2023年5月31日 | |
雲の上を跳ぬるがごとしあめんぼう | はく子 |
乗り継ぎの三度の駅の薄暑かな | あひる |
子が止めぬ山羊の鳴き真似園薄暑 | なつき |
あらがえど又流さるるあめんぼう | はく子 |
川薄暑開閉橋はあと五分 | 素秀 |
街薄暑立ち退きビルの解体音 | はく子 |
水馬沈まぬ程の窪みかな | よう子 |
美術館庭に薄暑のモネの池 | 素秀 |
水口を一蹴りターン水馬 | なつき |
あめんぼに凹みし水の金の影 | あひる |
あめんぼう墨ひと雫ほどの影 | 宏虎 |
隠沼の日の斑迷路にあめんぼう | 素秀 |
道標はコンクリートよ町薄暑 | なつき |
みづすまし流れに任せ休みをり | 隆松 |
香草のツンと厨の薄暑かな | 素秀 |
夫の立つ脚立支へる薄暑かな | よう子 |
あめんぼうの乗つかる表面張力 | はく子 |
砂場もう乾き切ったり夕薄暑 | たか子 |
外食と言えどうどん屋街薄暑 | たか子 |
覗き込む影に飛びでるあめんぼう | 素秀 |
あめんぼや歩板を潜り抜けもして | せいじ |
あめんぼう一日遊びて暮れにけり | あひる |
公園の子等何時までも夕薄暑 | 満天 |
水底の影六つまろしあめんぼう | はく子 |
幾つもの水輪描くやみづすまし | 隆松 |
ウォーキング頬を撫でゆく薄暑風 | 隆松 |
早足でい行く諸人駅薄暑 | せいじ |
園薄暑回転ドア―に止めらるる | なつき |
あめんぼう何処にスタミナ有るのかな | 宏虎 |
玉砂利の音は濁音宮薄暑 | 宏虎 |
家路へと混み合う駅の夕薄暑 | たか子 |
スマホ手に声高々の町薄暑 | 満天 |
ちょっととんで考えごとやあめんぼう | あひる |
あめんぼの水輪にみたり和の心 | せいじ |
心字池和尚の影と水馬 | よう子 |
引越しの荷の片付かぬまま薄暑 | あひる |
硝子張りなるビルあまた街薄暑 | せいじ |
魚焼く路地裏匂ふ夕薄暑 | 満天 |
甲子園目指す球児に薄暑光 | かかし |
青空をすいすい歩くみずすまし | 満天 |
あめんぼう黒の塊すいすいと | 宏虎 |
薄暑なる仲見世に食ぶナポリタン | なつき |
解体とや丸ビル仰ぐ街薄暑 | よう子 |
あめんぼが顔の真中に鏡池 | せいじ |
口笛の下校の子たち薄暑光 | かかし |
神鼓打つ僧の一群寺薄暑 | 宏虎 |
ぴょんぴょんと三段跳びの水馬 | かかし |
木漏れ日の眩さの増し道薄暑 | 隆松 |
看護師の痛いですよも薄暑かな | よう子 |
水すまし青天井が舞台なる | たか子 |
我が陰と抱き合っているあめんぼう | たか子 |
手足跡残さぬままに水馬 | かかし |
水馬の水遁の術見事なり | 隆松 |
遮断機の長き時間や夕薄暑 | 満天 |
薄暑光幌を被せし乳母車 | かかし |
2023年4月30日 | |
古希近き婦人吟行春惜しむ | 宏虎 |
惜春の空のみからり晴れ渡り | 小袖 |
多国語の集ふシートや春惜しむ | なつき |
惜春や伊吹の峰にすわり雲 | 隆松 |
むらさきの夜となり都忘れかな | 素秀 |
落人村都忘れに京ことば | よう子 |
憂きことを消し去る都忘れかな | せいじ |
惜春や昔の旅のことばかり | あひる |
砂利舟の吃水深く春の逝く | はく子 |
都忘れ何処にも行かぬ母の庭 | うつぎ |
惜春や昔スターのかすれ声 | あひる |
グーグルに名を聞き都忘れてか | 隆松 |
色失せて都忘れの彩はなし | 宏虎 |
いとまごい一会の茶事に春惜しむ | 小袖 |
