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2021年9月18日

土手草の繁みさながら虫浄土 はく子
雁の棹地図に探すや海坂藩 凡士
これでもかとカイト鷹なる鳥威 うつぎ
虫の音の今日は独唱仕舞風呂 こすもす
竿になり鍵にもなりて鳥渡る こすもす
岩肌の滑めいく風や朝霧草 愛正
秋冷や裏磐梯の五色沼 わかば
珊瑚樹の実の総なりに小鳥来る むべ
秋霖や猫の集まる庫裡の軒 なつき
真っ白に吹き出す棉に触れもして はく子
秋の朝魚競り見たり魚市場 宏虎
砂塵舞ふ腕白な子ら草相撲 かかし
山萩の影に佇む右城句碑 素秀
静けさや俳聖殿の蝉しぐれ よう子
草の葉へ光る露置く朝かな わかば
わが影は足長おじさん秋の午後 凡士
すいっちょと聞いてゆっくり仕舞い風呂 よし子
向日葵の呆然と立つ真黒焦げ うつぎ
紺碧の広き桧原湖水澄めり わかば
病室とリモートで祝ぐ敬老日 なつき
生産者夫婦の写真今年米 かかし
山の辺に雁の声聞く高空に 宏虎
萩零る芭蕉の句碑にキーン訳 よう子
太鼓橋沈み消えゆく秋日傘 愛正
納豆に貝割菜のせ男めし 凡士
トラックの有るごと中庭の蜻蛉 うつぎ
昨夜雨の水滴耀ふ猫じゃらし はく子
虚子館へつづく坂道草の花 よし子
水澄むやペットボトルの陰に魚 せいじ
友と酌む粒の揃はぬ零余子炒り よう子
東司出で子規忌の空のなほ青し 素秀
蝶寄せて黄の濃き棉の残り花 はく子
夕づつや棉吹く畝の暮れ残る はく子
ちぢむ胃をさすりてなだむ暑気中 なつき
風吹きて鳴るなる名無し草の花 宏虎
敬老日髭整へて一張羅 なつき
摂津三川すすきの原の風の声 よし子
鴉鳴く家路を急ぐ秋夕べ なつき
俳聖殿芭蕉はいづこ鰯雲 よう子
名月の揺らぐ英虞湾真珠生む 愛正
虫すだく写経の文字の滑らかに かかし
咲き初めのコスモス一輪空遠く よし子
秋陰や水尾曳く鯉のしづかなり むべ
ハードボイルド読む胡桃手に遊ばせて 凡士
稔り田に一枚早き苅田かな よう子
幾度めや閉づる教会八月尽 むべ
ゆきゆかば鐘の余韻や大花野 わかば
露草の清らに点る墳丘墓 せいじ
原罪を赦され夜半に林檎食ぶ むべ
夕暮や人影疎ら秋の浜 こすもす
帽子手に騒ぐ畦道バッタ飛ぶ 愛正
唐黍を丸ごと齧る歯のありて 凡士
下闇に乱舞の蝶は蛇の目紋 せいじ
菩提寺の背中押す風小さき秋 素秀
日射す窓微か聞こゆる秋の雷 愛正
肥え過ぎの重さうに揺る猫じゃらし うつぎ
渇筆の筆の返信さやけしや かかし
山門の影の濃きかな竹の春 素秀
扁額の墨匂ひ立つ菊日和 素秀
赤とんぼここが好きらし風の道 宏虎
磐梯の秀峰見せて芒原 わかば
軍配は小さい方に草相撲 よし子
五代目が初の説法吾亦紅 かかし
蔦かづら開かずの木戸となりにけり むべ
あつさりと蜜吸ひ終へし秋の蝶 せいじ
水澄むや主とおぼしき濠の鯉 せいじ
うたた寝の耳覚めてをり鉦叩 うつぎ
阿蘇五岳見渡す限り芒原 宏虎

