2023年11月30日 | |
白菜の売らるる白き尻並べ | うつぎ |
白菜を刻み浅漬け一人分 | はく子 |
雅楽の音低く流れて神の留守 | 小袖 |
神の留守無断駐車のお散歩カー | もとこ |
高垣の白菜畑杣の家 | よう子 |
白菜の漬物石は子に重し | わかば |
平和へと行脚されたし神の旅 | たか子 |
乱切りの白菜の音ハミングす | かかし |
箒目につけし足跡神の留守 | なつき |
神の留守子はポケットに石詰めて | なつき |
定番の白菜鍋やみんな好き | こすもす |
白菜の日に輝きて河川畑 | 素秀 |
頂きて白菜一つの重さかな | はく子 |
柏手も鈴も大きく神の留守 | はく子 |
くぐもれる土鳩の声や神の留守 | かかし |
奉行から合図待ちたる山白菜 | もとこ |
湯殿山流れを止めぬ神の留守 | わかば |
渓谷の倒木真白神の留守 | よう子 |
行儀良く白菜鍋のミルフィーユ | たか子 |
神の留守橋に立つ吾のうすき影 | なつき |
大木の伐り倒しする神の留守 | もとこ |
箒目の美しき庭神の留守 | 満天 |
どの木木も鳥語賑やか神の留守 | 満天 |
欄干無き橋渡りませ神の旅 | よう子 |
神の留守広前貸して古本市 | 満天 |
煮あがれば白菜の嵩これだけに | たか子 |
白菜は八分の一ひとり鍋 | こすもす |
刃を入れて大白菜をサクッと切る | 満天 |
五キロ超へ白菜に笑む老農夫 | かかし |
小流れに白菜洗ふ泥の色 | 素秀 |
白菜を包む千秋楽の新聞 | こすもす |
外海へ鳶遠ざかる神の留守 | 素秀 |
白菜の山崩れさう道の駅 | うつぎ |
妣漬けし白菜の味忘られず | わかば |
白菜は四分割と決めて買う | たか子 |
寺参りばかり三箇所神の留守 | こすもす |
白菜の中の青虫丸まりて | よう子 |
白菜や何はなくとも存在し | もとこ |
にぎやかに白菜を切る異国人 | 素秀 |
氏神の灯りて空つぽ神の留守 | うつぎ |
手づからの白菜キムチ届く頃 | うつぎ |
白菜の何しても合う甘味かな | たか子 |
緩く巻く白菜を手に買ひあぐる | なつき |
白菜の漬物石のオブジェ化す | もとこ |
氏子らは合祀の話神の留守 | 素秀 |
よちよち歩きの十ヶ月の子神の留守 | こすもす |
白菜の粗塩舐めて漬け始む | よう子 |
神留守の今日も人見ず氏神社 | はく子 |
御手洗に小雀遊ぶ神の留守 | 満天 |
御手洗の水音澄める神の留守 | うつぎ |
神留守の誰彼詣で七五三 | はく子 |
傘寿祝ぐ絵馬の桧の香や神の留守 | なつき |
白菜を漬けて水あぐ頃となり | わかば |
生産者名の白菜道の駅 | かかし |
不揃ひの白菜積みて無人店 | かかし |
力石でんとかまへて神の留守 | わかば |
2023年10月31日 | |
時々は雨に邪魔され後の月 | こすもす |
後の月火の見櫓の構えるへ | はく子 |
末枯の土手の日溜りもぐら塚 | なつき |
愛でる声まんまるまるく十三夜 | 小袖 |
末枯や高架なるてふ廃線路 | なつき |
山頂の灯の呟ける十三夜 | うつぎ |
門に立ち仰ぐみ空や十三夜 | わかば |
すれ違ふケーブル軋む末枯れ山 | よう子 |
末枯や人差し指の油染み | 素秀 |
再検の結果に安堵後の月 | かかし |
末枯やとどきはせぬも空真澄 | 素秀 |
山の端にゆったり出でし十三夜 | 満天 |
山河みな息を止めたる十三夜 | うつぎ |
研修を終へ報告書十三夜 | よう子 |
