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2024年6月30日

園丁の迷彩服や草を刈る なつき
汗激ち落ちて浄書のやり直し せいじ
紫陽花の雪崩れて谷を埋め尽くす せいじ
風鈴が賑やかしたる山のカフェ あひる
昨夜の雨化粧新たな七変化 かかし
薫風に英字の絵馬の軽快音 ぽんこ
野良猫の日覆の風に微睡みぬ えいじ
門前の朝顔の苗ご自由に よう子
堂涼し天女舞ひたる欄間かな なつき
父母を思ひて淋し蛍の夜 わかば
野に咲ける花に羽音の蜜蜂来 えいじ
廃線のケーブルの渓梅雨深し よう子
ビル庭園一角占める青田波 かかし
コンテナの野積みの山にさみだるる みのる
経木浮かす先祖供養の涼しさよ ぽんこ
青梅雨や賽銭湿る仏石跡 ぽんこ
山あぢさゐ供花に穴弘法の前 なつき
朝焼に紅の揮毫や雲の帯 えいじ
梅雨空に相輪刺さる五重塔 ぽんこ
ふと風のやみて浮葉のあとしざり みのる
スコップの父子団地の溝浚へ よう子
母の日の母に孫から肖像画 みのる
回収の缶ばら撒かる音涼し えいじ
青芝に立ち紺碧の潮の色 わかば
圧力釜憤怒の湯気や梅雨厨 みのる
梅雨晴間干し物溢る合宿所 かかし
水槽の見ぬ間に殖ゆる目高かな わかば
半夏生あまねく付けし花穂ひとつ あひる
汗拭ひ日々五千歩のリハビリを かかし
日矢二三射して一服梅雨の雲 えいじ
歩の竦む雲厚き夜や五月闇 わかば
放射状に糸張る池の錦鯉 ぽんこ
小流れが紫陽花園を二タ分けす せいじ
木の階に梅雨茸白し穴弘法 なつき
鉢巻に汗を吸はせて墨書せり せいじ
老鶯やいづこ聞き耳立ち止まる よう子
新旧の紫陽花園をつなぐ橋 せいじ
好物の茄子漬父に途中下車 よう子
卒寿翁子らに写メール青田波 かかし
梅天に凝る白煙や溶鉱炉 みのる
早朝に踏む青芝や清々し わかば
メリヤス屋の口上に買ふ汗拭ひ なつき
滝のごとなだれて栗の花穂かな あひる

2024年5月31日

藤棚に忘れ水筒侘し気に ぽんこ
青蔦を鎧ひしままに立枯るる みのる
緑蔭にキャッチボールの受け損ね ぽんこ
昨夜の雨含み艶増す薔薇の花 わかば
庭に変身の休耕田の夏野菜 こすもす
葉柳や亀の甲羅にタッチする あひる
触覚のごと蔓遊ぶ薔薇アーチ みのる
緑陰に牧師説きたる天の国 むべ
青嵐飛び出し坊や起こす子ら かかし
池涼しあぶくと見しは亀の息 せいじ
行く川の流れを見遣る花茨 かえる
読み聞かせ児ら頬杖や新樹光 よう子
靴の列日溜りの蛇苺揺る よう子
五月雨や一日見る将に徹す こすもす
溌溂に少年聖歌青葉風 えいじ
言ふことをきかぬ男の児の水遊び せいじ
心地よき潮風受くる競渡かな わかば
夏の霧畑仕事の影絵めく かえる
水鉄砲わざと濡れゆく男の子 ぽんこ
ままごとの跡に散らばる鼓草 かえる
緑さす墓碑に再会約束す むべ
急直下急旋回の夏燕 かかし
電柱の根方を包囲地獄蕎麦 あひる
キャンバスに赤が氾濫薔薇描く みのる
をさなごの去れば雀の水あそび あひる
父母と過ごせし町や桐の花 わかば
青葉若葉解放されたわんぱく児 ぽんこ
クローバー編みつ待ちたる納骨式 むべ
みほとりの整理をかねて更衣 わかば
ペーロンの勝組となる櫂捌き わかば
葱坊主撒かれ肥やしとなりにけり かえる
小流れの岩がとどめし杜鵑花かな あひる
雨に濡れ膨らむやうに枇杷色む えいじ
サンダルは嫌とむづかる跣足の児 せいじ
小手毬の深きところに雀ゐて かえる
遠目なる樗の花の淡さかな みのる
青葉風歌声の響くサイトかな えいじ
空豆もここにいるよと上向きて こすもす
緑陰の仙人めきし気功翁 あひる
振り回すライトセーバー裸の児 せいじ
雨降つて休むことなし親燕 えいじ
ハレルヤと歌も聴こへる森涼し えいじ
結葉の明るき墓地に友眠る むべ
昨夜雨に色鮮やかや薔薇アーチ こすもす
玉葱畑ま白き首の傾ぐ列 よう子
もう一年頑張る卒寿田植笠 かかし
若葉雨傘をくるりと下校生 かかし
七千歩ほどを気ままに避暑散歩 せいじ
下校児の甲高い声夏に入る よう子
高空にさやぎやまずよ花樗 みのる
薫風や手作りの庭英国風 こすもす
銭湯の富士の壁画やラムネ飲む かかし
白百合の花粉こぼるる遺影かな むべ
保健師の書類重きや夏に入る よう子
捕虫網振るたび逃がす三歳児 ぽんこ

