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2023年03月27日

1 朝霧の川で仔鴨も餌探し あさむ
2 葯の黄や際立つ白き落椿 睦花
3 人気なき花万朶なり夜の雨 睦花
4 芝桜岩のうへにもこぼれをり のりお
5 菜種梅雨ひとつ大きい靴を買う れいこ
6 懐の吾子の位牌や花見酒 れいこ

2023年03月26日

1 裏庭に落ち葉のベッド猫昼寝 あさむ
2 縁側の干し柿とっておもてなし あさむ
3 透明の傘に満開桜花 睦花
4 桜東風薄桃色の道続く 睦花
5 鷺苔の飛び立つごとき地に這いて れいこ
6 春の朝ボール蹴る母飛び受く子 れいこ

2023年03月25日

1 雁帰るただ一筋に連なりぬ リエ
2 休日やスケッチブック春の色 あさむ
3 同色のバッタ飛び交う草むしり あさむ
4 宮島の春潮満つる大鳥居 文華
5 老木を守りし地蔵春の雨 おひつじ
6 境内に威風堂々老い桜 おひつじ
7 草履裏花屑残る雨上がり 睦花
8 うららかや信号の無き七辻路 れいこ
9 春靄の道の果てなる朝日かな れいこ

2023年03月24日

1 佐保姫の包み込みたる雨のあと 睦花
2 珈琲の味わい深く春テラス あさむ
3 一面の若芝埋めるゆりかもめ れいこ
4 一本の帯締で結う花衣 れいこ

2023年03月23日

1 郷離る朝山頂に春霞 睦花
2 母に手を振りし車窓や春の雨 睦花
3 春愁や鏡の中の白髪増え リエ
4 横たわる自転車二台桜人 れいこ
5 金髪の背中のシャッター花衣 れいこ

2023年03月22日

1 山桜詠みし歌碑立つ郷の春 睦花
2 城壁や宙に飛びそな菫草 睦花
3 立ち尽くすキンモクセイの香りかな あさむ

2023年03月21日

1 愛犬の腰に花びら春さんぽ あさむ
2 花吹雪餌と思うか池の鯉 あさむ
3 ぼた餅を供えし母の小さき背 睦花

2023年03月20日

1 初燕故郷の空のありあまる 睦花
2 菜の花の黄色まぶしい遊歩道 あさむ

2023年03月19日

1 谷戸深く無音の池に蝌蚪の紐 睦花

2023年03月18日

1 初蝶の影の上下す土留め壁 睦花
2 風車まわるそよ風あたたかく あさむ

2023年03月17日

1 朝礼に並ぶ靴音葱坊主 文華
2 優し気に河津桜は花開き 文華
3 せせらぎや谷戸の土筆の背比べ 睦花

2023年03月16日

1 外出に覚悟入らずな春の朝 あさむ
2 三椏の谷の空まで黄に染めし 睦花
3 地を這いて猫の目草の見飽かずや 睦花
4 卯の花や橋の向こうの花嵐 早渕庵
5 卯の花や岸の小波光増す 早渕庵

2023年03月15日

1 灯台を上りて近し鳶の巣の 睦花

2023年03月14日

1 春港や護衛艦旗のゆるり揺れ 睦花

2023年03月13日

1 駅ピアノ蕾桜に届かんや 睦花
2 白酒に女雛も頬が赤く見ゆ リエ

2023年03月12日

1 蒲公英の綿毛や裾に舞い遊び 睦花

2023年03月11日

1 丹沢の稜線緩み山笑う 睦花
2 春の朝二日見ぬ間に土手青む れいこ
3 袋より青く伸びたる葱坊主 れいこ

2023年03月10日

1 のどかなり初蝶舞いし浮かぶ雲 おひつじ
2 歳老いて腰曲げウォークいぬふぐり おひつじ
3 マウス持つ皺手をキラリ春の陽や 睦花
4 春の大社神の使いの八咫烏 ぽんこ
5 戸を閉めてなほ香り立つ沈丁花 澄子
6 岩壁の以外に細き春の滝 ぽんこ
7 啓蟄や枯れ木も芽吹き蘇る リエ
8 春の雨ジャガイモの芽の薄緑 れいこ

