投句控


2018年12月   
日向ぼこ聖歌洩れくる木のベンチ  菜々
高原の並木の分かつ枯野かな  隆松
前は海後は山の枯野かな  宏虎
広ごれる枯野の古き作業小屋  こすもす
灰色の空と溶け合ふ枯野かな  かつみ
色のなき枯野の道を郵便車  よし子
朱の橋のあらはにせしや大枯野  満天
空谷の隧道出ると枯野原  かつみ
日向ぼこして極楽にゐるつもり  よし子
諍ひて鴉の騒ぐ枯野かな  素秀
被災地の枯野に埋もる七ヶ年  海潮音
枯野いま入り口隠す秘密基地  智恵子
日向ぼこ長寿の父母を懐かしむ  小袖
世間から世界の事へ日向ぼこ  たか子
靴を取り足投げ出すや日向ぼこ  隆松
多弁な世話を焼く婆日向ぼこ  宏虎
老いてなほ気丈な人に似し枯野  たか子
雲一朶なに見るでなし日向ぼこ  よう子
枯野へと赤き車両の消えにけり  満天
恙なく百三歳の日向ぼこ  わかば
玻璃ごしに庭を見る猫日向ぼこ  素秀
メモ帳を手元に窓辺ひなたぼこ  三刀
突風に逆らひもして枯野ゆく  せいじ
お尻に根生えて立てざる日向ぼこ  みのる
枯野中前照灯の電車不意  三刀
恙なし転た寝になる日向ぼこ  かつみ
存分に紫外線浴び日向ぼこ  うつぎ
湿原の道は無尽や大枯野  わかば
子守像鳩と雀と日向ぼこ  はく子
真青なる空へ広がる枯野かな  はく子
一輌車に小さき踏切り大枯野  うつぎ
腹掻く手猫とシンクロ日向ぼこ  隆松
電飾の闇に華やぐ枯野かな  智恵子
縁側に日向ぼこして猫がゐて  よし子
石垣にもたれ鍬抱く日向ぼこ  よう子
編み棒の慣れた手つきや日向ぼこ  こすもす
繋がれし山羊の一匹枯野かな  素秀
歳時記を繰りては縁に日向ぼこ  やよい
傍らに俳句本おく日向ぼこ  なつき
孫の婚までは生きたし日向ぼこ  あさこ
石蹴りの子らを隠して枯野原  海潮音
離陸機を頭上に仰ぐ枯野かな  みのる
嘘一つ見抜かれてをり日向ぼこ  海潮音
妻と娘を送りて独り日向ぼこ  せいじ
おしくらまんじゅうめきて婆どち日向ぼこ  こすもす
朱雀門まわりは枯野寂しけり  宏虎
雨上がる雲走らせて枯野原  たか子
連山を遠くに控え大枯野  よし子
お持たせのハワイチョコ分け日向ぼこ  なつき
大枯野大極殿の鴟尾遥か  うつぎ
徘徊の母を枯野に探しけり  素秀
呆として流れる雲や日向ぼこ  三刀
大極殿へカーブ幾つや枯野原  こすもす
山裾に拡ごる家と枯野かな  明日香
川下り見ている猿の日向ぼこ  あさこ
又三郎自由奔放大枯野  たか子
日向ぼこ父母のアルバムめくりつつ  素秀
行けるなら天国希望日向ぼこ  みのる
山あひに段々となる枯野かな  隆松
枯野なる宮址ただ中電車過ぐ  はく子
行き暮れて湯だけが馳走枯野宿  もとこ
畝筋のうつすら残る枯野かな  明日香
日向ぼこ半袖の子は駆け回り  なつき
日向ぼこあの世賑やかかも知れぬ  あさこ
ふところに弁当抱いてゆく枯野  海潮音
山颪遮るものなし枯野かな  智恵子
亡き母の思ひ出一つ日向ぼこ  あさこ
枯野行くショウチャン帽の影一つ  三刀
繰り返す母の言の葉日向ぼこ  わかば
日向ぼこ生命線を見せ合ひて  うつぎ
あれそれと話のつづく日向ぼこ  満天
濯ぎ物干してそのまま日向ぼこ  せいじ
無の境地にはほど遠く日向ぼこ  もとこ
檄文の杭打たれたる枯野かな  みのる
日燦燦一句授かる日向ぼこ  明日香
横に居るはずの人居ぬ日向ぼこ  はく子
草野球土手に陣取り日向ぼこ  智恵子
枯野原ぽつんと小さき道標  小袖