2024年4月30日

なに植えよ苗棚あふる夏野菜 よう子
街路樹は新芽立つ茶や宇治をゆく あひる
うねりゆく若葉の宇治の流れかな あひる
途切れなく笑い声して飛花落花 えいじ
鐘楼の形に刈り込む青葉寺 なつき
一本の香る松月桜かな えいじ
木々を抜け澄み渡る鶯の声 えいいち
藤棚やお喋り止まぬ婆二人 ぽんこ
著莪の花ヘアピンカーブ休憩す かかし
参道にみな浴びてゆく新茶の香 あひる
金色の大阪城や花は葉に かかし
鳩の群風にさ揺らぐ藤の花 ぽんこ
車道いま躑躅に躑躅咲きつらね むべ
阿字池のさざなみと和す藤の影 せいじ
阿字池の洲浜を撫づる春の波 せいじ
海の綺羅飲み干すやうにソーダ水 なつき
終着駅迎へくれしは軒燕 あひる
森林のこぼれ日眩し薄暑光 ぽんこ
若葉雨木琴のごと車窓打つ むべ
海おぼろ島影浮かぶカフェの玻璃 なつき
葉桜や轍の跡のにわたずみ ぽんこ
新緑の池面に鯉の波紋かな あひる
山吹の黄に染まりたる石畳 むべ
ジャグリングする男の子あり春の土手 せいじ
車座の泰語にぎやか花の下 えいじ
魚鼓一打写経の墨に若葉風 かかし
波止の灯の等間隔に朧かな みのる
水満ちて燕旋回千枚田 かかし
藤の香の溢るる宮や能舞台 わかば
戴くは今期三度目やタケノコ こすもす
咲き満ちてほぐれば大輪緋の牡丹 よう子
太公望竿を一閃風光る みのる
接ぎ木苗選びて籠に夏野菜 よう子
夕朧教会の鐘風にのり わかば
あめんぼう風に促されて進む みのる
花筏大瀞を埋めつくしたる みのる
一雨にひらめく花弁夏近し えいいち
灰汁抜きはスマホで調べ蕗ご飯 こすもす
永き日の貫主なかなか俳句通 みのる
肩寄せるふたり見下ろす花満開 えいじ
一面の青葦原の匂ひ立つ えいいち
茶畑のこれみよがしに隣る駅 せいじ
幽玄と夜に浮かぶ蒲公英の絮 えいいち
豆飯の莢を剥きつつ妣のこと わかば
人も虫も甘き香の中藤白し なつき
頬撫づる風の温みや春惜しむ えいいち
新緑を抱くダム湖の赤い橋 よう子
通勤の燕も通ふ無人駅 よう子
山菜は戴きしものばかりなり こすもす
目力の阿吽の仁王若葉風 かかし
万葉の歌に詩心藤の苑 わかば
呼び鈴の藤房隠れ手探りす むべ
老朽のレンガ造りや苔茂る ぽんこ
末垂るる木香薔薇の万朶かな むべ
何もかも目覚める勢春の山 わかば
どすこいと孫の突つ張る花の下 えいじ
反橋を渡りて宇治の春惜しむ せいじ
赤髪の托鉢笠や青葉雨 なつき