2021年9月11日

桃剥けば一渓の谷美しく むべ
歩数計の電池交換九月来る こすもす
生籬を覆ひ尽くして牽牛花 せいじ
野分波停泊船の見え隠れ 愛正
長靴で手作り案山子立てる子等 かかし
折り取ればすぐにほおけて芒の穂 はく子
栄螺堂穂先の揺るる文字摺草 愛正
伊吹嶺は雨に烟ぶるや蕎麦の花 凡士
鹿二つ谷川越えて暮の山 素秀
コロナ禍や秋場所開催危ぶみぬ こすもす
走り蕎麦石臼挽きの暖簾かな 凡士
野分めく風に雨戸の軋みけり 素秀
雨やみて窓辺に近き昼の虫 むべ
ジグザグに空転がるや秋の雷 なつき
岩肌へ残る白銀花野かな わかば
堰き止めし農業水路稲穂波 かかし
芒原銀の波追ふ雲の影 はく子
葉の丈を越えんとしをる稲穂かな せいじ
黒帯の昇段試験子等さやか かかし
雨音に目覚めたりけり今朝の秋 こすもす
行くほどに濃くなる靄や花野道 わかば
屋台に灯点いて博多の秋の暮 凡士
使用期限切れし胃薬防災日 なつき
さよならと父手を合はす秋の暮 なつき
秋霖や引返すはめ朝散歩 こすもす
クレヨンの落書き残し秋扇 素秀
秋涼し娘の黒き髪を結ふ むべ
寒蝉の熄みし神苑うら淋し 愛正
鬼瓦百年見てる渡り鳥 凡士
甌穴の雲のひとかけ秋の水 愛正
芝刈つて作業服にもブロワーす せいじ
時を切る心を残す花野かな わかば
山男のSUVに葛縺る むべ
露けしや親しき友の訃の知らせ わかば
高原の風車灯の消え星流る 素秀
さやけしや母校に古りし礼拝堂 むべ
秋霖や取り残されし粗大ごみ せいじ
朝露を踏む山宿の散歩道 わかば
自家製の走り蕎麦てふ農家カフェ かかし
救急車今日何度目や秋暑し はく子
誰も居ぬ貸農園や昼の虫 せいじ
一列に帽子の進む芒原 はく子
磨かれし床滑りたる萩の寺 なつき
山池の静寂響動(とよも)す蟇蛙 はく子
キャンプファイヤー消へたる空を流星雨 凡士
浜風に湿る釣り銭そぞろ寒 なつき
音のして秋風鈴の庭にあり 素秀
連峰のはるか向こうや秋の雷 愛正
豊かなる水の地球の稲穂波 かかし

2021年9月4日

後継ぎの天候に泣くぶどう園 なつき
近江路は風のささやき蕎麦の花 宏虎
見返せば今下りし山秋めけり むべ
秋川や舫ひの水を叩く音 素秀
実柘榴や梲のつづく旧街道 凡士
忍び音の伝ふ胡弓や風の盆 わかば
行きずりの風と歩きて稲の花 はく子
しじら織肌になじみて秋暑し むべ
小流れの一本通る秋の原 こすもす
鳳仙花弾けて飛距離競ひをり かかし
夢二絵の大正ロマン虫の声 かかし
新涼やペンキ塗りたての矢印 よう子
お品書き変わる黒板秋めける 素秀
爽やかや心優しいボランテヤ 宏虎
放たれてめだか素早く群れの中 よう子
ペンキ屋の洗ひ晒しの白いシャツ よう子
めだか飼ふ水鉢のぞく納経所 なつき
朝露に手形を残す百度石 素秀
清水呑む濡れた節理の岩煙草 愛正
孫ひまご写真見比べ秋灯下 はく子
軽トラの荷台の残香真菰刈り 愛正
新涼や眼下の川にたつ小波 こすもす
秋の川腰まで浸かる人のいて こすもす
老店主ならではの味新豆腐 むべ
洗ひ立て帆布トートや秋初め むべ
えのころを舌で巻き取る仔牛かな なつき
長靴で走る園児の運動会 素秀
朝霧に対岸霞むかずら橋 素秀
斎場は徒歩十分の残暑かな 凡士
法師蟬残念石の家紋褪せ かかし
丹波路や求む枝豆道の駅 わかば
稔り田にベールの如き通り雨 なつき
太陽熱背ナに声出す案山子かな かかし
螻蛄鳴くや異常気象か雨多し 宏虎
時刻表見上ぐる先を秋茜 凡士
すり減りし庭下駄緩く夏終はる よう子
ノミ痕の衣文さやけし円空仏 なつき
団欒の抓む枝豆御八つかな わかば
新豆腐出たかと嵯峨に緋毛氈 凡士
サーファーの波に乗つたり呑まれたり 凡士
枝払ふのこぎりの音涼新た よう子
岩煙草露天湯囲ふ野面積み 愛正
恨めしや計画つぶす台風来 宏虎
ねじり草芝生の中で凛と立つ 愛正
秋耕の有機栽培草を鋤く かかし
黒帯に偲ぶ踊りや風の盆 わかば
虫の音や移ろふ季節教へらる わかば
秋高し寝返り出来て笑顔の子 はく子
螻蛄鳴くや俳句の奥義極め夢 宏虎
汗だくで手伝う友のお引越し こすもす
九十九里破船襲ふる土用波 愛正
蜩や杉の木立はまっすぐに はく子
穂芒の西日絡まりきらめけり むべ

