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2021年11月

古代色のどの色当てむ冬夕焼 うつぎ
晴ひと日壁の温もり冬夕焼 智恵子
ベビーカーに沈み込む顔冬帽子 豊実
香具師の児の赤き冬帽歩き初む なつき
飛行機雲吸ひ込まれゆく冬夕焼 かかし
冬夕焼人悲しますこと言ひて 明日香
舟券を突き上げおらぶ冬帽子 素秀
四時半のお帰りチャイム冬夕焼 隆松
玄関の冬帽子取り杖を取り よう子
くじ引きのおまけ手編みの冬帽子 こすもす
冬帽子カナダ土産を配りけり 宏虎
病む友のサーモンピンク冬帽子 もとこ
父の部屋まだ冬帽子掛かりいて 明日香
ガラス屋の冬夕焼が濃かりけり 宏虎
朝市の新鮮野菜冬帽子 豊実
学び舎を包むごとくに冬夕焼 満天
西山を瞬時染め抜く冬夕焼 せいじ
さよならと遠ざかる人冬夕焼け みづき
冬帽子薄毛も皺も半分に 明日香
冬帽子派手にす妻の久の旅 隆松
スクールバスまたあしたねと冬帽子 よう子
一湾にすべり入る船冬夕焼 もとこ
凛として千年欅冬夕焼 かかし
デイケアへ母はニットの冬帽子 せいじ
乱反射窓に射しこむ寒夕焼 ぽんこ
白髪増ゆ頭すつぽり冬帽子 なつき
日和もて二者択一の冬帽子 せいじ
甦る父母との日々や冬夕焼 明日香
冬夕焼たちまち闇へ木立影 隆松
冬帽を脱ぎ遠海の操舵室 素秀
汽笛鳴る明石大橋冬夕焼 豊実
初めて見し施設の父の冬帽子 うつぎ
パスボート並び冬帽脱いで見せ 宏虎
ロカ岬冬夕焼が燃やす如 宏虎
乱れ髪すっぽり隠す冬帽子 満天
墨絵めく八重の遠山冬夕焼 智恵子
家並のたつき其々冬夕焼 うつぎ
稜線の茜に映える冬夕焼 かかし
冬帽の市の売り子の頬紅し 隆松
二上の際やかに映え冬夕焼 明日香
東寺の塔冬夕焼をふた分けす せいじ
躊躇なく繰るは呑屋か冬夕焼 隆松
捨てきれず数を増やして冬帽子 わかば
母いつも茶色選べり冬帽子 なつき
係留のロープ解くや冬帽子 豊実
冬帽子被る漁師の耳ピアス もとこ
居酒屋に忘れし冬帽探しをり よう子
フロントの冬の夕焼百八十度 ぽんこ
鶏の羽ばたく小屋や冬茜 よう子
通院の母へ目深く冬帽子 わかば
恙なきひと日終へるや冬夕焼 満天
ぷくぷくのクマになりけり冬帽子 もとこ
冬帽子目深に被り父似なる みづき
夕餉時母の呼ぶ声冬夕焼け みづき
我さきに暖簾をくぐり冬帽子 素秀
錫杖の山門を出で冬夕焼 素秀
窓少し開けて直ぐ閉ず冬夕焼 こすもす
ひび割れし石の地蔵の冬帽子 ぽんこ
ゆくりなく冬夕焼の海染める わかば
年隠す少しお洒落な冬帽子 満天
黒雲の一筋かかる冬夕焼 ぽんこ
オブジェめく高層マンション冬夕焼 満天
鴟尾の屋根影黒々と冬夕焼 うつぎ
晩鐘と重なるチャイム冬夕焼 こすもす
ファッションの冬帽揃へ老夫婦 かかし
名刹にて吟行をする冬帽子 宏虎
納竿の指先揉むや冬夕焼 豊実
冬帽子駅中ピアノ演奏す みづき
冬帽子青が目印爺の畑 智恵子
冬夕焼寄航の船のシルエット 智恵子