2024年3月31日

背伸びたとバスケに励む春休み よう子
畦を塗る今年限りの卒寿翁 かかし
高齢のボランティアどち若布うどん こすもす
紫木蓮解き初む蕾天を指す わかば
春時雨朽ちし根株に深き洞 むべ
特急のよぎるホームに風光る せいじ
花すみれ歪む古刹の石段に 康子
マカロンの箱に詰めたり染卵 なつき
潮の香の心地よきかな春の浜 こすもす
染み残す買い出しリュック春時雨 よう子
ブナ林足許明かし射干の花 ぽんこ
湖霞茫漠となる伊吹山 隆松
かぎろひに頬染めてゐる春の雲 えいじ
大甍春日に反らす大伽藍 みのる
あんぱんに老母の機嫌や春うらら あひる
つぼ探る鍼灸師の手あたたかし せいじ
真青なる空を染めんと大ミモザ 康子
機上の師も眺むるらむ朧月 むべ
鶯に口笛吹きて下校生 かかし
どの軒の樋もた走る雪解水 よう子
機窓いま大東京の灯のおぼろ みのる
花冷や夫に日本酒供へけり こすもす
うつくしき開き初めたる白椿 えいじ
春寒し開花予想のずれ込みぬ せいじ
催花雨にうながされゆく並木道 ぽんこ
卒業の乙女ら浜にジャンプせり なつき
銭湯の暖簾おろすや春寒し ぽんこ
のどけしや犬の散歩に渡し船 かかし
白木蓮の花弁ぽたりと鵯の嘴 えいいち
犬呼べば春泥蹴つて横つ飛び えいいち
渋滞の花のトンネル朱塗橋 なつき
紅椿燃ゆる雑木の幹隠れ 康子
落としたる洗濯ばさみクロッカス よう子
春眠やディサービスをおサボりす あひる
紫木蓮暮色にくすむ山抱ふ むべ
月朧草書の文字で写経せん かかし
遅霜や赤茶け杉に差す朝日 隆松
子らの描く絵入りの由緒遍路寺 なつき
雫うけ小さき木の芽は玉の中 えいいち
牧師焼く種なしパンや受難節 あひる
球春やラジオが友と鍼灸師 せいじ
念願を貫き通し入学す わかば
切株の年輪へ射す春日かな 康子
人の居ぬホームのベンチ春日占む せいじ
山越への鈴新しき遍路杖 なつき
小雨降る樹冠鈴なる春の鳥 えいじ
雨の日の著莪はこくりと俯けり えいじ
本堂の花頭窓射す若葉影 むべ
朝霞里へ薄日の谷の底 隆松
住人の変われど白木蓮の無垢 あひる
無番地の宿は砂浜春の波 こすもす
夜半の声聞けば烏の春の鳴き えいいち
久方に日光浴すたんぽぽ黄 ぽんこ
疎まるる杉の花粉の烟りかな わかば
俥夫はいま胸突古都の花の坂 みのる
春憂う樹も日競うとガイドいへり えいじ
木蓮や棚びく雲の山の寺 わかば
春嵐にざわめき軋む松並木 隆松
雨に透く日向水木の仄あかり えいいち
由緒ある鳥居にかかる初桜 ぽんこ
春の野に乳母車の児哺乳瓶 かかし
山茱萸の花けぶる谷戸小糠雨 むべ
建仁寺垣をこぼれて落椿 みのる
楼門へ翳す萌黄の若葉かな みのる
大寺の山門翳す若葉影 康子
書家の昼筆干す庭に麦青む よう子
ニ十年着たるジャケツを知る人と あひる
包みゐし勢をはじく辛夷かな わかば