漁火の沖に光りて後の月 | わかば |
熱の子を胸に抱きて十三夜 | なつき |
末枯や夕潮川辺浮かべをり | わかば |
末枯の先ず始まりし鉢ひとつ | あひる |
膝裏を風立ち上ぐる十三夜 | 素秀 |
嵐去る空に潤みし後の月 | あひる |
恙なくひと日終えるや後の月 | 満天 |
末枯てなほ隆々の大欅 | うつぎ |
釣狐月見て啼くや十三夜 | 素秀 |
夕づきて鴨川堤末枯るる | はく子 |
手で払ふ野の末枯の軽さかな | 小袖 |
芝居はね電車の窓の十三夜 | よう子 |
我影と連れ立ちて行く十三夜 | 満天 |
引っ越しの友の家跡末枯るる | なつき |
暮れなずむ山の端出でし後の月 | 小袖 |
コンビニに振り込み済ませ十三夜 | 小袖 |
外に待たん名残の月を見るまでは | せいじ |
旅の途の湖上に孤高後の月 | はく子 |
雨去りて耿耿と射す十三夜 | わかば |
浮橋に鉾のまぼろし十三夜 | 素秀 |
末枯や川辺の草の勢なく | わかば |
末枯の起伏野に日の落ちにけり | せいじ |
嵯峨野路の葉擦れの音色十三夜 | かかし |
末枯の堤五千歩目指しけり | こすもす |
突然の雨も上がりて後の月 | せいじ |
おやすみと月に目配せ十三夜 | あひる |
中天に鋼と光る後の月 | あひる |
後の月連れ添ふ雲もなかりけり | はく子 |
点滴を終へて休息十三夜 | かかし |
末枯の野辺に十三仏座す | 小袖 |
末枯るる野路の地蔵のよだれかけ | よう子 |
十三夜母の愛でをし軋む椅子 | かかし |
独り居のつましき暮らし十三夜 | うつぎ |
末枯の野に陽のあたるベンチかな | あひる |
花見せてくれず仕舞ひや末枯るる | うつぎ |
川沿の末枯れいよよ進み行く | 満天 |
廃校の花壇の跡地末枯るる | かかし |
この並木みな末枯れて色づかず | せいじ |
共に愛でむとメール送信後の月 | こすもす |
釣り人去り末枯れそめし河原かな | よう子 |
新装の欄干土手の末枯るる | はく子 |
末枯の始まりている狭き庭 | 満天 |
末枯や古き窯跡荒れしまま | せいじ |
野良猫の庭を横切る十三夜 | なつき |
2023年9月30日 | |
単線のホームのベンチ秋の空 | せいじ |
あぜ道のゆるき蛇行や曼珠沙華 | あひる |
思い出の明日香の棚田曼殊沙華 | はく子 |
林間に漁り火のごと曼殊沙華 | せいじ |
雲の間の隙間の青き天高し | 満天 |
秋空の雲の変幻見て飽かず | はく子 |
肩の子の伸ぶ手いつぱい秋の空 | 素秀 |
古刹へと誘ふ畔の曼珠沙華 | うつぎ |
木洩れ日の渓に散らばる曼珠沙華 | あひる |
筆の穂を開き染めたり曼珠沙華 | わかば |
八方のいづれ正面曼珠沙華 | 満天 |
曼珠沙華群生なせる畑の隅 | わかば |
彼岸花の供花に華やぐ辻地蔵 | なつき |
イベントの白鳩百羽秋の空 | かかし |
秋空へ法螺の音たかし稚児の列 | なつき |
参磴を二列で上る曼殊沙華 | せいじ |
説法の百寿の僧や秋の空 | かかし |
厨事窓にひろごる鰯雲 | 満天 |
区画田の線引くごとし曼珠沙華 | 満天 |
鬩ぎ合ふ気圧のさなか秋の空 | 素秀 |
月置きて更けし秋空澄み渡る | はく子 |
秋天に市民ランナー一万人 | かかし |
秋天へ聳ゆる大樹風戦ぐ | わかば |
奈良の古寺紅白曼殊沙華咲かせ | はく子 |
ユニフォーム竿一杯や秋の空 | かかし |
窓側の座席は妻に秋の空 | せいじ |
ひとつあり魁と咲く曼珠沙華 | 素秀 |
