1 敬老日見守り隊の訪問が

2 秋彼岸僧はスペアの足袋持ちて

3 苦瓜の屋根まで届き実の熟れる

4 神域の籬の透き間曼珠沙華

5 窯元に並ぶ大甕虫の声

6 夕方のパステルカラー秋の雲

7 先駆けの雲また雲や台風来

8 もう出たか浪速の藪の走り蕎麦

9 蜻蛉の二匹身を寄すビオトープ

10 洗濯を畳みて仄か木犀香

11 すつきりと整へられし花野かな

12 台風に寝かせるカフェの風見鶏

13 今朝庭に曼殊沙華咲く五・六本

14 秋の蝶着地の場所を迷ひけり

15 頬撫でる生ぬるき風夕立来る

16 何もなく台風一過雨戸開け

17 延着の混みあふホーム野分雲

18 薬の名長きカタカナ秋暑し

19 バケツからちちろ飛び出す拭き掃除

20 目弱き父母へと選ぶ秋薔薇

21 夕河鹿瀬音みちびく今日の宿

22 起きて猫背筋を伸ばす秋湿り

23 もう一度と待つ時間差で鳴る添水

24 兜虫角のみ残る朝かな

25 朝芒触るる手甲に玉雫

26 老人の家明るうす曼珠沙華

27 仲秋や夜に香り立つ花いくつ

28 赤とんぼ夕日に映えて里静か

29 諏訪湖へと急坂赤き七竈

30 こおろぎや肩させ裾させ急かしをる

31 天高し埋め戻されし出土跡

32 花鉢に爺婆人形敬老日

33 何時も見る闇の草むら蟲の声