2021年1月16日 | |
公園の落葉を掻くや実生三つ | かかし |
黒猫の淑気の中の大あくび | 素秀 |
けふもまた湾おだやかに冬夕焼 | 更紗 |
初日の出ビルとビルとのすき間より | よし子 |
残んの世楽しく生きん老の春 | はく子 |
退院の主を迎ふ寒紅梅 | むべ |
初雀枝移りして遊びをり | わかば |
去年今年表情豊かに手話ニュース | うつぎ |
転がりて庭で戯むる初雀 | 愛正 |
冬木立神の息なる葉擦れかな | むべ |
来し方をベンチに偲ぶ寒夕焼 | せいじ |
廃校にのこりし松の色変えず | よし子 |
大橋を影絵としたる寒夕焼 | せいじ |
御あかしの法鼓に揺らぐ修正会 | はく子 |
冬の鳥樹林の光こぼしけり | そうけい |
明けやらぬ中の一声初鴉 | わかば |
探偵の事件解決絵双六 | なつき |
会釈して三三五五の落葉焚 | かかし |
初風す神馬と瞳合いおれば | 小袖 |
岩氷柱短剣のごと尖りけり | 小袖 |
天空に結ぶ噴煙初淺間 | 愛正 |
寒夕焼朝礼台の影長し | せいじ |
寒紅を濃く引き夫を驚かす | うつぎ |
修正会の大護摩御堂焦がすかに | はく子 |
頼りなき糸のさ迷ふ懸凧 | よう子 |
駅中のピアノ演奏松の内 | かかし |
早朝のグランドゴルフ松の内 | こすもす |
添え書きの一句すがしや年賀状 | そうけい |
狂言に笑ひ誘はれ明の春 | うつぎ |
写真撮る児がしな作る初化粧 | なつき |
初暦明日へ続く希望かな | わかば |
子犬来てワンとひと鳴き寒夕焼 | せいじ |
書初や硯の岡の薫り立つ | わかば |
玻璃窓を袖で拭ふや雪催 | かかし |
孫と吾の豊頬寄せて初鏡 | みのる |
知らぬ間に冬菫生ふホスピスや | むべ |
滲み入りぬ太筆舟の初硯 | 愛正 |
小淺間も浅間も白し初景色 | 愛正 |
また一羽鳥が飛び込む寒夕焼 | せいじ |
孫たちのポチの不平に初笑ひ | みのる |
初夢を攫つて行きし震度1 | うつぎ |
数日のものを買ひ込み日短 | 更紗 |
寒オリオン礼拝堂を見下ろしつ | むべ |
冬灯し百の味噌桶ならぶ蔵 | なつき |
一人来て三人帰る節料理 | よう子 |
ひょっとして前行く女は雪女郎 | よし子 |
元日や子の寝息聞く夕まぐれ | 素秀 |
轟ける法鼓に始まる修正会 | はく子 |
たわわなる子の髪結ひて初鏡 | 更紗 |
元旦や格言多く語る父 | なつき |
残雪やホルスタインの模様めく | こすもす |
初詣持ち物護摩に祓はるる | はく子 |
賀状写真父似母似や三兄妹 | よう子 |
のど飴を一つ貰ひて寒の入 | よし子 |
銃眼を日矢の貫く淑気かな | みのる |
マッチ擦る役取りあふて初竈 | 素秀 |
青空の芝生に交わす御慶かな | こすもす |
元日の鉄瓶の湯気幸呼ぶか | そうけい |
松過ぎの釣り人恵比寿のごと埠頭 | 素秀 |
茶懐石後の楽しみ宝引 | わかば |
仏前に上ぐ読み初めの正信偈 | こすもす |
家中の暦掛かえ年迎ふ | こすもす |
朝市の客寄せとなる焚火かな | うつぎ |
初鏡伸ばすと決めし無精髭 | みのる |
成人になる子も居りて屠蘇祝ふ | よう子 |
着物着て殿姫童初写真 | なつき |
初霞して滑りゆく渡し舟 | 素秀 |
朝日さす赤城の山容淑気満つ | 愛正 |
あの花のあとと思へぬ枯蓮田 | よし子 |
七種の囃子ことばの曖昧なり | むべ |
折り目皺のばし広げて絵双六 | みのる |