鳶の舞ふ砲台跡に春惜しむ | せいじ |
森の木の色の移ろひ春惜しむ | わかば |
ヴォーリーズの近江を訪ね春惜しむ | よう子 |
野春菊うすむらさきに引き込まれ | 満天 |
対岸の島影模糊と春惜しむ | わかば |
都忘れ何故か悲しき花の色 | あひる |
ホームにて出会ひと別れ春惜しむ | かかし |
夕さりて都忘れの真紫 | 素秀 |
俳諧は老後生き甲斐春惜しむ | 宏虎 |
都忘れ宿の前庭濃紫 | わかば |
春惜しむ遺品の鞄艶残し | 小袖 |
暦年の大樹に触れて春惜しむ | はく子 |
巡回バス途中下車して春惜しむ | よう子 |
植木鉢替へてチャペルの春惜しむ | せいじ |
思ひの丈都忘れの濃く淡く | うつぎ |
水神の注連古る井戸や春惜しむ | よう子 |
本流の滾つ宇治川春惜しむ | はく子 |
漣の池を眺めて春惜しむ | こすもす |
鍬休め鳥語を聴くや春惜しむ | かかし |
春惜しむ体操終へて腕捲る | かかし |
尼寺に一むら都忘れかな | なつき |
初めての写経終えたり春惜しむ | なつき |
雨の日は抹茶をたてて春惜しむ | せいじ |
とりどりの花弁掃き寄せ春惜しむ | こすもす |
ゆっくりと園をめぐりて春惜しむ | 満天 |
惜春や里親離す訓練犬 | 小袖 |
灯りたるパールブリッジ春惜しむ | うつぎ |
街出でて都忘れと会ふ小道 | 隆松 |
ぼやけゆく飛行機雲に春惜しむ | こすもす |
幾たびか訪ひし城址や春惜しむ | わかば |
村を出る川の流れに春惜しむ | うつぎ |
竹林の大揺れに春惜しみけり | せいじ |
落柿舎の床几に春を惜しみけり | 宏虎 |
かがまりてふるさとしのぶ都忘れ | 満天 |
都忘れ脛に触るるや花畑 | あひる |
春惜しむ一駅前でバスを下車 | かかし |
逝きし人アルバム広げ春惜しむ | 満天 |
父の忌の近きと都忘れ咲き | 素秀 |
春惜しむパステルカラーの子のぬり絵 | なつき |
金継ぎの記念の湯呑み春惜しむ | かかし |
足元に鳩来るベンチ春惜しむ | なつき |
転げ行く余生のひと日春惜しむ | 宏虎 |
春惜しむ同窓会の欠席に | 満天 |
惜春や女謡ひの声の良し | 素秀 |
しんにょうの流れて春を惜しむ文 | 素秀 |
山影の日毎変わるに春惜しむ | 隆松 |
都忘れ咲かせ高階ひとり住む | はく子 |
惜春や災難続きの日々なれど | うつぎ |
咲きくれし花に感謝や春惜しむ | こすもす |
奥ゆかし都忘れをそつと摘む | あひる |
思い出を紡ぐ城址や春惜しむ | わかば |
側溝の流れの速し春惜しむ | こすもす |
惜春や五時のチャイムに閉づパソコン | よう子 |
都忘れ只の野花と里をいく | 隆松 |
都忘れ淡き紫又濃きも | はく子 |
2023年3月31日 | |
剪定の切り口ぱつと香を放つ | うつぎ |
剪定をどうと決めかね空鋏 | 隆松 |
句碑に酔ひ花にも酔ひて旅終る | 宏虎 |
対岸へ続く車列や花堤 | あひる |
急燈の踊り場ごとの花明り | 素秀 |
年ごとに花見に来にし亡き父母よ | せいじ |
能勢今し何処を通るも山桜 | うつぎ |
剪定す花芽を切らぬやう思案 | せいじ |
絹の雨ドライブインの桜かな | みづき |
ケーブルカー山上駅は花三分 | よう子 |
尼寺の閑かな庭や花の雨 | みづき |
花満ちて一陣の風花吹雪 | 宏虎 |
剪定や替えの鋏を渡す妻 | 隆松 |
切り過ぎを案じる無花果の剪定 | こすもす |
