みのる:はたた神の措辞からから「激しい夫婦喧嘩」と連想するのは俗的になると思う。ごく些細なことで意見が食い違い軽い口論になりかけたところへいきなりドカンと来たので度肝を抜かれてそれどころではなくなった。やや落ち着いてから「雷神さんに叱られちゃったわね…」と笑顔に戻ったという感じの情景かと鑑賞してみました。

澄子:思わぬ雷鳴に瞬時にして犬も喰わぬ夫婦喧嘩は一掃一蹴された……はたた神という響きがいかにも激しく鳴り響く雷の様子を表しているようで 皆様の仰るように大変ユーモアのある御句。思わず笑ってしまいました。

むべ:十七音は短いと思いつつ、このように状況を想像できる一句になることが驚きです。「雷」にはたくさんの子季語がありますが、ここでは「はたた神」を選んだ作者。言い争っていたところ、神様に「いい加減にしなさい!」と一喝され、二人とも押し黙ってしまったのではないでしょうか。何とも言えないユーモアを感じて、俳句っていろいろな表現ができるのだなと思いました。喧嘩の行方が気になりますが、おそらく停戦または終戦になったことでしょう。

康子:句材に「夫婦喧嘩」とは面白いですね。決して季語の説明していないのに、取り合わせにより激しく鳴り響くはたた神が浮かびます。夫婦喧嘩の熱い怒りを代弁しているかのような雷に「もういいわ」と言って日常生活に戻っているご夫婦が浮かび、クスッと笑ってしまいました。

えいいち:頭に血がのぼってしまって訳の分からぬどなり合い、やめよとばかりに轟音の雷が落ちて来て夫婦ははたと我に返ったのでしょう。その後の二人は推して知るべしということでしょうか。ユーモアが感じられて微笑ましく思いました。

よし女:はたた神は激しく鳴りひびく雷ですよね。その神様に一喝された、大声で𠮟りつけられた、それほどの夫婦喧嘩とは。何か映画の一シーンが浮かびます。このご夫婦はこのあとけろりとして仲良く次のことを始めたのでしょう。夫婦喧嘩も、はたた神もどちらも激しかったのでしょうね。