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岩噛んで根上りしたる樹下涼し
絵図の立つ歴史古道の樹下涼し
一渓の涼し瀬となり淵となり
岩襖からも水吐く梅雨の渓
十薬の埋めし賽の河原かな
老いし蟻仏足石をうろうろす
大師像望む遠嶺へほととぎす
我影へ馳せ寄す鯉の水尾涼し
万緑を嵌めて鎮もるバン字池
5月7日に池田市久安寺を吟行しました。
返し馬涼しく踵返しけり
勝馬の騎手夏空へ拳あぐ
笑み涼し当たり馬券を見せあひて
蹄音の怒涛に汗すゴール前
鬣を撫でて勝馬ねぎらひぬ
パドックの人垣中に白日傘
ビギナーズラックの馬券汗涼し
騎手騎乗してより気合競り馬
背筋伸ぶ白馬の女騎手涼し
5月7日に尼崎市園田競馬場を吟行しました。
建学は聖書むねとす花の門
常盤木の落葉の森に神学部
神は愛なりと碑の立つ花の影
キャンパスにグリンチャペルや芽木芳る
媼どち少女顔して花下に笑む
セコイアの芽木高空の風いなす
変顔で仲間写真や卒業子
風なくば無聊や池の花筏
躊躇ひのやまざる蜷の道づくり
4月7日に関西学院大学上ケ原キャンパスを吟行しました。
目鼻なき豆雛らの愁ひかな
耳寄せて豆雛らの私語聞かむ
顎紐の結びあやしき古雛
御簾垂れて暗き玉座や雛の恋
袖合はすやに隣りあふ貝雛
立雛玉座は朱なる輪島塗
豆雛ドールハウスの奥座敷
雛御殿秘蔵の蔵も開張す
つるし雛厄除け魔除け犇めきて
3月11日に川西市郷土館の雛祭りを吟行しました。
四世紀守りし涅槃図寺宝とす
焼失に克ちし秘仏や涅槃堂
木隠れに大河逆巻く涅槃絵図
日照るとき金色極む寝釈迦かな
障子明り寝釈迦醒めよと堂に満つ
欄間絵に飛天の舞へる涅槃堂
涅槃図に描かれぬ嘆き聞こえずや
我も斯く涅槃したしと見る寝釈迦
涅槃図に鼠ゐて猫見あたらず
2025年2月 池田市西光寺
寒禽の藪に呼びあふ古墳山
起伏野のごとたたなづく紅葉山
いまし火の坩堝といはむ庭紅葉
怪獣の凍てしごと立つ椋大樹
冬帝へ巨幹をよじる椋大樹
舟宿の雁木跡鎖す木戸寒し
資料館寒し千両箱は似非
たとふれば花柊は淑女の香
極月の路地へはみだす小商ひ
2024年12月
海凪ぎて土竜叩きに鯔の飛ぶ
月の須磨武者の如くに松の影
閉づと聞く老舗の洩らす秋灯
墨痕のかすれ涼しき大書かな
ひぐらしや杉の奈落に一末社
乱帙をわが城とせる昼寝かな
搾りたて牛乳避暑の牧至福
露の玉東雲あかり宿しけり
曼珠沙華山田錦の里埋む
2024年9月
ゆき悩む流灯を手で促しぬ
流灯の帯となりゆく遅速かな
水替へて吐息新たや水中花
鎮魂の海へ散華す大花火
白靴をぬぎて渚に遊びけり
時刻表枕に昼寝無人駅
朝蝉の調べは秋やデボーション
藍涼し真白き帯を胸高に
端切れめく水着の値札疑ひぬ
2024年8月
連理して大緑陰をなせりけり
透明度百パーセント瀞涼し
目に涼し宇治の早瀬よ水音また
川風が攫ひし宙の糸とんぼ
青海波なす段丘の濃紫陽花
風涼し老舗暖簾の字の合はず
岩清水ひきて蹲踞奏でしむ
一条の日の輪のをどる泉かな
蓮の池車軸の雨に寧からず
5月〜7月
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