藁ぼっち囲むは畔の曼珠沙華 | うつぎ |
胸の内全部打ち明け曼珠沙華 | 満天 |
秋空へ垂直に伸ぶ飛行雲 | なつき |
曼珠沙華傘をくるりと下校生 | かかし |
秋の空映す山湖の清々し | わかば |
秋天へふらここ漕ぐよおーい雲 | はく子 |
曼珠沙華揃ひ立ちたる一里塚 | なつき |
背もたれを倒して仰ぐ秋の空 | せいじ |
蕾なる朱をを覗かせて曼珠沙華 | わかば |
園児らの組体操や秋の空 | なつき |
真青なる川の蛇行や秋の空 | あひる |
歩はいつか涅槃へ続く曼珠沙華 | 素秀 |
曼珠沙華盆地は今し真つ赤つ赤 | うつぎ |
大空へ背伸び背伸びの曼珠沙華 | あひる |
秋天の深きに挿さるパゴダ塔 | 素秀 |
2023年8月31日 | |
天の川子らはテントに寝息たて | なつき |
過疎の郷山から山へ天の川 | あひる |
高原の闇に輝く天の川 | わかば |
天の川俗世浄土の橋渡し | かかし |
三代の帽子引き継ぐ案山子かな | かかし |
学校田に腕まくりする案山子かな | なつき |
銀河濃し親子で花山天文台 | せいじ |
ご機嫌の笑顔くずれぬ案山子かな | あひる |
案山子の子案山子の親により添われ | あひる |
求めども一体も見ず田の案山子 | こすもす |
畔に憩う一家全員案山子さん | こすもす |
かかし祭中にコスプレファッションも | はく子 |
銀漢の廻してをりぬ大風車 | 素秀 |
雀来て孤独にあらず案山子かな | わかば |
学校田案山子の腕に群雀 | なつき |
波音のここまでとどく遠案山子 | 素秀 |
鉢巻の学ラン案山子過疎の村 | よう子 |
天の川亡き友思ひ星いずこ | 満天 |
アブラムもかつて仰ぎし大銀河 | せいじ |
中庭の庇切りとる天の川 | 素秀 |
天の川球児素振りを五百回 | かかし |
人からの期待を纏ひ案山子立つ | 満天 |
帯状に集まる星や天の川 | こすもす |
芭蕉翁訪ねて伊賀の案山子かな | よう子 |
天の川立山の影屏風立つ | わかば |
数多なる案山子の親子過疎の里 | かかし |
力作の棚田の案山子勢揃ひ | わかば |
鉾杉の影黒々と天の川 | あひる |
天の川被さるやうに踊りの輪 | あひる |
誰彼に似たる顔つき案山子かな | 満天 |
山の田の一枚づつに案山子立つ | 素秀 |
銀漢や町の名も川も「天の川」 | はく子 |
星座盤掲げて銀河捉へたり | 素秀 |
ふるさとの家族思ふや天の川 | 満天 |
銀河澄む幾光年の旅重ね | せいじ |
千枚田畔に案山子のコンクール | はく子 |
願い事秘めて仰げり天の川 | なつき |
山上に見し銀漢の荒々し | はく子 |
水遣りをうっかりすれば天の川 | こすもす |
岬往くヘッドライトや天の川 | よう子 |
馬頭琴流るるパオや天の川 | よう子 |
大銀河子どもらに夢語らしむ | せいじ |
コーラス隊みたいな案山子横並び | こすもす |
銀漢の滴やほつとパオ灯る | よう子 |
銀河濃し待ちて覗きし望遠鏡 | せいじ |
通学帽の案山子肩組む学校田 | なつき |
まわりの灯消えて静かや天の川 | わかば |
今年限り案山子に礼の老夫婦 | かかし |
かかし祭トトロファミリー勢ぞろい | はく子 |
雨風に耐へて凜とす案山子かな | 満天 |
2023年7月31日 | |
着くずれし浴衣男子が向い席 | あひる |
頬かむりして懐かしき草いきれ | 素秀 |
過疎村の神の御旅所草いきれ | うつぎ |
雨上がり河原にむせる草いきれ | はく子 |