フリーマーケットに買ひし若めの冬帽子 なつき
コンサート舟漕いでをる冬帽子 うつぎ
三階の火のつく手摺寒夕焼 ぽんこ
茜雲屋根に顔出す冬夕焼 智恵子
冬夕焼沖へタンカー影を引く わかば
お賽銭乗する地蔵の毛糸帽 なつき
帰りには冬夕焼けのはや消へて みづき
山の端を染めて束の間冬夕焼 菜々
冬夕焼火焔山の霊沈めんと よう子
土手走る人を影絵に冬夕焼 素秀
国生みの神彩りて冬夕焼 もとこ
駅降りて冬夕焼に染まるなり わかば
狛犬に巫女の手編みの冬帽子 かかし
子ら去りし彼方ににじむ冬夕焼 せいじ

2021年10月

秋刀魚には大根おろしたっぷりと 満天
網焼きに次第に白く秋刀魚の目 素秀
秋暮るやバケツで落とす鋸の脂 豊実
被爆地に孫何思ふ暮の秋 せいじ
このために取り置きし炭秋刀魚焼く うつぎ
力石見る人もなき秋の暮 よう子
初秋刀魚食せば皆で窓全開 智恵子
焼き上がる今年の秋刀魚痩せしこと ぽんこ
山を背に塔聳へ立つ暮の秋 ぽんこ
茜空今日は秋刀魚と思ひけり もとこ
千年の大樹の杜に秋暮るる もとこ
古女房辛口好きや秋刀魚焼く よう子
秋刀魚食ぶ残るは頭ひとつのみ こすもす
溜息の多き一日や秋暮るる 智恵子
海原の色そのままの秋刀魚の目 豊実
生涯を同じ地に住み秋の逝く はく子
洗濯を急きて取り込む暮れの秋 智恵子
乳張りし牛の闊歩す暮の秋 なつき
秋刀魚とて高値となりて素通りす 満天
拝めば地蔵の顔の秋暮るる 素秀
夕鐘の淋しき遠音秋暮るる わかば
頭ごと背骨を剥がす焼き秋刀魚 豊実
八十は目出度かりしか痩せ秋刀魚 よう子
秋暮るる廃屋並ぶや旧街道 もとこ
吾の出でし校舎併合暮の秋 かかし
路地よりの煮物の匂ひ秋暮るる 満天
リハビリの師に文残し秋の暮 董雨
高瀬川舫い舟ある秋の暮 宏虎
久に点く隣家の灯し暮の秋 うつぎ
お隣も煙を立てて秋刀魚焼く 宏虎
不動明に黄葉降り注ぐ暮の秋 ぽんこ
亡き母も詠みし古刹や秋暮るる たか子
九十翁より届く句集や暮の秋 やよい
秋刀魚食ぶ子の残せしが美味なりと 智恵子
秋暮るる遠き電車の聞こえけり 明日香
慌たゞしく退院支度暮れの秋 董雨
次々と検査受けたり秋暮るる もとこ
今はもう七輪も無く秋刀魚焼く たか子
暮れの秋長き土塀に夕日落つ みづき
秋暮るる静まり返る阿弥陀堂 みづき
さんま二尾けふ恙無く暮れなんと 小袖
障害者マーク杖に付けをり秋暮るる やよい
秋暮れて灰色と化す湖の波 隆松
たっぷりと尾にも塩して初秋刀魚 たか子
頭は夫に一尾分けたる秋刀魚かな なつき
生よりも開き目に付く秋刀魚かな 明日香
暮れの秋沖に漁火瞬きぬ わかば
遠き日の父懐かしき秋刀魚食ぶ わかば
暮れの秋眺む雑踏人恋し 智恵子
秋暮るる山へ誘ひし父卒寿 豊実
紀州沖下る秋刀魚や干物とす よう子
一病の夫と分け合ふ秋刀魚かな もとこ
海の色深まり行きて秋暮るる わかば
仏舎利塔白際立たせ暮の秋 はく子
秋暮るる旅の計画なきままに 満天
