身じろぐと見るや一擲蟻地獄

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  • あひる:蟻地獄のすり鉢状の穴は子どもの頃に見ていた記憶があります。蟻地獄という虫自体は砂の中に潜んで姿を見せていません。すり鉢状の穴に近づき足を滑らせた蟻は、もがけばもがくほど穴の深みに滑り落ちて行きます。穴の底に落ちると砂の中に潜んでいる蟻地獄に引きずり込まれます。この句では獲物がどん底まで来たことを砂の中から覚った蟻地獄が、ここぞと身動いで、全てをなげうつような勢いで砂の中に引きずり込んだ様子が目に浮かびます。この間、蟻地獄の姿は終始見えず、砂の動きだけが見え、獲物は砂の中に消えて行くのだと思います。庭の一隅に繰り広げられる凄まじい戦いの世界です。 - 2023/06/08(木)
  • むべ:「蟻地獄」が三夏の季語。蟻地獄が獲物を捕らえている現場を見たことがないのですが、乾いた砂の穴にはまった昆虫が身じろぎしたと思ったら、全力でその昆虫を捕らえにいった、という状況ではないかと思います。「一擲」という措辞が蟻地獄の生をよく表しているのではないでしょうか。完全変態してウスバカゲロウの成虫になったときには、ひらひらと舞うように優雅に飛ぶので、幼虫とはイメージがかなり違います。 - 2023/06/08(木)
  • せいじ:蟻地獄が三夏の季語。蟻地獄にはまった蟻、這い上がろうとしてもがいていると見るや否や、身を投げるようにして滑り落ちてしまった。蟻地獄のすり鉢の構造の巧妙さ、滑りやすさを、「一擲」が一言で表している。 - 2023/06/08(木)
  • えいいち:「蟻地獄」が夏の季語。暑い夏の日中にじっと蟻地獄の巣を観察しているのでしょうか。一匹の蟻が巣の近くで歩みを止めたかと思ったその瞬間、時すでに遅く蟻は地獄に吸い込まれてしまった、という情景が浮かびます。翻って考えてみると、この世知辛い世の中で油断しているとこの蟻のようになってしまうかも、という教訓のようなものを私自身感じてしまいました。 - 2023/06/08(木)