ざんぎりの力士浴衣の背に四股名 | 素秀 |
草いきれ紡ぎ岩肌石仏 | わかば |
草いきれも良きかな畔の散歩道 | はく子 |
ケーブルカー廃止の噂草いきれ | うつぎ |
塞がれし防空壕跡草いきれ | よう子 |
双子めく母と娘の旅浴衣 | せいじ |
孫に着せやる浴衣は三代目 | はく子 |
紺の浴衣に下駄彼女連れ夕散歩 | 宏虎 |
黒タイを緩め大の字草いきれ | かかし |
髪あげて白きうなじや浴衣の子 | 満天 |
草いきれしてをる阿蘇の大牧場 | せいじ |
城崎の宿浴衣着て夜の町 | わかば |
選りし色違ふ姉妹の浴衣かな | なつき |
草いきれまた一軒の空き家かな | かかし |
よく跳ぬる揃ひの浴衣老人会 | うつぎ |
草いきれ河川敷行くや犬連れて | 満天 |
浴衣着て母と湯めぐり懐かしき | わかば |
手捌きは見よう見まねの浴衣の子 | 素秀 |
草いきれ河原のゴミの収集日 | わかば |
姉妹にて駅中ピアノ藍浴衣 | かかし |
草いきれ川底浚ふ重機かな | なつき |
踝を見せて浴衣の下駄の音 | 小袖 |
草いきれ河原の中の遊歩道 | わかば |
髪飾と揃ひの浴衣双子ちゃん | 満天 |
浴衣着て夕暮れ出かけし若夫婦 | 満天 |
呉服屋の店員意気に藍浴衣 | はく子 |
草いきれ土手にこさへし駐輪場 | せいじ |
胡坐組む浴衣の父の火傷あと | よう子 |
浴衣の子四時の公園待合せ | 小袖 |
記念日の揃ひの浴衣二人卓 | かかし |
裾はだけ姉の後追ふ浴衣の子 | なつき |
草いきれ幼き友の便り絶へ | かかし |
手付かずの歴史街道草いきれ | 小袖 |
草いきれどこまで行くも匂ひ立つ | 満天 |
青年の手足はみ出す宿浴衣 | よう子 |
白日のカルスト台地草いきれ | せいじ |
もてなしは選べる浴衣お温泉の宿 | あひる |
カラフルや吾娘の浴衣も思ひ出も | あひる |
浴衣着て稽古すみまし何時もの酒屋 | 宏虎 |
草いきれ羊ひたすら草を食む | はく子 |
廃寺に消えゆく猫や草いきれ | なつき |
藍浴衣これしかないと紅の帯 | あひる |
踏み込める山羊平然と草いきれ | 素秀 |
草いきれ被さってくる小径ぬけ | あひる |
浴衣の子澄まして座敷童子かな | なつき |
留学子の鞄に浴衣詰めてやり | よう子 |
襟堅き浴衣の柄は荒削り | 素秀 |
園丁の総身に纏ふ草いきれ | よう子 |
浴衣着て国道電車のりた過去 | 宏虎 |
邦人は浴衣で仮装行列し | せいじ |
近道の公園突つ切る草いきれ | うつぎ |
島バスを降りて故郷草いきれ | うつぎ |
2023年6月30日 | |
明け易し今日どこへとも予定なく | たか子 |
夏草のはびこる根っこのしたたかさ | はく子 |
短夜の朝刊配るバイク音 | 満天 |
短夜や眼鏡ずらして糸通し | かかし |
長堤の夏草すっかり刈り取られ | はく子 |
短夜や眠れぬならば起きるまで | もとこ |
短夜の断片的な夢幾つ | こすもす |
短夜の昨日に続く雨の音 | 素秀 |
夏草に囲まれ眠る無縁墓 | 満天 |
耳元に猫の気配の短夜かな | 素秀 |
夏草や土塁短く残りをり | 小袖 |
コンサート終へて余韻の短夜や | かかし |
短夜を寝惜しむ宿の旅寝かな | わかば |
夏草やソーラーパネル並びたり | なつき |
次々と舗装の割れ目夏の草 | うつぎ |
夏草と潮の香微か浜公園 | こすもす |
夏草に来てどの犬もマーキング | うつぎ |
短夜や猫の瞳のガラスめく | こすもす |