己が膝抱えてをりし暮の秋 素秀
見るだけの高級魚なる秋刀魚かな やよい
気忙しき秋暮る る日の小さき旅 みづき
お漏らしの布団とパジャマ秋の暮 なつき
淀川の流れ常しえ秋の逝く はく子
好物の秋刀魚骨まで食べ尽くす はく子
巨木樹天を塞ぎて秋暮るる ぽんこ
炊きたての飯と焼きたて秋刀魚かな 宏虎
秋暮るる街頭演説絶えてより こすもす
脂垂れ炭火弾けり秋刀魚焼く 隆松
秋の暮背中摩り行く座敷三間 董雨
緑地公園出口の迷ふ暮秋かな やよい
鉢花のだんだん減って秋暮るる 明日香
切り炭や父母懐かしみ秋刀魚焼く みづき
秋暮るや秘密基地めく石舞台 かかし
秋暮るる大楠の洞供物無く たか子
グリルには不向きなりしや秋刀魚焼く せいじ
秋刀魚焼く煙吐き出す換気扇 うつぎ
秋暮る る影長くして友来たる みづき
チェーンソー響く里山暮の秋 かかし
留守の間に木斛開花秋の暮 董雨
焼きたての秋刀魚を買ひて午餐とす せいじ
わざわざに秋刀魚買へたと電話せし 素秀
混群のわつと飛び去る秋の暮 小袖
秋刀魚の身ほぐし易さよ尾の切身 隆松
どっちが綺麗秋刀魚の骨の残し具合 こすもす
鑿跡の粗き間歩出で暮の秋 かかし
ラップされ二尾で安売り痩せ秋刀魚 豊実
島影の滲む湖面や暮の秋 隆松
靴下を履いて老犬暮の秋 やよい
秋暮るる訃報の友に写経せん かかし
新物と表示の秋刀魚小ぶりなり ぽんこ
洗濯物頬で確かむ秋の暮 明日香
リビングに入り来る日差し暮の秋 はく子
父の顔忘れたと母秋刀魚食ぶ わかば
耳病みて目で話聞く暮の秋 なつき
秋暮るや湖岸ベンチを抜くる風 隆松
トンネルを出れば金星秋の暮 よう子
四冠を望むは早し秋の暮 せいじ
宴会は秋刀魚にしてと帰国の子 うつぎ
旬なりと秋刀魚小さき猫の餌 宏虎
人のごと猫を探して秋の暮 素秀
病院の夕食に食ぶはつ秋刀魚 董雨
スーパーの外で煙りと秋刀魚焼く 満天
日が落ちて何か淋しき秋の暮 宏虎
田の神の裏は捨て畑秋暮るる うつぎ
一万歩出来た日にマル秋の暮 小袖
猫カフェに保護猫撫づる暮の秋 なつき
熱ある子おんぶした坂秋の暮 小袖
兄姉の召天続く暮の秋 せいじ
蜘蛛の囲のそこここ破れ秋暮るる 明日香
ベンチさへ朽ちて荒れ寺秋暮るる たか子

2021年9月

早暁やダイヤ光に変はる露 明日香
露寒し鶏冠の褪せしご神鶏 なつき
千枚の刈田にひびく水の音 なつき
露けしや主亡くせし三つ揃 うつぎ
次々と鳩を迎へる刈田かな 素秀
山峡の刈田となりて棚田道 わかば
登校の子ら駈けぬける苅田かな よし子
一羽来て二羽来刈田の群雀 やよい
沿道の刈田に高く鳶の輪 わかば
庭木々の朝日に光る露の玉 満天
煙り立つ右近の郷の苅田より 小袖
一枚の刈田賑はふ写真展 やよい
都会にも小さき刈田の匂ひ立つ もとこ
朝露を纏う雑草エメラルド ぽんこ
黎明や偽装の草を露雫 隆松
早暁の土手のなぞへの露葎 せいじ
外灯に煌く世界夜露降る 智恵子
農夫らの手を振る刈田アートかな なつき