2024年2月29日

梅の丘目路に淀川はるかなり はく子
改修成る寺の大梁梅日和 よう子
春寒や片頬欠けし狛狐 素秀
若僧のまだ生臭し梅の寺 素秀
春寒し税務署前の花壇見る 隆松
紅梅を池辺に散らし鷺一羽 素秀
ゆるやかな磴百段の梅の宮 はく子
大絵馬に影あはあはと枝垂梅 なつき
ゆるゆると杖を頼りの梅見坂 素秀
春寒や通ひ続ける鍼灸院 満天
梅の花紅白にある良き遅速 わかば
春寒しメールして置く届け物 よう子
春寒や遅き変換パソコンに 満天
梅真白仏頭祀る無住寺 なつき
集ひては持病の話春寒し 満天
三世代手編み帽子で観梅す かかし
梅東風や水掛け牛の背乾く なつき
錆びし缶梅一輪の無人駅 かかし
春寒し駅舎のの字の轍かな よう子
梅東風や伊吹の裾を流れ雲 隆松
梅の里旧街道の道祖神 かかし
堂屋根のしなる古寺の梅白し なつき
黒タイを緩め終電春寒し かかし
又一つ更地となりて春寒し 満天
点滴を終へて窓辺の梅日和 かかし
祈願後の女梅見る天神社 隆松
探梅や母の手を引き背を押し なつき
はらからの相次ぐ葬や春寒し はく子
卒寿刀自共に詣でて梅の宮 はく子
春寒に声も震ふや明烏 隆松
白梅に募る追慕のあらたなる わかば
本堂の天井の闇春寒し よう子
供花のなき力士の墓や春寒し よう子
紅白の彩香を違へ梅の花 わかば
春寒や酸素足るるも脈が飛ぶ 隆松
春寒し騒ぐ舞子の松林 わかば
春寒し讃岐うどんを啜りこむ 素秀
寂しそうめじろ遊ばぬ宮の梅 はく子
春寒や鴬張りの長廊下 わかば
青空に白のとけいる梅日和 満天

2024年2月22日

父よりも母が達人独楽まわし こすもす
独楽廻す猫のパンチが二度三度 かかし
妹を泣かせて止まる暴れ独楽 なつき
大寒の日差しを通すサンルーム 素秀
大寒の風を聞きつつ夜の熱 素秀
大寒の月の光を庭隅へ 満天
大寒や丸まる背ナに孫の声 かかし
大寒の空に高舞ふ鳶かな わかば
老人会折紙独楽の作り方 こすもす
紐離れ独楽空中に廻りけり 素秀
大寒の聞かぬふりする風の音 素秀
大寒や百段駆ける部活生 かかし
大寒の柏手響く神社かな 満天
大寒の鉢に珈琲かす撒けり なつき
大寒の棺兄は花に埋もる はく子
大寒の朝のみそ汁具沢山 なつき
喧嘩独楽手垢の紐の宙を舞ふ よう子
大寒の瑞枝に尖る蕾かな わかば
大寒の荒れて高濤打つ巌 わかば
大寒を駈ける短パン元気つ子 はく子
紐甘し右手へ左手へよろけ独楽 隆松
大寒の湯気ほのぼのと厨朝 満天
大寒や診療所の急階段 よう子
大寒や押しくらの如猿の群れ かかし
独楽眠る方舟めける玩具箱 素秀
大寒や雲一片のビルの空 満天
大寒やコーヒーの木にうす埃 なつき
大寒やトートバックの重さ増す よう子
大寒をマーガレットは咲き満つる はく子
臥せし児の枕辺に置く木の実独楽 わかば
大寒の群で飛び立つ雀どち 満天
大寒や顔を洗うに身構えぬ 隆松
大寒や影の連なる歩道橋 なつき
大寒やモノトーンなる里の山 かかし
くるりんと逆立ちしたる独楽をかし はく子
大寒や朝練の子の意気高し よう子
大寒や暦通りの雪警報 こすもす
伊吹への残照淡し寒がはり 隆松
手の甲へしっぺの如く独楽の紐 隆松
独楽回し女子遠巻きに囃しをり よう子
飾り独楽いつの間にかの土の上 わかば
紐を巻くことから伝授独楽回し はく子
大寒やホールインワン久々に こすもす