平穏がいの一番よ七日粥 | かかし |
結球せぬ白菜鳥の来ては去る | よう子 |
2021年1月9日 | |
寒風切りジェットコースター頭上過ぐ | はく子 |
蹲にまろびて一つ龍の玉 | 素秀 |
分譲地野鳥寄り会ふ年の暮 | 愛正 |
漣に滑るが如く浮寝鳥 | こすもす |
初春や野に連凧の翻る | せいじ |
百歳の義母の音頭で屠蘇祝ふ | かかし |
行く年やコロナの謎の解けぬまま | よし子 |
枯蘆の夕日に映えて紛れなし | せいじ |
連山にホルン流れリ雪残る | 宏虎 |
加賀は好き千代女も好きや宝船 | 宏虎 |
玻璃ごしの小鳥静かや今朝の春 | 愛正 |
健康の文字添へ写経筆始 | かかし |
父と引く二人大吉初みくじ | なつき |
煤掃きや建て付け悪き戸を外し | なつき |
分校は廃校となり山眠る | よし子 |
野に臥せば間近に迫る初御空 | せいじ |
窓の日に抱擁さるる福寿草 | みのる |
年の名残神の森割く大夕日 | そうけい |
誰も居ぬグランド広し冬休み | こすもす |
鉄塔の覆ひかぶさる影冴ゆし | 愛正 |
新しき鉛筆削る初日記 | よう子 |
餅つきの阿吽の気合老夫婦 | かかし |
洗浄機縁石白し年用意 | 愛正 |
湯豆腐の鍋煮えてきて膝正す | よし子 |
子等と巡る電飾園地に年惜しむ | はく子 |
風花や山河変わらず詣で道 | 小袖 |
数え日となりてなすべき事多く | わかば |
電飾に負けじと加はる冬の望 | はく子 |
刃物研ぎの音の途切れず年の市 | なつき |
大晦日神待つ門に清き水 | そうけい |
粉雪に仏舎利大塔舞ひ上がる | 宏虎 |
女の子おはじき遊び良寛忌 | 宏虎 |
土手行けば夕日に赤き冬木立 | せいじ |
写メールの産土神に初詣 | よう子 |
初雪やいつもほほ笑む辻地蔵 | よし子 |
賀状書く消し線大し住所録 | 愛正 |
輪飾りの久しき釘の高さかな | そうけい |
斑雪刈り込み文字の一際に | 小袖 |
初春やあと二センチの大股に | よう子 |
初凪へ末広の水脈曳きにけり | みのる |
煤掃きや外す末社の戸に付番 | なつき |
コロナ禍やスーパー予約の福袋 | そうけい |
田畑を守る祠の注連飾 | かかし |
帰る子の今度いつ来や藪柑子 | よう子 |
古日記様変わりする生活かな | わかば |
電飾と楽の競演年送る | はく子 |
粉雪をしばし留めてソフト帽 | 素秀 |
古日記おもたき日々の記録かな | わかば |
たかが猫されど猫なり嫁が君 | 宏虎 |
福寿草黄金きらめく日の窓辺 | わかば |
がら空きの駅のホームや年の暮れ | こすもす |
オリオンの見つむる先の寒満月 | なつき |
カルタとり孫がとるまで探すふり | みのる |
城山に鴉の帰る雪曇 | 素秀 |
家居して二人で興ず投扇 | かかし |
若人の集ふ座敷や老ひの春 | よう子 |
歌がるた畳たたいて悔しがる | みのる |
新玉の年の願ひや疫なき世 | わかば |
一刷けの瑞雲染めて初明かり | みのる |
氏神の鞘堂あかあか大旦 | 小袖 |
古時計の時きざむ音去年今年 | よし子 |
大晦日朝餉を迎え手を合わす | そうけい |
土手遥か雪化粧せる初比叡 | せいじ |
狐火の噂立ちたるつづら坂 | 素秀 |
寒禽の声や厨に出汁匂ふ | 素秀 |
2021年1月2日 | |
忙しなく夕チャイムなる師走かな | そうけい |
冬銀河地球と結ぶはやぶさ号 | かかし |
道端の雪は泥んこ壁成して | こすもす |
