静の句材、動の句材

やまだみのる

作句の壺シリーズ

吟行のヒントを書いてみましょう。

吟行で俳句の題材を探すとき、花や樹木、景色、建物などの静の句材ではなく、 昆虫、動物、乗物、人間など動きのあるものを対象にするほうが格段に作りやすいです。

それは、動きのあるほうが変化や感動を捉えやすいからですね。 自然を相手にするときでも、滝とか川、海など、 また人工的なものでは噴水やプール、風土的な祭り、踊りなど 全て動きのあるもののほうが句に詠みやすいのです。

「なるほど」と納得された方も多いと思います。 静の句材をそのまま写生して句に詠もうとすると説明や報告になって失敗するケースが多いです。 これはベテランの人でも同じで、特に大景を詠むのは難しいといわれています。

では、美しい静の景色、例えば高山の頂きからの絶景などを詠みたい時はどうすればよいのでしょう。 日の出とか入日、雲の変化などを上手に捉えれば立体的な大景を詠むことが出来ます。 麓の里の家から立ち上る煙の情景などを詠むのも面白いかもしれませんね。

つまり、静の句材を読むときの壺はそのフレームの中に動の材料を取り合わせるのです。 風、雨、雲、鳥、船、車、人など探せば必ずあると思います。 大きな静のフレームの中にこれら動的な因子の働きによって生じる瞬間の変化を発見するのです。

大樹の梢に鳥が止まっていて身じろがないでじっとしているのは句になりませんが、 この鳥が飛び翔てば、その瞬間は状況に応じて句になりますね。 鳥が飛び立つまで待てない人には飛び立つ瞬間には出会えません。 つまり、変化や感動を発見するためには忍耐が必要なのです。

時間をかけて、深く観察する。 これは、日々の訓練によって身につくのです。

(2001年7月3日)

 
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