花仰ぐ知らざる人と会話する | 満天 |
雨近き風にふるへる初桜 | なつき |
花舞ふや無人仏も隔て無く | かかし |
剪定の済みてひろごる青き空 | わかば |
三味の音にずれて手拍子花の茶屋 | 隆松 |
剪定の鋏に父の研ぎし癖 | なつき |
百齢の柿剪定は兄の手に | はく子 |
三川を見下ろす塔に花の雲 | はく子 |
小気味よき鋏の音や剪定す | うつぎ |
記念日の植樹の桜仰ぎ観る | かかし |
風禍から立ち直りたる花堤 | せいじ |
幽けしや暮ゆく渓の江戸彼岸 | よう子 |
誕生日祝ふフレンチ花の雨 | 小袖 |
大窓へ万朶の花のレストラン | はく子 |
花の屑自動ドアより闖入す | かかし |
城望むベンチの端しに花の昼 | 小袖 |
花堤夫と来し日の遠きかな | はく子 |
碧眼の酒酌み交はす花の下 | あひる |
川風の吹き上ぐ城址飛花落花 | なつき |
太陽の塔裳裾は花の友禅か | よう子 |
剪定の枝の燻るドラム缶 | 素秀 |
剪定の小枝こみちを塞ぎけり | あひる |
無花果の切り過ぎほどに剪定す | 宏虎 |
釈尊も御目開けませ花の寺 | 小袖 |
巡礼の首振りをりて花の寺 | 隆松 |
人の数増えてうれしや花の山 | せいじ |
通院のタクシーに過ぎし花の道 | はく子 |
花の道御宮参りの多きかな | なおこ |
来年の再会約す花見かな | みづき |
見分け難し白木蓮と辛夷かな | こすもす |
風に舞ひ風と別れて花筏 | かかし |
剪定の農家に学ぶ売り子どち | なおこ |
花の露咲くを待たずに逝きし人 | わかば |
花満ちて終の住処に迷ひ無し | うつぎ |
花に花重ねて寺の甍かな | 素秀 |
老木に耳当ててをり桜守 | かかし |
今度こそ生れよと言ひつ剪定す | うつぎ |
駅前はピンク一色花満開 | こすもす |
行燈の裏の夜桜寂しけり | 宏虎 |
土に聞き枝に聞きつつ剪定す | 宏虎 |
花の道行きつ戻りつ背を正す | 満天 |
夕時や満開の花昏れ残る | みづき |
枝垂れゐて水面に揺るる花一枝 | 素秀 |
どの窓も顔花明りケーブルカー | よう子 |
剪定の終わりし後の日差しかな | 満天 |
体操に広ぐ両手の朝桜 | 小袖 |
剪定や脚立降りれば頬に風 | 隆松 |
緑なる水滑りゆく花見船 | あひる |
花の風孔雀の冠羽揺らしたり | なつき |
空を切るやうに剪定鋏鳴る | 素秀 |
剪定や木々の実りヘ思ひ馳す | わかば |
輪になりて相見上げたる花万朶 | わかば |
二年ぶり庭師を入れて剪定す | せいじ |
ベビーカーの双子の寝顔花の下 | 満天 |
書出しはお元気ですか花の雨 | 小袖 |
花便りインターネット句友より | なおこ |
神社へと花のトンネルゆるめる歩 | こすもす |
公園で遊ぶ親子に花吹雪 | 満天 |
立ち止まり立ち止まり見る花並木 | みづき |
剪定の高枝にぬつと漢の顔 | あひる |
剪定の子は腰屈め親背伸び | よう子 |
舞ふごとく枝垂れ桜や神楽殿 | なつき |
花咲きて思い出綴り城址かな | わかば |
2023年2月28日 | |
札掛けし釘をそのまま卒業す | 素秀 |
台拭きで輪っか拭き取る春炬燵 | 豊実 |
定期券少し残して卒業す | よう子 |
先程の涙は乾き卒業す | 豊実 |
クッションは枕の代り春炬燵 | うつぎ |
卒業子袴姿の大人びて | よう子 |
挨拶も大人びてきて卒業子 | 満天 |
旅誘ふカタログ広げ春炬燵 | はく子 |
春炬燵出て背伸びする爺の昼 | よう子 |