これからはお前が頼り日向ぼこ  明日香
一つ星あげて枯野の昏れなんと  みのる
千年の欅枯野を踏まえ立つ  菜々
大欅見えゐて遠し枯野みち  菜々
こんなにも真っ平らかな大枯野  明日香
煙立つ枯野の端の一軒屋  三刀
末枯れてゆくも美し大和かな  よし子
日向ぼこ子守の爺の先に寝て  なつき
恙なし程よき距離の日向ぼこ  よう子
魚屋道開け眼下の枯野かな  わかば
子やぎ居る枯野に命温かき  たか子
夕映えのワンドを渡る枯野風  せいじ
煙吐く汽車の懐かし枯野かな  小袖
枯野原二分けしたる廃車路  かつみ
小学生駆くる枯野や声高し  隆松
布を刺す一針づつや日向ぼこ  ぽんこ
父となる人の笑顔や日向ぼこ  海潮音
餌をやる枯野の猫を集めては  やよい
野良猫の傍に攻め来る日向ぼこ  かつみ
骨壺を抱きて帰る枯野道  はく子
幼抱きなほ温かや日向ぼっこ  もとこ
庫裡の犬泰然自若日向ぼこ  よう子
同じ席同じ顔触れ日向ぼこ  宏虎
日向ぼこめく大玻璃の車検場  よし女
日向ぼこいつしか祖母は船を漕ぐ  菜々
耳かきのこけしを揺らし日向ぼこ  やよい
枯野原マウンテンバイク走り抜け  ぽんこ
大枯野ふた分けにして札所道  菜々
色褪せし地酒の看板枯野原  こすもす
大枯野果てより響く鳶の笛  よし女
とみかうみ枯野の里を吟行子  やよい
噂とは倍の尾鰭や日向ぼこ  宏虎
置物の猫と見粉ふ日向ぼこ  満天
湖際の眼下に広ごる大枯野  ぽんこ
日向ぼこ土手の少女と盲導犬  智恵子
日向ぼこ昔語りの尽きぬ母  うつぎ
落暉今銀光る大枯野  わかば
ママ友の話尽き無き日向ぼこ  ぽんこ
日向ぼっこ店主も客も釣談義  もとこ
ぽん菓子の爆ぜるを待ちて日向ぼこ  なつき
まっしぐら枯野の中を犬走る  ぽんこ
故友会ひ過日語りて枯野かな  もとこ
参道に真白き猫の日向ぼこ  なおこ
厨房そと煙草くゆらせ日向ぼこ  小袖
噴煙を雲かと紛ふ枯野かな  よし女
日向ぼこ子に話すごと膝に猫  満天
猫もきて寺の床几に日向ぼこ  やよい
緞帳の上がるが如き雲枯野  よし女
百選の棚田を眼下日向ぼこ  せいじ
散歩犬尻目に猫の日向ぼこ  よし女
足跡を隠す枯野の風軽し  よう子
枯野行く目当ては水車廻る茶屋  あさこ
2018年11月   
集合時間なくて気儘や旅小春  やよい
倒木に迂回し辿る落葉道  せいじ
小春日や人の恩知る今門出  もとこ
小春日や団地広場に蚤の市  菜々
丘陵の空真空なる落葉径  ぽんこ
小春日や庭師の這入りさっばりと  あさこ
地の底の確かな温み落葉踏む  うつぎ
吹きたまる落ち葉の嵩の辻地蔵  よし子
な滑りそ飛沫ここまでこの落ち葉  よう子
丘の上の四阿落葉を踏みながら  こすもす
落葉踏み行く木洩日の散歩路  かつみ
生きて見ゆ25万博小春晴  かつみ
鬼ごつこしてをる風の庭落葉  みのる
晴れ着の子満面の笑み小春の日  こすもす
小春日や母の胎内居る如く  宏虎
立ち寄ると娘のメール卓小春  明日香
野地ゆかば靴底ぬくし落ち葉道  智恵子
禅寺の落葉掃かれし石だたみ  あさこ
水平に吹かるる落葉頬を打つ  うつぎ
朴落ち葉その大きさを拾いけり  たか子
交差点落葉愉しげに転げ  なおこ
縁側に漢爪切る小春かな  三刀
浮き島に滲むタンカー浜小春  智恵子
小春日や地蔵様めく力石  小袖
湯呑み手に寛ぐ婆の縁小春  智恵子
小春日の右へ左へ近江富士  満天
一樹立つ小さき盆栽にも落葉  もとこ
卓小春ミルに砕ける豆の音  みのる
まんまるの石を集めて浜小春  やよい