露しづく月光になほ煌めきて 明日香
瞬く間に刈田となりしコンバイン ぽんこ
露の世の独り身の姉細おもて たか子
新苅田轍に鳥の急降下 隆松
焼き後の丸く残りし刈田かな やよい
大苅田二台行き交ふコンバイン なつき
露けしや湯の街路地の石畳 素秀
朝露の芋の葉転び遊びけり 満天
朝日差しクリスタルめく露の玉 なおこ
朝露の草に踏み入る散歩犬 ぽんこ
稲滓火煙り一筋刈田かな 宏虎
芋の露風にまろびて尚まろし やよい
ワイパーで払う夜露や独り言 豊実
露払ふ犬の後行く散歩かな よう子
選挙カー声高くする苅田道 なおこ
日の本の刈田匂ひに鎮もれり 素秀
露葎早起きの景至福なる 智恵子
刈田道里の山々近くなり かかし
草露を靴に移して登校子 素秀
露草の瑠璃に宿りし今朝の露 よし子
露けしや熊野古道の童子像 もとこ
コンバイン残す轍や刈田跡 智恵子
苅田見ゆ安堵の気持ふつふつと 明日香
山高し苅田の故郷へ着陸す よう子
藁の香の右手に左手や苅田道 隆松
大苅田果ての落暉に鳥の影 隆松
露けしや先輩知己を送リては 宏虎
刈田いま我が儘な風赦しけり たか子
落柿舎の苅田に遊ぶ雀どち よし子
10株の苅田も有りと能登の人 よう子
畦を行く逸れて刈田の真中行く うつぎ
朝露や靴のめり込む歩哨壕 隆松
露の世の置かれしままの力石 小袖
露の世の露の一粒ふと消へて よし子
露の身を労り合いて恙無く わかば
露けしや國から調査無職書く 宏虎
朝露と共に無農薬野菜来る 満天
力石一つはうつ伏せ露葎 うつぎ
暴投のボール転がる刈田かな 豊実
群雀運動場の刈田かな かかし
稲の穂の充分たわわ刈るを待つ たか子
悪童の戦場となる刈田かな もとこ
稲苅られ気づく苅田の広さかな 明日香
刈田道バス停までの距離遠し かかし
朝市の陳列台に露残る 宏虎
上皇も踏みし露けき古道かな もとこ
刈田道里は静かに更けてゆく かかし
選挙カー声つつ抜けの苅田かな 小袖
威風堂堂刈田を後にコンバイン うつぎ
露しとど高原をゆくスニーカー やよい
稲の香をなほ孕みをる刈田風 せいじ
芋露のくるりくるりと朝日燦 かかし
大き葉に大きゆったり露の玉 満天
石庭の苔纏ひたる白露かな もとこ
縄跳びのジャンプに光る草の露 たか子
朝露の真珠びかりす植木鉢 せいじ
雉鳩の目覚める朝や藪の露 豊実
コンバイン古墳残して去る苅田 よう子
変形のクルスの地蔵露けしや よう子
露の世や悔いなき日々を過ごしたく わかば
鉢に生れ鉢に消えたる露の玉 せいじ
谷底に一枚残る刈田棚 素秀
道草に触れたる露の清々し わかば
露けしや三度参りの石積み場 なつき
景広し幾何学的な刈田面 ぽんこ
まほろばの山裾までも苅田かな 明日香
移民の碑カナダとありて露しとど うつぎ
夕暮れの刈田に座る猫の影 豊実
露の世は厳しく悲しはらから逝き 宏虎
山の露缶コーヒーは二百円 豊実
刈田なか火をなだめつつ煙あげ ぽんこ
刈田跡畦むき出しに日差し受く 智恵子
切株の独擅場や刈田いま せいじ
