーに朝の雫のレンズかな むべ
石垣沿ひ光る羽毛の翁草 愛正
遊歩道私も見てと木瓜の花 みきえ
雪柳アーチを潜る笑顔かな きよえ
語り部は同窓生や城のどか やよい
引き潮の穴より馬刀貝躍り出る よし女
東風吹くや舫解く手の温もりて 博充
せせらぎの風に乗りたるしゃぼん玉 康子
大輪の椿好みし武家屋敷 澄子
咲きすすむ下枝川面へ花堤 むべ
遠山に点々と白花こぶし こすもす
昨の雨ふふむ桜の洛大路 えいじ
百年を愛でる人見し糸垂桜 ほたる
翁草芽吹く樹下の砂だまり 愛正
月映す池とや今は花かがみ たか子
光悦の愛し三山涅槃西風 もとこ
そぼ降りの仄かに花の光りけり えいいち
ほつほつと肩で息する芽吹き山 明日香
土手のどか走者は絆ロープして せいじ
ハンカチにつつむ貝殻磯遊び なつき
桜湯の香りおこわに炊き込まむ よし女
鳶風に煽られながら風に乗る 和繁

2025年03月29日

淡雪や時計静かに秒刻む 藤井
花曇り水面は太陽のみ映す 和繁
ひとり居の背なの湿布や春憂ひ たか子
初花や一輪愛でる肩車 ほたる
蓮の葉の屋根ともなりて花を守る せいじ
石積の隙間に芽出す翁草 愛正
砂浴びの雀飛び立つ翁草 愛正
花冷えや丸くなってる膝の猫 こすもす
競漕の足の突っ張り赤銅色 みきお
退院して驚く青葉額の花 董雨
盃に桜をひとつ浮かべけり わたる
ものの芽の潤ふ雫や雨しづか もとこ
八重椿ばさりと重き音に落つ 藤井
学園へと変身の母校花の冷え こすもす
遠峰は黒し菜の花畑かな むべ
一本の桜咲き満つ寺の庭 きよえ
麗らかや高舞ふ鳶の目は何を わかば
春を撮る焦点深度浅くして せいじ
朱橋より鯉の口見る花の下 なつき
押し車の新車の軽し三月じん 董雨
山嶺の薄雲払ふ桜東風 明日香
チューリップ小さき手の鉢あぶなかし ふさこ
黄水仙輪に咲き日浴ぶ木の袂 きよえ
お座りのララと見てゐる初朧 えいじ
春の日や孫の寝返り再挑戦 康子
風光る湖さざめきて櫂走る 博充
鵯の子の軒端に宿る菜種梅雨 澄子
死の淵に彷徨ふ爺に寒戻る みきお
キッチンカーに惑ふや春の城マルシェ やよい
ダム湖畔映る桜は四分か五分 千鶴
ぷるぷると風に三色すみれかな えいいち
花冷えや橋の袂はさらさらと 博充
子の駆ける大地百花や風光る えいじ
車椅子降りて写真や花の下 康子
藪椿重さあるごと落ちにけり よし女
揚げ雲雀上昇気流のり歌う わたる
木の芽棘よけて摘む手の残り香よ ほたる
八方に風つかまんと雪柳 むべ
白鷺をマイクロバスが抜く春野 和繁
木々の間を埋め三椏明かりかな わかば
たこ壷の口あんぐりと春の浜 よし女
昼灯すキッチンカーや花曇り なつき
春や春五十五万石とや城下なる たか子
日輪の沖に留まる遅日かな 澄子

