みのる:盆踊りの振りには、手のひらを返してそれを額のあたりに翳すという所作がよくでてきますね。阿波踊りなどにも似た動作があります。みなさんの解にあるように、しなやかに…の措辞がうまいです。

澄子:日が落ちて始まった盆踊り その輪のなかにひときわ所作の美しい心惹かれる踊り手がいたのでしょうか。藍浴衣の袂からのぞく日本舞踊独特の少し反り返り指先がきちんと揃えられた手の表情…翳されて陰翳が出来 より白く映る顔……翳した手を傾げ見上げる顔の角度…… 艶やかで風情のある夏の夜を詠んだ一句のように思いました。

康子:私もかえるさん同様最初は日本舞踊かと思いました。そこで季語は?となり「踊」が季語と分かり、盆踊りを指すと知りました。掲句は「踊の手」の動きに焦点を絞ったことが面白いと思いました。しなやかに…により浴衣を着ていて女性が浮かびます。踊りの上手なご高齢の方かもしれません。額へ翳す、により日本舞踊のように艶やかにしっとりと踊る姿、また袂を抑えている女性らしさも見えます。盆踊りの音楽など楽しそうな雰囲気が浮かび、焦点を絞って詠むことの効果を感じました。

かえる:初見では、日本舞踊の師匠の舞を思い浮かべ、ならば季語は?と思ったのですが、俳句の世界では踊すなわち盆踊りなのですね。作者の目にしなやかな手がよく見えているので、まだ暗くなりきらない、踊りの輪がスタートしたばかりの夕方の光景。踊り手は夕日の眩しさも相まって、振り付けに乗じて手を翳して目を守っているのかもしれません。屋台目当てに小銭を握りしめた子どもたちもやってきて。大人もそぞろ歩き。平和な秋の入り口が表現されているようです。

むべ:俳句で踊と言えば盆踊りでしょうか。盆踊り、小学生の頃に体験?したことがありますが、とても難しかったです。中腰の姿勢、足を前に出し前進しつつ、同時に左右の手は別の動きをしますよね。音頭に合わせ、ベテランがしなやかに手を翳している踊り姿を、作者は上手いなぁと惚れ惚れと眺めているのか、あるいは作者自身が踊り手として踊っているのか?寺社の境内は活気に満ち、笛や太鼓、お囃子が聞こえてきそうです。上気し、ハイになった「場」の雰囲気を感じます。笠を被ったり手拭いで顔を覆ったりするのは、踊り手を帰ってきた祖霊とみなすゆえだそうです。だから盆踊りは昼ではなく夜なのですね、納得です。