涸れしダム蛇腹めきたる地肌見す | うつぎ |
公園の枯れを統べ立つ大ポプラ | みのる |
笊耳に讃美歌残る聖夜かな | せいじ |
榾火いま機嫌良くなり睡魔来る | みのる |
飾切り赤や黄の星クリスマス | 小袖 |
葉の落ちて天突く枝の冬木立 | 宏虎 |
雪嶺の一刀彫のごとき襞 | みのる |
休めぬと二重マスクの里の医師 | かかし |
行く程に深くなりたり山の雪 | こすもす |
ダム涸るる助手席の妻覗き込む | よう子 |
石の宝殿羨道奥処まで冬日 | はく子 |
城濠の賑やかとなる鴨の陣 | わかば |
この炉辺に語りし日あり彼悼む | みのる |
冬麗や大手門へと松並木 | はく子 |
里明かり街は電飾クリスマス | 宏虎 |
裏通り人の気配の冴ゆる夜 | 愛正 |
毛糸編むはかどる夜の静けさに | 小袖 |
石蕗咲くや庭に袖垣四ツ目垣 | はく子 |
パペットを独り操る聖夜劇 | せいじ |
冬霧の包む氏神朝詣 | よう子 |
ロードコーン規制の大し年の内 | 愛正 |
星冴えて青菜の白き光りかな | 愛正 |
完売の百円野菜山眠る | かかし |
冬空や木星土星の天体ショー | こすもす |
帰り花来て良かったと寺詣 | うつぎ |
又逝きて減る戦中派日向ぼこ | 宏虎 |
冴え返る鎮守の杜の砂利の音 | 愛正 |
飛行雲崩れて峡の寒天田 | よう子 |
灯し火の次々増えて降誕祭 | せいじ |
酢牡蠣食べ大吟醸を友と酌む | 宏虎 |
日溜りをふくら雀の包みをり | かかし |
探鳥の双眼鏡に冬木の芽 | かかし |
賀状書く自立の孫の新住所 | 愛正 |
我が町の八景巡る冬日和 | はく子 |
村人守る木喰仏や冬菜畑 | よう子 |
ゲレンデの食堂集め冬ざるる | 宏虎 |
生真面目の鉢の草生う師走かな | そうけい |
六甲の彩り残し山眠る | わかば |
奥入瀬の氷柱ばかりの静寂かな | 小袖 |
肉付きに選ぶ注連縄年の市 | 素秀 |
寒夕焼け格子の奥の仏まで | よう子 |
寒天干す空は一筋飛行雲 | うつぎ |
耶蘇の吾に輪廻説かるる炉の主 | みのる |
紅を萌すや数多冬木の芽 | わかば |
讃美歌の斉唱すがし降誕祭 | せいじ |
橋梁を持ち上ぐクレーン百合鴎 | 素秀 |
遠眼鏡覗いて眩し寒昴 | 素秀 |
一人居の誰に憚らむ大嚔 | うつぎ |
半日は盆に鎮座や雪うさぎ | こすもす |
生かされて今ある幸やクリスマス | わかば |
神鶏の長鳴き透る寒旱 | 素秀 |
電飾を灯す屋並みや十二月 | わかば |
糸寒天絹光りして乾きけり | うつぎ |
キャンドルが照らすみどり児降誕祭 | せいじ |
林道の閉鎖報せる冬の梅 | 素秀 |
冬の雨日がな大窓乳色に | はく子 |
冬ぬくし電話受診の医師の声 | そうけい |
2020年12月26日 | |
鴨遊ぶ十人十色なる仕草 | せいじ |
古民家の先の焦げたる火吹き竹 | よう子 |
ブルーシート眼下に散らす山眠る | わかば |
葉牡丹で丑の絵文字の休耕田 | かかし |
産土の腰折れの松菰巻きす | なつき |
太陽の力は偉大雪溶ける | こすもす |
鴨三羽シンクロナイズして離水 | せいじ |
電飾の映る川面に鴨の陣 | 素秀 |
帰り花恋の御籤を引いてみる | よし子 |
吹き抜けのビルの天突く聖樹かな | よう子 |
船波に身を任せたる浮き寝鳥 | はく子 |
鴨遊ぶすべてが番とは言へず | せいじ |
すれ違う車新雪載せをりぬ | こすもす |