小春日にゴルフ会員辞しにけり  宏虎
大文字山より望む古都小春  せいじ
林道は陽の燦々と落ち葉敷く  智恵子
ゆくりなく師の句碑に会ふ宮小春  うつぎ
鮮やかな落葉も踏みて磴登る  満天
まほろばの瓦彩る柿落葉  もとこ
石頭撫で撫で小春の力石  うつぎ
孫たちと遊ぶ小春の至福時  かつみ
一日旅正倉院の列小春  わかば
そこここに落葉集めて苔の庭  せいじ
艶やかな彩を残して柿落葉  かつみ
柵の中鎮座の力石小春  よう子
恋唄やお染久松墓小春  たか子
落葉積む森に理学部研究棟  菜々
竿のべて釣れずともよし波止小春  みのる
小春凪沖に影濃き祝島  よし女
紺碧の瀞に散らせる落葉かな  うつぎ
踏みこみて嵩に驚く落葉かな  こすもす
銀杏散る六百年の葉を重ね  あさこ
嵩高き落葉の下に眠る皇子  明日香
一輪車乗り回す児園小春  ぽんこ
トルソーの雀も遊ぶ小春かな  よし子
北国にほっと一日の小春かな  よし子
斑鳩の笑い仏や里小春  はく子
小春日やハルカス浮かぶ水鏡  ぽんこ
裏庭の捨つるに惜しい柿落葉  明日香
降りしきる銀杏落葉に翁句碑  菜々
腐葉土へ積みたむ落葉ほっこりと  はく子
公園のボール遊びや落葉舞ふ  満天
今はもう座して小春の力石  小袖
雀二羽老々らしや屋根小春  かつみ
金色の大地銀杏落葉かな  三刀
神木の洞に落葉の吹きだまる  小袖
猫達は屋根にたむろし寺小春  たか子
水影と共々走る銀杏落葉  ぽんこ
小春日や紙飛行機の大回旋  さつき
小春風お礼参りの絵馬鳴れり  なつき
結界や落葉の舞ひて車窓打つ  あさこ
眼帯で夫と手つなぐ小春の日  なつき
小春日や吾が心中に翳りなし  宏虎
湖小春外輪船より周航歌  菜々
落葉踏む音にリズムの生まれけり  わかば
馬の背を歩く人影山小春  わかば
飛機一機銀翼ひかる小春空  よし子
二時間の束の間散歩街小春  こすもす
校長の日課や門の落葉掃く  やよい
落葉風稲荷の狐隠れたり  もとこ
廃屋の屋根や樋まで散落葉  宏虎
唐傘に落葉降りたり骨董市  なつき
小春日や旧居留地のカフエテラス  わかば
朝掃きて夕また掃く落葉かな  三刀
連鎖して風に駈けだす落葉かな  みのる
川下り落葉拾ひの小舟また  さつき
生垣の中より聞こゆ鳥小春  明日香
自家用車は棚田のカフェ窓小春  なおこ
ざくざくと砂利踏む渚小春凪  やよい
ライブへと白髪群れし小春かな  もとこ
苔庭の落葉舞はせて寄せあつむ  なつき
高札場探す箕面の辻小春  よう子
倒木に降り積もりたる落葉かな  せいじ
揺蕩ふて流れ掴みし落ち葉かな  よう子
縁小春話しは弾む嫁姑  菜々
シスターら賛美しながら落葉掃く  みのる
嵩高き落葉二人で掃かねばと  よし女
墓守と猫談義する小六月  たか子
神の杜嵩の落葉に静もれる  はく子
水底の散り敷く落葉色極む  満天
園児らの手つなぎ散歩宮小春  小袖
ロープウエイ小春の日撥ね山上へ  はく子
野良猫の歩みも軽き小春かな  三刀
廃屋や理容店らし落ち葉踏む  よう子
石磴の落葉踏みかけな滑りそ  ぽんこ
駅小春中折れ帽の靴磨き  なつき
月参り直前までの落葉掃き  明日香
境内に散り積む落葉風に舞ふ  宏虎
嬰児を抱けば笑へり小六月  よし女
小春日や勤皇志士の慰霊祭  よし女
小春日の野辺に遊べる心地かな  わかば
行列もルンルン気分小春の日  こすもす
西行の妻子が墓へ落葉道  やよい
哲学の道いま落葉時雨かな  せいじ