2023年03月09日

1 ひな壇を背にニッコリとお下げ髪 リエ
2 きらん草這いつくばりて一里塚 智恵子
3 藤棚や碁盤模様の影淡し 睦花
4 露地の奥ふいに丁子の香と出逢ふ 澄子
5 ふる里に従姉妹がひとり桃の花 澄子

2023年03月08日

1 後出しの負けるジャンケン室うらら そうけい
2 朝の陽の枝先選び咲ける梅 告水
3 無人駅水平線や海朧 睦花
4 はらはらと花弁散らせて梅果つる 千鶴
5 終点のなぞえパープル諸喝采 智恵子
6 糸桜ぽつりぽつりと花開き かのこ
7 暖かな朝鼻歌でシャツを干す かのこ
8 雁帰りただ一筋に連なりぬ リエ
9 古草や大きくうねる河川土手 れいこ
10 四温てふ一気に蕾膨らみぬ 澄子
11 草の戸に及びもつかぬ雛あり 澄子

2023年03月07日

1 大木の梅散る白の庭明かし そうけい
2 温き風ほころぶ顔で梅見かな リエ
3 梅の里パステル色のベール召し 睦花
4 しなる枝発つ鳥送りししだれ梅 紫陽花
5 冬の鳩着きつ離れつ廻りおり 告水
6 春風に心ほぐして草引きぬ 千鶴
7 おぼろげな夕日水面を走りける れいこ
8 寝ているのか起きているのか春うらら れいこ
9 梅ひかりつつ散りゆかむ土手の道 澄子
10 若者の日永に踊る影法師 智恵子
11 日矢射して春禽の色輝けり 澄子

2023年03月06日

1 風吹きて紅のシーソーしだれ梅 紫陽花
2 半島が海を二分す春の嶺 睦花
3 散る弁に合掌で受く古木梅 そうけい
4 これは梅梅よと叫ぶ弁の慈雨 そうけい
5 啓蟄や軽装で行くダム湖畔 千鶴
6 菜花畑豆画伯らの左見右見 智恵子
7 街灯のうえにふんわり朧月 れいこ
8 啓蟄の路上の蚯蚓狙う鳥 れいこ

2023年03月05日

1 火が走る火花落ち来る二月堂 文華
2 光浴び今咲きにけりクロッカス かのこ
3 ブラヴォーの耳に余韻や春の星 睦花
4 生花に園丁垣の菜花刈る そうけい
5 進級や写真貼り替ふ女子の部屋 そうけい
6 カウンターに職人にぎる海胆や鯛 千鶴
7 紅梅に僅かに遅れ白き咲く 澄子
8 県外の車に埋まる梅の里 智恵子
9 落ちてなお紅目立ちたるしだれ梅 紫陽花
10 夜目著き暗渠にかかる梅の花 澄子
11 初の雷ライト当たりし手術台 れいこ
12 オペ後の一人雛寿司春曇り れいこ

2023年03月04日

1 躓きて春空揺らす行潦 睦花
2 日向ぼこ集ふ人みな聞き上手 千鶴
3 壺焼きに足投げ出して九十九里 智恵子
4 梅の香の日溜まりに解く五感かな 澄子
5 湧水に手を差し入れし春の庭 澄子

2023年03月03日

1 三月の潮音刻を決め鳴りぬ 宏虎
2 春の夜の匂いに佇てば星いとし 宏虎
3 合格の二文字踊らんラインかな 睦花
4 早緑の土手に菜花の黄色かな かのこ
5 春の雲ふうわりふわり何もせず かのこ
6 翻る燕のごとき背中踊る れいこ
7 アスファルト割れ目割れ目に芽吹きあり 澄子
8 剣山に生ける天蓋かすみ草 智恵子
9 鶯餅食べて口の端青黄粉 千鶴
10 野梅咲く亡夫走りしコースかな むべ
11 夕朧総電線のたるみけり れいこ
12 剪定のはや大胆になりにけり 澄子