2025年03月28日

茫漠の巨大落日黄沙舞ふ えいいち
春の泥長靴逆さに干す現場 山椒
再会はまだ三分咲き花の下 なつき
花むしろ猫耳つけておしゃまな子 なつき
初桜大使館辞す吾のうへに むべ
店先に並ぶバケツやチューリップ あひる
磯静か子らの足音春夕焼 博充
あたたけし小さき手合はす曹父母に もとこ
初蝶の大地百花を練りゆけり えいじ
海原や千里遥かな蝶の旅 澄子
首塚の真上に歌ふ揚雲雀 明日香
坂登れば河津桜の吹雪をり 千鶴
花冷えや軒の隙より猫の声 博充
春蘭のつまし一株香の密か わかば
幾度となく挨拶に来る初燕 ほたる
しばらくは子雀あそぶパーゴラに 康子
島二つかすかに浮かぶ黄砂かな 藤井
初音聞く里の小径を出勤す むべ
木の芽時昼餉は吾も庭椅子で よし女
次々と駆け込む軒下春驟雨 みきお
香を放つ空家の庭の沈丁花 こすもす
つぎつぎと芽吹く鉢植え笑みこぼる 明日香
花守の車の整理多忙なる みきお
ブロック塀はみ出し揺るる雪柳 こすもす
捨て畑や畦に明るき金鳳華 愛正
吉宗も愛でし庭園藻草生ふ やよい
春蘭の目覚め促す木漏れ日よ わかば
マンションの百灯に照る大桜 康子
あばら家の上座居座る君子蘭 愛正
春嵐雨の匂ひを纏ひたり 山椒
つちふるや派手な部屋干し旗めきて ふさこ
春寒し一枚羽織る駅出口 みきえ
自転車の保険更新春野馳す せいじ
クラックに生ふ蒲公英のロゼット葉 せいじ
嬰笑ふ顔憶えたり春うらら わたる
口すすぐ庭土佐みずきの花明かり よし女
馬酔木咲く村の小道や子らの声 藤井
しだれ梅愛づやだらりの帯の如 きよえ
味噌蔵の甍の波に春陽差し たか子
雨止む間初蝶野中ふはふはと きよえ
広野いまアブストラクト芝青む えいじ
不揃ひの二両編成春の野に 和繁
地の酒に桜浮かべて酔ひにけり わたる
春雨や田から鵟が向かふ森 和繁
春雷や細く仄かにホライズン 澄子
明け方に目覚めしままや春の雨 ぽんこ

2025年03月27日

黒マルチ宝蓋草に縁取られ みきえ
花山椒摘みし指先香りたり むべ
甘辛の土筆煮子らの食卓に なつき
明日こそ咲いてくれそうチューリップ こすもす
草刈女土払ひたる五円玉 なつき
先頭に翁の二輪車うららけし せつ子
知己の来て近況報告春時雨 よし女
春厨野菜炒めの音たてて よし女
降らずみの夕べ色濃き紅椿 せいじ
城壕に水満々と花万華 山椒
曙や赤城を包む薄霞 愛正
流れ行く小川の水の温むかな きよえ
彼岸会の叔母に呼ばれしえいじちゃん えいじ
雛巡り伝建地区に醤の香 やよい
笑へよとパンジー揺れて迎へけり もとこ
次世代を担ふ齢や春人事 せつ子
春光の届かぬ壁の動かぬ蜘蛛 和繁
雨模様祈る気持ちの挿し木かな 明日香
春雷や道路工事を中断す 董雨
咲きたるも数は疎らや白モクレン こすもす
友見舞ひ泣き笑いして春憂ふ わかば
春陰やま白き水脈の逸れ鳥 えいじ
友見舞ふ藪の小径に初音聴く わかば
風招く白きベールの雪柳 ぽんこ
讃美歌は老母の部屋から春うらら あひる
ネモフイラのあお風に揺れ横向いて ふさこ
降り立てば磯の香の駅春の波 たか子
菜の花の堤も緩く蛇行して むべ
盛りあがる郷のはなしや日向夏 あひる
摘草や摘んで捜してまた摘んで わたる
初蝶や小さき使いとなりて舞ふ わたる
畳敷く苑の回廊あたたかし 康子
黄砂来るみ空も小言早く去れ きよえ
信号の渡り訓練入学児 千鶴
三月の海を眺める竜馬像 藤井
いくたびも数ふる薬春愁ひ 康子
麗かや川辺蛇行の散歩道 愛正
またたきは鳩の羽ばたき朝霞 和繁
プランターの土を返せば蜥蜴出で 明日香
春光に影を躍らす子等の声 博充
尾立てて横切る猫や春障子 みきお
エンジンの水音高く四月かな 藤井
東風匂ふ磯に響くや遠き波 博充
上流は古都や花散る背割堤 せいじ
鼻歌や酒場帰りの春の雨 えいいち
簡単に道案内の婆村のどか たか子
缶コーヒー片手に親子麦を踏む みきお
ビル屋上しろうお漁を一望す やよい
ローカル線駅埋め尽くす桜かな 山椒