星明り街は電飾クリスマス | そうけい |
極月の余白の暦詰まりつつ | わかば |
縄張りのあるごと分かれ鴨遊ぶ | せいじ |
手あつれば芯まで凍る力石 | 小袖 |
年寄りも買い物多き年の暮 | よう子 |
柚子風呂に肩の力の抜けにけり | うつぎ |
寒き影谷間は暗き過疎の村 | 愛正 |
雪掻きや我を見つめる窓の猫 | こすもす |
峠越え白樺林冬ざるる | 宏虎 |
たまゆらの日に身震ひす冬芽かな | みのる |
枯草に半ば埋もれて丁目石 | はく子 |
裏参道おでん屋もあり天神詣 | よし子 |
棟上の洗米拾ふ寒雀 | 素秀 |
初雪やふるさと便の届きたる | よし子 |
鴨翔ちぬ水面全力疾走し | せいじ |
整然と緑あふるる冬菜畑 | はく子 |
しぐるるや明智の郷に穴太積み | うつぎ |
百選の棚田隠せず枯木山 | よう子 |
野良棲むや本丸址の冬日向 | なつき |
歯朶刈の老婆に陽さす疎林かな | 愛正 |
建仁寺垣にひひらぎ匂ひけり | みのる |
年の暮買物ごとにメモを消す | かかし |
底冷えの中山寺に立つ羅漢 | 宏虎 |
友遠しころりと碧き竜の玉 | うつぎ |
傘立てに時雨の滴怒髪天 | うつぎ |
竹馬に背丈逆さま兄妹 | 小袖 |
藩士の碑丸く残して川普請 | なつき |
眠りけり背山妹山袖合はせ | みのる |
閘門を開くる水路や鴨来る | なつき |
店頭のサンタひと役客招く | 宏虎 |
出迎えの占むるロータリー月冴ゆる | 小袖 |
持ち越しの元気蓄え浮寝鳥 | 宏虎 |
夕暮れの軒下白し干し大根 | 愛正 |
年の暮動く歩道を駆ける人 | かかし |
寒禽の声飛礫めく神の杜 | なつき |
枇杷咲いて風呂敷脇に急ぐ僧 | 素秀 |
楼門を仰ぐ紅葉の結願寺 | よし子 |
葉牡丹の並ぶ朝露光りけり | そうけい |
灯が冴ゆる裾野は長き赤城山 | 愛正 |
階段に絵本積みいるクリスマス | そうけい |
バーゲンの赤字旗めく年の暮 | かかし |
駐禁に巡査ステッカー貼る師走 | よう子 |
鎮魂の小さき聖堂師走の灯 | わかば |
靴ひもを緩めて仰ぐクリスマス | そうけい |
時として反す木霊や山眠る | わかば |
ポイ捨てを拒む葉牡丹鋪道沿ひ | 素秀 |
浅間山薄煙なびく小春かな | 愛正 |
薄日さす明智の寺の冬桜 | うつぎ |
亡き友の庭に今年も柚子たわわ | 小袖 |
白壁に夕陽あかあか冬めきて | よし子 |
譲り合う右折の車吹雪の日 | こすもす |
尼の庵二タ筋三筋柿吊るす | みのる |
帰郷せる単身赴任河豚馳走 | 宏虎 |
道幅を狭め商ふ街師走 | わかば |
いしぶみの虚子に愛子に岬寒し | みのる |
ぬるみゆく峡田の朝や冬の鷺 | 小袖 |
紙漉の文様浮かぶ天日干し | かかし |
香箱を毛布に組みて昼寝猫 | こすもす |
クリスマス擦り切れ絵本「ぐりとぐら」 | そうけい |
石切場上の枝ぶり松迎へ | 素秀 |
初しぐれ傾ぎおはしぬ道祖神 | はく子 |
2020年12月19日 | |
冬の蟻うすき影ひき石畳 | 小袖 |
クリスマスカードは素朴なるが好き | せいじ |
谷川を貫き越後山眠る | 愛正 |
野良猫の喉元撫でる漱石忌 | かかし |
焼藷の別腹と言ふ言い逃れ | 宏虎 |
眼力の冬日を弾く石狐 | 小袖 |
晩学に気分転換日向ぼこ | 宏虎 |
ちゃんちゃんこ手縫いの温みにくるまれて | よし子 |
固唾呑む第九のタクト一振りを | よう子 |
乱れ打つ和太鼓ひびく冬座敷 | なつき |