落ち葉掘り何かこそこそ森のリス  智恵子
それぞれの印組む羅漢堂小春  たか子
小春日の琵琶湖一周バスツアー  満天
ランナーを追いかく銀杏落葉かな  よし女
落ち葉掃くかさこそ風の音のやう  よし子
踏みしめる柞紅葉の靴の音  三刀
落葉時雨終の一枚吹かれゆく  有香
蕎麦屋まで小春日和の谷戸をゆく  あさこ
落葉積み重ね眠らせ腐葉土へ  はく子
2018年10月   
夕陽に染まり色ます照り紅葉  三刀
漕ぎ出だす車輪の音や無月なる  更紗
霊山はいずこも紅葉寺となり  やよい
山粧ふ大磐座を天辺に  菜々
石磴は易易ならず山紅葉  よし女
剥落の野外ステージ紅葉燃ゆ  よし女
目の高さ幼と合わせ眺む月  こすもす
摂津峡岩にはだかる渓紅葉  ぽんこ
自転車を降りてゆつくり今日の月  満天
鮮やかな吊橋しのぐ溪紅葉  よし女
夜汽車いま月の渚に傾きぬ  みのる
紅葉寺お下がりに受く長寿箸  なつき
満月や目覚める度に空仰ぐ  明日香
ナンキンハゼまだもの足りぬ紅葉ぶり  こすもす
虫食ひの痕も色葉に紛れけり  せいじ
竹燈夜天守にかかる望の月  やよい
なめらかな筆の運びや月明かり  智恵子
終い湯を落として仰ぐ後の月  うつぎ
黄葉散り葉っぱバイバイ幼言ふ  もとこ
月天心夢見る老いを貫かむ  みのる
盆栽のまづ三葉が紅葉づれり  明日香
ロープウェイこれはこれはの渓紅葉  やよい
深呼吸せむと外に出る星月夜  うつぎ
天文ファンならずとも見る今日の月  こすもす
月光の太き道ゆく巡視船  なつき
ままごとの続きはあした庭の月  小袖
下紅葉虫食い穴のきらきらと  なおこ
誕生日過ぎてひと月後の月  こすもす
天辺より始まりてをる紅葉かな  こすもす
渓紅葉滝の白布をカッティング  よし女
こんばんは満月を愛づ垣根越し  みのる
赤き実を隠す紅葉花水木  明日香
紅葉狩異人の多き渡月橋  宏虎
薄紅葉山門黒き太柱  たか子
吊橋をはさみ紅葉と黄葉づくし  宏虎
山門の屋根高からず散る紅葉  よし子
あなたとは程よい距離や月の友  もとこ
薄雲のゆるりと動く十三夜  わかば
紅葉山伽藍の屋根の見えかくれ  よし子
もう一度庭に出てみる後の月  三刀
ネオン添ふダウンタウンの赤い月  もとこ
句ともがら指さす方に後の月  はく子
名月や島の明かりの点々と  わかば
後の月更けて一人の部屋にまで  はく子
伝説の渓の深さや初紅葉  よし子
通勤に混じる旅人や朝の月  なつき
連山の稜線濃ゆく月登る  かつみ
透き通る川面に一葉夕紅葉  ぽんこ
船逍遥川下りする紅葉舟  あさこ
紅葉まだ千鳥掛けなる峠道  あさこ
ジャズライブ池に名残の月真白  やよい
オリオンをそっと侍らせ月今宵  たか子
木洩れ日を浴び降る紅葉帯の路  かつみ
山頂の灯を置き去りに望の月  うつぎ
名月を宿して寧し心字池  みのる
紅葉且つ散る磨かれし廊下より  更紗
紅葉谷上りつめれば観音像  三刀
観音山の裾廻を染めて紅葉川  菜々
夜風ふと木の香ただよう十三夜  よし子
法話と月のしずくの青畝句碑  宏虎
山々の起伏のうねり紅葉山  ぽんこ
いちばん星見つけし空に後の月  はく子
紅葉且つ散る石棺の展示場  よし女
街騒をくまなく照らす今日の月  ぽんこ
月今宵満天の星寄り添ひて  明日香
呆け封じ観音かざす紅葉かな  はく子
香煙の絶ゆることなき紅葉寺  三刀
抹茶飲む庭一面の散り紅葉  あさこ
いっせいに雲しりぞけて月明かり  たか子
はち切れんばかりや月の南中す  せいじ