2025年03月26日

春愁をそっと置き去るホ−ムかな そうけい
新縄で繕ふ垣根匂ひけり みきお
初蝶と別れてバスの客となり あひる
ものの芽や裏山道に色味増す 愛正
花の中進む列車や青き川 山椒
卓の明かり続けたきこと菜花和え そうけい
野の花に隠れてしまふ白き蝶 よし女
驚くや藪の切れ間を初蝶来 えいじ
桜咲く虫も歓喜の羽拡げ ぽんこ
啓蟄や活字ぼやけて瞼落つ 博充
鶴翼のごと橋ふたつ花堤 せいじ
黄砂降る平安京も夢うつつ もとこ
靴紐を結びなおして青きを踏む ふさこ
黄砂吹く西方浄土の彼方より 山椒
梅の咲く里山筵彼方此方に きよえ
畦道に揺るる土筆の背比べ 博充
老朽化聞かぬ日のなし春の闇 わたる
黄水仙河原に穢れなき気負ひ わかば
軒下に木の芽雀の上り下り 和繁
つんつんと草の芽伸びぬ我が留守中 千鶴
変わり種去年の鉢植へ芽吹きけり みきえ
春の鳥二羽づつ飛ぶも群の中 きよえ
連翹の光背めきし観世音 なつき
シラス丼磯のかほりと白さ食ぶ たか子
春陰や芝野只今養生中 えいじ
四つ手網沈めべた凪しろうお漁 やよい
伏流水やがて地上に黄水仙 藤井
片付けと読書で黄砂避けにけり こすもす
山荘の眼下に望む花堤 せいじ
雪濁り流れ膨らむ最上川 わたる
椿挿す一花の気禀自づから わかば
行きずりに老ひ犬労ぐる春の宵 むべ
ウィンドウの並ぶ新柄傘うらら えいいち
行儀よく脱がれし靴の春の泥 あひる
巣造りの長く垂れいる物は何 よし女
城趾の塚山覆う春の草 愛正
桟橋を大きく揺らす春怒涛 みきお
しらす丼食ぶる白魚まつり果て やよい
芽吹く木の遅速楽しむ朝かな 明日香
三又に樟のねじれる遍路道 なつき
深更のひと気なき辻朧かな むべ
ほろほろと音の聞こゆる花あしび 明日香
小さき群ここにあそこにクロッカス 和繁

2025年03月25日

俯くも蔓立ち上ぐる貝母かな 愛正
門前に明るく光り寒桜 山椒
ランドセル笑顔のメール曾孫六つ きよえ
畦道の土筆の雫光りけり 博充
いぬふぐり摘むやはらりと風さらふ 明日香
黄砂降る洗濯のばす口実に せいじ
貝母の花縺れ小祠に頭垂る 愛正
梅の枝大きく伐られバケツへと こすもす
春風や光ゆらめき舟揺るる 博充
黄沙来てオレンジ色の夕陽かな 明日香
生みくれし母へ食介春灯下 せいじ
春の宵速足真似て電車待ち みきえ
掬われて躍るしろうお透き通る やよい
日溜まりに一斉に咲くはこべかな むべ
馳走とは季のもの一つふきのたう わたる
青天に山茱萸の黄の模様置き もとこ
夕日背に暖簾くぐれば春の闇 えいいち
医師暖か退院につき年だから 董雨
佇めば桜謳うがごとく咲く えいじ
夏蜜柑たわわ吉田松陰生誕地 よし女
街あげて白魚に呼ぶ湯浅かな たか子
雪解田をそろり白鷺踏み渡る 和繁
足先を出しては入るる春炬燵 康子
掃き寄せて太刀塚囲ふ落椿 なつき
追い風に手品のごとく初蝶来 わたる
霾天をよぎる鴉の大き影 むべ
囀の北の彼方にからす鳴く 和繁
久かたの邂逅うらら姉卒寿 千鶴
下萌にハローキティのストラップ なつき
久々の歩数八千春の汗 こすもす
濯ぎ物全て部屋干し黄砂降る わかば
四つ手網白魚見せんと踊らさる たか子
春鴨の流さるる如波高し きよえ
つちふるや幌で覆ひしベビーカー 康子
追抜けばまた追抜かれ蝶とゆく あひる
行く道を白く染めあげ白木蓮 ぽんこ
あれほどに開くを待ちし梅花散る よし女
靄ならぬ烟る海峡黄砂降る わかば
春陰や松月未だ眠りをり えいじ
首を振りここへと招く黄水仙 山椒