2023年03月02日

1 新聞が来て春暁を整うる 宏虎
2 歌に聞く丹後宮津の春夕べ 宏虎
3 春霞西窓の富士墨一色 睦花
4 制服の参拝の子に春夕焼 そうけい
5 春の日に鷺広ぐ羽根眩しけり そうけい
6 目の合つて卒業の子のはにかみぬ 更紗
7 履き慣れぬヒールひと日へ春の星 更紗
8 ミシン修理終えて我が家へ春の昼 ぽんこ
9 寒桜花びら風に流れけり かのこ
10 添え木した古木見守る犬ふぐり ぽんこ
11 さ緑の花芽開きて蕗の薹 千鶴
12 春ショールショーウィンドウに巻き直す 澄子
13 道端に濃いすみれ摘む女の子 智恵子
14 一切を寄せ付けず吹く北春風 澄子
15 張られたる母の習字や春障子 あひる
16 春夕焼け根本染めいしブナ五本 れいこ
17 春暁の頸城三山まだ白し れいこ

2023年03月01日

1 灯を消せば男女の雛は闇の中 宏虎
2 雛祭りお菓子備えて気嫌とる 宏虎
3 シャボン玉消えてしまって不思議な子 文華
4 老い雛や大垂髪の鬢黒し 睦花
5 子ら追ひて仔犬つまずく春野かな むべ
6 古雛のかんばせ拝す薄化粧 ぽんこ
7 丁寧に菜を洗う手や水温む かのこ
8 鷺の羽繕ふ池の温みかな そうけい
9 春夕焼鳥居に清き影模様 そうけい
10 山霞社殿の燈明あえかなり 千鶴
11 川風に抗いながら菜花摘む あひる
12 忙しなく密から密へ目白どち 智恵子
13 袖まくり外へ行きたや春セーター リエ
14 春昼のお散歩カート子等あふる れいこ
15 迷ひなく布裁つ鋏春麗ら 澄子
16 春泥をぐんぐん征きし犬の脚 澄子

2023年02月28日

1 雛祭りぜんざい馳走鑑賞す 宏虎
2 正座して美しき雛段見蕩れけり 宏虎
3 子柱に一輪ずつの落椿 睦花
4 枝垂梅凶の神籤の結びしまま ぽんこ
5 耳すます耕す手を止め初音かな おひつじ
6 笹鳴きや家庭菜園鍬休め おひつじ
7 畑染めの一番のりの菜花かな そうけい
8 マスクなしの卒業式や晴々と 千鶴
9 白鷺の毛繕ふ影水温む そうけい
10 枝揺らし忙しく動く目白どち 智恵子
11 春陽満ち宙にマスクを抛り投げ リエ
12 サイレンに連られ遠吠え春の月 澄子
13 二つ三つ咲いて香のなき沈丁花 れいこ
14 蓬摘み指先青き残り香よ れいこ

2023年02月27日

1 料峭の星光りつつ消えにけり 宏虎
2 料峭や素手で荒いし先祖の墓 宏虎
3 自己指圧して大の字の日向ぼこ そうけい
4 海空にずんと近づき青き踏む 睦花
5 観音の足元の従者エリカ咲く ぽんこ
6 種を蒔く老いた背中に春日差す かのこ
7 楊貴妃の艶やかさかな桃花林 かのこ
8 尾長鴨水潜る程しつ黒に そうけい
9 満天の星くず統ぶる朧月 千鶴
10 滴るやおむすびほどの大苺 あひる
11 雛出して雛のひと世のはじまりぬ 澄子
12 此処にまた鳥の狼藉落椿 澄子
13 車窓いま霧氷の林青き沼 智恵子
14 下萌のかたまりを避け大股で れいこ