2024年2月22日

父よりも母が達人独楽まわし こすもす
独楽廻す猫のパンチが二度三度 かかし
妹を泣かせて止まる暴れ独楽 なつき
大寒の日差しを通すサンルーム 素秀
大寒の風を聞きつつ夜の熱 素秀
大寒の月の光を庭隅へ 満天
大寒や丸まる背ナに孫の声 かかし
大寒の空に高舞ふ鳶かな わかば
老人会折紙独楽の作り方 こすもす
紐離れ独楽空中に廻りけり 素秀
大寒の聞かぬふりする風の音 素秀
大寒や百段駆ける部活生 かかし
大寒の柏手響く神社かな 満天
大寒の鉢に珈琲かす撒けり なつき
大寒の棺兄は花に埋もる はく子
大寒の朝のみそ汁具沢山 なつき
喧嘩独楽手垢の紐の宙を舞ふ よう子
大寒の瑞枝に尖る蕾かな わかば
大寒の荒れて高濤打つ巌 わかば
大寒を駈ける短パン元気つ子 はく子
紐甘し右手へ左手へよろけ独楽 隆松
大寒の湯気ほのぼのと厨朝 満天
大寒や診療所の急階段 よう子
大寒や押しくらの如猿の群れ かかし
独楽眠る方舟めける玩具箱 素秀
大寒や雲一片のビルの空 満天
大寒やコーヒーの木にうす埃 なつき
大寒やトートバックの重さ増す よう子
大寒をマーガレットは咲き満つる はく子
臥せし児の枕辺に置く木の実独楽 わかば
大寒の群で飛び立つ雀どち 満天
大寒や顔を洗うに身構えぬ 隆松
大寒や影の連なる歩道橋 なつき
大寒やモノトーンなる里の山 かかし
くるりんと逆立ちしたる独楽をかし はく子
大寒や朝練の子の意気高し よう子
大寒や暦通りの雪警報 こすもす
伊吹への残照淡し寒がはり 隆松
手の甲へしっぺの如く独楽の紐 隆松
独楽回し女子遠巻きに囃しをり よう子
飾り独楽いつの間にかの土の上 わかば
紐を巻くことから伝授独楽回し はく子
大寒やホールインワン久々に こすもす

2023年12月31日

冬ざるる高架となりし廃線路 なつき
暖炉前耳の垂れゐるうさぎ二羽 素秀
ストーブを囲み話の弾みけり 満天
冬ざれや線路の脇の一軒家 こすもす
吊り橋に二の足踏むや冬ざれし かかし
歩道橋風の尖りて冬ざるる 満天
陸奥のだるまストーブ懐かしき わかば
海峡の船影見えず冬ざるる わかば
日の燦とある日は暖房消しませう はく子
冬ざれや廃線跡のケーブルカー かかし
ストーブの上に黒豆ふつふつと はく子
冬ざれや空き地そのまま来年も たか子
冬ざれやとみに増したるもの忘れ はく子
足元に豆ストーブの美容院 なつき
夫の癖忘れ行く日の冬ざるる たか子
するめ焼くストーブ列車山峡へ たか子
ストーブに旅装それぞれ商人宿 素秀
ぽちぽちと真夜に買物暖炉燃ゆ なつき
山小屋の薪整然とうず高し たか子
冬ざれや振り向く猫と目の合いぬ よう子
ストーブの窓に確かむ焼き林檎 うつぎ
冬ざれや川筋の葦風に鳴る うつぎ
恙無き一日に安堵煖炉燃ゆ かかし
ストーブの温めてゐる写経堂 なおこ
ストーブも無くて火鉢に暖取りし たか子
遠山の見慣れし景も冬ざるる 満天
冬ざれや医院建つてふ札傾ぎ なつき
淀は滔々冬ざれの河川敷 はく子
冬ざれの始発列車の灯しかな 小袖
ストーブを背に居眠りの電話番 よう子
ストーブに濡れた手袋靴を乾す わかば
酒蔵の道冬ざれの波止場まで よう子
冬ざれの河川敷行く水際まで はく子
ストーブのワイングラスに乾杯す 満天
峠越へ冬ざる村の野菜買ふ よう子
三十年動くストーブ娘は母に こすもす
海峡の逆波立ちて冬ざるる うつぎ
冬ざるる軽トラの菜の売れ残り よう子
鈍色の雲灰色の海冬ざるる わかば
父の椅子今も暖炉の定位置に うつぎ
風強きからぶ小川の冬ざるる わかば
手かざせば赤き輪郭暖炉の火 素秀
冬ざるる転がる空き缶音高し 満天
竹箒払ふ古墳の冬ざるる 素秀
冬ざれや卒寿と古希の親子かな こすもす
ストーブを燃やし喧嘩の夫待てり なつき
白うさぎ褪せたる絵馬の冬ざるる 素秀
冬ざれやモノトーンなる過疎の村 かかし
現役のストーブ九十一年製 こすもす
冬ざれや煌々と月あるばかり うつぎ
冬ざれにダークカラーの帰宅びと なおこ
烏賊の香の達磨ストーブ北の果て かかし