間延びして聞こゆるアリア春炬燵 | うつぎ |
春炬燵じっとしていて揃いけり | 宏虎 |
マスクにて校歌斉唱卒業生 | かかし |
春炬燵急ぐことなど何も無し | うつぎ |
春炬燵ドラマ見ながらうたた寝す | 満天 |
卒業生記念植樹に名札架け | かかし |
卒業や友それぞれの道進む | わかば |
無駄にすは第二ボタンか卒業子 | 隆松 |
春炬燵古きアルバムめくりては | 満天 |
手の甲に涎垂るるや春炬燵 | 隆松 |
春炬燵施設のカタログ片隅に | はく子 |
春炬燵仕舞ふを拒む者の居て | わかば |
制服のボタンちぐはぐ卒業日 | よし子 |
レコードのノイズ懐かし春炬燵 | かかし |
蹴るボールばかり観ている春炬燵 | よし子 |
濠巡る船に設らふ春炬燵 | はく子 |
代々の遺影の囲み春炬燵 | 素秀 |
春炬燵ひとつ温みの仏間かな | 素秀 |
浪人の覚悟を決めて卒業す | 豊実 |
青空にちよつと転んで卒業す | わかば |
卒業の節目幾度もくぐり抜け | 小袖 |
ひちりきの音色に泣きて卒業歌 | 素秀 |
定宿の茶の間にぽつり春炬燵 | 豊実 |
演劇にどっぷり末っ子卒業す | はく子 |
春炬燵有れば有ったで邪魔になり | 宏虎 |
セーラー服の卒業写真捨てられず | うつぎ |
おふくろと呼び始めるや卒業子 | 満天 |
春炬燵変換ミスのメール打つ | なつき |
箸使ひ食べるチップス春炬燵 | なつき |
卒業に制帽の舞ふ大講堂 | 隆松 |
飼いうさぎ入る気はなし春炬燵 | 小袖 |
先生の綽名覚えて卒業す | 宏虎 |
春炬燵いよいよ尻に根の生える | はく子 |
シャンプーの香の子を膝に春炬燵 | なつき |
富士山へ敬礼直り卒業す | 隆松 |
折り紙や一日の暮れる春炬燵 | よう子 |
分校の卒業式や山晴れて | よし子 |
なんでやと手足擦り擦り春炬燵 | 隆松 |
卒業歌村に一つの小学校 | うつぎ |
卒業子白き手首で証書受く | なつき |
転校す友と歌へり卒業歌 | なつき |
卒業はまだと米寿の春耕す | かかし |
名の太く卒業証書着付けにも | 小袖 |
煙草屋のお喋り誘ふ春炬燵 | よう子 |
春こたつ特等席にいつも猫 | よし子 |
居心地の良さについつい春炬燵 | わかば |
仏壇に証書を供ふ卒業生 | かかし |
春炬燵猫の残せし長きひげ | 素秀 |
制服のはち切れそうな卒業子 | 満天 |
卒業の列の乱れは握手かな | 宏虎 |
卒業の参考の一歩身を粉なに | 宏虎 |
リモコンの転がる音や春炬燵 | 豊実 |
置いてあるだけで気の済む春炬燵 | わかば |
仕舞いかね夫にも問ふて春炬燵 | 小袖 |
夕飯につい離せずに春炬燵 | 小袖 |
2023年1月31日 | |
水面に鳥のまどろむ冬麗 | ぽんこ |
助手席の水仙誰に野菜売り | よう子 |
水仙花コップに活けて二人卓 | かかし |
潮分ける斜面に沿うて野水仙 | たか子 |
起伏野を埋め尽くして水仙花 | せいじ |
水仙の活けて姿勢のただしけり | もとこ |
岸壁の波頭激しや水仙花 | かかし |
冬うららテニスコートを駆ける女 | 智恵子 |
校庭にドッチボール冬霞 | 智恵子 |
冬麗の空を広げる枝払い | 豊実 |
車椅子二人笑顔や冬麗 | 満天 |
風駈ける丘に叢なす水仙花 | ぽんこ |
水仙と錆の匂ひの鐵工所 | 素秀 |
水仙の自由気ままな空地かな | あひる |
園児等の黄青帽子冬麗 | 満天 |
冬うららいっしょう懸命乳飲む子 | はく子 |
