みのる:頭で考えて作る…から、見て感じて詠む…スタイルに変わってくると俳句はストレス解消や気分転換の効果があり心を休ませ癒やしを与えてくれる人生の良き伴侶になります。いいかえれば吟行時は普段の生活のしがらみを忘れて心を遊ばせることが大事なのです。作者はこの切替が上手にできているようです。

よし女:前半と後半の情景がま反対で「花の人」で〆てあるのがいいですね。他人のような自分のような言い回しが面白いです。今日はきっと何もかも忘れて最高の一日になったことでしょう。

康子:以前の合評の「ばらの椅子」同様に「花の人」の措辞が面白いです。ご友人にお花見に誘われ家を飛び出した。今日は家のことは忘れて楽しもう!と満開の桜を満喫する作者が浮かび、「花の人」にその決意⁉︎が感じられます。でもふっと「夫はお昼は何食べてるこなしら」なんて頭によぎるのかもしれませんね。家事雑事の繰り返しの漢字により日々の大変さが伝わってきます。それでも満開の桜だからこそ気分転換が出来ているのでしょうね。

澄子:リズムがあり流れるような調べの御句。桜の時季の浮き浮き華やいだ気分が伝わってきます。と同時に中七「けふは」に期間限定なのよ……というちょっとしたユーモアも感じます。独りで花を愛でるというより気の置けない仲間の集うお花見を想像致しました。

むべ:主婦業は24時間、365日間とよく言われます。連綿と続く家事や日々のあれこれをいったん脇に置き、今日は前々から誘われていた花見に行こうと思い立った作者。「花の人」は花人、桜人と同じと考えて良いでしょうか。華やかな心浮き立つイメージの季語で、地道な家事雑事とは対照的です。「けふは花の人」がやや切なく、明日にはまた家事と雑事のカオスに戻っていくことを暗示しています。