芋の葉に笑ひころげて露の玉 よし子
ころころと表面張力芋の露 たか子
露雫牧場の朝の牛濡らす 智恵子
日差し受け鳥の群れ来る苅田かな 満天

2021年8月

外厠明かるうしたる花木槿 せいじ
白木槿青天井に咲きのぼる もとこ
神木の樹齢千年法師蝉 よし子
虚無僧の尺八に和す法師蝉 やよい
いつ見ても半開きなる白木槿 たか子
湯上がりて女子の匂いや夕木槿 宏虎
底紅の深み薄命白木槿 たか子
日々暮らすつくつく法師言ふままに もとこ
つくづくと来し方思ふ法師蝉 はく子
木槿掃く朝の日課や犬より来 うつぎ
伝王仁の墓を囲みて木槿垣 はく子
底紅や友の真紅のチマチョゴリ はく子
明日は又皆新しき白むくげ はく子
この道を取れと誘ふ木槿かな せいじ
みんみんの奥にかすかに法師蝉 やよい
きはちすや夕餉の吾もおちょぼ口 智恵子
木漏れ日にまみれ高鳴く秋の蝉 智恵子
三味線の師匠の家や木槿咲く よう子
墓洗ふ墓石に染み入る法師蝉 智恵子
庭掃きの老婦の上よ花木槿 隆松
ほころべる隣国の友白木槿 わかば
鳴き終わり又も鳴きつぐ法師蝉 たか子
淡紅の鬼貫愛し木槿かな 宏虎
お詣りのBGMや法師蝉 たか子
診察の最中鳴き出す法師蝉 せいじ
白木槿都心に古き小学校 みづき
つくつくし聞き合宿の炊事番 素秀
朝まだき声の小さき法師蟬 明日香
いつの間に厨に法師蝉の声 こすもす
ままならぬ友との一会つくつくし もとこ
野仏に注ぎ尽くすや法師蝉 隆松
韓国の国花と知りし木槿なる こすもす
法師蝉命の限り鳴きつづく 満天
瀬の音を声押し退ける法師蝉 隆松
白木槿きっちり畳み命終ゆ ぽんこ
底紅や手拭口に夜鷹の絵 隆松
階に天蓋となす白木槿 ぽんこ
つくつくし峠越えればあと一里 よし子
満開に咲いても寂しい白木槿 よし子
雨漏りの止みて木槿の白かりき よう子
廃校名残るバス停白木槿 智恵子
法師蝉のみの町並なりにけり 宏虎
白蜘蛛の花弁に潜む紅木槿 豊実
帰還せぬ兵士の句とやつくつくし よう子
つくつくし延命治療しないでね 明日香
道の辺に夜毎雨降る花木槿 ぽんこ
ヘッドホン外せば法師蝉の楽 せいじ
底紅に雫残して暁の雨 素秀
恙なきひと日過ぎるや白木槿 満天
畳まれて散りし木槿や紅の濃し やよい
木槿垣曲がりいつもの散歩道 やよい
裏木戸に昔の記憶むくげ垣 たか子
つくつくし山濡らしくる天気雨 なつき
禅寺の山門入るや白木槿 満天
夕山河法師蝉鳴きいと寂し 宏虎
課題図書読んではみたが法師蝉 豊実
里山の林道暗し法師蝉 みづき
ひと雨に生気新たに法師蝉 みづき
木槿咲く雨に暮ゆく坂の町 よし子
底紅を秘むる蕾や小間茶室 わかば
なに吸ふやおいしおいしと法師蝉 隆松
底紅の蕊を包みて一日終ふ わかば
宅配便玄関開ければ法師蝉 こすもす
法師蟬尽くせ尽くせと鳴き続け 明日香
つくつくし日の斑のおどる尼の寺 なつき
木槿垣出で発心の朝かな 素秀
酒匂ふ灘の通りや木槿咲く みづき
長雨を抜け出す日差しつくつくし うつぎ