初紅葉復旧半ばなる寺苑  せいじ
月今宵しづかに揺るる池面かな  更紗
片枝となりしは風禍もみづれり  うつぎ
月の夜の湖に魚の跳ぬる音  うつぎ
つくばいにゆらぐ月影一つあり  智恵子
星なき夜湯けむりのみて月清か  もとこ
錦秋や母子像白く佇みぬ  なおこ
スイッチバックの登山電車や紅葉晴  やよい
櫨紅葉数多の石の無縁塚  ぽんこ
探鳥や訪ひし池の辺薄紅葉  わかば
寺までの大練塀や蔦紅葉  たか子
名月へ見得切つて立つ男松  みのる
嵐峡の瀞にかざして山紅葉  せいじ
肥満気味月見をかねて夜散歩  かつみ
名月の路地と抜け道照らしけり  宏虎
満ち欠けのある人の世や後の月  たか子
一片の添ふ雲もなき今日の月  満天
天界と地上をつなぐ夜夜の月  宏虎
月光に庭の草花艶めけり  満天
舟の浮く水面に映える庭紅葉  あさこ
もみづれる湖畔に立つや鯉の口  三刀
激つ瀬に川舟跳ぶや紅葉渓  せいじ
喬木の中に色添ふ紅葉かな  わかば
単線の渡る天空紅葉谷  かつみ
一刷毛の雲を払いて今日の月  かつみ
早々と穴の明きたる柿紅葉  あさこ
展けたるダム湖に望む紅葉かな  わかば
江の電や軒の紅葉に触れもして  智恵子
塗香して撫づる大数珠紅葉寺  なつき
朝戸くるまづ満月を探しをり  明日香
急磴を一直線に初紅葉  満天
岩風呂に波砕け入る月の宿  なつき
初もみじ女も菩薩に練供養  はく子
夕月や都会は今夜も眠らざる  よし子
紅葉の間暮れゆく古都の影法師  智恵子
江の島に落つ日眺る紅葉山  智恵子
天隠す葉からはじむる薄紅葉  もとこ
願ひ事言つてみたしや今日の月  満天
錦繍のお山へ架けて極楽橋  菜々
夕紅葉ベンチのスポットライトなる  なおこ
星月夜夫を迎へにそこらまで  菜々
社会人になつて初めて月の道  なおこ
赤も朱も黄も橙も照紅葉  更紗
すくっと一本動物園の銀杏黄葉  なおこ
寺辞して京をすずろに十三夜  菜々
2018年9月   
七宝焼の壷や秋水溢れしむ  よし女
龍頭口かそけき音の水の秋  ぽんこ
天高し五尺の漢天を突く  三刀
霊峰の秋水を吐く竜の口  みのる
蹲踞を知らぬ鳥浴ぶ秋の水  あさこ
細細と古刹の奈落秋の水  こすもす
激ちきて瀞に鎮まる秋の水  みのる
仁王門へと跨ぐ小流れ水の秋  こすもす
単線に沿ふ谷川の水澄める  わかば
池澄むや番のスワン点描に  菜々
堤防の一部決壊秋の水  ぽんこ
水澄みて小魚跳ねる水輪かな  明日香
御手洗の柄杓に一杯秋の水  満天
墨擦るや硯の海に秋の水  やよい
浮殿と青空映し水澄める  さつき
豪雨あと濁りの残る秋の水  明日香
秋水に砂捲き野球中断す  あさこ
澄む水へ山山映し風もなし  満天
真砂透く里の小川の水澄める  はく子
薬飲む胃の腑へすつと秋の水  満天
起きぬけに秋の水もて漱ぐ  やよい
渡し舟竿さす水音涼新た  智恵子
ポンプ井戸あふれさせ汲む水の秋  なつき
飛石に靴跡かさね水の秋  なつき
漣の広ごる池や水の秋  こすもす
卓上の脚長グラス水澄めり  よし女
洗顔の肌の感触水の秋  ぽんこ
澄む水に鰭立て鯉の登り来る  満天
水澄めり藻草ゆらめく疎水かな  やよい
橋いくつ渡りふる里水の秋  菜々
青龍の吐く蹲踞の水さやか  なおこ
秋水の流れを変えて土嚢積む  たか子
先づ一杓お地蔵さまへ秋の水  菜々
律川の岩床を急く秋の水  みのる
足裏に木道やさし水の秋  菜々
リハビリの瀬音爽やか遊歩道  智恵子
秋水の高鳴る山河戻り橋  小袖