夏草に立てし選挙の公示版 | なつき |
短夜の鳴りつぱなしのラジオかな | うつぎ |
短夜や看取りの日々の懐かしく | わかば |
懐かしき香や刈取中の夏草 | こすもす |
短夜のラジオは懐メロ歌謡曲 | はく子 |
短夜の未完の夢となりにけり | 素秀 |
短夜の夢の続きをもう一度 | 満天 |
夏草や勢ひ落ちることのなく | わかば |
産土神覆ふ夏草過疎の村 | かかし |
夏草も景に山家のレストラン | 小袖 |
夏草にホームラン球見失ふ | はく子 |
明易の雨戸を繰りて香手向く | うつぎ |
隧道の夏草闇に滴りぬ | よう子 |
短夜や老いの飲み会五時解散 | もとこ |
行書らし川面に流る夏の草 | よう子 |
腰痛の庭の夏草生ふままに | うつぎ |
夏草に鍬絡まれし老農夫 | かかし |
夏草の切先天に刃物めく | 素秀 |
短夜の明かさぬままの隠し事 | なつき |
夏草に靴をしづめて河畔まで | はく子 |
夏草にジャンプや白のワンピース | もとこ |
明易し母と語りし日々のこと | わかば |
明け易や旅の枕の合わぬまま | たか子 |
短夜や浮かびし俳句夢の中 | よう子 |
夏草の匂の強き河原かな | わかば |
短夜や病ひひよつこり訪れる | もとこ |
廃線の錆の上にも夏の草 | 素秀 |
短夜のガタゴト過ぎる終電車 | 小袖 |
明易し早ばやと鳴く軒雀 | 満天 |
明易し雨音強く裏の川 | 満天 |
明け易や検査結果を待ちて今日 | たか子 |
夏草の揺れに吠えたつチワワかな | なつき |
夏草に只の山なる御土居跡 | もとこ |
夏草や終い墓なるそこかしこ | たか子 |
子の悩み耳に残りて明易し | なつき |
夏草やケーブルカーの廃止ビラ | よう子 |
短夜やこれからの事今の事 | たか子 |
夏草の陰よりスズメ次々と | こすもす |
七十年振りの再会明易し | かかし |
夏草へ三角ベースホームラン | よう子 |
2023年5月31日 | |
雲の上を跳ぬるがごとしあめんぼう | はく子 |
乗り継ぎの三度の駅の薄暑かな | あひる |
子が止めぬ山羊の鳴き真似園薄暑 | なつき |
あらがえど又流さるるあめんぼう | はく子 |
川薄暑開閉橋はあと五分 | 素秀 |
街薄暑立ち退きビルの解体音 | はく子 |
水馬沈まぬ程の窪みかな | よう子 |
美術館庭に薄暑のモネの池 | 素秀 |
水口を一蹴りターン水馬 | なつき |
あめんぼに凹みし水の金の影 | あひる |
あめんぼう墨ひと雫ほどの影 | 宏虎 |
隠沼の日の斑迷路にあめんぼう | 素秀 |
道標はコンクリートよ町薄暑 | なつき |
みづすまし流れに任せ休みをり | 隆松 |
香草のツンと厨の薄暑かな | 素秀 |
夫の立つ脚立支へる薄暑かな | よう子 |
あめんぼうの乗つかる表面張力 | はく子 |
砂場もう乾き切ったり夕薄暑 | たか子 |
外食と言えどうどん屋街薄暑 | たか子 |
覗き込む影に飛びでるあめんぼう | 素秀 |
あめんぼや歩板を潜り抜けもして | せいじ |
あめんぼう一日遊びて暮れにけり | あひる |
公園の子等何時までも夕薄暑 | 満天 |
水底の影六つまろしあめんぼう | はく子 |
幾つもの水輪描くやみづすまし | 隆松 |
ウォーキング頬を撫でゆく薄暑風 | 隆松 |
早足でい行く諸人駅薄暑 | せいじ |
園薄暑回転ドア―に止めらるる | なつき |
あめんぼう何処にスタミナ有るのかな | 宏虎 |
玉砂利の音は濁音宮薄暑 | 宏虎 |