2021年8月28日

子の恋の行方は何処秋の雲 はく子
野仏の台座の合間岩煙草 愛正
トルソーに影法師あり晩夏光 凡士
酔芙蓉ほんのり午下を酔ひ初むる はく子
職人の来ぬ日の続く秋雨かな よう子
引き波の足元すくふ土用波 愛正
ふと風の立ちて黙祷終戦日 なつき
娘見し夢の話や秋の雷 むべ
実の生らぬゴーヤカーテン午後のティー よう子
神樟の影うつすらと終戦日 なつき
稲光夜の叢雲あぶりだし むべ
山削る重機のアーム鱗雲 かかし
燈台の二百十日の灯を廻す 凡士
編笠の踊るうなじや阿波踊 よう子
蔓延りし草薙倒す秋出水 わかば
小流れに小さく点る病蛍 素秀
白波の台風の沖静かなり よう子
懐メロのハーモニカ演奏秋団扇 こすもす
円空仏前に吹きたりひよんの笛 なつき
岩清水桶で浮沈の夏野菜 愛正
頬杖で腰に雀の捨案山子 素秀
まだそんなでは無いと生身魂 はく子
新涼の足跡深き渚かな 凡士
辻地蔵拝みて傾ぐ秋日傘 素秀
長雨を軒に待ちゐる帰燕かな 素秀
海峡の色を深めて秋めきぬ わかば
約束の刻はせまりて汗の阪 よし子
幼子の静かな寝息夕月夜 よし子
百合涼し左右気遣ふ狭き道 愛正
秋霖の止む気配なき重たき夜 わかば
夜学子の勾玉に似しナッツ食ぶ むべ
橋あれば渡ってみたい天の川 よし子
鍵盤を拭く奏楽者涼新た むべ
千枚田初穂に頬の老夫婦 かかし
古書店はスマホの店や虫すだく かかし
見へてゐる夕立へ突込む路線バス 凡士
禁煙者用のベンチに止まる赤トンボ こすもす
手荷物の重きと残暑耐えにけリ わかば
早二年帰省出来ぬや盆の雨 なつき
ひとつだけ光る星あり秋涼し はく子
真白なる写経紙に墨涼新た かかし
秋薔薇のつぼみ小さく息吐けり なつき
湯冷ましや薬減りたる秋の宵 むべ
亡き姉の絹のドレスや鳳仙花 よし子
園長も園児の目線稲の花 かかし
島陰を昏く沈めて秋夕焼 凡士
菅笠のあの娘は二十歳風の盆 よし子
絶叫のホラー映画や残暑の夜 素秀
兄妹の皆老いけらし生身魂 はく子
だしぬけの夕蜩や厨窓 よう子
高原のリフトの影や猫じゃらし こすもす
冷し西瓜鮒飛び跳ぬる手掘り井戸 愛正
河原を埋め尽くしたる荻の叢 わかば