2023年11月30日

白菜の売らるる白き尻並べ うつぎ
白菜を刻み浅漬け一人分 はく子
雅楽の音低く流れて神の留守 小袖
神の留守無断駐車のお散歩カー もとこ
高垣の白菜畑杣の家 よう子
白菜の漬物石は子に重し わかば
平和へと行脚されたし神の旅 たか子
乱切りの白菜の音ハミングす かかし
箒目につけし足跡神の留守 なつき
神の留守子はポケットに石詰めて なつき
定番の白菜鍋やみんな好き こすもす
白菜の日に輝きて河川畑 素秀
頂きて白菜一つの重さかな はく子
柏手も鈴も大きく神の留守 はく子
くぐもれる土鳩の声や神の留守 かかし
奉行から合図待ちたる山白菜 もとこ
湯殿山流れを止めぬ神の留守 わかば
渓谷の倒木真白神の留守 よう子
行儀良く白菜鍋のミルフィーユ たか子
神の留守橋に立つ吾のうすき影 なつき
大木の伐り倒しする神の留守 もとこ
箒目の美しき庭神の留守 満天
どの木木も鳥語賑やか神の留守 満天
欄干無き橋渡りませ神の旅 よう子
神の留守広前貸して古本市 満天
煮あがれば白菜の嵩これだけに たか子
白菜は八分の一ひとり鍋 こすもす
刃を入れて大白菜をサクッと切る 満天
五キロ超へ白菜に笑む老農夫 かかし
小流れに白菜洗ふ泥の色 素秀
白菜を包む千秋楽の新聞 こすもす
外海へ鳶遠ざかる神の留守 素秀
白菜の山崩れさう道の駅 うつぎ
妣漬けし白菜の味忘られず わかば
白菜は四分割と決めて買う たか子
寺参りばかり三箇所神の留守 こすもす
白菜の中の青虫丸まりて よう子
白菜や何はなくとも存在し もとこ
にぎやかに白菜を切る異国人 素秀
氏神の灯りて空つぽ神の留守 うつぎ
手づからの白菜キムチ届く頃 うつぎ
白菜の何しても合う甘味かな たか子
緩く巻く白菜を手に買ひあぐる なつき
白菜の漬物石のオブジェ化す もとこ
氏子らは合祀の話神の留守 素秀
よちよち歩きの十ヶ月の子神の留守 こすもす
白菜の粗塩舐めて漬け始む よう子
神留守の今日も人見ず氏神社 はく子
御手洗に小雀遊ぶ神の留守 満天
御手洗の水音澄める神の留守 うつぎ
神留守の誰彼詣で七五三 はく子
傘寿祝ぐ絵馬の桧の香や神の留守 なつき
白菜を漬けて水あぐ頃となり わかば
生産者名の白菜道の駅 かかし
不揃ひの白菜積みて無人店 かかし
力石でんとかまへて神の留守 わかば

2023年10月31日

時々は雨に邪魔され後の月 こすもす
後の月火の見櫓の構えるへ はく子
末枯の土手の日溜りもぐら塚 なつき
愛でる声まんまるまるく十三夜 小袖
末枯や高架なるてふ廃線路 なつき
山頂の灯の呟ける十三夜 うつぎ
門に立ち仰ぐみ空や十三夜 わかば
すれ違ふケーブル軋む末枯れ山 よう子
末枯や人差し指の油染み 素秀
再検の結果に安堵後の月 かかし
末枯やとどきはせぬも空真澄 素秀
山の端にゆったり出でし十三夜 満天
山河みな息を止めたる十三夜 うつぎ
研修を終へ報告書十三夜 よう子
漁火の沖に光りて後の月 わかば
熱の子を胸に抱きて十三夜 なつき
末枯や夕潮川辺浮かべをり わかば
末枯の先ず始まりし鉢ひとつ あひる
膝裏を風立ち上ぐる十三夜 素秀
嵐去る空に潤みし後の月 あひる
恙なくひと日終えるや後の月 満天
末枯てなほ隆々の大欅 うつぎ
釣狐月見て啼くや十三夜 素秀
夕づきて鴨川堤末枯るる はく子
手で払ふ野の末枯の軽さかな 小袖
芝居はね電車の窓の十三夜 よう子
我影と連れ立ちて行く十三夜 満天
引っ越しの友の家跡末枯るる なつき
暮れなずむ山の端出でし後の月 小袖
コンビニに振り込み済ませ十三夜 小袖
外に待たん名残の月を見るまでは せいじ
旅の途の湖上に孤高後の月 はく子



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