梢みな光を放つ霜の朝 | わかば |
町師走なべてジングルベルの歌 | せいじ |
撫で牛にも欲し狛犬の大マスク | うつぎ |
賑はひを見せて師走の魚市場 | わかば |
冬銀河ロゼが好きですワイン酌む | よし子 |
落暉映へ燃ゆるがごとき山紅葉 | よし子 |
山あいに雲垂かかる寒さかな | 愛正 |
涸滝の細き流れに鹿は口 | 素秀 |
ファンシーな袋が闊歩師走市 | せいじ |
風強し利根の河原の師走かな | 愛正 |
住職の天塩の菊も切られけり | はく子 |
百円で袋いつぱい年用意 | なつき |
店舗ごと趣向を凝らす聖樹かな | せいじ |
ほつほつと人減り通夜のうす寒し | みのる |
レジ袋持つ人稀に年の市 | せいじ |
不動門の二階に灯る吊し柿 | なつき |
せはしげに楽しげなりぬ冬雀 | はく子 |
駅伝の鍔迫りあひの息白し | みのる |
欠航の長き桟橋秋寂し | よう子 |
うなだれてみな東向く枯芒 | 素秀 |
呼び声の掛け合ひ大き師走市 | わかば |
寒禽の声の射抜きぬ力石 | よう子 |
顔見世の勘亭流や年の暮 | かかし |
水底に影揺らぎゐる冬日かな | わかば |
農学部の休耕田に麦を蒔く | かかし |
子等の背にあまた降るなり朴落葉 | 愛正 |
命がけ海鼠初めて食べし人 | 宏虎 |
霜の朝両手で撫でる膝小僧 | かかし |
煮凝りのサイコロカット一品に | こすもす |
パソコンもたまには掃除師走来る | 宏虎 |
監査日の二転三転忘年会 | こすもす |
狛犬のマスク持ち上げ阿か吽か | よう子 |
撫で牛に木の実時雨の容赦無し | うつぎ |
冬ざるる茶店のベンチ饂飩食ぶ | よう子 |
眺望の隅は海光冬日和 | うつぎ |
手入了庭を眺めて日向ぼこ | みのる |
落葉敷く吾の歩に並ぶ土鳩かな | そうけい |
緑金の首振る鳩や落葉雨 | そうけい |
冬紅葉色づきながら散りながら | よし子 |
白き月母子観音の冴え冴えと | そうけい |
力石木の実時雨を弾きけり | うつぎ |
商ひ札吊るしフレームピザを焼く | うつぎ |
獅子岩の吐きだす冬の朝日かな | 素秀 |
たたなず摂津連山紅葉晴 | よし子 |
種々の野菜育てて傘寿刀自 | はく子 |
恵比寿講脂浮きたる兜汁 | 素秀 |
無人駅柵に真白な干大根 | 愛正 |
狛犬にやつれの見えし大マスク | 小袖 |
思わざる月日を重ね早師走 | わかば |
収容所跡の渺渺枯木立 | 素秀 |
爆音はドクターヘリや冬ざるる | こすもす |
仏花にと冬菊多に切り呉れし | はく子 |
着膨れてお尻地につくハンモック | なつき |
存分に落葉踏めとぞ嵯峨小径 | みのる |
雪吊りや棒中心の円錐形 | 宏虎 |
玄冬や汗染みまるく力石 | 小袖 |
漱石忌黄ばみし本を再読す | かかし |
枯芝に手つなぎジャンプ仮装の子 | なつき |
息白き馬の鼻撫でねぎらひぬ | みのる |
2020年12月12日 | |
はつ雪に祈る羅漢の掌 | 素秀 |
冬灯干支の押し絵に目をつけて | 小袖 |
開け放つ窓辺池塘の冬紅葉 | わかば |
果大師次々露店たたむ音 | なつき |
願い事は絵馬に書かせて神の留守 | よし子 |
たかだかと風車を越ゆる冬の雁 | 素秀 |
山眠る湯の町に麦藁細工 | わかば |
冬の凪船影もなき水平線 | よし子 |
毛糸編む安楽椅子に睡魔棲む | みのる |
林道のこれより始む冬の梅 | 素秀 |
小買物友手作りのマスクして | はく子 |
