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寒禽の藪に呼びあふ古墳山
起伏野のごとたたなづく紅葉山
いまし火の坩堝といはむ庭紅葉
怪獣の凍てしごと立つ椋大樹
冬帝へ巨幹をよじる椋大樹
舟宿の雁木跡鎖す木戸寒し
資料館寒し千両箱は似非
たとふれば花柊は淑女の香
極月の路地へはみだす小商ひ
2024年12月
海凪ぎて土竜叩きに鯔の飛ぶ
月の須磨武者の如くに松の影
閉づと聞く老舗の洩らす秋灯
墨痕のかすれ涼しき大書かな
ひぐらしや杉の奈落に一末社
乱帙をわが城とせる昼寝かな
搾りたて牛乳避暑の牧至福
露の玉東雲あかり宿しけり
曼珠沙華山田錦の里埋む
2024年9月
ゆき悩む流灯を手で促しぬ
流灯の帯となりゆく遅速かな
水替へて吐息新たや水中花
鎮魂の海へ散華す大花火
白靴をぬぎて渚に遊びけり
時刻表枕に昼寝無人駅
朝蝉の調べは秋やデボーション
藍涼し真白き帯を胸高に
端切れめく水着の値札疑ひぬ
2024年8月
連理して大緑陰をなせりけり
透明度百パーセント瀞涼し
目に涼し宇治の早瀬よ水音また
川風が攫ひし宙の糸とんぼ
青海波なす段丘の濃紫陽花
風涼し老舗暖簾の字の合はず
岩清水ひきて蹲踞奏でしむ
一条の日の輪のをどる泉かな
蓮の池車軸の雨に寧からず
5月〜7月
竹秋に透けてぽつんと一山家
草ぐさに憂さ癒やさるる春山路
岩窪の祠ほとけは銀竜草
熊谷草咲くと秘境を一万歩
囀の天降りやまずよ杉美林
緑雨なる深山の道は傘要らず
岩噛んで瀬しぶきに耐ふ瑠璃蜻蛉
沢蟹の爪見えてをる岩間かな
代田水満ちて蛙の唄ひだす
5月6日能勢グループの案内で能勢初谷渓谷を吟行しました。
閼伽の水溢れ春光こぼしけり
おはじきのごと日溜まりへ寒雀
庭雀冬日失せればゐずなんぬ
水郷に刎ねる日差しや柳の芽
春水の底より吐息主は誰
口づけのごと寒紅の酒を利く
寒づくり淡路瓦の簷連ね
路地懐かし餅の花咲く伏見宿
志士の魂宿る寺田屋冬座敷
1月9日大阪小グループ吟行(伏見郷、伏見宿)
京ことばもて大涅槃解かれけり
舎利殿の白骨格子冬日燦
庭清浄白砂と苔と散紅葉
雨粒を綺羅とやどせる著莪葎
苔の面を覆ひかつ散る庭紅葉
息を呑む御座所の庭の照紅葉
紅葉且つ黄葉御座所を荘厳す
官女の間とて絵屏風と緋毛氈
錦繍の御座所にアブストラクト展
12月6日能勢、枚方、大阪小グループ納会吟行
秀枝洩る日の目潰しや寺紅葉
山気満つ朝まだきなる紅葉寺
疎に密に峪へしぐるる散紅葉
朱の欄の足下八重なす峪紅葉
着膨れて菩薩に念ずぼけ封じ
たたら踏むほど磴埋む散紅葉
ひれ伏して撮る苔庭の散紅葉
句ともがら寄りて宴や枯木宿
琅玕に綺羅の日あそぶ竹の春
12月6日能勢、枚方、大阪小グループ納会吟行
白亜なるトラピスチヌへ紅葉坂
たらちねの抱擁に似し日向ぼこ
豪邸のパノラマなせる庭紅葉
玉の日や冬帝われを洗礼す
天辺に陽の絡みをる谷紅葉
我ここにありと大王松落葉
一穢なき冬天支ふ大王松
錦繍の梢に透きて空ま青
出現の聖母を染めて庭紅葉
11月定例句会:宝塚黙想の家(修道院)
古城址の秋を聞けとぞ松騒ぐ
秋風や城址といへど土塁のみ
秋草の土塁は子らの秘密基地
此処にまた鬼貫の碑や郷の秋
鬼貫の大盤石碑より秋の声
塚なせる秋天高く忠魂碑
古塚を虜としたる藪枯らし
異な千草おまんは誰ぞ野路愉し
別れの手翳し振り向く秋の人
10月度有志吟行
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