白むくげ日々新たなる白迎ふ はく子
人住まぬ家の木槿の大樹なる 明日香
鳴く連れはもうゐずなりぬ法師蝉 うつぎ
後ろから大呼ばはりやつくつくし うつぎ
夕暮れにゆったり閉じる花木槿 満天
鉄棒と木槿の残る廃分校 素秀
一日の栄と木槿は紅残す よし子
通る人皆顔見知り木槿垣 うつぎ
木造りの森のベンチや花木槿 豊実
風に乗る雲の行方や花木槿 ぽんこ
雨雲の迫る夕暮れ法師蝉 豊実
参道に巫女の募集やつくつくし なつき
襟正し入る山門法師蝉 みづき
師の句碑へ鳴き継ぐ寺のつくづくし やよい
つく法師鳴く山道に俘虜の鐘 素秀
賑やかに忙しき声や法師蝉 わかば
補聴器を外す夕べの法師蝉 よう子
祭典の閉会式や法師蝉 豊実
改めてしげしげ眺む木槿かな こすもす
登廊の間遠に聞こゆ法師蝉 ぽんこ
庭に来て宿題急かす法師蝉 よう子
無住寺に鳴き始めたり法師蝉 なつき
青春は果つる刻までつくつくし 明日香
白木槿笑みし円空立木仏 なつき
ムグンファてふ近くて遠き国の花 もとこ
つくつくし故郷遠し人恋し 智恵子
底紅のひと日の日差し包み散る 満天
移ろひをリズムに乗せて法師蝉 わかば
法師蝉鳴きつつ一歩死へ近く 宏虎
紅白が引き立て合うて花木槿 せいじ
最後まで話聞いてよつくづくし もとこ

2021年7月

白蓮の記憶のアニメ白き靄 智恵子
竹林のざわめきに聞く晩夏かな 素秀
息止めてはちすはらにて音を待つ もとこ
断捨離は昭和の匂ひ晩夏かな やよい
みほとけの手のひらに似て蓮の花 更紗
蓮池の密なる様に花開く わかば
空変化海のざわめく晩夏かな 宏虎
少年は蛇口へ頭晩夏なり よう子
いとけなき蓮の巻葉に風の色 ぽんこ
水玉をまろばせあそぶ蓮の風 満天
蓮の花並ぶ大甕背を競ふ わかば
黄泉平坂越えて咲きたる蓮の花 宏虎
葉の下は奈落のごとし蓮の池 せいじ
鬼蓮や池に五輪のマークめく なつき
妙連の蓮の不可思議とこしなえ 明日香
早暁の蓮池巡る浄土の香 かかし
蓮池の青きうねりに夕の風 ぽんこ
接種終え五輪観戦なる晩夏 なつき
カンダタの届かぬ蓮華深き沼 よう子
日没に鍬を終へるや晩夏かな かかし
禍の忘るる浄土蓮原 もとこ
掲示板インクの薄れ夏深し みづき
蓮の葉のま向きそ向きに連なれり 更紗
白蓮の極まり見せて朝の黙 わかば
モネの絵より美しかりし蓮の花 宏虎
志まだあきらめず晩夏光 みづき
黄昏の故郷の海晩夏光 こすもす
蓮の風少女は膝の本を閉づ よう子
沈黙の開花と夜明け待つ蓮見 素秀
蓮浮き葉重なり合ふて隠すもの たか子
古写真見入る断捨離夏深し やよい
晩夏光十頭身の影二つ かかし
一面の葉の波に浮く蓮の花 豊実
晩夏来てふるさと又も遠き日に 満天
晩夏光差しゐる闇や奥座敷 素秀
観覧車今し天辺晩夏光 たか子
泥沼より合掌解くごと蓮の花 満天
池の端や蓮華浄土へ吸い込まれ 明日香
草も葉も紫めきて晩夏なる 更紗
民宿や大玻璃越しの蓮田かな こすもす
ゴルフ場ひつそり咲きし蓮の花 宏虎