回廊に吹あげ積もる落葉かな | 愛正 |
銀杏落葉落暉に染まる御堂筋 | かかし |
師走来て友の誘日や一日旅 | わかば |
昆陽池の羽音一斉鴨翔ちぬ | 宏虎 |
試合の日こっそり忍ばせカイロかな | こすもす |
レシピ添へ菊芋を売る無人店 | せいじ |
白磁器のつぼまる花瓶冬椿 | かかし |
庭に撒くお礼を込めて寒肥を | かかし |
一望の豊なる菜園小春風 | そうけい |
碑の傍に一輪白き寒椿 | せいじ |
突風に噴き出す銀杏落葉かな | そうけい |
つま先に嵩なす枯葉雑木林 | 小袖 |
魔法の杖あらばと思ふ冬銀河 | うつぎ |
花柚子を花と浮かばせ柚子湯かな | うつぎ |
檄文を釘打たれたる大枯木 | みのる |
着膨れて恙もあらず白寿の賀 | うつぎ |
門構様子変りぬ実南天 | 宏虎 |
病室の名札外され室の花 | 素秀 |
夕星の一入冴ゆる今宵かな | わかば |
槻もみぢ彩放ちつつ舞散りぬ | はく子 |
仄明かり和尚の背なの冬桜 | 愛正 |
閉店を告げる張り紙冬の雨 | よし子 |
大島のマスク着けてよりあらたまる | はく子 |
風呂吹に俊太郎の詩想い馳せ | 小袖 |
賀状書くうさぎを追ひし日の友へ | 菜々 |
極月や自粛如何にと小買物 | わかば |
喜寿祝し十年日記買ひにけり | かかし |
一日中猫潜り込む炬燵かな | こすもす |
北の窓赤城颪を招き入れ | 愛正 |
冬ざれて猪狼藉の根方かな | 小袖 |
鳥の声残して消える庭の霧 | そうけい |
Tシャツで蘭の手入れやサンルーム | みのる |
工程は濡れ手ばかりや紙漉女 | 小袖 |
虎河豚や怒り貌なる生簀中 | 宏虎 |
雪一片喪服の肩に触れにけり | 素秀 |
紅葉散るバックネットに高舞ひて | せいじ |
咲き揃う日を思ひつつ球根植う | 菜々 |
暮れ残るバックネットへ落葉雨 | せいじ |
冬涛の武蔵小次郎一騎打ち | みのる |
焼栗の試食マスクの下で食む | なつき |
呼び込みや黒きマスクの黒づくめ | なつき |
散歩犬連れる人とも息白し | 宏虎 |
懐炉にてラジオ体操一二三 | かかし |
咲いてよし散って又よしひめつばき | よし子 |
蓄音機ずいずいずつころばし冬温し | うつぎ |
廃屋に手入れした如冬の薔薇 | こすもす |
舞続く館の玄関落葉風 | そうけい |
音もなく嵯峨の時雨や石畳み | よし子 |
一苦労して立ち上がる炬燵かな | うつぎ |
紙漉きの捩れ波打つ水の筋 | 宏虎 |
罅走る磴は震禍や冬すみれ | みのる |
舗装終へ滑りも軽し朴落葉 | 愛正 |
突っつきし形跡残る木守柿 | こすもす |
薄日背にメリヤスしまふ果大師 | なつき |
山頂にいまは閉ぢたる紅葉茶屋 | せいじ |
着膨れて逆打に撫づ獅子頭 | なつき |
木の葉舞ふ雲霞の如き風の空 | 愛正 |
夕枯野過ぐる電車を数えおり | そうけい |
2020年12月5日 | |
着膨れてプレーすグランドゴルフかな | こすもす |
青白く幽かに光る雪蛍 | せいじ |
日あたりに身を細うする寒雀 | 素秀 |
耳立てて神馬嘶く虎落笛 | かかし |
空映り込む鴨群れおこす波紋かな | 愛正 |
唐松の落葉褥のごとく積む | わかば |
中空に瞳と見しは雪蛍 | せいじ |
枯蓮自信の持てぬ骨密度 | よし子 |
冬青空茅葺の角際やかに | うつぎ |
水鳥や柏手響く神の池 | そうけい |
末枯れの叢高し河川敷 | 愛正 |
陽の当たり塀の片隅石蕗咲けリ | 宏虎 |