2025年03月24日

倒木の様子見に来て初音かな 和繁
卵かけご飯に少し蕗の味噌 わたる
麗らかや猫うつろへる庭の石 博充
囀と入場無料ジャズライブ もとこ
茎立の葉牡丹のこす札所寺 なつき
手を止めて又耳すます初音かな こすもす
風光る湖水さざめき舟ゆらぐ 博充
白魚網よいしょよいしょと子ら揚ぐる やよい
梅東風ゃ古木の標揺らすなり せつ子
明日香川春を集めて歌うごと 明日香
病室にはばかりながら咳多し 董雨
霊場に隊列なりしチューリップ なつき
野豌豆緑野に赤き羽ひろげ むべ
首伸ばし狛犬も待つ花便り 山椒
食介のヘルパーふたり新社員 せいじ
白蓮のつぼみ青空突上げて よし女
蒼穹のかけら落ちたるいぬふぐり むべ
葉の間から初蝶いづる黄の花かと きよえ
春の水須弥山石を通り抜け 明日香
堤防を行けば鶯本調子 こすもす
曇天を詠吟しつつ春の雷 えいじ
たかいたかい赤子の笑う花の下 康子
うららかや埴輪の女人語りくる 千鶴
大試験終へて愈々無口な子 うつぎ
御三家の城の圧倒花は未だ たか子
囲わるる一茶の句碑や落松葉 せつ子
春筍のおむすびですと娘持ち来 きよえ
彼方此方に起こる山火事雨よ来よ みきえ
つくばいの水面を撫ずる柳の芽 愛正
水堀に沿ひし柳や芽ふけり 愛正
入院の部屋に一輪小ダリア 董雨
蕾では気づくことなし犬ふぐり わたる
ハッとして喜びの湧く初つばめ みきお
山茱萸の老いの一木ひろぐ花 わかば
春日和我が影を追ふ二歳かな みきお
大胆に刈る生垣や木の芽風 和繁
しろうおの三匹重し四つ手網 やよい
偕老に席譲られる彼岸詣 ぽんこ
大口が春眠封じ食介助 せいじ
日向水木解く穂先の花を愛づ わかば
彼岸会の露店の絵皿選びかな えいじ
橋渡る人みな煽られて春嵐 あひる
畑を打つ腰を伸ばせば初蝶すぐ よし女
青空を大きくなびく白木蓮 ほたる
主人なき庭にまだらなチューリップ ほたる
墓よりも孫は駄菓子屋春彼岸 康子
雛飾りまた一年の闇の中 山椒
労られをるは牧師や花粉症 あひる