山の端へ落暉すとんと晩夏かな 明日香
色褪せたTシャツを干す晩夏かな 豊実
数々のいたみ残せる晩夏かな わかば
地獄より浄土に開く蓮の花 ぽんこ
晩夏光マラソン人の荒き息 智恵子
沼底に潜む命や蓮の花 豊実
鉄傘の濃き影おとす駅晩夏 せいじ
風さ揺る今にも解ける蓮巻葉 ぽんこ
蓮酒のほろ苦き香や喉の奥 よう子
モノレール緩きカーブや晩夏行く たか子
水中は雲の浄土や蓮の花 たか子
大波の波消し襲ふ晩夏光 智恵子
忽然と住宅街の蓮の池 豊実
紅ほのと蓮の蕾の宝珠なす はく子
木陰にて夏の過ぎゆく風のあり 宏虎
蓮の花極楽浄土かと思ふ みづき
南禅寺夏の終わりの風に会う みづき
雑草の丈長き晩夏かな ぽんこ
湖しなり水上バイクや晩夏光 隆松
松の木に届きそうなり蓮の花 こすもす
晩夏光足場解体進みけり はく子
澱みたる池より出でて白蓮 はく子
湖の朝ベンチに渡る風晩夏 隆松
そばかすの和尚の笑顔蓮浄土 よう子
晩夏光杉の梢を見てをりぬ 明日香
三室戸寺背伸びして咲く古代蓮 明日香
蓮池のうめつくす葉に濃き紅や もとこ
猿回しの猿の気だるき晩夏かな なつき
大鉢に五本立ちなる蓮の花 智恵子
水上の村落めきし蓮の池 せいじ
法前の鉢あふれしめ蓮咲く はく子
御転婆のパンダ楓浜晩夏光 やよい
静寂の山寺に咲く蓮の花 満天
晩夏へとオリンピックのメダル増え 満天
花びらのはらり池面へ蓮の花 更紗
大甕に窮屈さうなはちすかな せいじ
船底の藤壺を削ぐ晩夏かな 豊実
晩夏光足取り確と杖の夫 やよい
手掘りてふ間歩を出でるや晩夏光 かかし
浜道の穴の補修や島晩夏 なつき
鍬休め木陰に憩ふ晩夏かな かかし
古代蓮笑みて動かぬ車椅子 智恵子
沈む日や晩夏の海を輝かす わかば
ギプス取れ遊ぶも仕事晩夏の子 なつき
潮騒に我が身委ねる晩夏かな こすもす
晩夏光鈍く光れる床柱 みづき
忌を修す寺の大鉢蓮真白 やよい
ランダムな鉢の並びや蓮の寺 隆松
蓮の葉の隠す線路を一両車 素秀
大甕やニョッキリ蓮の二つ三つ こすもす
天指して手を合はすごと蓮つぼむ はく子
さまざまに日本を想ふ夏深し たか子
膝に傷一つ増えたる子の晩夏 素秀
すすぎたる布巾をほして晩夏光 更紗
餌になびく鯉は移り気晩夏光 せいじ
漕ぎいでな潮入川には晩夏光 もとこ
旅終へて余韻くすぶる晩夏かな  もとこ
蓮の香や茎二寸を抜ける風 隆松

2021年6月

病葉や地におち蝶のしとねなる もとこ
揺り椅子に小さき幸せレース編む みづき
写真家の病葉一葉見逃さず 小袖
病葉の夜風に吹かれ落ちにけり わかば
眼を擦り針の目数ふレース編み よう子
蒼天に干されしレースの白眩し 智恵子
掃き寄する病葉乱す風一陣 やよい
病葉や誰かの役に立つ仕事 豊実
レース編みしていた目と手懐かしく 明日香
病葉の錦斑に病みにけり みのる



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