2023年02月26日

1 朝桜ひときわ彩る暖かさ 多嘉子
2 しだれ梅紅増えるごと頭垂れ 紫陽花
3 二月商戦ハンサム男子店の番 宏虎
4 如月や拾った鋏のよく切れる 宏虎
5 春の朝竿の日向や増えにけり かのこ
6 荒れ庭に初クロッカス咲きにけり かのこ
7 春風や鼻腔にツンと精油香 睦花
8 青菜畑一葉一葉の春陽かな あひる
9 おはようと土雛の顔覗き込む ぽんこ
10 花曇りぬくもり放つ佇まい 多嘉子
11 レシピ見て沢庵漬けし夫と嫁 そうけい
12 ビロードの苔を褥に落椿 澄子
13 行きどまる廊下の奥に黄水仙 澄子
14 車窓いま霧氷の林青き沼 智恵子
15 蒲公英や隙間きらめく石畳 むべ
16 茎立ちの土手いちめんのノダイコン れいこ
17 垣椿道敷き詰めし落花かな れいこ
18 一面の野焼きの跡に雨けぶる 千鶴

2023年02月25日

1 幼き子焼蛤に飛び跳ねて 文華
2 ふらここの帽子と言葉飛びかって 文華
3 春浅し寄せて寄せてくる波貝殻も 宏虎
4 廃校なる校歌合唱春浅し 宏虎
5 我庭を縦横無尽春嵐 睦花
6 雨の午後眼鏡曇らすマスクかな ぽんこ
7 先客のあまた囀る見晴台 むべ
8 玻璃窓の隅に見つけし芽吹きかな あひる
9 日溜まりを独り占めして犬ふぐり 澄子
10 しなやかにリズム踏みけり春の風 れいこ
11 春の霜大地ゆるがす朝日かな れいこ
12 新調の長靴履くや春の雨 千鶴
13 部屋ぬくし出遅れそつと置く芥 そうけい
14 時はあり傘取りに行く春時雨 そうけい
15 庭桜昼餉に愛でる独り占め 智恵子
16 寒戻り客も疎らな午後のカフェ 澄子

2023年02月24日

1 砂浜に干して四日目海苔のもと 宏虎
2 封切れば蒸せる磯の香新若布 宏虎
3 渋滞や春三日月の入りにけり むべ
4 しだれ梅残雪あれど春は来ぬ 紫陽花
5 お立ち台子孫繁栄華やけり 文華
6 家路急くペダルに絡む春塵や 睦花
7 一本足鷺の凝視や草青む ぽんこ
8 十五年ぶりの再会桃花挿す あひる
9 いかなごの不漁のうわさ播磨灘 千鶴
10 北国に粉雪の舞う我が五十路 リエ
11 下萌のドッグランに大はしゃぎ 智恵子
12 紫陽花のはや早緑に芽吹きおり 澄子
13 麗らかや路上観察めく散歩 澄子
14 曲がりても空に向かいて芹新芽 れいこ
15 遅き夜の湯張りの窓に春の雨 れいこ

2023年02月23日

1 伸びるまでそっとしておく春の草 宏虎
2 ゴルフ場ダフリて下に草萌ゆる 宏虎
3 回送の声も長閑な昼下がり かのこ
4 祝卒業喉枯れる子のミュージカル そうけい
5 バス停へぽつぽつぽつとイヌフグリ 睦花
6 震え居る路肩に並ぶ花菫 そうけい
7 薄氷やアクアダンスで泡に帰す 紫陽花
8 春の鴨水脈の交差や池鏡 ぽんこ
9 清楚なる白梅背びろ鎖樋 ぽんこ
10 薄氷が割れて奏でるセレナーデ リエ
11 耕人や土の匂ひに包まるる 千鶴
12 牛糞をふたたび撒きし雨水かな 澄子
13 富士望む梅の木平八分咲き 智恵子
14 尖刃の春三日月や十八時 れいこ
15 坪庭のつらつら椿飽かずみゆ 澄子

