みのる:普段はカラフルな都会の風景も黄砂につつまれれて彩を失ってモノクロと化し、ビル影も何もかもが影絵のようにぼやけて見えているのです。みなさんの鑑賞にあるように「ゴーストタウン」の比喩が的確です。

澄子:大陸からの黄砂現象のことでしょうか……私は未だ経験したことはありませんが 太陽を遮って薄暗くまるで煤煙に覆われたかのような大都会の映像を見たことがあります。それを中七でゴーストタウンと端的に表現。街全景が色を失いグレイの影絵のようになり 生気を失った情景が浮かんできます。 

康子:黄砂の降る日、高層ビルから見た景色は異様な色に包まれる。晴れているはずなのに遠くのビルは消え、地上も隣のビルもベールをかけたよう。まさにゴーストタウン。そんな言葉があったのか、と驚かされました。説明や報告にならずストレートに景色が浮かぶ掲句に感服しました。

かえる:黄砂の凄まじさを感じます。とりわけ風の強い日で、街は砂嵐に覆われてしまったのでしょう。そのモノクロームじみた色彩の描写をくどくどせず、ゴーストタウンの一言で片付けてしまわれている。それでいて読み手には光景が明確に浮かびます。思い切りの良さと言葉の選択がなんとも見事です。