秋水鳴る丸太くり抜くランプの夜  なつき
願い込め水掛観音秋の水  明日香
奥入瀬の流れ滔々水澄める  わかば
水の秋空をぐるりと鷺一羽  ぽんこ
御手洗の柄杓竹製秋の水  たか子
秋の水打ちて祇園の石畳  はく子
楽奏で磊々くぐる秋の水  わかば
底砂を吹き上げ池の水澄めり  よし女
透き通る秋水満満花藻揺れ  こすもす
秋水の礁に凛としぶきけり  せいじ
手習ひの硯へ満たす秋の水  菜々
老農のほころぶ顔や豊の秋  三刀
清浄と彫る手水石秋の水  小袖
魚の影一直線に水の秋  三刀
神水と言はれる水の澄みきつて  明日香
沖航けばいや増す魚影水澄める  せいじ
水澄みて模様数多や池の鯉  智恵子
色変えぬ松狛犬の尻高し  三刀
白鷺は中洲選びて秋の水  たか子
澄む水や弘法の井戸今もなほ  満天
秋の水亡き母似なる顔映す  あさこ
川堰は向こう岸まで水の秋  たか子
小漁港秋の真水で網洗ふ  よし女
磊磊のしぶき重なり水の秋  ぽんこ
山の井の流れ静かに秋の水  わかば
水澄みて助走の鳥の水尾白し  こすもす
空き缶の沈む二三個水澄めり  やよい
自害の碑粗末な茶碗秋の水  たか子
秋の水底に沈める色付く葉  あさこ
何時の世の水か湧き出づ秋山路  はく子
秋水を神に供へて窯閉づる  よし女
昼ともす渓の一亭水の秋  みのる
奥琵琶の小泊に和ぐ秋の水  せいじ
石たたき手水に写す水澄めり  智恵子
浮御堂映す湖水の澄みに澄む  せいじ
赤白の鯉を沈めて水の秋  あさこ
湧き水に踊る小石のさやかなる  智恵子
秋水のわが顔掬ひ漱ぐ  みのる
胸を突く出船の汽笛水澄める  せいじ
堰越えて白き泡立つ秋の水  なつき
閼伽水のかなぶん助く秋の水  明日香
澄む水へ笹舟を浮かべて見る  はく子
花の水替へて墓前に秋の水  やよい
谷深き川瀬の速み秋の水  わかば
笹舟の行方は知らず川澄める  はく子
二度三度手刀で切る蜘蛛の糸  三刀
木の葉舟幼がのぞく秋の水  なつき
2018年8月   
陶うさぎ丘の千草に見え隠れ  菜々
極楽や花野囲まれ風と行く  宏虎
農小屋の小声はラジオ葛の花  うつぎ
花野行く天使のはしご幾筋も  せいじ
道草のお陰や萩の一叢に  たか子
草の色変わり秋吉台は秋  三刀
高々と紫苑活けたる大広間  みのる
八千草の乱れ咲きなる扇状地  たか子
女郎花無縁墓へと寄り添ひて  満天
八千草の台地ライダー爆走す  よし女
鉄道草高架化すすむ廃線路  なつき
泣き伏せとばかりにそよぐ千草かな  みのる
湿原の水路に迷ふ花野径  わかば
風に逢い葉裏を返す葛の花  三刀
道のべの地蔵へ野の花草の花  菜々
ゆるゆると恋人岬へ千草道  菜々
廃校や秋草繁る停留所  よう子
縹渺の丘のコスモス揺れやまず  わかば
撫子や刻字の読めぬ石標  ぽんこ
牛膝一筆描く裾模様  明日香
左右より山路を狭め萩の花  さつき
豆萩を避けて山家の草葎  よう子
芒の穂靡くを後にドライブす  あさこ
吾亦紅風に触れ合ふ二三あり  たか子
青紫桔梗の五裂整然と  宏虎
廃屋の錆びた煙突蔦紅葉  こすもす
尾根一つ曲がり燃え立つ吾亦紅  智恵子
大花野パラグライダー飛び立ちぬ  さつき
ポジティブに畑一隅の鶏頭花  小袖
溝そばのおほふ小流れ飛んでみむ  はく子
城壁を覆ふ勢い血止草  明日香
車椅子とめて手折りぬ赤のまま  やよい
崖を打つ波音が好き葛の花  よし女
藤袴風の色はと問はれれば  ぽんこ
朝顔や長屋の格子焦げ茶色  ぽんこ
コスモスを揺らし野原に一両車  智恵子
