みのる選:2023年度

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2023年12月17日

俳句作者
雪吊の波打つてをる水鏡かえる
紅葉散る御寺の庭の静寂かなうつぎ
象嵌のごと木の実敷く石畳むべ
オリオンもスイングしたる野外フェス素秀
石仏の苔の裳裾に散紅葉うつぎ
橋半ばのぞく底ひの渓紅葉ぽんこ
苔庭にしるき網目や枯木影康子
箒目のさざ波に散る庭紅葉あひる
湧水の岩場を綴る石蕗の花康子
茶寮なる玻璃戸に歪む紅葉影よう子
御寺なる名に負ふ庭の散紅葉せいじ
持ち帰り遺影に手向く散紅葉たか子
暖炉の火サルサ踊りをしてやまず素秀
愉しくてやがて寂しき忘年会わかば
おしやべりの止まぬ小春の吟行子澄子
ぼけ封じ詣で要らぬと日向ぼこもとこ
幾重にも枝さし交はす峪紅葉こすもす
湖涸れて島へ繋がる道現るる隆松
朱の欄に触れてかつ散る寺紅葉よう子
小柴垣囲ひの茶寮竹の春わかば
石仏の頬ゆるむやに冬日燦小袖

2023年11月12日

俳句作者
冬晴のハルカス浪速の摩天楼たか子
池塘行く綺羅の簪七五三うつぎ
散紅葉両手に掬ふ手水鉢康子
色変へぬ松の傾く池鏡ぽんこ
六文銭置かれし戦さ跡寒しもとこ
大公孫樹北の大地に黄落すむべ
天高し連理をなせる御神木康子
刀鍛冶の白足袋煤く鞴祭なつき
秋日影広げて鳰の水輪かな澄子
深秋の池塘に煙草吸ふ女うつぎ
案山子展子らの力作みな笑顔康子
友の手を杖に飛石池小春よう子
石臼を飛石と敷く庭小春せいじ
白樺の林にあそぶ黄葉影むべ
ロープウェイ海へなだるる紅葉山素秀
と見る間に霧中に失せし寒霞渓素秀
古井戸の蓋に嵩なす柿落葉かえる
振袖の大股歩き七五三あひる
手をつなぎ飛石渡る冬ぬくしもとこ
四肢のばし亀遊泳す池小春あひる

2023年10月15日

俳句作者
梧桐の実虫の卵にさも似たりうつぎ
汀子展めぐる遺品のみな清かわかば
酒蔵の天窓洩るる冬日差したか子
忠魂碑高し八千草籬とすよう子
色変へぬ松を要に苔の庭たか子
目に涼し汀子手縫ひといふドレス小袖
鬼貫の句碑に侍者めく曼殊沙華せいじ
いと小さき苔庭の花蝶もまたうつぎ
笹の葉の疾く流れゆく水の秋むべ
露しとどなりし関守石の縄せいじ
官兵衛の土牢何処ぞ昼の虫うつぎ
大樽の箍緩みなし新走りたか子
木洩れ日がシャツ模様なす小春かなむべ
背丈より高しと思ふ女郎花澄子
庭門の苔むす屋根に露光る康子
古城址の土塁を埋む蛍草せいじ
竹林の洩れ日を浴びる小春かな康子
苔庭のひろびろとして冬日燦むべ
積まれたる空らのトロ箱秋の蝿かえる
矢の如き魚影水澄めりけり澄子
添削の二重丸欲し椿寿忌ぽんこ
揺れ合ひて秋桜風におしやべりす素秀
池の面にとどまりがたし秋の雲澄子
頼山陽由来の柿とツーショットたか子
城跡の土塁をつづる千草かなぽんこ
飛石に蹲り見る苔の花わかば
高原の霧払ひをる大風車素秀

2023年10月15日

俳句作者
梧桐の実虫の卵に似たりけりうつぎ
汀子展めぐる遺品の文字さやかわかば
酒蔵の天窓を洩る冬日差したか子
忠魂碑高し裾野に猫じゃらしよう子
色変えぬ松を要に苔の庭たか子
目に涼し汀子手縫いといふドレス小袖
鬼貫の句碑に侍者めく曼殊沙華せいじ
いと小さき苔庭の花蝶もまたうつぎ
笹の葉の流るる疾さ水の秋むべ
朝露に濡れて関守石の縄せいじ
官兵衛の土牢は何処昼の虫うつぎ
大樽の箍緩みなく新走りたか子
木洩れ日がシャツ模様なす小春かなむべ
背丈より高しと思ふ女郎花澄子
庭門の苔むす屋根に露光る康子
古城址の土塁を埋む蛍草せいじ
竹林の洩れ日を浴びる小春かな康子
ひろびろと苔庭展け冬日燦むべ
魚市の空らのトロ箱秋の蝿かえる
矢の如き魚影水澄めりけり澄子
添削の二重丸欲し椿寿忌ぽんこ
揺れ合ひて秋桜風におしやべりす素秀
池の面にとどまりがたし秋の雲澄子
頼山陽由来の柿とツーショットたか子
城跡の土塁はいまし野路の秋ぽんこ
飛石に蹲り見る苔の花わかば
高原の霧払ひをる大風車素秀