大盛りの浅漬明日は旅に立つ | 愛正 |
葛湯かくときの湯かげん混ぜかげん | よし子 |
高層のビル借景に冬薔薇 | よし子 |
悴む手包む大きな拳かな | なつき |
立ち上がる洋蘭花芽冬ぬくし | はく子 |
塩舐むる仔牛や冬の風に立つ | なつき |
参磴の杖に貼り付く紅葉かな | よう子 |
短命の手相の筈が日向ぼこ | うつぎ |
チョキ出来ぬ夢に飛び起き冬の朝 | こすもす |
風捉え風をはなして芒の穂 | よし子 |
千枚田天地返しの落葉鋤く | かかし |
コロナ禍の何時まで続く冬の霧 | はく子 |
冬鷗歌劇の街の乙女らよ | 小袖 |
皮ジャンにマスク真っ赤なオープンカー | なつき |
茅葺に移らんばかり紅葉燃ゆ | うつぎ |
医者通いメーター廻る万歩計 | 宏虎 |
鈍色の空の畜舎や冬ざるる | なつき |
チビ侍さながらの子や七五三 | こすもす |
日向ぼこ猫の寝そびる石階段 | 愛正 |
五時過ぎに暮れ時雨来る路店かな | 宏虎 |
短日や島の灯早も点りけり | わかば |
山茶花の寺の生垣紅百花 | そうけい |
虚子あつく語る長老芋煮会 | みのる |
短日や思ふばかりで捗らず | うつぎ |
山門の紅葉且つ散る落暉かな | かかし |
落ち葉掃く切りもなきと笑ひつつ | はく子 |
少年の餌に乱れる百合鴎 | 素秀 |
冬の虹墓地の向こうの山の端に | はく子 |
水筒の熱きコーヒー悴む手 | なつき |
懸大根高々として山の風 | よし子 |
山茶花や夕日の馬碑に供へ人 | そうけい |
曇天に山茶花の散る庄屋跡 | そうけい |
切通し抜けて日矢さす笹子かな | 素秀 |
畳なはる山際立たせ冬日出づる | はく子 |
草枯れのあめ色となる雨後の路 | そうけい |
極小のヘリさながらに雪蛍 | せいじ |
工場の点滅揺れて浮寝鳥 | 素秀 |
日を透かし朱を極めたる冬紅葉 | わかば |
夕ばえや寄せ波に沿ふ島千鳥 | 素秀 |
立つ波に影まき散らし夕千鳥 | みのる |
鳴き砂のさらさら乾く冬の浜 | 小袖 |
老い集ひ日向ぼこ組輪投げ組 | みのる |
秋惜しむ琵琶湖哀歌の流る船 | よう子 |
蟲付かず葉に艶残る柿落葉 | 宏虎 |
過去帳の墨のかすれや小六月 | 宏虎 |
炭焼の煤けし顔の八重歯かな | かかし |
小春日や煙一筋山裾野 | 愛正 |
兜煮の膳に一献褞袍着て | 小袖 |
蒼天下ポーズを競ふ冬木立 | うつぎ |
毛糸編むテレビドラマに涙して | みのる |
綿虫よ雪蛍よと姦しき | せいじ |
福火とて寺領の榾を焚きにけり | みのる |
唐門の極彩色や秋澄める | よう子 |
源流の七色の燦初氷 | かかし |
渇きたる土の冬田の続くなり | わかば |
落下傘部隊のごとく雪蛍 | せいじ |
歳暮選る人の流れに逆らはず | わかば |
そぞろ寒遅延を知らす電光板 | よう子 |
着膨れに手摺途切れし女坂 | よう子 |
2020年11月28日 | |
参道に大き白雲銀杏枯る | 素秀 |
石庭の主峰に添ひて石蕗黄なり | みのる |
パレットに拡がる絵具冬紅葉 | そうけい |
マスクの子いつもの席の船登校 | なつき |
本堂はそぞろ寒しや膝頭 | よし子 |
丈六の大日如来そぞろ寒 | よし子 |
青空と黄のハーモニー公孫樹 | せいじ |
直角に歩く男や神の留守 | なつき |
振り返リ立ち止まり辞す紅葉寺 | よう子 |
今年またこのアングルで城紅葉 | せいじ |
しばらくを我が掌に雪蛍 | はく子 |