分譲の区画ものかは猫じやらし  せいじ
萩揺るる舟形の四阿すすむかに  なつき
崖の牧秋の草食む隠岐の島  宏虎
茶の床にえのころ草と赤のまま  やよい
職引きし夫との会話藪からし  なつき
猫じゃらし中でなにやら猫会議  明日香
秋日濃し背丈に余る畑の草  三刀
ここもまた古戦場なり芒原  更紗
こんもりと土俵の名残猫じゃらし  こすもす
桜蓼何と可愛いい花ならん  はく子
玉砂利を踏み行けば萩こぼれけり  せいじ
立ち並ぶ古色の歌碑や草紅葉  ぽんこ
八千草の炭焼窯を隠したり  うつぎ
不器用に生きて荒れ野の吾亦紅  よう子
秋風や通行制限草を刈る  三刀
待ち合はす時刻を忘れ大花野  さつき
葛の蔓迫るベンチやバスを待つ  こすもす
畔横の流れ清らか蓼の花  はく子
赤のまましきりに恋し祖母の膝  明日香
蚊帳吊草引っ張り合ひしあの月日  たか子
墳丘は今し千草の花衣  みのる
捨畑の畝覆ひたる千草かな  よう子
草の花念仏踊り伝承す  よし女
阿蘇五岳ふりかえりつつ花野道  さつき
ねこじゃらし歩道の脇にスウィングす  なおこ
撫子の風にふるさと思ひけり  満天
萩こぼる父の遺品の手帳かな  更紗
ご無沙汰の墓地へと千草触れながら  たか子
芒原ラジコン飛行機不時着す  やよい
大阿蘇は風のなびきし花芒  宏虎
葛の葉を踏まねば行けぬ畦の道  あさこ
海の青眼下に展ぐ花野かな  わかば
白粉の咲きこぼれをり遊女塚  みのる
暦日の妹背の句碑へ萩の雨  菜々
時来れば一本伸ばす吾亦紅  あさこ
ドリーネの果ての果てまで葛の花  よし女
鉢植の道の端に揺る釣船草  あさこ
山門へ萩に触れつつ磴のぼる  満天
野点席裳裾揺らすや萩の風  満天
牛乳パックに投げ入れられて萩すすき  やよい
子らの来ぬ砂場は固し秋の草  なつき
母見舞ふ道に摘みきし千草ぞと  みのる
松の木に絡みしへくそ葛かな  こすもす
露草や雑草の丈刈られけり  ぽんこ
ままごとに大活躍の赤のまま  はく子
無人駅ホームにのびのび野菊咲く  智恵子
草の実のいつのまにやらジーンズに  こすもす
平凡に生き来て二人蓼の花  はく子
猫じゃらし水音にゆれ風にゆれ  よう子
芒分け濁流に釣り糸垂らす  なつき
気が付けば海へ出る径草紅葉  宏虎
起伏野に色を添へたる草紅葉  せいじ
引き返す三角点やすすき山  やよい
露草や昔汲み場はこの辺り  うつぎ
水難の岸辺に溢れ秋の草  さつき
草の花ルーペ持たずを悔いにけり  うつぎ
草原のパノラマ灯す千草かな  智恵子
ビオトープに魚影いくつ草は実に  菜々
秋草や野辺の道草時忘れ  わかば
「ちゃん」付けで母に呼ばれて秋桜  更紗
羊群に似たる岩間の草紅葉  せいじ
人住まぬ門に日の射す草紅葉  満天
リコーダー吹く下校子や赤まんま  更紗
仔牛小屋取り囲みたる赤のまま  よし女
ドリーネの底の底まで芒の穂  三刀
葛の葉のあでやかな花隠しをり  明日香
的中す矢は風を切り花桔梗  更紗
刺されたと騒ぐ子の背にゐのこづち  智恵子
水車廻る音の響くや秋桜  あさこ
黄昏の野に陰揺らす薄かな  わかば
露草や土管に響く水の音  うつぎ
パノラマに一番星と秋の草  なおこ
2018年7月   
神の庭涼し一水さらさらと  菜々
打ち水に艶めく古都の古のれん  智恵子
香水のすれ違ふ人お洒落して  満天
真青なる海へ真白き水脈走る  わかば
ハリセンボンゆうゆう泳ぐ館涼し  なおこ
湯上りの首筋に打つ天花粉  三刀