2023年09月16日

俳句作者
竹林をめぐる葉擦れも秋の声むべ
海原の漣さして月の道素秀
虚子句碑の建つ山門は竹の秋ぽんこ
萩叢をぬつと出できし庭師かなよう子
子規句碑を囲む萩むら花盛りたか子
白糸のごと瀬落としの秋の水むべ
網代張る大天井や夏座敷もとこ
かなかなや廓跡なる石だたみもとこ
秋潮の藍深々と明石の門わかば
秋思憑く縁切り作法てふ札になつき

2023年08月13日

俳句作者
踊子の蹴出しにのぞく鴇羽色素秀
さざ波に片寄せられし未草せいじ
そよ風の涼し白樺林縫ひむべ
灼けし碑に縷々と由緒や一揆寺なつき
天井の煤竹涼し合掌屋隆松
瀬の楽の序破急に沿ふ滝の道わかば
見はるかす唐黍畑に風渡るむべ
佇めば左右より鯉や橋涼しぽんこ
羽搏きのごと風いなす蓮広葉あひる

2023年07月15日

俳句作者
満面に湛ふ広池夏つばめなつき
力石転がつてをる大暑かなうつぎ
宮涼し双子ならびに力石せいじ
しろしろと粉吹く節や今年竹むべ
四阿の四囲に展けて芝涼しわかば
四阿の隅に営む蟻の国ぽんこ
境内に梅雨傘干して社家の妻うつぎ
水滴の光る草食む鹿の子かなわかば
夏の日を避けるすべなし力石ぽんこ
鯉涼し池に張り出す能舞台せいじ
空堀を跨ぐ木橋や風涼しせいじ
園丁の目こぼしならめ捻花よう子
花合歓の大樹の陰に道祖神隆松
句碑めぐる表参道木下闇こすもす
せせらぎに足を浸せば汗引きぬかえる

2023年06月11日

俳句作者
高鳴れる水音のほとり半夏生わかば
花蜘蛛を侍らしてをる額の花せいじ
ひたひたと苔を潤す清水かなかえる
湧水の滲みし石の苔涼しむべ
ひと跨ぎほどのせせらぎ蛍生ふ澄子
皐月波船首にしぶくタグボート素秀
紫陽花に触れむと杖を持ち直しなつき
半夏生朽ちし水車を虜とすたか子
農道が二分けにする麦の秋こすもす
緑蔭の席から埋まるカフェテラスかえる

2023年05月13日

俳句作者
御詠歌衆甘茶で喉を潤せりなつき
湧き水にあそぶ春日を一掬すむべ
信濃路を白く彩る花林檎かえる
咲き揃ふ立浪草の波がしらむべ
神名備の出自よろしき今年竹うつぎ
里山の風をいなして竹の秋たか子
獣めく皮脱ぎ捨てて今年竹あひる
青嵐巫女の緋袴膨らませもとこ
祈願絵馬かち合ふ音や青嵐ぽんこ
大杉も折れよと荒ぶ青嵐あひる
くるくるとえご散る風の山路かなむべ
入れ代はり立ち代はりして薔薇の虻素秀
竹林の日の斑に遊ぶ雉の子うつぎ
山頂は髪の逆立つ青嵐ぽんこ

2023年04月16日

俳句作者
川下る舟の飛沫や渓若葉かかし
陣跡の日溜りに春惜しみけりたか子
風船をひねり忽ち犬つくるかえる
大の字の火床に古都の春惜しむせいじ
大亀のぬつと首出す春の水あひる
お札所へ落花の磴をのぼりけり隆松
囀や陣を模したる古戦場ぽんこ
アベノハルカスが背伸びす春の空たか子
野ざらしの五百羅漢に春疾風こすもす
慰霊の碑動物園の春陰にわかば
花は葉にパンダの檻は空つぽにわかば
参磴を駆け降りてくる樟落葉素秀
蒼天へ膨らむごとく山笑ふぽんこ

2023年03月12日

俳句作者
雛の家座敷童子も住むならむ澄子
中庭へ開け放ちたる雛の間よう子
香焚きて雛を飾れり骨董屋なつき
飛石を渡る親子や賀茂の春ぽんこ
誰が吸ふや雛の調度に煙草盆うつぎ
土雛筆整えて目を描けりなつき
雛の舟風にうながされて進むせいじ
御殿雛御簾を上げませ朝日差すうつぎ
庭からも見物人や雛屋敷こすもす
をさな等も肩を並べて雛流しあひる
洩れ日射す綺羅の流れに落椿わかば
豆雛小さな宴広げをり小袖

2023年02月25日

俳句作者
眺望へあと一段や梅の丘よう子
瑞枝いま雫と含む枝垂梅わかば
石室を出づるや否や風花すせいじ
甲山烟らしてをる宮焚火なおこ
風花の乱舞に自若大伽藍わかば
風葬を諾ふやうに蓮骸うつぎ
また一人来ては侍りし涅槃絵図小袖
梅固し人語鳥語もなき山路もとこ
梅の丘へと御手翳す大観音ぽんこ
畑のどかウインカー無きトラクターよう子
天恵か屈むなぞえに蕗の薹こすもす
香煙に風花の舞ふ札所かなせいじ
饅頭に合格印梅の茶屋なつき
涅槃図の末席に吾も一衆生せいじ
梅の茶屋梅の刺繍の小座布団なつき
金色の褪せぬ寝釈迦に堂暗し小袖
歯ぎしりに嘆く鬼あり涅槃絵図もとこ
水引の掛かる大根や閻魔祭うつぎ