2021年8月21日

新涼やフローリングの足裏より はく子
初秋やわが痩身をあづけをり むべ
疎に密に一世風靡秋の蝉 宏虎
地下街は人出の多く大夕立 宏虎
BGMめきし雨音秋涼し こすもす
卒寿てふ杖とリュックで秋耕へ かかし
向き変へてなほホバリング赤とんぼ せいじ
ずつと外を見る黒猫の夜長かな 素秀
スクエアの真中に灼けるマンホール よう子
リモコンと孫の手持ちて父昼寝 なつき
星明かり奇岩浮き立つ妙義山 愛正
蝦夷富士の影絵遠目や星月夜 わかば
今朝の秋新聞倦む父となり なつき
文月に疼痛ありて独りごつ むべ
鍬終へし夫婦の背ナに夕月夜 かかし
天の川群馬長野のアーチ橋 愛正
山上は蜻蛉の天国手に肩に はく子
濡れ縁の下に一葉秋隣 愛正
鰯雲公衆電話また撤去 かかし
立山の連なる雄姿星月夜 わかば
西日失し仁王の色調落ちにけり 愛正
トマト熟る祭りで投ぐる品種かな むべ
太陽の塔うしろにも顔秋暑し 凡士
買物は二日置きにす秋霖雨 せいじ
秋近し幣束作りの集会所 愛正
八月の川濁りたる長き雨 素秀
ニュース速報余所事でなき秋出水 こすもす
一日中降り続く雨野分きあと こすもす
入院は別れのごとし盆の雨 なつき
看護師の腕しなやかや初嵐 むべ
ボスボラス釣り人並ぶ夕月夜 よう子
落梨は無料と無人販売所 素秀
盆の雨父に付き添ふ救急車 なつき
後ろ手に閉づる残暑も喧噪も 凡士
高原の寝惜しむ宿や星月夜 わかば
整髪の鏡の奥に涼新た かかし
茄子の馬部屋に残して入院す なつき
急患のなきひと時や法師蝉 むべ
忘れてはならない記憶敗戦忌 わかば
店頭にあれば気になる盆の花 せいじ
コロナ禍の真っただ中の終戦日 はく子
住めば都この街が好き秋祭 宏虎
花嫁や純白八重の花芙蓉 はく子
開戦の年に生受け終戦日 はく子
特攻と夏の球児と八月と 凡士
新幹線左右近江の早稲稔る よう子
宅配のベル押す腕の日焼けかな よう子
銀座にも水禍の地にも盆の月 凡士
風爽かスイッチバックの谷の駅 素秀
屋根そぞろ別れ鴉の忍び足 素秀
雨宿りせし軒下の蟻地獄 よう子
法師蝉平均寿命過ぎにけり 宏虎
潮騒や水平線の夕月夜 かかし
雲去りてうっすら浮かぶ天の川 宏虎
颱風来減りに減つたる瓦屋根 せいじ
ただいまの声甲高き帰省の子 せいじ
終戦の日の青天を今もなほ わかば
お魚も玉子もとれとれ避暑の宿 こすもす
電線の混み合ふ空を盆の月 凡士

2021年8月14日

西瓜番人なし小屋の大西日 愛正
山上の鉄塔飲み込む雲の峰 はく子
真清水に山伏厚き胸濡らす 素秀
鳳仙花はじけて残る花つけり 宏虎
雲の峰日に輝いていたりけり はく子
糸取りの生きてゐるかに踊る繭 うつぎ
看護師の防護服着て夏過ぐる 凡士
流木の流浪の果てや浜晩夏 凡士
法師蝉つわもの散りし賤ケ岳 よう子
秋を待つ町内会の紙垂作り 愛正
すり減りし撞木の一打夏終はる よう子
かなかなや眼下に默す余呉の湖 うつぎ
八月や蠍擦りし地平線 むべ
故郷の港の名入り小鯵買ふ こすもす
復興を信じ舟から大花火 宏虎
白南風やシーツ干されて満艦飾 凡士
山清水汲み場日のさす不動尊 なつき
新涼や七本槍の酒の店 よう子
万近端看板古し秋の風 よう子
接種跡日焼けの肩の絆創膏 素秀
女人らの神威岬や夏了る むべ
柔に見え勁き野良人参の花 むべ
不動尊立つ滝壺のうすみどり なつき
食細し介護日記の極暑かな なつき
朝顔の休みの日記早起きす 宏虎
刈草の広ごる匂ひ秋暑し わかば
土用波うねり鎮めてうちの海 素秀
白粉の花三角形枝付ける 宏虎
夜の秋夫在りし日の事をふと はく子
五輪観て時代劇観て父昼寝 なつき
大三角つくり放題星月夜 むべ
高階に街の灯澄める夜の秋 はく子
今朝の秋散歩の一歩足軽し かかし
ゲルニカの絵を思い出す原爆忌 こすもす
揺るる葉にしがみついてる蝉の殻 こすもす
一葉落つ会うと云ふ日を逃せしに わかば
雲の峰ジャングルジムの天辺だ はく子
最終のバス待つベンチ秋に入る かかし
牧場いま牛隠したる海霧かな むべ
休耕田河骨咲きて湿地なる 素秀
一葉落つ約束の日を果たせずに わかば
西日失す松の象潟闇に消ゆ 愛正
夏霧や賤ヶ岳に聴く合戦史 うつぎ
ドーム内右往左往の揚羽蝶 こすもす
白南風にワルツのごとく鳶三羽 素秀
ピカソ絵の極む色彩原爆忌 かかし
朝顔の蔓の迷ひし二階まで 宏虎
幼児に追ひかけられし水遊び わかば
音のなく揺らぐ日の斑や秋暑し わかば
ピザ廻すシェフの指先秋立てり 凡士
秋近し風の抜け去る大広間 愛正
秋隣竿にかけたるゴムボート 愛正
百寿僧の梵字の色紙涼新た かかし
賄ひは夫の役目と糸取女 うつぎ
向日葵や黄色の帽子園児どち よう子
看取り居の窓にゴーヤのまた爆ぜて なつき
色褪せぬ古典全集涼新た かかし
打ち水の風を呼びたる石畳 凡士
指忙し往時語りつ糸取女 うつぎ