2025年03月23日

梅寒し老の二三の歩きけり えいじ
春俳誌一行ごとに世界あり ほたる
春休み甘口カレー作りをり もとこ
霊石にもたれて仰ぐ白木蓮 なつき
春泥に触れず影行く猫の足 博充
道々のあまた木の芽の山路かな 愛正
銀鼠の光りを放つ芒かな みきお
潮引きて好きと書く子ら磯遊び なつき
野遊びや母と草の名当てっこし 康子
この道は昔畦道つくづくし むべ
入院の長引き頭洗いたし 董雨
教会の扉に風のあたたかき 和繁
古街の店先並ぶ雛飾り 山椒
白壁や塀より落つる桃の花 博充
去る人の多し来る人よりも春 わたる
大往生の友の母堂や春の憂し こすもす
鉢いっぱい一輪づつの黄水仙 きよえ
三月や午前も午後も集いあり わたる
春うらら小舟入港白波引き 董雨
明日香村歴史の舞台花を待つ 明日香
春夕日霞む瀬戸内波光る きよえ
くじ引きで姉妹に分けし雛あられ 山椒
挙げ雲雀青春謳歌するごとく 明日香
朝寝終へ息子の作る茶漬けの香 和繁
下ばかり見て歩く吾にいぬふぐり あひる
予約席一輪の花待ちぼうけ ふさこ
青空の映る水面の落椿 あひる
象牙色の白木蓮を眩しめり むべ
花の下陰から陰へ花筵 みきお
蕗味噌を炊きて好みの友尋ぬ わかば
春憂ふ母の歩幅の狭くなり 康子
ルピナスや倒れてもまた立ち直り せいじ
子と並び漕ぐふらここに風優し みきえ
青空に背伸びするごと桜の木 ぽんこ
花壇手入れ梅の花びら散り敷ける よし女
犬走り縁取る草芽の逞しさ 愛正
群がりて春の上野のテント市 千鶴
うらなしやたらの木の芽の何もなや ほたる
春の憂し訃報欄には友の母 こすもす
球春や流れよ来いと子ら連呼 せいじ
城址へと花を探るも未だ固く わかば
地に咲ける河津桜を家苞に えいじ
大騒ぎしても一人や花種まく よし女

2025年03月22日

春疾風波乗りのごと鳶の群 あひる
春うらら鬼怒の湯ざわり優しかな 千鶴
家々の秀枝にあそぶ雀の子 康子
沈丁の風吹く店に並び待つ むべ
線香をたっぷりと上げ春彼岸 山椒
見送りの門靄がかる春の宵 わかば
また一人長き息吐く春露天 わたる
草の芽や青き点描庭に見る 愛正
東風吹きて無垢のワイシャツ異動せし せつ子
お彼岸のことに明るき墓苑かな はく子
御三家の桜は未だ野面積み たか子
風押して走る幼な子風車 みきお
不意にあるひとかたまりの土筆かな 和繁
澄む空にさやかに響く雲雀かな 博充
動かざるこの足の下青き踏む えいいち
タンポポにそっと触る児の笑顔かな きよえ
犬ふぐり幼な顔なる六地蔵 なつき
切り株の触ればもろく陸墓の春 ぽんこ
息はまだ白くあれども月朧 えいじ
蕗味噌の苦さですすむ晩の酒 わたる
賽銭の積まれし地蔵春彼岸 山椒
合祀墓の献花山なる彼岸かな 愛正
初雷や新しきこと始めんと 明日香
春泥に草の香染むる素足かな 博充
春の畑造り物なるカラス立て きよえ
五六分と案内の遠し遍路道 なつき
妻起きて吾とあいさつ春嚔 えいじ
ワンちゃんは飼い主連れて花の道 たかを
八流派こぞりて春のいけばな展 こすもす
丁子の香闇に紛ふる事もなく わかば
ほがらかな顔揃ひけり春彼岸 よし女
春日和キャッチボールの調子良し みきえ
暁に梅の若枝あかあかと 和繁
幾たびも橋潜り来て水温む あひる
大干潟沖のタンカー引き寄せる みきお
日光や奥社の宝塔なごり雪 千鶴
遊覧船の白き水脈曳き瀬戸うらら せつ子
春雨の楠並木苑しづか もとこ
一本の轍を通す春の雪 よし女
濃く淡くむらさきに透け諸葛菜 むべ
車窓より河津桜の花堤 せいじ
管理費の納付澄ませし彼岸かな みきえ
春出水あふれる堰の魚の影 明日香
囀の包む団地の亭午かな 康子
名を知るは十指に満たず春の花展 こすもす
競馬場過ぎて車窓に花堤 せいじ

2025年03月21日




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