玄関の赤き長靴今年初 | こすもす |
雨風に育つ岩間の野水仙 | わかば |
冬うらら鋏のはづむ庭仕事 | 明日香 |
日差し浴ぶ亀石の目や冬うらら | 明日香 |
冬うらら広場のからくり時計台 | みづき |
なだれ咲く水仙郷に香の溢る | わかば |
冬麗や深き眼指し妻老いぬ | 宏虎 |
野良猫と目の合う玻璃戸冬うらら | よう子 |
冬うらら珈琲香る寺の市 | なつき |
手の届きさうな雲あり冬うらら | あひる |
雪中花飛び石の間に群れ咲きて | 智恵子 |
冬麗や水陽炎して浮御堂 | うつぎ |
草刈つて水仙残るなぞへかな | 明日香 |
水仙の美人こうべを垂れており | ぽんこ |
野水仙波音激し日本海 | みづき |
水仙が咲かば墓前へ母訪はな | うつぎ |
冬麗や湾の抱かふ真珠筏 | もとこ |
街路樹の微かな動き冬麗 | 満天 |
水仙の俯きかげん夢路風 | たか子 |
植木屋に踏まれし水仙花もたぐ | うつぎ |
重たげや地面すれすれ水仙花 | こすもす |
冬麗おふくろの味手ばかりに | ふさこ |
水仙や背筋の美しき人想ふ | たか子 |
飼い犬に帽子かぶせて冬うらら | 明日香 |
汐風に揺れ通しなり水仙郷 | はく子 |
山の音川音も変はり冬うらら | みづき |
冬うらら一枚脱ぎてウォーキング | こすもす |
群れて咲く水仙の白ひびきあい | 宏虎 |
野水仙一輪摘みて母の元 | 智恵子 |
冬麗やボトルシップのマスト立て | 素秀 |
もののふの気概に立ちぬ水仙花 | 素秀 |
冬麗や太平洋に臨む丘 | せいじ |
冬麗の京見晴るかす峠茶屋 | あひる |
紺碧の海に展けし水仙郷 | せいじ |
冬麗大橋潜るポンポン船 | わかば |
香強すぎ好まざるなり雪中花 | ふさこ |
今年又水仙群れ咲くひと処 | はく子 |
群青の海へとなだる野水仙 | せいじ |
鶴首の一輪水仙背を正す | 満天 |
朝凪のヨットハーバー冬うらら | 豊実 |
冬うらら農具手入れに腕捲り | かかし |
金網のなぞえに凭れ水仙花 | ぽんこ |
水仙郷ただいま五分と写メ送り | ふさこ |
冬うららベンチに句帖広げもし | よう子 |
冬うらら赤児の小さき欠伸かな | こすもす |
水仙郷海風吹かば香にむせる | 智恵子 |
楼門に鳩の並べり冬うらら | なつき |
海風のままに水仙傾れ咲く | よう子 |
水仙や雪の褥に伏してをり | あひる |
冬うらら犬も乗りをる渡し船 | かかし |
隣家との境界線や水仙花 | なつき |
国生みの島の果てなる水仙郷 | せいじ |
一本でも玄関満たす水仙香 | 明日香 |
冬うららぽっぽぽっぽと鳩時計 | はく子 |
冬麗の比叡おがみて朝始む | もとこ |
小物買ひもらふ福銭冬うらら | なつき |
水仙や薩摩切子の彫り深し | みづき |
魚信待つ野池の土手の水仙花 | 豊実 |
石臼は水仙の盤祖谷の宿 | よう子 |
冬麗や老舗ののれん奈良町に | みづき |
水仙や小暗き森の道標 | あひる |
冬うらら二人見せあうハートくじ | なつき |
松の木の影に水仙香で知らせ | ふさこ |
一本の水仙卓におばんざい | もとこ |
冬麗煌めきて波打ち寄せる | わかば |
冬麗や動かぬ如く雲じっと | 宏虎 |
冬麗に汽車ひた走る海真下 | もとこ |
水仙や海荒るる日の香の深く | わかば |
パソコンの卓上の瓶水仙花 | 宏虎 |
司会者の机上まっすぐなる水仙 | こすもす |
束となり水仙土手に香を放つ | ふさこ |
