えいいち:土用波が立ち始めると、海水浴シーズンも終わりだなあ、とそんな言葉を昔はよく聞きました。「駈け上がる」の措辞から波が砕けながら、ザブン、ザザーと洗濯岩を泡立てながらのぼっていく様子を私は連想しました。少し寂しげな、いかにも夏の終わりを土用波が告げているかのように思えてきます。恥ずかしながら・・関係ありませんが宮崎の鬼の洗濯岩へは新婚旅行で行きました。

みのる:私が子供の頃は母が盥と洗濯板をつかって毎日の家事として洗濯していた姿を覚えています。その後、家電革命がおこり電気洗濯機が普及し、昨今では「洗濯板」と言われてもピンとこない人もいるかと思います。そんな洗濯板の形状に似た奇形の岩礁を鬼の洗濯岩と表現するようになり、宮崎県の「鬼の洗濯岩」はことに有名です。太平洋から打ち寄せる土用波の豪快な感じを連想しますね。

澄子:実際に見たことないのですが、洗濯岩ですから海面との落差がなく 岸壁や磐にあたり砕ける波飛沫がない代わり 夏の大きな波が岸に向かい一気にさぁーっと拡がり泡立ちながら押し寄せ奔ってくるそのような様を表現なさったのかなと思いました。記憶にないのですが宮崎県洗濯岩で撮った写真が残っていました。

むべ:私も洗濯岩を実際に見たことはありませんが、調べてみたところ、康子さんが書いておられる宮崎県の他、島根県の須々海、千葉県富津市にも洗濯岩と呼ばれる地層の侵食があるようです。土用波が高いのは、日本海側ではなく太平洋側、つまり宮崎県か千葉県かな?と想像しました。沖はそれほど波がないように見えて、浜や堤防まで届いたときに急に立ち上がり、ものすごい高さになることがあります。作者はその波の高さと強さを「駈け上る」という動詞でリアルに表現し、また長い年月をこのように洗われて洗濯岩が形成されたのだなぁ、という自然の驚異に対する畏怖も御句から読み取れるのではないでしょうか。10代の頃南伊豆でよく釣りをしていたのですが、土用波のときは海に近づいてはいけないと教わりました。台風を予感させる、不穏な感じの土用波を見ていると、夏の終わり、秋の訪れを感じました。

康子:洗濯岩とは実際に見たことはありませんが、洗濯板を想像すると広い範囲に広がっている岩が想像できます。調べてみると宮崎県の「鬼の洗濯岩」は8キロの海岸線に見られるそうで、数百万年前に深い海で堆積した地層なんだそうです。その凸凹が繰り返している地形に、断続的に何度も打ち寄せたり引いたりする波はさぞかし荒々しいのでしょう。「駆け上がる」により土用波の強さと勢いが伝わります。