家路へと混み合う駅の夕薄暑 | たか子 |
スマホ手に声高々の町薄暑 | 満天 |
ちょっととんで考えごとやあめんぼう | あひる |
あめんぼの水輪にみたり和の心 | せいじ |
心字池和尚の影と水馬 | よう子 |
引越しの荷の片付かぬまま薄暑 | あひる |
硝子張りなるビルあまた街薄暑 | せいじ |
魚焼く路地裏匂ふ夕薄暑 | 満天 |
甲子園目指す球児に薄暑光 | かかし |
青空をすいすい歩くみずすまし | 満天 |
あめんぼう黒の塊すいすいと | 宏虎 |
薄暑なる仲見世に食ぶナポリタン | なつき |
解体とや丸ビル仰ぐ街薄暑 | よう子 |
あめんぼが顔の真中に鏡池 | せいじ |
口笛の下校の子たち薄暑光 | かかし |
神鼓打つ僧の一群寺薄暑 | 宏虎 |
ぴょんぴょんと三段跳びの水馬 | かかし |
木漏れ日の眩さの増し道薄暑 | 隆松 |
看護師の痛いですよも薄暑かな | よう子 |
水すまし青天井が舞台なる | たか子 |
我が陰と抱き合っているあめんぼう | たか子 |
手足跡残さぬままに水馬 | かかし |
水馬の水遁の術見事なり | 隆松 |
遮断機の長き時間や夕薄暑 | 満天 |
薄暑光幌を被せし乳母車 | かかし |
2023年4月30日 | |
古希近き婦人吟行春惜しむ | 宏虎 |
惜春の空のみからり晴れ渡り | 小袖 |
多国語の集ふシートや春惜しむ | なつき |
惜春や伊吹の峰にすわり雲 | 隆松 |
むらさきの夜となり都忘れかな | 素秀 |
落人村都忘れに京ことば | よう子 |
憂きことを消し去る都忘れかな | せいじ |
惜春や昔の旅のことばかり | あひる |
砂利舟の吃水深く春の逝く | はく子 |
都忘れ何処にも行かぬ母の庭 | うつぎ |
惜春や昔スターのかすれ声 | あひる |
グーグルに名を聞き都忘れてか | 隆松 |
色失せて都忘れの彩はなし | 宏虎 |
いとまごい一会の茶事に春惜しむ | 小袖 |
鳶の舞ふ砲台跡に春惜しむ | せいじ |
森の木の色の移ろひ春惜しむ | わかば |
ヴォーリーズの近江を訪ね春惜しむ | よう子 |
野春菊うすむらさきに引き込まれ | 満天 |
対岸の島影模糊と春惜しむ | わかば |
都忘れ何故か悲しき花の色 | あひる |
ホームにて出会ひと別れ春惜しむ | かかし |
夕さりて都忘れの真紫 | 素秀 |
俳諧は老後生き甲斐春惜しむ | 宏虎 |
都忘れ宿の前庭濃紫 | わかば |
春惜しむ遺品の鞄艶残し | 小袖 |
暦年の大樹に触れて春惜しむ | はく子 |
巡回バス途中下車して春惜しむ | よう子 |
植木鉢替へてチャペルの春惜しむ | せいじ |
思ひの丈都忘れの濃く淡く | うつぎ |
水神の注連古る井戸や春惜しむ | よう子 |
本流の滾つ宇治川春惜しむ | はく子 |
漣の池を眺めて春惜しむ | こすもす |
鍬休め鳥語を聴くや春惜しむ | かかし |
春惜しむ体操終へて腕捲る | かかし |
尼寺に一むら都忘れかな | なつき |
初めての写経終えたり春惜しむ | なつき |
雨の日は抹茶をたてて春惜しむ | せいじ |
とりどりの花弁掃き寄せ春惜しむ | こすもす |
ゆっくりと園をめぐりて春惜しむ | 満天 |
惜春や里親離す訓練犬 | 小袖 |
灯りたるパールブリッジ春惜しむ | うつぎ |
街出でて都忘れと会ふ小道 | 隆松 |
ぼやけゆく飛行機雲に春惜しむ | こすもす |
幾たびか訪ひし城址や春惜しむ | わかば |
村を出る川の流れに春惜しむ | うつぎ |