水仙の土手競ひ咲き眩しけり | 満天 |
冬うらら遊具のペンキ塗り終わる | たか子 |
冬うらら焼き立パンの香持ち帰る | はく子 |
磨硝子ダイヤ光や冬うらら | ぽんこ |
誰の活けし無人駅舎の水仙花 | かかし |
式場の白いチャペルや冬うらら | 豊実 |
木喰仏にハグを許され冬うらら | うつぎ |
冬麗の窓の結露の乾き行く | 豊実 |
冬うらら鼻擦り付ける檻の虎 | 素秀 |
鶴首の花瓶に匂ふ黄水仙 | たか子 |
水仙の崖の近くは石仏 | 宏虎 |
水仙の野菜に並ぶ道の駅 | うつぎ |
水仙の黄は断ち割りしゆで卵 | 素秀 |
2022年12月31日 | |
寄せ植に藪柑子添へ床の間に | かかし |
年用意納戸整理に通信簿 | かかし |
公園の花壇整へ年用意 | 満天 |
庭の手入れ草引き辛し年用意 | 宏虎 |
厨にて第九を耳に年用意 | かかし |
慎ましく暮らす偕老藪柑子 | あひる |
数の子は必須アイテム年用意 | せいじ |
年ごとに減らしてゆくや年用意 | 満天 |
すぐに名の出て来ぬ花や藪柑子 | こすもす |
形良くもちの木剪られ年用意 | なつき |
年々と掃除も手抜ぬき年用意 | 宏虎 |
烏克蘭に平和よ来たれ藪柑子 | せいじ |
来客の土産の用意年用意 | 明日香 |
竹藪の日差しの中に藪柑子 | みづき |
山鳩の思わぬ近さ藪柑子 | 素秀 |
とりどりの電池揃へて年用意 | 満天 |
手始めに祝い箸買ふ年用意 | あひる |
一合の酒仏壇に年用意 | なつき |
木洩れ日にひっそり点る藪柑子 | 満天 |
移植して祈りを込める藪柑子 | 豊実 |
エヤコンを新しく変え年用意 | ぽんこ |
年用意食器のスポンジも新た | せいじ |
食材のカタログ捲る年用意 | 豊実 |
留守番の二人の為の年用意 | こすもす |
ゴミ出し日今日最終や年用意 | こすもす |
出しゃばらぬかく有りたしや藪柑子 | もとこ |
年用意暦と日記買ひに行く | 明日香 |
冷凍庫空けて買ひ出し年用意 | なつき |
満杯のダストボックス年用意 | 豊実 |
出句日やほったらかしの年用意 | よう子 |
跳ね上がる髪をカットす年用意 | ぽんこ |
喪の家の掃除だけはと年用意 | うつぎ |
洋館のリースとなるや藪柑子 | 隆松 |
朽ち堂を囲むが如し藪柑子 | 隆松 |
湯治場は坂のまちなり藪柑子 | みづき |
手渡しの新札揃へ年用意 | もとこ |
赤き実の名前を聞けば藪柑子 | 素秀 |
子等の来る日にち決めるも年用意 | 明日香 |
顔浮かべ袋選ぶも年用意 | もとこ |
藪柑子精一杯の実を二つ | はく子 |
ごく簡に一人暮らしの年用意 | はく子 |
辻地蔵堂も磨かれ年用意 | はく子 |
捨てるもの捨てて身軽や年用意 | わかば |
福引に暫し息抜く年用意 | かかし |
手伝ひをせぬ子叱られ年用意 | あひる |
計画表通りにいかぬ年用意 | こすもす |
数多なる妻の小言や年用意 | 隆松 |
どことなくせわしき日びや年用意 | みづき |
藪柑子人に知られず身を隠す | うつぎ |
子らの顔思い浮かべて年用意 | わかば |
年用意ちちはは在りし日を思ふ | みづき |
灰色に紅一点や藪柑子 | ぽんこ |
大樹めくミニ盆栽の藪柑子 | あひる |
千両より万両よりも藪柑子 | うつぎ |
次つぎとパーマを頼む年用意 | ぽんこ |
この子等がいての我が庭藪柑子 | うつぎ |
小流れの木蔭点々藪柑子 | わかば |