勝鬨のこぶし突き上ぐ雲の峰  みのる
風の死し高層ビル街無表情  三刀
子ら担ぐ海の家よりゴムボート  せいじ
みたらしだんご謂れの清水ほの甘し  菜々
アルプスの雪形崩る半夏生  なつき
松林縫うて浜辺の風涼し  みのる
穏やかな海面突と鰡の飛ぶ  ぽんこ
鰻の肝お椀の底に沈みけり  あさこ
吉と出る神籤に暑さ忘れけり  さつき
海の藍たたへて灼くる浜辺かな  わかば
休耕田背丈に余る夏の草  三刀
空蝉やわらべ地蔵の肩に乗り  智恵子
砂文字を消さんと畳む土用波  みのる
夏野菜いろいろ育て老の畑  うつぎ
鴨川の中洲に丸太梅雨出水  明日香
灯が点り打水ゆかし祇園小路  宏虎
潮風に吹かれ青松笠涼し  こすもす
朝涼や仏飯供ふ足裏より  たか子
かきまぜて遠き日の音ソーダ水  うつぎ
夏怒濤埠頭に残る潮溜り  せいじ
部活子へ母持て小型扇風機  なつき
臨海の泳ぎの準備避暑ホテル  ぽんこ
今日の事さらりと忘るる冷素麺  満天
シーサイドホテルの一弦琴涼し  なおこ
もてなしの緑の美しき冷茶かな  なつき
三日三晩家居と決めて梅を干す  菜々
あめんばう神の流れに逆らはず  菜々
梅干を忍ばせ参加す句会かな  こすもす
カラフルなリュックの一団避暑ホテル  こすもす
波凉し大型フェリー滑りゆく  ぽんこ
中天の雲もほんのり夕焼くる  はく子
壺に挿してひと日の栄白むくげ  はく子
ビニール袋の浮沈海月と見紛ひぬ  こすもす
鳥の来て人来し山の岩清水  宏虎
熱帯夜更けて見上げる望の月  三刀
夏の水ゆるゆる廻し外輪船  たか子
さまざまに水の都の橋涼し  たか子
蜘蛛の囲の通せんぼなす獣道  智恵子
大毛蓼頭を垂れて野にありぬ  はく子
金魚提灯白壁街に揺れ続く  よし女
花の中同化するごと夏の蝶  ぽんこ
紺碧の海の果てなる雲の峰  わかば
押し車鰻を食べに足軽し  あさこ
交差点杖を頼りに夏帽子  明日香
露台へと影のかたむく磯馴松  みのる
串焼の鰻直ちに縮みけり  あさこ
西日射すステンドグラス恍として  智恵子
新婚の孫へ梅酒と夏野菜  よし女
行く雲の切れ目跳び越え水馬  よし女
石段を一足飛びに道をしへ  さつき
一斉に光蹴りてはあめんぼう  うつぎ
千年を説かる宮居や夏木立  うつぎ
酷暑日や思考停止の続く日々  三刀
百家族百の修羅あり遠花火  明日香
節電と言ってはをれぬ暑さかな  うつぎ
さし石と彫字鮮やか木下闇  ぽんこ
砂日傘はみ出してをる美脚かな  みのる
老いの身の鰻重小口注文す  あさこ
子に持たす分ねんごろに梅を干す  菜々
門口に水の鉢あり路地涼し  たか子
大輪のループピアスやサングラス  みのる
豪華船海月かきまぜ出港す  宏虎
裏畑へホース引き摺り夏野菜  よし女
大橋を潜るカモメや瀬戸夕焼け  智恵子
海坂に林立したる雲の峰  せいじ
落蝉のまだ生きたしと宙を掻く  明日香
灼け砂の噛み付くごとき熱気かな  せいじ
奉納の天神さんへ大花火  はく子
夏野菜届け見上ぐる望の月  よし女
三伏や猛獣猫か動物園  宏虎
夏座敷泥染めかごに師の色紙  なつき
風鈴にのつて聞こえる君の声  なおこ
喜寿米寿海をみてゐる白日傘  宏虎
手花火を子らと囲みしは何時のこと  はく子
流木の乾ききつたる夏の浜  せいじ
あお向けの蝉のひと声断末魔  たか子
街路樹に百日紅ある京の町  明日香
一碧の水平線や浜涼し  わかば
串焼の鰻を返す手の早し  あさこ
蝉時雨万の献灯ならぶ杜  なつき
窓涼しガラス拭く人手際よし  こすもす