竹林の大揺れに春惜しみけり | せいじ |
落柿舎の床几に春を惜しみけり | 宏虎 |
かがまりてふるさとしのぶ都忘れ | 満天 |
都忘れ脛に触るるや花畑 | あひる |
春惜しむ一駅前でバスを下車 | かかし |
逝きし人アルバム広げ春惜しむ | 満天 |
父の忌の近きと都忘れ咲き | 素秀 |
春惜しむパステルカラーの子のぬり絵 | なつき |
金継ぎの記念の湯呑み春惜しむ | かかし |
足元に鳩来るベンチ春惜しむ | なつき |
転げ行く余生のひと日春惜しむ | 宏虎 |
春惜しむ同窓会の欠席に | 満天 |
惜春や女謡ひの声の良し | 素秀 |
しんにょうの流れて春を惜しむ文 | 素秀 |
山影の日毎変わるに春惜しむ | 隆松 |
都忘れ咲かせ高階ひとり住む | はく子 |
惜春や災難続きの日々なれど | うつぎ |
咲きくれし花に感謝や春惜しむ | こすもす |
奥ゆかし都忘れをそつと摘む | あひる |
思い出を紡ぐ城址や春惜しむ | わかば |
側溝の流れの速し春惜しむ | こすもす |
惜春や五時のチャイムに閉づパソコン | よう子 |
都忘れ只の野花と里をいく | 隆松 |
都忘れ淡き紫又濃きも | はく子 |
2023年3月31日 | |
剪定の切り口ぱつと香を放つ | うつぎ |
剪定をどうと決めかね空鋏 | 隆松 |
句碑に酔ひ花にも酔ひて旅終る | 宏虎 |
対岸へ続く車列や花堤 | あひる |
急燈の踊り場ごとの花明り | 素秀 |
年ごとに花見に来にし亡き父母よ | せいじ |
能勢今し何処を通るも山桜 | うつぎ |
剪定す花芽を切らぬやう思案 | せいじ |
絹の雨ドライブインの桜かな | みづき |
ケーブルカー山上駅は花三分 | よう子 |
尼寺の閑かな庭や花の雨 | みづき |
花満ちて一陣の風花吹雪 | 宏虎 |
剪定や替えの鋏を渡す妻 | 隆松 |
切り過ぎを案じる無花果の剪定 | こすもす |
花仰ぐ知らざる人と会話する | 満天 |
雨近き風にふるへる初桜 | なつき |
花舞ふや無人仏も隔て無く | かかし |
剪定の済みてひろごる青き空 | わかば |
三味の音にずれて手拍子花の茶屋 | 隆松 |
剪定の鋏に父の研ぎし癖 | なつき |
百齢の柿剪定は兄の手に | はく子 |
三川を見下ろす塔に花の雲 | はく子 |
小気味よき鋏の音や剪定す | うつぎ |
記念日の植樹の桜仰ぎ観る | かかし |
風禍から立ち直りたる花堤 | せいじ |
幽けしや暮ゆく渓の江戸彼岸 | よう子 |
誕生日祝ふフレンチ花の雨 | 小袖 |
大窓へ万朶の花のレストラン | はく子 |
花の屑自動ドアより闖入す | かかし |
城望むベンチの端しに花の昼 | 小袖 |
花堤夫と来し日の遠きかな | はく子 |
碧眼の酒酌み交はす花の下 | あひる |
川風の吹き上ぐ城址飛花落花 | なつき |
太陽の塔裳裾は花の友禅か | よう子 |
剪定の枝の燻るドラム缶 | 素秀 |
剪定の小枝こみちを塞ぎけり | あひる |
無花果の切り過ぎほどに剪定す | 宏虎 |
釈尊も御目開けませ花の寺 | 小袖 |
巡礼の首振りをりて花の寺 | 隆松 |
人の数増えてうれしや花の山 | せいじ |
通院のタクシーに過ぎし花の道 | はく子 |
花の道御宮参りの多きかな | なおこ |
来年の再会約す花見かな | みづき |
見分け難し白木蓮と辛夷かな | こすもす |
風に舞ひ風と別れて花筏 | かかし |
剪定の農家に学ぶ売り子どち | なおこ |
花の露咲くを待たずに逝きし人 | わかば |