2023年02月22日

1 春立つ夜卒寿の姉と語り合う 文華
2 シャリシャリと音美しき水菜鍋 宏虎
3 鉢に水ヒヤシンス根が美しく 宏虎
4 一人身の若やぐ友の春帽子 文華
5 テラス席茶器残されて日脚伸ぶ 睦花
6 揺れる髪広げた傘は夕陽色 南紗桃
7 夕景の雨の梅園鴉鳴く ぽんこ
8 日照雨降る風のぬけがら竹の秋 ぽんこ
9 梅東風や街へ流るる畑の雲 そうけい
10 寒三日月鈍き光の避雷針 そうけい
11 洗車終へ春塵愛車に容赦なし 智恵子
12 降下して椿にすがる小鳥かな 澄子
13 歩き初むあんよの先に犬ふぐり 千鶴
14 手土産に一輪添へし木瓜の花 澄子
15 紅白梅夫婦の如し寄りて咲く かのこ
16 朝の富士ふらここの風指定席 れいこ
17 炎上のビルのごとくの春朝日 れいこ
18 豆雛の木箱に残る亡母の文字 あひる
19 水たまり小さな薄氷踊りけり 紫陽花

2023年02月21日

1 手に取れどそのまま戻す桜貝 澄子
2 良縁の願いかけたる雨水かな 文華
3 福の豆鬼は私の化身かな 文華
4 葱畑の見張りの猫か大欠伸 そうけい
5 料峭や無言の酒で温もりぬ リエ
6 見入る梅間なく降り立つ雀どち そうけい
7 紅の口ちよんと描かれて紙雛 あひる
8 風光る上り電車の滑り込む かのこ
9 つんつんとチューリッヒの芽顔を出す かのこ
10 ふる里や苔生す灯籠蕗の薹 ひろし
11 木漏れ日に石灯籠と蕗の薹 ひろし
12 両袖の地味ないでたち沈丁花 ぽんこ
13 蕗の薹今年も苦味丁度佳し 睦花
14 春祭りあるらしならし太鼓鳴る 千鶴
15 冬銀河スリーナインの終電車 智恵子
16 朝東風に凛と向きあう鴎列 れいこ
17 河津桜葉芽のほころび鮮やかや れいこ
18 永き日や千客万来小鳥どち 澄子

2023年02月20日

1 蕗の薹朝は知らずに散歩せり 宏虎
2 手料理に揚げて美味しや蕗の薹 宏虎
3 熱き恋のら猫の声春のどか おひつじ
4 ありあまる笑顔を作る母子草 文華
5 翻る軽きコートや春一番 かのこ
6 すみれ花揺さぶる春の嵐かな かのこ
7 春泥の足跡しるきスニーカー ぽんこ
8 囀れる鳥の姦し枝渡り ぽんこ
9 浅春の弾く人を待つ駅ピアノ あひる
10 写メ撮ってせっせと子らに梅便り 千鶴
11 春の野に群れて啄む雀の騒 そうけい
12 参道の掃き目逃れて草萌る そうけい
13 写角から溢れん黄色花ミモザ 睦花
14 教会に出張書店うららけし むべ
15 暮れがたき江戸の面影残す坂 澄子
16 雨晴れて光る早緑柳揺る 智恵子
17 ワイファイの風光る宿パスワード れいこ
18 同意書のふるえる署名春の闇 れいこ
19 引き潮に浚われゆける桜貝 澄子
20 冬風や葦のマフラー沼囲む リエ

2023年02月19日

1 久に訪ふ卒寿すんなり菱餅を 宏虎
2 眠る子のゆるびし夢や蕗の薹 宏虎
3 老ひ犬の尻尾ふりつつ春野原 むべ
4 春立ちて空へ弾ける子らの声 文華
5 大根の畑に一本太き白 睦花
6 連山の見おろす郷に麦あおむ あひる
7 春風に絵馬打つ余韻水子地蔵 ぽんこ
8 病む身なら己に甘し春眠し 吉明
9 曇天を突き刺す枝の梅の園 ぽんこ
10 魚乗せ川下目指す薄氷ぞ 紫陽花
11 三枚の鱵に透けし刃先かな むべ
12 雛あられピンクばかりを食べる子ら 智恵子
13 夕東風やかの世の母にポストまで れいこ
14 芭蕉の句東風口ずさみ三百余 れいこ
15 棚田へと続く細道雉子走る 千鶴
16 鯉過りとろりと動く春の水 澄子
17 水温む水面に揺るる逆さ富士 澄子

