やまだみのる

季語の有無ではなく季感の有無

伝統俳句では、季語(あるいは季感)の有無について論じられることが多い。

使われた言葉が歳時記に載っていないから無季だと決めてかかる人がいるが、これは間違い。 一句の中に季感があるか否かを問うのが正しい俳論である。6月度の月例でTOPになった、きみこさんの句を見てみよう。

植え終へし棚田に風の生まれけり きみこ

これは、『田植えの終わった棚田に・・』と言う意味であることは瞭然です。

だから、「田植え」という季語は使っていないけれども、立派な田植えの句なのです。 つぎに阿波野青畝先生の「星祭り」の句を見てみよう。

老らくの手習を星御覧ぜよ 青畝

この句を、「七夕」、「星祭り」の句だと気のつかれた方は合格です。

短冊に願い事を書いて、七夕の笹にくくるんですよね。青畝先生ならではの御句で誰でも真似を出来るというものではないが、こうした季感の表現もあることを覚えておくと、俳句はますます奥の深い楽しい世界となる。

(2002年7月1日)