エレベーター狭しとカート年用意 | よう子 |
走り根に隠れて赤き藪柑子 | 素秀 |
尼寺の砂利道出れば藪柑子 | みづき |
十両と聞くや二度見す藪柑子 | 明日香 |
日を受けて赤を主張の藪柑子 | わかば |
蒲鉾の厚みを聞くも年用意 | 素秀 |
トランプの流行りのアニメ年用意 | なつき |
おせち料理買い占めしたり年用意 | 宏虎 |
をちこちに鳥の恵みの藪柑子 | かかし |
氏神の裏は木漏れ日藪柑子 | よう子 |
刈り上げの首撫で上げる年用意 | 豊実 |
藪柑子千両万両見上げてる | はく子 |
年用意無理するでなく心こめ | わかば |
子に倣ふ簡単レシピ年用意 | よう子 |
雲間より一閃届く藪柑子 | 明日香 |
最終のゴミ出し走る年用意 | もとこ |
二人居や雰囲気だけの年用意 | 隆松 |
踏み入れば杜の灯や藪柑子 | あひる |
年ごとに娘が音頭取る年用意 | せいじ |
娘等が来て賑やかに年用意 | 宏虎 |
仏花にも一枝添へる藪柑子 | 満天 |
路地奥の呑み屋灯して藪柑子 | もとこ |
鉢花の整理をするも春支度 | はく子 |
参道の掃き跡清し藪柑子 | 豊実 |
胃薬の予備確かむる年用意 | なつき |
下校子の束で道草藪柑子 | せいじ |
宣伝のカレンダー掛け年用意 | 隆松 |
古い器具出さず普段の年用意 | 宏虎 |
寄植の仕上げに添える藪柑子 | こすもす |
前栽の隅を許され藪柑子 | うつぎ |
駅裏を流し歩きて年用意 | 素秀 |
石段を避けて遠道藪柑子 | よう子 |
植木鉢移動さすのも年用意 | ぽんこ |
2022年11月30日 | |
茶の花てこれがそうかと旅の人 | 隆松 |
茶の花の葉は薬なり祖母伝へ | ふさこ |
茶の花や利休自刃の供養塔 | かかし |
落日にかがよひ初めしお茶の花 | あひる |
凩や大聖堂の鐘遥か | 豊実 |
黄にあらず金色の蕊お茶の花 | こすもす |
凩やからくり時計の五時の鐘 | 豊実 |
木枯しに高舞ふ外れ馬券かな | みのる |
凩に旅の地酒を酌む夜かな | みづき |
凩を押しのけ通過列車かな | うつぎ |
凩や木の葉落として逃げにけり | 宏虎 |
木枯らしや夕べの鐘の遠くより | みづき |
茶の花の目線の先に流れ橋 | せいじ |
我も張らず求めもせずにお茶の花 | もとこ |
店先に茶の花咲かせ宇治の茶舗 | はく子 |
石橋の袂に香るお茶の花 | 智恵子 |
茶の花や家の主は婿養子 | 豊実 |
何処からか聞こゆ羽音やお茶の花 | よう子 |
恙なく地味な暮らしやお茶の花 | ぽんこ |
木枯やイヤホン耳に押し込めり | なつき |
茶の花や教会ミサの始まりぬ | 宏虎 |
尼寺の垣根めぐらすお茶の花 | みづき |
凩に鎮守の杜の騒ぎ初め | あひる |
茶の花の一輪清し長戸門 | 素秀 |
木枯しやチェンバロはバッハ奏づる | よう子 |
茶の花や一喜一憂の夜終わりぬ | ふさこ |
凩や何でも値上げ戦争で | 宏虎 |
茶の花の囲む寺院の鐘の音 | かかし |
茶の花の零す明るき籬かな | わかば |
木枯に往復ビンタされたかに | なつき |
茶の花やここにも家があった筈 | うつぎ |
山里の静かな駅舎お茶の花 | みづき |
黄の餡のおまんじゆう否お茶の花 | みのる |
枯色の土手を木枯し吹きすさぶ | なつき |
茶の花や母のいた頃思ひ出す | 明日香 |
凩や着地の鴉勇み足 | かかし |
凩や夕日呑み込む河口堰 | 素秀 |
茶の花の咲く道静か空の青 | 満天 |