2023年02月18日

1 薄氷の下で踊りし紅一点 紫陽花
2 正座して狙いは一つ雛あられ 宏虎
3 外つ国へ送る荷を足す雛あられ 宏虎
4 寒鴉跳びてよけたる糞白し 睦花
5 紅白の梅の幔幕筑波山 リエ
6 筑波山梅くれないの裾模様 リエ
7 鼻先の光も愛し雛人形 そうけい
8 一切れが弐阡円なり大根焚 ぽんこ
9 一本の蘆の直立池涸れる ぽんこ
10 冴えがえる畑すっかり白き色 おひつじ
11 春風や小鳥のさえずり軽やかに おひつじ
12 棘の間に小さな薔薇の新芽かな かのこ
13 紅のまだ柔らかき薔薇芽かな かのこ
14 梅咲くや白さ際立つ松の陰 千鶴
15 藻草生う覗く小流れ日の斑 智恵子
16 ビルに映る太陽の空凍返る れいこ
17 春寒やビルの窓拭く命綱 れいこ
18 縄文のかわらけひとつ春の土 澄子
19 春寒し躯体折り曲げ犬の小屋 澄子

2023年02月17日

1 金柑を煮る厨には母も居り 睦花
2 決め兼ねる鏡の中の春帽子 宏虎
3 春炬燵書き手の如く物拡げ 宏虎
4 春眠や寝癖と髭で医者通ひ 吉明
5 先取りを競ふが如く芽吹く枝 そうけい
6 春告げる河津桜のピンク色 かのこ
7 紅に芽ぐむ牡丹の枯枝かな かのこ
8 香の強く臘梅一枝凛として リエ
9 水子供養供華の溢れる幟かな ぽんこ
10 石磴にずいと蚯蚓いでにけり ぽんこ
11 三寒の波の尖りや湾の外 千鶴
12 揺れる枝四温に釣られし紅一輪 紫陽花
13 恋猫のまことに狭き露地ぬけて 澄子
14 早咲きのはなに人みなあゆみ停め 澄子
15 春の日のせめて枕の干し所 そうけい
16 冴えかえる脚埋め尽くす湿布薬 れいこ

2023年02月16日

1 薄雪やラピスラズリの実を隠し 睦花
2 張り替えて一間が広し春障子 宏虎
3 待つ妻に草餅土産帰りけり 宏虎
4 ひなたぼこ春の陽ざしのやわらかき おひつじ
5 凛として冴ゆる月影夜明け前 おひつじ
6 荒東風や稜線の雲吹きはらふ むべ
7 春眠の覚めて味噌汁冷めてをり 吉明
8 入滅の寝釈迦迎える摩耶夫人 ぽんこ
9 手水舎の薄氷割られ水透けり 千鶴
10 紅椿落ちたるあとにもうひとつ 澄子
11 夜鳴き蕎麦ラッパの音にときめきて 智恵子
12 三匹が尾を振り立てて猫の恋 リエ
13 白菜の芯にぽこぽこ新芽かな れいこ
14 青空に泳ぐごとくの鰊干 れいこ
15 もんじゃ屋の狭き間口や春灯し 澄子

2023年02月15日

1 比良晴れてえい挿す湖の片濁り 宏虎
2 早春の風匂いなく野辺走る 宏虎
3 子の車への春雪と退院す 吉明
4 街灯下帰路の程よき春の雨 そうけい
5 レジに任すダウンロードの日永かな そうけい
6 寒戻り目覚めし頬に寄す冷気 かのこ
7 芽を孕み膨らむ枝先春を待つ かのこ
8 焼芋の蜜あふるるや石のうへ むべ
9 山にのみ降りし新雪踏みふみて 千鶴
10 つま先に懐炉巻きたし裏参道 千鶴
11 山裾の梅の幔幕紅白に リエ
12 大空をバックにオブジェ冬木立 リエ
13 日脚伸ぶ野菜も干され竿の先 澄子
14 毎日の食を潤す大根漬け ぽんこ
15 薄切りの鮑に肝や島食堂 智恵子
16 残雪や生木に彫りし跡の消え れいこ
17 残雪や住む人の無き一軒家 れいこ

