えいいち:「佇ちて」という措辞を私が今まで思っていた「佇む・・」という雰囲気の意に思うと、正直・・よくわからない句でした。でも「佇ちて」という措辞は辞書で調べると「立ち止まって」という意味がある事を知りました。それをふまえて読むと、「一望柿の里」という措辞から作者の感動が強く伝わってきました。すると上五の古城跡は何か?と考えるとそこには作者の郷愁の思いを感じました。

みのる:柿の里といえば柿の葉寿司で有名な奈良でしょうか、正岡子規の法隆寺の句もありますね。奈良には古城址も多いです

澄子:拝謡し絵がぱっと浮かぶような平明さと端正さ……さらりと詠まれているようですが同時に 完成度のたかさというものを感じました。私の主観ですが 日本的な原風景は勿論ですがもっと踏み込み日本的な心象風景が投影されているように思われました。柿は古より生活のあらゆる分野で深く関わり また古城址という言葉から発する栄枯盛衰観、無常観……澄みきった穏やかな風景のなかを吹き抜けてゆく清しい秋風を感じました。

康子:あの古城址に登れば柿の里が一望できるかも、と思い登ったのかもしれません。登ってみたら想像以上に一面の柿たわわ。「佇ちて一望」の表現によりその感動が詰まっているように感じます。真っ赤な柿を里一面に散りばめたように美しい景色だったのでしょう。

かえる:いまやお城の面影はなく、高台の見晴らしの良い立地と看板が、かろうじてその名残を留めている。作者は見晴らしの良い城址にじっと佇み、里の秋を観察しているのでしょう。田舎の家はどこも柿の木が植えられているのでそちこちにたわわな実を見かけますが、この句はぽつぽつとある柿の木ではなく、里中に広がる柿畑を詠んでいるように感じられました。きっと名産地なのですね。

むべ:お城はたいてい小高い立地ですが、作者が佇んでいるのも、眺めの良い公園や見晴台のような場所なのでしょう。視界を遮るものなく、里を一望でき、そこここにオレンジ色の実をたわわにつけた柿の木が見えます。あぁ、そういえばここは柿が名産だったな、と思いつつ、秋の乾いた風に吹かれている作者を想像しました。上には晴れやかな高い空、下には秋の実りです。