2021年8月7日

舗装道なれど快なり避暑散歩 せいじ
配管の灼けて臨海工業地 素秀
山頂の涼風を背に歓談す 宏虎
早朝の参道掃除夏落ち葉 こすもす
炎天のブルーインパルス五輪の環 よし子
球児たち盥のトマト丸かじり かかし
暮れなずむ山のかなかな時雨かな よし子
日雷病む父の髭剃り残す なつき
風のふと止みて雷鳴とどろけり 更紗
撮り鉄や夏川渡るSL号 凡士
門前に麦茶塩飴振る舞へり なつき
コンテナ貨車延々つづく大西日 凡士
道よぎる青虫角を振りかざし せいじ
橋の上子ら飛び込んで夏の川 凡士
かげろうのともに揺れてる草の先 よし子
冷奴木綿が好きでありし夫 はく子
風鈴の遠音の闇に静かなり はく子
天空へ続く山道夏帽子 はく子
星型のクッキーを焼く晩夏かな 更紗
参道の天蓋なせる合歓の花 こすもす
籠り居に泡あふれ注ぐビールかな なつき
夏服を靡かす風や浜の朝 わかば
身体拭く熱きタオルや土用入 なつき
熱帯魚と遊び疲れて昼寝かな むべ
空と海蒼茫にして夏惜しむ わかば
夏夜明け海に現ずる影鳥海 愛正
南海の雨音高き花芭蕉 素秀
石段や汗じりじりと伝ひ落つ 更紗
蝉時雨今一番と盛んなり わかば
高齢に少し負けてよこの酷暑 かかし
門出づる川に添いての橋涼み わかば
夏の夜や眠ることなき駐機場 むべ
土用波胸かす遊佐の羅漢岩 愛正
守宮来て未亡人宅を守るかに よし子
噴水の昇り切ったる夕陽映ゆ 宏虎
旅の友気に入り藍染夏帽子 はく子
水眼鏡砂にまみれて昼休み むべ
夏シャツの花柄風を孕みけり 素秀
片陰は母にゆづりし帰り道 更紗
甚平の人力車夫や異邦人 かかし
草いきれ河原の中の遊歩道 わかば
日一日陽と風育つ青田かな 宏虎
夕立や暗渠に鎮む水の声 素秀
押入れに小蟹の死骸海の宿 むべ
朝涼や厨に母とならび立ち 更紗
体操のラジオを急かす蝉しぐれ せいじ
蝦夷の森夏鶯の招き入る むべ
就寝前もう一度見る月涼し こすもす
肩紐の透けて露わにサンドレス 素秀
夕立去り甲子園沸く逆転劇 凡士
大西日赤く染まりし出羽二見 愛正
ワクチン会場入口脇のカンナかな こすもす
ブロックは猫の通路や夏の月 宏虎
朝涼しいつしか歩み軽やかに せいじ
夏夕べ松の象潟蚶満寺 愛正
脛に蚊の咬みたる痕や朝散歩 せいじ
露店なき境内広し蝉時雨 なつき
肩書きのしがらみ解けし涼し侭 宏虎
雲去りて現るる山容夏帽子 はく子
林間学校シスター神父も半パンツ 凡士
伝説の小径を行けば竹落葉 よし子
日方受く千畳敷の五能線 愛正
小学生太鼓一打に山車を曳く かかし
城跡の石垣のみや蟬時雨 かかし