2023年02月14日

1 ときめきは老爺にもありバレンタイン 宏虎
2 菓舗に列バレンタインの日なりけり 宏虎
3 妻子孫バレンタインのチョコ三つ 吉明
4 来し孫にバレンタインの相手問ふ 吉明
5 大通り尽きる先には雪の富士 むべ
6 コロナ恐いテッシュ片手に春の風邪 ぽんこ
7 波板の溝に春霰ころげ込む あひる
8 ポップコーンめきて跳ねたる春霰 あひる
9 春寒や案内届くゴッホ展 千鶴
10 涅槃絵の前で聞き入る講談を ぽんこ
11 眼に見えてこころの見えぬマスクかな リエ
12 炬燵より窓を眺むる余寒かな かのこ
13 冴え返る鍵盤の指ままならず かのこ
14 芹摘み女赤きその手に真白き根 智恵子
15 樹々の間に春光散らす小鳥かな 澄子
16 がら空きの電車にまどろむ夜半の春 れいこ
17 義理チョコに混じる本名愛の日よ れいこ
18 店頭に桃の花枝溢る頃 澄子

2023年02月13日

1 病身にそっと出されし蜆汁 吉明
2 幸有ると生きる幸せ下萌ゆる 宏虎
3 下萌えす神社へ続く人絶えず 宏虎
4 髪型の決まらぬ朝も春の雨 更紗
5 心電のホルダーはずし青き踏む 更紗
6 下萌の一雨ごとに土ゆるむ ぽんこ
7 総値上げため息で買うバレンタイン リエ
8 バレンタインマスク越しにチョコ眺め リエ
9 競り合ひて鍋に開きし浅利かな あひる
10 春時雨畑に転がる草ロール 千鶴
11 街灯の光かすみて夕の雨 そうけい
12 傘つぼめ水たまり跳ぶ春の雨 そうけい
13 春近し日矢存分に小石原 澄子
14 友の顔殆ど知らぬ卒業子 智恵子
15 ものの芽や都会にもある獣道 澄子

2023年02月12日

1 春の夕ただ陽だまりのままに居て 吉明
2 猫の恋夢破れて朝寝むし 宏虎
3 無人店買う不揃いのほうれん草 宏虎
4 灯りつく帰宅の庭の香うめぞ咲く そうけい
5 木守柿庭の際だつ雅印とし そうけい
6 炊事する夫の背中や暮遅し ぽんこ
7 園児等の小さきスコップすみれ植ふ ぽんこ
8 節分祭屋台の灯りに誘われし おひつじ
9 撮るよりも拾うが勝ちや節分祭 おひつじ
10 鉢植ゑのチューリップずらり華やぎて 千鶴
11 乳母車にプードル乗ってうららけし 千鶴
12 一輪車広場に笑ふ子らの春 智恵子
13 茶畑をみどりにもどし雪解雨 更紗
14 陽炎や出奔の猫戻り来し 澄子
15 踏み跡のつきし靴にも春の泥 れいこ
16 初蝶や翅をたたんで雪の上 れいこ
17 風船を貰ひし子の笑顔かな 澄子

2023年02月11日

1 春の夕親は陽だまり子は何処 吉明
2 村に残る明治の校舎燕来る 宏虎
3 鳥帰る水際に芹の二三寸 宏虎
4 雪掻きや腰低くして掬ひたる 更紗
5 野地像の前掛け新た春の色 ぽんこ
6 千手観音お顔優しき春の雲 ぽんこ
7 雪の夜の路地にひびきし灯油売り 更紗
8 雪晴れや猫も避けゆく潦 澄子
9 寒月の崩れし町をただ照らす リエ
10 春の雪跡形もなし晴れの朝 智恵子
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