2021年7月31日

先達の尺八澄みて遠青嶺 素秀
住み古りし縁に二つの団扇かな よう子
寄す波を避けて鹿の子のギャロップす 素秀
レモネード泡のはじけて青空へ むべ
半パンにアロハシャツ着て喜寿祝ふ 凡士
獅子岩の吠ゆる熊野を大花火 凡士
打過ぐる鶴の舞橋白日傘 愛正
干からびし痩せ石鹸や夏休み よう子
下枝におんぶに抱っこ蝉の殻 なつき
汗拭ふ火口原野の草の波 愛正
潮の香の通ふホームの風涼し わかば
銭湯のバス素通りす日の盛り せいじ
背ナ広き息子の浴衣姿かな 更紗
雷鳴や吾が血圧も上がり居り 宏虎
弓を射るときは息止め夏の雲 更紗
大空にすっきり一つ月涼し こすもす
糸蜻蛉水輪を残し翔ちにけり 素秀
重き荷を背にボランティア炎天下 せいじ
一日中寝そべる夫や夏座敷 菜々
シェーバーと唸りを競ふ蝉しぐれ せいじ
葬送の行列めきし蟻の道 せいじ
宝ジェンヌ日傘を肩に歌劇道 かかし
草茂る旧街道の道しるべ 愛正
滝しぶきミストに六腑洗はれし かかし
ぬけがらもまたなきがらも蝉の森 せいじ
羽化し損なひて片羽の蟬鳴けり なつき
雪渓の落ちて河原の黒部峡 わかば
寺ヨガや庭にぎんなん鈴なりに はく子
揉瓜を食みて昼餉のBGM むべ
帽子浮く青芒原風棲みぬ 愛正
金魚鉢猫諦めてそばで寢る 宏虎
夕日抱くサーフボードの影や濃し 凡士
釣忍盥に浸かる開店前 むべ
カサブランカ大輪道を狭めたる はく子
集金のバイク止めるや片日陰 よう子
炎昼や人影のなき兜町 更紗
腹押さば水を吐きたる浮人形 素秀
放生池の藻草揺るがす鯰髭 愛正
浮いて来い子供と風呂のあの頃を かかし
胸を張り軍鶏炎天に高鳴けり 素秀
造り滝たばしる水の茶庭かな わかば
湧水の砂の動きや地球生く 宏虎
青磁器の皿とスプーン冷奴 かかし
帰省の子痩せたる爺の背撫づる なつき
了見が狭いと伯父が扇子閉ず 宏虎
疲鵜の舟縁並び宴果つる 凡士
日雷厳しき父の弱音かな なつき
ようそろと一両車両青田波 よう子
空蝉のみやげを母は受け取らず なつき
朝涼し黒き袴の帯をしめ 更紗
四世代健に檀那寺いてふ実に はく子
悪戯を打ち明ける子の鼻の汗 よう子
黄昏を連れくる花や烏瓜 むべ
夫婦滝夕日に燦と七色に かかし
櫓太鼓腹に響きて総踊り 凡士
海の日の子に握りたる塩むすび 更紗
仏前に僧丹精の大西瓜 はく子
大西日に背を焼かれつつ帰りけり はく子
夏の海渚音なく波を打つ わかば
早咲きのコスモスの束墓前へと こすもす
夏海や遊覧船の沖を航く わかば
叢雲の重なり映す夏の月 むべ
朝涼の町一巡りウオーキング 菜々
夏見舞のメールやりとり風呂上り こすもす
余生にも第二章あり合歓の花 宏虎

2021年7月24日

雲の峰成層圏へ沸き上ぐる むべ
裏窓にゴーヤーネット暑に備ふ せいじ
白百合や天金の書に父偲ぶ わかば
大夕立水平線の夕日燦 かかし
山湖へと喘ぐ急坂道をしへ わかば
合歓の花無住の寺でありにけり よし子
唇を舐めれば汗の塩の味 せいじ
黒帯を目指す百段子らの汗 かかし
一望の青田の波や明智領 よし子
かたはらに伏せたる雑誌昼寝覚 わかば
青首に辛味の透ける夏大根 素秀
箱掻いて蝦蛄朝市に騒がしき 素秀
蔵カフェの珈琲苦き夜の秋 素秀
父見舞ふ溽暑の駅を乗り継いで なつき
茂り葉の撫ずる野地蔵峠茶屋 愛正
精米のこぼれ雀へ朝曇 素秀
夏深し父の白き背流しやる なつき
口笛に夏鶯の長鳴きす せいじ
見舞客去りて冷房弱めたり なつき
初セミを聞いたと娘よりメール来る こすもす
カーテンを膨らます風涼しかり こすもす



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